図1は、本発明の第1実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42を制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えば定格電圧が150Vや200V,250Vなどのリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、外部機器(車両の構成要素でない機器、例えば、電化製品など)のプラグを差込可能なコンセント60と、コンセント60に外部機器のプラグが差し込まれているとき(コンセント60に外部機器が接続されているとき)にバッテリ50やモータMG1,MG2が接続された駆動電力系の直流電力を所定電圧(例えば100Vなど)の交流電力に変換して外部機器に供給可能なDC/ACインバータ62と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサからのクランクポジションθcrやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Tw,燃焼室内に取り付けられた圧力センサからの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジションθca,スロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットルポジションTP,吸気管に取り付けられたエアフローメータからの吸入空気量Qa,同じく吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温Ta,排気系に取り付けられた空燃比センサからの空燃比AF,同じく排気系に取り付けられた酸素センサからの酸素信号O2などが入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁への駆動信号やスロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号,吸気バルブの開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転角速度ωm1,ωm2や回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧Vbやバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりHVECU70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,外部機器への電力供給の優先を指示する外部供給優先スイッチ89からのスイッチ信号などが入力ポートを介して入力されている。HVECU70からは、DC/ACインバータ62への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。HVECU70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、第1実施例のハイブリッド自動車20では、シフトポジションセンサ82により検出するシフトポジションSPとして、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション),後進走行用のリバースポジション(Rポジション),中立のニュートラルポジション(Nポジション),前進走行用のドライブポジション(Dポジション)などが用意されている。
こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2との運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようエンジン22とモータMG1とモータMG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、HVECU70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrv*を計算すると共に、計算した走行用パワーPdrv*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じたパワーを、車両に要求される車両要求パワーとして、エンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*に設定する。ここで、要求パワーPe*は、エンジン22から出力可能な最大パワーPemax(例えば、数十kW〜100kW程度など)以下の範囲で設定される。そして、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によってモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22を効率よく運転しながらバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸36に出力して走行することができる。このエンジン運転モードでは、エンジン22の要求パワーPe*がエンジン22を運転停止した方がよい値として定められた停止用閾値Pstop以下に至ったときなどにエンジン22の運転を停止してモータ運転モードに移行する。
モータ運転モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22を運転停止した状態でバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸36に出力して走行することができる。このモータ運転モードでは、要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nrを乗じて得られる走行用パワーPdrv*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*を減じたパワーを車両に要求される車両要求パワーとしてエンジン22の要求パワーPe*に設定し、設定したエンジン22の要求パワーPe*がエンジン22を始動した方がよい値として定められた始動用閾値Pstart以上に至ったときなどにエンジン22を始動してエンジン運転モードに移行する。
また、第1実施例のハイブリッド自動車20では、停車時でバッテリ50を充電していないときにバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Slo(例えば、30%や35%など)以上のときにはエンジン22を運転停止する(またはその状態を保持する)。なお、この場合、車両に要求される車両要求パワーは値0であり、エンジン22の要求パワーPe*は値0となる。
一方、停車時でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Slo未満のときには、エンジン22が運転停止されていれば始動し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shi(例えば、45%や50%など)以上となるまでバッテリ50を充電し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shi以上となるとエンジン22を運転停止する。
停車時にバッテリ50を充電する際には、HVECU70は、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shi未満であることを条件として、バッテリ50の蓄電割合SOCや入力制限Winなどに基づいてバッテリ50の充電用パワーPch(例えば、数kW〜十数kW程度など)を設定すると共に設定した充電用パワーPchを車両に要求される車両要求パワーとしてエンジン22の要求パワーPe*に設定し、設定した要求パワーPe*と上述の動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によってモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクを打ち消すためのトルク(以下、キャンセルトルクという)をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22からのパワーを用いてモータMG1によって発電を行なってバッテリ50を充電することができる。なお、停車時としては、シフトポジションSPが駐車ポジションのときには図示しないパーキングロック機構によって駆動輪38a,38bがロックされていると考えられ、シフトポジションSPがドライブポジションやリバースポジションのときにはブレーキペダルポジションBPに応じた制動力が図示しないブレーキ装置によって駆動輪38a,38bに作用していると考えられることから、即ち、車両の停車が保持されていると考えられることから、キャンセルトルクをモータMG2から出力しないものとしてもよい。
次に、こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、コンセント60に外部機器が接続されているときの動作について説明する。図2は、HVECU70により実行されるDC/ACインバータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、コンセント60に外部機器が接続されているときに繰り返し実行される。
DC/ACインバータ制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、まず、エンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を入力し(ステップS100)、走行時か停車時かを判定する(ステップS110)。そして、走行時には、外部機器への電力供給を許可するか禁止するかを判定するのに用いる閾値Pref1に比較的小さな所定値P1(例えば、数kW程度など)を設定し(ステップS120)、停車時には、閾値Pref1に所定値P1より大きな所定値P2(例えば、10kW程度など)を設定する(ステップS130)。
続いて、要求パワーPe*を閾値Pref1と比較し(ステップS140)、要求パワーPe*が閾値Pref1未満のときには、外部機器への電力供給を許可すると判定し(ステップS150)、コンセント60に接続されている外部機器が所定電力W1(例えば1.4kWや1.5kW,1.6kWなど)以下で使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。一方、要求パワーPe*が閾値Pref1以上のときには、外部機器への電力供給を禁止すると判定し(ステップS170)、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。
このように、第1実施例では、走行時には比較的小さな所定値Pref1を閾値Pref1に設定し、停車時には所定値P1より大きな所定値P2を閾値Pref1に設定することにより、走行時には外部機器への電力供給が比較的禁止されやすくなるようにし、停車時には外部機器への電力供給が比較的許可されやすくなるようにするものとした。これは以下の理由による。まず、走行時には、外部機器への電力供給のために走行性能が低下する、という状況が生じるのを抑制するのが好ましい。特に、リチウムイオン二次電池などをバッテリ50に用いる場合、バッテリ50が低温のときやバッテリ50の蓄電割合SOCが低いときには、バッテリ50の出力制限Woutが比較的大きく制限される(絶対値が小さくなる)ことによってモータMG2からの出力が制限されて走行性能が低下しやすいため、これをできるだけ抑制するのが好ましい。一方、停車時には、走行のためのパワーが不要であり、走行性能を考慮する必要がないため、バッテリ50などにおいて、外部機器への電力供給のための負担が過剰になる可能性が低い。このため、外部機器への電力供給をより行なえるようにするのが好ましい。実施例では、これらを踏まえて、停車時には、走行時の所定値P1より大きな所定値P2を閾値Pref1に設定するものとした。これにより、外部機器への電力供給を行なうか否かを走行時か停止時かに応じてより適正に設定することができる。具体的には、走行時には、外部機器への電力供給のためにモータMG2からの出力が制限されるのを抑制することができ、走行性能が低下するのを抑制することができる。また、停車時には、外部機器への電力供給が制限されるのを抑制することができる。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20によれば、コンセント60に外部機器が接続されているときに、車両に要求される車両要求パワーが設定されるエンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref1未満のときには、コンセント60に接続されている外部機器が所定電力W1以下で使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御し、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref1以上のときには、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)するものにおいて、停車時には、走行時の所定値P1より大きな所定値P2を設定するから、外部機器への電力供給を行なうか否かを走行時か停止時かに応じてより適正に判定することができ、外部機器への電力供給を状況に応じたより適正なものとすることができる。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、コンセント60に外部機器が接続されているときにおいて、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref1以上のときには、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)するものとしたが、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref1未満のときの所定電力W1(例えば1.4kWや1.5kW,1.6kWなど)より小さな所定電力W2(例えば、0.9kWや1.0kW,1.1kWなど)以下で外部機器が使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御するものとしてもよい。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、コンセント60に外部機器が接続されているときにおいて、エンジン22の要求パワーPe*と走行時か停車時かに応じて設定した閾値Pref1との大小関係に応じて外部機器への電力供給を許可するか禁止するかを判定するものとしたが、エンジン22の要求パワーPe*と走行時か停車時かに応じて設定した閾値Pref1との大小関係に加えて、バッテリ50の電池温度Tbと走行時か停車時かに応じて設定した閾値Tbref1との大小関係や、バッテリ50の蓄電割合SOCと走行時か停車時かに応じて設定した閾値Sref1との大小関係なども考慮して外部機器への電力供給を許可するか禁止するかを判定するものとしてもよい。
次に、本発明の第2実施例としてのハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bは、図1を用いて説明した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしている。したがって、重複した説明を回避するために、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成についての詳細な説明は省略する。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、HVECU70は、要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nrを乗じて走行に要求される走行用パワーPdrv*を計算すると共に計算した走行用パワーPdrv*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定するのに代えて、図3の要求パワー設定ルーチンを用いて、外部機器への電力供給を行なっているか否かに応じて要求パワーPe*を設定する。
図3の要求パワー設定ルーチンでは、HVECU70は、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に要求トルクTr*に駆動軸36の回転数Nrを乗じて走行用パワーPdrv*を計算すると(ステップS200)、外部機器への電力供給を行なっているか否かを判定する(ステップS210)。このステップS210の判定は、コンセント60に外部機器が接続されているか否かや、DC/ACインバータ62よりコンセント60側に取付られた図示しない電圧センサや電流センサなどによる検出値などを用いたりすることによって行なうことができる。
外部機器への電力供給を行なっていないと判定されたときには、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に、走行用パワーPdrv*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*を減じたもの(Pdrv*−Pb*)をエンジン22の要求パワーPe*に設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。こうしてエンジン22の要求パワーPe*を設定すると、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に、エンジン22を効率よく運転しながら(且つエンジン22から要求パワーPe*が出力されながら)バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸36に出力されるよう、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する。
一方、外部機器への電力供給を行なっていると判定されたときには、走行用パワーPdrv*から充放電要求パワーPb*を減じて外部機器の作動用のパワーPhを加えたもの(Pdrv*−Pb*+Ph)をエンジン22の要求パワーPe*に設定して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。ここで、外部機器の作動用のパワーPhは、DC/ACインバータ62よりコンセント60側に取付られた図示しない電圧センサや電流センサなどによる検出値から得られる電力などを用いるものとしたり、上述の所定電力W1(例えば1.4kWや1.5kW,1.6kWなど)を用いるものとしたりすることができる。このように、パワー(Pdrv*−Pb*+Ph)をエンジン22の要求パワーPe*に設定することにより、走行用パワーPdrv*や充放電要求パワーPb*の他に外部機器への電力供給のためのパワーもエンジン22から出力することになるから、外部機器への電力供給を行なっているときに、モータMG2からのパワーや外部機器への供給電力がバッテリ50の出力制限Wout(具体的には、バッテリ50の出力制限WoutとモータMG1の発電電力との和)によって制限されるのを抑制することができ、走行性能が低下するのを抑制することができると共に外部機器への電力供給が制限されるのを抑制することができる。
第2実施例のハイブリッド自動車20によれば、外部機器への電力供給を行なっているときには、外部機器への電力供給を行なっていないときに比して大きなパワーをエンジン22の要求パワーPe*に設定し、設定した要求パワーPe*がエンジン22から出力されながら走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するから、外部機器への電力供給を行なっているときに、走行性能が低下するのを抑制することができると共に外部機器への電力供給が制限されるのを抑制することができる。即ち、外部機器への電力供給を状況に応じたより適正なものとすることができる。
第2実施例のハイブリッド自動車20では、外部機器への電力供給を行なっているときには、外部機器への電力供給を行なっていないときに比して大きなパワーをエンジン22の要求パワーPe*に設定すると共に設定した要求パワーPe*がエンジン22から出力されるようエンジン22を制御するものとしたが、これに加えて、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に、要求パワーPe*に応じて外部機器への電力供給を許可するか禁止するかを判定するものとしてもよい。この場合のDC/ACインバータ制御ルーチンの一例を図4に示す。このルーチンは、コンセント60に外部機器が接続されているときに繰り返し実行される。図4のDC/ACインバータ制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、図3の要求パワー設定ルーチンで設定したエンジン22の要求パワーPe*(=Pdrv*−Pb*+Ph)を入力し(ステップS300)、入力したエンジン22の要求パワーPe*を閾値Pref2と比較する(ステップS310)。ここで、閾値Pref2は、例えば、エンジン22から出力可能な最大パワーPemax(例えば、数十kW〜100kW程度など)の50%や60%,70%などを用いることができる。そして、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref2未満のときには、外部機器への電力供給を許可すると判定し(ステップS320)、コンセント60に接続されている外部機器が所定電力W1(例えば1.4kWや1.5kW,1.6kWなど)以下で使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。一方、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref2以上のときには、外部機器への電力供給を禁止すると判定し(ステップS340)、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)して(ステップS350)、本ルーチンを終了する。外部機器への電力供給を行なっているときに運転者がアクセルペダル83を大きく踏み込んだときなどには、外部機器への電力供給を行なっていないときに比して大きなパワーをエンジン22の要求パワーPe*に設定したとしても、エンジン22の応答遅れなどによって若干のモタツキ感を運転者に感じさせる場合がある。したがって、この変形例では、外部機器への電力供給を行なっているときには、外部機器への電力供給を行なっていないときに比して大きなパワーをエンジン22の要求パワーPe*に設定するのに加えて、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref2より以上のときに外部機器への電力供給を禁止するものとした。これにより、加速時に、モタツキ感を運転者に与えるのを抑制することができる。
この変形例では、コンセント60に外部機器が接続されているときにおいて、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref2以上のときには、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)するものとしたが、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref2未満のときの所定電力W1(例えば1.4kWや1.5kW,1.6kWなど)より小さな所定電力W2(例えば、0.9kWや1.0kW,1.1kWなど)以下で外部機器が使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御するものとしてもよい。
また、この変形例では、コンセント60に外部機器が接続されているときにおいて、エンジン22の要求パワーPe*を用いて外部機器への電力供給を許可するか禁止するかを判定するものとしたが、エンジン22の要求パワーPe*に加えてまたは代えて、アクセル開度Accや要求トルクTr*,走行用パワーPdrv*,走行用パワーPdrv*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*を減じたもの(Pdrv*−Pb*)などを用いて外部機器への電力供給を許可するか禁止する(制限する)かを判定するものとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、外部供給優先スイッチ89がオンのときの動作については説明していないが、コンセント60に外部機器が接続されているときに外部供給優先スイッチ89がオンのときには、他のパラメータ(走行時か停車時かや、エンジン22の要求パワーPe*など)に拘わらず、コンセント60に接続されている外部機器が所定電力W1以下で使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御する、即ち、外部機器への電力供給を優先する(所定電力W1から制限しない)ものとしてもよい。こうすれば、ユーザの意図を反映して外部機器への電力供給を行なうことができる。これは、外部機器が継続して作動させる必要がある機器である場合などに特に有効である。
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、モータMG2からの動力を駆動軸36に出力するものとしたが、図5の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bが接続された車軸)とは異なる車軸(図5における車輪39a,39bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪38a,38bに接続された駆動軸36に出力するものとしたが、図6の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフトに接続されたインナーロータ232と駆動輪38a,38bに動力を出力する駆動軸36に接続されたアウターロータ234とを有しエンジン22からの動力の一部を駆動軸36に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例および第2実施例とこれらに対応する本発明の第1および第2のハイブリッド自動車との関係として、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、モータMG2が「モータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、コンセント60とDC/ACインバータ62とが「外部供給装置」に相当する。
第1実施例と本発明の第1のハイブリッド自動車との関係では、コンセント60に外部機器が接続されているときに、エンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*が閾値Pref1未満のときには、コンセント60に接続されている外部機器が所定電力W1以下で使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御し、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref1以上のときには、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)するものにおいて、停車時には、走行時の所定値P1より大きな所定値P2を設定するHVECU70が「制御手段」に相当する。
第2実施例と本発明の第2のハイブリッド自動車との関係では、外部機器への電力供給を行なっているときには、外部機器への電力供給を行なっていないときに比して大きなパワーをエンジン22の要求パワーPe*に設定し、設定した要求パワーPe*がエンジン22から出力されながら走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせが「制御手段」に相当する。
ここで、「エンジン」としては、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22に限定されるものではなく、水素エンジンなど、走行用の動力を出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、エンジンからの動力を用いて発電可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「モータ」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、走行用の動力を入出力可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「バッテリ」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など、発電機およびモータが接続された駆動電力系に接続されたものであれば如何なるものとしても構わない。「外部供給装置」としては、コンセント60とDC/ACインバータ62とに限定されるものではなく、外部機器を接続可能な接続部を有し外部機器が接続部に接続されているときに駆動電力系から外部機器に電力を供給可能なものであれば如何なるものとしても構わない。
本発明の第1のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、コンセント60に外部機器が接続されているときに、エンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*が閾値Pref1未満のときには、コンセント60に接続されている外部機器が所定電力W1以下で使用可能となるようDC/ACインバータ62を制御し、エンジン22の要求パワーPe*が閾値Pref1以上のときには、コンセント60に接続されている外部機器への電力供給が行なわれないようDC/ACインバータ62を制御(停止)するものにおいて、停車時には、走行時の所定値P1より大きな所定値P2を設定するものに限定されるものではなく、外部機器が接続部に接続されているときにおいて、車両に要求される車両要求パワーが閾値以上のときには、車両要求パワーが閾値未満のときに比して駆動電力系から外部機器への電力供給が制限されるよう外部供給装置を制御し、閾値は、停車時に、走行時に比して大きなパワーが用いられてなる、ものであれば如何なるものとしても構わない。
本発明の第2のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットによって構成されるものなどとしてもよい。また、この「制御手段」としては、部機器への電力供給を行なっているときには、外部機器への電力供給を行なっていないときに比して大きなパワーをエンジン22の要求パワーPe*に設定し、設定した要求パワーPe*がエンジン22から出力されながら走行するようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するものに限定されるものではなく、走行時において、外部機器が接続部に接続されているときには、外部機器が接続部に接続されていないときに比して大きなパワーがエンジンから出力されながら走行するようエンジンと発電機とモータとを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。