JP2010188937A - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】直流電源と電圧変換部とをそれぞれ複数備えたハイブリッド車両において、各直流電源の過放電をより適正に抑制しながら、内燃機関の始動性とドライバビリティとを良好に確保する。
【解決手段】モータMG1によりエンジンがクランキングされていないときには、マスタバッテリの出力制限Woutmとスレーブバッテリの目標スレーブ電力Pbs*との和をパワーリミット値Plimとして設定し(S150)、モータMG1によりエンジンがクランキングされているときには、マスタバッテリの出力制限Woutmとスレーブバッテリの出力制限Woutsとの和をパワーリミット値Plimとして設定する(S160)。モータECUは、モータMG1,MG2により入出力されるパワーがパワーリミット値Plimの範囲内に収まるようにモータMG2のトルク指令を補正する。
【選択図】図2
【解決手段】モータMG1によりエンジンがクランキングされていないときには、マスタバッテリの出力制限Woutmとスレーブバッテリの目標スレーブ電力Pbs*との和をパワーリミット値Plimとして設定し(S150)、モータMG1によりエンジンがクランキングされているときには、マスタバッテリの出力制限Woutmとスレーブバッテリの出力制限Woutsとの和をパワーリミット値Plimとして設定する(S160)。モータECUは、モータMG1,MG2により入出力されるパワーがパワーリミット値Plimの範囲内に収まるようにモータMG2のトルク指令を補正する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ハイブリッド車両に関する。
従来、この種のハイブリッド車両としては、エンジンと、2体のモータジェネレータと、各モータジェネレータと電力をやり取りする複数の直流電源と、複数の直流電源と共通電源ラインとの間にそれぞれ接続されて電圧変換を行なう複数の電圧変換部と、複数の電圧変換部を制御する制御装置とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述のような直流電源と電圧変換部とをそれぞれ複数備えたハイブリッド車両では、各直流電源の過放電を抑制する必要があるが、各直流電源からの放電を必要以上に制限すると、例えばエンジンの停止中に当該エンジンをクランキングして始動すべきときに、モータジェネレータからの動力の出力が必要以上に制限されてしまってドライバビリティが悪化してしまうおそれもある。
そこで、本発明は、複数の蓄電装置を備えたハイブリッド車両において、各蓄電装置の過放電をより適正に抑制しつつ、内燃機関始動時のドライバビリティを良好に確保することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車両は、
内燃機関と、動力を入出力可能な第1電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記第1電動機の回転軸と駆動軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する動力分配手段と、前記駆動軸に動力を出力可能な第2電動機と、前記第1および第2電動機と接続される電力ラインに第1電圧変換手段を介して接続された第1蓄電手段と、前記電力ラインに第2電圧変換手段を介して接続された第2蓄電手段と、前記第1蓄電手段の状態に基づいて該第1蓄電手段の放電に許容される電力である第1放電許容電力を設定すると共に前記第2蓄電手段の状態に基づいて該第2蓄電手段の放電に許容される電力である第2放電許容電力を設定する放電許容電力設定手段と、前記駆動軸に要求される駆動力に基づいて前記第1電動機により入力または出力されるパワーと前記第2電動機の出力パワーとの和が前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2放電許容電力との和を超えないように前記第1および第2電動機の目標トルクを設定すると共に、前記設定された第1および第2電動機の目標トルクと前記第1および第2電動機の回転数とに基づく前記第1および第2蓄電手段への総要求放電量と所定の電力分担率とから前記第2蓄電手段の放電量の目標値である第2目標放電量を設定する目標値設定手段と、前記電力線における電圧が所定の目標電圧となるように前記第1電圧変換手段を制御すると共に前記第2蓄電手段から前記電力線に放電される電力が前記設定された第2目標放電量となるように前記第2電圧変換手段を制御する電圧変換制御手段と、前記設定された第1および第2電動機の目標トルクに基づいて該第1および第2電動機を制御する電動機制御手段と、を備えるハイブリッド車両において、
前記目標値設定手段は、前記内燃機関がクランキングされていないときには、前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2目標放電量との和を前記第1および第2蓄電手段の双方からの放電に許容される電力であるパワーリミット値に設定すると共に、前記内燃機関がクランキングされているときには、前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2放電許容電力との和を前記パワーリミット値に設定する手段であり、
前記電動機制御手段は、前記第1電動機により入力または出力されるパワーと前記第2電動機の出力パワーとの和が前記設定されたパワーリミット値を超えないように前記設定された前記第2電動機の目標トルクを補正すると共に、前記補正された目標トルクを出力するように前記第2電動機を制御する手段である、
ことを特徴とする。
内燃機関と、動力を入出力可能な第1電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記第1電動機の回転軸と駆動軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する動力分配手段と、前記駆動軸に動力を出力可能な第2電動機と、前記第1および第2電動機と接続される電力ラインに第1電圧変換手段を介して接続された第1蓄電手段と、前記電力ラインに第2電圧変換手段を介して接続された第2蓄電手段と、前記第1蓄電手段の状態に基づいて該第1蓄電手段の放電に許容される電力である第1放電許容電力を設定すると共に前記第2蓄電手段の状態に基づいて該第2蓄電手段の放電に許容される電力である第2放電許容電力を設定する放電許容電力設定手段と、前記駆動軸に要求される駆動力に基づいて前記第1電動機により入力または出力されるパワーと前記第2電動機の出力パワーとの和が前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2放電許容電力との和を超えないように前記第1および第2電動機の目標トルクを設定すると共に、前記設定された第1および第2電動機の目標トルクと前記第1および第2電動機の回転数とに基づく前記第1および第2蓄電手段への総要求放電量と所定の電力分担率とから前記第2蓄電手段の放電量の目標値である第2目標放電量を設定する目標値設定手段と、前記電力線における電圧が所定の目標電圧となるように前記第1電圧変換手段を制御すると共に前記第2蓄電手段から前記電力線に放電される電力が前記設定された第2目標放電量となるように前記第2電圧変換手段を制御する電圧変換制御手段と、前記設定された第1および第2電動機の目標トルクに基づいて該第1および第2電動機を制御する電動機制御手段と、を備えるハイブリッド車両において、
前記目標値設定手段は、前記内燃機関がクランキングされていないときには、前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2目標放電量との和を前記第1および第2蓄電手段の双方からの放電に許容される電力であるパワーリミット値に設定すると共に、前記内燃機関がクランキングされているときには、前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2放電許容電力との和を前記パワーリミット値に設定する手段であり、
前記電動機制御手段は、前記第1電動機により入力または出力されるパワーと前記第2電動機の出力パワーとの和が前記設定されたパワーリミット値を超えないように前記設定された前記第2電動機の目標トルクを補正すると共に、前記補正された目標トルクを出力するように前記第2電動機を制御する手段である、
ことを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両では、電力線における電圧が所定の目標電圧となるように第1電圧変換手段が制御されると共に第2蓄電手段から電力線に放電される電力が第1および第2蓄電手段への総要求放電量と所定の電力分担率とから設定される第2目標放電量となるように第2電圧変換手段が制御される。そして、第1電動機により内燃機関がクランキングされていないときには、第1蓄電手段の放電に許容される第1放電許容電力と第2目標放電量との和が第1および第2蓄電手段の双方からの放電に許容される電力であるパワーリミット値に設定されると共に、第1電動機により内燃機関がクランキングされているときには、第1放電許容電力と第2蓄電手段の放電に許容される第2放電許容電力との和がパワーリミット値に設定され、第1電動機により入力または出力されるパワーと第2電動機の出力パワーとの和がパワーリミット値を超えないように第2電動機の目標トルクが補正されると共に、補正された目標トルクを出力するように第2電動機が制御される。このように、第1電動機により内燃機関がクランキングされていないときにパワーリミット値を第1放電許容電力と第2目標放電量との和とすれば、パワーリミット値を第1および第2蓄電手段に対して実際に要求されている放電量に近づけて第1および第2蓄電手段の過放電をより適正に抑制することが可能となる。また、第1電動機により内燃機関がクランキングされているときにパワーリミット値を第1放電許容電力と第2放電許容電力との和とすれば、内燃機関の非クランキング時に比べてパワーリミット値を大きくすることができるので、内燃機関始動時に第2電動機の出力が必要以上に制限されないようにして内燃機関のクランキングに伴うショックを抑制すると共に走行用の動力を確保し、それにより内燃機関始動時のドライバビリティを良好に確保することが可能となる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両の概略構成図である。実施例のハイブリッド車両20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介してキャリアが接続されたプラネタリギヤ30と、プラネタリギヤ30のサンギアに接続された発電可能なモータMG1と、プラネタリギヤ30のリングギヤに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32に連結された減速ギヤ35と、この減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32に接続されたモータMG2と、リングギヤ軸32にギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して接続された駆動輪39a,39bと、モータMG1と電力ライン50との間に介設されたインバータ41と、モータMG2と電力ライン50との間に介設されたインバータ42と、インバータ41,42を介してモータMG1およびMG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40と、電力ライン50にマスタ側昇圧コンバータ55を介して接続された例えばリチウムイオン二次電池あるいはニッケル水素二次電池であるマスタバッテリ51と、電力ライン50に対してスレーブ側昇圧コンバータ56を介してマスタバッテリ51と並列に接続された例えばリチウムイオン二次電池あるいはニッケル水素二次電池であるスレーブバッテリ52と、マスタバッテリ51とスレーブバッテリ52を管理するバッテリ用制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)60と、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU60と通信しながら車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70と、を備える。
モータECU40は、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2といったモータMG1,MG2に関するデータを計算する。バッテリECU60は、マスタバッテリ51を管理するために、マスタバッテリ51の残容量SOCmを算出したり、残容量SOCmと所定の充放電制約とに基づいてマスタバッテリ51の充放電要求パワーPbm*を算出したり、マスタバッテリ51の残容量SOCmとマスタバッテリ51の温度とに基づいてマスタバッテリ51の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Winmとマスタバッテリ51の放電に許容される電力である第1放電許容電力としての出力制限Woutmを算出したりする。また、バッテリECU60は、スレーブバッテリ52を管理するために、スレーブバッテリ52の残容量SOCsを算出したり、残容量SOCsと所定の充放電制約とに基づいてスレーブバッテリ52の充放電要求パワーPbs*を算出したり、スレーブバッテリ52の残容量SOCsとスレーブバッテリ52の温度とに基づいてスレーブバッテリ52の充電に許容される電力である充電許容電力としての入力制限Winsを算出したり、スレーブバッテリ52の放電に許容される電力である第2放電許容電力としての出力制限Woutsを算出したりする。なお、入出力制限Winm,Wins,Woutm,Woutsは、マスタバッテリ51またはスレーブバッテリ52の温度から定まる入力制限または出力制限の基本値に残容量SOCmまたはSOCsから定まる出力制限用補正係数または入力制限用補正係数を乗じることにより設定可能である。
実施例のハイブリッド車両20においてイグニッションスイッチ80がオンされると、ハイブリッドECU70は、シフトレバー81のポジションを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションやアクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキポジション、車速センサ87からの車速V、更にはエンジンECU24やモータECU40、バッテリECU60からの信号などに基づいて車両全体を制御するのに必要な指令信号を生成する。
例えば実施例のハイブリッド車両20において運転者によりアクセルペダル83が踏み込まれているときには、ハイブリッドECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32に出力すべき要求トルクTr*を計算すると共に、次式(1)に従い車両全体に要求される要求パワーP*を計算する。ただし、式(1)中の“Gr”は減速ギヤ35のギヤ比、“Loss”はロスである。次に、エンジン22が運転されているときには、エンジン22を効率よく動作させるために予め定められた動作ラインと要求パワーP*とに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定すると共にエンジンECU24に送信し、設定した目標回転数Ne*を用いて次式(2)に従いモータMG1の目標回転数Nm1*を計算する。ただし、式(2)中の“ρ”はプラネタリギヤ30のギヤ比(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)である。さらに、計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づく次式(3)に従いモータMG1から出力すべきトルクの仮の値である仮モータトルクTm1tmpを計算する。式(3)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中の“k1”は比例項のゲインであり、“k2”は積分項のゲインである。続いて、次式(4)に従ってマスタバッテリ51およびスレーブバッテリ52の双方の充電に許容される電力としての総入力制限Winを計算すると共に、次式(5)に従ってマスタバッテリ51およびスレーブバッテリ52の双方の放電に許容される電力としての総出力制限Woutを計算する。そして、次式(6)および(7)の双方を満たすようにモータMG1から出力してもよいトルクの上下限値としてのトルク制限Tm1max,Tm1minを計算し、次式(8)に従いモータMG1の目標トルクであるトルク指令Tm1*を設定する。なお、エンジン22が運転されていないときには、目標回転数Ne*および目標トルクTe*を値0に設定すると共にエンジンECU24に送信し、モータMG1に対するトルク指令Tm1*を値0に設定する。モータMG1に対するトルク指令Tm1*を設定したならば、次式(9)に従いモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮モータトルクTm2tmpを計算する。そして、次式(10)および(11)に従いモータMG2から出力してもよいトルクの上下限値としてのトルク制限Tm2max,Tm2minを計算し、次式(12)に従いモータMG2の目標トルクであるトルク指令Tm2*を設定する。
P*=Tr*・Nm2/Gr-(Pbm*+Pbs*)+Loss …(1)
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) …(2)
Tm1tmp=-ρ/(1+ρ)・Te*+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt …(3)
Win=Winm+Wins …(4)
Wout=Woutm+Wouts …(5)
0≦-Tm1/ρ+Tm2・Gr≦Tr* …(6)
Win≦Tm1・Nm1+Tm2・Nm2≦Wout …(7)
Tm1*=max(min(Tm1tmp,Tm1max),Tm1min) …(8)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(9)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(10)
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(11)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) …(12)
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) …(2)
Tm1tmp=-ρ/(1+ρ)・Te*+k1・(Nm1*-Nm1)+k2・∫(Nm1*-Nm1)dt …(3)
Win=Winm+Wins …(4)
Wout=Woutm+Wouts …(5)
0≦-Tm1/ρ+Tm2・Gr≦Tr* …(6)
Win≦Tm1・Nm1+Tm2・Nm2≦Wout …(7)
Tm1*=max(min(Tm1tmp,Tm1max),Tm1min) …(8)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(9)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(10)
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(11)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) …(12)
こうしてモータMG1およびMG2に対するトルク指令Tm1*およびTm2*を設定した後、さらに、次式(13)に従いマスタバッテリ51およびスレーブバッテリ52から放電すべき電力である総要求電力Ptotalを計算する。ただし、式(13)中の“Pax”は、エアコン、オーディオ等の作動状態やライトの点灯状態等に応じて定まる補機要求電力である。次に、マスタバッテリ51の残容量SOCmとスレーブバッテリ52の残容量SOCsとに基づいて総要求電力Ptotalに対するマスタバッテリ51の放電量の仮の割合である仮電力分配率Rtmpをマスタバッテリ51の残容量SOCmがスレーブバッテリ52の残容量SOCsよりも大きいほど大きくなるように設定する。また、次式(14)および(15)の双方を満たすように総要求電力Ptotalに対するマスタバッテリ51の放電量の割合である電力分配率Rの上下限値であるRmax,Rminを計算し、次式(16)に従い総要求電力Ptotalに対するマスタバッテリ51の放電量の割合である電力分配率R*を設定する。そして、式(17)に従いスレーブバッテリ52の放電量の目標値である目標スレーブ電力Pbs*を計算する。
Ptotal=Tm1*・Nm1+Tm2*・Nm2+Pax …(13)
Winm≦Ptotal・R≦Woutm …(14)
Wins≦Ptotal・(1-R)≦Wouts …(15)
R*=max(min(Rtmp,Rmax),Rmin) …(16)
Pbs*=Potal・(1-R*) …(17)
Winm≦Ptotal・R≦Woutm …(14)
Wins≦Ptotal・(1-R)≦Wouts …(15)
R*=max(min(Rtmp,Rmax),Rmin) …(16)
Pbs*=Potal・(1-R*) …(17)
スレーブバッテリ52の放電量の目標値である目標スレーブ電力Pbs*を計算したならば、ハイブリッドECU70は、マスタバッテリ51の出力制限Woutmとスレーブバッテリ52の出力制限Woutsと目標スレーブ電力Pbs*とエンジン22の状態とに基づいてマスタバッテリ51およびスレーブバッテリ52の双方の放電に許容される電力としてのパワーリミット値Plimを設定すると共に、設定したパワーリミット値Plimと総入力制限WinとモータMG1およびMG2の目標トルクであるトルク指令Tm1*およびTm2*と目標スレーブ電力Pbs*とをモータECU40に送信する。なお、このパワーリミット値Plimの設定の詳細については後述する。
パワーリミット値Plimと総入力制限Winとトルク指令Tm1*およびTm2*と目標スレーブ電力Pbs*とを受け取ったモータECU40は、その時点でのモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2と総入力制限Winとを用いると共に、仮モータトルクTm1tmpをトルク指令Tm1*で、仮モータトルクTm2tmpをトルク指令Tm2*で、総出力制限Woutをパワーリミット値Plimでそれぞれ置き換え、上述した式(6)〜(8),(10)〜(12)と同様の計算を実行してトルク指令Tm1*およびTm2*を再設定する。これにより、直近に計算されたモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2や、パワーリミット値Plimの値によっては、これらのパラメータに基づいてモータMG1,MG2の目標トルクであるトルク指令Tm1*,Tm2*が変更(補正)される。そして、モータMG1,MG2が再設定されたトルク指令Tm1*,Tm2*に応じたトルクを出力するようにインバータ41および42をスイッチング制御する。また、電力ライン50の電圧がモータMG1の目標動作点に対応した電圧の絶対値とモータMG2の目標動作点に対応した電圧の絶対値との大きい方に設定される目標昇圧後電圧となるようにマスタ側昇圧コンバータ55を制御すると共に、スレーブバッテリ52から電力ライン50に放電される電力が目標スレーブ電力Pbs*となるようにスレーブ側昇圧コンバータ56を制御する。
なお、ハイブリッドECU70は、エンジン22の運転が停止されているときに、要求パワーP*や車速V、残容量SOCmと残容量SOCsとの和といったパラメータとそれぞれについて設定される閾値とを比較するエンジン始動判定を実行する。そして、ハイブリッドECU70は、エンジン始動判定の結果、エンジン22を始動すべきと判断した場合には、図示しないエンジン始動時駆動制御ルーチンを実行する。エンジン始動時駆動制御ルーチンは、エンジン22をクランキングするようにモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にエンジン22のクランキングに伴ってリングギヤ軸32に作用する駆動トルクに対する反力としてのトルクをキャンセルしつつ要求トルクTr*に基づくトルクがリングギヤ軸32に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する処理である。また、モータECU40は、ハイブリッドECU70により設定されたトルク指令Tm1*,Tm2*に従ってインバータ41,42をスイッチング制御し、エンジンECU24は、所定のタイミングで燃料噴射および点火が開始されるようにエンジン22を制御する。
次に、図2を参照しながら、上述のパワーリミット値の設定手順について説明する。 図2は、ハイブリッドECU70により実行されるパワーリミット値設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図2に示すパワーリミット値設定ルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70は、モータMG1によるエンジン22のクランキングが実行されていないときに値0に設定されると共にエンジン22のクランキングが実行されているときに値1に設定されるクランキングフラグFencやマスタバッテリ51の出力制限Woutm、スレーブバッテリ52の出力制限Wouts、目標スレーブ電力Pbs*といったパワーリミット値Plimの設定に必要なデータの入力処理を実行し(ステップS100)、その後、クランキングフラグFencが値0であるか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110においてクランキングフラグFencが値0であると判定した場合には、パワーリミット値切替フラグFplmを値0に設定し(ステップS120)、クランキングフラグFencが値1であると判定した場合には、パワーリミット値切替フラグFplmを値1に設定する(ステップS130)。次いで、パワーリミット値切替フラグFplmが値0であるか否かを判定する(ステップS140)。パワーリミット値切替フラグFplmが値0であると判定した場合には、マスタバッテリ51の出力制限Woutmとスレーブバッテリ52の目標スレーブ電力Pbs*との和をパワーリミット値Plimに設定し(ステップS150)、パワーリミット値切替フラグFplmが値1であると判定した場合には、マスタバッテリ51の出力制限Woutmとスレーブバッテリ52の出力制限Woutsとの和をパワーリミット値Plimに設定する(ステップS160)。こうしてステップS150またはS160の計算が実行されると、本ルーチンが終了する。なお、パワーリミット値切替フラグFplmの切り替わり時には、パワーリミット値の急変によるモータMG1,MG2の出力の急変に伴うドライバビリティの悪化等を抑制するために、パワーリミット値がステップ的に変化することなく緩変化するようにレートリミット処理等を実行してもよい。
以上説明した実施例のハイブリッド車両20のように、モータMG1によるエンジン22のクランキングが実行されていないときに、マスタバッテリ51の出力制限Woutmとスレーブバッテリ52の目標スレーブ電力Pbs*との和をパワーリミット値Plimとすれば、パワーリミット値Plimをマスタバッテリ51およびスレーブバッテリ52に対して実際に要求されている放電量に近づけてマスタバッテリ51およびスレーブバッテリ52の過放電をより適正に抑制することが可能となる。また、モータMG1によるエンジン22のクランキングが実行されているときに、マスタバッテリ51の出力制限Woutmとスレーブバッテリ52の出力制限Woutsとの和をパワーリミット値Plimとすれば、エンジン22の非クランキング時に比べてパワーリミット値Plimを大きくすることができるので、エンジン22の始動時にモータMG1,MG2の出力が必要以上に制限されないようにすることができる。すなわち、エンジン22の始動時にモータMG1およびMG2の出力が必要以上に制限されないようにすることで、モータMG1により良好にエンジン22をクランキングすると共に、モータMG1によるエンジン22のクランキングに伴ってリングギヤ軸32に作用する反力をモータMG2によって良好にキャンセルしてショックの発生を抑制しつつモータMG2からの走行用トルクの出力を良好に確保することが可能となり、それによりエンジン22の始動時のドライバビリティを良好に確保することができる。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車両の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、32 リングギヤ軸、35 減速ギヤ、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a〜39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 電力ライン、51 マスタバッテリ、52 スレーブバッテリ、55 マスタ側昇圧コンバータ、56 スレーブ側昇圧コンバータ、60 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルストロークセンサ、87 車速センサ。
Claims (1)
- 内燃機関と、動力を入出力可能な第1電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記第1電動機の回転軸と駆動軸との3軸に接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づく動力を残余の軸に入出力する動力分配手段と、前記駆動軸に動力を出力可能な第2電動機と、前記第1および第2電動機と接続される電力ラインに第1電圧変換手段を介して接続された第1蓄電手段と、前記電力ラインに第2電圧変換手段を介して接続された第2蓄電手段と、前記第1蓄電手段の状態に基づいて該第1蓄電手段の放電に許容される電力である第1放電許容電力を設定すると共に前記第2蓄電手段の状態に基づいて該第2蓄電手段の放電に許容される電力である第2放電許容電力を設定する放電許容電力設定手段と、前記駆動軸に要求される駆動力に基づいて前記第1電動機により入力または出力されるパワーと前記第2電動機の出力パワーとの和が前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2放電許容電力との和を超えないように前記第1および第2電動機の目標トルクを設定すると共に、前記設定された第1および第2電動機の目標トルクと前記第1および第2電動機の回転数とに基づく前記第1および第2蓄電手段への総要求放電量と所定の電力分担率とから前記第2蓄電手段の放電量の目標値である第2目標放電量を設定する目標値設定手段と、前記電力線における電圧が所定の目標電圧となるように前記第1電圧変換手段を制御すると共に前記第2蓄電手段から前記電力線に放電される電力が前記設定された第2目標放電量となるように前記第2電圧変換手段を制御する電圧変換制御手段と、前記設定された第1および第2電動機の目標トルクに基づいて該第1および第2電動機を制御する電動機制御手段と、を備えるハイブリッド車両において、
前記目標値設定手段は、前記内燃機関がクランキングされていないときには、前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2目標放電量との和を前記第1および第2蓄電手段の双方からの放電に許容される電力であるパワーリミット値に設定すると共に、前記内燃機関がクランキングされているときには、前記設定された第1放電許容電力と前記設定された第2放電許容電力との和を前記パワーリミット値に設定する手段であり、
前記電動機制御手段は、前記第1電動機により入力または出力されるパワーと前記第2電動機の出力パワーとの和が前記設定されたパワーリミット値を超えないように前記設定された前記第2電動機の目標トルクを補正すると共に、前記補正された目標トルクを出力するように前記第2電動機を制御する手段である、
ことを特徴とするハイブリッド車両。
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