JP2010190257A - 真空断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の真空断熱材では、芯材の内側に薄肉部としてU字形もしくはV字形のスリットを設けて周方向に丸め易くしているが、一般的に薄くて強度が弱い芯材にこのような加工を施すことは困難であり、仮に加工ができたとしても芯材の厚み自体が薄いために取り扱いが難しく作業性が悪いという問題点があった。
【解決手段】この発明に係る真空断熱材は、繊維シートが複数枚積層されてなる芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記芯材の少なくとも1辺に沿って変形可能なスペーサーを設けるように構成したものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、真空断熱材及びその製造方法に関するものである。
従来の真空断熱材において、貯湯タンクを保温するために、円筒形状の当接面に複数個の薄肉部を設けて周方向に丸め易くし、真空断熱材が歪みやしわを生じることなく簡単に、かつ、廉価に製作できるように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2008−39282号公報(請求項2)
従来の真空断熱材では、芯材の内側に薄肉部としてU字形もしくはV字形のスリットを設けて周方向に丸め易くしているが、一般的に薄くて強度が弱い芯材にこのような加工を施すことは困難であり、仮に加工ができたとしても芯材の厚み自体が薄いために取り扱いが難しく作業性が悪いという問題があった。
また、金属ラミネートフィルムなどの外被材の中に芯材を挿入し、外被材の内部を真空にして密閉する場合、芯材の内側に設けた複数のスリットの窪み部分に外被材が入り込むため、真空断熱材の厚み方向における内側と外側の外被材の間隔が狭くなり、十分な断熱性能が得られないという問題があった。
なお、前記断熱性能の低下を補う手段として、真空断熱材の上方端部にパッキンを設け、薄肉部と貯湯タンクとの隙間に発生する空気の対流を防止しているが、形状が複雑になりコスト増になるとともに隙間を完全に無くすことができないという問題があった。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、断熱性能の低下がほぼ無く、容器の形状に合せて隙間無く取り付けが容易な真空断熱材及びその製造方法を提供することを目的としている。
この発明に係る真空断熱材は、繊維シートが複数枚積層されてなる板状の芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記外皮材の対向する二面を離間し、当該二面のそれぞれに両主面を接触して配置された前記芯材の側面に沿って少なくとも一部に変形可能なスペーサーを設けるように構成したものである。
この発明は、以上のように構成したので、真空断熱材を保温容器に断熱性能の低下がほぼ無く容易に取付けることができる。
この発明の実施の形態1による真空断熱材の密閉前の状態を示した断面図である。 この発明の実施の形態1による真空断熱材の密閉後の状態を示した断面図である。 この発明の実施の形態1における真空断熱材が円筒状容器に巻き付けて取り付いた状態を示す断面図である。 この発明の実施の形態2による真空断熱材の密閉後の状態を示した断面図である。 この発明の実施の形態3による真空断熱材の密閉後の状態を示した断面図である。 この発明の実施の形態1における真空断熱材の製造方法について示したフローチャートである。 スペーサーを治具の所定の位置に固定する状態を示した参考図である。 芯材を複数枚平面状に配置した状態を示した参考図である。 袋状とした外被材を被せた状態を示した参考図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による真空断熱材の密閉前の状態を示した断面図である。図において、この発明の実施の形態1による真空断熱材は、1枚もしくは積層された複数の繊維シートからなる六面体構造を持つ板状の芯材1と、平面状に配置された複数の芯材1間に設けられた中空構造を持つスペーサー2と、芯材1及びスペーサー2を対向する二面を離間し、当該二面のそれぞれに芯材1の両主面である上面及び下面を接触して挟み密閉し、真空断熱材内部を真空に保つと共に表面を形成する外被材3とが設けられている。ここでの上面及び下面は、板状の芯材1の最大面積を有する対向する2面を指し、一方を上面と規定した場合、他方を下面と規定する。
次に、この発明の実施の形態1における真空断熱材の製造方法について説明する。図6は、この発明の実施の形態1における真空断熱材の製造方法について示したフローチャートである。図6の芯材製造工程において、例えば水と繊維径が数μm〜数十μm程度の繊維を混合させ抄紙した後、乾燥させてシート化した繊維シートを1枚もしくは複数枚重ねて必要なサイズに裁断し芯材1を製造する。
ここで、繊維には、例えばガラス素材や樹脂系素材などがある。樹脂系素材の場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートを含めたポリエステルなどがある。勿論、無機素材からなる無機繊維と樹脂系素材からなる樹脂系繊維の混合でもよい。
図6のスペーサー挿入工程において、適当な長さに切断されたスペーサー2が治具の所定の位置に固定され、スペーサー2を挟むように芯材1を複数枚平面状に配置する。図7は、スペーサーを治具の所定の位置に固定する状態を示した参考図である。また、図8は、芯材を複数枚平面状に配置した状態を示した参考図である。スペーサー2は、紙またはプラスチックなどの熱伝導率の低い材質で、半円形状のトップ部分とコの字形状のボトム部分を有する弾丸形状の断面を有し、中空構造を有する。なお、スペーサー2は真空断熱材の中で大気圧によって潰れない程度の強度を有している。
上記芯材1とスペーサー2とを組み合わせた状態で、2枚または1枚を折り返した外被材3を1つの開口部を有するように、例えばヒートシールなどでシールし、袋状とした外被材3を被せる。図9は、袋状とした外被材を被せた状態を示した参考図である。例えば、外被材3はガスバリア性を有する金属ラミネートフィルムなどを矩形とすることで得られる。
その後、治具を取り外し、これらを真空チャンバ内に配置し減圧することで外被材3に覆われた内部空間を真空状態にする。外被材3で覆われた空間が所定の圧力、例えば0.1〜3Pa程度の真空圧になっている状態で外被材3の開口部をシールし密閉する。真空チャンバ内の圧力を大気圧状態にまで戻す。真空断熱材の外側の面は大気圧を受け、外被材3の内圧が真空であることにより真空断熱材の内外で圧力差が生じ、外被材3が押されて芯材1が圧縮される。真空断熱材の内部に配置したスペーサー2は、大気圧によって潰れない程度の強度を有していることで潰れずに形状を維持するため、スペーサー2に接する外被材3は大気圧で押されてスペーサー2に沿って変形するため、真空断熱材の表面にスペーサー2の半円形状に沿った凸部が形成される。
以上のようにして、この発明の実施の形態1における真空断熱材が完成する。図2は、上記のように製造されたこの発明の実施の形態1による真空断熱材の密閉後の状態を示した断面図である。この真空断熱材の内部空間は真空状態に保持され、外被材3および芯材1は外部との圧力差による圧縮力を受けている。
なお、長期真空下に置くことにより、芯材1または外被材3等からガスが発生する場合とか、外部から気体が混入する場合とか、水分が混入する場合などが想定される場合には、必要に応じて外被材3で覆われた空間に適切なガス吸着剤を挿入する場合もある。
次に、この発明の実施の形態1における真空断熱材を円筒状容器4に巻き付けて取り付ける場合について説明する。図3は、この発明の実施の形態1における真空断熱材が円筒状容器に巻き付けて取り付いた状態を示す断面図である。通常、真空断熱材は平板状で外部から大気圧を受け、外被材3が芯材1と密着し硬直しているため、円筒状容器4に巻き付けて取り付けようとしても変形せず、曲がらない。
そこで、図に示すように、真空断熱材を円筒状容器4に沿わせて巻きつけるときに、真空断熱材の外側の表面に突出しているスペーサー2の半円形状のトップ部分を押さえることによって、スペーサー2の内部の中空部分が圧縮されて潰れ、外被材3に沿う形で支えている半円形状部分が平坦になることで、外側の外被材3を押し広げる。そのため、厚みを有する真空断熱材を曲げることに伴う外被材3の外側と内側の長さ差である内外周差を補うことができるため、真空断熱材の内側に皺を生じさせることなく変形可能となり、真空断熱材を円筒状容器4に隙間無く巻きつけることができる。
このような構成されたこの発明の実施の形態1における真空断熱材は、外被材3の片面のみに突出部が設けられているため、円筒状容器4を加工する必要が無い。また、スペーサー2が中空構造を有することによって、スペーサー2を介しての熱移動が起こりにくくなる。さらに、真空断熱材と円筒状容器4の間で空気の対流が生じず、良好な断熱性能が得られる。
例えば、外形φ1000(mm)の円筒状容器4の外周に沿って約半周に真空断熱材を巻き付ける場合には、厚みが10(mm)の真空断熱材に生じる内外周差は、
真空断熱材の内側の円周長=容器の半円周=π×1000×1/2=500π(mm)
真空断熱材の外側の円周長=π×(1000+10)×1/2=505π(mm)
真空断熱材の内外周差=505π−500π=5π=15.7≒16(mm)
円筒状容器4の軸方向と平行して真空断熱材の中に2個のスペーサー2を入れた場合、スペーサー1個で補足する外側の外被材3の長さは16/2=8(mm)となる。
スペーサー2が潰れて、外側の外被材3の長さを8(mm)伸ばすために必要とするスペーサー2の形状は、真空断熱材から突出するスペーサー2の半円形状のトップ部分の半径をRとすると、
πR−2R=8(mm)
R=8/(π−2)=7(mm)
半径Rの2倍が潰れる前のスペーサー2の幅となるため、潰れる前のスペーサー2の幅は14(mm)が必要となる。なお、この数値は理想的な場合の数値であり、条件により異なることはいうまでもない。
次に、この例で、スペーサー2として紙を用いた場合について、断熱性能の低下を検証する。紙の熱伝導率λは、0.06W/m・k程度であり、仮にスペーサー2を厚み1mm、幅14mmの中空構造とした場合、熱伝導率λは、0.06×((1×2)/14)=0.0086W/m・k程度となる。一方、芯材1の熱伝導率λは、0.02W/m・k程度である。
ここで、実際にスペーサー2の占める部分は上記真空断熱材全体の2%程度であるため、上記真空断熱材全体の熱伝導率λは、0.02×0.98+0.0086×0.02=0.00213W/m・k程度となる。この数値から明らかなように、熱伝導率は0.00013W/m・k程度の増加しかなく、設置によるばらつきでの誤差程度の値であると思われる。
また、この発明の実施の形態1における真空断熱材では、複数の芯材1間にスペーサー2を配置しているが、1つの芯材1の端部、または、複数の芯材1間及び端部にスペーサー2を配置してもよい。なお、芯材1の枚数の多少にかかわらず、スペーサー2を配置することにより所定の効果が得られる。ここで、芯材1の端部とは、芯材1の側面で他の芯材1と対面していない部分を示す。
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による真空断熱材の密閉後の状態を示した断面図である。前記実施の形態1では、スペーサー2が中空構造を有しているが完全に中空でなくてもよい。例えば、図に示すように、コ字状のガイド5の上に円柱6を配置した構造としてもよい。このような構造のスペーサーは加工が簡単で、真空断熱材を円筒状容器4に沿わせて曲げるときに円柱6を押すことによって、円柱6がコ字状のガイド5の中に入り込み、コ字状のガイド5を左右に押し広げることによって、真空断熱材表面の突出部が平坦となり、外側の外被材3に長さの余裕ができることで、同様の効果が得られる。
なお、コ字状のガイド5と円柱6は一体構造であっても分離された構造であってもよい。また、ここではコ字状のガイド5の上に円柱6を配置した構造とし、一部に中空部分を有する構造を持ったスペーサーを得ているが、例えば、前記実施の形態1で示された半円形状のトップ部分とコの字形状のボトム部分を有する弾丸形状の断面を有し、中空構造を持つスペーサー2の半円形状のトップ部分を中身が詰まった構造とすることでも同様な効果が得られる。
さらに、全く中空部分を持たず、所定の力を加えることで変形するような部材でスペーサーを構成した場合でも同様な効果が得られる。このような部材は、例えば、ゴム、ウレタン等の合成樹脂または紙等が考えられる。
なお、前記実施の形態に示す芯材1は、円筒状容器4に沿わせて巻きつけることを前提に六面体構造を持つ板状としているが、特に六面体構造とする必要はない。例えば、芯材1を六角形の面を有する八面体容器に沿わせる場合には、八面体構造を持つ板状の芯材1を含む方がよい場合もある。同様に、芯材1の構造は断熱する容器に合わせて変形しやすいような構造をとればよく、特に六面体に限られない。場合によっては、芯材1が円柱構造である方が変形しやすい場合もありうることは容易に推測できる。
また、仮に前記実施の形態に示すスペーサー2が、芯材1の最外周の側面、芯材1が複数である場合は複数の芯材1が組み合わされた端部、すなわち、複数の芯材1が組み合わされた状態で最外周を形成する側面に沿って配置された場合であっても、外被材3の端部で対向する二面が接触する部分を保温容器に沿って曲げることが容易になり、真空断熱材を断熱性能の低下がほぼ無く容易に取付ける効果が得られる。
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による真空断熱材の密閉後の状態を示した断面図である。前記実施の形態1では、複数の芯材1間にスペーサー2を配置しているが、図に示すように芯材1上、すなわち芯材1と外被材3との間に円筒形状を有する円筒スペーサー7を配置してもよい。
このような構造をとることで、真空断熱材を円筒状容器4に沿わせて巻きつけるときに、真空断熱材の外側の表面に突出している円筒スペーサー7の半円形状部分を押さえることによって、円筒スペーサー7の内部の中空部分が圧縮されて潰れるとともに、芯材1をある程度押しつぶすことで、外被材3に沿う形で支えている半円形状部分が平坦になり、外側の外被材3を押し広げる。そのため、厚みを有する真空断熱材を曲げることに伴う外被材3の外側と内側の長さ差である内外周差を補うことができるため、真空断熱材の内側に皺を生じさせることなく変形可能となり、真空断熱材を円筒状容器4に隙間無く巻きつけることができる。
また、このような構成されたこの発明の実施の形態3における真空断熱材は、前記実施の形態に示された効果に加え、複数の芯材1を用いる必要がなく、また、仮に複数の芯材1を用いた場合でも芯材1間に円筒スペーサー7を配置する必要が無いため、製造工程が非常に単純化されるのみならず、容易に製造することができるという効果を有する。
1 芯材、2 スペーサー、3 外被材、4 円筒状容器、5 ガイド、6 円柱、7 円筒スペーサー

Claims (8)

  1. 繊維シートが複数枚積層されてなる板状の芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記外皮材の対向する二面を離間し、当該二面のそれぞれに両主面を接触して配置された前記芯材の側面に沿って少なくとも一部に変形可能なスペーサーを設けたことを特徴とする真空断熱材。
  2. 前記芯材は六面体からなることを特徴とする請求項1記載の真空断熱材。
  3. 前記芯材を複数設けたことを特徴とする請求項2記載の真空断熱材。
  4. 前記スペーサーを前記芯材間に設けたことを特徴とする請求項3記載の真空断熱材。
  5. 繊維シートが複数枚積層されてなる板状の芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記外皮材の対向する二面を離間し、当該二面のそれぞれに両主面を接触して配置された前記芯材の少なくとも1つの主面上に変形可能なスペーサーを設けたことを特徴とする真空断熱材。
  6. 前記スペーサーは大気圧以上の圧力により変形可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の真空断熱材。
  7. 前記スペーサーは一部に空洞を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の真空断熱材。
  8. 前記外被材を袋状にする工程と、前記外被材で前記芯材及び前記スペーサーを被う工程とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の真空断熱材の製造方法。
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