JP2010173138A - ノズル検査装置及び流体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルの検査を行う際にケーブルから発生するノイズの影響を抑制する。
【解決手段】ノイズ対策ケーブル60のうち、第1区間Y1では、露出した絶縁層64が屈曲部Kで屈曲されている。第2区間Y2では、導電性樹脂層65が露出しているが、導電性樹脂層65の端部である開口縁65bは、屈曲部Kにかかっておらず略直線状の区間に位置しているため絶縁層64と密着し、その状態が維持される。このように、導電性樹脂層65の開口縁65bと絶縁層64との間に隙間が生じないため、この隙間によるノイズの発生を防止することができる。第3区間Y3では、シールド層66が露出しているが、ジャケット端部61bからシールド層端部66bまでのシールド層66の長さよりもジャケット端部61bから導電性樹脂層65の開口縁65bまでの導電性樹脂層65の長さの方が長くなるよう形成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、ノズル検査装置及び流体吐出装置
従来、流体吐出装置としては、印刷ヘッドのノズルから帯電したインク滴をインク受け領域に吐出することにより発生する電圧変化を検出してノズルからインクが正常に吐出されるか否かのノズル検査を行うインクジェットプリンターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−23886号公報
ところで、こうしたノズル検査を行うインクジェットプリンターでは、印刷ヘッドとインク受け領域との間に高電圧を印加するため、外部からの電気的なノイズの影響のみならず、高電圧を送電したり検出信号を送信したりするケーブルの帯電によるノイズの影響を遮断する必要がある。このため、通常のシールドケーブルではなく、図6に示すノイズ対策ケーブル60を使用して高電圧を印加するのが好ましい。図6はノイズ対策ケーブル60の説明図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。ノイズ対策ケーブル60は、直流電圧Veが印加される金属製の芯線62と、芯線62を被覆する絶縁層64と、絶縁層64の外面を被覆するよう設けられ導電性を有する導電性樹脂層65と、導電性樹脂層65の外面を被覆するよう設けられグランドに接続される金属編線からなるシールド層66と、シールド層66の外部を被覆する最外層としてのジャケット61と、を備えている。このノイズ対策ケーブル60は、通常のシールドケーブルに比べて導電性樹脂層65が追加されたものである。すなわち、通常のシールドケーブルでは、導電性樹脂層65を有していないため、絶縁層64の表面のうちシールド層66の網目部分は金属編線と接触していない。そのため、そこに電荷が溜まってノイズの原因になることがあった。これに対して、ノイズ対策ケーブル60では、導電性樹脂層65が絶縁層64の表面全体と密着しているため、絶縁層64の表面に電荷が発生したとしても導電性樹脂層65を通じて速やかに除去されることからノイズの原因にならない。
しかしながら、最近の研究の結果、こうしたノイズ対策ケーブル60であっても、ノイズの発生源になることがわかった。具体的には、図7に示すように、こうしたノイズ対策ケーブル60を引き回す場合、電極部材(図示せず)にビス止めするための取付金具63を芯線62の先端に取り付けて、屈曲した姿勢のまま維持することがある。この場合、ノイズ対策ケーブル60の先端部分のジャケット61を切除し、残ったジャケット61の端部よりも長く残るようにシールド層66を切除し、更に残ったシールド層66の端部よりも長く残るように導電性樹脂層65を切除することにより絶縁層64を露出し、その露出した絶縁層64を曲げる。このとき、導電性樹脂層65の開口縁が屈曲部にかかっていると、その導電性樹脂層65の開口縁と絶縁層64との間に隙間Sが生じ、その隙間Sがノイズの発生源になることがわかった。こうしたノイズは、ノズルからインクが正常に吐出されるか否かの検査を行う際に誤判定の原因になるため好ましくない。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、ノズルの検査を行う際にケーブルから発生するノイズの影響を抑制することを主目的とする。
本発明のノズル検査装置は、
吐出ヘッドと流体受け領域との間に所定の電圧を印加した状態で前記吐出ヘッドに設けられた複数のノズルの各々から前記流体受け領域に向けて流体が吐出されるか否かを調べるノズル検査を行うノズル検査装置であって、
前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域に前記所定の電圧を印加する電源回路と、
前記複数のノズルの各々からの流体の吐出に伴い生じる前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域における電気的変化を検出する検出回路と、
金属製の芯線、該芯線を被覆する絶縁層、該絶縁層の外面を被覆する導電性樹脂層、該導電性樹脂層の外面を被覆するシールド層および該シールド層を被覆する絶縁性のジャケットを有し、前記電源回路と該電源回路からの電圧が印加される電圧印加先としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域との間の接続、及び、前記電気的変化の発生元としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域と前記検出回路との間の接続の少なくとも一方を担うケーブルと、
を備え、
前記ケーブルは、接続先に接続される端部の手前の屈曲部で屈曲され、該屈曲部を含む第1区間では前記ジャケット、前記シールド層及び前記導電性樹脂層が剥がされて前記絶縁層が露出しており、前記第1区間からみて前記接続先とは反対側の第2区間では前記ジャケット及び前記シールド層が剥がされて前記導電性樹脂層が露出すると共に該露出した導電性樹脂層が開口縁も含めて前記絶縁層に密着しているものである。
このノズル検査装置では、ケーブルとして、通常のシールドケーブルに導電性樹脂層を追加したノイズ対策ケーブルを使用しているため、絶縁層の表面に電荷が発生したとしても導電性樹脂層を介して速やかにその電荷が除去されることからノイズが発生しにくい。加えて、ケーブルの導電性樹脂層の開口縁は、屈曲部を含む第1区間ではなくその第1区間に隣接した第2区間に位置しているため、絶縁層に密着した状態が維持される。このため、導電性樹脂層の開口縁と絶縁層との間にノイズの発生源になり得る隙間が生じることがない。したがって、ノズルの検査を行う際にケーブルから発生するノイズの影響を抑制することができる。
本発明のノズル検査装置において、前記ケーブルは、前記電源回路と該電源回路からの電圧が印加される電圧印加先としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域との間を接続すると共に、前記電気的変化の発生元としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域と前記検出回路との間を接続してもよい。こうすれば、前者の接続と後者の接続を別々のケーブルで行う場合に比べて、両方の接続を1つのケーブルで行うため、部品点数が少なくて済み、コンパクトな設計が可能となる。
本発明のノズル検査装置において、前記ケーブルは、前記第2区間からみて前記第1区間とは反対側の第3区間では前記シールド層が前記導電性樹脂層から離間しつつ前記接続先に向かって伸び出し、該シールド層の先端は、前記接続先のグランドに接続されていてもよい。こうすれば、第3区間においてもシールド層と絶縁層との間に導電性樹脂層が介在することになるため、この第3区間でシールド層と絶縁層との間にノイズの発生源になり得る隙間が生じることがない。
本発明のノズル検査装置において、前記ケーブルは、前記第2区間における導電性樹脂層の開口縁と前記絶縁層とが導電性接着剤で接着されていてもよい。こうすれば、ケーブルの導電性樹脂層の開口縁が絶縁層に密着した状態をより確実に維持することができる。
本発明のノズル検査装置において、前記第2区間は、直線状の区間であることが好ましい。第2区間はわずかに湾曲している区間としてもよいが、その場合に比べて、直線状の区間とした方がケーブルの導電性樹脂層の開口縁が絶縁層に密着した状態をより確実に維持することができるため好ましい。
本発明の流体吐出装置は、上述したいずれかのノズル検査装置と、前記吐出ヘッドと、前記流体受け領域と、を備えたものである。上述したいずれかのノズル検査装置は、ノズルの検査を行う際にケーブルから発生するノイズの影響を抑制することができることから、これを搭載した流体吐出装置も同様の効果が得られる。
本実施形態であるプリンター20の構成の概略の一例を示す構成図。 ノズル検査装置50の構成の斜視図。 ノズル検査装置50の構成の概略を示すブロック図。 ノイズ対策ケーブル60の一端の説明図。 ノイズ対策ケーブル60の他端の説明図。 ノイズ対策ケーブル60の説明図。 従来のノイズ対策ケーブル60の使用形態を示す説明図。
次に本発明を具現化した一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態であるプリンター20の構成の概略の一例を示す構成図であり、図2は、ノズル検査装置50の構成の斜視図であり、図3は、ノズル検査装置50の構成の概略を示すブロック図であり、図4及び図5は、それぞれノイズ対策ケーブル60の一端及び他端の説明図である。
本実施形態のプリンター20は、図1に示すように、流体としてのインクをターゲットとしての記録紙Pに吐出する印刷ヘッド24を備えた印刷機構21と、記録紙Pを搬送する紙送り機構30と、印刷ヘッド24の封止及びクリーニングを実行するキャッピング装置40と、印刷ヘッド24からインクが吐出されているか否かのノズル検査を実行するノズル検査装置50と、プリンター20全体をコントロールするコントローラー70とを備えている。
印刷機構21は、キャリッジベルト32によりキャリッジ軸28に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ22と、各色のインクに圧力をかけノズル23から流体としてのインク滴を吐出する印刷ヘッド24と、各色のインクを収容しこの収容したインクを印刷ヘッド24へ供給するインクカートリッジ26と、を備えている。キャリッジ22は、筐体39の右側に取り付けられたキャリッジモーター34aと筐体39の左側に取り付けられた従動ローラー34bとの間に架設されたキャリッジベルト32がキャリッジモーター34aによって駆動されるのに伴って移動する。キャリッジ22の背面には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダー25が配設されており、このリニア式エンコーダー25を用いてキャリッジ22のポジションが管理可能となっている。印刷ヘッド24は、キャリッジ22の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により印刷ヘッド24の下面に設けられたノズル23から各色のインクを吐出するものである。この印刷ヘッド24は、グランドに接続されている。インクカートリッジ26は、キャリッジ22に装着され、溶媒としての水に着色剤としての顔料や染料を含有したシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)などの印刷用に用いる各色のインクを個別に収容している。
紙送り機構30は、駆動モーター33により駆動されプラテン29上を図中奥から手前へと記録紙Pを搬送する紙送りローラー35や、図示しないトレイに載置された記録紙Pをプラテン29へ給紙する給紙ローラー、プラテン29でインクを吐出された記録紙Pを図示しない排紙トレイへ搬送する排紙ローラーなどを備えている。
キャッピング装置40は、略直方体で上部が開口した絶縁性の部材で形成されたキャッピング部材42を筐体としており、キャリッジ22の初期位置(ホームポジション)に配設されている。図2及び図3に示すように、このキャッピング装置40の開口縁にはシリコンゴムなどの絶縁体からなるシーリング部材41が設けられている。このキャッピング装置40は、昇降機構47により上下動可能に支持されており、ノズル23に詰まったインクを吸い出すクリーニング処理に利用されるほか、印刷休止中などにノズル23が乾燥するのを防止するためにノズル23を封止するときにも利用される。このキャッピング装置40には、吸引チューブ43を介して吸引ポンプ45が接続されると共に、吸気チューブ44を介して開閉バルブ46が接続され、開閉バルブ46が閉状態のときに吸引ポンプ45が作動するとキャッピング装置40の内部空間に負圧が発生する。キャッピング装置40がノズル23を封止しているときにこの負圧を発生させることにより、ノズル23内のインクを強制的に吸い出すクリーニングを実行可能である。
ノズル検査装置50は、図3に示すように、印刷ヘッド24のノズル23から吐出されたインク滴を受けることが可能な検査領域52と、検査領域52を所定電位とすることにより印刷ヘッド24と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる電圧印加回路53と、検査領域52での電圧変化を検出する電圧検出回路54とを備えている。検査領域52は、印刷ヘッド24を封止するキャッピング装置40の内部に配設されている。この検査領域52は、矩形状の領域として形成され、インク滴が着弾する上側インク吸収体55と、この上側インク吸収体55に着弾したあと下方に透過してきたインク滴を吸収する下側インク吸収体56と、上側インク吸収体55と下側インク吸収体56との間に配置されたメッシュ状の電極部材57とにより構成されている。上側インク吸収体55は、電極部材57と同電位となるように導電性を有するスポンジによって形成され、その表面が検査領域52となっている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、ここではエステル系ウレタンスポンジが用いられている。下側インク吸収体56は、上側インク吸収体55に比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されている。電極部材57は、ステンレス(例えばSUS)製の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収される。ここでは、電極部材57は、導電性を有する上側インク吸収体55と接触しているため、上側インク吸収体55の表面すなわち検査領域52も電極部材57と同様の電位となっている。なお、インク自体に導電性のある場合には、インクにより検査領域52が電極部材57と同様の電位となるため、上側インク吸収体55に導電性がなくてもよい。また、上側インク吸収体55が存在しない場合も、検査領域52が電極部材57と同様の電位となるため、採用可能である。
電圧印加回路53は、図3に示すように、検査領域52の電極部材57に接続されており、プリンター20の内部で引き回される数ボルトの電気配線の電圧を図示しない昇圧回路を介して数十〜数百ボルトに昇圧し、この昇圧後の直流電圧Ve(例えば400V)を抵抗素子R1(例えば1MΩ)及びスイッチSWを介して検査領域52に印加する回路である。電圧検出回路54は、検査領域52の電極部材57に接続され、印刷ヘッド24から吐出されたインクを着弾させこのインクの吐出に伴い生じる検査領域52での電圧変化を検出するものであり、印刷ヘッド24の電圧信号を積分して出力する積分回路54aと、この積分回路54aから出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路54bと、この反転増幅回路54bから出力された信号をA/D変換してコントローラー70へ出力するA/D変換回路54cとを備えている。積分回路54aは、1つのインク滴の飛翔・着弾による電圧変化が微弱なことから、同一のノズル23から吐出される複数のインク滴の飛翔・着弾による電圧変化を積分することにより大きな電圧変化として出力するものである。反転増幅回路54bは、電圧変化の正負を反転させると共に回路構成によって決まる所定の増幅率で積分回路から出力された信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路54cは、反転増幅回路54bから出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換してコントローラー70に出力するものである。
また、図2及び図3に示すように、電圧印加回路53及び電圧検出回路54は回路基板59上に形成され、この回路基板59は内部にシールドを施した回路ケース51に格納されている。この電圧印加回路53及び電圧検出回路54は、回路基板59上に設けられたコネクター59a(図2参照)に接続されている。そして、電極部材57とコネクター59aとは、キャッピング部材42に形成されている切欠孔48と回路ケース51に形成されている切欠孔58とを介してノイズ対策ケーブル60により電気的に接続されている。ノイズ対策ケーブル60は、図4〜図6に示すように、直流電圧Veが印加される金属製の芯線62と、芯線62を被覆する絶縁層64と、絶縁層64の外面を被覆するよう設けられ導電性を有する導電性樹脂層65と、導電性樹脂層65の外面を被覆するよう設けられグランドに接続される金属製のシールド層66と、シールド層66の外部を被覆する最外層としてのジャケット61と、を備えたものである。このノイズ対策ケーブル60は、芯線62を中心軸とし、外周側に向かって絶縁層64、導電性樹脂層65、シールド層66及びジャケット61の順に形成されている同軸ケーブルである。また、ノイズ対策ケーブル60は、電圧印加回路53からの直流電圧Veを電極部材57へ印加すると共に、検査領域52での電気的変化を電圧検出回路54へ伝達するものである。ジャケット61は、最外部の被覆部材であり、機械的強度及び絶縁性の高い高分子により形成されている。芯線62は、銅などの導電性を有する金属で形成されている。絶縁層64は、例えばポリエステル、ポリウレタンなどの絶縁性の樹脂で形成されている。シールド層66は、導電性樹脂層65の外周で多数の細い導線が網目状に形成されている。導電性樹脂層65は、例えばポリアセチレンなどの導電性の樹脂など、絶縁層64の表面全体への密着性に優れる部材により形成されており、シールド層66を形成する網目状の各導線にも接触しやすいように形成されている。こうしたノイズ対策ケーブル60では、芯線62やシールド層66が外部に露出した部分には、この露出部分を覆うように絶縁体の被覆部材68,69があとから形成されており、外部との電気的接触が防止されている。
ノイズ対策ケーブル60の一端側は、図4に示すように、先端から順に芯線62、絶縁層64、導電性樹脂層65、シールド層66の順でジャケット61から外部に露出するよう各部材が除去されている。また、接続先である電極部材57にビス止めされる取付金具63が芯線62の端部に設けられている。ノイズ対策ケーブル60は、この取付金具63の手前の屈曲部Kで所定角度(例えば60〜90°)に屈曲されている。また、ノイズ対策ケーブル60の一端側を、屈曲部Kを含む第1区間X1と、第1区間X1からみて取付金具63とは反対側の第2区間X2と、第2区間X2からみて取付金具63とは反対側の第3区間X3とに区分けしたときに、第1区間X1では絶縁層64が露出しており、第2区間X2では導電性樹脂層65が露出しており、第3区間X3ではシールド層66が露出している。
ノイズ対策ケーブル60の他端側は、図5に示すように、先端から順に芯線62、絶縁層64、導電性樹脂層65、シールド層66の順でジャケット61から外部に露出するよう各部材が除去されている。また、接続先である回路基板59のコネクター59aに差し込み可能なコネクター38がノイズ対策ケーブル60の他端に設けられている。ノイズ対策ケーブル60は、このコネクター38の手前の屈曲部Kで所定角度(例えば60〜90°)に屈曲されている。コネクター38には、露出した芯線62の先端が固定されると共に、ジャケット端部61bからコネクター38まで引き出され撚られて撚り線となったシールド層66の先端が固定されている。なお、撚り線となったシールド層66は、絶縁被膜67によって被覆されている。また、ノイズ対策ケーブル60の他端側を、屈曲部Kを含む第1区間Y1と、第1区間Y1からみてコネクター38とは反対側の第2区間Y2と、第2区間Y2からみてコネクター38とは反対側の第3区間Y3とに区分けしたときに、第1区間Y1では絶縁層64が露出しており、第2区間Y2では導電性樹脂層65が露出しており、第3区間Y3ではシールド層66が露出している。なお、コネクター38に固定された芯線62は、コネクター59aを介して電圧印加回路53からの電圧を電極部材57へ送電すると共に、電極部材57で発生した電圧変化をコネクター59aを介して電圧検出回路54へ送信する。また、コネクター38に固定されたシールド層66は、コネクター59aを介してグランドに接続される。
第1区間X1,Y1では、露出した絶縁層64が屈曲部Kで屈曲されているが、このように屈曲させるのはキャッピング装置40の周辺スペースが限られているからである。また、露出した絶縁層64を屈曲させるのは、例えばジャケット61ごと屈曲させた場合には復元力が強いため屈曲状態を維持できないからである。第2区間X2,Y2では、導電性樹脂層65が露出しているが、導電性樹脂層65の端部である開口縁65a,65bは、屈曲部Kにかかっておらず略直線状の区間に位置しているため絶縁層64と密着しており、その状態が維持される。このように、導電性樹脂層65は開口縁65a,65bも含めて絶縁層64と密着している。このため、導電性樹脂層65と絶縁層64との間にノイズの発生源になり得る隙間が生じることがない。第3区間X3,Y3では、シールド層66が露出しているが、ジャケット端部61aからシールド層端部66aまでのシールド層66の長さよりもジャケット端部61aから導電性樹脂層65の開口縁65aまでの導電性樹脂層65の長さの方が長く、また、ジャケット端部61bからシールド層端部66bまでのシールド層66の長さよりもジャケット端部61bから導電性樹脂層65の開口縁65bまでの導電性樹脂層65の長さの方が長くなるよう形成されている。つまり、第3区間X3,Y3においてもシールド層66と絶縁層64との間に導電性樹脂層65が介在することになる。このため、この第3区間X3,Y3でシールド層66と絶縁層64との間にノイズの発生源になり得る隙間が生じることがない。
コントローラー70は、図1に示すように、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、ユーザーパソコン(PC)80などの外部機器とデータのやりとりを行うインターフェイス(I/F)79とを備えている。フラッシュROM73には、ノズル検査ルーチンやクリーニング処理ルーチンなどの各処理プログラムが記憶されている。RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この領域にユーザーパソコン(PC)80などの外部機器からI/F79を介して送られてきた印刷ジョブなどが格納される。このコントローラー70には、リニア式エンコーダー25からの検出信号やノズル検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号などが図示しない入力ポートを介して入力されているほか、外部機器(ユーザーパソコン80など)から出力された印刷ジョブなどがI/F79を介して入力される。また、コントローラー70からは、印刷ヘッド24への制御信号やノズル検査装置50への制御信号、駆動モーター33への駆動信号、キャリッジモーター34aへの駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力される。
次に、ノズル検査装置50の動作について説明する。ノズル検査処理が実行されると、CPU72は、スイッチSWをオンし、電圧印加回路53によりノイズ対策ケーブル60を介して検査領域52へ直流電圧Veを印加する。すると、ノズル23のインクと、検査領域52との間に所定の電位差が生じる。次に、CPU72は、予め設定されている順にノズル23からインク滴を検査領域52へ吐出させる。ここで、ノズル検査の原理について説明する。印刷ヘッド24をグランド電位とし、印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を生じさせた状態でインク滴をノズル23から吐出させる実験を実際に行ったところ、検査領域52での出力信号波形がサインカーブとして表れた。このような出力信号波形が得られる原理は、帯電したインク滴が検査領域52に吐出するのに伴って静電誘導により誘導電流が流れたことに起因すると考えられる。また、電圧検出回路54から出力された出力信号波形の振幅は、印刷ヘッド24から検査領域52までの距離が近いほど大きくなる傾向を示したほか、飛翔するインク滴が大きいほど大きくなる傾向を示した。このため、ノズル23が詰まってインク滴が飛翔しなかったりインク滴が所定の大きさより小さかったりしたときには、出力信号波形の振幅が通常時に比べて小さくなるか略ゼロになるから、出力信号波形の振幅が所定の閾値Vthrを下回るか否かに基づいてノズル23の詰まりの有無を判定することができる(図3参照)。ここで、インク滴が所定の大きさであっても1ショット分のインク滴による出力信号波形の振幅が微弱なことから、多数のインク滴(大ドットを吐出する操作を8回行うなど)を吐出するようにすると共に、反転増幅回路54bにより信号を増幅することとした。このため、出力信号を多数のインク滴の積分値とし、電圧検出回路54から十分大きな出力信号波形が得られるようになった。なお、インク吐出数は、検査精度を確保可能な吐出数となるよう任意に設定することができる。また、閾値Vthrは、インク滴の吐出が判定できるよう経験的に設定することができる。そして、CPU72は、得られた出力信号波形が閾値Vthrを下回ったノズル23についてノズル詰まりが生じていると判定し、この情報をRAM74に記憶させる。ノズル詰まりが生じた際には、キャッピング装置40を用いてクリーニング処理を実行する。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のノズル検査装置50が本発明のノズル検査装置に相当し、印刷ヘッド24が吐出ヘッドに相当し、検査領域52が流体受け領域に相当し、電圧印加回路53が電源回路に相当し、電圧検出回路54が検出回路に相当し、ノイズ対策ケーブル60がケーブルに相当する。また、本実施形態のプリンター20が本発明の流体吐出装置に相当する。
以上詳述した本実施形態のノズル検査装置50によれば、電極部材57と回路基板59とを接続するケーブルとしてノイズ対策ケーブル60を使用しているため、絶縁層64の表面に電荷が発生したとしても導電性樹脂層65を介して速やかにその電荷が除去されることからノイズが発生しにくい。加えて、ノイズ対策ケーブル60の導電性樹脂層65の開口縁65a,65bは、屈曲部Kを含む第1区間X1,Y1ではなく第2区間X2,Y2に位置しているため、絶縁層64に密着した状態が維持される。このため、導電性樹脂層65の開口縁65a,65bと絶縁層64との間にノイズの発生源になり得る隙間が生じることがない。したがって、ノズルの検査を行う際にケーブルから発生するノイズの影響を抑制することができる。
また、ノイズ対策ケーブル60は、電圧印加回路53とこの回路53からの電圧が印加される検査領域52の電極部材57との間を接続すると共に、電圧変化の発生元としての検査領域52と電圧検出回路54との間を接続しているため、前者の接続と後者の接続を別々のケーブルで行う場合に比べて、部品点数が少なくて済み、コンパクトな設計が可能となる。
更に、ノイズ対策ケーブル60の第3区間X3,Y3においても、シールド層66と絶縁層64との間に導電性樹脂層65が介在することになるため、この第3区間X3,Y3でシールド層66と絶縁層64との間にノイズの発生源になり得る隙間が生じることがない。
更にまた、ノイズ対策ケーブル60の第2区間X2,Y2は、直線状の区間であるため、わずかに湾曲している区間とした場合に比べて、導電性樹脂層65の開口縁65a,65bが絶縁層64に密着した状態をより確実に維持することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、印刷ヘッド24をグランドに接続し、検査領域52に電圧を印加することにより印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を生じさせるものとしたが、検査領域52をグランドに接続し、印刷ヘッド24に電圧を印加することにより印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を生じさせるものとしてもよい。こうしても、インク滴が印刷ヘッド24から吐出される際に電圧検出回路54で波形を検出することができる。また、グランドに接続する側の電極の電位はグランドに限らず、電圧印加回路53の電圧と異なる電位であって、この電圧印加回路53の電圧との間に所定の電位差を与える電位であればよい。こうしても、インク滴が印刷ヘッド24から吐出される際に電圧検出回路54で波形を検出することができる。なお、印刷ヘッド24において所定の電位を与える電極は、ノズルプレートやヘッド内の電極など、印刷ヘッド24内のインクと導通してインクに電位を与えることが可能な電極であればよい。
上述した実施形態では、両回路53,54を共に検査領域52に接続したが、両回路53,54を共に印刷ヘッド24に接続したり、両回路53,54の一方を検査領域52及び印刷ヘッド24の一方に接続すると共に両回路53,54の他方を検査領域及び印刷ヘッド24の他方に接続してもよい。いずれの形態を採用しても、インク滴が印刷ヘッド24から吐出される際に電圧検出回路54で波形を検出することができ、その際のケーブルでのノイズの発生を抑制することができる。
上述した実施形態において、ノイズ対策ケーブル60の第2区間X2,Y2における導電性樹脂層65の開口縁65a,65bと絶縁層64とを導電性接着剤で接着してもよい。こうすれば、導電性樹脂層65の開口縁65a,65bが絶縁層64に密着した状態をより確実に維持することができる。
上述した実施形態において、ノイズ対策ケーブル60のシールド層66は、他端側のみグランドに接続したが、他端側ではなく一端側をグランドに接続してもよいし、一端側と他端側の両方をグランドに接続してもよい。
上述した実施形態では、検査領域52はキャッピング装置40の内部に設けられているものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、インクが乾燥して増粘するのを防止するために定期的又は所定のタイミングで印刷データとは無関係にインク滴を吐出させるフラッシング領域に設けるものとしてもよいし、印刷ヘッド24の移動可能な領域に新たに設けるものとしてもよい。
上述した実施形態では、反転増幅回路54bにより出力信号波形を増幅するものとしたが、特にこれに限定されず、反転増幅回路54bを備えないものとしてもよい。こうしても、ノイズをより低減してノズル検査をより高精度に行うことができる。
上述した実施形態では、ノイズ対策ケーブル60は、直流電圧Veを電極部材57へ印加すると共に検査領域52での電気的変化を検出するものとしたが、直流電圧Veを電極部材57へ印加するものと検査領域52での電気的変化を検出するものとを別のケーブルとしてもよい。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24は、圧電素子に電圧を印加し、この圧電素子を変形させてインクを加圧する方式としたが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。また、インクカートリッジ26は、往復動するキャリッジ22に搭載したいわゆるオンキャリッジの構成としたが、筐体39に装着されチューブにより印刷ヘッド24へインク等を供給するいわゆるオフキャリッジの構成としてもよい。また、キャリッジ移動方向に移動するキャリッジ22を備えた印刷機構21としたが、記録紙Pの幅方向に各色のノズル列を設けたいわゆるラインインクジェットヘッドを備えたものとしてもよい。
上述した実施形態では、インクを記録紙Pへ吐出するプリンター20に具体化した例を示したが、印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を設けてノズルから流体が吐出されたか否かを検出可能なものとすれば、特に限定されずに本発明を適用することができる。例えば、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する印刷装置としてもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する印刷装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ及びカラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
上述した実施形態では、プリンター20を本発明の流体吐出装置として説明したが、原稿を読み取り可能なスキャナユニットを備えたマルチファンクションプリンターや、FAX機能を有するFAX装置としてもよい。
20 プリンター、21 印刷機構、22 キャリッジ、23 ノズル、24 印刷ヘッド、25 リニア式エンコーダー、26 インクカートリッジ、28 キャリッジ軸、29 プラテン、30 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モーター、34a キャリッジモーター、34b 従動ローラー、35 紙送りローラー、38,59a コネクター、39 筐体、40 キャッピング装置、41 シーリング部材、42 キャッピング部材、43 吸引チューブ、44 吸気チューブ、45 吸引ポンプ、46 開閉バルブ、47 昇降機構、48 切欠孔、50 ノズル検査装置、51 回路ケース、52 検査領域、53 電圧印加回路、54 電圧検出回路、54a 積分回路、54b 反転増幅回路、54c A/D変換回路、55 上側インク吸収体、56 下側インク吸収体、57 電極部材、58 切欠孔、59 回路基板、60 ノイズ対策ケーブル、61 ジャケット、61a,61b ジャケット端部、62 芯線、63 取付金具、64 絶縁層、65 導電性樹脂層、65a,65b 開口縁、66 シールド層、66a,66b シールド層端部、67 絶縁被膜、68,69 被覆部材、70 コントローラー、72 CPU、73 フラッシュROM、74 RAM、79 インターフェイス(I/F)、80 ユーザーパソコン、K 屈曲部、P 記録紙、S 隙間、SW スイッチ、X1,Y1 第1区間、X2,Y2 第2区間、X3,Y3 第3区間。

Claims (6)

  1. 吐出ヘッドと流体受け領域との間に所定の電圧を印加した状態で前記吐出ヘッドに設けられた複数のノズルの各々から前記流体受け領域に向けて流体が吐出されるか否かを調べるノズル検査を行うノズル検査装置であって、
    前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域に前記所定の電圧を印加する電圧印加回路と、
    前記複数のノズルの各々からの流体の吐出に伴い生じる前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域における電気的変化を検出する検出回路と、
    金属製の芯線、該芯線を被覆する絶縁層、該絶縁層の外面を被覆する導電性樹脂層、該導電性樹脂層の外面を被覆するシールド層および該シールド層を被覆する絶縁性のジャケットを有し、前記電圧印加回路と該電圧印加回路からの電圧が印加される電圧印加先としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域との間の接続、及び、前記電気的変化の発生元としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域と前記検出回路との間の接続の少なくとも一方を担うケーブルと、
    を備え、
    前記ケーブルは、接続先に接続される端部の手前の屈曲部で屈曲され、該屈曲部を含む第1区間では前記ジャケット、前記シールド層及び前記導電性樹脂層が剥がされて前記絶縁層が露出しており、前記第1区間からみて前記接続先とは反対側の第2区間では前記ジャケット及び前記シールド層が剥がされて前記導電性樹脂層が露出すると共に該露出した導電性樹脂層が開口縁も含めて前記絶縁層に密着している、
    ノズル検査装置。
  2. 前記ケーブルは、前記電圧印加回路と該電圧印加回路からの電圧が印加される電圧印加先としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域との間を接続すると共に、前記電気的変化の発生元としての前記吐出ヘッド又は前記流体受け領域と前記検出回路との間を接続する、
    請求項1に記載のノズル検査装置。
  3. 前記ケーブルは、前記第2区間からみて前記第1区間とは反対側の第3区間では前記シールド層が前記導電性樹脂層から離間しつつ前記接続先に向かって伸び出し、
    該シールド層の先端は、前記接続先のグランドに接続されている、
    請求項1又は2に記載のノズル検査装置。
  4. 前記ケーブルは、前記第2区間における導電性樹脂層の開口縁と前記絶縁層とが導電性接着剤で接着されている、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のノズル検査装置。
  5. 前記第2区間は、直線状の区間である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のノズル検査装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のノズル検査装置。
    前記吐出ヘッドと、
    前記流体受け領域と、
    を備えた流体吐出装置。
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