JP2010179549A - パージング剤およびこれを用いるパージング方法 - Google Patents

パージング剤およびこれを用いるパージング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】押出機内の供給部でのパージング剤自体の付着を低減し、また、圧縮部の被パージ樹脂除去効果を向上させ、さらに、被パージ樹脂が顔料を含む場合の強固にこびり付いた汚れの除去効果を向上させ、押出機内の清掃がより容易となるパージング剤およびパージング方法を提供すること。
【解決手段】高級脂肪酸塩を含むパージング剤であって、目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときに篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の50%重量以上であることを特徴とするパージング剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂のパージング剤およびパージング方法に関するものであり、特に、極性基含有熱可塑性樹脂のパージに好適なパージング剤およびパージング方法に関するものである。
従来、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと称することがある)、ポリビニルアルコール(以下、PVA系樹脂と称することがある)、ポリアミド系樹脂(以下、PA系樹脂と称することがある)等の極性の高い熱可塑性樹脂は、ガスバリア性に優れているため、溶融成形によって食品等の包装用フィルムや容器などに使用されている。
しかしながら、該熱可塑性樹脂を長時間にわたって溶融押出成形を行う場合、該熱可塑性樹脂が樹脂流路内に滞留して、ゲル化,劣化,分解などが生じて製品中にスジが発生したり、ゲル,ブツの混入が起こり製品不良を生じることがある。更には、溶融押出装置の運転を停止した後再起動する場合、樹脂流路内に存在する該樹脂のゲルおよび分解物が長時間にわたり排出されるために、正常な製品を得るのに膨大な時間と製品ロスをもたらす結果となる。また、これらの熱可塑性樹脂は極性が高いため、押出機のバレルやスクリュー等の金属に付着しやすく、一旦付着すると除去が困難である。
そこで、溶融押出機内の熱可塑性樹脂(以下、被パージ樹脂と称することがある)をパージするにあたり、高級脂肪酸塩をパージング剤として用いることを特徴とするパージング方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、押出機内の被パージ樹脂付着が剥がれやすくなって押出機内の清掃も容易となり、パージして製造再開後の製膜フィルムの外観性が良好である。
しかしながら、かかる技術によれば、押出機の供給部ではパージング剤自体が付着して新たな汚れとなる場合があり、また、被パージ樹脂が固液共存する圧縮部では被パージ樹脂が除去され難い傾向があった。さらに、被パージ樹脂が顔料を含む場合の強固にこびり付いた汚れの除去効果については、未だ改善の余地があった。
特開2000−263625号公報
そこで、本発明は、上記技術に基づいて、押出機内の供給部でのパージング剤自体の付着を低減し、また、圧縮部の被パージ樹脂除去効果を向上させ、さらに、被パージ樹脂が顔料を含む場合の強固にこびり付いた汚れの除去効果を向上させ、押出機内の清掃がより容易となるパージング剤およびパージング方法を提供することを目的とするものである。
本発明は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、粒径の大きな高級脂肪酸塩粒子をある程度含有するパージング剤を用いることにより、押出機へのフィード性がよく押出機内の供給部でのパージング剤自体の付着が低減され、かつ押出機内で即座に溶融せずある程度粒子状態で存在できるため、内部で物理的なかき落とし力を発揮し、さらに粒子が溶融した場合には高濃度で高級脂肪酸塩が溶融状態で存在することが可能になり、圧縮部の洗浄や、被パージ樹脂が顔料を含む場合の強固なこびり付き汚れの除去に有効であることを見い出し本発明を完成した。
すなわち本願発明の要旨は、高級脂肪酸塩を含むパージング剤であって、目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときの篩上に残る該高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の50%重量以上であることを特徴とするパージング剤に存する。
本発明においては、粒径の大きな高級脂肪酸塩粒子をある程度含有するパージング剤を用いることにより、押出機内の供給部でのパージング剤自体の付着が低減され、圧縮部の樹脂付着が低減し、被パージ樹脂が顔料を含む場合の強固なこびり付き汚れの除去に有効に働くため、押出機内部清掃がより簡便になるとの優れた効果が発揮されるものである。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
本発明のパージング剤は、押出機を用いて熱可塑性樹脂(被パージ樹脂)を溶融成形するにあたり、押出機の樹脂流路内に滞留した該熱可塑性樹脂をパージ(すなわち、洗浄して除去する)するために用いるものである。
<被パージ樹脂>
本発明のパージング剤が対象とする熱可塑性樹脂(すなわち被パージ樹脂)は、公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂は、融点(または非晶性樹脂の場合は流動開始温度)が通常100〜270℃、好ましくは120〜250℃、特に好ましくは150〜230℃の熱可塑性樹脂であり、例えば具体的にはEVOH、PVA系樹脂等のビニルアルコール系樹脂、PA系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等)、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト変性した変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族又は脂肪族ポリケトン等が挙げられ、これらは単独でも複数種を同時に用いてもよい。
なかでも本発明のパージング剤は、押出機の金属に付着しやすく、かつ除去しにくい特性を有する極性の大きな熱可塑性樹脂に特に有効であり、具体的にはEVOH、PVA系樹脂等のビニルアルコール系樹脂およびPA系樹脂に対して有効である。
ここで、極性基含有熱可塑性樹脂であるEVOH、PVA系樹脂等のビニルアルコール系樹脂および、PA系樹脂は、そのガスバリア性能から食品等の包装材の中間層として使用されることが多く、極性基含有熱可塑性樹脂は水分によってガスバリア性が低下する傾向があるため、該包装材は、通常、表層として疎水性熱可塑性樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等)および場合によって各層間に接着性樹脂(例えば、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂等)を有する積層体として包装材等に使用される。
上記積層体を製造する場合、その製造過程において生じるスクラップを回収し、該回収物を再度押出機にて溶融成形して新たな積層体の少なくとも1層としてリサイクルすることがしばしばある。
かかるリサイクル操作は、積層体を構成する極性基含有熱可塑性樹脂、疎水性熱可塑性樹脂や接着性樹脂を含む樹脂組成物を押出機にて溶融混合し、成形するものであるが、本発明のパージング剤は、このような極性の高い樹脂を含有する樹脂組成物を押出機からパージ、すなわち、洗浄して除去する為に用いる場合においても有効である。
このように、被パージ樹脂が樹脂組成物の場合、PVA系樹脂等のビニルアルコール系樹脂および、PA系樹脂等の極性基含有熱可塑性樹脂の含有量は、通常被パージ樹脂の1〜99重量%が許容される。
また、被パージ樹脂は公知一般の滑剤、無機化合物(例えば顔料として用いられる酸化ケイ素、酸化チタン等の金属酸化物)、酸化防止剤、乾燥剤、充填剤、酸素吸収剤を含有していてもよい。
特に、被パージ樹脂が顔料を含有する場合、かかる顔料と押出機の金属面が高い親和性を有する場合が多いために押出機内に滞留し易く、押出機からの除去が非常に困難となる傾向があった。しかしながら、本発明のパージング剤は顔料を含有する被パージ樹脂をパージする際にも有効である。
<用いる押出機>
上記被パージ樹脂の溶融成形時に用いられる押出機としては特に限定されず、例えば単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が上げられるが、いずれでも良い。詳細には、単層キャスト押出機、単層インフレ押出機、単層ブロー押出機、射出成型機、多層キャスト押出機、多層インフレ押出機、多層ブロー押出機、共射出成型機なども使用される。
<パージング剤>
本発明のパージング剤に用いる高級脂肪酸塩は、通常一般に使用されている高級脂肪酸塩とは粒径が異なる。
通常一般に使用されている高級脂肪酸塩は、粒径が均一な粉体であり、JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときの篩上には何も残らない。すなわち、全ての高級脂肪酸塩が該篩を通過する均一な微小粒子である。これは、粒径が不均一な高級脂肪酸塩を用いた場合、分級して取り扱い性が困難となることが予想されたためである。
しかしながら、本発明のパージング剤に用いる高級脂肪酸塩は、粒径の大きな高級脂肪酸塩粒子がある程度存在するればよい。具体的には、パージング剤をJIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の50%重量以上である。
特に、押出機供給部での高級脂肪酸塩の付着を低減させる点で、粒径が大きな高級脂肪酸塩粒子が多いことが好ましい。従って、上記JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体のの50重量%以上であるが、好ましくは80%重量以上、特に好ましくは90重量%以上である。
また、このとき、篩を通過した高級脂肪酸塩の重量は、高級脂肪酸塩全体の通常50重量%未満であり、好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満である。
このように、粒径が大きい高級脂肪酸塩粒子をある程度含有するパージング剤を用いると、通常一般に使用されている粒径の小さい高級脂肪酸塩を用いる場合よりもパージ性に優れ、かつ押出機への供給時のフィード性も良好となる。
また、上記高級脂肪酸塩の粒径の上限は特に規定されないが、押出機へ供給する際の取り扱い性の点で、通常最大経が4mm程度であり、好ましくは、JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き2360μm、7.5メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の通常10重量%未満であり、好ましくは5重量%未満であり、特に好ましくは3重量%以下である。
また、このとき、篩を通過した高級脂肪酸塩の重量は、高級脂肪酸塩全体の通常90重量%以上であり、好ましくは95重量%以上であり、特に好ましくは97重量%超である。
本発明のパージング剤全体に対する上記高級脂肪酸塩の含有割合は、パージ効果が優れる点から、通常80〜100重量%であり、好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは95〜100重量%である。
高級脂肪酸塩とは、炭素数が通常8〜22の脂肪酸金属塩であり、通常直鎖脂肪酸の塩を意味する。具体的にはラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、オレイン酸、カプリン酸、ベヘニン酸、リノール酸等の金属塩が挙げられる。
高級脂肪酸塩の脂肪酸部位は、場合によってはカルボキシル基以外の官能基を有していてもよい。例えば炭素数1〜4のアルキル基やエステル基、水酸基等である。被パージ樹脂除去時に界面活性能に優れる点で、水酸基含有高級脂肪酸塩が好ましく、具体的にはヒドロキシ酸の金属塩が好ましい。
かかる脂肪酸部位の炭素数は取り扱い性の点から好ましくは炭素数10〜20、特に好ましくは炭素数12〜18である。炭素数が多すぎる場合、汎用性に欠ける傾向があり、炭素数が少なすぎる場合、溶融時の界面活性不足によるパージ性不良が起こる傾向がある。
また、高級脂肪酸塩は、市場入手性に優れる点から、通常1〜2価の金属塩であり、具体的にはナトリウム、カルシウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛等の周期表第12族元素塩が挙げられる。なかでも被パージ樹脂除去時に界面活性能に優れる点から、好ましくはアルカリ土類金属塩、周期表第12族元素塩等の2価の金属塩であり、特に好ましくはマグネシウム塩、亜鉛塩である。
また、上記高級脂肪酸塩は、パージ性能の点から、塩基性高級脂肪酸塩であることが好ましい。かかる塩基性とは、高級脂肪酸塩において金属のモル当量が脂肪酸部位のモル当量より過剰であることを意味し、例えば高級脂肪酸に対して過剰モル当量の金属酸化物を用い、両成分を溶融混錬する等して製造される。
上記の高級脂肪酸塩の融点は、通常110℃〜250℃であり、好ましくは115℃〜245℃であり、特に好ましくは120℃〜240℃である。
本発明のパージング剤には、必要に応じて、上記高級脂肪酸塩のほかに、パージング剤全体に対して通常20重量%未満、好ましくは5重量%未満にて、ポリオレフィン等の無極性熱可塑性樹脂、ヒンダードフェノール、あるいはヒンダードアミン類等の熱安定剤、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、シリカ、炭酸カルシウム等の金属塩、シリコン系またはフッ素系脂肪酸エステル、アミド系滑剤、発泡剤、界面活性剤などをを含有していてもよい。
<パージング剤使用方法>
本発明のパージング剤は、高級脂肪酸塩の粒径が従来よりも大きいため、フィード性が良好であり押出機供給部に付着しにくいことは上記の通りだが、さらに、押出機内において、被パージ樹脂の滞留箇所に近い部分で融解するために被パージ樹脂のパージ効果に優れると推測される
すなわち、パージング剤が押出機内に供給された場合、高級脂肪酸塩が融解せず粒子として存在する押出機内の領域(X)と、融解して液体として存在する押出機内の領域(Y)の割合が重要であると考えられ、押出機内において被パージ樹脂が固液共存する領域(すなわち圧縮部)において、粒径が大きい状態の高級脂肪酸塩粒子が存在しているため、圧縮部の洗浄効果に優れると推測される。
押出機の供給部から圧縮部へは連続的に被パージ樹脂の状態変化が起こるため、通常、被パージ樹脂が固液共存する圧縮部でも固体が主となる部位と液体が主となる部位が発生する。
押出機は運転中の内部観察が困難であるため、被パージ樹脂が固液共存する領域(すなわち圧縮部)の特定には、一旦押出機の運転を止め、スクリューを抜き取る等して観察して確認することが好ましい。
また、上記領域(Y)においても従来より高級脂肪酸塩の融解液が高濃度で存在することが可能になった結果、被パージ樹脂が顔料を含有する場合の強固なこびり付き汚れに対しても優れた洗浄効果を有すると推測される。
従って、押出機の供給部の温度は、パージング剤として用いる高級脂肪酸塩の融点未満であることが好ましい。また、被パージ樹脂の融点(または被パージ樹脂が非晶性樹脂を含む場合は流動開始温度)未満であることが好ましい。かかる供給部の温度は、通常50〜250℃、好ましくは60〜240℃、特に好ましくは70〜230℃である。
また、圧縮部の温度は、高級脂肪酸塩の融点以上であることが好ましい。また、被パージ樹脂の融点(または被パージ樹脂が非晶性樹脂を含む場合は流動開始温度)以上であることが好ましい。かかる圧縮部の温度は、通常120〜280℃、好ましくは150〜270℃、特に好ましくは170〜250℃である。このとき、圧縮部の中でも、もっとも温度の高い部位が上記の温度であればよい。
また、計量部の温度は高級脂肪酸塩の融点以上であることが好ましい。また、被パージ樹脂の融点(または被パージ樹脂が非晶性樹脂を含む場合は流動開始温度)以上であり、通常120〜280℃、好ましくは150〜270℃、特に好ましくは170〜250℃である。
また、押出機のスクリューの回転数は、利便性の点から被パージ樹脂の成形時と同じでよく、実用性の点から通常5〜300rpmであり、好ましくは10〜250rpmであり、特に好ましくは15〜200rpmである。
パージング剤の使用量は、通常、押出機の大きさおよび被パージ樹脂の汚れの程度で決定すればよいが、取り扱い性・経済性の点から通常0.5〜100kgであり、好ましくは1〜75kgであり、特に好ましくは1.5〜50kgである。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<被パージ樹脂の溶融成形加工後の状況作成>
被パージ樹脂として、以下の樹脂を用意した。
・ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製 ”EA7A”、融点164℃、MFR1.4g/10分(荷重2160g、230℃)、密度0.90:以下PPと称する)
・酸化チタン系白色顔料のマスターバッチ(Standridge Color社製 ”WHITE PP1315 PART#444883”融点163℃:以下TiO2.MBと称する)
・接着樹脂(三菱化学(株)製 ”P604V”、融点134℃、MFR3.2g/10分(荷重2160g、230℃)、密度0.90)
・EVOH(エチレン組成38モル%、ケン化度99.6モル%、融点173℃、MFR3.2g/10分(荷重2160g、210℃))
そして、PP/TiO2.MB/接着樹脂/EVOH=85/5/5/5重量比で配合した樹脂組成物を被パージ樹脂として用意した。
圧縮比3.4のフルフライトスクリューを装備した40mmφ単軸押出機に90/90メッシュのスクリーンパックを当て、ストランドダイを付けた装置を用い、設定温度C1/C2/C3/C4/H/D=120/200/230/230/230/230℃に設定した。このとき、C1は供給部、C4は計量部とし、C2およびC3は圧縮部と想定して温度設定した。かかる押出機でスクリュー回転数40rpmにて上記熱可塑性樹脂組成物を溶融押出し、該熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを再度同押出機に供給して、同様に溶融押出してペレットを得る操作を6回繰り返し、6回目はスクリューの回転数を維持したまま樹脂が出なくなるまで押出し続けた。
被パージ樹脂が出なくなった時点で一旦押出機のスクリュー回転を停止し、ダイを取り外してスクリューを抜き出し、被パージ樹脂の付着状況を確認した。
<被パージ樹脂のパージ操作>
パージング剤として、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム[融点225℃、勝田化工(株)製”EMS−6G”:JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときの篩上に残った高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の97%重量であった。また、JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き2360μm、7.5メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の3重量%であった。]を用いた。
上記の押出機のスクリューをバレルに戻し、ダイを外した状態で、供給部から該パージング剤を2kg投入し、スクリュー回転数20rpmでパージング剤が全て出尽くされるまで押出した。
再度スクリューを抜き、スクリュー表面に付着した被パージ樹脂の状態を確認した。供給部分は目視観察し、圧縮部分は樹脂が付着した面積の割合を計算して評価を行った。
その結果、供給部分では被パージ樹脂の付着は無く、高級脂肪酸塩の付着も確認されなかった。さらに圧縮部の樹脂付着面積割合は0%であった。
比較例1
実施例1において、パージング剤が含有する高級脂肪酸塩として12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム[融点225℃、勝田化工(株)製”EMS−6”:JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の0重量%であった。また、JIS Z8801−1(2006年)に準拠した目開き2360μm、7.5メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の0重量%である。]を用いた以外は実施例1と同様に行った。
その結果、押出機のスクリューの供給部分では被パージ樹脂付着は除去されたものの、高級脂肪酸塩の粉末が多量に付着し、圧縮部の被パージ樹脂付着面積割合は28%であった。
粒径の大きな高級脂肪酸塩粒子を含むパ−ジング剤を用いた本発明の実施例1の場合には、押出機供給部での被パージ樹脂付着が除去され、かつ高級脂肪酸塩の付着は無く、圧縮部の被パージ樹脂付着面積が0%という、非常に優れたパージ効果が得られた。
これに対して、従来の粒径が均一な粉体状態の高級脂肪酸塩をパージング剤として用いた場合、供給部の樹脂付着は除去されたものの、押出機供給部には高級脂肪酸塩の粉末が多量に付着し、かつ圧縮部の被パージ樹脂付着面積が28%と広範囲にわたって樹脂付着があった。
以上の結果より、本発明のパージング剤は、従来の粒径が均一な粉体状態の高級脂肪酸塩をパージング剤として用いた場合よりも優れた効果が得られることが判る。
本発明のパージング剤およびパージング方法は、粒径の大きな高級脂肪酸塩粒子をある程度含有するパージング剤を用いることにより、押出機内の供給部でのパージング剤自体の付着を低減し、また、圧縮部の樹脂付着除去効果が向上し、さらに、被パージ樹脂が顔料を含む場合の強固にこびり付いた汚れを除去することが可能になるため、押出機内の清掃がより容易となる。

Claims (11)

  1. 高級脂肪酸塩を含むパージング剤であって、目開き250μm、60メッシュの篩でふるったときに篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の50%重量以上であることを特徴とするパージング剤。
  2. 上記高級脂肪酸塩を、目開き2360μm、7.5メッシュの篩でふるったときの篩上に残る高級脂肪酸塩の重量が、高級脂肪酸塩全体の10重量%未満であることを特徴とする請求項1記載のパージング剤。
  3. 高級脂肪酸塩の含有量が、80〜100重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のパージング剤
  4. 高級脂肪酸塩が、炭素数8〜22の脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のパージング剤。
  5. 高級脂肪酸塩が、1〜2価の金属塩であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のパージング剤。
  6. 上記パージング剤が、熱可塑性樹脂のパージ用であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のパージング剤。
  7. 熱可塑性樹脂が極性基含有熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項6記載のパージング剤。
  8. 溶融押出機内の熱可塑性樹脂を高級脂肪酸塩でパージするにあたり、請求項1記載のパージング剤を用いることを特徴とするパージング方法。
  9. 上記熱可塑性樹脂が極性基含有熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項8記載のパージング方法。
  10. パージする際の押出機の供給部の温度が、高級脂肪酸塩の融点未満であることを特徴とする請求項8または9に記載のパージング方法。
  11. パージする際の押出機の圧縮部の温度が、高級脂肪酸塩の融点以上であることを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載のパージング方法。
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