次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置およびこれを含む遊技媒体貸出システムの実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、遊技媒体である遊技球の貸出機能を備えたCRタイプの遊技機10と、これに対応して接続された遊技媒体貸出装置(いわゆるCRユニット)20として説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを使うスロット式遊技機と、これに対応して接続されたメダル貸出装置にも適用可能である。
遊技機10は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備えるもので、その適所には、遊技者が遊技球の貸出を要求するために操作する貸出ボタンと、この貸出ボタンが操作可能な状態である場合に点灯表示される貸出可能ランプと、遊技媒体貸出装置20へ投入した情報記録媒体(プリペイドカード/コインや会員カード等)を排出させるための返却ボタンを設けてある。遊技機10の裏面側には、弾球遊技の主たる制御を行う主制御装置、表示制御や音制御といった演出面の動作制御を行う副制御装置、遊技球の発射動作を制御する発射制御装置、賞としての遊技球や貸出用の遊技球を排出する遊技球排出装置、この遊技球排出装置に対する遊技球の排出制御を行う排出制御装置等を設けてある。
また、遊技機10の適所(例えば、裏面側)には、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた固体認証情報を記憶するRFID記憶手段としてのRFIDタグ11を貼付してある。このRFIDタグ11は、例えば、遊技機10のメーカー出荷時に設けるものとし、メーカー名、機種名、シリアルナンバ、様々に存在する遊技媒体貸出仕様への適合状態、等の情報がICチップに記憶されており、RFIDリーダのアンテナを近接させれば、非接触で記憶情報を読み出すことが出来る。
上記RFIDタグ11を設ける箇所は特に限定されるものではないが、日常の清掃作業などで剥がれたり、悪戯で剥ぎ取られるような事態を避けるためには、遊技機10の裏面側に設けておくことが望ましい。例えば、遊技機10の主基板のプログラムROMに貼付されたラベル(名称またはQRコードを印刷したラベル)、主基板が封入された透明ケースの内側適所(主基板の目視点検を妨げない箇所)、主基板が封入された透明ケースのカシメ金具とカシメキャップの間などに設けておくと、主基板封入ケースの封印を破らない限り、RFIDタグ11に触れることが出来ないので、当該遊技機10本来の情報とは異なる情報を記憶させた偽のRFIDタグに取り替えられるような不正を抑止できる。また、主基板を封入したケースの開放を禁止する封印シールの内部にRFIDタグ11を設けておけば、基板ケースの封印を破るとRFIDタグ11も破壊されて情報を読み出すことが出来なくなるので、基板封入ケースが開封されて不正が行われた可能性の高い状態を、RFIDタグ11の読出可否によって検知することができる。
遊技機10の裏面側に配置される制御基板として、払出制御基板にRFIDタグ11を設けるとすれば、払出制御基板のプログラムROMに貼付されたラベル(名称またはQRコードを印刷したラベル)、払出制御基板が封入された透明ケースの内側適所(払出制御基板の目視点検を妨げない箇所)、払出制御基板が封入された透明ケースのカシメ金具とカシメキャップの間などに設けた場合でも、払出制御基板ケースの封印を破らない限り、RFIDタグ11に触れることが出来ないので、当該遊技機10本来の情報とは異なる情報を記憶させた偽のRFIDタグに取り替えられるような不正を抑止できる。また、払出制御基板を封入したケースの開放を禁止する封印シールの内部にRFIDタグ11を設けておけば、基板ケースの封印を破るとRFIDタグ11も破壊されて情報を読み出すことが出来なくなるので、基板封入ケースが開封されて不正が行われた可能性の高い状態を、RFIDタグ11の読出可否によって検知することができる。
このほか、検定・認定を受けた機種に貼付する組合などの証紙シール内部にRFIDタグ11を設けた場合には、気付かれないように証紙シール自体を剥がしたり貼り直したりすることが不可能なので、不正防止に有効である。また、機種毎に固有となる外部端子盤説明シール(機種名も印刷されているシール)内部にRFIDタグ11を設けるようにしても良い。
一方、第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置20は、遊技機10の一側方に設置されるもので、遊技球の貸出制御を統括的に行う遊技媒体貸出制御装置21を備える。この遊技媒体貸出制御装置21は、紙幣投入口から紙幣が投入されると投入金額に応じたプリペイド媒体(例えば、ICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン)を発行したり、コイン投入口から投入されたプリペイドコインの残価値の範囲内で遊技者が選択した金額(遊技機10の貸出ボタンの操作による貸出要求)に応じた遊技媒体貸出信号を遊技機10へ送信したり、カード挿入口から挿入された会員カード(情報記録媒体)を受け付け、遊技者が貸出ボタンを操作して選択した球数(あるいは金額、度数)に応じた遊技媒体貸出制御のための信号(後に詳述)を遊技機10へ送信する。また、遊技媒体貸出装置20自体の状態(例えば、自身の利用可能状態や異常停止状態など)を利用可能ランプにより表示すると共に、遊技媒体貸出装置20が遊技媒体貸出要求を受けられる状態にある場合は、前記遊技機10に設けた貸出可能ランプを点灯表示させ、遊技者にその旨を報らせる。
遊技媒体貸出装置20の遊技媒体貸出制御装置21は、接続ケーブル30を介して遊技機10と接続され、遊技媒体貸出装置20の貸出装置インターフェース基板20aのコネクタと、遊技機10の遊技媒体貸出装置接続端子板10aのコネクタに、夫々接続ケーブル30のコネクタを接続することで、遊技媒体貸出仕様に基づき定められた所定のプロトコルに従って相互に信号の授受を行い、互いの正常稼働が確認できると、遊技機10と遊技媒体貸出装置20が協働して、払出個数や金額を任意設定可能な遊技媒体貸出動作が実行される。なお、本実施形態での遊技媒体貸出仕様としては、予め定めた1度数(100円相当)に対応する数量(25個)の遊技媒体を最小単位として貸し出す度数貸出モード(旧来の遊技機が標準的に備えるモード)と、遊技媒体を1個もしくは複数個を最小単位として貸し出す個数貸出モード(新たに対応機能が付加された遊技機のみが備えるモード)の2つがあり、遊技機10と遊技媒体貸出装置20の双方が同じモードに対応していないと、遊技媒体貸出動作を行うことができない。
そして、接続ケーブル30を介して遊技機10から遊技媒体貸出装置20へは、遊技機接続確認信号(PSI),遊技機準備状態信号(PRDY),遊技機貸出完了信号(EXS),貸出ボタンスイッチ信号等が送信されると共に、遊技媒体貸出装置20から遊技機10へは、貸出装置貸出指示信号(BRDY),貸出装置貸出個数通知信号(BRQ)が送信される。なお、度数貸出モードの遊技機10(100円で25個を基準単位とする現行機)に遊技媒体貸出装置20が接続された場合、貸出装置貸出指示信号(BRDY)は貸出装置準備状態信号として、貸出装置貸出個数通知信号(BRQ)は貸出装置貸出要求信号として用いることにより、遊技媒体貸出動作が可能である。
一方、遊技媒体貸出装置20の遊技媒体貸出制御装置21には、遊技機10との相互通信によって遊技機10の動作モード(例えば、個数貸出モードか度数貸出モードか)を判定する遊技機動作モード判定手段21a、遊技媒体の貸出における基準単位である1度数当たりの貸出遊技媒体数を外部操作によって任意に可変設定できると共に設定情報を記憶する1度数当たり貸出個数設定・記憶手段21b、1度数分の遊技媒体を貸し出す対価として消費する1度数当たりの消費金額を外部操作によって任意に可変設定できると共に設定情報を記憶する1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cを備える。なお、1度数当たり貸出個数設定・記憶手段21bや1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cに対する設定操作は、遊技店員らが遊技媒体貸出装置21の裏面側から操作パネル等を使って行うものとし、遊技客が勝手に設定変更してしまうことのないようにセキュリティを高めることが望ましい。
そして、接続ケーブル30によって接続された遊技機10が個数貸出モードであると遊技機動作モード判定手段21aが判定した場合、任意の個数の遊技媒体の払出を遊技機に行わせる貸出制御手段21dは、1度数当たり貸出個数設定・記憶手段21bや1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cの記憶する設定情報に基づいて、対応する遊技機10に対して、貸出装置貸出個数通知信号による払出個数の通知と貸出装置貸出指示信号による払出指示の送信を分離して行う。
すなわち、遊技媒体貸出装置20から遊技機10に対する遊技媒体払出個数の通知を、貸出装置貸出個数通知信号によって行うことにより、遊技媒体の貸出個数を任意に設定することができるので、1度数当たり貸出個数設定・記憶手段21bに対して任意に設定した貸出個数での遊技媒体払出が実現可能となる。なお、本実施形態においては、1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cを設けることによって、1度数の消費金額も任意設定可能としたが、例えば、1度数の消費金額を旧来通りの所定金額(100円)に固定して貸出個数のみ増減させることで、1度数当たりの遊技媒体の貸出個数を任意に変える場合は、1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cは不要である。
また、本実施形態の遊技媒体貸出装置20の如く、1個当たり貸出個数設定・記憶手段21bおよび1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cの両方を備えていれば、投入された情報記録媒体(プリペイドカードや会員カード)に記憶されている有価価値が1度数の金額に満たない端数価値となった場合、設定値として記憶されている1度数当たりの貸出個数および1度数当たりの消費金額に基づいて、端数価値で貸出可能な遊技媒体数を算出することができる。そこで、貸出制御手段21dが、端数価値で貸出可能な遊技媒体数を算出し、この端数価値を暫定的な1度数とみなして、遊技機10に対する遊技媒体の払出制御を行うことにより、1度数に満たない端数価値による遊技媒体の払出が可能となる。
さらに、遊技媒体貸出制御装置21には、遊技媒体貸出装置20の外部と通信を行う外部通信手段21eを設けてあり、例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ40やホールコンピュータ50との通信により1度数当たり貸出個数設定・記憶手段21bに記憶させる1度数当たりの遊技媒体貸出個数を取得するようにしたり、外部との通信により1度数当たり消費金額設定・記憶手段21cに記憶させる1度数当たりの消費金額を通信により取得するようにしても良い。
加えて、遊技媒体貸出制御装置21には、予め設定された遊技媒体1個の税抜き価格と消費税率とに基づき、1度数あたりの消費金額および遊技媒体払い出し個数を、切り捨て・四捨五入・切り上げの何れかに定めた端数処理によって1円単位かつ1個単位で算出する消費税外税換算遊技媒体単価演算手段21fを設けてあり、消費税外税換算遊技媒体単価演算手段21fにより算出された遊技媒体1個単位での貸出制御を貸出制御手段21dが行えるようにしてある。斯くすれば、外税方式の導入や税率変更に伴う遊技店側の負担を軽減することができ、遊技媒体貸出の料金改定等を低コストで円滑に進めることが可能となる。
ここで、遊技機動作モード判定手段21aによる、遊技機10の動作モード判定機能を説明する。上述したように、遊技機10には、遊技媒体貸出仕様に関する情報を記録した情報記録手段としてRFIDタグ11を設けてあるので、遊技媒体貸出装置20より延設したRFID用のアンテナ22をRFIDタグ11との通信可能な部位に近接配置しておき、遊技機動作モード判定手段21aによって、RFIDタグ11より記憶情報を非接触で取得し、この記憶情報に基づいて、遊技機10に対応するモード(度数貸出モードか個数貸出モードか)を判定する。
すなわち、この遊技機動作モード判定手段21aは、「複数種類ある遊技媒体の貸出仕様の少なくとも1つ以上に適合する遊技機に設けられた情報記録手段から、当該遊技機における遊技媒体貸出仕様に関する情報を非接触で取得する情報取得手段」としての機能を有する。なお、遊技機10に設ける情報記録手段と、遊技媒体貸出装置20が備える情報取得手段は、RFID技術を使ったものに限定されず、遊技媒体貸出装置20が非接触で遊技機10の記録情報を取得できれば、公知既存の如何様な技術を採用しても構わない。
さらに、遊技機動作モード判定手段21aは、対応する遊技機より取得した遊技媒体貸出仕様に関する情報に基づき、遊技機10に適合する遊技媒体貸出仕様での動作モードで遊技媒体貸出制御を行えるか否かを判定し、適合する動作モードがあれば、その動作モードを貸出制御手段21dへ伝える。そして、貸出制御手段21dが、遊技機動作モード判定手段21aにより判定された動作モードで遊技媒体貸出制御を行うことにより、遊技機10と遊技媒体貸出装置20が同じ動作モードで遊技媒体貸出動作が行われるのである。
なお、遊技機動作モード判定手段21aがRFIDタグ11より読み出す記憶情報は、必ずしも、遊技機10の動作モードである必要はなく、例えば、遊技機10のシリアルナンバ等の識別情報を取得し、この識別情報をプリペイドシステム管理コンピュータ40へ問い合わせ、プリペイドシステム管理コンピュータ40が、遊技媒体貸出装置20から問い合わせを受けた識別情報に基づいて、該当する遊技機10が動作可能な貸出動作モードの遊技媒体貸出仕様を遊技媒体貸出装置20へ送信し、遊技媒体貸出装置20は、プリペイドシステム管理コンピュータ40より受信した貸出動作モードを、当該遊技機10が適合する遊技媒体貸出仕様と判断する様にしても良い。斯くする場合には、プリペイドシステム管理コンピュータ40にて、遊技場に設置された各遊技機10の識別情報と当該遊技機10の遊技媒体貸出仕様とを関連付けて統合管理しておく必要がある。
次に、遊技媒体貸出装置20が遊技機10の動作モードを判定し、遊技機10の動作モードに応じた遊技媒体貸出動作が可能となる一連の処理を、図2に基づき詳述する。図2では、遊技機10の起動処理と遊技媒体貸出装置20の起動処理とを並記することで、相互に行う信号の送受信の時系列な流れを分かり易くした。
先ず、遊技機10は、電源投入により、遊技媒体貸出装置20で基準電圧VL(例えば、DC18V)を生成するための電源供給を開始し(ステップS101)、自己診断を行い(ステップS102)、診断結果に異常があるか否かを判定する(ステップS103)。このステップS103の判定で異常がなければ、遊技媒体貸出装置20が正常に稼働することで生成される基準電圧VLが供給されるのを待つ(ステップS104)。もし、ステップS103で異常有りと判定された場合には、エラー表示等を行って異常停止し(ステップS105)、遊技媒体貸出処理を行うことはない。
一方、遊技媒体貸出装置20は、電源投入により、自己診断および自己モード確認(例えば、1度数当たり貸出個数や1度数当たり消費金額等の設定情報の確認)を行い(ステップS201)、確認結果として異常があるか否かを判定する(ステップS202)。このステップS202の判定で異常がなければ、貸出装置貸出指示信号(BRDY)および貸出装置貸出個数通知信号(BRQ)をOFFにし(ステップS203)、遊技機10へ基準電圧VLを出力し(ステップS204)、遊技機10から遊技機接続確認信号(PSI)が入力されるのを待つ(ステップS205)。もし、ステップS202で異常有りと判定された場合には、エラー表示等を行って異常停止し(ステップS206)、遊技媒体貸出処理を行うことはない。
上記のようにして、遊技媒体貸出装置20から基準電圧VLを受信した遊技機10は、遊技媒体貸出装置20へ遊技機接続確認信号を出力する(ステップS106)。この遊技機接続確認信号を受けた遊技媒体貸出装置20は、遊技機10の動作モードを確認するために、遊技機10に設けたRFIDタグ11のタグ情報を読み出し(ステップS207)、タグ情報の有無を判定する(ステップS208)。タグ情報が読み出せた場合には、前回のタグ情報(前回の起動時に遊技機10から読み出したタグ情報)と同じか否かを判定し(ステップS209)、前回と同じではないと判定された場合には、この新たに読み出したタグ情報が既知のIDパターン(遊技機10の動作モードの判定が可能な情報)か否かを判定し(ステップS210)、既知のIDパターンと判定された場合には、検知したIDパターンに対応した確認用の信号として所定パターンのパルス信号を出力し(ステップS211)、検知パターン対応の動作モードで自ら動作するように確定する(ステップS212)。
なお、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置20においては、RFIDタグ11のタグ情報に基づいて判定した貸出動作モードに確定する際、検知パターン対応の信号を遊技機10へ送信して、遊技機10側でもタグ情報と整合する動作モードであることを確認することで、双方のモード不整合が生じない高い信頼性を確保するものとしたが、より簡易に、RFIDタグ11のタグ情報のみによって遊技媒体貸出装置20が自己の動作モードを選択する場合には、上記ステップS211で行ったような動作モード確認のための信号出力および遊技機側でのパターン検知及び動作モードの判定(ステップS107,S108)は省略できる。
或いは、遊技媒体貸出装置20から動作モード確認のための信号を送信するのではなく、遊技機10から動作モード確認のための信号を送信し、これを受けた遊技媒体貸出装置20が読み取ったタグ情報と整合することを確認できた時に、適切な動作モードに確定するようにしても良い。なお、遊技機10から動作モード確認のための信号を送信するタイミングは特に限定されないが、例えは、遊技媒体貸出装置20からのVLを検知したタイミングで遊技機10が自身の動作可能モードを通知するための信号(モード通知信号)を出力するようにしても良い。このように、遊技機10からモード通知信号を遊技媒体貸出装置20へ送信する場合、遊技媒体貸出装置20は遊技機10からのモード通知信号を受信できるまで一定時間待ち、モード通知信号を受信すると、読み出したタグ情報との整合を判定した上で、遊技媒体貸出装置20から遊技機10へモード確認信号を送信するようなモード確認手順を採用すれば、一層信頼性の高いものとなる。なお、RFIDタグから読み出した情報と遊技機10からのモード通知信号の内容とで、遊技機10の動作モードが一致しない場合には、エラーを発生させて正常な遊技媒体貸出制御を不能とすることで、不適正な遊技機動作モードで稼働させるような不正を防止することができる。
一方、上記ステップS208において、タグ情報が無しと判定された場合は、RFIDタグ11が設けられていない旧来の遊技機(度数貸出モードにしか対応していない遊技機)と推定できるので、度数貸出モードの遊技機10に対応するように自己の動作モードとして従来互換モード(本実施形態では、度数貸出モード)を選択する(ステップS213)。
ここで、遊技媒体貸出装置20が接続される遊技機10の動作モードが、単純に個数貸出モードと度数貸出モードの2種類に限らず、例えば、第1個数貸出モード,第2個数貸出モード…のように、3種類以上の動作モードの遊技機が市場へ導入された場合、遊技媒体貸出装置20が全ての動作モードの遊技機に対応できるとは限らないし、遊技店の営業上の理由から、対応させる動作モードの遊技機を限定する場合も考えられる。このため、本実施形態の遊技媒体貸出装置20においては、上記ステップS212やステップS213にて確定した動作モードに対応しているか否かを判定し(ステップS214)、動作モードが対応していないと判定されれば異常停止し(ステップS206)、遊技媒体貸出動作が行われることはない。斯くすれば、不正改造や設定ミスによる動作モードの不一致を検出した場合、遊技媒体貸出動作が実行されることを規制し、遊技者または店舗側の不利益を防止する事が出来る。一方、ステップS214で動作モードが対応していると判定されれば、遊技機10からの遊技機準備状態信号がONに変わるまで待機する(ステップS215)。
上記のようにして、遊技媒体貸出装置20から対応モード確認のための信号(BRQのパルス信号)が送信されると、遊技機10では、この入力信号を確認し(ステップS107)、確認された検知パターンが遊技機10自身の動作モードと整合するか判定する(ステップS108)。動作モードが整合していると判定された場合、PRDYを“L”に落とすことで遊技機準備状態信号のON出力を行う(ステップS109)。なお、遊技媒体貸出装置20からのVLを検知したタイミングで遊技機10が自身の動作可能モードを通知するための信号(モード通知信号:例えば、PRDY=“H”の状態でEXSを一定周期で“H→L→H→L…”を繰り返す状態)を出力するようにした場合には、遊技媒体貸出装置20側から認識した動作モードの結果を通知する信号(モード認識結果信号:例えば、BRDY=“H”の状態でBRQを一定周期で“H→L→H→L…”と繰り返す状態)を遊技機10へ出力することで、相互のモード確認を行うことができ、このモード通知信号出力中の遊技機10が、遊技媒体貸出装置20からのモード認識結果信号を検知した場合には、遊技機10がEXSの出力を停止(“H”に保持)した後、PRDYを“L”に落とすことで、遊技機準備状態信号のON出力を行うことができる。
そして、遊技機10から遊技機準備状態信号を受けた遊技媒体貸出装置20は、貸出スタンバイ表示(例えば、利用可能ランプの点灯表示)を行って(ステップS216)、遊技者からの貸出要求に応じて遊技媒体貸出処理を行い(ステップS217)、また、遊技機10の接続断が検知されたか否かを判定し(ステップS218)、遊技機10との接続断が生じていると判定された場合には、ステップS201へ移行して、遊技機10に対する動作モード確認処理を改めて行う。同様に、遊技機10も、遊技媒体貸出装置20からの貸出要求に応じて遊技媒体貸出処理を行い(ステップS110)、また、遊技媒体貸出装置20の接続断が検知されたか否かを判定し(ステップS111)、遊技媒体貸出装置20との接続断が生じていると判定された場合には、ステップS102へ移行して、遊技媒体貸出装置20との動作モード確認処理を改めて行う。
次に、上述した遊技媒体貸出装置20が行う自己モード設定処理を、図3(a),(b)に基づき説明する。この自己モード設定処理は、遊技媒体貸出装置20が自ら行える動作モードを新たに設定するものであるが、例えば、上述した遊技媒体貸出装置20の起動処理におけるステップS201で、毎起動時に実行される。
先ず、自らが初期設定モードで起動しているか否かを判定し(ステップS31)、初期設定モードではないと判定されれば、そのまま処理を終了するが、遊技媒体貸出装置20に設けた操作パネル等で設定モードがONにされていた場合には、初期設定処理を行い(ステップS32)、設定確認操作の有無を判定し(ステップS33)、設定確認操作が行われていれば、設定データの確認表示を行う(ステップS34)。なお、設定確認操作は、遊技媒体貸出装置20の操作パネル等で設定するものに限らず、リモコン操作もしくは外部からの通信(例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ40からの通信指示)によって設定できるようにしても良い。
上記ステップS32で行う初期設定処理は、図3(b)に示すように、初期設定モードで起動し(ステップS321)、例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ40より設定データを受信し(ステップS322)、受信した設定データを不揮発メモリへ記憶する(ステップS323)。このようにして不揮発メモリに記憶された設定データを読み込むことで、自己の設定モードを確認するのである。
また、遊技媒体貸出装置20が異常停止した場合、異常発生の原因を解消した後に、電源の再投入やリセットスイッチを操作することによって、改めて起動処理を行わせるようにしても良いが、本実施形態の遊技媒体貸出装置20においては、遊技場の係員による操作で異常解除を行えるようにした。このために行う異常解除処理を図4に基づき、説明する。
先ず、操作パネル等が操作されたか否かを判定し(ステップS401)、何らかの操作があった場合は、それが初期設定操作か否かを判定し(ステップS402)、初期設定操作でなかった場合には、係員による解除操作か否かを判定し(ステップS403)、係員による解除操作でなかった場合には、そのまま異常停止を継続し、所定の待機時間経過後に再びステップS401からの処理を繰り返す。
上記ステップS403で、遊技店の店員が所持するリモコン等によって解除操作が指示されていると判定された場合には、自己診断を行い(ステップS404)、遊技機10よりRFIDタグ11の再読込を行い(ステップS405)、読み込んだタグ情報と設定データとの照合を行い(ステップS406)、タグ情報が既知のIDパターンに合致するか否かを判定し(ステップS407)、既知のIDパターンに一致していなければ、異常停止を継続し、所定の待機時間経過後に再びステップS401からの処理を繰り返す。
一方、上記ステップS407で、遊技機10より再読込したタグ情報が既知のIDパターンと一致していると判定した場合には、そのIDパターンに対応する動作モードで通常起動する(ステップS408)。また、上記ステップS402で初期設定操作があると判定された場合には、図3(b)にて説明したと同様の初期設定処理を行い(ステップS409)、設定確認操作の有無を判定し(ステップS410)、設定確認操作が行われていれば、設定データの確認表示を行う(ステップS411)。
以上、本発明の第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置20を説明したが、遊技媒体貸出装置20は、遊技機10と接続するだけでなく、遊技店内に構築されたネットワークに接続することで、一層利便性を高めるような運用とすることも可能である。
図5に示すのは、第2実施形態に係る遊技媒体貸出装置20′の概略構成である。遊技媒体貸出装置20′は、貨幣投入口23aから投入された貨幣Mによって、プリペイド媒体(例えば、磁気記録部に有価価値を記録したカード形状のプリペイドカードやICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン等)の情報記録媒体Cを発行したり、媒体挿排口23bから投入された情報記録媒体Cに残っている有価価値に基づいて遊技球の貸出制御を行う。
なお、遊技媒体貸出装置20′で遊技球貸出のために使用できる情報記録媒体Cは、購入金額に応じた有価価値が記録されたプリペイド媒体に限定されるものではなく、遊技で獲得した遊技球を顧客管理サーバ上の会員番号をキーとする口座に貯めておける貯玉システムを利用可能な会員カードを媒体挿排口23bから受け入れ、遊技で獲得した遊技媒体の預入や預け入れた遊技媒体の引出を行うことができるようにしても良い。
遊技媒体貸出装置20′の遊技媒体貸出制御装置21′は、投入された貨幣Mの真贋や金額を識別する貨幣識別部24、表示パネルや操作ボタンからなる表示/操作部25、媒体挿排口23bから投入された情報記録媒体Cを保持する記録媒体保持部26等と接続され、種々の情報を受信すると共に制御信号を送出する。電源部27は、外部から電源供給を受けて、遊技媒体貸出制御装置21′等へ所要の電源を供給する。なお、図6においては図示を省略したが、遊技媒体貸出制御装置21′は、前述した第1実施形態と同様に、遊技機動作モード判定手段21a,1度数当たり貸出個数設定・記憶手段21b,1度数当たり消費金額設定・記憶手段21c,貸出制御手段21d,外部通信手段21e,消費税外税換算遊技媒体価値演算手段21fを備える。
さらに、遊技媒体貸出装置20′は、外部機器接続用中継基板20bを介して、遊技機10、プリペイドシステム管理コンピュータ40,ホールコンピュータ50等と接続し、相互にデータ通信を行うことで、円滑な遊技媒体貸出システムを構築できるようにする。
遊技機10は、上述したと同様に遊技媒体貸出装置20′と1対1で接続され、相互に動作モードの認証を行って動作モードが適合すれば正常稼働する。もちろん、個数貸出モードの遊技機10であれば、遊技媒体貸出装置20′からの貸出装置貸出指示信号および貸出装置貸出個数通知信号を受けて、任意個数分の遊技媒体を払い出すことができる。また、この遊技機10では、シール状のRFIDタグ11に加えて、制御装置の収納ケース内部等に封入したカード状のRFIDカード12を備えるものとし、事故でRFIDタグ11が剥離してしまったり、不正にRFIDタグが交換されたりしても、RFIDカード12の記録情報から、当該遊技機10の適切なタグ情報を取得できるようにした。
ここで、本実施形態の遊技媒体貸出装置20においては、「遊技媒体の貸出に使用できる情報記録媒体の情報を非接触で読み出せる情報記録媒体用アンテナ」として、記録媒体保持部26に保持された情報記録媒体Cの情報を非接触で読み出すための第1アンテナ22aを、「遊技機に設けられるRFID記憶手段の記憶情報を非接触で読み出せる1または複数のRFID用アンテナ」として、遊技機10のRFIDタグ11に近接配置した第2アンテナ22bおよびRFIDカード13に近接配置した第3アンテナ22cを備えるものとし、切替スイッチ28の切替制御によって、遊技媒体貸出制御装置21′の情報取得手段21gと第1〜第3アンテナ22a〜22cの接続先を自在に切り替えることが出来るようにしてある。なお、切替スイッチ28は、遊技媒体貸出制御装置21′に設けた受信先切替手段21hからの切替制御信号を受けて、接続先を切り替えることが出来る。
例えば、情報取得手段21gが情報記録媒体Cの記憶情報を読み出すときには、受信先切替手段21hを介して第1アンテナを接続先にすることで、情報記録媒体Cの記録情報を読み出すことが可能となり、遊技機10のタグ情報を読み出すときには、受信先切替手段21hを介して第2アンテナ22bもしくは第3アンテナ22cを接続先にすることで、RFIDタグ11もしくはRFIDカード12からタグ情報を読み出すことが可能となる。
すなわち、本実施形態の遊技媒体貸出装置20′では、既存の遊技媒体貸出装置が標準的に、RFID技術により情報の読み書きが可能なICを内蔵する情報記録媒体Cの読み書きを行うリーダ/ライタを備えていることから、情報記録媒体のリーダ/ライタの主要論理回路を、RFIDタグ11およびRFIDカード12の記録情報を読み出すRFIDリーダの主要論理回路によって兼用できるので、RFID用アンテナを複数設けて、コストを抑制できる。なお、RFID用アンテナの数は3個以上設けても良いし、第1実施形態の遊技媒体貸出装置20′と同様に1個だけでも良い。
プリペイドシステム管理コンピュータ40は、遊技媒体貸出装置20′において新たに発行された情報記録媒体Cの発行情報や遊技媒体貸出に伴う有価価値消費情報等の取引データを受信するものであり、この収集情報はプリペイドシステムの管理会社で管理される。また、このプリペイドシステム管理コンピュータ40では、遊技場に設置された各遊技機10の識別情報(例えば、RFIDタグのシリアルナンバ等)と当該遊技機10の遊技媒体貸出仕様(度数貸出モード、個数貸出モード)とを関連付けて統合管理すると共に、遊技機が対応している遊技媒体貸出仕様の中から貸出動作を許可するモードあるいは貸出動作を禁止するモードを設定できる。
図6に示すように、プリペイドシステム管理コンピュータ40と店内のLAN回線60を介して接続される各遊技媒体貸出装置20′に対して、プリペイドシステム管理コンピュータ40の設定画面で設定された設定情報(例えば、貸出動作モードの指示、1度数当りの消費金額、1度数当りの払出個数、1度数未満の払出数算出法など)が台毎に送信される。この個別設定内容は、遊技媒体貸出装置20′の台別設定記憶部29に記憶され、遊技媒体制御装置21′は、この台別設定記憶部29の設定内容を参照して、遊技機10の動作モードの判定や遊技媒体貸出制御等を行うのである。
なお、遊技場に導入した遊技機10のRFIDタグ11と関連付けられた該当機種の遊技媒体貸出仕様に関しては、プリペイド管理コンピュータ40の入力装置から手入力しても良いが、遊技機メーカーのダウンロードサイトから機種情報をダウンロードして、管理システムにインストールできるようにすれば、誤入力を防げて、利便性がよい。また、プリペイドシステムの管理会社で管理するセンターサーバから自動的にダウンロードしてシステムに自動反映させるようにすれば、より利便性が高いものとなる。遊技場がインターネット等の公共の通信網に接続できない環境にある場合は、CD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、USB(登録商標)メモリ等の物理媒体を定期的に、もしくは、オンデマンドで入手して、遊技機を新規に導入したときや機種入替の都度、手動にてプリペイドシステム管理コンピュータ40にインストールするようにしてもよい。
また、上述した第1実施形態および第2実施形態に係る遊技媒体貸出装置20,20′は、RFID技術を用いて遊技媒体貸出仕様に関する情報を記録した遊技機10から情報を非接触で取得して、遊技機10の動作モードを判定するものであったが、遊技媒体貸出装置20が備える情報取得手段は、遊技機10に設ける情報記録手段に応じて、適宜変更して構わない。
図7に示すのは、第3実施形態に係る遊技媒体貸出装置20″の概略構成である。なお、第2実施形態に係る遊技媒体貸出装置20′と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態の遊技媒体貸出装置20″は、情報記録手段として機種コードがエンコードされたQRコードラベル14を設けた遊技機10から、当該遊技機10の動作モードを取得するもので、QRコードラベル14の画像を取り込める位置にCCDカメラ22dを配置してある。なお、CCDカメラ22dによる撮像には、ある程度の光量が必要となるが、情報記録手段を設ける(QRコードラベル14を貼付しておく)遊技機10の裏面側は島内に臨んでおり、照明が当たり難い部分であるため、撮像に必要十分な光量が得られるように、照明用LED22eを設けておくことが望ましい。このとき、照明用LED22eとして赤外線LEDを用いることで、可視光領域ではなく長波長の赤外領域の画像をCCDカメラ22dで撮像するようにしても構わない。
CCDカメラ22dから得られる画像信号は、画像取込/パターン認識部22fに画像データとして一旦取り込まれ、画像取込/パターン認識部22f内のQRコードデコードプログラムによって文字列データに変換され、シリアル通信によって遊技媒体貸出制御装置21″内の情報取得手段21g″に送信される。従って、遊技機10のQRコードラベル14から、当該遊技機10の記録情報(固有の識別番号や貸出動作モードの種別など)を情報取得手段21g″が取得できるのである。
なお、情報記録媒体Cの読み書きを行う記録媒体R/W部26aからの通信と、画像取込/パターン認識部22fからの通信は、いずれもシリアル通信にて実現する事ができ、且つ、両者を同時に読み込む必要が無いので、遊技媒体貸出制御装置21″とのシリアル通信I/Fは、記録媒体R/W部26aと画像取込/パターン認識部22fで共用が可能である。そこで、本実施形態の遊技媒体貸出装置20″においては、遊技媒体貸出制御装置21″に設けた受信先切替手段21hが切替スイッチ28″の切替制御を行うことで、記録媒体R/W部26aまたは画像取込/パターン認識部22fと情報取得手段21g″が接続出来るようにしてある。
また、CCDカメラ22dと画像取込/パターン認識部22fを備える遊技媒体貸出装置20″においては、文字認識技術によって遊技機10の記録情報を取り込むことも可能である。例えば、遊技機10の主基板上に実装されたプログラムROMのチップ表面に印刷された機種名印刷部分を画像データとして読み込み、画像処理による文字列抽出プログラムによって画像から文字列データに変換することで、情報取得手段21g″が遊技機10の機種名を取得できるようにしても良い。
或いは、遊技機10にバーコードラベルを貼付し、遊技媒体貸出装置20に設けたバーコードリーダーによって遊技機10のバーコードを読み込むことで、当該遊技機10の記録情報(機種情報や貸出動作モードの種別など)を取得するようにしてもよい。このとき、バーコードの印刷を可視光では判別しにくい波長帯のいわゆるステルスバーコードを使うようにすることができる。
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。