JP2013047059A - ハイブリッド自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行中に複数のモータを効率よく冷却する。
【解決手段】エンジン回転数Neが所定回転数Neref以下の場合、モータ温度tm1が所定温度tref1以上で且つモータ温度tm2が所定温度tref2未満であるかモータ温度tm1が所定温度tref1以上で且つモータ温度tm1がモータ温度tm2よりも高いかのいずれかであるときには、要求パワーPe*を効率よくエンジンから出力するための運転ポイントに対してパワーを維持したまま回転数を所定回転数ΔNeだけ上昇させてエンジンを運転し、モータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm1が所定温度tref1未満であるかモータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm2がモータ温度tm1以下かのいずれかであるときには、上述した運転ポイントに対してトルクを維持したまま回転数を所定回転数ΔNeだけ上昇させてエンジンを運転する。
【選択図】図3
【解決手段】エンジン回転数Neが所定回転数Neref以下の場合、モータ温度tm1が所定温度tref1以上で且つモータ温度tm2が所定温度tref2未満であるかモータ温度tm1が所定温度tref1以上で且つモータ温度tm1がモータ温度tm2よりも高いかのいずれかであるときには、要求パワーPe*を効率よくエンジンから出力するための運転ポイントに対してパワーを維持したまま回転数を所定回転数ΔNeだけ上昇させてエンジンを運転し、モータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm1が所定温度tref1未満であるかモータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm2がモータ温度tm1以下かのいずれかであるときには、上述した運転ポイントに対してトルクを維持したまま回転数を所定回転数ΔNeだけ上昇させてエンジンを運転する。
【選択図】図3
Description
本発明は、エンジンと、第1のモータと、前記エンジンの出力軸と前記第1のモータの回転軸と車軸側とに接続された遊星歯車機構と、前記車軸側に動力を入出力可能な第2のモータと、前記第1および第2のモータと電力をやり取りする二次電池と、前記エンジンの動力により作動して前記第1および第2のモータに冷却媒体を供給するポンプと、前記エンジンが所定の動作ライン上のトルクおよび回転数からなる目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクにより走行するよう前記エンジンと前記第1および第2のモータとを制御する制御手段とを備えるハイブリッド自動車に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンと、二つのモータMG1,MG2と、エンジンから発生した駆動力を車輪側とモータMG1側とに分配する遊星歯車機構と、エンジンの出力軸と同軸上に配設されエンジントルクを受けて作動する機械式オイルポンプと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、モータMG1,MG2の発熱量を推定し、推定した発熱量に基づいてモータMG1,MG2の冷却に必要な油量(冷却必要油量)を推定し、オイルポンプの吐出量が冷却必要油量となるようエンジンの回転数を制御している。
上述したハイブリッド自動車では、二つのモータMG1,MG2はそれぞれ異なる動作点(回転数とトルク)で駆動されるから、発熱量は互いに異なる。このため、モータMG1,MG2のうち一方の発熱量が他方の発熱量に比して大幅に大きいときには、発熱量が大きい方のモータに合わせて冷却必要油量を設定すると、冷却必要油量が多くなり、エンジンの回転数を大きく上昇させなければならない。この場合、エンジンは効率の良い運転ポイントから大きく離れた運転ポイントで運転されることになるため、燃費が悪化してしまう。一方、発熱量が小さい方のモータに合わせて冷却必要油量を設定すると、冷却必要油量は少なくできるが、発熱量が大きい方のモータを十分に冷却することができない。
本発明のハイブリッド自動車は、複数のモータを効率良く冷却させることを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
エンジンと、第1のモータと、前記エンジンの出力軸と前記第1のモータの回転軸と車軸側とに接続された遊星歯車機構と、前記車軸側に動力を入出力可能な第2のモータと、前記第1および第2のモータと電力をやり取りする二次電池と、前記エンジンの動力により作動して前記第1および第2のモータに冷却媒体を供給するポンプと、前記エンジンが所定の動作ライン上のトルクおよび回転数からなる目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクにより走行するよう前記エンジンと前記第1および第2のモータとを制御する制御手段とを備えるハイブリッド自動車において、
前記制御手段は、前記エンジンの回転数の上昇により前記第1および第2のモータの冷却が促進される場合、前記第1のモータの温度が前記第2のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントを前記エンジンの回転数が上昇し且つ前記第2のモータよりも前記第1のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更し、前記第2のモータの温度が前記第1のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントを前記エンジンの回転数が上昇し且つ前記第1のモータよりも前記第2のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更する手段である
ことを要旨とする。
エンジンと、第1のモータと、前記エンジンの出力軸と前記第1のモータの回転軸と車軸側とに接続された遊星歯車機構と、前記車軸側に動力を入出力可能な第2のモータと、前記第1および第2のモータと電力をやり取りする二次電池と、前記エンジンの動力により作動して前記第1および第2のモータに冷却媒体を供給するポンプと、前記エンジンが所定の動作ライン上のトルクおよび回転数からなる目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクにより走行するよう前記エンジンと前記第1および第2のモータとを制御する制御手段とを備えるハイブリッド自動車において、
前記制御手段は、前記エンジンの回転数の上昇により前記第1および第2のモータの冷却が促進される場合、前記第1のモータの温度が前記第2のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントを前記エンジンの回転数が上昇し且つ前記第2のモータよりも前記第1のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更し、前記第2のモータの温度が前記第1のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントを前記エンジンの回転数が上昇し且つ前記第1のモータよりも前記第2のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更する手段である
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、エンジンと、第1のモータと、エンジンの出力軸と第1のモータの回転軸と車軸側とに接続された遊星歯車機構と、車軸側に動力を入出力可能な第2のモータと、エンジンの動力により作動して第1および第2のモータに冷却媒体を供給するポンプと、を備え、エンジンが所定の動作ライン上のトルクおよび回転数からなる目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクにより走行するようエンジンと第1および第2のモータとを制御するものにおいて、エンジンの回転数の上昇により第1および第2のモータの冷却が促進される場合、第1のモータの温度が第2のモータの温度よりも高いときには目標運転ポイントをエンジンの回転数が上昇し且つ第2のモータよりも第1のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更し、第2のモータの温度が第1のモータの温度よりも高いときには目標運転ポイントをエンジンの回転数が上昇し且つ第1のモータよりも第2のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更する。これにより、二つのモータを効率良く冷却させることができる。
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記第1のモータの温度が前記第2のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントをパワーを維持したまま回転数を上昇させた運転ポイントに変更し、前記第2のモータの温度が前記第1のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントをトルクを維持したまま回転数を上昇させた運転ポイントに変更する手段であるものとすることもできる。こうすれば、二つのモータをさらに効率良く冷却することができる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記第2のモータの温度が前記第1のモータの温度よりも高いときには、前記二次電池の蓄電割合が所定割合以下であることを条件として、前記目標運転ポイントをトルクを維持したまま回転数を上昇させた運転ポイントに変更する手段であるものとすることもできる。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記目標運転ポイントの変更前後における前記第1および第2のモータの冷却能力の増加分と該第1および第2のモータの発熱量の増加分とを予測し、前記第1および第2のモータの冷却能力の増加分が該第1および第2のモータの発熱量の増加分を上回るときに、前記エンジンの回転数の上昇により前記第1および第2のモータの冷却が促進されると判断して、前記目標運転ポイントを変更する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記目標運転ポイントの変更前後における前記エンジンの回転数に基づいて前記第1および第2のモータの冷却能力の増加分を予測し、前記目標運転ポイントの変更前後における前記第1および第2のモータが駆動すべき回転数およびトルクに基づいて該第1および第2のモータの発熱量の増加分を予測する手段であるものとすることもできる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという。)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪62a,62bにデファレンシャルギヤ60を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、モータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという。)40と、インバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、モータMG1,MG2を冷却する冷却装置60と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという。)70と、を備える。
冷却装置60は、冷却油によりモータMG1,MG2を冷却する装置として構成されており、エンジン22の動力により作動しオイルパン62に貯留されている冷却油を吸引してモータMG1,MG2に供給する機械式オイルポンプ64と、機械式オイルポンプ64に吸引される冷却油を冷却するオイルクーラ66と、を備える。なお、機械式オイルポンプ64からモータMG1,MG2に供給された冷却油は、熱交換によってモータMG1,MG2を冷却した後、再びオイルパン62に貯留される。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えば、クランクシャフトの回転位置を検出するクランクポジションセンサからのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Tw,燃焼室内に取り付けられた圧力センサからの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジション,スロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットルポジションSP,吸気管に取り付けられたエアフローメータからの吸入空気量Qa,同じく吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温Ta,排気系に取り付けられた空燃比センサからの空燃比AF,同じく排気系に取り付けられた酸素センサからの酸素信号O2などが入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁への駆動信号や、スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号、吸気バルブの開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフトに取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフトの回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流,モータMG1,MG2の温度を各々検出する温度センサ45,46からのモータ温度tm1,tm2などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチングするためのスイッチング制御信号が出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリECU52は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74やデータを一時的に記憶するRAM76、入出力ポート、通信ポートを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,冷却油の温度を検出する温度センサ68からの冷却油温toなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸32に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸32に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸32に出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*に駆動軸32の回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPdrvを計算すると共に計算した走行用パワーPdrvからバッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定する。続いて、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力するための運転ポイントであるエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。ここで、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、図2に示すように、要求パワーPe*とエンジン22を効率良く運転するための動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)との交点における回転数およびトルクとして設定することができる。そして、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするためのモータMG1の目標回転数Nm1*を目標回転数Ne*と駆動軸32の回転数Nrとプラネタリギヤ30のギヤ比とに基づいて設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、モータMG1の回転数Nm1が目標回転数Nm1*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸32に作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、設定した目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸32に出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
実施例のハイブリッド自動車20は、モータ運転モードで運転している最中に、運転者のアクセルペダル83の踏み込みによりバッテリ50からの電力だけでは走行用パワーPdrvを賄うことができないときや、バッテリ50の蓄電割合SOCがエンジン運転モードに切り替えるために予め定められた閾値以下になったとき、その他、車両の状態がエンジン運転モードに切り替えるために予め定められた状態に至ったときに、エンジン22を始動してエンジン運転モードに移行する。エンジン22の始動は、モータMG1からトルクを出力してエンジン22をモータリングすると共にモータMG1からのトルクの出力により駆動軸32に作用するトルクをモータMG2からのトルクによりキャンセルし、エンジン22のエンジン回転速度Neが予め定められた制御開始回転数に至ったときに燃料噴射制御や点火制御などを開始することにより行なわれる。
また、実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン運転モードで運転している最中に、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値以上で走行用パワーPdrvをバッテリ50からの放電で賄うことができるときや、運転者により図示しないモータ走行スイッチが押されたとき、その他、車両の状態がモータ運転モードに切り替えるために予め定められた状態に至ったときに、エンジン22の運転を停止してモータ運転モードに移行する。エンジン22の運転停止は、エンジン22をアイドリング制御しながら可変バルブタイミング機構による吸気バルブの開閉タイミングが最遅角(最も遅いタイミング)に変更されるようエンジン22を制御し、可変バルブタイミング機構の吸気バルブの開閉タイミングが最遅角になると、燃料噴射と点火を停止し、次にエンジン22を始動するときに始動性が良好となるクランク角位置で停止するようモータMG1により停止位置を調整することにより行なわれる。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に走行中に冷却装置60によりモータMG1,MG2を冷却する際の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,温度センサ68からの冷却油温to,温度センサ45,46からのモータ温度tm1,tm2,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうして必要なデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*と要求パワーPe*とを設定し(ステップS110)、図2に示すように、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力するためのエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定し(ステップS120)、回転数フィードバックによりエンジン22の回転数Neを目標回転数Ne*とするためのモータMG1の目標回転数Nm1*およびトルク指令Tm1*を設定すると共に入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸32に出力するためのモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS130)。
こうして目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*,Tm2*とを設定すると、モータMG1の目標回転数Nm1*およびトルク指令Tm1*とモータMG2の現在の回転数Nm2およびトルク指令Tm2*とに基づいてモータMG1,MG2の発熱量Hmを推定する(ステップS140)。ここで、発熱量Hmは、モータMG1を目標回転数Nm1*およびトルク指令Tm1*で駆動すると共に現在の回転数Nm2(車速V)でモータMG2をトルク指令Tm2*で駆動した場合のモータMG1,MG2の発熱量Hmをエネルギ換算したものである。発熱量Hmの推定は、実施例では、目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*と回転数Nm2とトルク指令Tm2*と発熱量Hmとの関係を予め求めてマップとしてROM74に記憶しておき、目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*と回転数Nm2とトルク指令Tm2*とが与えられるとマップから対応する発熱量Hmを導出することにより行なわれる。
次に、入力したエンジン22の回転数Neが機械式オイルポンプ64によりモータMG1,MG2の冷却に必要な潤滑油を供給するための所定回転数Neref以下か否か(ステップS150)、モータ温度tm1がモータMG1の冷却が必要な所定温度tref1以上か否か(ステップS160)、モータ温度tm2がモータMG2の冷却が必要な所定温度tref2以上か否か(ステップS170)、を判定する。
ステップS150でエンジン22の回転数Neが所定回転数Nerefよりも高いと判定されたり、エンジン22の回転数Neが所定回転数Neref以下であってもステップS160,S170でモータ温度tm1が所定温度tref1未満で且つモータ温度tm2が所定温度tref2未満と判定されると、ステップS120で設定したエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にステップS130で設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。なお、前述したように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
一方、エンジン22の回転数Neが所定回転数Neref以下で且つモータ温度tm1が所定温度tref1以上のときには、さらに、モータ温度tm2が所定温度tref2以上か否か(ステップS180)、モータ温度tm1がモータ温度tm2よりも高いか否か(ステップS190)、を判定する。モータ温度tm2が所定温度tref2未満か、モータ温度tm2が所定温度tref2以上であってもモータ温度tm1がモータ温度tm2よりも高いかのいずれかであるときには、モータMG1の冷却が必要でモータMG1の冷却をモータMG2よりも優先すべきと判断し、ステップS120で設定したエンジン22の目標回転数Ne*に所定回転数ΔNeを加えたものをエンジン22が運転すべき目標回転数の仮の値である仮回転数Netmp1に設定すると共に要求パワーPe*を設定した仮回転数Netmp1で除したものをエンジン22から出力すべき目標トルクの仮の値である仮トルクTetmp1に設定する(ステップS210)。図4にモータMG1の冷却をモータMG2よりも優先させる際におけるエンジン22の運転ポイントの変更の様子を示す。エンジン22の仮回転数Netmp1と仮トルクTetmp1の設定は、図示するように、要求パワーPe*をエンジン22から効率よく出力するための目標回転数Ne*と目標トルクTe*に対してパワーを維持したまま目標回転数Ne*を所定回転数ΔNeだけ上昇させることにより行なわれる。ここで、所定回転数ΔNeは、機械式オイルポンプ64からの冷却油により高温時のモータMG1,MG2を冷却するために必要なエンジン22の回転数の上昇分であり、例えば、冷却油温toなどに基づいて設定することができる。続いて、回転数フィードバックによりエンジン22の回転数Neを仮回転数Netmp1とするためのモータMG1の目標回転数の仮の値である仮回転数Nm1tmp1とモータMG1のトルク指令の仮の値である仮トルクTm1tmp1を設定し、入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸32に出力するためのモータMG2のトルク指令の仮の値である仮トルクTm2tmp1を設定する(ステップS220)。モータMG1の仮回転数Nm1tmp1および仮トルクTm1tmp1とモータMG2の仮トルクTm2tmp1とを設定すると、モータMG1の仮回転数Nm1tmp1および仮トルクTm1tmp1とモータMG2の現在の回転数Nm2および仮トルクTm2tmp1とに基づいてモータMG1,MG2の発熱量Hm1を推定し(ステップS230)、推定した発熱量Hm1からステップS140で推定した発熱量Hmを減じたものをモータ発熱増量ΔHm1として設定する(ステップS240)。ここで、発熱量Hm1の推定は、発熱量Hmと同様のマップを用いて行なうことができる。また、モータ発熱増量ΔHm1は、エンジン22の運転ポイントをステップS120で設定した目標回転数Ne*および目標トルクTe*から仮回転数Netmp1および仮トルクTetmp1に変更した場合のモータMG1,MG2の発熱量の増加分をエネルギ換算したものである。そして、入力した冷却油温toとステップS120で設定した目標回転数Ne*とステップS210で設定した仮回転数Netmp1とに基づいて冷却装置60の冷却能力増量ΔCo1を推定する(ステップS250)。ここで、冷却能力増量ΔCo1は、エンジン22の回転数NeをステップS120で設定した目標回転数Ne*から所定回転数ΔNeだけ上昇させて仮回転数Netmp1とした場合に機械式オイルポンプ64から供給される潤滑油によりモータMG1,MG2が冷却される冷却能力の増加分をエネルギ換算したものである。この冷却能力増量ΔCo1の設定は、実施例では、冷却油温toと目標回転数Ne*と仮回転数Netmp1と冷却能力増量ΔCo1との関係を予め求めてマップとしてROM74に記憶しておき、冷却油温toと目標回転数Ne*と仮回転数Netmp1とが与えられるとマップから対応する冷却能力増量ΔCo1を導出することにより行なうものとした。
こうしてモータ発熱増量ΔHm1と冷却能力増量ΔCo1とを設定すると、冷却能力増量ΔCo1がモータ発熱増量ΔHm1よりも大きいか否かを判定する(ステップS260)。冷却能力増量ΔCo1がモータ発熱増量ΔHm1よりも大きいときには、エンジン22の運転ポイントを仮回転数Netmp1および仮トルクTetmp1に変更すると、モータMG1,MG2の冷却の促進が期待できると判断し、エンジン22の目標回転数Ne*を仮回転数Netmp1に、エンジン22の目標トルクTe*を仮トルクTetmp1に、モータMG1のトルク指令Tm1*を仮トルクTm1tmp1に、モータMG2のトルク指令Tm2*を仮トルクTm2tmp1にそれぞれ変更し(ステップS270)、変更した目標回転数Ne*と目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に変更したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。図5は、モータMG1の冷却をモータMG2よりも優先させる際のプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクの力学的な関係を示す共線図である。エンジン22の運転ポイントを仮回転数Netmp1および仮トルクTetmp1に変更すると、図示するように、変更前に比してエンジン22から出力されるトルクが小さくなるから、モータMG1から出力されるトルクは大きく(絶対値では小さく)なる。したがって、モータMG1の負荷は小さくなり、その発熱は抑制されるから、モータMG1を効率よく冷却することができる。なお、この場合、モータMG1からプラネタリギヤ30を介して駆動軸32に出力されるトルク(−Tm1tmp1/ρ)は小さくなるから、要求トルクTr*を駆動軸32に出力するためにモータMG2から出力すべきトルクTm2tmp1は大きくなり、モータMG2は発熱しやすくなる。一方、ステップS260で冷却能力増量ΔCo1がモータ発熱増量ΔHm1以下と判定されたときには、エンジン22の運転ポイントを仮回転数Netmp1および仮トルクTetmp1に変更しても、モータMG1,MG2の冷却は期待できないと判断し、ステップS120で設定した目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、ステップS130で設定したトルク指令トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
ステップS160でモータ温度tm1が所定温度tref1未満と判定され且つステップS170でモータ温度tm2が所定温度tref2以上と判定されたり、ステップS160でモータ温度tm1が所定温度tref1以上と判定され且つステップS180でモータ温度tm2が所定温度tref2以上と判定され且つステップS190でモータ温度tm1がモータ温度tm2以下と判定されると、モータMG2の冷却が必要でモータMG2の冷却をモータMG1よりも優先すべきと判断し、入力した蓄電割合SOCがバッテリ50の充電が制限される所定割合Sref(例えば、70%や80%など)以下であるか否かを判定し(ステップS280)、蓄電割合SOCが所定割合Srefよりも大きいときには、ステップS120で設定した目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、ステップS130で設定したトルク指令トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。この理由については後述する。一方、蓄電割合SOCが所定割合Sref以下のときには、ステップS120で設定したエンジン22の目標回転数Ne*に所定回転数ΔNeを加えたものを仮回転数Netmp2に設定すると共にステップS120で設定したエンジン22の目標トルクTe*を仮トルクTetmp2に設定する(ステップS290)。図6にモータMG2の冷却をモータMG1よりも優先させる際におけるエンジン22の運転ポイントの変更の様子を示す。エンジン22の仮回転数Netmp2と仮トルクTetmp2の設定は、図示するように、要求パワーPe*をエンジン22から効率よく出力するための目標回転数Ne*と目標トルクTe*に対してトルクを維持したまま目標回転数Ne*を前述した所定回転数ΔNeだけ上昇させることにより行なわれる。したがって、エンジン22の運転ポイントと仮回転数Netmp2および仮トルクTetmp2に変更すると、変更前に比してエンジン22から出力されるパワーは大きくなる。このエンジン22から出力される余剰のパワーはバッテリ50に充電されることになるため、ステップS280で蓄電割合SOCが所定割合Srefよりも大きく、バッテリ50を充電する余裕がないときには、エンジン22の運転ポイントの変更を禁止している。続いて、回転数フィードバックによりエンジン22の回転数Neを仮回転数Netmp2とするためのモータMG1の仮回転数Nm1tmp2とモータMG1の仮トルクTm1tmp2を設定し、入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*を駆動軸32に出力するためのモータMG2の仮トルクTm2tmp2を設定する(ステップS300)。モータMG1の仮回転数Nm1tmp2および仮トルクTm1tmp2とモータMG2の仮トルクTm2tmp2とを設定すると、モータMG1の仮回転数Nm1tmp2および仮トルクTm1tmp2とモータMG2の現在の回転数Nm2および仮トルクTm2tmp2とに基づいてモータMG1,MG2の発熱量Hm2を推定し(ステップS310)、推定した発熱量Hm2からステップS140で推定した発熱量Hmを減じたものをモータ発熱増量ΔHm2として設定する(ステップS320)。ここで、発熱量Hm2の推定は、発熱量Hmと同様のマップを用いて行なうことができる。また、モータ発熱増量ΔHm2は、エンジン22の運転ポイントをステップS120で設定した目標回転数Ne*および目標トルクTe*から仮回転数Netmp2および仮トルクTetmp2に変更した場合のモータMG1,MG2の発熱量の増加分をエネルギ換算したものである。そして、入力した冷却油温toとステップS120で設定した目標回転数Ne*とステップS210で設定した仮回転数Netmp2とに基づいて冷却装置60の冷却能力増量ΔCo2を推定する(ステップS330)。ここで、冷却能力増量ΔCo2は、冷却能力増量ΔCo1と同様のマップを用いて推定することができる。
こうしてモータ発熱増量ΔHm2と冷却能力増量ΔCo2とを設定すると、冷却能力増量ΔCo2がモータ発熱増量ΔHm2よりも大きいか否かを判定する(ステップS340)。冷却能力増量ΔCo2がモータ発熱増量ΔHm2よりも大きいときには、エンジン22の運転ポイントを仮回転数Netmp2および仮トルクTetmp2に変更すると、モータMG1,MG2の冷却の促進が期待できると判断し、エンジン22の目標回転数Ne*を仮回転数Netmp2に、エンジン22の目標トルクTe*を仮トルクTetmp2に、モータMG1のトルク指令Tm1*を仮トルクTm1tmp2に、モータMG2のトルク指令Tm2*を仮トルクTm2tmp2にそれぞれ変更し(ステップS350)、変更した目標回転数Ne*と目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に変更したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。図7に、モータMG2の冷却をモータMG1よりも優先させる際のプラネタリギヤ30の回転要素における回転数とトルクの力学的な関係を示す共線図である。エンジン22の運転ポイントを仮回転数Netmp2および仮トルクTetmp2に変更すると、図示するように、エンジン22から出力されるトルクは変更前と同じトルクとなり、モータMG1から出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクも変更前と同じトルクとなる。このように、モータMG2の負荷を大きくせずに、エンジン22の回転数Neだけを上昇させることができるから、モータMG2を効率よく冷却することができる。一方、ステップS340で冷却能力増量ΔCo2がモータ発熱増量ΔHm2以下と判定されたときには、エンジン22の運転ポイントを仮回転数Netmp2および仮トルクTetmp2に変更しても、モータMG1,MG2の冷却の促進は期待できないと判断し、ステップS120で設定した目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、ステップS130で設定したトルク指令トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の回転数Neが所定回転数Neref以下の場合、モータ温度tm1が所定温度tref1以上で且つモータ温度tm2が所定温度tref2未満であるかモータ温度tm1が所定温度tref1以上で且つモータ温度tm1がモータ温度tm2よりも高いかのいずれかであるときには、モータMG1の冷却をモータMG2よりも優先し、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力するための運転ポイントに対してパワーを維持したまま回転数を所定回転数ΔNeだけ上昇させた運転ポイントでエンジン22が運転されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御し、モータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm1が所定温度tref1未満であるかモータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm2がモータ温度tm1以下かのいずれかであるときには、モータMG2の冷却をモータMG1よりも優先し、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力するための運転ポイントに対してトルクを維持したまま回転数を所定回転数ΔNeだけ上昇させた運転ポイントでエンジン22が運転されると共に要求トルクTr*が駆動軸32に出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するから、モータMG1,MG2のうちいずれが高温状態であってもこれらを効率よく冷却することができる。しかも、エンジン22の運転ポイントの変更前後におけるモータ発熱増量ΔHm1,ΔHm2と冷却能力増量ΔCo1,ΔCo2とを予め推定しておき、モータ発熱増量ΔHm1,ΔHm2が対応する冷却能力増量ΔCo1,ΔCo2を超える場合に限ってエンジン22の運転ポイントを変更するから、モータMG1,MG2の冷却の促進が期待できないときに、運転ポイントが変更される、即ち、エンジン22が効率のよい運転ポイントから外れたポイントで運転されるのを抑制することができる。また、モータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm1が所定温度tref1未満であるかモータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm2がモータ温度tm1以下かのいずれかであっても、蓄電割合SOCが所定割合Srefよりも高いときには、エンジン22の運転ポイントの変更を行なわないから、バッテリ50が過充電するのを抑止することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、冷却油温t0とエンジン22の運転ポイントの変更前の目標回転数Ne*と仮回転数Netmp1(Netmp2)とに基づいて冷却能力増量ΔCo1(ΔCo2)を推定したが、エンジン22の運転ポイントの変更前の目標回転数Ne*と仮回転数Netmp1(Netmp2)だけに基づいて冷却能力増量ΔCo1(ΔCo2)を推定するものとしてもよいし、外気温などの他のパラメータも加えて冷却能力増量ΔCo1(ΔCo2)を推定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm1が所定温度tref1未満であるかモータ温度tm2が所定温度tref2以上で且つモータ温度tm2がモータ温度tm1以下かのいずれかのときに、蓄電割合SOCが所定割合Srefよりも高いときには、エンジン22の運転ポイントの変更を行なわないものとしたが、運転ポイントを変更するものとしても構わない。このとき、バッテリ50の入力制限WinによりモータMG2のトルクが制限される場合がある。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪38a,38bに接続された駆動軸32に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動軸32に出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に示すように、エンジン22からの動力を駆動輪38a,38bに接続された駆動軸32に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動輪38a,38bに接続された車軸とは異なる車軸(図8における車輪39a,39bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
実施例では、本発明をハイブリッド自動車20の形態として説明したが、ハイブリッド自動車の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、プラネタリギヤ30が「遊星歯車機構」に相当し、モータMG1が「第1のモータ」に相当し、モータMG2が「第2のモータ」に相当し、図3の駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とハイブリッド用電子制御ユニット70からの指令に基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24とハイブリッド用電子制御ユニット70からの指令に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車産業に利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、36 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45,46 温度センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、60 冷却装置、62 オイルパン、64 機械式オイルポンプ、66 オイルクーラ、68 温度センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。
Claims (2)
- エンジンと、第1のモータと、前記エンジンの出力軸と前記第1のモータの回転軸と車軸側とに接続された遊星歯車機構と、前記車軸側に動力を入出力可能な第2のモータと、前記第1および第2のモータと電力をやり取りする二次電池と、前記エンジンの動力により作動して前記第1および第2のモータを冷却するための冷却媒体を供給するポンプと、前記エンジンが所定の動作ライン上のトルクおよび回転数からなる目標運転ポイントで運転されると共に要求トルクにより走行するよう前記エンジンと前記第1および第2のモータとを制御する制御手段とを備えるハイブリッド自動車において、
前記制御手段は、前記エンジンの回転数の上昇により前記第1および第2のモータの冷却が促進される場合、前記第1のモータの温度が前記第2のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントを前記エンジンの回転数が上昇し且つ前記第2のモータよりも前記第1のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更し、前記第2のモータの温度が前記第1のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントを前記エンジンの回転数が上昇し且つ前記第1のモータよりも前記第2のモータの冷却を優先させた運転ポイントに変更する手段である
ハイブリッド自動車。 - 請求項1記載のハイブリッド自動車において、
前記制御手段は、前記第1のモータの温度が前記第2のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントをパワーを維持したまま回転数を上昇させた運転ポイントに変更し、前記第2のモータの温度が前記第1のモータの温度よりも高いときには前記目標運転ポイントをトルクを維持したまま回転数を上昇させた運転ポイントに変更する手段である
ハイブリッド自動車。
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2011
- 2011-08-29 JP JP2011186174A patent/JP2013047059A/ja not_active Withdrawn
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