JP2010175638A - 表示装置及び表示装置の表示方法 - Google Patents

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成憲 中田
Noriyuki Kushiro
紀之 久代
Makoto Katsukura
真 勝倉
Yoshiaki Koizumi
吉秋 小泉
Takuya Mukai
卓也 向井
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Abstract

【課題】GUI処理の一部をハードウェア化し、マイコンの処理負担を軽減させることのできる表示装置及び表示装置の表示方法を得る。
【解決手段】描画演算装置104は、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドが格納されると描画要求領域121に格納された描画要求に基づく処理を開始し、指示アドレスが示す描画要求が描画終了要求であれば描画要求に基づく処理を終了するとともに割込要因レジスタ108に終了要因を格納して中央演算装置100に割り込みを発呼する。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気調和機などの家電機器の状態を表示する表示装置及び、表示装置の表示方法に関する。
空気調和機や家電機器等の組込機器は、多機能化が進んでいる。このため、従来のように数個のボタンとこれに直結して固定内容を表示する液晶表示(例えばセグメント液晶表示)を組み合わせただけでは操作しきれなくなっている。
そこで、低価格化してきた汎用液晶(いわゆるフルドット液晶)を用いた、いわゆるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を備えた表示装置を用いた電気機器が製造されている。GUIにおいては、液晶画面に任意の図形や画像を表示し、さらには液晶画面の画面表示を切り替える、画面上に説明用の小さなウィンドウ表示を組み合わせる、などの方法により、多機能性と使いやすさが両立されている。このため、利用者にとって電気機器の機能が使いやすくなり、利便性の向上につながっている。
しかし、これら電気機器の表示装置においては、製造コストの観点から、液晶への表示内容や操作装置に、大きな制約が加えられている。
組込機器に用いられるマイコンは、コスト、発熱、消費電力などを考慮し、パソコンに用いられるマイコンと比較して処理能力の低いものが用いられる。そしてその性能比は、パソコンのマイコンと比較して、速度は約1/100以下程度、記憶容量は1/1000以下程度であることが多い。
前述のフルドット液晶は、微小な発光点を組み合わせて自由度の高い表示を実現しているため、一つの図形を表示するだけでも多くの命令数を必要とする。例えば、1cm角の四角形を描画するために、100個程度の微小な発光点を変化させなければならず、このためにはおよそ1000命令程度を要する。
このような図形表示を組み合わせてさらに画面表示切り替えにより頻繁に描画を行うGUI処理を実現するために、マイコンの処理能力の大部分を消費し、また、中間的な情報処理のために記憶容量の大部分を消費してしまう。このため、組込機器本来の機能を実現するための制御アプリケーションプログラムの実行が遅延するなどの影響が生じうる。そして結果的に、制御アプリケーションプログラムの設計が難しくなり、開発工数の増大につながりうる。
このような課題に対し、例えば、GUI処理の一部を実行する専用のハードウェア(グラフィックアクセラレータ)を搭載する機器がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−185195号公報(第4頁)
ハードウェアによるGUI処理は、ソフトウェアによるGUI処理と比べて非常に処理速度が速い。これは、マイコンが最小単位クロックに同期して一つずつ処理するのに対し、ハードウェアはクロックとは無関係に並行処理を行うことができ、さらにその並行度を最適化することができるからである。このように、GUI処理を専用ハードウェア化することにより、主たる制御アプリケーションがマイコンの処理能力を独占することができる。例えば、ハードウェアによるGUI処理を行う場合には、1cm角の四角形を描画するために、端点を算出するためには10命令程度でよい。そして、GUI処理をハードウェア化する場合には、一般的に、「線描画」「色計算」などの描画命令単位でハードウェア化されている。
しかし、このように描画命令単位でハードウェア化した場合、GUIに関する処理をマイコンから十分に切り離したとはいえない。すなわち、液晶画面に多くの情報を図形や画像として表示し、かつ、表示画面切り替えを行う場合には、頻繁に描画要求が生じる。したがって、マイコンは描画要求に関する処理を行うために、相当量の処理能力を消費してしまう。このため、描画命令の実行自体はマイコンから独立させることができても、描画要求に関する処理はマイコンが行う必要があるため、マイコンの処理負担は大きいものであった。
逆に、GUI処理をすべてハードウェア化することも困難であった。GUI表示はアプリケーションや製品毎に異なるため、それぞれのアプリケーションや製品毎に専用のハードウェアを製造する必要があり、膨大な手間とコストがかかるからである。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、GUI処理の一部をハードウェア化した表示装置において、マイコンの処理負担を軽減させることのできる表示装置及び表示装置の表示方法を提供するものである。
本発明に係る表示装置は、
液晶表示部と、
前記液晶表示部に表示させる表示内容を生成する描画生成部とを有し、
前記描画生成部は、中央演算手段、描画演算手段、第1記憶手段及び第2記憶手段を備え、
前記第1記憶手段は、前記中央演算手段と前記描画演算手段の双方から読み書き可能であり、
前記第2記憶手段は、前記描画演算手段から読み書き可能であるとともに前記液晶表示部から読み出し可能であり、
前記中央演算手段は、表示プログラムを解釈して実行し、実行結果に基づく描画要求を前記第1記憶手段に格納させるものであり、
前記描画演算手段は、実行する前記描画要求のアドレスである指示アドレスを保持する指示アドレスレジスタを備え、前記指示アドレスに基づいて前記第1記憶手段に格納された描画要求を解釈して、解釈した描画要求が描画実行要求であれば、液晶の発光点の座標と色を演算し、該演算結果の座標と色を前記第2記憶手段に格納させ、前記指示アドレスを更新する一連の描画実行処理を行うものであり、
前記液晶表示部は、前記第2記憶手段に格納された座標と色に基づいて液晶の発光点を発色させるものであって、
前記描画演算手段は、前記描画演算処理の開始を指示する開始コマンドを格納する開始終了指示レジスタ、及び前記中央演算手段への割込要因を格納する割込要因レジスタを備え、
前記描画演算手段は、前記開始終了指示レジスタに開始コマンドが格納されると前記第1記憶手段に格納された描画要求に基づく処理を開始し、前記指示アドレスが示す描画要求が描画終了要求であれば描画要求に基づく処理を終了するとともに前記割込要因レジスタに終了要因を格納して前記中央演算手段に割り込みを発呼するものである。
本発明に係る表示装置によれば、描画演算手段は、開始終了指示レジスタに開始コマンドを書き込まれてから描画終了処理を要求する描画要求を実行するまでの間は、中央演算手段と独立して描画演算処理を行う。
このため、描画処理に要する中央演算手段の処理負担を軽減することができる。
本発明の実施の形態1に係る表示装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る表示装置の動作フローチャートである。 描画要求領域の構成例を示す図である。 図2の描画要求処理を示すフローチャートである。 図4の描画実行処理を示すフローチャートである。 図4の描画範囲制約更新処理を示すフローチャートである。 図4の描画終了処理を示すフローチャートである。 描画要求の構成例を示す図である。 図8の描画要求に基づく表示例を示す図である。 描画要求の他の構成例を示す図である。 図10の描画要求に基づく表示例を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る描画要求領域の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る描画要求処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る表示装置の動作フローチャートである。
実施の形態1.
本実施の形態1では、空気調和機などの組込機器に組み込まれて、機器の状態等を表示する表示装置を例に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置1のブロック図である。図1において、表示装置1は、中央演算装置100と、描画演算装置104と、記憶装置118と、液晶画面126を備えた液晶表示部123を備える。なお、中央演算装置100と描画演算装置104は同じマイコンLSIに集積されていることが好ましい。
まず、記憶装置118について説明する。
記憶装置118は、中央演算装置100と描画演算装置104の双方からアクセス可能な記憶装置であり、中央演算装置100や描画演算装置104が実行する各種プログラムや演算結果を記憶する。記憶装置118は、表示プログラム領域119と、機器制御プログラム領域120と、描画要求領域121と、描画結果領域122を有する。
表示プログラム領域119は、液晶表示部123に表示を行うための表示プログラムを格納する。機器制御プログラム領域120は、表示装置1全体の動作を制御するための機器制御プログラムを格納する。表示プログラムと機器制御プログラムは、中央演算装置100が実行するプログラムである。
描画要求領域121は、描画演算装置104が実行する各種描画要求を格納する。中央演算装置100による各種演算結果に基づいて、描画要求が描画要求領域121に書き込まれる。
描画結果領域122は、液晶画面126に表示する描画データを格納するための記憶領域であり、一般的にフレームバッファーと呼ばれる。描画結果領域122は、液晶表示部123の液晶の発光点座標のそれぞれのアドレスに割り当てられた記憶空間で構成されている。本実施の形態1では、描画結果領域122と液晶表示部123の液晶の発光点座標とは1対1に対応している場合を例に説明するが、液晶表示部123の液晶に対して複数の描画結果領域を備えた構成であってもよい。
なお、表示プログラム領域119と機器制御プログラム領域120は、DRAMやSRAMなどの不揮発性記憶装置で構成し、描画要求領域121と描画結果領域122はROMなどの揮発性記憶装置で構成するのが好ましい。
さらに、記憶装置118は、中央演算装置100と描画演算装置104とともに同一マイコンLSI実装され、いわゆるシステムLSIであることが好ましい。
次に、中央演算装置100について説明する。
中央演算装置100はマイコンなどによって構成され、主レジスタ101と制御部103を備える。
制御部103は、単位クロックごとに表示装置1全体の制御を行うために機器制御プログラムを実行するとともに、液晶表示部123に表示を行うための表示プログラムを実行し、各種演算処理を行う。
主レジスタ101は、各種演算処理を行うためのデータレジスタや、記憶装置118へアクセスするためのアドレスを指定するアドレスレジスタを備えるが、本実施の形態1では、命令アドレスレジスタ102のみ図示している。
命令アドレスレジスタ102は、制御部103が実行する命令の、記憶装置118上のアドレスを保持するレジスタである。図1において、命令アドレスレジスタ102から記憶装置118へ延びる矢印131と矢印132は、命令アドレスレジスタ102が記憶装置118のアドレスを指し示すことを意味している。
次に、描画演算装置104について説明する。
描画演算装置104は、液晶表示に特化した論理回路であって、記憶装置118を読み書きする機能を有する。描画演算装置104は、描画レジスタ105と、描画演算部110を備える。また、描画レジスタ105は、指示アドレスレジスタ106と、開始終了指示レジスタ107と、割込要因レジスタ108と、描画アドレスレジスタ109を備える。
指示アドレスレジスタ106は、描画演算部110が実行する命令(以下、描画要求と称する)の、記憶装置118上のアドレスを保持するレジスタである。図1において、指示アドレスレジスタ106から記憶装置118へ延びる矢印133は、指示アドレスレジスタ106が記憶装置118のアドレスを指し示すことを意味している。
開始終了指示レジスタ107は、描画演算部110に描画処理の開始を指示する開始コマンドを保持するレジスタである。
割込要因レジスタ108は、描画演算装置104から中央演算装置100に割り込み信号を発呼したときに、その割り込み要因を保持するレジスタである。
描画アドレスレジスタ109は、描画演算部110による描画処理の結果の書き込み先となる記憶装置118のアドレスを保持するレジスタである。なお、描画アドレスレジスタ109から記憶装置118へ延びる矢印134は、描画アドレスレジスタ109が記憶装置118のアドレスを指し示すことを意味している。
描画演算部110は、解釈部111と、特定の描画機能を有する論理回路である線描画回路112、四角枠描画回路113、四角塗描画回路114、及び画像描画回路115と、描画範囲制約記憶部116と、描画可否状態記憶部117とを備える。
解釈部111は、描画要求を解釈し、描画内容に応じて線描画回路112、四角枠描画回路113、四角塗描画回路114、画像描画回路115、のいずれかの論理回路を活性化する。なお、以降の説明において、線描画回路112、四角枠描画回路113、四角塗描画回路114、画像描画回路115を総称して描画論理回路と称する場合がある。
描画範囲制約記憶部116は、描画演算装置104が描画可能な範囲を、描画の制約範囲として記憶する。すなわち、描画演算装置104は描画範囲制約記憶部116に記憶された描画範囲以外へは、描画を行わない。描画範囲制約記憶部116には、要求制約116aと描画制約116bという2種類の描画範囲制約がある。
要求制約116aは、描画要求によって指示される描画の制約範囲である。言い換えると、表示プログラムの実行結果に基づいて描画を制約される範囲が、要求制約116aである。描画演算装置104は、要求制約116aの範囲外への描画を行わない。
描画制約116bは、描画結果領域122に基づいて算出される描画の制約範囲である。描画結果領域122は液晶の発光点座標のそれぞれのアドレスに対応しているので、基本的には液晶表示部123の液晶画面126で表示可能な範囲と言い換えることができる。
なお、液晶表示部123の液晶画面126に対して複数の描画結果領域(フレームバッファー)を備えた構成の場合、液晶画面126で実際に表示可能な範囲を、別途描画制約範囲として記憶してもよい。
なお、本発明の第1描画範囲制約は描画制約116bに、本発明の第2描画範囲制約は要求制約116aにそれぞれ相当する。
描画可否状態記憶部117は、描画結果領域122に描画されたか、あるいはまったく描画されなかったかを示す情報を記憶する。
なお、本発明の第1描画可否情報及び第2描画可否情報は、描画可否状態記憶部117に記憶される情報に相当する。
液晶表示部123は、液晶制御部124と、表示アドレスレジスタ125と、液晶画面126を備え、図示しない筐体に格納されている。
液晶表示部123は、例えば画面左上から右へ、さらに下方向へと時間経過とともに表示位置の移動に応じて液晶を高速に発光させ、目に映る残像効果により二次元の画像を映し出す、いわゆるフルドット液晶を想定する。
液晶制御部124は、描画結果領域122の描画データに基づいて液晶画面126の表示制御を行うLCDコントローラである。
液晶画面126は、微小な発光点の集合である液晶を備え、液晶制御部124によって表示制御されて画面表示を行う。
表示アドレスレジスタ125は、液晶画面126の発光点を発光させるための発光情報や色情報を格納した記憶装置118上のアドレスを保持するレジスタである。液晶制御部124は、表示アドレスレジスタ125が指し示す描画データを描画結果領域122から取得し、液晶画面126の発光点を発光させる。なお、表示アドレスレジスタ125から記憶装置118へ延びる矢印135は、表示アドレスレジスタ125が記憶装置118のアドレスを指し示すことを意味している。
次に、液晶画面126に画面表示を行う際の動作概要を説明する。
図2は、液晶画面126の表示に関する表示装置1の動作フローチャートであり、中央演算装置100、描画演算装置104、及び液晶表示部123の動作概要を示す。
(1)中央演算装置100の動作
(S11)
中央演算装置100は、表示プログラムに基づいて所定の演算処理を実行する(S11)。具体的には、命令アドレスレジスタ102が保持する命令アドレスにより、表示プログラム領域119の命令を指し示す。そして、その指し示した命令を、中央演算装置100の定義内容に基づいて解釈し、四則演算・論理演算・データ転送・命令アドレス変更・条件付き命令アドレス変更などの必要な処理を行う。これらの演算等を組み合わせたプログラムにより、液晶表示部123の表示制御を行う。なお、図2では図示しないが、表示装置1全体の機器制御は、機器制御プログラムに基づいて行う。
(S12)
中央演算装置100は、表示プログラムの実行結果に基づいて、記憶装置118の描画要求領域121に描画要求を書き込む(S12)。
ここで、図3により描画要求領域112に格納された描画要求群200の構成例を示す。なお、図3の記憶装置118では描画要求領域121のみ図示している。
描画要求群200は、描画要求201〜206により構成される。図3の描画要求201〜206に記載される「描画実行」、「描画範囲制約更新」、「描画終了」の文字は、描画要求の種別を表す(詳細は後述する)。描画要求の種別に応じた描画処理が行われることとなる。
(S13)
描画演算装置104の開始終了指示レジスタ107に、開始コマンドを書き込む。開始コマンドの書き込みが、描画演算装置104の処理開始のトリガとなる。
(S14)
その後は、機器制御プログラムに従い、他の制御アプリケーションの制御処理を行う。
(S15)
描画演算装置104から割り込みが発呼されると、所定の割込処理を行う。このとき、割込要因レジスタ108を参照し、格納されている情報に応じて割込処理を行うこともできる。
(S16)
再び描画演算装置104に処理を開始させたい場合には、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドを書き込む。
(S17)
その後は、機器制御プログラムに従い、他の制御アプリケーションの制御処理を行う。
(S18)
また、描画演算装置104から割り込みが発呼されると、所定の割り込み処理を行う。
すなわち中央演算装置100は、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドを書き込んでから描画演算装置104により割り込みが発呼されるまでの間は、描画演算装置104とは独立して制御処理を行う。
(2)描画演算装置104の動作
次に、描画演算装置104の動作を説明する。
(S21)
開始終了指示レジスタ107に開始コマンドが書き込まれると、描画要求領域121に格納された描画要求に基づく描画要求処理を開始する。
ここで、図2に示した描画要求処理の動作を説明する。
図4は、描画要求処理の動作を説明するフローチャートである。
図4において描画演算装置104は、指示アドレスレジスタ106に格納された指示アドレスが指し示す描画要求を描画要求領域121から読み出す(S1201)。そして、読み込んだ描画要求を解釈部111にて解釈する(S1202)。ここでは、線描画や矩形描画などの描画を実行する「描画実行」と、描画範囲制約記憶部116の要求制約116aを更新する「描画範囲制約更新」、描画処理を終了する「描画終了」という3種類の描画要求がある。
描画要求の種類に応じて分岐し(S1203)、各描画要求に対応する処理を行う(S1204、S1205、S1206)。
各処理終了後は、指示アドレスレジスタ106の指示アドレスを次の指示アドレスに更新し(S1206)、終了する。
したがって、再び描画要求処理を実行する場合には、ステップS1206で更新された指示アドレスが示す描画要求を実行することとなる。このようにして、描画要求領域121に格納された描画要求に対応する処理を順次実行していく。
以上、描画要求処理の動作を説明した。
次に、図4で示した描画実行処理の動作を説明する。描画実行処理は、例えば線描画や四角枠描画などの描画を行うための各種演算処理を行い、演算結果の座標と色を描画結果領域122に格納する処理である。
図5は、描画実行処理の動作を説明するフローチャートである。
描画演算装置104は描画実行処理を開始すると、描画可否状態記憶部117を初期化する(S1301)。
次に、描画処理が終了したか否かの判定を行う(S1302)。終了した場合はステップS1308へ、終了していない場合はステップS1303へ進むが、ここでは終了条件を満たさず終了していないものとしてステップS1303へ進む。
ステップS1303では、描画要求に基づいて描画すべき座標を計算する(S1303)。そして、計算した描画座標が、描画範囲制約記憶部116に記憶された描画制約116b内に収まるか否か判定する(S1304)。描画制約116b内に収まるとは、描画すべき図形等が描画結果領域122内に描画できることを意味する。この判定は、描画座標の計算結果と描画制約116bとの間で、横方向の座標の大小及び縦方向の座標の大小を判定することにより行う。収まる場合はステップS1305へ、収まらない場合はステップS1308へ進む。
ステップS1305では、ステップS1303で計算した描画座標が、描画範囲制約記憶部116に記憶された要求制約116a内に収まるか否か判定する(S1305)。判定方法についてはステップS1304と同様である。そして、収まる場合はステップS1306へ、収まらない場合はステップS1308へ進む。
描画座標が描画制約116b及び要求制約116aに収まる場合には、描画結果領域122におけるその描画座標の色情報を変更する(S1306)。続けて、描画可否状態記憶部117の情報を描画可能状態に変更し(S1307)、次の描画座標を算出する(S1308)。
その後、描画処理が終了したか否かの判定を行う(S1302)。ステップS1303〜S1308までの処理は、描画要求で指定された領域の座標すべてについて繰り返し行うこととなる。例えば、四角塗の描画要求であれば、その四角塗の矩形領域を構成するすべての座標について、ステップS1303〜S1308を繰り返す。描画を行うすべての座標についてステップS1303〜S1308の処理が終了したら、描画終了の条件を満たしたこととなる(S1302)。
ステップS1302で描画処理の終了条件を満たす場合には、描画可否状態が初期状態であるか否かの判定を行う(S1309)。描画可否状態記憶部117に格納された描画可否状態が初期状態でない場合には、ステップS1307で描画可否状態が変更されたということであり、描画結果領域122に何らかの描画がなされたことを意味する。この場合は、描画実行処理を終了する(S1313)。
また、ステップS1309で描画可否状態が初期状態である場合には、描画結果領域122にまったく描画がなされなかったことを意味する。この場合、割込要因レジスタ108に割込要因として「描画範囲外」を設定する(S1310)。そして、中央演算装置100に割り込み要求し(S1311)、描画実行処理を終了する(S1312)。この場合は、描画要求処理自体の実行を中止する。
なお、ステップS1312にて描画演算を中断するかどうかは、描画演算装置104に図示しない実行状態記憶を設け、実行状態記憶が開発途上を示せば中断し、開発完了を示せば中断しないよう切り替え可能とするのが望ましい。
以上、描画実行処理の動作を説明した。
次に、図4で示した描画範囲制約更新処理の動作を説明する。描画範囲制約更新処理は、描画範囲制約記憶部116に格納された要求制約116aを、描画要求に基づいて更新する処理である。
図6は、描画範囲制約更新処理の動作を説明するフローチャートである。
描画演算装置104は処理を開始すると、描画要求により指定された条件に基づいて、描画範囲制約記憶部116に格納された要求制約116aを更新する(S1401)。例えば描画要求が、左上座標(1,1)、右下座標(10,10)を対角線とする矩形領域を描画範囲とすべき要求であれば、その矩形領域を要求制約116aとして格納する。
以上、描画範囲制約更新処理の動作を説明した。
次に、図4で示した描画終了処理の動作を説明する。描画終了処理は、描画演算装置104による処理を終了する処理である。
図7は、描画終了処理の動作を説明するフローチャートである。
描画終了処理を開始すると、割込要因レジスタ108に割込要因を書き込む(S1501)。例えば、「終了要因x」によって描画処理を終了する場合には、「終了要因x」を割込要因レジスタ108に書き込む。割込要因レジスタ108に書き込む割込要因は、任意に定めることができる。図3で示した描画要求群200には「描画終了」の描画要求203と描画要求206があるが、それぞれ異なる終了要因を割込要因として格納することもできる。
そして、中央演算装置100に割り込みを発呼し(S1502)、終了する。
中央演算装置100は、この割り込み発呼に応じて必要な割り込み処理を行うこととなるが、割込要因レジスタ108を参照することによりどのような理由により割り込みが発呼されたのか認識できる。
以上、描画終了処理の動作を説明した。
次に、図2に戻って描画演算装置104の動作の説明を続ける。
(S21〜S23)
描画演算装置104は、描画要求の内容に応じた描画要求処理を順次実行する。そして、描画終了処理を行った後は、その動作を停止する。
(S24〜S26)
そして、再び開始終了指示レジスタ107に開始コマンドが書き込まれると、描画要求領域121に格納された描画要求に基づく描画要求処理を開始する。
すなわち描画演算装置104は、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドが書き込まれてからは、中央演算装置104から独立して描画要求に応じた処理を行う。
(3)液晶表示部123の動作
次に、液晶表示部123の動作を説明する。
(S31、S32)
液晶表示部123は、表示アドレスレジスタ125の表示アドレスが指し示す描画データを描画結果領域122から順次読み出し、液晶画面126の液晶を発光させるための座標情報や色情報を取得し、液晶画面126の液晶を発光させる。このようにすることで、図形や画像などが液晶画面126上に表示される。
上記のように、中央演算装置100が表示プログラムを実行して記憶装置118に描画要求を書き込み、この描画要求に基づいて描画演算装置104が描画要求処理を実行して記憶装置118に描画結果を書き込む。そして、この描画結果に基づいて液晶表示部123が液晶画面126に表示を行う。このような一連の処理により、液晶画面126に画面表示が行われることとなる。
以上、液晶画面126に画面表示を行う際の動作概要を説明した。
次に、描画要求の具体例とその描画要求に基づく描画の例を説明する。
図8は描画要求領域121に格納された描画要求群300の構成例を示し、描画要求群300は描画要求301〜304により構成される。
また、図9は図8の描画要求群200に基づいて描画される描画結果領域122の内容例を示す。なお、描画結果領域122は記憶空間であるので、説明を分かりやすくするため、図9では液晶画面126に表示される際の表示イメージとして描画結果領域122の内容を記載している。
以下、図8及び図9に基づいて、図5を参照しつつ説明する。
図8において、描画要求群300は、描画要求301〜304で構成される。描画要求301、303、304は、「描画実行」を行う描画要求、描画要求302は「描画範囲制約更新」の描画要求である。
描画要求301〜304は、各種パラメータ情報で構成されている。パラメータ情報は、描画要求301の場合、命令種別301a、描画機能種別301b、左上座標301c、右下座標301d、線画太さ301e、描画色301fである。パラメータ情報の内容は、描画要求の内容によって異なる。
描画要求301は、四角枠(301b)を、左上座標(0,0)(301c)と右下座標(9,9)(301d)を対角として、太さ1(301e)、色は黒(301f)で描画する描画要求である。
描画要求301に基づく描画実行処理を、図5により主要部を中心に説明する。
図5において、四角枠を描くための座標として座標(0,0)を計算し(S1303)、この座標が描画制約116b内か否かを判定する(S1304)。
ここでは、描画制約116bとして左上座標(0,0)、右下座標(320,240)を対角線とする矩形領域が指定されているとする。座標(0,0)は描画制約116b内であるのでステップS1305へ進み、要求制約116a内か否かを判定する(S1305)。
ここでは、要求制約116aとして左上座標(0,0)、右下座標(320,240)を対角線とする矩形領域が指定されているとする。座標(0,0)は要求制約116a内であるのでステップS1306へ進み、座標(0,0)の色情報を変更し(S1306)、描画可否状態を変更し(S1307)、次の描画座標(1,0)を算出し(S1308)、ステップS1302へ戻る。
以降は、ステップS1303〜S1308の処理を、四角枠を構成する座標すべてについて繰り返す。四角枠を構成するすべての座標の処理が終了すると描画終了条件を満たし(S1302)、ステップS1309へ進んで描画可否状態を判定する(S1309)。ステップS1307で描画可否状態を変更しており初期状態ではないので、ステップS1309では「NO」へ進んで、描画実行処理を終了する(S1313)。
図9(A)は、描画要求301に基づく描画結果である。図に示すように、左上座標(0,0)と右下座標(9,9)を対角とする四角枠401が描画される。なお、図9では座標を分かりやすくするため背景に罫線を表記しているが、実際に罫線が表示されるわけではない。
また、図8に示す描画要求302は、左上座標(1,1)、右下座標(8,8)を対角とする矩形領域を要求制約116aとする、「描画範囲制約更新」の描画要求である。具体的な処理は前述の通りである。描画演算部110の描画結果は要求制約116aの制約を受け、これ以降は、要求制約116aをはみ出す座標への描画は行われない。なお、描画要求302を実行した段階では、描画結果領域122の内容に変化はない。
また、図8に示す描画要求303は、左上座標(0,0)と右下座標(9,9)を対角とする矩形領域を灰色で塗りつぶす描画要求である。
描画要求303に基づく描画実行処理を、図5により主要部を中心に説明する。
図5において、四角塗を描画するための座標として座標(0,0)を計算し(S1303)、この座標が描画結果領域の描画制約116b内か否かを判定する(S1304)。座標(0,0)は描画制約116b内であるのでステップS1305へ進み、座標(0,0)が要求制約116a内か否かを判定する(S1305)。ここで、座標(0,0)は、描画要求202により更新された要求制約116aの範囲外であるので、ステップS1308へ進んで次の描画座標(1,0)を算出し(S1308)、ステップS1302へ戻る。すなわち、座標(0,0)については描画結果領域122に描画を行わない。
以降は、ステップS1303〜S1308の処理を、四角塗を構成する座標すべてについて繰り返す。四角塗を構成するすべての座標の処理が終了すると描画終了条件を満たし(S1302)、ステップS1309へ進んで描画可否状態を判定する(S1309)。例えば座標(0,0)など、要求制約116aの制約により描画されない座標があるが、左上座標(1,1)と右下座標(8,8)を対角線とする矩形領域内の座標については描画される。したがって描画可否状態は初期状態でなく、ステップS1309では「NO」へ進んで、描画実行処理を終了する(S1313)。
図9(B)は、描画要求303に基づく描画結果である。図9(B)では、描画要求303による四角塗402を網掛け表示している。描画要求303では、左上座標(0,0)、右下座標(9,9)が指定されていたが、描画要求302による要求制約116aの制約を受け、左上座標(1,1)と右下座標(8,8)を対角とする矩形領域のみが塗りつぶされ、四角枠401は上書きされない。
また、図8に示す描画要求304は、始点(0,0)、終点(9,9)を両端として太さ1で黒色で線描画を行う描画要求である。
描画要求304に基づく描画実行処理も上記同様に図5に従って実行される。
図9(C)は、描画要求304に基づく描画結果である。図に示すように、描画要求304では始点(0,0)、終点(9,9)を両端とする線描画が指定されていたが、描画要求302による要求制約116aの制約を受ける。したがって、始点(1,1)、終点(8,8)を両端とする直線403のみが描画され、座標(0,0)と座標(9,9)は上書きされない。
次に、描画要求とその描画要求に基づく描画の他の具体例を説明する。ここでは、ある描画要求に基づく描画がまったく行われない場合の例を説明する。
図10は描画要求領域121に格納された描画要求群300Aの構成例を示し、描画要求303Aのみ前述の図8と異なり、その他の構成は図8と同様である。また図11は、図10で示す描画要求群300Aに基づいて描画される描画結果領域122の内容例を示す。以下、図8及び図9と異なる点を中心に説明する。
図10に示す描画要求301、302に基づく描画実行処理は、前述の通りである。
図11(A)は描画要求301、302実行後の描画結果である。前述の図9(A)と同様に四角枠401が描画される。
また、要求制約116aとして、左上座標(1,1)、右下座標(8,8)を対角とする矩形領域が指定されている状態となっている。
図10に示す描画要求303Aは、左上座標(10,0)と右下座標(20,10)を対角とする矩形領域を灰色で塗りつぶす描画要求である。
描画要求303Aに基づく描画実行処理を、図5により主要部を中心に説明する。
図5において、四角塗を描画するための座標として座標(10,0)を計算し(S1303)、この座標が描画結果領域の描画制約116b内か否かを判定する(S1304)。座標(10,0)は描画制約116b内であるのでステップS1305へ進み、座標(10,0)が要求制約116a内か否かを判定する(S1305)。ここで、座標(10,0)は、要求制約116aの範囲外であるので、ステップS1308へ進んで次の描画座標(11,0)を算出し(S1308)、ステップS1302へと戻る。
以降は、ステップS1303〜S1308の処理を、四角塗を構成する座標すべてについて繰り返す。四角塗を構成するすべての座標の処理が終了すると描画終了条件を満たし(S1302)、ステップS1309へ進んで描画可否状態を判定する(S1309)。
ここで、描画要求203Aで指定された左上座標(10,0)と右下座標(20,10)を対角とする矩形領域を構成するすべての座標は、要求制約116aの範囲外である。言い換えると、描画要求203Aで描画を指示された矩形領域と、要求制約116aの領域とはまったく重複しない。
したがって、一切の描画が行われず、描画可否状態は初期状態のままである。このため、ステップS1309では「YES」へ進んで、割込要因レジスタ108に割込要因として「描画範囲外」を設定し(S1310)、中央演算装置100に割り込み要求を発呼し(S1311)、描画実行処理を中断する(S1312)。なお、描画実行処理が中断されるので、描画要求304(図10)に基づく描画処理は実行されない。
この描画要求303Aに基づく処理を終了した時点での描画結果を図11(B)に示す。図11(B)では、描画要求303Aで四角塗を要求された矩形領域404を破線で仮想的に図示している。図11(B)に示すように、矩形領域404は要求制約116aで指定された矩形領域の範囲外であるので、四角塗は実行されず、結果として、描画結果領域122の描画内容は図11(A)と同一である。
なお、上記説明では描画要求303Aの描画範囲が要求制約116aの範囲外である場合を例に説明したが、描画制約116bの範囲外である場合も図5に従って処理を行うことができる。また、図5のステップS1310で割込要因を書き込む際、要求制約116aの範囲外なのか描画制約116bの範囲外なのかによって異なる割込要因を書き込んでもよい。
このように、本実施の形態1に係る表示装置1によれば、表示装置1全体の制御を行う中央演算装置100とは別に、描画処理を実行する専用のハードウェアとして描画演算装置104を設けた。このため、描画処理に要する中央演算装置100の処理負担を軽減することができる。また、描画処理を描画演算装置104で行うので、高速な描画処理を実現できる。
また、描画演算装置104は、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドが書き込まれてから描画要求により描画終了処理を行うまでの間、中央演算装置100とは独立して描画処理を行うことができる。このため、中央演算装置100は、描画演算装置104が行う描画処理のためにその処理資源を独占されることがなく、主たる制御アプリケーションなどの制御処理にその処理資源を十分に充てることができる。したがって、表示装置1や表示装置1が組み込まれた機器の本来の機能を高速に実行することができる。
また、描画要求として「描画終了」要求を設け、この「描画終了」要求により描画演算装置104の描画処理を終了するようにしたので、描画演算装置104は中央演算装置100と独立して描画処理を終了することができる。一方、中央演算装置100は描画演算装置104の描画処理を監視して描画演算装置104に描画処理の終了を指示する必要がないので、描画演算装置104のために要する処理負担を軽減することができる。
また、「描画終了」の描画要求による描画終了処理においては、その終了要因を割込要因レジスタ108に割込要因として格納するようにした。任意の割込要因を格納できるので、中央演算装置100は描画演算装置104がどのような理由で描画処理を停止しているのか認識できる。例えば、割込要因レジスタ108に、単に一時中断していることを示す割込要因が格納されていれば、中央演算装置100は描画演算装置104が処理を一時中断していることを認識できる。また、処理がすべて終了したことを示す割込要因が割込要因レジスタ108に格納されていれば、処理がすべて終了していることを認識できる。
また、描画要求を記憶装置118に予め格納しておくことができるので、描画要求を繰り返し実行する場合には、効率的な処理を行うことができる。すなわち、例えばグラフィックプロセッサに対して描画要求を連続的に発呼するためのFIFO(ファースト・イン・ファースト・アウト)バッファーであれば、すべての描画要求をFIFOバッファーに格納する必要がある。したがって、繰り返し実行する描画要求を、繰り返しの回数分だけFIFOバッファーに格納することとなる。しかし、本実施の形態1に係る表示装置1によれば、繰り返し実行する描画要求を1セットの描画要求群として描画要求領域121に格納しておけばよい。そして、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドを書き込むだけで、描画演算装置104は描画要求領域121に格納された描画要求群を繰り返し実行することができる。
また、描画実行処理(図5)において座標の描画がまったく行われなかった場合は、割込要因レジスタ108に割込要因を書き込むとともに、中央演算装置100に割り込みを要求するようにした。このため、中央演算装置100は異常の発生を認識できる。したがって、意図した結果として表示されないのか、異常により表示されないのか区別でき、異常の場合には中央演算装置100が適切な対処を行うことができる。
また、要求制約116aと描画制約116bを設け、いずれの範囲を逸脱して座標の描画がまったく行われなかったのか、中央演算装置100が認識できるようにした。したがって、中央演算装置100は必要に応じて適切な対処を行うことができる。
また、操作者の操作に応じて画面上に表示した画像の位置を少しずつ動かすようなアニメーション表現を行う場合には、画像の位置を動かすための描画要求を繰り返し実行する必要がある。このような場合、本実施の形態1に係る表示装置1では、予め画像の位置を動かし終わるまでの複数の描画要求群(描画実行要求と描画終了要求)を記憶装置118に格納しておく。そして、中央演算装置100は、所定時間(例えば0.1秒)間隔で連続的に開始コマンドを発行して描画演算装置104による描画を連続的に実行させる。各描画要求群の処理が終了すると、割込要因レジスタ108にはそれぞれの描画終了要因が格納されていることとなる。このようにすることで、アニメーション表現のように連続して描画を行うような処理を実行する場合でも、中央演算装置100が実行する主処理はほぼ中断されることがない。一般に中央演算装置100の割り込み処理は、高速に応答しかつ主処理を妨げないようにするため、最小限の処理に絞っている。このような状況下、主処理の状態を参照することなく割込要因レジスタ108だけで適切な描画処理を行うことができるので、非力な中央演算装置100が高速に動作するために非常に有効である。
なお、本実施の形態1では、描画範囲制約記憶部116には、描画要求によって指定される要求制約116aと、描画結果領域122に基づいて算出される描画制約116bとを備える場合を例に説明した。このほかに、液晶画面126が実際に表示可能な範囲と描画結果領域122の大きさとが一致しない場合には、液晶画面126が実際に表示可能な範囲を別途描画範囲として描画範囲制約記憶部116に格納するようにしてもよい。また、描画範囲制約記憶部116に格納された描画範囲毎に、描画可否状態記憶部117にて描画可否状態を記憶することが望ましい。
また、本実施の形態1の図5のステップS1307では、描画制約116bに描画座標が収まり(S1304)、かつ、要求制約116aにも収まる(S1305)場合のみ、描画可否状態記憶部117に格納する情報を変更するようにした(S1307)。すなわち、本実施の形態1では、本発明の第1描画可否情報と第2描画可否情報を、1つの情報で表現するようにした。しかし、描画制約116bと要求制約116aのそれぞれについて描画可否状態を記憶するようにしてもよく、より精密な制御を行うことができる。
実施の形態2.
本実施の形態2では、複数の描画要求領域が記憶装置に離れて配置した場合において、これらの描画要求領域に格納された描画要求を連続的に実行する動作例を説明する。なお、本実施の形態2では、前述の実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
図12は、本実施の形態2に係る描画要求領域121a及び描画要求領域121bの構成を示す図である。図12では、描画要求領域121aと描画要求領域121bが、記憶装置118内に離れて配置されている。
描画要求領域121aは描画要求群501、描画要求領域121bは描画要求群506をそれぞれ格納している。描画要求群501は、描画要求502〜505により構成される。描画要求502、503、504は、例えば四角枠描画などの描画実行を要求する命令である。また、描画要求群506は、描画要求507〜509により構成される。描画要求507、508は描画実行を要求する命令、描画要求509は描画終了を要求する命令である。
また、描画要求505は、指示アドレスレジスタ106に格納された指示アドレスを、次に処理すべき描画要求が格納されたアドレスへと変更するコマンドであり、本実施の形態2の特徴である。描画要求505は、変更先の指示アドレスをパラメータとして有している。指示アドレスレジスタ106の指示アドレスが描画要求505を指し示した場合、描画演算装置104はアドレス変更処理(後述する)を行う。
図13は、本実施の形態2に係る描画演算装置104が行う描画要求処理の動作を示すフローチャートである。
図13は前述の図4とほぼ同じであるが、ステップS1208が異なる。ステップS1208では、描画要求が「アドレス変更」である場合において、指示アドレスレジスタ106の指示アドレスを、変更先の指示アドレスに更新する。変更先の指示アドレスは、「アドレス変更」の描画要求505によりパラメータとして渡されたアドレスであり、次に処理すべき描画要求が格納されたアドレスである。
したがって、再び描画要求処理を実行する場合には、ステップS1208で変更された指示アドレスが示す描画要求を実行することとなる。
図14は、図12に示す描画要求群501及び506に基づく動作を説明するフローチャートである。図14では、中央演算装置100と描画演算装置104の動作について説明する。なお、描画要求領域121aには描画要求群501が、描画要求領域121bには描画要求群506が既に書き込まれているものとする。
(1)中央演算装置100の動作
中央演算装置100は、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドを書き込む(S41)。その後は、機器制御プログラムに従い、必要な制御処理を実行する(S42)。そして、描画演算装置104から割り込み要求が発呼されると、ステップS42の処理を中断して所定の割り込み処理を行う(S43)。すなわち、開始終了指示レジスタ107に開始コマンドを書き込んでから割り込み要求が発呼されるまでの間は、描画演算装置104とは独立して制御処理を行う。
(2)描画演算装置104の動作
次に、描画演算装置104の動作を説明する。
開始終了指示レジスタ107に開始コマンドが書き込まれると、指示アドレスレジスタ106に格納された指示アドレスが指し示す描画要求領域121の描画要求に基づいて、描画要求処理を実行する(S51)。指示アドレスレジスタ106に描画要求502を示す指示アドレスが格納されているとすると、描画要求502に対応する処理を実行することとなる。
続けて、描画要求503、504の処理を実行する(S52、S53)。
次に、「アドレス変更」の描画要求505に基づき、アドレス変更処理を行う(S54)。図13に示した通り、アドレス変更処理では次に処理すべき描画要求である描画要求507が格納されたアドレスが、指示アドレスレジスタ106に格納される。したがって、次の描画要求処理においては、描画要求群501と分離して配置された描画要求507を実行することとなる。
続けて、描画要求507、508に基づく描画要求処理を実行し(S55、S56)、その後は「描画終了」の描画要求509に基づいて描画終了処理を行う。そして、描画終了処理において中央演算装置100に割り込み要求を発呼し(S57)、描画演算装置104は処理を終了する。
このように、本実施の形態2によれば、描画要求として「アドレス変更」の描画要求を設け、この「アドレス変更」要求により指示アドレスレジスタ106の指示アドレスを更新するようにした。このため、描画要求群を複数の領域に分割して記憶装置118に配置し、描画要求群501の末尾から描画要求群506の先頭へアドレス変更を行う「アドレス変更」の描画要求を設けることで、分離して配置された描画処理を連続して実行することができる。そして、描画要求領域121aから描画要求領域121bへのアドレス変更は、中央演算装置100に依存することなく行えるので、中央演算装置100の処理負担を増加させることもない。
また、複雑な描画を行う場合など描画要求が多い場合には、記憶装置118の領域に分割して描画要求を配置することで、限られた記憶装置118の領域を有効に活用することができる。
また、描画要求を複数の単位に分割して記憶装置118に配置することができるので、共通部分と相違部分とを有する複数の画面表示を行う場合に効率の良いプログラム構成とすることができる。すなわち、共通部分の描画要求と相違部分の描画要求とを分割して記憶装置118に格納し、実行時には、相違部分の描画要求に続けて共通部分の描画要求を実行するように発呼することができる。共通部分の描画要求は重複して記憶装置118に格納する必要がないので、描画要求領域121のサイズを低減することができる。
ところで、実施の形態1〜実施の形態2で説明した表示装置は、空気調和機の状態を表示する表示装置に適用できるほか、電源投入状態、電源遮断方法、あるいは機器状態などを画像・図形・文字等により表示する各種電気機器の表示装置に適用することもできる。
1 表示装置、100 中央演算装置、101 主レジスタ、102 命令アドレスレジスタ、103 制御部、104 描画演算装置、105 描画レジスタ、106 指示アドレスレジスタ、107 開始終了指示レジスタ、108 割込要因レジスタ、109 描画アドレスレジスタ、110 描画演算部、111 解釈部、112 線描画回路、113 四角枠描画回路、114 四角塗描画回路、115 画像描画回路、116 描画範囲制約記憶部、116a 要求制約、116b 描画制約、117 描画可否状態記憶部、118 記憶装置、119 表示プログラム領域、120 機器制御プログラム領域、121 描画要求領域、121a 描画要求領域、121b 描画要求領域、122 描画結果領域、123 液晶表示部、124 液晶制御部、125 表示アドレスレジスタ、126 液晶画面。

Claims (18)

  1. 液晶表示部と、
    前記液晶表示部に表示させる表示内容を生成する描画生成部とを有し、
    前記描画生成部は、中央演算手段、描画演算手段、第1記憶手段及び第2記憶手段を備え、
    前記第1記憶手段は、前記中央演算手段と前記描画演算手段の双方から読み書き可能であり、
    前記第2記憶手段は、前記描画演算手段から読み書き可能であるとともに前記液晶表示部から読み出し可能であり、
    前記中央演算手段は、表示プログラムを解釈して実行し、実行結果に基づく描画要求を前記第1記憶手段に格納させるものであり、
    前記描画演算手段は、実行する前記描画要求のアドレスである指示アドレスを保持する指示アドレスレジスタを備え、前記指示アドレスに基づいて前記第1記憶手段に格納された描画要求を解釈して、解釈した描画要求が描画実行要求であれば、液晶の発光点の座標と色を演算し、該演算結果の座標と色を前記第2記憶手段に格納させ、前記指示アドレスを更新する一連の描画実行処理を行うものであり、
    前記液晶表示部は、前記第2記憶手段に格納された座標と色に基づいて液晶の発光点を発色させるものであって、
    前記描画演算手段は、前記描画演算処理の開始を指示する開始コマンドを格納する開始終了指示レジスタ、及び前記中央演算手段への割込要因を格納する割込要因レジスタを備え、
    前記描画演算手段は、前記開始終了指示レジスタに開始コマンドが格納されると前記第1記憶手段に格納された描画要求に基づく処理を開始し、前記指示アドレスが示す描画要求が描画終了要求であれば描画要求に基づく処理を終了するとともに前記割込要因レジスタに終了要因を格納して前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が複数種類の描画終了要求である場合には、各描画終了要求に対応した終了要因を前記割込要因レジスタに格納する
    ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 前記描画演算手段は、前記液晶表示部が表示可能な領域である第1描画範囲制約を記憶し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    前記描画実行要求により要求された範囲と前記第1描画範囲制約とが重複しない場合には、
    前記描画実行処理を終了するとともに前記割込要因レジスタに描画不可能であることを示す第1描画範囲外要因を終了要因として格納して前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の表示装置。
  4. 前記描画演算手段は、前記液晶表示部で表示可能な領域である第1描画範囲制約と、前記第1描画範囲制約内への描画が可能か否かを示す第1描画可否情報を保持し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    液晶の発光点集合の座標の演算を開始する前に前記第1描画可否情報を初期化し、
    液晶の発光点の各座標を演算するたびに該座標が前記第1描画範囲制約内か否かを判定し、前記第1描画範囲制約内であれば前記第1描画可否情報に所定の情報を書き込み、
    液晶の発光点のすべての座標を演算し終わったときに前記第1描画可否情報が初期化されたままであれば、
    前記描画実行処理を終了するとともに前記割込要因レジスタに描画不可能であることを示す第1描画範囲外要因を終了要因として格納して前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の表示装置。
  5. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画範囲指定要求である場合には、指定された範囲を第2描画範囲制約として記憶し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    前記描画実行要求により要求された範囲と前記第2描画範囲制約とが重複しない場合には、
    前記描画実行処理を終了するとともに前記割込要因レジスタに描画不可能であることを示す第2描画範囲外要因を終了要因として格納して前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか記載の表示装置。
  6. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画範囲指定要求である場合には、指定された範囲を第2描画範囲制約として記憶し、
    前記描画演算手段は、前記第2描画範囲制約内への描画が可能か否かを示す第2描画可否情報を保持し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    液晶の発光点集合の座標の演算を開始する前に前記第2描画可否情報を初期化し、
    液晶の発光点の各座標を演算するたびに該座標が前記第2描画範囲制約内か否かを判定し、前記第2描画範囲制約内であれば前記第2描画可否情報に所定の情報を書き込み、
    液晶の発光点のすべての座標を演算し終わったときに前記第2描画可否情報が初期化されたままであれば、
    前記描画実行処理を終了するとともに前記割込要因レジスタに描画範囲外であることを示す第2描画範囲外要因を終了要因として格納して前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか記載の表示装置。
  7. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が前記アドレス変更要求であれば、該アドレス変更要求により指定されたアドレスを前記指示アドレスとする
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか記載の表示装置。
  8. 前記表示装置は、空気調和機の状態を表示する表示装置である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか記載の表示装置。
  9. 前記表示装置は、電化製品の状態を表示するものであって、電源投入状態及び電源遮断方法を画像や図形、文字により表現する表示装置である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか記載の表示装置。
  10. 液晶表示部と、中央演算手段と、描画演算手段と、第1記憶手段と、第2記憶手段とを備えた表示装置の表示方法であって、
    前記中央演算手段は、表示プログラムを解釈して実行し、実行結果に基づく描画要求を前記第1記憶手段に格納させ、
    前記描画演算手段は、処理の開始を指示されると、実行すべき描画要求を指し示すアドレスである指示アドレスに従って前記第1記憶手段に格納された描画要求を解釈し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合には、液晶の発光点の座標と色を演算し、該演算結果の座標と色を描画結果として第2記憶手段に格納させ、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画終了要求であれば、描画要求に基づく処理を終了して、割込要因を割込要因レジスタに格納し、前記中央演算手段に割り込みを発呼し、
    前記液晶表示部は、前記第2記憶手段に格納された描画結果に基づいて液晶の発光点を発色させる
    ことを特徴とする表示装置の表示方法。
  11. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が複数種類の描画終了要求である場合には、各描画終了要求に対応した終了要因を前記割込要因レジスタに格納する
    ことを特徴とする請求項10記載の表示装置の表示方法。
  12. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    前記描画実行要求により要求された範囲が、前記液晶表示部が表示可能な範囲と重複しない場合には、
    前記描画実行処理を終了して、描画不可能であることを示す割込要因を前記割込要因レジスタに格納し、前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項10または請求項11記載の表示装置の表示方法。
  13. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    液晶の発光点の座標の演算を開始する前に第1描画可否情報を初期化し、
    液晶の発光点の各座標を演算するたびに、該座標が、前記液晶表示部が表示可能な範囲内か否かを判定して、範囲内であれば前記第1描画可否情報に所定の情報を書き込み、
    液晶の発光点のすべての座標を演算し終わったときに前記第1描画可否情報が初期化されたままであれば、
    前記描画実行処理を終了して、描画不可能であることを示す第1描画範囲外要因を前記割込要因レジスタに格納し、前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項10または請求項11記載の表示装置の表示方法。
  14. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画範囲指定要求である場合には、指定された範囲を第2描画範囲制約として記憶し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求描画実行要求である場合において、
    前記描画実行要求により要求された範囲と前記第2描画範囲制約とが重複しない場合には、
    前記描画実行処理を終了して、描画不可能であることを示す第2描画範囲外要因を前記割込要因レジスタに格納し、前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれか記載の表示装置の表示方法。
  15. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画範囲指定要求である場合には、指定された範囲を第2描画範囲制約として記憶し、
    前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求が描画実行要求である場合において、
    液晶の発光点集合の座標の演算を開始する前に第2描画可否情報を初期化し、
    液晶の発光点の各座標を演算するたびに、該座標が、前記第2描画範囲制約内か否かを判定して、範囲内であれば前記第2描画可否情報に所定の情報を書き込み、
    液晶の発光点のすべての座標を演算し終わったときに前記第2描画可否情報が初期化されたままであれば、
    前記描画実行処理を終了して、描画不可能であることを示す第2描画範囲外要因を前記割込要因レジスタに格納し、前記中央演算手段に割り込みを発呼する
    ことを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれか記載の表示装置の表示方法。
  16. 前記描画演算手段は、前記解釈した描画要求がアドレス変更要求である場合には、指示アドレスを、前記アドレス変更要求で指定されたアドレスに変更する
    ことを特徴とする請求項10〜請求項15のいずれか記載の表示装置の表示方法。
  17. 前記表示装置は、空気調和機の状態を表示する表示装置である
    ことを特徴とする請求項10〜請求項16のいずれか記載の表示装置の表示方法。
  18. 前記表示装置は、電化製品の状態を表示するものであって、電源投入状態及び電源遮断方法を画像や図形、文字により表現する表示装置である
    ことを特徴とする請求項10〜請求項16のいずれか記載の表示装置の表示方法。
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