JP2010180033A - エレベータ制振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制振力が共振することを確実に防止する。
【解決手段】制御装置40は、振動センサ20により検出された振動信号から所定周波数以上の振動成分を抽出するハイパスフィルタ42と、ハイパスフィルタ42により抽出された振動成分から重り22の質量と弾性体の制振方向のバネ定数とにより定まる一次共振周波数及び/又は複数の高次共振周波数に対応する振動成分以外の振動成分を抽出するノッチフィルタ43を備える。
【選択図】図3
【解決手段】制御装置40は、振動センサ20により検出された振動信号から所定周波数以上の振動成分を抽出するハイパスフィルタ42と、ハイパスフィルタ42により抽出された振動成分から重り22の質量と弾性体の制振方向のバネ定数とにより定まる一次共振周波数及び/又は複数の高次共振周波数に対応する振動成分以外の振動成分を抽出するノッチフィルタ43を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、エレベータの振動を低減するためのエレベータ制振装置に関する。
近年、建物の省スペース化に伴い、巻上機を小型化して昇降路内に設置したマシンルームレス型のエレベータが普及している。マシンルームレス型のエレベータでは、昇降路内で巻上機が駆動されることにより、巻上機のシーブに巻き掛けられたロープを介して乗りかごが昇降動作する。この際、巻上機の振動が梁等を介して建物側に伝わる。特に、ロープの強度向上により細径化が進むと、それに伴ってシーブの径も小さくなるため、シーブが高速回転することにより約10Hz以上の振動が発生する。この振動は建物側の住居の壁等に響いて騒音の原因となる。このような背景から、巻上機を支持する支持部材に振動センサと共に制振装置を設置し、制振装置を駆動することにより振動センサによって検出される振動と逆位相の力を制振力として支持部材に与えることにより、支持部材を介して建物へ伝わる振動を低減する技術が提案されている(特許文献1参照)。
従来の制振装置は、支持部材に取り付けられるケーシングと、ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向(例えば上下方向)に変位自在に支持する弾性体と、ケーシング内で重りに対向配置された電磁石とを備え、電磁石が発生する電磁力の磁性体に対する作用により重りを制振方向に振動させることにより、ケーシングを介して支持部材に制振力を与えるように構成されている。しかしながら従来の制振装置は、ハイパスフィルタのみを用いて振動センサにより検出された振動信号から所定周波数(約50Hz)以上の振動成分を抽出し、抽出された振動成分から電磁石の振動を制御する制振信号を生成しているために、磁性体の質量と弾性体の制振方向のバネ定数とにより定まる共振周波数が制振信号に含まれている場合、制振装置の出力(制振力)が共振してしまう可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、制振力が共振することを確実に防止可能なエレベータ制振装置を提供することにある。
本発明に係るエレベータ制振装置は、電磁石の駆動信号から所定周波数以上の成分を抽出するハイパスフィルタと、ハイパスフィルタにより抽出された成分から磁性体の質量と弾性体の制振方向のバネ定数とにより定まる一次共振周波数及び/又は複数の高次共振周波数に対応する成分を除去するノッチフィルタを備える。
本発明に係るエレベータ制振装置によれば、制振力が共振することを確実に防止できる。
マシンルームレス型のエレベータ構成は、例えば、特開2004−115161号公報に開示されているように従来の機械室ではなく昇降路内の壁やレール上等に制御盤や巻上げ機等が配置されている。そしてこれらレール等はブラケット等により昇降路内壁に固定されており、巻上げ機の駆動、かごの昇降等によって生ずる振動が建物に伝わり騒音等の原因となっていた。以下、図面を参照して、本発明に係るエレベータ制振装置を適用したマシンルームレス型のエレベータの構成について説明する。
〔エレベータの全体構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成について説明する。
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータの全体構成について説明する。
本発明の一実施形態となるマシンルームレス型のエレベータでは、図1に示すように、巻上機11等の機器類(図示しない制御盤を含む)が小型化されて昇降路10内に配置されている。巻上機11は、昇降路10の上部に水平方向に架設された支持部材12に受台13を介して設置されている。支持部材12は、例えば鉄製の強固な部材(建物の梁を利用することも可能)からなる。巻上機11の底部に取り付けられた受台13は、例えば防振ゴム等の吸音部材からなる。巻上機11の回転軸11aにはメインシーブ14が回転自在に取り付けられ、メインシーブ14にはロープ15が巻き掛けられている。
ロープ15の両端部は昇降路10の所定の箇所に設けられたヒッチ部に固定されており、乗りかご16はかご下シーブ17a,17bを介して図示しないカウンタウェイトと共に2:1ローピング方式で支えられている。なお図1にはロープ15が1本しか図示されていないが、実際には複数本のロープ15がメインシーブ14やかご下シーブ17a,17b等に巻き掛けられている。乗りかご16は、一対のガイドレール18a,18bに摺動自在に支持され、巻上機11の駆動に応じてロープ15を介して昇降動作する。ガイドレール18a,18bは支持部材12に連結され、支持部材12の端部は建物の側壁19に固定されている。
このような構成を有するマシンルームレス型のエレベータでは、巻上機11の駆動に伴って振動が発生し、それが巻上機11の周囲に伝わる。特に、ロープ15の強度向上により細径化が進むと、それに伴ってメインシーブ14の径も小さくなるため、高速回転により約10Hz以上の振動が生じ易くなる。そしてこの振動は、支持部材12を介して建物の側壁19に伝わり、例えば住居の壁等に響いて騒音の原因となる。そこでこのマシンルームレス型のエレベータには、巻上機11から建物の側壁19に伝わる振動を低減するために、支持部材12に振動センサ20と制振装置21が設けられている。
振動センサ20は、例えば加速度センサからなり、その設置箇所に生じている振動を検出する。制振装置21は、振動センサ20によって検出された振動信号に基づいて重り22を所定方向に動かすことにより、制振対象(この例では支持部材12)に制振力を与える。より具体的には、制振装置21は、支持部材12の裏側(すなわち巻上機11とは反対側の面)に振動センサ20と共に設けられている。巻上機11の駆動時に支持部材12に伝わる振動はその支持部材12上に設けられた振動センサ20により検出される。制振装置21は、振動センサ20によって検出された振動信号に基づいて内部の重り22を動かすことにより、支持部材12に伝わる振動とは逆位相の力を発生させる。これにより、支持部材12に制振力が与えられ、巻上機11からの振動が相殺される。この結果、巻上機11から支持部材12を介して建物の側壁19へ伝わる振動を低減できる。
〔制振装置の内部構成〕
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態となる制振装置21の内部構成について説明する。
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態となる制振装置21の内部構成について説明する。
制振装置21は、少なくとも一部に磁性体を有する重り22を内部に収容する空間23を形成するケーシング24と、ケーシング24内側の底面24aに形成された凹部25と、重り22を挟むようにしてケーシング24内側の上面及び凹部25の底面25aに対向配置された電磁石26a,26bと、ケーシング24内側の底面24aに配設され、重り22を図中の矢印a,b方向(制振方向,上下方向)に変位自在に支持する弾性体27a,27bを備える。この制振装置21では、電磁石26a,26bが励磁されると、その時に発生する電磁力により少なくとも一部に磁性体を有する重り22が制振方向に動き、その反力がケーシング24に作用する。従って、ケーシング24に作用する反力が制振力となるように電磁石26a,26bを励磁制御すれば、巻上機11からの振動を相殺することができる。
なおケーシング24は、電磁石26a,26が設けられている上下面を有するものであればよく、必ずしも4つの側面を有する必要はない。また電磁石26a,26bは、重り22と弾性体27a,27bにより構成される振動系の回転モードの節(振動時に変位しない点)に対応する位置(弾性体が2つである場合には重り22の重心位置)に配置することが望ましい。このような構成によれば、重り22の2次振動モード(例えば重り22の重心位置を中心とする揺動回転)が励振されることによって制振力を正確に制御できなくなることを防止できる。
また電磁石26a,26bを構成するコアは積層鋼板,フェライト,パーマロイ等の電気抵抗が比較的大きい材料により形成されていることが望ましい。これは、鉄等の電気抵抗が比較的小さい材料によりコアを形成した場合、コイルに高周波電流を通電した場合、コア表面に渦電流が発生することにより、発生した電磁力が電磁石26a,26b内で打ち消され、制振力を正確に制御できなくなる可能性があるためである。
〔制振装置の制御系の構成〕
次に、図3を参照して、制振装置21の動作を制御する制御系の構成について説明する。
次に、図3を参照して、制振装置21の動作を制御する制御系の構成について説明する。
制御装置40は、DSP(Digital Signal Processor)等の汎用のコンピュータにより構成され、A/D変換器41、ハイパスフィルタ42、ノッチフィルタ43、積分器44、ゲイン調整器45、電磁力分配演算器46、及びD/A変換器47,48を備える。振動センサ20により検出された振動信号は、A/D変換器41によりA/D変換された後にハイパスフィルタ42に与えられ、ハイパスフィルタ42により所定周波数以上の振動成分が抽出される。ハイパスフィルタ42により抽出された振動成分は続いてノッチフィルタ43に与えられ、ノッチフィルタ43により重り22の質量と弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数とにより定まる一次共振周波数及び/又は複数の高次共振周波数に対応する振動成分以外の振動成分が抽出される。ノッチフィルタ43により抽出された振動成分は積分器44により数値積分された後、ゲイン調整器45にて所定のゲインを乗じることで制振信号が生成される。
制振装置21に備えられた電磁石26a,26bは、それぞれ重り22を吸引する方向(制振方向)の電磁力しか発生できない。そこで、電磁力分配演算器46において、例えば重り22を上方向(矢印a方向)に動かす瞬間は一方の電磁石26aの電磁力による吸引作用を大きくし、他方の電磁石26bの電磁力による吸引作用を小さくするといったように、重り22を動かすタイミングに応じて電磁石26a,26bの電磁力を分配する。電磁力分配演算器45から出力される制振信号は、D/A変換器47,48によりD/A変換され、必要に応じてアンプ(AMP)49,50により増幅された後、電磁石26a,26bに与えられる。これにより、電磁石26a,26bが励磁駆動され、そのときに発生した電磁力によって重り22が動いて、その反動によりケーシング24自体が振動することになる。
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態となるマシンルームレス型のエレベータでは、制御装置40は、振動センサ20により検出された振動信号から所定周波数以上の振動成分を抽出するハイパスフィルタ42と、ハイパスフィルタ42により抽出された振動成分から重り22の質量と弾性体27a,27bの制振方向のバネ定数とにより定まる一次共振周波数及び/又は複数の高次共振周波数に対応する振動成分以外の振動成分を抽出するノッチフィルタ43とを備えるので、図4に示すように、電磁石26a,26bの励磁駆動に伴い制振装置21の出力が共振することを確実に防止できる。なお図4は、ハイパスフィルタ42及びノッチフィルタ43を設けない場合、ハイパスフィルタ42のみを設けた場合、及びハイパスフィルタ42及びノッチフィルタ43の双方を設けた場合における制振装置21の出力の周波数特性を示す波形図である。波形の計測にあたっては、50Hz以上の振動に対し制振装置21を使用する場合を想定して共振周波数を25Hzに設定し、また積分器44の影響があると周波数特性が分かりにくくなるので積分器43を取り外した。またゲイン調整器45のゲインは1に設定し、振動センサ20からの振動信号の代わりに振幅1で一定の正弦波信号(周波数は0〜150Hzの間で変化させた)を入力した。
以上、本発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
10:昇降路
11:巻上機
11a:回転軸
12:支持部材
13:受台
14:メインシーブ
15:ロープ
16:乗りかご
17a,17b:かご下シーブ
18a,18b:ガイドレール
19:建物の側壁
20:振動センサ
21:制振装置
22:重り
23:空間
24:ケーシング
25:凹部
26a,26b:電磁石
27a,27b:弾性体
40:制御装置
41:A/D変換器
42:ハイパスフィルタ
43:ノッチフィルタ
44:積分器
45:ゲイン調整器
46:電磁力分配演算器
47,48:D/A変換器
49,50:AMP
11:巻上機
11a:回転軸
12:支持部材
13:受台
14:メインシーブ
15:ロープ
16:乗りかご
17a,17b:かご下シーブ
18a,18b:ガイドレール
19:建物の側壁
20:振動センサ
21:制振装置
22:重り
23:空間
24:ケーシング
25:凹部
26a,26b:電磁石
27a,27b:弾性体
40:制御装置
41:A/D変換器
42:ハイパスフィルタ
43:ノッチフィルタ
44:積分器
45:ゲイン調整器
46:電磁力分配演算器
47,48:D/A変換器
49,50:AMP
Claims (1)
- 制振対象物に取り付けられるケーシングと、ケーシング内で少なくとも一部に磁性体を有する重りを制振方向に変位自在に支持する弾性体と、ケーシング内で重りに対向配置された電磁石とを備え、電磁石の電磁力の磁性体に対する作用により重りを制振方向に動かすことにより、ケーシングを介して制振対象物に制振力を与えるエレベータ制振装置であって、前記電磁石の駆動信号から所定周波数以上の成分を抽出するハイパスフィルタと、ハイパスフィルタにより抽出された成分から前記磁性体の質量と前記弾性体の前記制振方向のバネ定数とにより定まる一次共振周波数及び/又は複数の高次共振周波数に対応する成分を除去するノッチフィルタを備えることを特徴とするエレベータ制振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009026598A JP2010180033A (ja) | 2009-02-06 | 2009-02-06 | エレベータ制振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009026598A JP2010180033A (ja) | 2009-02-06 | 2009-02-06 | エレベータ制振装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010180033A true JP2010180033A (ja) | 2010-08-19 |
Family
ID=42761870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009026598A Pending JP2010180033A (ja) | 2009-02-06 | 2009-02-06 | エレベータ制振装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010180033A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005298071A (ja) * | 2004-04-06 | 2005-10-27 | Toshiba Elevator Co Ltd | エレベータの制振装置 |
JP2007297180A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Toshiba Elevator Co Ltd | エレベータ |
WO2008066035A1 (fr) * | 2006-11-30 | 2008-06-05 | Mitsubishi Electric Corporation | Système de commande d'isolation sismique |
-
2009
- 2009-02-06 JP JP2009026598A patent/JP2010180033A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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JP2007297180A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Toshiba Elevator Co Ltd | エレベータ |
WO2008066035A1 (fr) * | 2006-11-30 | 2008-06-05 | Mitsubishi Electric Corporation | Système de commande d'isolation sismique |
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