JP2010182832A - 窒化物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】LEDによって半値全幅の広い発光スペクトルを得る。
【解決手段】本発明の窒化物半導体発光素子は、AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、結晶の{1−100}面であるm面に平行な方向に広がるAlInGaN層101と、AlInGaN層101上に位置し、InZGa1-ZN(0<Z<1)結晶から形成されたInGaN発光層102とを備える。AlInGaN層101の上面は、m面から[0001]方向に傾斜した少なくとも1つの第1傾斜面101aと、m面から[000−1]方向に傾斜した少なくとも1つの第2傾斜面101bとを有している。
【選択図】図3C

Description

本発明は、紫外領域から赤色領域までの発光が可能なInGaN発光層を用いた窒化物半導体発光素子、およびその製造方法に関するものである。
V族元素として窒素(N)を有する窒化物半導体は、そのバンドギャップの大きさから、短波長発光素子の材料として有望視されている。そのなかでも、窒化ガリウム系化合物半導体(GaN系半導体:AlxGayInzN(0≦x,y,z≦1、x+y+z=1)の研究は盛んに行われ、青色発光ダイオード(LED)、緑色LED、ならびに、GaN系半導体を材料とする半導体レーザも実用化されている。また、照明などの用途に白色LEDの開発も活発に進められている。
既に実用化されている白色LED(Light−Emitting Diode)では、GaN系半導体から作製した青色LEDを励起光源としてYAG(Yttrium Alumninium Garnet)系の蛍光体を励起し、擬似白色を得る方式が一般に用いられている。
GaN系半導体は、ウルツ鉱型結晶構造を有している。図1は、GaNの単位格子を模式的に示している。AlxGayInzN(0≦x,y,z≦1、x+y+z=1)半導体の結晶では、図1に示すGaの一部がAlおよび/またはInに置換され得る。
図2は、ウルツ鉱型結晶構造の基本並進ベクトル(primitive translation vectors)a1、a2、a3を示している。基本並進ベクトルa3は、[0001]方向に延びており、この方向は「c軸」と呼ばれる。c軸に垂直な面(plane)は「c面」または「(0001)面」と呼ばれている。なお、c面は「極性面」であるが、図2に示す(1−100)面は、非極性面であり、「m面」と称されている。
励起光源となる青色LEDには、以下の課題がある。
(1)製造工程のばらつきや、発熱の影響などによって発光波長が変動する。
(2)発光スペクトルの半値全幅(FWHM)が狭いため、蛍光体を適切な波長の光で励起することが難しく、蛍光体の励起効率が著しく減衰する。
(3)従来、結晶成長の下地層として窒化ガリウム系半導体のc面({0001}面)が用いられている。窒化ガリウム系半導体のc面は極性面であるため、自発分極や、大きなピエゾ電界の影響によって電子と正孔が空間的に大きく分離し、再結合確率が低下するため、内部量子効率が低くなる。
これらの課題を解決するために、特許文献1や非特許文献1は、1つの青色LEDから複数の異なる発光波長を得る白色LEDを開示している。図15は、非特許文献1に記載された従来の青色LEDにおける発光層を示す断面図である。図15に示される窒化物層1201の上面は、極性面であるc面と、c面から傾斜した複数の傾斜面とを有している。これらの傾斜面は、非極性面や半極性面である。InGaN発光層1202は、このような凹凸を有する窒化物層1201の上面に形成されている。具体的には、(11−22)面、(−1−122)面、(11−20)面、および(−1−120)面の5つの面にInGaN発光層が形成されている。このように非特許文献1では、等価でない複数の面上にInGaNを成長させることにより、各面上における発光層のIn組成を変化させている。
一方、LEDの高効率化を実現するために、近年、特許文献2や非特許文献2に開示されているように、非極性面や半極性面を主面としてInGaN発光層を形成したLEDが開発されている。図16は、非特許文献2に記載された従来の非極性面を表面とする窒化物層上に形成された発光層を示す断面図である。
図16において、InGaN発光層1302はオフ角度を持つ非極性面を主面に有している。窒化物層1301は、発光層1302と同じオフ角度を持つ非極性面を主面としている。
特開平11−289108号公報 特開平11−112029号公報 Applied PhysiCs Express 1, 011106 (2008). Journal of Crystal Growth, 310, 4968 (2008).
しかしながら、c面上の1つの素子から複数の波長の発光を実現する従来のLED構造(非特許文献1)では、様々な発光波長を得るために、等価でない複数の面を選択し、InGaN発光層中のIn組成を変化させる必要があった。しかしながら、(11−22)面と(−1−122)面とは相互に原子配列が等価な面であり、同様に(11−20)面と(−1−120)面も相互に原子配列が等価な面であるため、(11−22)面と(−1−122)面、(11−20)面と(−1−120)面ではInの取り込み量が等しくなり、結果として同じ発光波長となる。すなわち、非特許文献1の場合には5つの面を形成しているが、3種類の波長の発光しか得られていない。これは、c面上の発光層では、c軸を中心に結晶の対称性が強いため、傾斜面の原子配列が等価になりやすいことに起因している。
この課題は、特許文献2の素子においても同様である。
したがって、非特許文献1および特許文献2の手法を用いて発光スペクトルの半値全幅を広げる場合には、等価でない複数の面を選択し、形成する必要があり、製造方法が繁雑になるという課題があった。
また、特許文献2に開示されている、半極性面をInGaN発光層の傾斜面とする従来のLEDの構成では、傾斜角度が少なくとも10°以上と大きいために、発光素子の製造が困難であるという課題があった。この課題は、非特許文献1においても同様に有している。
さらに、特許文献1に開示されている1つの発光素子から異なる発光波長を放出する従来のLEDの構造では、発光層の結晶性を悪化させることによるIn組成の不均一化を利用している。このような技術は、In組成の制御が困難であることに加えて、内部量子効率が向上しないという課題を有している。
さらに、非特許文献2に開示されている、オフ角度を持つ非極性面を主面に有している従来のLEDの構造では、発光スペクトルのピーク波長はシフトするが、半値全幅には変化がないという課題を有している。
本発明は、従来の課題を解決するもので、LEDの発光スペクトルの半値全幅を効果的に広げ、蛍光体吸収線への励起効率を向上させ、同時に白色LEDの演色性も効果的に向上させるとともに、ピエゾ電界による内部量子効率の低下が改善された窒化物半導体発光素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の窒化物半導体発光素子は、AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、前記結晶の{1−100}面であるm面に平行な方向に広がるAlInGaN層と、前記AlInGaN層上に位置し、InZGa1-ZN(0<Z<1)結晶から形成されたInGaN発光層とを備える窒化物半導体発光素子であって、前記AlInGaN層の上面は、前記m面から[0001]方向に傾斜した少なくとも1つの第1傾斜面と、前記m面から[000−1]方向に傾斜した少なくとも1つの第2傾斜面とを有している。
好ましい実施形態において、前記InGaN発光層は、前記AlInGaN層の前記第1傾斜面上に位置する第1傾斜部分と、前記AlInGaN層の前記第2傾斜面上に位置する第2傾斜部分とを有しており、前記第1傾斜部分の発光波長は、前記第2傾斜部分の発光波長と異なっている。
好ましい実施形態において、前記InGaN発光層の表面において、前記第1傾斜部分の全体の面積をS1とし、前記第2傾斜部分の全体の面積をS2とするとき、S1とS2がほぼ等しい。
好ましい実施形態において、0.5≦S2/S1≦2を満たす。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層の前記第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値、および、前記第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値は、いずれも、0度より大きく5度以下の範囲にある。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層の前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、[0001]方向に沿って交互に配列されている。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層の前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、それぞれ、平面から構成されている。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層において、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、いずれも、複数存在しており、前記複数の第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値は相互に等しく、前記複数の第2傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値も相互に等しい。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層において、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、いずれも、複数存在しており、前記複数の第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値、および、前記複数の第2傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値は、相互に異なっている。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層の上面は、前記m面に平行な少なくとも1つの水平面を有しており、前記InGaN発光層は、前記AlInGaN層の前記水平面上に位置する水平部分を有している。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層の前記第1傾斜面、前記水平面、および前記第2傾斜面は、[0001]方向に沿って交互に配列されている。
好ましい実施形態において、前記AlInGaN層の前記第1傾斜面、前記水平面、および前記第2傾斜面は、それぞれ、平面から構成されている。
本発明による窒化物半導体発光素子の製造方法は、AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、前記結晶の{1−100}面であるm面に平行な方向に広がるAlInGaN層であって、上面が前記m面から[0001]方向に傾斜した少なくとも1つの第1傾斜面と、前記m面から[000−1]方向に傾斜した少なくとも1つの第2傾斜面とを有しているAlInGaN層を形成する工程(A)と、前記AlInGaN層上に、InZGa1-ZN(0<Z<1)結晶から形成されたInGaN発光層を形成する工程(B)とを含む。
好ましい実施形態において、前記工程(A)は、AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、m面を表面に有する平坦層を用意する工程(a1)と、前記平坦層の表面を加工することにより、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面を有する前記AlInGaN層を前記平坦層から形成する工程(a2)とを含む。
好ましい実施形態において、前記工程(a2)は、エッチングによって前記平坦層の表面形状を変化させる工程、およびエピタキシャル成長によって前記平坦層の表面形状を変化させる工程の少なくとも一方を含む。
本発明によれば、従来技術に比べ、InGaN発光層の半値全幅を広げることができるため、製造工程のばらつき、使用環境のばらつき、発熱の影響などによって発光波長が変動したとしても、蛍光体吸収線への励起効率を高く維持することが可能となり、白色LEDの演色性も向上させることができる。さらに、非極性面を用いることで、内部量子効率を高めることができる。
このような発光波長が発光層の傾斜角度に依存して長波側と短波側にシフトする現象は、窒化ガリウム系半導体の非極性面上において特有の現象であり、特許文献1、2や非特許文献1に開示されているような従来使用されている窒化ガリウム系半導体の極性面上では得られない現象である。
本発明にかかる発光スペクトルの半値全幅を広げる技術は、蛍光体吸収線への励起効率を向上させる機能を有すると同時に、白色LEDの演色性も向上させるため、高効率白色LEDの発光源に応用することが有用である。また、発光層内のインジウム組成を制御することにより発光波長を任意に制御可能であるので、RGB(赤色・緑色・青色)3波長型白色照明の発光源にも応用できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態)
図3A〜図3Dを参照しながら、本発明による窒化物半導体発光素子の第1の実施形態を説明する。
まず、図3Aおよび図3Bを参照する。図3Aは、本実施形態の窒化物半導体発光素子の基本的な構成を模式的に示す断面図であり、図3Bは、その一部を示す斜視図である。
図3Aに示すように、本実施形態の窒化物半導体発光素子は、AlX1InY1Ga1-X1-Y1N(0≦X1<1、0≦Y1<1、0≦X1+Y1<1)結晶から形成されたn型AlInGaN層101と、AlInGaN層101上に位置し、InZGa1-ZN(0<Z<1)結晶から形成されたInGaN発光層102と、InGaN発光層102上に位置し、AlX2InY2Ga1-X2-Y2N(0≦X2<1、0≦Y2<1、0≦X2+Y2<1)結晶から形成されたp型AlInGaN層103とを備えている。更に、この窒化物半導体発光素子は、n型AlInGaN層101に接するn型電極104と、p型AlInGaN層103に接するp型電極105とを備えている。
図3Bに示すように、n型AlInGaN層101は、全体として、結晶の{1−100}面であるm面に平行な方向に広がっているが、AlInGaN層101の上面は、m面から[0001]方向に傾斜した第1傾斜面101aと、m面から[000−1]方向に傾斜した第2傾斜面101bとを有している。傾斜角度の大きさは、図3Aにおいて、「θ」で示されている。
m面は、図2を参照して説明したように、c軸に平行な(1−100)面から構成され、非極性の面である。AlInGaN層の非極性面上に形成した発光層には自発分極や、ピエゾ電界が形成されないため、c面上に形成した発光層に比べ、内部量子効率を高めることができる。このような効果は、発光層がm面から僅かに傾斜した面上に形成されても同様に得られる。
なお、本明細書において「m面から[0001]方向に傾斜した面」とは、その面の法線がc軸[0001]方向の成分を有することを意味する。このような面(傾斜面)の法線は、a軸[11−20]方向の成分を含まないことが好ましい。
次に、図3Cおよび図3Dを参照して、InGaN発光層102の構成を詳しく説明する。図3Cは、InGaN発光層102を中心とする主要部を示す断面図であり、図3Dは、InGaN発光層102の上面図である。
図3Cに示されるように、InGaN発光層102は、AlInGaN層101の第1傾斜面101a上に位置する第1傾斜部分102aと、AlInGaN層101の第2傾斜面101b上に位置する第2傾斜部分102bとを有している。第1傾斜部分102aの発光波長は、第2傾斜部分102bの発光波長と異なっている。1つのInGaN発光層102であるにもかかわらず、発光部位によって発光波長が異なる理由は、第1傾斜部分102aと第2傾斜部分102bとの間でIn組成が異なるためである。In組成は、結晶成長の下地であるn型AlInGaN層101の表面における面方位に依存し、また、InGaN発光層102の成長条件、例えば成長速度やInの取り込み速度、温度、圧力、原料流量、原料に含まれる15族元素と13族元素のモル比等々の条件によって制御することができる。これらの成長条件が同一であっても、下地結晶の面が傾斜していると、傾斜の方向や傾斜角度θによってIn組成が異なったものとなる。この結果、同一成長条件で形成されたInGaN発光層102においても、第1傾斜部分102aと第2傾斜部分102bとの間で、In組成が異なることになる。In組成の違いは、結晶のバンドギャップに差をもたらすため、発光波長を変化させることになる。
後述するように、m面からの傾斜角度θを調整することにより、InGaN発光102層からの発光波長を、例えば435nmから475nmの範囲で変化させることができる。本発明の好ましい実施例(後述)では、傾斜角度θを1°だけ変化させることにより、約5nmの波長シフトを実現することができた。本実施形態では、1つの発光素子内において、発光波長の異なる複数の傾斜部分102a、102bをInGaN発光層102に形成しているため、発光素子から得られる光のスペクトルは、全体として、これらの傾斜部分102a、102bの各々から得られる発光スペクトルを合成したものになる。したがって、1つの発光素子から従来よりもスペクトル幅(半値全幅)を拡大した発光を得ることができる。
m面から[0001]方向に傾斜した第1傾斜面と、m面から[000−1]方向に傾斜した第2傾斜面とは、それらの傾斜面上に成長させるInGaN層のIn取り込み率に関して、相互に等価ではない。このため、図3Cに示すようにc軸の正方向および負方向に傾斜した2種類の傾斜面を形成すると、発光波長を短波長側および長波長側の両方にシフトさせることが可能になる。このような効果は、c面を主面とする基板を用いては得ることができなかったものである。
次に、図3E〜図3Hを参照しながら、本実施形態における他の構成例を説明する。
図3Eに示すように、AlInGaN層101の上面は、m面に平行な少なくとも1つの水平面101cを有していてもよい。この場合、InGaN発光層102は、第1傾斜部分102aおよび第2傾斜部分102bとは別に、m面に平行な水平部分102cをAlInGaN層101の水平面101c上に有することになる。InGaN発光層102の水平部分102cにおけるIn組成は、第1傾斜部分102aおよび第2傾斜部分102bのIn組成とは異なるため、InGaN発光層102から得られる発光波長は、部位に応じて3つになる。このような構成によれば、3種類の発光スペクトルが合成されるため、全体の発光スペクトルの半値全幅を更に広げることができる。
第1傾斜面101aおよび第2傾斜面101bは、図3Fに示すように、1つの発光素子内において、それぞれ、1つだけ形成されていても良い。しかし、例えば図3Cに示すように、複数の傾斜面101a、101bが[0001]方向に沿って交互に配列されることが好ましい。傾斜面101a、101bを交互に配列することにより、波長が異なる個々の発光領域を小さくすることができ、発光スペクトルの合成を空間的に均一化できるからである。また、図3Gに示すように、第1傾斜面101a、水平面101c、および第2傾斜面101bが[0001]方向に沿って交互に配列されていてもよい。図3Eに示すように、傾斜面101aまたは101bと、水平面101cとが[0001]方向に沿って交互に配列されていてもよい。
1つの発光素子内で複数の第1傾斜面101aおよび第2傾斜面101bを形成する場合、それらの傾斜面101a、101bとm面と間の傾斜角度(図3Hでは、傾斜角度θ1〜θ3)が相互に異なる大きさを有していても良いし、全て同じ角度であってもよい。傾斜角度θが相互に同じであれば、製造が容易になるという利点がある。傾斜角度θが傾斜面によって異なる場合、製造が難しくなるが、傾斜面上に位置する発光層から波長が相互に異なる発光スペクトルが得られるため、全体としてピーク分離の少ないブロードなスペクトルが得られるという利点がある。
AlInGaN層101の上面は、いずれも曲面ではなく平面が好ましい。これは、AlInGaN層101の上面に曲面が含まれてしまうと、その上に成長するInGaN発光層102の層厚制御性が低下するだけではなく、発光層界面の急峻性が損なわれてしまうからである。
以下、図4Aから図4Gを参照しながら、図3Aに示す窒化物半導体発光素子の製造方法の一例を説明する。
本実施形態では、MOVPE法(Metal−Organic Vapor Phase Epitaxy Method)を用いて窒化物半導体の結晶成長を行う。成長圧力は負圧から、大気圧(1atm)、大気圧以上の正圧のいずれでも良く、各結晶成長層において最適な圧力に切り替えても良い。また、原料を基板に供給するためのキャリアガスは、少なくとも窒素(N2)または水素(H2)等の不活性ガスを含むガスであることが好ましい。
本発明における窒化物半導体の成長方法は、MOVPE法に限定されず、ハイドライド気相成長法(HVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)など、化合物半導体結晶を成長させる全ての方法に適用することができる。
まず、図4Aに示すように、基板1400を用意する。基板1400としては、m面GaN基板、m面4H−SiC基板、m面6H−SiC基板、a面サファイア基板、MgAl24(スピネル)基板、Ga23基板などを用いることができる。このように、基板自体の表面(主面)がm面である必要は無く、m面を表面とする窒化物半導体が成長する基板であればよい。
基板1400の表面を有機溶剤や酸によって清浄した後、基板1400をMOVPE装置における反応室のサセプタ上に設置する。反応室を十分にN2で置換した後、キャリアガスをH2に切り替え、同時にアンモニア(NH3)を供給する。反応室内を850℃程度まで昇温し、10分程度、基板1400の表面に対するクリーニングを行う。
その後、さらに950〜1050℃まで昇温した後、トリメチルガリウム(TMG)とSiH4を供給することにより、約2μm厚のn型m面GaN層1401を基板1400の主面上に成長させる。
次に、図4Bに示すように、厚さ500〜1000nm程度のレジスト1410をn型m面GaN層1401の表面に均一に塗布する。その後、光量を位置に応じて変化させながら露光を行うグレースケール露光法により、三角形状の断面を有するレジストパターンを形成する(図4C)。このような露光は、例えばマスクレス露光装置(株式会社ナノシステムソリューションズ)によって行うことができる。
次に、塩素系のドライエッチングを用いて、n型m面GaN層1401の表面をエッチングする。エッチングガスとしては、塩素または塩化水素を用いることができる。エッチャーとしては、平行平板型プラズマまたは誘導結合型プラズマを好適に用いることができる。
上記のドライエッチング工程では、図4Dに示すように、n型m面GaN層1401の表面をエッチングする過程で、レジスト1410の表面もエッチングされてゆく。エッチングの進行に伴ってレジスト1410のエッジは後退する(図面中、水平横方向に移動する)ため、n型m面GaN層1401の表面のうちでレジスト1410によって覆われている領域は縮小する。
ここで、レジスト1410のエッジが水平横方向に後退する速度をEL、n型m面GaN層1401の表面が縦方向にエッチングされる速度をEVとする。この場合、n型m面GaN層1401の表面のうち、レジスト1410のエッジの後退によって初期に露出した部分は、後に露出した部分よりも長い時間エッチングされ、深くなる。こうして形成される傾斜面の傾斜角度θは、tanθ=EL/EVの関係を満たすことになる。
レジスト1410のエッジが水平横方向に後退する速度ELは、レジスト1410のエッチグ速度およびレジスト1410の断面形状に依存する。レジスト1410のエッチング速度は、エッチングガス中に添加する酸素の供給量によって調整することができる。
異方性エッチングを行う場合において、レジスト1410のエッチング速度とn型m面GaN層1401のエッチング速度とをほぼ等しくすると、レジスト1410の断面形状に相当する断面形状をn型m面GaN層1401の表面に付与することができる。
図4C〜図4Eに示す例では、n型m面GaN層1401の表面に形成した傾斜面の傾斜角度θが、グレースケール露光後のレジスト1410の傾斜面の傾斜角度にほぼ同等しい。
図4Dに示す段階でエッチングを停止し、レジスト1410を除去すれば、n型m面GaN層1401の表面に、m面に平行な面と傾斜面の両方を形成することができる。なお、グレースケール露光後のレジスト1410の断面形状がm面に平行な表面を有していれば、最終的にn型m面GaN層1401の表面においてもm面に平行な表面を形成することができる。また、レジスト1401が所定幅の開口部を有し、エッチング開始時点において、その開口部でn型m面GaN層1401の表面が露出していれば、その部分は、m面に平行な状態で深くエッチングされる。
このように、レジスト1410の形状やエッチング条件を調整することにより、種々の形状をm面GaN層1401の表面に付与することが可能である。
上記のエッチング工程の後、酸素アッシングおよび基板洗浄を行い、レジストを除去する。n型m面GaN層1401の表面を有機溶剤や酸によって清浄化した後、基板1400をMOVPE装置における反応室のサセプタ上に再び設置する。反応室を十分にN2で置換した後、キャリアガスをH2に切り替え、同時にアンモニア(NH3)を供給する。反応室を1℃/1秒の昇温レートで850℃まで昇温し、10分間、基板1400の表面に対するクリーニングを行う。その後、キャリアガスをN2に切り替え、温度を750〜800℃程度まで降温し、安定した後、TMGとトリメチルインジウム(TMI)を供給する。
こうして、図4Fに示すようにIn0.1Ga0.9N/GaN−MQWsからなるInGaN発光層1402を成長させる。In0.1Ga0.9N井戸層厚は3nm、GaN障壁層厚は7nmであり、井戸層数は3である。InGaN発光層1402には意図的なドーピングはしていない。
発光層1402の成長条件は、上述した具体的な条件に限定されず、他の条件を採用することができる。本実施形態によれば、下地に設けた表面構造により、通常の結晶成長条件のもとでも、その表面構造上に成長させるInGaN発光層1402にIn組成の異なる部分を形成することができる。
InGaN発光層1402の形成後、温度を1000℃まで昇温し、キャリアガスをH2に切り替え、成長温度が1000℃に到達後、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)をMg原料として添加する。こうして、図4Fに示すように、Mgがドーピングされた厚さ約500nmのp型m面GaN層1403を成長させる。
次に、n型m面GaN層1401の一部を露出させた後、図4Gに示すように、n型電極1404およびp型電極1405を形成し、本実施形態の窒化物半導体発光素子が完成する。
上記の製造方法では、エッチングによってn型m面GaN層1401の表面に傾斜面を形成しているが、本発明は、このような製造方法に限定されない。選択的なエピタキシャル成長によってn型m面GaN層1401の表面に傾斜面を形成することも可能である。また、エッチングとエピタキシャル成長の両方を行うことにより、傾斜面を有する構造を形成してもよい。
図3Eから図3Hに示す構造も、上記の方法と同様の方法によって製造することができる。
図5は、本発明の実施形態における、m面から傾斜した傾斜部分を有するInGaN発光層から得られた発光スペクトルを示すグラフである。グラフの横軸は波長λ(Wavelength:単位nm)、縦軸は発光強度(Intensity;任意単位)である。
図5のグラフにおいて、破線はm面上に形成され、傾斜部分を有しないInGaN発光層から得られる中心波長450nm、半値全幅20nmの発光スペクトルを示している。細実線は、上記破線で表された発光スペクトルを長波側と短波側へ、それぞれ7nmシフトさせることによって得られた2つの発光スペクトルを示している。太実線は、上記細実線で表された2つの発光スペクトルを合成することによって得られた中心波長450nmの発光スペクトルを示す。
図5から分かるように、InGaN発光層内にIn含有量が異なる傾斜部分を形成し、発光波長を長波長側と短波長側へ7nmシフトさせるだけで、InGaN発光層全体から得られる発光スペクトルの半値全幅は30nmに広くなる。この半値全幅は、傾斜
構造を持たない主面に平行な部分のみからなるInGaN発光層の発光スペクトルにおける半値全幅の約1.5倍の大きさである。
図6は、本発明の実施形態における、YAG系蛍光体を用いた白色LEDの発光スペクトルを示すグラフである。グラフの横軸は波長λ(Wavelength:単位nm)、縦軸は発光強度(Intensity;任意単位)である。
図6のグラフにおいて、破線は発光スペクトルの半値全幅が20nmである従来の青色LEDを用いた白色LEDの発光スペクトルを示している。一方、実線は本発明の実施形態における発光スペクトルの半値全幅が30nmに広がった青色LEDを用いた白色LEDの発光スペクトルである。図6から分かるように、青色LEDの半値全幅が広がったことにより、青色成分と黄色成分の間の発光強度が改善されており、演色性の向上が確認された。
図7は、本発明の実施形態における、蛍光体吸収線からの波長ずれΔλ(単位nm)と、蛍光体吸収線への励起効率(単位%)との関係を示すグラフである。図7において、破線は発光スペクトルの半値全幅が20nmである従来の青色LEDについて、実線は発光スペクトルの半値全幅が30nmに広がった本発明の実施形態における青色LEDについてプロットしたものである。図7から分かるように、発光スペクトルの半値全幅が広がったことにより、ピーク波長が蛍光体吸収線からずれても励起効率が減衰しにくくなっている。
図8は、本発明の実施形態における、m面からの傾斜角度と傾斜によるInGaN発光層のピーク波長のシフト量との差を示すグラフである。グラフの横軸は、m面から[0001]方向および[000−1]方向に傾斜した面の傾斜角度θ(Slope Angle:単位degree)であり、縦軸は、傾斜角度θの傾斜面に形成されたInGaN発光層のピーク波長とm面上に形成されたInGaN発光層のピーク波長との差(Wavelenth shift:単位nm)である。
図8のデータを得るため、傾斜面の傾斜角度θが異なる複数のGaN基板を準備し、傾斜角度θが0°のときの発光波長が450nmとなる結晶成長条件を用いて、上記基板上にInGaN発光層を結晶成長した。本実験では、傾斜角度θによって、InGaN発光層からの発光波長を435nmから475nmの範囲で変化させることができた。
図8のデータによれば、傾斜角度θを1°だけ変化させることにより、約5nmの波長シフトが確認されていた。しかし、単位傾斜角度あたりの波長シフト量は、発光層の成長条件(例えば成長速度やInの取り込み速度、温度、圧力、原料流量、原料に含まれる5族元素と3族元素のモル比等々の条件)によって制御することができる。これらのパラメータを変化させることによって得られるあらゆる成長条件においても、本発明の効果は発揮される。
図9は、本発明の実施形態において、傾斜面上に形成された発光層のカソードルミネッセンス(CL)のマッピング測定結果と、傾斜面の構成を模式的に示す図である。
ここでは、m面GaN基板の表面に山型のGaN層を形成した後、InGaN発光層の結晶成長を行った。図9において、[0001]方向と[000−1]方向に傾斜した面は、いずれも、主面であるm面から0.23°傾斜している。
[0001]方向に傾斜した発光層の傾斜部分からは400.0nmの発光波長が、[000−1]方向に傾斜した発光層の傾斜部分からは398.5nmの発光波長が得られている。
図10Aは、本発明の実施形態について、図9に示されているLine−Aに沿ってCL測定を行った結果を示すグラフであり、図10Bは、Line−Bに沿った測定結果を示すグラフである。グラフの横軸は図9のLine−AまたはLine−B上のCL測定位置である。
図10Aのグラフから分かるように、[0001]方向に傾斜した傾斜部分からは約400.0nmで一定な発光波長が得られ、[000−1]方向に傾斜した面からは約398.5nmで一定な発光波長が得られた。一方、図10Bのグラフから分かるように、<11−20>方向に傾斜した傾斜部分からは、約399.5nmの一定な発光波長が得られた。このように、発光層の傾斜部分を特定の方向に傾斜することにより、発光波長のシフトさせることができる。
図11は、図9に示されている傾斜面上に形成した発光層から得られた発光スペクトルを示すグラフである。図11のグラフにおいて、2つの破線は、それぞれ、主面から[0001]方向と[000−1]方向にそれぞれ0.23°だけ傾斜した傾斜部分から得られた発光スペクトルである。実線は、上記の傾斜面上に形成された発光層全体から得られた発光スペクトルである。破線で示された発光スペクトルからは約13.5nmの半値全幅が、実線で示された発光スペクトルからは約16.0nmの半値全幅が得られた。本発明の実施形態によれば、発光層内に0.23°の傾斜角度を持つ傾斜構造を付与することにより、発光層全体の発光スペクトルの半値全幅を約20%向上させることができることが確認された。
ここで、m面に平行な面上に形成された発光層から得られる発光波長を基準として、傾斜部分から得られる発光波長のシフト量を|Δλ|とし、その傾斜部分から得られる発光スペクトルの半値全幅をFslopeとする。このとき、(傾斜部分から得られる発光波長のシフト量)/(傾斜部分から得られる発光スペクトルの半値全幅)は、|Δλ|/Fslopeで表される。
図12は、本発明の実施形態において、発光層全体から得られる発光強度(PeakIntensity)と|Δλ|/Fslopeとの関係を示すグラフである。図12において、|Δλ|/Fslopeが0.35、0.425、0.5の値となるときに特徴的な現象が発生するので、それぞれについて以下に説明する。
まず、m面{1−100}から[0001]方向と[000−1]方向に、それぞれ、傾斜角度θだけ傾斜した2つの傾斜部分(同じ面積)を持つ発光層を考える。1つの傾斜部分の発光スペクトルの半値全幅をFslope[nm]とし、m面{1−100}に平行な発光層の発光スペクトルのピーク波長と、傾斜部分の発光スペクトルのピーク波長との差はΔλ[nm]である。m面からの傾斜角度θに対するΔλの比は、Δλ/θであり、この比をαとおくことにする。
Δλ/Fslope>0.35を満たす範囲において、傾斜部分を含む発光層の全体から得られる発光スペクトルの半値全幅が、傾斜部分を有しないm面{1−100}に平行な発光層から得られる発光スペクトルの半値全幅の1.5倍以上となる。例えばFslope=30nm、|α|=3nm/degreeの場合、|θ|>3.50°であり、例えばFslope=10nm、|α|=8nm/degreeの場合、|θ|>0.438°である。
|Δλ|/Fslope<0.425を満たす範囲においては、傾斜部分を含む発光層全体から得られる発光スペクトルのピーク波長が、傾斜部分を有しないm面{1−100}に平行な発光層から得られる発光スペクトルのピーク波長からずれていない。例えばFslope=30nm、|α|=3nm/degreeの場合、|θ|<4.25°であり、例えばFslope=10nm、|α|=8nm/degreeの場合、|θ|<0.531°である。
|Δλ|/Fslope<0.5を満たす範囲においては、傾斜部分を含む発光層全体から得られる発光スペクトルのピーク強度が、1つの傾斜部分から得られる発光スペクトルのピーク強度を上回る。例えばFslope=30nm、|α|=3nm/degreeの場合、|θ|<5.00°であり、例えばFslope=10nm、|α|=8nm/degreeの場合、|θ|<0.625°である。
図13は、本発明の実施形態において、傾斜部分から得られる発光波長のシフト量が発光層全体から得られる発光スペクトルへ及ぼす効果を示すグラフである。グラフの横軸は、|Δλ|/Fslopeであり、縦軸は、傾斜部分から得られる発光波長のシフト量が発光層全体から得られる発光スペクトルへ及ぼす効果(Peak shift effect:任意単位)である。図13のグラフにおいて、|Δλ|/Fslopeが0.35、0.425、0.5の値となるときに発生する特徴的な現象は、先に説明した通りである。
図13の縦軸である「Peak shift effect」を以下の式で定義することとする。
(Fwhole/Fslope)^IC
ここで、Fslopeは傾斜部分から得られる発光スペクトルの半値全幅、Fwholeは発光層全体から得られる発光スペクトルの半値全幅、IC発光層全体から得られる発光スペクトルの規格化発光強度である。ここで定義された値は、蛍光体の励起効率を相対的に示すものであり、この値が大きくなるほど蛍光体の吸収効率が大きくなる。また、記号「^」は、累乗を示している。
図13からも分かるように、本発明の最大の効果が得られる条件は、|Δλ|/Fslope=0.45のときである。これは、例えばFslope=30nm、|α|=3nm/degreeの場合、|θ|<4.50°であり、例えばFslope=10nm、|α|=8nm/degreeの場合、|θ|<0.563°である。
以上の事実から、本発明の最大の効果を得るためには、主面であるm面{1−100}から[0001]方向と[000−1]方向に傾斜した面を、傾斜角度θの絶対値|θ|が0度より大きく5度以下となるように設計することが好ましい。
また、傾斜角度が傾斜面によって異なる値となっても良いが、上記の指針から、傾斜した面を含む発光層全体の表面積が、前記基板の表面積の1.01倍以下に設計することが好ましい。これ以上の値となると、前記傾斜した面の傾斜角度が5度以上となり、本発明の効果が弱くなるばかりか、発光層の上に形成される多層膜の平滑性が維持できなくなる。
図14Aは、本発明の実施形態における、m面から[0001]方向に傾斜した面の総和面積S1に対するm面から[000−1]方向に傾斜した面の総和面積S2の比S2/S1と、発光層全体から得られる発光スペクトルの半値全幅Fwholeとの関係を示すグラフである。一方、図14Bは、本発明の実施形態における、S2/S1と(Fwhole/Fslope)・ICとの関係を示すグラフである。図14A、図14Bのグラフにおいて、いずれのデータも、傾斜部分から得られる発光スペクトルの半値全幅Fslopeは20nmであり、|Δλ|は5nm、7nm、9nmである。
図14A、図14Bから分かるように、S2/S1が1から離れる値を持つと、発光層全体から得られる発光スペクトルのピークがシフトするだけではなく、本発明の効果が弱くなってしまう。このため、m面から[0001]方向に傾斜した面の総和面積S1と、m面から[000−1]方向に傾斜した面の総和面積S2とは、ほぼ等しくなるように設計することが好ましい。また、S1とS2との間に差が存在する場合でも、0.5≦S2/S1≦2を満たすように設計することが望ましい。
本発明は、発光スペクトルの半値全幅を広げることを可能にするため、蛍光体吸収線への励起効率を向上させるとともに、白色LEDの演色性も向上させる。このため、本発明は、高効率白色LEDの発光源に応用することが有用である。
また、本発明は、発光層内のインジウム組成を制御することにより、発光波長を任意に制御することが可能であるため、RGB(赤色・緑色・青色)3波長型白色照明の発光源にも応用できる。
GaNの単位格子を模式的に示す斜視図である。 ウルツ鉱型結晶構造の基本並進ベクトル(primitive translation vectors)a1、a2、a3を示す斜視図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の実施形態を示す断面図である。 図3Aの主要部を示す斜視図である。 図3Aの実施形態における傾斜面の配列を示す断面図である。 図3Aの実施形態における傾斜面の配列を示す平面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の他の構成を示す断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の更に他の構成を示す断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の更に他の構成を示す断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の更に他の構成を示す断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明による窒化物半導体発光素子の製造工程を示す工程断面図である。 本発明の実施形態における、傾斜面を付与したInGaN発光層から得られた発光スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施形態における、YAG系蛍光体を用いた白色LEDの発光スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施形態における、蛍光体吸収線からの波長ずれと、蛍光体吸収線への励起効率の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態における、InGaN発光層に含まれる傾斜部分の傾斜角度と、傾斜構造のない主面から得られる発光スペクトルのピーク波長と傾斜部分から得られる発光スペクトルのピーク波長の差の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態における、傾斜部分を含む発光層のカソードルミネッセンス(CL)のマッピング測定結果とその傾斜部分を模式的に示す図である。 図9のLine−Aに沿って測定したCL強度を示すグラフである。 図9のLine−Bに沿って測定したCL強度を示すグラフである。 本発明の実施形態における、図9に示されている傾斜部分を付与した発光層から得られた発光スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施形態における、(傾斜部分から得られる発光波長のシフト量)/(傾斜部分から得られる発光スペクトルの半値全幅)と、(発光層全体から得られる発光強度)の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態における、(傾斜部分から得られる発光波長のシフト量)/(傾斜部分から得られる発光スペクトルの半値全幅)と、(傾斜部分から得られる発光波長のシフト量が発光層全体から得られる発光スペクトルへ及ぼす効果)の関係を示すグラフである。 本発明の実施形態において、発光層全体から得られる発光スペクトルの半値全幅FwholeとS2/S1との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態において、傾斜部分から得られる発光波長のシフト量が発光層全体から得られる発光スペクトルへ及ぼす効果とS2/S1との関係を示すグラフである。 特許文献1と非特許文献1に記載された、従来の非極性面や半極性面を含む発光層を示す図である。 非特許文献2に記載された、従来の非極性面や半極性面を含む発光層を示す図である。
101 n型窒化物層
101a 第1傾斜面
101b 第2傾斜面
101c 水平面
102 InGaN発光層
102a 第1傾斜部分と、
102b 第2傾斜部分
102c 水平部分
103 p型窒化物層
104 n電極
105 p電極
1201 窒化物層
1202 InGaN発光層
1301 窒化物層
1302 InGaN発光層
1400 基板
1401 n型窒化物層
1402 InGaN発光層
1403 p型窒化物層
1404 n電極
1405 p電極
1410 レジスト

Claims (15)

  1. AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、前記結晶の{1−100}面であるm面に平行な方向に広がるAlInGaN層と、
    前記AlInGaN層上に位置し、InZGa1-ZN(0<Z<1)結晶から形成されたInGaN発光層と、
    を備える窒化物半導体発光素子であって、
    前記AlInGaN層の上面は、
    前記m面から[0001]方向に傾斜した少なくとも1つの第1傾斜面と、
    前記m面から[000−1]方向に傾斜した少なくとも1つの第2傾斜面と
    を有している、窒化物半導体発光素子。
  2. 前記InGaN発光層は、
    前記AlInGaN層の前記第1傾斜面上に位置する第1傾斜部分と、
    前記AlInGaN層の前記第2傾斜面上に位置する第2傾斜部分と
    を有しており、
    前記第1傾斜部分の発光波長は、前記第2傾斜部分の発光波長と異なっている、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記InGaN発光層の表面において、前記第1傾斜部分の全体の面積をS1とし、前記第2傾斜部分の全体の面積をS2とするとき、S1とS2がほぼ等しい、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 0.5≦S2/S1≦2を満たす、請求項3に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記AlInGaN層の前記第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値、および、前記第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値は、いずれも、0度より大きく5度以下の範囲にある、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記AlInGaN層の前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、[0001]方向に沿って交互に配列されている、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記AlInGaN層の前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、それぞれ、平面から構成されている、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 前記AlInGaN層において、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、いずれも、複数存在しており、
    前記複数の第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値は相互に等しく、
    前記複数の第2傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値も相互に等しい、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  9. 前記AlInGaN層において、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、いずれも、複数存在しており、
    前記複数の第1傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値、および、前記複数の第2傾斜面と前記m面とがなす角度の絶対値は、相互に異なっている、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  10. 前記AlInGaN層の上面は、前記m面に平行な少なくとも1つの水平面を有しており、
    前記InGaN発光層は、前記AlInGaN層の前記水平面上に位置する水平部分を有している、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 前記AlInGaN層の前記第1傾斜面、前記水平面、および前記第2傾斜面は、[0001]方向に沿って交互に配列されている、請求項10に記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 前記AlInGaN層の前記第1傾斜面、前記水平面、および前記第2傾斜面は、それぞれ、平面から構成されている、請求項10に記載の窒化物半導体発光素子。
  13. AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、前記結晶の{1−100}面であるm面に平行な方向に広がるAlInGaN層であって、上面が前記m面から[0001]方向に傾斜した少なくとも1つの第1傾斜面と、前記m面から[000−1]方向に傾斜した少なくとも1つの第2傾斜面とを有しているAlInGaN層を形成する工程(A)と、
    前記AlInGaN層上に、InZGa1-ZN(0<Z<1)結晶から形成されたInGaN発光層を形成する工程(B)と、
    を含む窒化物半導体発光素子の製造方法。
  14. 前記工程(A)は、
    AlXInYGa1-X-YN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)結晶から形成され、m面を表面に有する平坦層を用意する工程(a1)と、
    前記平坦層の表面を加工することにより、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面を有する前記AlInGaN層を前記平坦層から形成する工程(a2)と、
    を含む、請求項13に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  15. 前記工程(a2)は、エッチングによって前記平坦層の表面形状を変化させる工程、およびエピタキシャル成長によって前記平坦層の表面形状を変化させる工程の少なくとも一方を含む、請求項14に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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