JP4069849B2 - 動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、エンジンのクランクシャフトに接続された発電機と、駆動軸に接続された電動機と、駆動軸とクランクシャフトを接続したり接続を解除するクラッチとを備え、車両に搭載されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、、発電機からの発電電力を推定し、この推定した発電電力に基づいて電動機からの出力を制限している。
特開2001−292501号公報
しかしながら、上述の動力出力装置では、推定した電動機からの発電電力に基づいて電動機からの出力を制限するため、発電電力に変化によっては、バッテリを過放電する場合が生じたり、駆動軸へのトルクの出力をスムーズに行なうことができない場合が生じる。電動機の出力制限に限らず、駆動系の出力制御では、過渡応答としてなまし処理などを用いる。こうしたなまし処理を電動機の出力制限に用いる場合、バッテリの過放電を抑制するために出力制限のレスポンスをよくするには、なまし処理における時定数としては小さい値を設定するのが好ましいが、発電電力の急変に対して出力制限も急峻に変化するため、滑らかに変化する出力制限を行なうことができず、スムーズなトルク変化による駆動軸へのトルクの出力が阻害される。一方、スムーズなトルク変化を重視するためになまし処理における時定数として大きな値を設定することも考えられるが、発電電力が急減したときには、その変化に応答することができず、バッテリを過放電させる場合が生じる。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法は、発電機からの発電電力と二次電池などの蓄電装置からの電力との供給を受けて駆動軸に動力を入出力する電動機を備える動力出力装置やこれを備える自動車において、スムーズなトルク変化による駆動軸へのトルク出力と二次電池などの蓄電装置の過放電を抑止することを目的とする。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
該電動機に電力を供給可能な発電手段と、
前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量に対して該出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を用いるなまし処理を用いて前記電動機の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
該設定された出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定された要求動力
に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置では、発電手段による発電電力と蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量に対してこの出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を用いるなまし処理を用いて駆動軸に動力を出力可能な電動機の出力制限を設定し、この設定した出力制限の範囲内で電動機を駆動すると共に設定した要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう発電手段と前記電動機とを制御する。即ち、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きいときには小さな値の時定数を用いたなまし処理を用いることにより出力演算量の急激な変化に対して高い応答性で電動機の出力制限を設定し、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が小さいときには大きな値の時定数を用いたなまし処理を用いることにより出力演算量の変化に対して低い応答性で電動機の出力制限を設定するのである。これにより、出力演算量の急激な変化の際に生じ得る蓄電手段の過放電を抑止することができると共に通常時においてスムーズなトルク変化による駆動軸へのトルク出力を実現することができる。
こうした本発明の第1の動力出力装置において、前記出力制限設定手段は、前記出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量に基づいて異なる大きさの少なくとも2つの時定数からいずれかを選択し、該選択した時定数を用いたなまし処理により前記電動機の出力制限を設定する手段であるものとすることもできる。
本発明の第2の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
該電動機に電力を供給可能な発電手段と、
前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量に対して該出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を用いて前記電動機の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
該設定された出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置では、発電手段による発電電力と蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量に対してこの出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を用いて駆動軸に動力を出力可能な電動機の出力制限を設定し、この設定した出力制限の範囲内で電動機を駆動すると共に設定した要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう発電手段と前記電動機とを制御する。即ち、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きいときには大きな値の変化度合を用いることにより出力演算量の急激な変化に対して高い応答性で電動機の出力制限を設定し、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が小さいときには小さな変化度合を用いることにより出力演算量の変化に対して低い応答性で電動機の出力制限を設定するのである。これにより、出力演算量の急激な変化の際に生じ得る蓄電手段の過放電を抑止することができると共に通常時においてスムーズなトルク変化による駆動軸へのトルク出力を実現することがで
きる。
これら本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記出力制限設定手段は、前記出力演算量を減少させる要素として前記発電電力を用いて前記電動機の出力制限を設定する手段であるものとすることもできるし、前記出力演算量を減少させる要素として前記供給可能電力を用いて前記電動機の出力制限を設定する手段であるものとすることもできる。
また、本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記出力演算量は、前記供給可能電力と前記電動機の回転数の逆数と該電動機の回転数との積であるものとすることもできる。この場合、出力演算量は電動機から出力してもよいトルク制限値を意味する。
本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記発電手段は、内燃機関と、該内燃機関からの動力により発電する発電機とを、備える手段であるものとすることもできる。
また、本発明の第1または第2の動力出力装置において、前記発電手段は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、を備える手段であるものとすることもできる。この場合、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを備え、該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する対回転子電動機であるものとすることもできる。
本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、該電動機に電力を供給可能な発電手段と、前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力を含む出力演算量に対して該出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を用いるなまし処理を用いて前記電動機の出力制限を設定する出力制限設定手段と、該設定された出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する制御手段と、を備える本発明の第1の動力出力装置か、この本発明の第1の動力出力装置の出力制限設定手段を、前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力を含む出力演算量に対して該出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を用いて前記電動機の出力制限を設定する出力制限設定手段に変更した本発明の第2の動力出力装置かのいずれかを搭載し、車軸が前記駆動軸に接続されてなることを要旨とする。
この本発明の自動車では、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の動力出力装置を搭載するから、本発明の第1または第2の動力出力装置が奏する効果、例えば、出力演算量の急激な変化の際に生じ得る蓄電手段の過放電を抑止することができる効果や通常時においてスムーズなトルク変化による駆動軸へのトルク出力を実現することができる効果などと同様な効果を奏することができる。
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な電動機と、該電動機に電力を供給可能な発電手段と、前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定し、
(b)前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量を演算し、
(c)前記出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を設定し、
(d)前記演算した出力演算量に対して前記設定した時定数を用いたなまし処理を施して前記電動機の出力制限を設定し、
(e)該設定した出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定した要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する
ことを要旨とする。
この本発明の第1の動力出力装置の制御方法では、発電手段による発電電力と蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量を演算すると共にこの出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を設定し、更に、演算した出力演算量に対して設定した時定数を用いたなまし処理を施して電動機の出力制限を設定し、この設定した出力制限の範囲内で駆動軸に動力を出力可能な電動機を駆動すると共に設定した要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう発電手段と電動機とを制御する。即ち、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きいときには小さな値の時定数を用いたなまし処理を施すことにより出力演算量の急激な変化に対して高い応答性で電動機の出力制限を設定し、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が小さいときには大きな値の時定数を用いたなまし処理を施すことにより出力演算量の変化に対して低い応答性で電動機の出力制限を設定するのである。これにより、出力演算量の急激な変化の際に生じ得る蓄電手段の過放電を抑止することができると共に通常時においてスムーズなトルク変化による駆動軸へのトルク出力を実現することができる。
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力を出力可能な電動機と、該電動機に電力を供給可能な発電手段と、前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定し、
(b)前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量を演算し、
(c)前記出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を設定し、
(d)前記演算した出力演算量に対して前記設定した変化度合を用いて前記電動機の出力制限を設定し、
(e)該設定した出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定した要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する
ことを要旨とする。
この本発明の第2の動力出力装置の制御方法では、発電手段による発電電力と蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量を演算すると共にこの出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を設定し、更に、演算した出力演算量に対して設定した変化度合を用いて電動機の出力制限を設定し、この設定した出力制限の範囲内で駆動軸に動力を出力可能な電動機を駆動すると共に設定した要求動力に基づく動力が駆動軸に出力されるよう発電手段と電動機とを制御する。即ち、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きいときには大きな値の変化度合を用いることにより出力演算量の急激な変化に対して高い応答性で電動機の出力制限を設定し、出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が小さいときには小さな値の変化度合を用いることにより出力演算量の変化に対して低い応答性で電動機の出力制限を設定するのである。これにより、出力演算量の急激な変化の際に生じ得る蓄電手段の過放電を抑止することができると共に通常時においてスムーズなトルク変化による駆動軸へのトルク出力を実現することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の出力制限Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。ここで、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じて入出力制限Win,Woutを設定することができる。図3に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図4にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じることによって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることによって求めることができる。
設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS120)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図6に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS130)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じたリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ−Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*−Nm1)+k2∫(Nm1*−Nm1)dt (2)
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の出力制限Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割り、これにモータMG2の効率η2を乗じることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としての仮トルク制限Tmaxtmpを次式(3)により計算する(ステップS140)。
Tmaxtmp=η2・(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
そして、次式(4)により、設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と現在の回転数Nm1との積(Tm1*・Nm1)から前回このルーチンが実行されたときに設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と入力した回転数Nm1との積(前回Tm1*・前回Nm1)を減じてモータMG1の出力変化ΔPgを計算し(ステップS150)、計算した出力変化ΔPgを閾値Prefと比較する(ステップS160)。ここで、出力変化ΔPgは、この駆動制御ルーチンの起動間隔あたりのモータMG1の発電電力の変化量であり、実施例では発電トルクを負としていることから、モータMG1の発電電力が減少すると、正の値となる。閾値Prefは、モータMG1の発電電力の変化量に応じてモータMG2のトルク制限値Tmaxを設定する際に用いるなまし処理の時定数Tcを変更する閾値であり、モータMG1の性能やバッテリ50の性能によって定められる。
ΔPg=Tm1*・Nm1−前回Tm1*・前回Nm1 (4)
出力変化ΔPgが閾値Pref以下のときにはモータMG1の発電電力は急減していないと判断し、比較的大きな値に設定された時定数T1をなまし処理の時定数Tcに設定し(ステップS170)、出力変化ΔPgが閾値Prefより大きいときにはモータMG1の発電電力が急減していると判断し、時定数T1より値が小さな値に設定された時定数T2をなまし処理の時定数Tcに設定する(ステップS180)。
こうして時定数Tcを設定すると、設定した時定数Tcを用いて計算した仮トルク制限Tmaxtmpに対してなまし処理を施してトルク制限値Tmaxを設定すると共に(ステップS190)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS200)、設定したトルク制限Tmaxと仮モータトルクTm2tmpとを比較して小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する(ステップS210)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、モータMG1の発電電力の変化とバッテリ50の出力制限Woutとを考慮したトルク制限Tmaxにより制限したトルクとして設定することができる。なお、式(5)は、前述した図7の共線図から容易に導き出すことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS220)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
図8はモータMG1の出力変化ΔPgとトルク制限Tmaxとなまし処理の時定数Tcとの関係の一例を示す説明図である。図8(a)はモータMG1の出力変化ΔPgが閾値Pref以下のときの状態を示し、図8(b)はモータMG1の出力変化ΔPgが閾値Prefより大きいときの状態を示す。図中、実線折線Aはなまし処理を施すことなくトルク制限を計算したもの、即ち、実際の制限値として推定されるものを示し、破線曲線Bは比較的大きな値の時定数T1をなまし処理の時定数Tcとして用いてトルク制限を計算したものを示し、一点鎖線曲線Cは比較的小さな値の時定数T2をなまし処理の時定数Tcとして用いてトルク制限を計算したものを示す。比較的大きな値の時定数T1をなまし処理の時定数Tcとして用いてトルク制限を計算すると、破線曲線Bに示すように、実線折線Aの変化を滑らかな変化としてトルク制限Tmaxを設定することができる。しかし、モータMG1の出力変化ΔPgが大きくなると、図8(b)に示すように、実際の制限値として推定される実線折線Aとの偏差が大きくなる。この状態のときにバッテリ50の過放電が生じる場合がある。一方、比較的小さな値の時定数T2をなまし処理の時定数Tcとして用いてトルク制限を計算すると、一点鎖線曲線Cに示すように、実線折線Aの変化を僅かな滑らかさをもった変化としてトルク制限Tmaxを設定する。このため、破線曲線Bに比して変化のスムーズさに欠けることになるが、実際の制限値として推定される実線折線Aの変化によく追従する。実施例では、モータMG1の出力変化ΔPgが閾値Pref以下のとき、即ち、モータMG1の出力電力が比較的穏やかに減少するか増加するときには、比較的大きな値の時定数T1をなまし処理の時定数Tcとして用いてトルク制限Tmaxを計算することにより、実際の制限値として推定される実線折線Aの変化を滑らかな変化としてトルク制限Tmaxを設定し、モータMG1の出力変化ΔPgが閾値Prefより大きいとき、即ち、モータMG1の出力電力が急激に減少するときには、比較的小さな値の時定数T2をなまし処理の時定数Tcとして用いてトルク制限Tmaxを計算することにより、実際の制限値として推定される実線折線Aの変化によく追従するものとしてトルク制限Tmaxを設定するのである。これにより、通常時にはモータMG2のトルク制限Tmaxを滑らかに変化させることにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aへのトルクの出力変化を滑らかなものにすることができ、モータMG1の発電電力が急減したときには、モータMG2のトルク制限Tmaxの追従性をよくしてバッテリ50の過放電を抑止することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、モータMG1の発電電力が穏やかに減少したときや増加したときには比較的大きな値の時定数T1をモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcとして用いることにより、モータMG2のトルク制限Tmaxを滑らかに変化させることができる。この結果、駆動軸としてのリングギヤ軸32aへのトルクの出力変化を滑らかなものにすることができる。また、モータMG1の発電電力が急激に減少したときには比較的小さな値の時定数T2をモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcとして用いることにより、モータMG2のトルク制限Tmaxの変化に対する追従性をよくすることができる。この結果、トルク制限Tmaxの追従性が低いことにより生じ得るバッテリ50の過放電を抑止することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1の出力変化ΔPgを閾値Prefと比較して、出力変化ΔPgが閾値Pref以下か大きいかの2段階の時定数T1,T2をモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcとして用いるものとしたが、モータMG1の出力変化ΔPgが大きくなるほど小さくなる傾向の値をモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcとして用いればよいから、2段階の時定数に限られず、3段階以上の時定数を用いるものとしてもよいし、無段階に変化する時定数を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1の出力変化ΔPgに基づいてモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcを設定したが、バッテリ50の出力制限WoutにモータMG1の発電電力(−Tm1*・Nm1)を加えて得られるモータMG2に供給可能な供給可能電力の減少量に基づいてモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcを設定するものとしてもよい。また、仮トルク制限Tmaxtmpの減少量に基づいてモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際のなまし処理の時定数Tcを設定するものとしてもよい。これらの場合、供給可能電力の減少量や仮トルク制限Tmaxtmpの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向になまし処理の時定数Tcを設定すればよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
この他、図11の変形例のハイブリッド自動車320に例示するように、エンジン22からは駆動軸に直接動力を出力できない構成としてもよい。また、この変形例のエンジン22と発電機MG1とを燃料電池に置き換えたものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2のトルク制限Tmaxを設定する際になまし処理を用い、モータMG1の発電電力が穏やかに減少したときや増加したときにはなまし処理の時定数Tcとして比較的大きな値の時定数T1を用い、モータMG1の発電電力が急激に減少したときにはなまし処理の時定数Tcとして比較的小さな値の時定数T2を用いるものとしたが、モータMG1の発電電力が穏やかに減少したときや増加したときにはモータMG2のトルク制限Tmaxの時間当たりの変化の程度を小さくし、モータMG1の発電電力が急激に減少したときにはモータMG2のトルク制限Tmaxの時間当たりの変化の程度を大きくする処理、例えば、モータMG1の発電電力の時間当たりの減少量が大きいほど大きな時間当たりの変化度合をもってモータMG2のトルク制限Tmaxを設定する処理など、如何なる処理としてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車産業に利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。 動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 モータMG1の出力変化ΔPgとトルク制限Tmaxとなまし処理の時定数Tcとの関係の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車320の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35,減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b,64a,64b 駆動輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (13)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
    該電動機に電力を供給可能な発電手段と、
    前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、
    前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量に対して該出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を用いるなまし処理を用いて前記電動機の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
    該設定された出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記出力制限設定手段は、前記出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量に基づいて異なる大きさの少なくとも2つの時定数からいずれかを選択し、該選択した時定数を用いたなまし処理により前記電動機の出力制限を設定する手段である請求項1記載の動力出力装置。
  3. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    前記駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
    該電動機に電力を供給可能な発電手段と、
    前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、
    前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量に対して該出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を用いて前記電動機の出力制限を設定する出力制限設定手段と、
    該設定された出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  4. 前記出力制限設定手段は、前記出力演算量を減少させる要素として前記発電電力を用いて前記電動機の出力制限を設定する手段である請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
  5. 前記出力制限設定手段は、前記出力演算量を減少させる要素として前記供給可能電力を用いて前記電動機の出力制限を設定する手段である請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
  6. 前記出力演算量は、前記供給可能電力と前記電動機の回転数の逆数と該電動機の回転数との積である請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置。
  7. 前記発電手段は、内燃機関と、該内燃機関からの動力により発電する発電機とを、備える手段である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  8. 前記発電手段は、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、を備える手段である請求項1ないし6いずれか記載の動力出力装置。
  9. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段である請求項8記載の動力出力装置。
  10. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に取り付けられた第1の回転子と前記駆動軸に取り付けられた第2の回転子とを備え、該第1の回転子と該第2の回転子との電磁作用による電力の入出力を伴って該内燃機関からの動力の少なくとも一部を該駆動軸に出力する対回転子電動機である請求項8記載の動力出力装置。
  11. 請求項1ないし10いずれか記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に接続されてなる自動車。
  12. 駆動軸に動力を出力可能な電動機と、該電動機に電力を供給可能な発電手段と、前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定し、
    (b)前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量を演算し、
    (c)前記出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど小さくなる傾向の時定数を設定し、
    (d)前記演算した出力演算量に対して前記設定した時定数を用いたなまし処理を施して前記電動機の出力制限を設定し、
    (e)該設定した出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定した要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する
    動力出力装置の制御方法。
  13. 駆動軸に動力を出力可能な電動機と、該電動機に電力を供給可能な発電手段と、前記電動機に電力を供給可能な蓄電手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定し、
    (b)前記発電手段による発電電力と前記蓄電手段から出力可能な最大電力との和としての供給可能電力として定義される出力演算量を演算し、
    (c)前記出力演算量を減少させる要素の単位時間当たりの減少量が大きくなるほど大きくなる傾向の時間当たりの変化度合を設定し、
    (d)前記演算した出力演算量に対して前記設定した変化度合を用いて前記電動機の出力制限を設定し、
    (e)該設定した出力制限の範囲内で前記電動機を駆動すると共に前記設定した要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記発電手段と前記電動機とを制御する
    動力出力装置の制御方法。
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