JP4928846B2 - 油水分離油脂回収システム - Google Patents

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本発明は、主として厨房に設置される油水分離油脂回収システムに関する。
ラーメン店や中華料理店等の飲食店の厨房から排出される食物残滓は、固形食物残滓と多量の油脂とを含む廃液からなる。特開2003−181204号公報(特許文献1)には、この食物残滓から、固形食物残滓および油脂を分離回収する装置が開示されている。
この装置では、固形食物残滓が除去された廃液(一次廃液)から十分に油脂を分離浮上させるために、油水分離槽が大小2つの槽に区画されている。して、開口部面積および容積が小さい槽(第1槽)の方が浮上した油脂の嵩高が大きくなることを利用して、当該槽に設置された主ベルト式オイルスキマーによって浮上した油脂を汲み上げる。一方、開口部面積が大きい槽(第2槽)には、稼動サイクルを任意に調整できる副ベルト式オイルスキマーを設け、比較的薄く拡散した浮上油脂を汲み上げて上記第1槽に還流する。このような構成によれば、限られた容積内において流路の延長を図ることができるので、廃液が油水分離槽内に滞留する時間を長くして油脂を十分に浮上させることが可能となるとともに、第1槽の浮上油脂層の嵩高をさらに増大させ、主ベルト式オイルスキマーによる油脂回収効率を向上させることができる。
ところで、飲食店の厨房には、主として調理を行う従業員の動線である調理ラインと、主として回収された使用済みの食器から食物残滓を廃棄して洗浄する従業員の動線である食器回収ラインとがある。これらのラインは、衛生上の観点から交差しないよう設計されることが多く、その場合、上述の油水分離油脂回収装置は、大量の含油廃水が発生する食器回収ライン上に設置される。
しかしながら、調理ラインにおいても、調理器具(例えば餃子焼き器)を水道水で洗浄する際などに含油廃水が生じる。かかる含油廃水は、食物残滓に比較して含油量が少ないため軽視される傾向にあり、調理ラインで発生する含油廃水を処理するために油水分離油脂回収装置をもう一台設置することは、配置場所の確保や費用、工事の必要性等の観点から現実的ではないことが多いため、そのまま公共下水道に排出されていることも少なくない。
また、仮に調理器具に由来する含油廃水専用の油水分離油脂回収装置を設けたとしても、含油量が少ないことから、油水分離槽において形成される油脂層が薄く、十分な油脂回収効率が得られないという問題もある。
特開2003−181204号公報
環境負荷低減の要求を考慮すると、調理ラインで発生する含油廃水からも極力、油脂を除去して公共下水道に排出することが望ましい。そこで、本発明は、調理器具等に由来する含油廃水からも油脂を十分に除去することが可能であり、設置面積も小さく、且つ低額の油水分離油脂回収システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかる油水分離油脂回収システムは、流し台に廃棄される食物残滓から固形食物残滓および油脂を分離回収する油水分離油脂回収装置と、該油水分離油脂回収装置と配管により接続される含油廃水受入れ皿と、を含み、該含油廃水受入れ皿に投入された含油廃水中の油脂が該油水分離油脂回収装置によって分離回収される油水分離油脂回収システムであって、前記油水分離油脂回収装置と前記含油廃水受入れ皿を接続する配管の途中に中継貯留槽が設けられ、該中継貯留槽に流入した前記含油廃水が油脂層と処理廃水に分離され、該油脂層は前記配管により前記油水分離油脂回収装置に流入し、該処理廃水は該中継貯留槽に設けられた排水口から排出されることを特徴とする。
このような構成によれば、食物残滓用の既設の油水分離油脂回収装置を利用して、調理ラインで発生する含油廃水からも油脂を除去することができる。調理ラインに専用の油水分離油脂回収装置を設置する必要がないので面積をとらず、また、含油廃水中の油脂は中継貯留槽で濃縮されてから油水分離油脂回収装置に流入するので、油水分離油脂回収装置において効率よく油脂を回収できる。さらに、本発明にかかる油水分離油脂回収システムは、既設の油水分離油脂回収装置があれば、調理ラインの含油廃水受入れ皿と当該装置を配管で接続して中継貯留槽を設けるだけでよく、低額で設置することが可能である。
上記中継貯留槽の排水口は、上端が略廃液水準に位置するよう配置され、下端が排水口として機能する管状体からなり、前記管状体は、該管状体より径の大きい第2の管状体の内部に配置され、該第2の管状体は、該第2の管状体より径の大きい第3の管状体の内部に配置されており、前記第2の管状体の上端は廃液水準より高い位置に、下端は廃液内に配置されており、前記第3の管状体の上端は、前記油脂層に接触しない深さで、且つ前記第2の管状体の下端よりは廃液水準に近い位置に配置され、下端は、その径が収束して前記管状体の外周に密着していることを特徴とすることが好ましい。
このような構成によれば、中継貯留槽に新たな含油廃水が流入すると、その分水準が高くなって管状体上端を越え、第2の管状体中の廃液が排水口から排出されるが、排水口から排出されるためには、含油廃水は、第3の管状体に上端から流入して下降し、第2の管状体に下端から流入して上昇し、排水口を備える管状体上端に達しなければならない。しかしながら、含油廃水中の油脂は、中継貯留槽に流入後、密度の差により含油廃水表面に向かって浮上するので、第3の管状体に上端から流入して下降することがない。従って、上記構成により、油脂が排水口から排出されることを防ぐことができる。また、上記構成によれば、含油廃水が中継貯留槽に滞留する時間を長くすることができるので、この間に十分に油脂を浮上させることも可能である。
上記中継貯留槽内に形成された油脂層は、少量の処理廃水とともに前記配管を通って、前記油水分離油脂回収装置の食物残滓受入れ皿に移送されるよう構成することが好ましい。油脂層が少量の処理廃水とともに油水分離油脂回収装置に送入されるようにすれば、配管内で油脂による詰まりが生じるのを抑制することができる。
上記含油廃水受入れ皿は、厨房における調理ラインに設置されており、前記油水分離油脂回収装置の食物残滓受入れ皿は、厨房における食器回収ラインに設置されていることが好ましい。このような構成とすれば、調理ラインにおいて、調理器具の洗浄などで生じた含油廃水を、食器回収ラインに設置された油水分離油脂回収装置によって効率よく処理することができる。
また、本発明に係る油水分離油脂回収システムには、さらに、前記油水分離油脂回収装置から排出される廃水が流入するように第2の中継貯留槽が設けられており、該第2の中継貯留槽に流入した該廃水が油脂層と処理廃水に分離され、該油脂層は配管により該油水分離油脂回収装置の前記食物残滓受入れ皿に再度移送され、該処理廃水は公共下水道に排出されるものも含まれる。
油水分離油脂回収装置によって処理された廃水は含油量も少ないと考えられるものの、第2の中継貯留槽を備えるこのような構成によれば、油水分離油脂回収装置から排出される廃水からさらに油脂を除去し、より含油量の少ない廃水を公共下水道に排出することが可能となる。
本発明によれば、簡易な構成の油水分離油脂回収システムによって、油水分離油脂回収装置か離れた位置で発生する含油廃水からも油脂を除去することができるので、厨房内で場所をとることなく、コストをかけずに、環境負荷を低減することができる。
以下、本発明の油水分離油脂回収システムを図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明に係る油水分離油脂回収システム1の概要を示す。油水分離油脂回収システム1においては、油水分離油脂回収装置30と含油廃水受入れ皿20とが配管21及び31によって接続されており、配管21及び31の間に中継貯留槽10が設けられている。尚、本明細書において「配管により接続され」とは、一の管によって両者が直接的に接続されている場合のみならず、間に中継貯留槽が介される場合等、間接的に接続されている場合も含み、含油廃水受入れ皿20に投入される廃水中の油脂が最終的に油水分離油脂回収装置30に到達するように配管が設けられている状態を示す。
含油廃水受入れ皿20は、例えば、調理ライン上、即ち主として調理を行う従業員の動線上に設置される。この場合、含油廃水受入れ皿20は、調理ライン上に設置された流し台のシンクとすることができるがこれに限定されず、油水分離油脂回収装置から離れた位置にあり、且つ調理器具を洗う際等に発生する含油廃水が投入される限りいかなる形態であってもよい。含油廃水受入れ皿20としては、例えば、ラーメン店や中華料理店において、餃子焼き器等の洗浄のために調理ライン上に設置される流し台のシンク、中華レンジ等が挙げられる。尚、含油廃水受入れ皿には、いわゆるストレーナーのような網状の容器を重ねて配置してもよく、かかる構成とすることにより、含油廃水に含まれる固形残滓をろ過することができる。
一方、油水分離油脂回収装置30は、食器回収ライン、即ち、主として回収された使用済みの食器から食物残滓を廃棄して洗浄する従業員の動線上に設置され、既設の油水分離油脂回収装置30がある場合は、それを利用することができる。油水分離油脂回収装置30は、廃水から油脂を分離除去できる装置であれば特に限定されないが、例えば、特開2003−181204号公報に開示されたものを使用することができ、例えば、ラーメン店や中華料理店において、通常、初期施工時から設置される油水分離油脂回収装置を用いることができる。
油水分離油脂回収装置30と含油廃水受入れ皿20とを接続する配管21および31は、その材質や大きさは特に限定されないが、高濃度の油脂を含む廃水を、詰まりを生じさせることなく移送することができ、耐熱性を有するものであることが望ましい。
配管21と配管31との間には、中継貯留槽10が配置される。中継貯留槽10の構成について、図2を参照して説明する。
図示されるように、中間貯留層10は、稼動状態を視認できるよう上方に開口した箱型に形成される。中間貯留層10は、調理台の下等の小区画、または死蔵空間下の床上に設置される。中間貯留層10の中央には、上端がほぼ廃液表面と同じ高さに配置され、下端が排水口として機能する管状体11が立設されており、管状体11は、より径の大きい第2の管状体12の内部に配置され、第2の管状体12は、さらに径の大きい第3の管状体13の内部に配置されている。
管状体12は、その上端が廃液表面より高い位置に突出するように配置されており、その下端は、廃液内に配置されている。管状体13は、その上端は、管状体12の下端より廃液表面に近い、即ち浅い位置に配置されており、その下端は、直径が円錐状に収束して、管状体11の外周に密着している。
尚、管状体13のさらに外側に、廃水が中継貯留槽内に滞留する時間をより長くするために、第4、第5の管状体や邪魔板を配置してもよい。
一方、配管31は、中継貯留槽10内において、廃液表面近くの油脂層に向かって開口しており、濃縮された油脂を少量の処理廃液とともに油水分離油脂回収装置30に移送できる構成となっている。配管31に、中継貯留槽10から油水分離油脂回収装置30に向かって下降するように勾配をつけられる場合は、該勾配によって油脂が油水分離油脂回収装置30に移送される。かかる構成とできない場合には、中継貯留槽10と油水分離油脂回収装置30との間にポンプ等を設置し、該ポンプによって油脂を油水分離油脂回収装置30に移送することができる。
尚、油水分離油脂回収装置30によって処理され、公共下水道に排出される廃水を受け入れる位置に、第2の中継貯留槽を設置してもよい。この場合、第2の中継貯留槽は、上述した含油廃水受入れ皿20と油水分離油脂回収装置30との間に配置される中継貯留槽10と同様の構成とすることができる。油水分離油脂回収装置30によって油脂を除去された廃水が、第2の中継貯留槽に投入されて薄い油脂層と処理廃水に分離され、油脂層は再度油水分離油脂回収装置30の食物残滓受入れ皿に移送され、処理廃水は公共下水道に排出される。第2の中継貯留槽は簡易且つ小型な構成とすることができるので、例えば、油水分離油脂回収装置30と床の間に配置することが可能である。
次に、上述のような本発明にかかる油水分離油脂回収システムを利用して、含油廃水から油脂を除去する方法について説明する。
中継貯留槽は、最初に使用するときには、水面が管状体11の上端と略同じ高さになるように、液体(廃水、水道水等)を供給しておくとよい。
次に、厨房の調理ラインで使用した餃子焼き器等の調理器具を洗浄することによって生じた含油廃水は、含油廃水受入れ皿20に投入され、配管21により、中継貯留槽10に導水される。中継貯留槽10は、比重差を利用して、流入した含油廃水の液中及び液面に油滴となって分散している油脂を廃水表面に浮上させ、それらを凝集して、図中斜線で示されるように浮上油脂層を形成させる。このとき、油脂層以外の部分が処理廃水となり、かかる処理廃水は含油量が少なく、公共下水道にそのまま放出することができる。
含油廃水が中継貯留槽10に流入することによって、管状体12内の液体が矢印(4)に従って管状体11の上端を超え、管状体11内を通って公共下水道に排水される。排水に伴って、管状体12内の処理廃水量が減少すると、処理廃水が矢印(1)に従って管状体13内に流入し、矢印(2)に従って管状体12の下端を通過して管状体12内に流入する。このとき、油脂は、処理廃水との密度の差によって水面方向にしか移動しないため、矢印(1)の方向には移動せず、管状体13内にはほとんど流入しないので、油脂がそのまま公共下水道に排出されることもない。
また、管状体13のさらに外側に、第4、第5の管状体や邪魔板を配置すれば、廃水が中継貯留槽内に滞留する時間をより長くなるので、この時間に廃水中に含まれる油脂を浮上させて、油水分離を十分に行うことができる。
一方、浮上油脂層の油脂は、流動性を維持するため若干量の処理廃水とともに、配管31を経由して、既設の廃水処理手段である油水分離油脂回収装置30の油水分離槽に導入される。そして、該分離槽内で固形食物残滓がろ過され、油水分離油脂回収装置30に直接投入される食物残滓由来の含油廃水と混合され、処理される。特開2003−181204号公報に開示された油水分離油脂回収装置であれば、主ベルト式オイルスキマーと副ベルト式オイルスキマーを併用して、含油廃水から分離された油脂の回収が行われ、油脂が除去された後の廃水が公共下水道に排出される。
尚、上述した第2の中継貯留層が設置されている場合には、油水分離油脂回収装置30によって油脂が分離回収された廃水は、公共下水道に直接排出されず、まず第2の中継貯留槽に送入される。かかる廃水の含油量はわずかであるが、管状体や邪魔板によって第2の中継貯留槽内に十分な時間滞留させることにより、残留している油脂を浮上させることができる。そして、浮上油脂層は、配管によりポンプを利用して油水分離油脂回収装置30の食物残滓受入れ皿に移送する。浮上油脂層を除去された廃水は、公共下水道に排出される。
このような仕組みにより、公共下水道に排出される油脂を一層減少させることができるようになり、環境負荷を軽減させることができる。
本発明によれば、中継貯留槽10を設けることによって、既設の油水分離油脂回収装置を利用して、調理ラインから生じる含油廃水から油脂を除去することができる。中継貯留槽10は、油水分離油脂回収装置よりも構成が簡易で、はるかに低額の費用で設置することができるとともに、必要とされる設置区画・空間が小さく、調理台の下等の空隙または死蔵空間を利用することができる。
また、中継貯留槽10には、管状体11、12及び13が備えられていることから、含油廃水が中継貯留槽10に滞留する時間を延長させることができるので、油脂を十分に浮上させることができる。さらに、中継貯留槽10に形成される油脂層は薄く、これを単独で回収しようとすると効率が十分でないところ、油脂層及び少量の処理廃水を油水分離油脂回収装置に移送し、油水分離油脂回収装置に直接投入される食物残滓由来の油脂と一緒に回収することによって、回収効率を著しく高くすることも可能である。
本発明の油水分離油脂回収システムの概略を示す説明図である。 中継貯留槽の概略断面図である。
符号の説明
1…油水分離油脂回収システム、10…中継貯留槽、20…含油廃水受入れ皿、30…油水分離油脂回収装置、21、31…配管、11、12、13…管状体

Claims (4)

  1. 流し台に廃棄される食物残滓から固形食物残滓および油脂を分離回収する油水分離油脂回収装置と、該油水分離油脂回収装置と配管により接続される含油廃水受入れ皿と、を含み、該含油廃水受入れ皿に投入された含油廃水中の油脂が該油水分離油脂回収装置によって分離回収される油水分離油脂回収システムであって、
    前記油水分離油脂回収装置と前記含油廃水受入れ皿を接続する配管の途中に中継貯留槽が設けられ、該中継貯留槽に流入した前記含油廃水が油脂層と処理廃水に分離され、該油脂層は前記配管により前記油水分離油脂回収装置の食物残滓受入れ皿に流入し、該処理廃水は該中継貯留槽に設けられた排水口から排出される、油水分離油脂回収システム。
  2. 前記中継貯留槽の排水口は、上端が略含油廃水水準に位置するよう配置され、下端が排水口として機能する管状体からなり、
    前記管状体は、該管状体より径の大きい第2の管状体の内部に配置され、該第2の管状体は、該第2の管状体より径の大きい第3の管状体の内部に配置されており、
    前記第2の管状体の上端は含油廃水水準より高い位置に、下端は含油廃水内に配置されており、
    前記第3の管状体の上端は、前記油脂層に接触しない深さで、且つ前記第2の管状体の下端よりは含油廃水水準に近い位置に配置され、下端は、その径が収束して前記管状体の外周に密着していることを特徴とする、請求項1に記載の油水分離油脂回収システム。
  3. 前記中継貯留槽内に形成された油脂層は、少量の処理廃水とともに前記配管を通って、前記油水分離油脂回収装置の食物残滓受入れ皿に移送される、請求項1または2に記載の油水分離油脂回収システム。
  4. さらに、前記油水分離油脂回収装置から排出される廃水が流入するように第2の中継貯留槽が設けられており、該第2の中継貯留槽に流入した該廃水が油脂層と処理廃水に分離され、該油脂層は配管により該油水分離油脂回収装置の前記食物残滓受入れ皿に再度移送され、該処理廃水は公共下水道に排出される、請求項1からのいずれか1項に記載の油水分離油脂回収システム。
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