次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、遊技媒体である遊技球の貸出機能を備えたCRタイプの遊技機10と、これに対応して接続された遊技媒体貸出装置(いわゆるCRユニット)20として説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを使うスロット式遊技機と、これに対応して接続されたメダル貸出装置にも適用可能である。
図1は、遊技場において遊技機固有情報を収集して管理できる遊技機固有情報管理システム一例を示す概略構成図で、複数の遊技機10(例えば、P1〜P3)と、各遊技機10とPIFケーブルにて接続されている遊技媒体貸出装置20(例えば、C1〜C3)と、当該遊技場に設置された各遊技機10を統括的に管理すると共に場内係員に指示出しするインカムシステム等を利用できるホールコンピュータ30と、各遊技媒体貸出装置20とホールコンピュータ30とが所定の通信プロトコルで通信できるように中継する中継器40とからなる。
遊技機10は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備えるもので、その適所には、例えば、遊技者が遊技球の貸出を要求するために操作する貸出ボタン、この貸出ボタンが操作可能な状態である場合に点灯表示される貸出可能ランプ、遊技媒体貸出装置20へ投入した情報記録媒体(プリペイドカード/コインや会員カード等)を排出させるための返却ボタン等を設けてある。遊技機10の裏面側には、弾球遊技の主たる制御を行う主制御装置、表示制御や音制御といった演出面の動作制御を行う副制御装置、遊技球の発射動作を制御する発射制御装置、賞としての遊技球や貸出用の遊技球を排出する遊技球排出装置、この遊技球排出装置に対する遊技球の排出制御を行う排出制御装置等を設けてある。
更に、遊技機10は、遊技機固有情報として、機種名,メーカー名,固体番号(市場に出荷されている全ての遊技機を識別可能なように割り振られたユニークな番号で、例えば、各遊技機の制御装置に搭載されたMPUのチップナンバを用いることが出来る)を出力可能である。遊技機固有情報は、機種名,メーカー名,固体番号を含む識別データコードとして、接続されている遊技媒体貸出装置20へ送信され、遊技媒体貸出装置20からホールコンピュータ30へ送信される。これにより、ホールコンピュータ30では、遊技場に導入されている全遊技機10の情報を集中管理することが出来る。
なお、遊技媒体貸出装置20が遊技機10から取得可能な遊技機固有情報としては、当該遊技機の固体番号(遊技機ID)のみでも良い。例えば、各メーカーで、遊技機IDと機種等を紐付けしたデータベースを作成し、これを各メーカーのデータセンター等から遊技場の上位管理コンピュータ(ホールコンピュータ30など)へ配信し、各遊技場にて利用できる状態になっていれば、各遊技機10から遊技機IDを取得した遊技媒体貸出装置20が上位管理コンピュータへ遊技機IDを問い合わせることで、その遊技機IDに対応する機種名やメーカー名を上位管理コンピュータでサーチし、結果を各遊技媒体貸出装置20へ回答できる。或いは、遊技機ID−メーカーIDの対応表等を上位管理コンピュータから各遊技媒体貸出装置20へ配信して記憶させておけば、遊技機IDを取得する毎に問い合わせることなく、各遊技媒体貸出装置20で独自に遊技機メーカーIDを特定することが可能となる。
図2は、上述した遊技機10と第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置20の概略構成を示すもので、遊技媒体貸出装置20の貸出インターフェース基板20aと遊技機10の遊技媒体貸出装置接続端子板10bとがPIFケーブル(図示省略)で接続され、遊技機10から遊技媒体貸出装置20へは、遊技機接続確認信号(PSI),遊技機準備状態信号(PRDY),遊技機貸出完了信号(EXS),貸出ボタンスイッチ信号等が送信されると共に、遊技媒体貸出装置20から遊技機10へは、貸出装置準備状態信号(BRDY),貸出装置貸出要求信号(BRQ)が送信され、相互に状態確認しつつ適正な遊技媒体貸出制御が実行されるのである。
また、遊技媒体貸出装置20の外部入出力端子板20bからは、情報記録媒体C(遊技媒体の貸出に利用できる有価価値情報が記録されたプリペイドカード、ICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコインや会員カード等)の販売情報(例えば、プリペイドカードの発行や会員カードへの価値加算など)、遊技媒体貸出の実行により有価価値を消費した消費情報(例えば、消費度数や消費金額など)、貯玉による再プレイ情報などが出力され、中継器40を介してホールコンピュータ30へ送信される。遊技機10の外部出力端子板10bからは、賞球情報、不正検出情報、始動入賞情報、図柄停止情報、大当り情報などが出力され、中継器40を介してホールコンピュータ30へ送信される。なお、中継器40は、遊技機が設置されている島設備の補給機構から出力される補給情報やアウト玉情報を中継してホールコンピュータ30へ送信している。
しかして、遊技機10の外部出力端子板10bから遊技媒体貸出制御装置20の外部入出力端子板20bへは、遊技機ID出力信号が出力されるものとし、遊技媒体貸出装置20では、この遊技機ID出力信号を受信することで、当該遊技機10の遊技機固有情報を取得するのである。なお、遊技機10に確認入力部11(図2において、破線で示す)を設け、遊技機IDを遊技媒体貸出装置20が正しく受信ができたか否かを遊技機10へ確認するようにしてもよい。
遊技機10からのID出力信号から遊技機IDを取得するために、遊技媒体貸出装置20における遊技媒体貸出制御を統括的に行う遊技媒体貸出制御装置21には、遊技機10の外部出力端子板10bから出力される遊技機固有情報(遊技機ID信号)を受信する遊技機固有情報受信手段としての遊技機ID信号解読手段21aを備え、この遊技機ID信号解読信手段21aにより解読した遊技機IDを遊技機固有情報記憶手段としての遊技機ID記憶手段21bに記憶する。
このとき、遊技機ID記憶手段21bに遊技機IDが既に記憶されていれば、遊技機ID信号解読手段により解読した今回遊技機IDと、遊技機ID記憶手段21bが記憶している前回遊技機IDとが一致するか否かを遊技機固有情報比較手段としての遊技機ID比較手段21cで比較し、遊技機ID比較手段21cが前回遊技機IDと今回遊技機IDの不一致という判定を出した場合には、異常報知手段としての外部通信手段21dが通信回線を通じて外部の上位管理コンピュータ(例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ50)へ異常検知信号を送信する。これにより、前回接続されていた遊技機と今回接続されている遊技機とが同一ではないという異常な状態を速やかに報知し、迅速な対応を可能とする。なお、新装開店などで適正に遊技機の入れ替えを行う場合には、所定の手順(後に詳述)によって遊技媒体貸出装置20に記憶させる遊技機IDを更新することで、異常報知が行われないようにする。
異常報知の態様は、上位管理コンピュータへの通報に限らず、遊技媒体貸出装置20の報知ランプやLEDを点灯・点滅させる表示を行ったり、内蔵のスピーカで異常発生を報らせる音声出力を行うようにしても良い。また、遊技機10や遊技媒体貸出装置20が設けられている島設備の警報ランプ等で報知するようにしても良い。
上記遊技媒体貸出装置20が遊技機IDを取得可能とするために、遊技機10から送信される遊技機ID出力信号の送信手法は特に限定されるものではなく、各種汎用の通信プロトコルを利用しても良いが、規則上、遊技機10への信号入力が制限されているため、通信線1本(コモン線は除く)で擬似的なシリアル通信を行い、遊技媒体貸出装置20で遊技機IDを取得する具体例を説明する。
図3(a)は、1ビットのタイムスロットを基準時間Tに定めておき、遊技媒体貸出装置20では、スタートビットの検知(例えば、OFFからONへの立ち上がり)から基準時間T毎に区切って、その時の信号レベルに応じたビット列(例えば、ONのときは“1”、OFFのときは“0”)を受信するものである。なお、1ワードのビット長も予め決めておくことで、スタートビットとパリティビットを含めて適正なビット長か否かによる受信エラーの有無を判定できる。
図3(b)は、各ビットの受信タイミング(例えば、OFFからONへの立ち上がり)から基準時間Tを計時し、この基準時間Tが経過した時点での信号レベルに応じたビット列(例えば、ONのときは“1”、OFFのときは“0”)を受信するものである。なお、この方法で遊技機IDを送る場合にも、1ワードのビット長も予め決めておくことで、スタートビットとパリティビットを含めて適正なビット長か否かによる受信エラーの有無を判定できる。
上述した通信線1本での通信においては、遊技機10からの信号を読み取るタイミングを遊技媒体貸出装置20で行うものであったが、通信線2本(コモン線は除く)でシリアル通信を行うようにすれば、一方を同期信号、他方をデータ信号として送信することが出来る。図4に示すのは、同期信号の立ち上がりのタイミングでデータ信号の信号レベルに応じたビット列(例えば、ONのときは“1”、OFFのときは“0”)を受信するものである。なお、同期信号の立ち上がりをサンプリングタイミングとしたが、立下りをサンプリングタイミングとしても良い。また、同期信号はサンプリングタイミングを指示するものであるから、ON/OFFのデューティーは50%でなくても良い。
なお、同期信号をデータ信号の受信タイミングとして用い、データ信号は、予め定まったタイムスロット毎にビット列を受信したり、基準タイマの計時するタイミングでビット列を受信したりするようにしても良い。斯くする場合には、データ信号のサンプリングタイミングを指示する機能を同期信号に含ませる必要がないので、遊技機10から出力される何れかの出力信号線を兼用することで、遊技機10が特定の状態にある場合に出力される信号を同期信号として遊技媒体貸出装置20に受信させることが出来る。
例えば、遊技機10と遊技媒体貸出装置20との遊技媒体貸出インターフェースとして予め備えている信号線から遊技媒体貸出装置20へ入力される遊技機接続確認信号(PSI)を同期信号として用い、このPSI信号が出力されるタイミングを検知して、そのタイミングで遊技機IDを読み取るようにすれば、接続確認が行われる毎に遊技媒体貸出装置20が遊技機IDを取得することができ、遊技機10が起動する前に不正改竄が行われたか否かを遊技媒体貸出装置20で速やかに判定することが可能となる。
このほか、遊技機10と遊技媒体貸出装置20との遊技媒体貸出インターフェースとして予め備えている信号線を用いた遊技機IDの読み取りタイミング監視方法としては、貸出装置準備状態信号(BRDY)のOFF→ON→OFF後の一定時間経過後を遊技機ID読み取りタイミングとして監視する方法、遊技機貸出完了信号(EXS)のOFF→ON→OFF後の一定時間経過後を遊技機ID読み取りタイミングとして監視する方法でも良い。また、遊技機10が貸出信号の異常を検知した時に発生させる遊技機準備状態信号(PRDY)のON→OFF→ONの信号パターン発生の間、または、発生直後の時間帯に、遊技機IDの入力を監視するようにしても良い。
遊技媒体貸出装置20の遊技媒体貸出制御装置21には、上述した遊技機IDを取得し、異常を判定する機能のほか、貸出インターフェース基板20aを介して遊技機10との通信を制御する貸出インターフェース信号制御手段21e、遊技者が投入した情報記録媒体Cの読み書きを行う情報記録媒体R/W手段21f、外部入出力端子板20bを介して外部へ出力する送信用パルスを発生する外部出力パルス発生手段21g等を備える。遊技媒体貸出のために受け入れた情報記録媒体Cの利用履歴(例えば、入金・消費・返却・精算等の取引データ)は、情報記録媒体取引記憶手段21hに記憶すると共に、情報更新の都度、或いは返却時に情報記録媒体Cに書き込む。なお、情報記録媒体取引記憶手段21hに記録する際、この利用履歴と遊技機IDとを関連付けて記録すると、この情報記録媒体Cを所持する遊技者が特定の遊技機10を利用した際の履歴を細かに残すことができ、営業上、有用な情報となる。
加えて、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置20においては、遊技媒体貸出制御装置21に遊技機メーカー特定手段21iを設け、接続中の遊技機10から取得した遊技機IDから当該遊技機10のメーカーを特定できるようにしてある。すなわち、遊技機メーカー特定手段21iは、遊技機固有情報から当該遊技機が属するグループの一例である製造メーカーを特定するグループ特定手段として機能し、この遊技機メーカー特定手段21iにて特定された遊技機メーカーの遊技機メーカー識別子(遊技機メーカーID)毎に、情報記録媒体Cの利用履歴を分別して累計し、情報記録媒体取引記憶手段21hに記録しておけば、この情報記録媒体Cを所持する遊技者が当該遊技機10の製造メーカーの様々な機種で遊技を行った利用履歴を細かに残すことができ、営業上、有用な情報となる。なお、遊技機10から出力される遊技機固有情報として、遊技機IDに加えて、機種IDやメーカーIDを取得できる場合は、遊技機メーカー特定手段21hを設ける必要はないが、改竄された偽りの遊技機固有情報が出力されている可能性もあるので、遊技機メーカーから提供された真正な機種対応テーブル等で確認するようにしても良い。
上記のように、遊技媒体貸出装置20の情報記録媒体取引記憶手段21hで遊技機メーカーID毎に累計・記憶された利用履歴のうち、少なくとも、遊技媒体の貸出に消費した消費金額の累計値を、受け入れ中の情報記録媒体Cに記録・更新するようにしておけば、この情報記録媒体Cを所持する遊技者が当該遊技機10の製造メーカーの他機種で消費した金額の累計を情報記録媒体Cに記録でき、該当メーカーの他機種へ移動した後も継続的な累計値が更新される。また、遊技機IDや遊技機メーカーIDと関連付けて記憶している履歴情報は、ホールコンピュータ30やプリペイドシステム管理コンピュータ50等の上位管理コンピュータへ送信するようにしても良い。
次に、遊技媒体貸出装置20と遊技機10が起動して、遊技媒体貸出動作が可能となる一連の処理を、図5に基づき詳述する。図5では、遊技機10の起動処理と遊技媒体貸出装置20の起動処理とを並記することで、相互に行う信号の送受信の時系列な流れを分かり易くした。
先ず、遊技機10は、電源投入により、遊技媒体貸出装置20で基準電圧VL(例えば、DC18V)を生成するための電源供給を開始し(ステップS101)、自己診断を行い(ステップS102)、診断結果に異常があるか否かを判定する(ステップS103)。このステップS103の判定で異常がなければ、遊技媒体貸出装置20が正常に稼働することで生成される基準電圧VLが供給されるのを待つ(ステップS104)。もし、ステップS103で異常有りと判定された場合には、エラー表示等を行って異常停止し(ステップS105)、遊技媒体貸出処理を行うことはない。
一方、遊技媒体貸出装置20は、電源投入により、自己診断および自己モード確認(例えば、1度数当たり貸出個数や1度数当たり消費金額等の設定情報の確認)を行い(ステップS201)、確認結果として異常があるか否かを判定する(ステップS202)。このステップS202の判定で異常がなければ、遊技機10へ基準電圧VLを出力し(ステップS203)、遊技機10から遊技機接続確認信号(PSI)が入力されるのを待つ(ステップS204)。もし、ステップS202で異常有りと判定された場合には、遊技媒体貸出装置20の適所に設けたエラー表示灯等でエラー表示を行うと共に、ホールコンピュータ30やプリペイドシステム管理コンピュータ50等の上位システムへ異常検知を報告し(ステップS205)、遊技媒体貸出処理を行うことはない(ステップS206)。
上記のようにして、遊技媒体貸出装置20から基準電圧VLを受信した遊技機10は、遊技媒体貸出装置20へ遊技機接続確認信号(PSI)を出力し(ステップS106)、遊技機ID出力信号線を介して遊技機IDを出力する(ステップS107)。
一方、上記ステップS204で遊技機接続確認信号の入力待ちをしていた遊技媒体貸出装置20が遊技機接続確認信号を受けると、この遊技機接続確認信号の入力(例えば、立ち上がり)を契機として遊技機ID出力信号線から遊技機IDの読み取りを開始する(ステップS207)。そして、遊技機10から遊技機IDを読み出せたか否かを判定し(ステップS208)、遊技機IDを読み出せた場合には、前回の遊技機ID(既に遊技機ID記憶手段21bに記憶されている遊技機ID)と同じか否かを判定し(ステップS209)、前回と同じIDと判定されれば、遊技ID記憶手段21bの遊技機IDを上書きし(ステップS210)、この遊技機IDから遊技機メーカーIDを取得する(ステップS211)。
しかしながら、上記ステップS209で、前回と同じではないと判定された場合には、上記ステップS205へ移行し、エラー表示灯等でエラー表示を行うと共に、ホールコンピュータ30やプリペイドシステム管理コンピュータ50等の上位システムへ異常検知を報告し、異常停止する。すなわち、前回遊技機IDと今回遊技機IDが異なることから、遊技機10に対する不正改竄が疑われるため、遊技媒体貸出装置20の動作を規制することで、不正な遊技が行われることを防止できる。なお、前回遊技機IDと今回遊技機IDが異なっていた場合、いきなり異常停止させずに、今回取得した遊技機IDを上位システム(ホールコンピュータ30等)へ問い合わせ、該当する遊技機10が適正に交換されていた場合には、前回遊技機IDを今回遊技機IDで上書きして、通常起動するようにしても構わない。
なお、新装開店などで遊技機10の入れ替えを行った場合など、遊技媒体貸出装置20の記憶する遊技機IDを新たな遊技機IDに更新する処理の一例を説明する。図6は遊技機ID更新処理を示すもので、上記ステップS206で貸出装置異常停止になった場合、或いは出荷直後の初期状態(遊技機ID記憶手段21bに前回遊技機IDが記憶されていない状態)で、遊技場の係員等が行う更新処理の操作を待ち(ステップS31)、接続中遊技機IDへの更新操作が行われたか否かを判定する(ステップS32)。なお、遊技機IDの更新操作は、遊技媒体貸出装置20に設けた操作パネル等が行うようにしても良いし、係員等が所持するリモコンから行うようにしても良い。そして、更新操作があると、接続中の遊技機ID(今回遊技機ID)を更新情報として記録し(ステップS33)、記録した遊技機IDを上位システム(ホールコンピュータ30等)に通知する(ステップS34)。このように、遊技媒体貸出装置20で遊技機ID更新処理を行えば、ホールコンピュータ30等へ更新された遊技機IDを送信できるので、台入替時の設定変更が自動的に行われることとなり、旧来のように手入力で設定操作を行う必要が無く、入れ替え作業の効率化を図れると共に、入力ミス等によって情報の信頼性が損なわれることもない。
一方、上記ステップS208において、遊技機IDが無しと判定された場合は、遊技機ID記憶手段21bに前回遊技機IDも記憶されていないかを判定し(ステップS212)、前回IDも無しであった場合には、遊技機IDの出力機能を有していない旧来の遊技機10が接続されていると推定できるので、メーカーIDも無しに設定する(ステップS213)。
上記のようにして、遊技媒体制御装置20で遊技機IDの設定又は遊技機ID無しの設定が行われた後には、遊技機10からの遊技機準備状態信号(PRDY)がONに変わるまで待機する(ステップS214)。そして、遊技機10から遊技機準備状態信号のON出力を行うと(ステップS108)、これを受けた遊技媒体貸出装置20は、遊技媒体の貸出に関連する情報を遊技機IDもしくは遊技機メーカーID、或いは遊技機IDおよび遊技機メーカーIDの両方に関連付けて、取引内容を逐次記録して行けるようにスタンバイする(ステップS215)。
この取引内容を記録可能な情報記録媒体Cにおける記録領域の構成例を図7に示す。情報記録媒体Cは、少なくとも、カードID、残価値、メーカー別累積消費金額の記録領域(フィールド)を有するもので、例えば、第8フィールド以降に遊技機メーカー毎の累計消費金額を記録できるようになっている。なお、記録内容に応じて該当フィールドを暗号化して記録すれば、セキュリティを高めることができる。また、第8フィールド以降に記録する遊技機メーカーIDとその累計消費金額は、情報記録媒体Cが使用された順に遊技機の製造メーカーを順次追加して行くようにしても良いが、例えば、第8〜第X+1フィールドまでを予め利用頻度の高い優先登録メーカー(例えば、遊技機メーカー1〜遊技機メーカーN)用の枠として設定しておき、それ以外の遊技機メーカーを第X+2フィールド以降へ順次追記して行くようにしても良い。或いは、この遊技場における管理システム上で遊技機メーカーIDが割り振られていない遊技機メーカーについては、未分類遊技機メーカーとして全体を一括りにした累積消費金額を記録するようにフィールドを設定しても良い。
その後、遊技媒体貸出装置20は、遊技者からの貸出要求に応じて遊技媒体貸出処理を行い(ステップS216)、また、遊技機10の接続断が検知されたか否かを判定し(ステップS217)、遊技機10との接続断が生じていると判定された場合には、ステップS201へ移行して、遊技機10に対する動作モード確認処理を改めて行う。同様に、遊技機10も、遊技媒体貸出装置20からの貸出要求に応じて遊技媒体貸出処理を行い(ステップS109)、また、遊技媒体貸出装置20の接続断が検知されたか否かを判定し(ステップS110)、遊技媒体貸出装置20との接続断が生じていると判定された場合には、ステップS102へ移行して、遊技媒体貸出装置20との動作モード確認処理を改めて行う。
次に、遊技媒体貸出装置20が行う遊技媒体の貸出動作とその記録動作に着目した遊技媒体貸出処理を図8に基づいて説明する。上記遊技媒体貸出装置起動処理で説明したように、初期化を行い(ステップS401)、接続されている遊技機10より遊技機IDを取得し(ステップS402)、この遊技機IDから当該遊技機10の製造メーカーのメーカーコードを取得する(ステップS403)。
続いて、情報記録媒体Cが投入されたか否かを判定し(ステップS404)、情報記録媒体Cが投入されると、情報記録媒体取引記憶手段21hの今回累計消費金額を帰零し(ステップS405)、情報記録媒体Cの記録情報から該当遊技機メーカーの累計消費金額を取得しておく(ステップS406)。なお、接続されている遊技機10に対応する製造メーカーのメーカーコードが設定されていない場合は、未分類遊技機メーカーコードに割り当てて累計してゆけば良い。
以後、遊技者が行う返却操作があったか否か(ステップS407)、入金操作があったか否か(ステップS408)、貸出操作があったか否かを判定し(ステップS409)、貸出操作があれば、投入中の情報記録媒体Cにおける残価値から貸出1回分の金額を減算して更新し(ステップS410)、貸出1回分の遊技媒体の払出を遊技機10へ指示し(ステップS411)、今回累計消費金額に貸出1回分の金額を加算して更新する(ステップS412)。上記ステップS408で入金操作があった場合には、投入中の情報記録媒体Cにおける残価値に入金金額分を加算して更新する(ステップS413)。
上記ステップS407で返却操作が行われた場合には、上記ステップS406で情報記録媒体Cから読み出した該当遊技機メーカーの累計消費金額に今回の累計消費金額分を加算して更新し(ステップS414)、更新後の該当メーカーの累計消費金額を情報記録媒体Cの対応フィールドに書き込み(ステップS415)、情報記録媒体Cを返却し(ステップS416)、更に、遊技機メーカーコードと関連付けて今回累計消費金額を上位システム(例えば、ホールコンピュータ30)へ送信する(ステップS417)。
図9は、上記のように遊技媒体貸出装置20から累計消費金額の送信を受けるホールコンピュータ30にて管理する台別遊技機固体管理情報テーブルの一例を示すものである。ホールコンピュータ30にて、機種別、メーカー別の累計消費金額を管理することが出来れば、客付きの良い機種やメーカーなどを容易に把握することができ、営業上、有用な情報となる。
上述の第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置20においては、遊技機固有IDを受信するタイミングを監視するために、遊技機との遊技媒体貸出インターフェースとして予め備えている信号線の入力信号である遊技機接続確認信号(PSI)を監視し、PSI信号がOFF→ONになった後に遊技機ID出力信号から遊技機IDを受信する方法について説明したが、遊技機10が遊技機ID信号を出力するタイミングはこれに限定されるものではなく、遊技媒体貸出装置20が検知可能なタイミングであれば、如何様に設定しても良い。図10は、第2実施形態に係る遊技媒体貸出装置20′の概略構成を示し、遊技機10′が外部出力端子板10bを介して出力する信号を受信可能である。なお、図10において、第1実施形態の遊技媒体貸出装置20と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略した。
遊技機10′が外部出力端子板1bより出力する信号のうち、遊技機自身の状態である遊技機状態をホールコンピュータ30等へ報知するために出力する遊技機状態信号(例えば、扉開放信号、不正検出信号、大当り信号等)については、中継器40′から遊技媒体貸出装置20′の外部入出力端子板20bにも入力されるものとし、遊技媒体貸出制御装置21′の遊技機状態情報取得手段21jによって遊技機状態情報を取得することができる。そして、遊技機固有情報受信手段たる遊技機ID信号解読手段21aには、遊技機10′から遊技機固有情報として遊技機IDが出力される条件である遊技機固有情報受信条件が予め設定してあり、遊技機状態情報取得手段21jが取得した遊技機状態が遊技機固有情報受信条件を満たしたタイミングで遊技機ID出力信号を読み取るのである。なお、遊技機10′に確認入力部11(図10において、破線で示す)を設け、遊技機IDを遊技媒体貸出装置20′が正しく受信ができたか否かを遊技機10′へ確認するようにしてもよい。
上記のようにして、遊技機ID信号解読手段21aが遊技機IDを読み取ると、遊技機ID記憶手段21bに記憶し、遊技機ID比較手段21cが、遊技機ID記憶手段21bに記憶されている前回遊技機IDと比較し、遊技機ID比較手段21cが前回遊技機IDと今回遊技機IDの不一致という判定を出した場合には、外部通信手段21dが通信回線を通じてプリペイドシステム管理コンピュータ50等へ異常検知信号を送信するので、セキュリティを高めることができる。
なお、遊技機10′における遊技機状態を用いた遊技機固有情報受信条件としては、例えば、遊技機10′で遊技上の大当りが発生した状態を報らせる大当り信号がONになること、遊技機10′の扉が開放した状態を報らせる扉開放信号がONになること、遊技機10′に対する不正行為を思われる磁石・電波・振動等を各センサーで検知した状態または大当り中以外に大入賞口への入賞が検知された状態を報らせる不正検出信号がONになること等がある。
また、遊技機ID出力信号を遊技媒体貸出装置20′が受信するタイミングである遊技機固有情報受信条件は、遊技機状態信号のON/OFF変化時だけでなく、このON/OFF変化を契機として一定時間経過後、或いは周期的に遊技機ID出力信号を受信するようにしても良い。例えば、遊技機10′は、大当り信号をON、扉開放信号をON、不正検出信号をONにすると、1分おきに遊技機ID信号を出力するように設定した場合、遊技媒体貸出装置20′は、最初の遊技機ID読み取りタイミングから1分ごとに遊技機固有情報受信条件が成立するように設定しておけば、遊技機IDが変わるような不正改竄が行われそうな状況下で頻繁に遊技機IDの確認を行うことができ、一層セキュリティを高めることが出来る。
上記のように、遊技機10′が遊技機状態の変化を契機として一定周期で遊技機ID信号を出力するように設定した場合、遊技媒体貸出装置20′の遊技機ID信号解読手段21aが遊技機IDを読み取る毎に遊技機ID比較手段21cによる比較を行う必要はなく、例えば、遊技機IDの受信が所定回数に達したときを比較実行条件として、適宜な頻度(例えば、1時間に1度程度)で遊技機ID比較手段21cによる比較を行うようにすれば、遊技媒体貸出制御装置21′が過負荷となることもないし、遊技機ID監視によるセキュリティ効果を損なうこともない。
上述した第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置20および第2実施形態に係る遊技機20′においては、遊技機10,10′からの遊技機ID出力信号を受信することで遊技機IDを取得するものであったが、遊技媒体貸出装置20,20′が遊技機固有情報を取得する方法は、これに限定されるものではない。図11に示すのは、第3実施形態に係る遊技媒体貸出装置20″の概略構成であり、遊技機10″の適所(例えば、裏面側)に設けた遊技機固有情報記録手段としてのRFIDタグ12からタグ情報を読み取ることで、遊技媒体貸出装置20″が遊技機IDを取得するのである。
なお、RFIDタグ12は、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた情報記録媒体で、例えば、遊技機10″のメーカー出荷時に設けるものとし、メーカー名(或いはメーカーID)、機種名(或いは機種ID)、シリアルナンバ(遊技機ID)等の情報がICチップに記憶されており、RFIDリーダのアンテナ(例えば、遊技機遊技媒体貸出装置20″の外付タグR/W部22)を近接させれば、非接触で記憶情報を読み出すことが出来る。
上記RFIDタグ12を設ける箇所は特に限定されるものではないが、日常の清掃作業などで剥がれたり、悪戯で剥ぎ取られるような事態を避けるためには、遊技機10の裏面側に設けておくことが望ましい。例えば、遊技機10の主基板のプログラムROMに貼付されたラベル(名称またはQRコードを印刷したラベル)、主基板が封入された透明ケースの内側適所(主基板の目視点検を妨げない箇所)、主基板が封入された透明ケースのカシメ金具とカシメキャップの間などに設けておくと、主基板封入ケースの封印を破らない限り、RFIDタグ12に触れることが出来ないので、当該遊技機10″本来の情報とは異なる情報を記憶させた偽のRFIDタグに取り替えられるような不正を抑止できる。また、主基板を封入したケースの開放を禁止する封印シールの内部にRFIDタグ12を設けておけば、基板ケースの封印を破るとRFIDタグ12も破壊されて情報を読み出すことが出来なくなるので、基板封入ケースが開封されて不正が行われた可能性の高い状態を、RFIDタグ12の読出可否によって検知することができる。
また、遊技機10″の裏面側に配置される制御基板として、払出制御基板にRFIDタグ12を設けるとすれば、払出制御基板のプログラムROMに貼付されたラベル(名称またはQRコードを印刷したラベル)、払出制御基板が封入された透明ケースの内側適所(払出制御基板の目視点検を妨げない箇所)、払出制御基板が封入された透明ケースのカシメ金具とカシメキャップの間などに設けた場合でも、払出制御基板ケースの封印を破らない限り、RFIDタグ12に触れることが出来ないので、当該遊技機10″本来の情報とは異なる情報を記憶させた偽のRFIDタグに取り替えられるような不正を抑止できる。また、払出制御基板を封入したケースの開放を禁止する封印シールの内部にRFIDタグ12を設けておけば、基板ケースの封印を破るとRFIDタグ12も破壊されて情報を読み出すことが出来なくなるので、基板封入ケースが開封されて不正が行われた可能性の高い状態を、RFIDタグ12の読出可否によって検知することができる。
このほか、検定・認定を受けた機種に貼付する組合などの証紙シール内部にRFIDタグ12を設けた場合には、気付かれないように証紙シール自体を剥がしたり貼り直したりすることが不可能なので、不正防止に有効である。また、機種毎に固有となる外部端子盤説明シール(機種名も印刷されているシール)内部にRFIDタグ12を設けるようにしても良い。
遊技媒体貸出装置20″は、貨幣投入口23aから投入された貨幣Mによって、プリペイド媒体(例えば、磁気記録部に有価価値を記録したカード形状のプリペイドカードやICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン等)の情報記録媒体Cを発行したり、媒体挿排口23bから投入された情報記録媒体Cに残っている有価価値に基づいて遊技球の貸出制御を行う。
なお、遊技媒体貸出装置20″で遊技球貸出のために使用できる情報記録媒体Cは、購入金額に応じた有価価値が記録されたプリペイド媒体に限定されるものではなく、遊技で獲得した遊技球を顧客管理サーバ上の会員番号をキーとする口座に貯めておける貯玉システムを利用可能な会員カードを媒体挿排口23bから受け入れ、遊技で獲得した遊技媒体の預入や預け入れた遊技媒体の引出を行うことができるようにしても良い。
遊技媒体貸出装置20″の遊技媒体貸出制御装置21′は、投入された貨幣Mの真贋や金額を識別する貨幣識別部24、表示パネルや操作ボタンからなる表示/操作部25、媒体挿排口23bから投入された情報記録媒体Cを保持する記録媒体保持部26の記録媒体R/W部26a、警告を含む種々の状態表示を行うための状態表示灯20c等と接続され、種々の情報を受信すると共に制御信号を送出する。電源部27は、外部から電源供給を受けて、遊技媒体貸出制御装置21′等へ所要の電源を供給する。
また、遊技媒体貸出制御装置21′は、遊技機10″に設けたRFIDタグ12から遊技機固有情報を非接触で取得する遊技機固有情報取得手段21kと、遊技機固有情報取得手段21kにより取得した遊技機固有情報を記憶可能な遊技機固有情報記憶手段21lと、遊技機固有情報記憶手段21lに遊技機固有情報が既に記憶されているとき、遊技機固有情報取得手段21kにより取得した今回遊技機固有情報と、前記遊技機固有情報記憶手段21lが記憶している前回遊技機固有情報とが一致するか否かを比較する遊技機固有情報比較手段21mと、遊技機固有情報比較手段21mが前回遊技機固有情報と今回遊技機固有情報が一致しないと判定した場合に、遊技機固有情報の不一致を報知する異常報知手段21nを備える。このほか、図示を省略したが、情報記録媒体R/W手段、遊技機メーカー特定手段、情報記録媒体取引記憶手段等も備える。
さらに、遊技媒体貸出装置20″は、外部機器接続用中継基板20dを介して、遊技機10″、ホールコンピュータ30、プリペイドシステム管理コンピュータ50と接続され、相互にデータ通信を行う。
なお、本実施形態の遊技媒体貸出装置20″においては、既存の遊技媒体貸出装置が標準的に備えている情報記録媒体Cの読み書き用リーダ/ライタが、RFID技術による情報の読み書きが可能なICを内蔵していることから、情報記録媒体Cのリーダ/ライタの主要論理回路を、RFIDタグ12の記録情報を読み出すRFIDリーダの主要論理回路として兼用するものとし、切替スイッチ28の切替制御によって、遊技媒体貸出制御装置21′への情報取得先を、記録媒体R/W部26aもしくは外付けタグR/W部22の何れかに切り替えるのである。
本実施形態の遊技媒体貸出装置20″においては、遊技機10″からの遊技機ID出力信号の受信タイミングに合わせて読み取る必要がないので、遊技機固有情報の取得タイミングの自由度を高めることが出来る。例えば、第1実施形態の遊技機貸出装置20と同様に、遊技機10″の遊技機接続確認信号の立ち上がりを契機にRFIDタグ12の読み取りを行うほかに、情報記録媒体Cが投入或いは返却される毎に遊技機10″からRFIDタグ12を読み取って、遊技機IDの比較を行うようにすれば、遊技機IDが変わるような不正改竄を迅速に検出できる。
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。