動植物油を調理に多く使用する店、例えば中華料理店或いはラーメン店等の排水経路には、残飯に混じって出る油脂分を下水道に流さない為のグリーストラップが設けられている。これを、図13を用いて説明する。
30は厨房内に設置された洗浄槽(シンク)を示し、31はグリーストラップを示す。このグリーストラップ31は先の洗浄槽30と配管32で接続されている。又、このグリーストラップ31は厨房外(建屋外)の土中に埋没されている他蓋33を有している。34はグリーストラップ31内の水を下水道或いは浄化槽(図示せず)等に流す為の配管である。この配管34は、図からも明らかな如く、グリーストラップ31の底部に接続されている。尚、先の配管32はグリーストラップ31の上部に接続されている。かかるグリーストラップ31を有する中華料理店或いはラーメン店の洗浄槽(シンク)30に投入される油脂分には、図にも示す如く、液状残飯、スープ、或いは食器洗浄用洗剤等がある。
これらの油脂分等の排水は全てグリーストラップを経由するのでグリーストラップ31内で油脂分と水とに分離され、水だけが下水道に排水されるものであるが長年使用したり、水を多量に流したり、洗剤を多量に使ったりすると、既存のグリーストラップ31のみの油脂除去装置であった場合、次のような問題が起り易い。
例えば、配管32、配管34の内壁に油脂分が付着し、ついには油により目詰まりを起し易い。又、グリーストラップでの油脂分の分離がうまく行かず、下水道側に混じって油脂分を流してしまい、河川等を汚染する。或いは、グリーストラップ上部に溜った油脂分を蓋を開けて定期的に人力をもって取り除いてやらないと、臭いが外に出て周囲環境を悪化させる。更には、定期的に油脂分を除去しようとしても多量の水も採ってしまう為に、採取した油脂分の処置に困ってしまう等の問題があった。
これらの問題の内、グリーストラップ上部に溜まった油脂分を蓋を開けて、定期的に人力をもって取り除く作業を自動化する提案もある。
以下、この提案を図14を用いて説明すると、35は厨房内に設置された洗浄槽(シンク)この洗浄槽35には、図13で説明した液状残飯、スープを含む水等が流される。36はグリーストラップ(阻集器)このグリーストラップ36は分離槽37を有している。又、このグリーストラップ36は厨房外の土中に図に示す如く埋設されている。
而して、洗浄槽35に水(洗浄用)と共に流される油脂は、導管38を経由して、グリーストラップ36の入口39より分離槽37内に入る。入った水を含む油脂は先ずフィルター40で固体と液体に区分けされる。その後分離槽37内にて、水と油脂分とに分離され、油脂分は分離槽37の上方に溜り、水はその下方に溜っている。下方に溜っている水は排水口41より下水道に排水される。この時、提案されたグリーストラップ36は、分離槽37の上方に浮上する油脂分をポンプ42を使って人力に代わって汲み揚げるものである。ポンプ42によって汲み上げられた油脂分は油脂回収部43に集められるようにしたものである。
尚、上記した図13、図14に示すグリーストラップ31、36を備えた油脂分除去システム或いは装置の例としては、特開平9−235776号、特開平7−284767号等の公報がある。
尚、図14に示す厨房台を厨房等に設置する際には当然部材の整合性が問題になる。従って、既存の洗浄台(洗浄槽付き厨房台、ダスト付きシンク、シンク付き作業台、シンク付き中華レンジ等)は例えば高さ800〜850ミリ奥行450〜750ミリの如く統一されているものの、高さと、巾を変数とした時には多数の機種が出来てしまう。この為、例えば、上記洗浄台に高価な油脂分除去装置を技術的に組み込むことが出来たとしても、メーカーとして価格的に対応しきれないことであった。この点からも、従来に於いては単なる厨房台等が主流となって市販されていた。
又、同一出願人が出願し、公開された特開2000−84542号には、ラーメン等に含まれている油脂分を除去する油脂分除去装置が示されている。即ち、このものは、動植物性油を調理に多く使用する店、例えば中華料理店或いはラーメン店より出る残飯に混じって厨房の洗浄槽に流れてしまう油脂分をグリーストラップ(阻集器)に入る前で除去し、グリーストラップ(阻集器)が汚れるのを防止すべく、厨房内の洗浄槽(シンク)とグリーストラップ(阻集器)間に、少なくとも油脂専用の洗浄槽と温度管理された油脂分離槽と、その油脂分離槽の上方に溜まる油脂分を除去する手段とを有する油脂分除去装置を介在させるようにしたものである。
ところが、上記油脂分除去装置に於いては、分離槽は投込式のヒーターにより温められ温度管理されている。投込式の加熱ヒーターを分離槽内に直接入れると云うことは塩分等が多量に含まれる水の中に先の加熱ヒーターを入れることとなるので、該加熱ヒーターは当然耐蝕性に優れた材質としなければならない。この為コストアップは免れない。更に加熱ヒーターで分離槽全体を加熱しようとした時には、該加熱ヒーターの表面積を大きくし、槽全体を加熱することが出来る構造としておかないとならないと云う課題もあった。
以下、本発明の詳細を図1〜図12に示す一実施例で説明する。図1は油脂分除去装置を備えた本発明の洗浄台斜視図、図2は図1の洗浄台より天板を取り外した状態を示す図、図3は上記厨房台に組み込まれている油脂分除去装置の縦断面図であり、図4のA−A断面相当図、図4は図5の油脂分除去装置外観斜視説明図、図5は本発明の油脂分除去装置を含んだ油脂分除去システムを説明する図、図6は図3中の熱伝導板拡大説明図、図7、図8は図6とは異なる実施例を示す図、図9は油脂専用の洗浄槽と第2の分離槽との位置関係を示す図、図10は本発明の油脂分除去装置がもつ処理槽に補助分離器を取付けた状態を示す図、図11は補助分離器及び吸油マットでの油脂回収を説明する図、図12は図10に示す補助分離器を更に発展させた図である。
先ず、図1に於いて、〔I〕は本発明を備えた洗浄台(この洗浄台〔I〕は厨房台、作業台、中華レンジ台等を含むものである。)である。
而して、この洗浄台〔I〕は図から明らかな如く、手前側に油脂分で汚れた皿、食器等を洗う油脂専用の洗浄槽1を有している。この油脂洗浄槽1は後述する油脂分除去装置2の油脂専用の洗浄槽1を構成している。又、12はオイルタンクで上記油脂分除去装置2が回収した油脂分を溜めるタンクである。
〔II〕は上記洗浄台〔I〕の上面を形成する天板である。この天板〔II〕の外形は厨房等に於いて、本洗浄台〔I〕に隣接して設けられる各種厨房台等に合わせて作られる。即ち、この天板を取り換えることにより、どのような隣り合う厨房台にも合わせることが出来るものである。この為に、上記天板は下部の油脂分除去装置2の上に着脱自在に乗せられる格好で取り付けられており、外形寸法は油脂分除去装置2とは必ずしも一致していないものである。換言すると、この天板〔II〕は高さ、奥行を隣接する厨房台(例えば高さ800〜850、奥行450〜750ミリ)に合せた形で作られているものである。更に言うならば、メーカーは、この天板のみを数種類準備しておけば、通常サイズの厨房であれば整合性のとれた厨房台を常に供給することが出来るもである。このことを図2を用いて更に詳しく説明する。
2は油脂分除去装置、〔II〕は天板を示す。この天板〔II〕は外周フレーム〔IIa〕有する他、上記油脂分除去装置2の上面開口部の内側に入り込むフランジ部〔IIb〕を有している。2aは油脂分除去装置2に設けられた支持部である。この支持部2aに先の天板〔II〕は外周フレーム〔IIa〕が乗せられる形で油脂分除去装置2に取付けられる。その一方、天板〔II〕のフランジ部〔IIb〕は油脂分除去装置2の上面開口部の内側に丁度入り込む形で取り付けられるものである。12はオイルタンク、15は後述するダクトであり、9は排水口を示す。1は油脂専用の洗浄槽で排水口1aがダクト15の排水口9に対応するよう組み付けられている。
次に、図5に於いて油脂除去ステム(全体構成)を説明すると、1は厨房内に設置された油脂専用の洗浄槽(シンク)、この洗浄槽(シンク)1には、ラーメンのスープ、普通のスープ、たれ、ドレッシング等の液状残飯が流される。勿論、この油脂専用の洗浄槽(シンク)1にも図に示していないが固形物を下流に流さない為のスノコ(フィルター)が設けられている。
2は油脂分除去装置である。この油脂分除去装置2には、先の油脂専用の洗浄槽(シンク)1に流された液状の残飯が、配管(後述するダクト15)を経由して流れ込む。この油脂分除去装置2には、先の液状の残飯の他、食器、調理器具の汚れを落とした油脂を含む排水も、油脂専用の洗浄槽を経てダクト15を経由して流れ込む。
5は厨房内の洗浄槽(シンク)である。この洗浄槽5には、食器、調理器具の浸けおき水、食器洗浄機の排水、野菜の洗い水等、油脂を含まない排水が投入され、配管6を経由してグリーストラップ(阻集器)7に送り込まれる。このグリーストラップ7は一般的に採用されているもので、油脂分以外を下水道8に流し、油脂分をグリーストラップ7内に溜めて置くものである。
先に説明した油脂分除去装置2で、油脂の大半が取り除かれた排水は、配管3の途中、換言すると、洗浄槽5の後で、グリーストラップ7の前に配管3をもって導入されるものである。
又、油脂分除去装置2と油脂専用の洗浄槽1は一体的に作られ、通常状態は厨房の洗浄槽5と併設される。このようにすることにより、中華料理店で働く人たちは、通常作業として油脂分を含む液状残飯は油脂専用の洗浄槽1に、油脂分を含まない排水は洗浄槽5にとそれぞれ選択して排水することが出来るものである。
上述の如く、油脂分を含む液状残飯は、油脂分除去装置2を経由し、既存のグリーストラップ等を経由して下水道に排水される。これにより、下水道は従来の如く、汚染することがないことは勿論、グリーストラップ自体の清掃頻度を大幅に減らすことが出来るものである。
次に、図4を用いて、洗浄台〔I〕に組み込まれる油脂分除去装置2の全体構成を説明する。この油脂分除去装置2をもつ洗浄台〔I〕は厨房に設置されるのが好ましいが、特に厨房外(建屋外)であっても支障はない。又、この油脂分除去装置2の高さは先に記述した天板〔II〕を取り付けた状態で(800〜850ミリ)に作られているものである。
1は油脂専用の洗浄槽である。この油脂専用の洗浄槽1は、液状残飯及び食器、調理器具の汚れ洗浄に使われる。10はオイルスキマーであり、後述するように金属ベルトに油脂を付着(疎水相互作用による吸着)させ、分離槽11より油脂を汲み揚げる。12はオイルタンクで先のオイルスキマー10で汲み揚げた油脂を一次ストックして置く所である。このオイルタンク12に溜まる油脂は水分を含まない純粋な油脂であるから十分リサイクルに耐えるものである。11は分離槽であり、この詳細について、以下、図3、図9をもって説明する。
上記油脂専用の洗浄槽1には先にも説明した如く、液状残飯等が投入される他、油脂で汚れた食器類13が投入され、ここで洗浄される。投入された液状残飯或いは洗浄後の油脂を含んだ水は、排水口9より、図9に示す如く、分離槽11を区画して作る第2の分離槽14の外壁面14aに設けられたダクト15を経由して、吐出口16より第2の分離槽14内に取り込まれる。
この第2の分離槽14は、図9にも示す如く、分離槽11とは独立しており、分離槽11内に着脱自在に組み込まれているものである。これに伴い、油脂専用の洗浄槽1も勿論、着脱自在の組み込み式である。
21bは分離槽14の側壁に設けられた加熱室である。この加熱室21bは通常分離槽14を作るステンレス材と同じ材質で作られている。又、この加熱室21bは図9にも示す如く分離槽14のほぼ全高にわたって設けられている。更に、この加熱室21bには後述する加熱ヒーターが設置され、加熱室21b内に充填される水を介して分離槽14内を加熱するものである。
図3に戻って、吐出口16より第2の分離槽14に入った油脂分を含んだ排水は、22のガイド板の働きにより、液状残飯の油脂は上方に、水は下方に導かれる。
10は油脂分を吸着作用により除去する手段の内の一つであるオイルスキマーである。このオイルスキマー10は駆動モーター17により駆動される。例えば、薄板ステンレス製ベルト18を図に示す如く回転させ、油脂分をベルトとの疎水性相互作用等の吸着作用を利用し、上部に汲み揚げるものである。従って、ベルト18の下端は油脂が溜る第2の分離槽14上方に浸漬している。このベルト18にて汲み揚げられた油脂は剥離板19によりベルト18より剥離され、補助タンク20を経由し、オイルタンク12に導かれるものである。尚、剥離板19aはベルト18に付着した油脂が駆動モーター17部に至る前で剥離するように設けられているものである。
上記補助タンク20の役目は、オイルタンク12に油脂分のみを流し水等を含む、不純物を分離槽14に戻す役目を果たす。即ち、この補助タンク20には図に示す如く、二重管分離装置20aが組み込まれており、下部に溜まる水等の不純物が矢印の如く分離槽14に戻されるものである。
又、油脂分の吸着作用により除去する手段として吸着マット(図示せず)を、このオイルスキマーに代えて使うことも出来る。
21は第2の分離槽内14を加熱し、この第2の分離槽14内に有る油脂の固形化(高粘度化)を防止する加熱ヒーターであり、加熱室21b内に設置されている。この加熱室21b内に設置される加熱ヒーター21は加熱室内に充填された水を介して分離槽14内を加熱するものである。
鉱物油等と異なり、動植物性の油は低温になると高粘度化することは良く知られている。本発明の油脂分除去装置の特徴とする所の一つは、加熱手段を設け周囲温度が変動しても吸油マット(図示せず)若しくはオイルスキマー10を用いて分離槽より油脂を吸着或いは汲み揚げることが出来るようにしたものである。
尚、効率の良い吸着等を行うためには分離槽内上部に油脂分が溜まっている所の温度は60度〜80度に維持すると良い。この温度管理の面からも先の第2の分離槽14を分離槽11と区画して容積を小さくしておくことが、省電力等を考えるとき有利である。
又、上記加熱ヒーター21は、当然、温度制御部21a有し、常に最適状態で第2の分離槽14の温度を制御している。即ち、分離槽14内上方部の温度は油脂がベルト18に付着しやすい温度(60度〜80度)に、又分離槽14内の下方部温度は分離槽14内下部に溜まるミソ及び残飯〔微粒子)より臭いが出ない程度の温度(40度〜60度)にするものである。
尚、加熱ヒーター21の熱は加熱室21b内に充填された水を介して分離槽14内に伝導される。即ち、この水が伝導体の役目をして該分離槽14内を加熱するものである。このように加熱ヒーター21を加熱室21bに設置するようにしたのは、加熱室21b内の水を使って効率良く分離槽14内を加熱するようにしたものである。従って、周囲温度で動植物性油が固化温度になろうとも槽内では該油が固化することはないものである。これは、本油脂分除去装置2を建屋外に置いた時にもいえることである。
更に、上記補助タンク20の底部を分離槽14内の水中内に位置させヒーターの熱をこの補助タンク20に与えるようにしておけばこの補助タンク20内で油脂が固化するむことが無く常に良好な流動性がたもてるものである。
23は分離槽11側に設けられた二重管の補助分離槽である。この補助分離器23は、図10、図11に示す如く、分離槽11の底部に突設し、外側管23aは油脂面24aより上方に突出し、内側管23bは水面24bと同等に設定されている。そして、図11に示す如く、外側管23aには水面24bより下方に水取入れ口25が設けられている。水は内側管23b上端より内側に取り込まれる。
尚、図中26は吸油マットである。この吸油マット26は、分離槽14で捕獲されず補助分離器23側迄達した油脂を最終的に処分するものである。この給油マット26は、使わない場合にはこの部分の油脂を定期的に人力をもって除去すると、本装置を長期にわたり効率良く活用出来るものである。
ここで、上記補助分離器23の発展形を、図3、図12を用いて説明する。
23は補助分離器、この補助分離器23はドレーン側配管27に接続されている他、内部に比重差で水と油脂分とを分離するトラップA、B、C…の如く複数箇所にトラップを有している。又、この補助分離器23は3重管より成る本管23Cと2重管より成る枝管23dとで構成され、本管23cの途中と枝管23dの下端との間を水平管23eで接続している。23fは水平管23eの途中に設けられた枝管である。この補助分離器23での水と油脂分の分離について、以下に説明する。
オイルスキマー等により大部分の油脂分が除去された水は分離槽11の下部に図12の矢印(7)の如く導かれてくるよう構成されている。
この水は矢印(8)の如く進み、二重管より成る枝管23dの傾斜部23gに案内され上昇する。この時、傾斜部23gの働きは矢印(8)の如く上昇する油脂分を含んだ水に上昇力を与え、水取入口25aから油脂分が入りにくくする働きをする。水取入口25aに達した水は矢印(9)と矢印丸(10)の如く分かれる。この水取入口25aの前後で水と油脂分を分離する部分がトラップAである。
即ち、油脂分と水の比重差を利用し、水と油脂を分離するものである。水取入口25aより枝管23d内に入った油脂分を含む水は、この水取入口25aと対向して設けられていない内側管の水取入口25bまでほぼ真横に矢印の如く進む。この過程に於いても油脂分は水面側に浮き上がる。この水取入口25bの前後で水と油脂分を分離する所がトラップBである。
この二重管より成る枝管23dの内側管に入った油脂分を含む水は、油脂分のみが矢印(11)の如く浮き上がる。そして、わずかに油脂分を含む水が矢印(12)の如く、ドレーンの排水力に引かれて降下し、水平管23eを枝管23fに至る。この部分でも、油脂分は矢印の如く水面側に浮き上がる。これを通過した油脂分を含む水は本管23c側に進む。そして、本管23cに到達する。この時にあっても、水平管23eが先の水取入口25bより下方に位置することもあって、油脂分のまき込まれは激減する。
トラップCに到達した油脂分は矢印丸13の如く、水は矢印丸14の如く分離される。
特に重要なことは、三重管より成る本管23cの中管に設けられた水取入口25cを先のトラップCより距離をとって下方に設ける点である。この距離を十分とることにより、矢印(14)の水の流れに含まれる油脂分は降下することが出来ず、矢印(13)の如く水面側に上昇するものである。換言すると、水取入口25cは分離槽11の底面近くに設けられているものである。
一方、この水取入口25cより矢印(15)の如く中管内に入った水は上昇し、内側管の開口25dよりドレーンとなる配管27側に導かれる。この時に於いても、トラップDにより、油脂分は矢印(16)の如く水平面に浮き水だけが矢印(17)の如く、ドレーン側に向かうものである。
このように本補助分離器23は、ドレーンを流れる水の吸引力に基づき補助分離器23内を流れる水を複数箇所設けたトラップ部を経由させ、油脂分を除去し、きれいに浄化された水を下流側に流そうとするものである。
尚、本補助分離器23は本管、枝管それぞれ頂部に蓋23h、23iを設け、外観を体裁良く纏めているので、蓋23h、23i下部に溜まる油脂分は、この蓋23h、23iを外し吸油マット等をもって時々除去すればよいものである。
図3に戻って、27は上記補助分離器23にて分離された水を図5で説明したグリーストラップ(阻集器)に導く配管である。このように本油脂分除去装置2の排水は直接下水道に排水されるものでなく既存のグリーストラップ7(図5参照)に排水されるのが特徴である。
28は分離槽11の底部に設けられた清掃用排水キャップである。槽内洗浄時には、この清掃用排水キャップ28を外し、分離槽11内の水を全て槽外に排出した後、分離槽11に組み込まれている油脂専用の洗浄槽9、オイルスキマー10、オイルタンク12、第2分離槽14、加熱ヒーター21等をそれぞれ順次取り外し洗浄するものである。
又、図3に示す如く、剥離板19には熱伝導板19bが取り付けられており、この熱伝導板19bは図3,図6からも明らかな如く一方端が剥離板19の裏側全体を覆うように密着して取り付けられ、他方端が分離槽14内で加熱された補助タンク20に浸漬されている。
換言すると、約60度〜80度に加温されている分離槽14の熱をもらって該剥離板19を加温し、剥離板19上を流れる油脂がこの剥離板19上で固形化するのを防止しているものである。
尚、油脂が固形化し易いのは冬期の如く外気温が下がっている時であることは勿論、本油脂分離除去装置の稼働終了間際である。即ち、流れる油脂分が少なくなり表面張力で剥離板19上に付着してしまう時である。これを防止すべく、熱伝導板19bで剥離板19を加温するものである。而して、熱伝導板19は熱伝導の良い銅或いはアルミ材が使われる。又、剥離板19全体を覆うのは剥離板19がステンレス等の如く熱伝導の悪い材質で作られる為、全体から加温する必要がある為である。
図7は、図6とは異なる実施例を示すもので、剥離板19の裏面全体をヒーターで加温するようにした例を示すものである。こうすることで、特別な手段を用いることなく電気ヒーターの19cの入力の制御により、上記剥離板19の温度を30度〜50度に制御できるものである。
図8示すものは、図6に示す熱伝導板19bが運ぶ熱が不足し、剥離板19を30度〜50度に加温することが出来ない時電気ヒーター19cを用いてこれを補助した例を示すものである。更に、本発明は図には示してないが、上記剥離板19を加温する例で縷々説明して来たが、剥離板19を下流側に位置する補助タンク20についても言えることであるので、当然必要があれば、これも種々の手段で加温されるものである。こうすることにより、オイルスキマーより剥離された油脂は剥離板19、補助タンク20を経由してオイルタンク12に液体で導かれ、途中で固化し、堆積し次の流れを阻止することがないものである。
尚、上記した天板付き洗浄台への油脂を含む洗浄水の供給は図に示してないが、高低差或いはポンプを使えば油脂専用の洗浄槽と油脂分除去装置を離れた位置に置いておくことも出来るものである。
次に、かかる構成を有する油脂分除去装置2内の油脂除去工程を、図3を用いて、説明する。
先ず、油脂専用の洗浄槽9に投入され、油脂は矢印(1)の如く排水口9aを通り、第2分離槽14に設けられたダクト15を経由して矢印(2)の如く吐出口16より第2の分離槽14内に投入される。
第2分離槽14内に入った油脂を含む排水はガイド板22により水と油脂に分けられ、水は矢印(3)の如く、油脂は矢印(4)の如く比重差で分離槽14上方に浮き上がる。この矢印(4)の如く浮き上がった油脂は、もともと第2分離槽14が独立した室に設けられた加熱ヒーター21により加熱されていることもあって、固形化することなく、適度な粘度を保って表面に浮いている。
この表面に浮いている油脂は、オイルスキマー10等により汲み揚げられる。汲み揚げられた油脂は、剥離板19、補助タンク20を経て、オイルタンク12に溜められリサイクルに廻される。
一方、油脂分が除去された水は矢印(5)の如く、ガイド板22の底部を通って矢印(6)部に至り、更には矢印(7)の如く第2の分離槽14より分離槽11に至る。分離槽11に至った排水の内、油脂分(オイルスキマー10で取りきれなかった油脂分)は、比重差により上方に浮き吸油マット26に吸着される。
油脂を含まない水は二重管より成る補助分離器23に矢印(8)、(9)の如く入り、内側管23b上端より配管27に入りグリーストラップ7(図3参照)に導かれる。
このように、油脂分除去装置2をグリーストラップ7の前に設置することにより、該グリーストラップ7の汚染等を押さえることが出来るものである。
又、本油脂分除去装置2に示す如くキャスター29を備えているものである。
本発明の天板付洗浄台は、厨房内は勿論建家外の移動も容易に行えるものである。換言すると、本天板付厨房台はお店等で使い易い所に移動して使うことも出来るということである。
又、剥離板19は加温されているので、オイルスキマー10より剥離させた油脂が、該剥離板19を流れる過程で固形化し、剥離板19に付着することがないものである。仮に一度油脂分が固形化して剥離板19に堆積するようなことがあると、その固形化した油脂の表面を次の油脂が流れることになるのでどんどん堆積は加速化されてしまうものである。従って、上記剥離板19は周囲温度に関係なく、常に30度〜50度に加温しておく必要があるということである。これを実現したのが本発明である。
又、本発明のもう一つの特徴は分離槽11を基準に第2の分離槽、オイルスキマー、オイルタンク、補助タンク、加熱ヒーター、補助分離器等何れも脱着が容易に作られていることにより、サービス性等に優れているという点である。