JP2010182457A - 色素増感太陽電池用セパレーター - Google Patents

色素増感太陽電池用セパレーター Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来の色素増感太陽電池用セパレーターのイオン伝導性の低さを改善し、薄くても充分な絶縁性とイオン伝導性を両立しうる色素増感太陽電池用セパレーターを提供するものである。
【解決手段】不織布で形成され、厚みが1〜30μmで通気度が20〜300cm/cm/秒である色素増感太陽電池用セパレーター。
【選択図】 なし

Description

本発明は、薄くても絶縁性とイオン伝導性を両立しうる色素増感太陽電池用セパレーターに関するものである。
現在、クリーンおよび持続可能エネルギー源として太陽電池が注目されており、普及が進んでいる。現在の太陽電池の主流は結晶シリコン系であり、光変換効率は高いが、発電層に用いるポリシリコンのコストが高く、低コスト化が難しいと言う問題がある。また、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池もあるが、光変換効率が低く、真空蒸着工程が必要であることから低コスト化に限界がある。また、化合物系太陽電池もあるが、カドミウムやセレン、テルルなどを用いるため環境安全対策が必要であり、これも主流とはなっていない。
そこで、製造工程が簡単であり光変換効率も高い次世代太陽電池として色素増感太陽電池が注目を集めている。色素増感太陽電池とは、色素(ルテニウム錯体など)を吸着させた半導体電極(酸化チタンなど)、対極(白金など)およびこれら電極間に満たされた電解質層から構成されるものである(非特許文献1)。また、色素増感太陽電池の上記以外のメリットとして、薄型化やフレキシブル化がある。しかしながらこれらを進めていくと、半導体電極と対極が短絡しやすくなるという問題が生じてしまう。このため、現状の色素増感太陽電池ではセパレーターは用いられていないが、ごく最近、半導体電極と対極の間にセパレーターを挿入することが提案されている(特許文献1〜3)。すなわち、色素増感太陽電池技術の進歩やその応用の拡がりの過程で、色素増感太陽電池の極薄化、フレキシブル化を可能とする新しい技術が、ごく最近求められ始めているのである。
例えば特許文献1、2では、色素増感太陽電池用セパレーターとして、合成繊維やセルロースから成る湿式抄造不織布(すなわち紙)や微多孔フィルムが提案されている。また特許文献3では、色素増感太陽電池用セパレーターとして、エレクトロスピニング(ESP)による絶縁性多孔質膜が提案されている。しかし、これらはいずれもリチウムイオン電池用セパレーターやアルカリ電池用セパレーターからの延長としてセパレーターが設計されていると考えられ、必ずしも色素増感太陽電池に適したセパレーターというわけではなかった。
その理由を下記に詳述する。
リチウムイオン電池やアルカリ電池では使用中にデンドライトが成長し、セパレーターを突き破って電極が短絡する可能性がある。特にエネルギー密度の高いリチウムイオン電池では、これが起こると電池の発火や爆発など安全上深刻なトラブルとなる。このため、これらの電池用セパレーターでは細孔を小さくし、デンドライトの突き刺し耐性を高めることが求められていた。例えば、特許文献4では細孔を小さくした結果として、セパレーターの通気度は0.1〜10cc/cm/秒と規定しており(同文献[請求項8])、10cc/cm/秒はデンドライトによる短絡を高度に防止できる空隙範囲と記載している(同文献[0031])。また、デンドライト対策として電池の温度が上がるとセパレーターの細孔が自然に閉じるシャットダウン機能が求められ、このため低融点であるポリプロピレン(PP)が使用されることもあった。また、電気伝導を担う電解質イオンが比較的小さいため、セパレーターの細孔を小さくしてもエネルギー密度への影響は小さいものであった。
特許文献1〜3では従来のリチウムイオン電池用セパレーターやアルカリ電池用セパレーターからの延長としてセパレーターが設計されているため、色素増感太陽電池にそのまま適用すると、エネルギー密度が低下してしまう場合があった。
また、特許文献5には色素増感太陽電池用セパレーターとして多孔性接着樹脂に無機微粒子を分散した物が提案されているが、無機微粒子を多量に含むため重量が重くなる問題があった。
なお、特許文献6には、メルトブローによるポリフェニレンスルフィド不織布を二軸延伸して電池用セパレーターとして用いることが記載されているが、該発明がなされた2000年当時には、色素増感太陽電池用セパレーターそのものが認識されていたわけではないと考えられ、このため色素増感太陽電池用として好適な設計を開示したものではない。
特開2006−040827号公報 特開2006−252914号公報 特開2006−331791号公報 特開2008−235047号公報 特開2005−268107号公報 特開2002−105834号公報
「薄膜太陽電池の開発最前線」、株式会社エヌ・ティー・エス、5〜19ページ(2005).
本発明は、従来の色素増感太陽電池用セパレーターのイオン伝導性の低さを改善し、薄くても充分な絶縁性とイオン伝導性を両立しうる色素増感太陽電池用セパレーターを提供するものである。
上記目的は、以下の手段により達成される。
(1)不織布で形成され、厚みが1〜30μmで通気度が20〜300cm/cm/秒である色素増感太陽電池用セパレーター。
(2)不織布を形成するポリマーの90重量%以上がポリフェニレンスルフィドである(1)記載の色素増感太陽電池用セパレーター。
(3)(1)または(2)のいずれか1項記載の色素増感太陽電池用セパレーターと電極とが一体化されてなる一体化電極である。
(4)(1)または(2)のいずれか1項記載の色素増感太陽電池用セパレーターを含む色素増感太陽電池。
本発明の通気度の高い色素増感太陽電池用セパレーターにより、セパレーターを薄くしても絶縁性とイオン伝導性を両立することができる。すなわち、本発明の色素増感太陽電池用セパレーターは、不織布で形成され通気度が20〜300cm/cm/秒であるため、セパレーターの細孔径が大きくイオン伝導性が良好である。さらにセパレーターの厚みが1〜30μmであるため、色素増感太陽電池の薄型化やフレキシブル化に充分対応可能である。
本発明のセパレーターの一例を示す図である。 本発明のセパレーターを組み込んだ色素増感太陽電池セルの一例を示す図である。
本発明で言うセパレーターとは、半導体電極と対極が短絡しないように両極を隔離するものである。
そして、本発明のセパレーターは、不織布より形成されてなることが重要である。不織布を採用することにより、厚みや通気度のバランスに優れたものを得ることができ、ひいては充分な絶縁性とイオン伝導性を両立しうる色素増感太陽電池用セパレーターを得ることができる。
不織布の製造方法や形態としては、短繊維をニードルパンチやウォータージェットパンチ等で絡合して得られたものでも、スパンボンドやメルトブローで得られたものでもよい。また、本発明の効果が得られる範囲で有れば、抄紙やESP、フラッシュ紡糸等で得られたものでも良い。なかでもメルトブロー不織布が、後述するように二軸延伸することで所望の厚みや通気度とし易いため好ましい。また、不織布は単層不織布でも積層不織布でもよいし、混綿等が行われていてもよい。また、本発明のセパレーターは有機ポリマーのみで構成されると、軽量化の観点からメリットがある。特に色素増感太陽電池を大面積で使用したり、ハンドキャリー可能な小物に貼り付ける、あるいはウエアラブルとする場合には、軽量化の意義は大きい。
セパレーターとなる不織布を形成するポリマーとしては、耐薬品性が高いものが好ましい。特に色素増感太陽電池では、電解質(レドックス系)としてヨウ素系物質を使用するが、これは酸化力が強いためポリマー種によっては劣化、溶解し易い。また、ヨウ素系物質を溶解する溶媒もニトリル系、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、オキサゾリン系、またイオン液体等が用いられるため、溶解し易いポリマーが多い。
この点から、ポリアリーレンやポリオレフィン類、芳香族ポリエステル、液晶ポリマー、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー等が、好ましい。
ポリアリーレンとしては例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)やポリエチレンスルフィドを挙げることができる。芳香族ポリエステルとしては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを挙げることができる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)等を挙げることができる。液晶ポリマーとしては、例えば液晶ポリエステルなどを挙げることができる(「最新の紡糸技術」、第7章、繊維学会編集、高分子刊行会(1992))。耐薬品性の観点からは、PPS、PE、PP、PMP、液晶ポリエステル、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマーがより好ましく、特にPPS、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマーが好ましい。
また、色素増感太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであるから、セパレーターに用いるポリマーも耐光性が高い方が好ましい。この観点からは、PE、PP、PMPが好ましい。
また、熱寸法安定性の観点からは、PET、PP、PMP、液晶ポリマーが好ましく、ポリマーコスト面からは芳香族ポリエステル、PE、PP、が好ましい。
また、色素増感太陽電池においては、シャットダウン機能も不要であるので、高融点ポリマーの採用が可能となる。
以上の観点を考慮し、溶融紡糸によるメリット(低環境負荷、コスト)を考え併せると、PPSが最も好ましく、特に耐薬品性の観点からはPPSが多量であることが好ましく、不織布を形成するポリマーの90重量%以上がPPSであることが好ましい。
本発明のセパレーターの厚みは1〜30μmとすることで、色素増感太陽電池の薄型化やフレキシブル化に対応することができる。セパレーター厚みは20μm以下であれば電池のさらなる薄型化が可能であり、電池全体としてのエネルギー効率が向上し好ましい。セパレーター厚みはより好ましくは15μm以下である。一方、セパレーターの厚みは1μm以上、好ましくは5μm以上とすることで、セパレーターの力学特性が向上し、取り扱い性が向上するとともに両極の絶縁性をより向上することができる。
本発明のセパレーターは、フラジール法による通気度が20〜300cm/cm/秒であることが重要である。20cm/cm/秒以上とすることで、充分細孔径が大きいことを示しており色素増感太陽電池においても良好なイオン伝導性を得ることができる。通気度は大きい方がイオン伝導性を向上させられるため、好ましくは40cm/cm/秒以上、より好ましくは75cm/cm/秒以上である。
従来のリチウムイオン電池用やアルカリ電池用のセパレーターのように細孔が小さいものを色素増感太陽電池に用いると、イオン伝導が妨げられるためエネルギー密度が低下してしまう場合があったが、この原因を追求した結果、色素増感太陽電池で一般的に用いられる電解質イオンがIやI と比較的大きいことが関係していると考えられた。すなわち、従来のリチウムイオン電池用やアルカリ電池用のセパレーターではデンドライトの貫通を抑制するため細孔径を1μm以下まで小さくしたり、通気度で言えば0.1〜10cm/cm/秒まで低くする必要があった(特許文献4[0031])が、このような小さな細孔、低い通気度のセパレーターを色素増感太陽電池に用いると、IやI あるいはこれらが溶媒和したイオンは巨大であるため、従来の小さな細孔ではセパレーター中のイオン伝導効率が低く、結果として電池のエネルギー密度低下を引き起こしたと考えられた。このため、本発明ではこのような巨大イオンの伝導に適した細孔を設計したのである。これは、デンドライト生成のない色素増感太陽電池であるからできる設計である。
一方、セパレーターの通気度を300cm/cm/秒以下とすることで、半導体微粒子がセパレーターを通り抜けることを禁止する程度に細孔径を小さくすることができる。イオン伝導と短絡防止をよりバランスさせるためには、セパレーター通気度は好ましくは240cm/cm/秒以下である。
このように、色素増感太陽電池ではリチウムイオン電池やアルカリ電池とはセパレーターの設計思想を全く変えることが重要である。
図1(走査型電子顕微鏡写真)に本発明のセパレーター表面状態の一例を示すが、繊維により構成される数十μmレベルの細孔が重なっていることが分かる。図1から分かるように、セパレーター表面状態から細孔径を定義することが難しいため、本発明では細孔径の大きさをセパレーターの通気度で表現する。通気度は重なった細孔を空気がどれだけ透過するかを示す値であるため、電解質イオンの伝導度を予測するパラメータとして適当なものと考えられる。
図2には本発明のセパレーターを組み込んだ色素増感太陽電池の一例を示しているが、図2では電解質溶液4はセパレーター5と色素吸着半導体電極3の間にも存在しているが、セパレーター5の細孔中に電解質溶液4を保持させる、すなわち図2において電解質溶液層を無くすると、電池セルのさらなる薄型化が可能および液洩れの可能性もほとんど無くなり好ましい。この時には、セパレーターには電解質溶液を保持する機能が新たに求められるため、保液性が高いことが好ましい。保液性は細孔容量の影響が大きいと考えられるため、セパレーターの空隙率が高いことが好ましい。
本発明のセパレーターの製造方法は特に制限は無いが、薄い不織布を形成した後これを延伸する製造方法を採用することができる。本発明ではセパレーター厚みが1〜30μmと非常に薄く、通常の繊維の直径である10〜30μmから考えるとセパレーター横断面当たり繊維が多くとも1〜3本しか存在できないことになり、通常の方法では本発明のセパレーターを得難いのである。このため、いかに薄い不織布を得るか、また細孔径、すなわち通気度をいかに制御するかが製造方法を考える上で重要になってくる。
まず延伸の原料となる不織布の目付としては10〜50g/mと薄くすることが好ましい。これにより、延伸による極薄化、すなわち厚みを1〜30μmとすることができる。また、元々の面積あたりの繊維量が少ないため、通気度を大きくする観点からも有利である。一方、原料不織布の目付は10g/m以上とすることで、目付斑、すなわち不織布の厚み斑を低減し、セパレーターの信頼性を向上することができる。実際、本発明の実施例1〜3では40g/mの薄い不織布を原料とすることで、厚み9〜20μm、通気度77〜201cm/cm/秒の色素増感太陽電池用セパレーターに適した延伸不織布を得ることができたが、目付100g/mのやや厚めの不織布を原料とした場合には、比較例1のように厚い延伸不織布となり極薄化し難いものであった。そこで、比較例2、4のようにニップロールの不織布側にセラミックスロールを用いると熱プレス効果を付加することで極薄化は可能となるが、通気度が過度に低下してしまい所望の通気度を得難いものであった。
この原料となる薄い不織布を形成するためには、短繊維をニードルパンチやウォータージェットパンチで絡合するよりもスパンボンド法やメルトブロー法を用いる方が比較的簡単に薄い不織布を形成し易く好ましい。また、不織布を薄くすることのみならず充分な通気度の不織布とするためには不織布を形成する繊維の繊維径を細くすることが有効であるが、この観点からスパンボンド法よりもメルトブロー法を採用することが好ましい。また、一般にスパンボンド法では紡糸線で繊維が配向結晶化するが、メルトブロー法ではほとんど配向結晶化しないか、配向結晶化の程度がかなり低い。このため、不織布をさらに延伸で薄くすることを考えると、配向結晶化の程度がかなり低いメルトブロー不織布の方が延伸し易く、この観点からもメルトブロー法の方が本発明のセパレーターを得るためには適している。なお、極細繊維不織布を得る観点からは、ESPを考えることもできる。しかし、充分な両極隔離性とセパレーター力学特性を得ようとすると不織布厚みを厚くする方が有利であるが、ESPで得られるナノレベルの極細繊維では繊維が密に詰まるため細孔径が小さくなり過ぎ通気度が低い物となってしまう。さらに、先に挙げたポリマーのうち、芳香族ポリエステル、PP、PMP、PPSなどでは溶媒に制限が有るため、これらのポリマーを繊維化するにはESPは向いていないと考えられる。なお、抄紙法も考えられるが、抄紙法では紙を薄くしていくと厚み斑が過大と成り易く、セパレーターの信頼性が低下しやすい。また、薄い紙で厚み斑を改善する方法としてナノファイバー抄紙が考えられるが、ESPと同じく繊維が密に詰まるため、通気度の観点から不利である。このように、本発明のセパレーターを得るためにはメルトブロー法を採用することが最も好ましいと考えられる。
メルトブロー法は溶融ポリマーを高温気流で吹き飛ばし、これを不織布として捕集するものであり、平均繊維径がおおよそ1〜10μmの繊維が得られるプロセスである(「最新の紡糸技術」、第4章、123〜128ページ、繊維学会編集、高分子刊行会(1992))。それぞれのポリマーについて、公知の方法を用いて平均繊維径が1〜10μm、目付10〜50g/mの薄い不織布を得ることができる。例えば、PPでは特開2000−008259号公報、PETでは特開平4−91267号公報、PTTでは特開平11−107154号公報、PPSでは特開昭63−315655号公報にメルトブローによる製造方法が記載されている。
次に上記薄いメルトブロー不織布を延伸することで厚みが30μm以下の極薄化を達成することができる。なお、単に薄くする観点からは延伸でもカレンダー加工などの熱プレスでも良いのであるが、熱プレスが繊維や繊維間空隙を潰して薄くするのに対し、延伸は繊維を細くすると共に繊維間空隙を拡大することになるため、延伸の方が好ましいのである。すなわち、延伸は不織布の極薄化と通気度向上を同時に達成することができ、一石二鳥である。なお、熱プレスでは繊維間空隙が潰されるため通気度が低下してしまうのである。
次に延伸について説明する。上記メルトブロー不織布の延伸は1軸延伸のみであると不織布の異方性が顕著になるため、二軸延伸を行いなるべく等方性とすることが、セパレーターの物性均一性の観点から好ましい。また、一軸延伸であると延伸倍率の上限が低くなるため、二軸延伸により延伸倍率の上限を高くする方が、不織布の極薄化の観点から好ましい。さらに一軸延伸では細孔が延伸方向に伸び細孔が潰れ易くなる場合があるが、二軸延伸ではこれと直角方向に伸ばすため、細孔を二次元的に拡げ、細孔径を拡大することに有効である。
また、延伸は不織布をそのまま延伸することも不可能ではないが、原料不織布の段階でかなり薄い(低目付)ため、取り扱い性が悪く延伸が不均一になりセパレーターの厚み斑が過大となる可能性がある。また、薄い不織布でありポリマーの分子配向も進んでいないことから力学特性が低く、延伸切れなどのトラブルも発生しやすくなる可能性がある。特に、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法などの方法で横方向に延伸を施す場合、不織布の両端部をクリップで把持して横方向に延伸することが一般的であるが、一般的に不織布の両端部は繊維量が極端に少なく、しっかり把持できず、また延伸工程内で延伸切れが頻発するという問題がある。このため、メルトブロー不織布の延伸は、なんらかの支持体に不織布を積層し共延伸することが好ましい。これにより、延伸が安定し厚みが均一なセパレーターとすることができ、さらに延伸切れ等の工程トラブルも抑制することができる。ここで、セパレーターの面内厚みが均一になると、セパレーターを薄くしても短絡の危険性を減少できるため、好ましい。逆に薄い不織布のみで延伸すると、仮に延伸できたとしても面内均一性が不良となるため、不織布中でセパレーターとして採取する場所によってセパレーター厚みが異なったり、同じセパレーター内でも厚み斑が過大となり、セパレーターの信頼性が低いものとなってしまう可能性がある。なお、共延伸後は極薄不織布と支持体を剥離し、極薄不織布を単離する。このための支持体としてフィルムを用いると、不織布の平滑性を損なうことなく、また延伸均一性も良好になるので好ましい。すなわち、色素増感太陽電池に適したセパレーターを得るためには、以上のように不織布と支持体(フィルム)の積層体を二軸共延伸する方法を採用することが好ましいのである。もちろん、実使用に際しては支持体は不織布(セパレーター)から剥がして使用する。
支持体として用いるフィルム厚みは取り扱い性と延伸張力を勘案して決めることが好ましいが、共延伸前のフィルム厚みを100〜1500μmの範囲とすると取り扱い性が良好であり延伸張力も高すぎることがなく好ましい。また、積層体の共延伸における支持体であるフィルムの厚みは、延伸後不織布の細孔径、すなわち通気度制御の観点からも重要であり、フィルム厚みが薄い程延伸不織布の通気度を増大させることができる。これは、延伸の際、ニップロールを使用するが、実ニップ圧力にフィルム厚みが影響を与えているためと考えられる。すなわち、フィルム厚みが薄い場合にはニップによりフィルムがニップロールに埋まり易く、ニップロール同士で働く力が増大するため積層体にかかる実ニップ圧力が低下し、不織布を構成する繊維が潰れ難く細孔が保持される傾向にあると考えられる。逆にフィルム厚みが厚い場合にはフィルムがニップロールに埋まり難く、ニップロール同士で働く力が減少するため積層体にかかる実ニップ圧力が増大し、不織布を構成する繊維が潰れ易く細孔も潰れ易い傾向にあると考えられる。この観点から、支持体として用いるフィルム厚みは100〜500μm(共延伸前)であることがより好ましい。実際、本発明の実施例2では厚み1000μm(共延伸前)のフィルムを用いているため、延伸不織布の通気度は160cm/cm/秒であるが、実施例1では厚み300μm(共延伸前)のフィルムを用いているため、延伸不織布の通気度は201cm/cm/秒と通気度が増加した。
支持体であるフィルムとしては、不織布と延伸温度を合わせられるものであると、延伸が安定しさらに高倍率延伸が可能になるので好ましい。この観点から、ポリマーのガラス転移温度(Tg)差が不織布とフィルムとで30℃以下であることが好ましい。また、積層体の共延伸においては不織布とフィルムがしっかり接着していることが延伸安定性・均一性の観点から重要であるが、その後フィルムを不織布から剥がす際は剥離し易いことが重要である。すなわち、相反する特性をうまくバランスさせるような不織布とフィルムを設計する必要がある。そこで、不織布とフィルムを構成するポリマーに注目する。共延伸時の接着性についてはポリマー同士の親和性が高いものが好ましいが、剥離の際はポリマー同士の親和性が低い方が好ましい。ポリマー同士の親和性を評価するパラメータとして、不織布を構成するポリマーとフィルムを構成するポリマーの溶解度パラメータ差を考えると、0.1〜7J1/2/cm3/2であることが好ましい。なお、代表的なポリマーの溶解度パラメータはD. W. van Krevelen,Properties of Polymers,chap.7,Table7.4(1990).にまとめられているが、ここに掲載されていないポリマーについては、他の文献に拠るか該文献記載の手法で検討することができる。例えば、PPSとPET、さらにPET/ポリエーテルイミド(PEI)ブレンドとしてTgをPPSに近づけたもの等は好ましい組み合わせである。実際、PETにPEIを10重量%ブレンドするとTg=84℃、15重量%ブレンドすると91℃となりPPSのTg(88℃程度)に近づく。また、不織布とフィルムの接着性、剥離性をバランスさせるために不織布やフィルムにワックスやシリコーン等の離型剤を塗布あるいは含有させても良い。
支持体として用いるフィルムは、共延伸前の面配向係数が0〜0.05の範囲であることが好ましく、0〜0.03の範囲にあることがさらに好ましい。また、面配向係数が0であること、つまり無延伸フィルムに相当する配向度であることが特に好ましい。共延伸前のフィルムの面配向係数が0.05を超えると、共延伸工程で延伸張力が高くなりやすく、また延伸工程内で破断してしまう場合があり、延伸安定性の観点から好ましくない。ここで、面配向係数とは、下記[式1]で表されるfnのことであり、フィルムの配向度を表したものである。
面配向係数: fn=(Nx+Ny)/2−Nz ・・・[式1]
[式1]中、Nx、Ny、Nzはそれぞれ長手方向の屈折率、幅方向の屈折率、厚み方向の屈折率を表し、アッベ屈折率計などを用いて測定することのできる値である。フィルムが不透明などの理由で屈折率の測定が困難な場合は、赤外吸収スペクトルやX線等を用いる配向度の測定手法により、屈折率より面配向係数に換算することが可能である。
不織布/フィルム積層体の共延伸については、公知のフィルム延伸装置を用いて、公知の延伸方法によって行うことができる。すなわち、フラットダイ法によってキャストフィルムを作製し、そこに予め準備した不織布を貼り合わせて、接着させた後、これに二軸延伸、熱セット、必要に応じて熱リラックス処理を施す方法などで行うことができる。不織布/フィルム積層体の二軸延伸の方法としては、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法などの公知の方法を用いることができるが、縦延伸をロール法で、横延伸をテンター法で行う逐次二軸延伸法が好ましく用いられる。
不織布とフィルムの貼り合わせは、加熱による圧着が簡便であり好ましい。この時の熱圧着温度としては、不織布とフィルムのTgのうち低い方以上であることが好ましい。また、貼り合わせ工程は単独で設けても良いが、貼り合わせ工程を縦延伸工程内の予熱工程でインラインで行うことも可能であり、この方法は、効率化の観点から特に好ましく用いることができる。
縦延伸工程内での予熱は、不織布/フィルムの積層体を任意の温度に調整した予熱ロール群に接触させながら通過させ、必要に応じてラジエーションヒーター等でフィルムを加熱することによって行うことができる。この時の予熱温度は、(不織布とフィルムを構成するポリマーのTgのうち高い方の)Tg〜Tg+60℃の範囲とすることが好ましく、例えば、PPS不織布とPETフィルムの組み合わせでは、PPSのTgが88℃程度、PETのTgが70℃程度であるので、予熱温度としては88〜148℃とすることが好ましい。好ましい予熱温度範囲に調整することによって、予熱工程での不織布やフィルムの自発伸長を抑え、延伸斑を抑制できるが、好ましい温度範囲を下回ると、予熱不足による延伸工程での破断が発生したり、延伸張力が大きくなる場合がある。また、好ましい温度範囲を上回ると、延伸斑やそれに伴う厚み斑が発生しやすくなる。特に好ましい予熱温度範囲は、(不織布とフィルムを構成するポリマーのTgのうち高い方の)Tg+5℃〜Tg+40℃の範囲である。
縦延伸工程内においては、予熱された不織布/フィルムの複合体を、周速の異なる複数のロールを跨るように通過させることによって延伸を施すが、延伸の起点となるロールにニップロールを用いると、確実に不織布/フィルム積層体を把持できるため好ましい。ニップロール材質としては、金属、セラミックス、フッ素樹脂、シリコーン等が挙げられるが、セラミックスや金属が伝熱の観点から有利であり高倍率延伸のためには好ましい。また、セラミックスや金属は硬質のため不織布を熱プレスする効果が有り、極薄化にも有利である。一方、不織布を構成する繊維を潰さず細孔を保持する観点からはニップロールは柔らかい方が好ましく、具体的な材質としてはシリコーンが好ましい。このため、不織布/フィルム積層体を延伸する際のニップロールの構成としては、不織布側をシリコーン、フィルム側を金属あるいはセラミックスとした非対称ロールとすることが好ましい。これにより、極薄でしかも細孔が潰れず通気度の高い延伸不織布を得ることができるのである。実際、不織布側にシリコーンロールを用いた実施例1では延伸不織布厚みが15μmであったが、不織布側にセラミックスロールを用いた実施例3では9μmまで極薄化できた。また実施例1では通気度が201cm/cm/秒であったが、実施例3では77cm/cm/秒と通気度を制御することができた。
縦延伸の延伸倍率は、2〜5倍の範囲で延伸することが好ましく、2.6〜4.5倍の範囲で延伸することさらに好ましく、3.0〜3.6倍の範囲で延伸することが特に好ましい。縦延伸の延伸倍率が2倍を下回ると延伸斑やそれに伴う厚み斑が発生しやすくなり、また縦延伸の延伸倍率が5倍を上回ると、延伸工程での破断が発生したり、延伸張力が大きくなる場合がある。
横延伸の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法を好ましく用いることができ、縦延伸が施された不織布/フィルムの積層体の両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う。
横延伸の延伸温度は、(不織布とフィルムを構成するポリマーのTgのうち高い方の)Tg〜Tg+60℃の範囲とすることが好ましく、例えば、PPS不織布とPETフィルムの組み合わせでは、PPSのTgが88℃程度、PETのTgが70℃程度であるので、予熱温度としては88〜148℃とすることが好ましい。好ましい予熱温度範囲に調整することによって、予熱工程での不織布やフィルムの自発伸長を抑え、延伸斑を抑制できるが、好ましい温度範囲を下回ると、予熱不足による延伸工程での破断が発生したり、延伸張力が大きくなる場合がある。また、好ましい温度範囲を上回ると、延伸斑やそれに伴う厚み斑が発生しやすくなる。特に好ましい予熱温度範囲は、(不織布とフィルムを構成するポリマーのTgのうち高い方の)Tg+5℃〜Tg+40℃の範囲である。
横延伸の延伸倍率は、2〜6倍の範囲で延伸することが好ましく、2.6〜4.0倍の範囲で延伸することさらに好ましく、2.8〜3.4倍の範囲で延伸することが特に好ましい。縦延伸の延伸倍率が2倍を下回ると延伸斑やそれに伴う厚み斑が発生しやすくなり、また縦延伸の延伸倍率が6倍を上回ると、延伸工程での破断が発生したり、延伸張力が大きくなる場合がある。また、面積倍率(縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率の積)が9倍以上になるように二軸延伸することが、面内均一性、極薄化の観点から好ましい。しかし、面積倍率が25倍を越えるような延伸の場合は、製膜中にフィルムが破れやすくなる場合がある。
熱セット温度は、不織布を形成するポリマーの結晶化温度(Tc)〜不織布とフィルムを形成するポリマーの融点(Tm)のうち低い方の範囲とすると、不織布を構成するポリマーの結晶化を充分進めつつ、不織布やフィルムの切断や融解を防止でき、さらに不織布の細孔潰れも抑制でき、好ましい。また、熱セット時間は0.2〜60秒とすると、不織布を形成するポリマーの結晶化を充分進行できるため、好ましい。
熱セット時および/または冷却時に弛緩処理を施しても良いが、この時のリラックス率は0〜10%であると、延伸による残留歪みを緩和することで熱収縮率を低くし寸法安定性を向上でき、好ましい。また、弛緩処理時間は0.2〜60秒とすると、不織布を形成するポリマー内の残留歪みを十分に緩和できるため、好ましい。
以上のように本発明の色素増感太陽電池用セパレーターの製造方法について、メルトブローによる薄い原料不織布を作製し、これをフィルムと積層して共延伸する方法を述べた。そして、これらの具体的な要件として、原料不織布の目付範囲や共延伸のニップロール構成、支持体であるフィルムの厚み等がセパレーターの厚み、通気度に大きな影響を与えることを述べた。このことは、本明細書の実施例、比較例で実証されている。すなわち、現在の技術レベルにおいて、色素増感太陽電池に適したセパレーターを得るためには上記した要件を適切にプロセス設計することが肝要である。
ところで、本発明のセパレーターを組み込んだ色素増感太陽電池を作製することができるが、色素増感太陽電池の構成としては本発明のセパレーターを組み込むこと以外は公知の構成を採用できる。公知の色素増感太陽電池の構成は、具体的には、例えば特許文献1〜3、特開2007−073198号公報や非特許文献1に例示されている。また、特許文献2、特許文献3等に記載のように電極とセパレーターが一体化された構成を採ると、光電変換効率、組み立て容易性、ハンドリングの観点から好ましい。特に、前記したように本発明のセパレーターは不織布/フィルムとの積層体が中間製品となり、フィルムが支持体、保護膜となるため不織布、すなわちセパレーターが極薄であるにもかかわらず破けにくく、しかも対極と一体化させる際に取り扱いが簡便、容易であるメリットもある。具体的には、電極に不織布/フィルム積層体のまま一体化させ、その後フィルムを剥離すれば良い。本発明のセパレーターを含む色素増感太陽電池は極薄化、フレキシブル化しても短絡の可能性が低く、色素増感太陽電池のメリットを充分活かせるものである。さらに、電極とセパレーターを一体化すれば電池の極薄化、フレキシブル化により有利である。
以下、本発明のセパレーターを組み込んだ色素増感太陽電池について述べる。基本的な構成の一例を図2に示す。光入射側から、基板1、透明電極2、色素吸着半導体電極3、電解質溶液4、セパレーター5、対極6である。そしてこれらは封止材7で封止されている。なお、図2では電解質溶液4はセパレーター5と色素吸着半導体電極3の間に存在しているが、セパレーター5の細孔中に電解質溶液4を満たすだけ、すなわち図2において電解質溶液層を無くし、電池セルのさらなる薄型化を進めても良い。また、こうすると液洩れの可能性もほとんど無くなり好ましい。
まず、基板1は光を透過し電池セルを保護する役目を担い、ガラス板や透明フィルムが用いられる。特に今後の極薄化やフレキシブル化のためには透明フィルムとすることが好ましい。次に透明電極2は、電子を外部につなぐ役目を担い、インジウムチンオキシド(ITO)やフッ素ドープ酸化スズ(FTO)等が用いられる。そして、ITOやFTO等の透明電極材料はガラス板や透明フィルムに塗布され、透明電極2は基板1と一体化している場合が多い。次に色素は光エネルギーを受け止め、半導体電極に渡す役目を担っているが、これまでルテニウム(II)ビピリジン錯体が代表的であったが、有機系の色素も開発されてきている。
次に半導体電極は色素から渡されたエネルギーにより電荷分離を行い、電荷とホールを電解質に渡す役目を担っている。半導体としては、酸化チタンが一般的であるが酸化亜鉛等他の酸化物半導体が用いられることもある。また、半導体は微粒子や微多孔膜として形成される。例えば酸化チタン微多孔膜の形成方法として以下のような方法を例示することができる。酸化チタン微粒子を基板1と透明電極2が一体化されたものの上に塗布し、これを焼結することで微多孔酸化チタン膜を形成することができる。ただし、基板1が有機フィルムであると焼結の際消失するため、コーティング等焼結以外の方法で微粒子層や微多孔膜を形成し、あるいは微粒子層や微多孔膜を形成した後、基板1と一体化する等の工夫をすることが好ましい。なお、半導体電極への色素の吸着は、色素溶液に半導体電極を浸漬させたり積極的に化学反応させたりして行うことができる。次に、色素吸着半導体電極の微多孔や微粒子間を満たすように電解質溶液4を満たす。電解質溶液4は電荷を透明電極と対極に運ぶ役目を担っているが、電解質としてヨウ化物塩/ヨウ素のレドックス系を用いることが一般的である。
次に、セパレーターは先に述べたように電極の短絡を防ぎつつ電解質イオンを透過させて電気伝導の通り道を作る役目を担っている。ここでセパレーター5は対極6と一体化されていることが好ましいが、この一体化は、圧着、熱圧着等の方法を用いることができる。接着剤を用いることも不可能ではないが、導電性接着剤を用いる等、電気伝導を保証することが必要になる。
次に、対極はホールを受け取る役目を担っているが、白金やカーボンから形成されることが一般的である。そして、対極6を貼り合わせ、封止材7で封止して太陽電池セルが形成される。これらの、電極や色素等の部材の詳細については公知のものを使用できるが、例えば先に挙げた文献を参考にすることができる。
以下に本発明のセパレーターを組み込んだ色素増感太陽電池の作製例を述べる。まず、酸化チタン微粒子をエタノールで分散させる。この時、適切な分散剤を用いることができる。そして、この分散液をITOやFTOの透明電極上にコーティングする。この時、エチルセルロース等の増粘剤を加えてコーティングし易くしても良い。そして、これを焼成して微多孔酸化チタン膜の半導体電極を形成させる。そして、この半導体電極をルテニウム(4,4‘−ジカルボキシリル−2,2’ビピリジル)(チオシアナト)錯体のエタノール溶液に浸漬して、半導体電極にルテニウム錯体を吸着させる。次に、等量のn−ブチロニトリルと3−メトキシプロピオニトリル混合液にヨウ化リチウム2水和物、ヨウ素、ヨウ化1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、t−ブチルピリジンを混合して電解質溶液を作製した。さらに、テトラフルオロエチレ、アセチレンブラック、カーボンブラックを機械混合し、さらに金属ロールで延伸しカーボンから成る対極を作製する。この時、テトラフルオロエチレンは機械混合の剪断力によりナノフィブリル化しアセチレンブラック、カーボンブラックのバインダーとなっている。次に本発明のセパレーターとカーボンブラックから成る対極を熱圧着し、セパレーターと対極を一体化させ一体化電極とする。そして、(セパレーター/対極)一体化電極と(色素吸着半導体電極/透明電極)を積層し、電解質溶液を添加し、さらに基板としてPENフィルムを積層し、封止材で封止して電池セルを作製できる。
組み込むセパレーターとしては通気度が高い物ほど色素増感太陽電池の能力を示す光変換効率が向上する傾向がある。また、セパレーター厚みを30μm以下とすることで電池セル厚みを100μm以下とすることも可能である。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.MFR(メルトフローレート)
ASTM−D−1238−70に準じて測定を行ったが、PPSについては316℃、荷重5kgfの条件で、10分間で押し出した樹脂量をMFR値とした。
B.不織布厚み、フィルム厚み
不織布厚み、およびフィルム厚みはダイヤルシックネスゲージで測定を行った。測定は異なる5箇所で行い、その平均値を厚みとした。
C.通気度
TEXTEST社製通気度試験機FX3300を用い、JIS L1096 8.27.1 A法に準じ、測定を行った。測定圧は125Paであり、5回の繰り返し試験での平均値を通気度とした。
D.平均繊維径
不織布表面の走査型電子顕微鏡写真(200倍)から、無作為に50点を選び繊維径を測定し、それの平均値を平均繊維径とした。
実施例1
MFR=1000の超低粘度PPSを公知のメルトブロー装置により紡糸した。この時、紡糸温度が320℃、口金温度310℃、口金に供給する熱風は温度330℃、圧力0.15MPa、捕集距離は15cmとした。また、口金孔直径は0.4mm、孔間ピッチは1mmであった。これにより平均繊維径3.6μm、目付40g/m、厚み200μm、通気度43cm/cm/秒のPPS不織布を得た。
そして、PETにポリエーテルイミド(PEI)を10重量%ブレンドしたポリマーアロイのキャストフィルム(厚み300μm)を作製し、これに上記PPS不織布をインライン積層した。そしてこれを100℃の予熱ロールに通して熱圧着し、ついで延伸のためニップローラーに通した。このニップローラーは積層体の不織布側がシリコーン、フィルム側がセラミックスの非対称ロールとした。このニップロール幅は80cmで471kgfの荷重で印可した、また、ニップロール温度は110℃、縦延伸倍率としては3.0倍とした。引き続いて横延伸を行ったが、予熱温度は105℃、延伸倍率は3.3倍とした。さらに横延伸後245℃で熱セットを行ったが、この時のリラックス率は5%、熱セット時間は47秒とした。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、不織布厚みは15μmと充分薄く、通気度も201cm/cm/秒と充分通気度が高く細孔が大きいことがわかった(表1)。また、不織布の厚み斑も小さく、色素増感太陽電池用セパレーターとして優れたものであった。
実施例2
実施例1で作製したメルトブローPPS不織布を用い、フィルム厚みを1000μmとして実施例1と同様に積層体の延伸、熱セットを行った。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、不織布厚みは20μmと充分薄く、通気度も160cm/cm/秒と充分通気度が高く細孔が大きいことがわかった(表1)。また、不織布の厚み斑も小さく、色素増感太陽電池用セパレーターとして優れたものであった。
実施例3
実施例1で作製したメルトブローPPS不織布を用い、縦延伸の際のニップロールの不織布側をセラミックスとして実施例1と同様に積層体の延伸、熱セットを行った。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、セラミックスロールの圧縮効果により不織布厚みは9μmと充分薄く、通気度も77cm/cm/秒と充分通気度が高く細孔が大きいことがわかった(表1)。また、不織布の厚み斑も小さく、色素増感太陽電池用セパレーターとして優れたものであった。
比較例1
紡糸での吐出量を変更して実施例1と同様にメルトブロー紡糸を行い、平均繊維径3.6μm、目付100g/m、厚み450μm、通気度15cm/cm/秒のPPS不織布を得た。これを実施例1と同様に延伸、熱セットを行った。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、通気度は52cm/cm/秒と充分であったが、不織布厚みは40μmと厚い物であり、色素増感太陽電池用セパレーターとして不適であった(表1)。
比較例2
比較例1で作製したメルトブローPPS不織布を用い、ニップロールの不織布側をセラミックスとして実施例2と同様に積層体の延伸、熱セットを行った。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、セラミックスロールの圧縮効果と支持体フィルムが厚い効果により不織布厚みは18μmと充分薄くできたが、不織布を構成する繊維が潰れ通気度が0.4cm/cm/秒と低くなり、色素増感太陽電池用セパレーターとして不適であった(表1)。
比較例3
実施例1で作製したメルトブローPPS不織布を用い、ニップロールの不織布側をセラミックスとして実施例2と同様に積層体の延伸、熱セットを行った。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、セラミックスロールの圧縮効果と支持体フィルムが厚い効果により不織布厚みは7μmと充分薄くできたが、不織布を構成する繊維が潰れ通気度が6cm/cm/秒と低くなり、色素増感太陽電池用セパレーターとして不適であった(表1)。
比較例4
比較例1で作製したメルトブローPPS不織布を用い、ニップロールの不織布側をセラミックスとして実施例1と同様に積層体の延伸、熱セットを行った。その後、この不織布/フィルム積層体からフィルムを剥離し、極薄PPS不織布を単離し、厚みと通気度を測定した。その結果、セラミックスロールの圧縮効果により不織布厚みは25μmと充分薄くできたが、不織布を構成する繊維が潰れ通気度が10cm/cm/秒と低くなり、色素増感太陽電池用セパレーターとして不適であった(表1)。
比較例5
実施例1で作製したメルトブローPPS不織布を用い、フィルムと積層することなく、ニップロールを両方ともシリコーンとし、予熱温度を縦横とも95℃として、実施例1と同様に延伸を行った。しかし、薄い不織布のみの延伸であるため、安定した延伸が行えなかった。わずかに得られた延伸不織布の厚みは33μmと厚く、また通気度は310cm/cm/秒と大きすぎるため両極の隔離性に劣り、色素増感太陽電池用セパレーターには不適であった(表1)。さらに、延伸不織布の厚み斑も大きく、セパレーターの信頼性も低い物であった。
本発明のセパレーターは色素増感太陽電池を薄型化、フレキシブル化しても半導体電極と対極の短絡を抑制できるため、色素増感太陽電池の使用拡大に貢献できる。特に家電や家具、壁、天井などに色素増感太陽電池を貼り付けられるようになると、家庭やオフィス、店舗など室内での省エネに大いに貢献することができる。また、ウエアラブル色素増感太陽電池とすると、ウエアラブルコンピューティングやウエアラブル温湿度調整装置、ウエアラブルセンサー、筋力アシストスーツの電源としての展開も期待できる。
1:基板
2:透明電極
3:色素吸着半導体電極
4:電解質溶液
5:セパレーター
6:対極
7:封止材

Claims (4)

  1. 不織布で形成され、厚みが1〜30μmで通気度が20〜300cm/cm/秒である色素増感太陽電池用セパレーター。
  2. 不織布を形成するポリマーの90重量%以上がポリフェニレンスルフィドである請求項1記載の色素増感太陽電池用セパレーター。
  3. 請求項1または2のいずれか1項記載の色素増感太陽電池用セパレーターと電極とが一体化されてなる一体化電極。
  4. 請求項1または2のいずれか1項記載の色素増感太陽電池用セパレーターを含む色素増感太陽電池。
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