JP2010170587A - スタンパ製造方法、再生専用型光ディスク製造方法 - Google Patents
スタンパ製造方法、再生専用型光ディスク製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010170587A JP2010170587A JP2009009519A JP2009009519A JP2010170587A JP 2010170587 A JP2010170587 A JP 2010170587A JP 2009009519 A JP2009009519 A JP 2009009519A JP 2009009519 A JP2009009519 A JP 2009009519A JP 2010170587 A JP2010170587 A JP 2010170587A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stamper
- pit
- master
- etching
- manufacturing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B7/00—Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
- G11B7/24—Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
- G11B7/26—Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of record carriers
- G11B7/263—Preparing and using a stamper, e.g. pressing or injection molding substrates
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
Abstract
【課題】再生専用型光ディスクの大量生産の効率化の実現
【解決手段】光ディスクの大量生産のために原盤からマスタースタンパを電気メッキを用いて多数枚複製する。ここで電鋳工程を繰り返すことでアシンメトリが上昇してしまうマスタースタンパについて、エッチング処理を施し、アシンメトリ値を減少させる。
アシンメトリ値の上昇は、スタンパの複製が繰り返された場合に、後のスタンパほど、凸ピット高さが、長ピット、短ピットに限らず低下していくことに起因する。ここで、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程を行う。即ち短ピット(例えば2Tピット)の凸ピット高さの低下具合を、長ピットの高さの低下具合より大きくすると、アシンメトリ値を低下させるように制御することができる。
【選択図】図1
【解決手段】光ディスクの大量生産のために原盤からマスタースタンパを電気メッキを用いて多数枚複製する。ここで電鋳工程を繰り返すことでアシンメトリが上昇してしまうマスタースタンパについて、エッチング処理を施し、アシンメトリ値を減少させる。
アシンメトリ値の上昇は、スタンパの複製が繰り返された場合に、後のスタンパほど、凸ピット高さが、長ピット、短ピットに限らず低下していくことに起因する。ここで、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程を行う。即ち短ピット(例えば2Tピット)の凸ピット高さの低下具合を、長ピットの高さの低下具合より大きくすると、アシンメトリ値を低下させるように制御することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は光ディスクの製造に用いるスタンパの製造方法、及び再生専用型光ディスク製造方法に関する。
近年、光ディスクの高密度化が進み、例えば高密度光ディスクとしてブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)が普及しつつある。
既に広く普及しているDVD(Digital Versatile Disc)が、1枚(1記録層)の記録容量が4.7GB(Giga Byte)であったところ、ブルーレイディスクではその記録容量が25GBと大きく増大している。このような高密度化は、ディスク原盤のマスタリング工程において、ピットパターンを微細化することで可能になっている。
既に広く普及しているDVD(Digital Versatile Disc)が、1枚(1記録層)の記録容量が4.7GB(Giga Byte)であったところ、ブルーレイディスクではその記録容量が25GBと大きく増大している。このような高密度化は、ディスク原盤のマスタリング工程において、ピットパターンを微細化することで可能になっている。
従来のDVDまでのマスタリングプロセスでは、レーザ露光された有機レジストがフォトンモードによって感光されていた。フォトンモードによる記録領域は露光スポット径に比例し、およそスポット径半値幅に等しい解像度となる。露光スポット径φはレーザー波長λ、レンズの開口数NAを用いてφ=1.22×λ/NAで表される。
それに対して、ブルーレイディスクのマスタリング工程においては、大幅に解像度を向上できる、無機材料を用いたレジスト(無機レジスト)によってカッティングを行っている。
それに対して、ブルーレイディスクのマスタリング工程においては、大幅に解像度を向上できる、無機材料を用いたレジスト(無機レジスト)によってカッティングを行っている。
再生専用型のブルーレイディスク、即ち凹凸状のエンボスピットパターンにより情報が記録されたROMタイプのブルーレイディスク(以下「BD−ROM」ともいう)の製造は、次のようになる。
まず無機レジストを用いた原盤のカッティングを行い、現像処理を行って、ピットパターンが形成された原盤を作成する。そして原盤を用いてニッケル電気メッキ工程によりスタンパを形成する。スタンパは原盤のピットパターンが反転転写されたものとなる。
その後、スタンパを用いた射出成形により、プラスチック基板(ディスク基板)を作成し、作成される各ディスク基板に対して、反射膜やカバー層などを形成して最終的な光ディスクとする。
まず無機レジストを用いた原盤のカッティングを行い、現像処理を行って、ピットパターンが形成された原盤を作成する。そして原盤を用いてニッケル電気メッキ工程によりスタンパを形成する。スタンパは原盤のピットパターンが反転転写されたものとなる。
その後、スタンパを用いた射出成形により、プラスチック基板(ディスク基板)を作成し、作成される各ディスク基板に対して、反射膜やカバー層などを形成して最終的な光ディスクとする。
ここで、ヒットした映画タイトルをディスク化する場合など、大需要が見込まれる光ディスク製品を製造する場合、非常に大量の光ディスクを効率的に生産しなければならない。このためBD−ROMの場合、1枚の原盤から多数のスタンパを製造することが望まれる。
従来の有機レジストを用いた原盤の場合と異なり、無機レジストを用いた原盤では、1枚の原盤から多数枚のスタンパを製造することができるためである。
従来の有機レジストを用いた原盤の場合と異なり、無機レジストを用いた原盤では、1枚の原盤から多数枚のスタンパを製造することができるためである。
図7に示すように、原盤から、多数のマスタースタンパMa(Ma#1、Ma#2、Ma#3・・・)を作成すれば、それぞれのマスタースタンパMaを用いて並行して射出成形を行い、ディスク基板を製造できる。
さらには、各マスタースタンパMaに再度メッキを行い、マスタースタンパMaと凹凸が反転したマザースタンパMT(MT#1、MT#2・・・)を作る。そしてマザースタンパMTからさらに、凹凸が反転したサンスタンパSN(SN#1、SN#2・・・)を作る。するとサンスタンパSNを用いても、並行して射出成形を行い、ディスク基板を製造できる。
さらには、各マスタースタンパMaに再度メッキを行い、マスタースタンパMaと凹凸が反転したマザースタンパMT(MT#1、MT#2・・・)を作る。そしてマザースタンパMTからさらに、凹凸が反転したサンスタンパSN(SN#1、SN#2・・・)を作る。するとサンスタンパSNを用いても、並行して射出成形を行い、ディスク基板を製造できる。
これは大量生産を行うには望ましい複製工程である。一枚しか存在しない原盤から大量のマスタースタンパMaやサンスタンパSN(つまり射出成形に使用できるスタンパ)をネズミ算式に製造できれば、それらを用いて並行してディスク基板製造を行うことができ、全体の工程の効率化及びそれによる短期での大量生産を実現できるためである。
ところが、マスタースタンパMaを原盤から繰り返し製造していくと、後に製造されたスタンパから製造される光ディスクほど、信号特性が劣化することがある。特に以下説明するようにアシンメトリの問題が生ずる。
一般的に光ディスクの再生は半導体レーザ光をディスクに照射し、その戻り光を検出する方式を取っている。信号特性は記録されたデジタル信号が正確に再生することで評価される。25GBのBD−ROMは再生時、線速度4.92m/sで回転し、1クロック15.15nsと規定されており、2T〜8T(30.30ns〜121.20ns)のピットとスペースで成り立っている(Tはチャネルクロック周期)。
ここでアナログオシロスコープ上の再生波形(いわゆるアイパターン)を図8に示す。再生専用型光ディスクでは、ピット及びスペースによる凹凸の間隔が小さいほど回折効果を受けるためMTFが小さくなり、その変調度は減少する。そのため2T信号の振幅は最も小さくなる。
なお、図8において「I8H」は8Tパターンのピークレベル、「I2H」は2Tパターンのピークレベル、「I2L」は2Tパターンのボトムレベル、「I8L」は8Tパターンのボトムレベルである。
実際の再生装置ではアナログ信号として検出される波形を非線形イコライザで増幅してピット長に依存する振幅差を補正し、振幅中心近傍の特定電圧レベルでスレッショルドを設け、0と1に二値化する。
なお、図8において「I8H」は8Tパターンのピークレベル、「I2H」は2Tパターンのピークレベル、「I2L」は2Tパターンのボトムレベル、「I8L」は8Tパターンのボトムレベルである。
実際の再生装置ではアナログ信号として検出される波形を非線形イコライザで増幅してピット長に依存する振幅差を補正し、振幅中心近傍の特定電圧レベルでスレッショルドを設け、0と1に二値化する。
信号評価の指標として主に、ジッター、アシンメトリ、モジュレーションが挙げられる。ジッターは規定クロックからのズレを標準偏差σと1Tと用いて、σ/Tで表される。
このジッターの値が大きいほど再生信号は劣化していると言える。記録層が1層のBD−ROMでは、規格ではジッターは6.5%以下と規定されているが、もちろん低ければ低いほど良い。実際の製造では、マージンを考慮して6%以下である必要がある。
このジッターの値が大きいほど再生信号は劣化していると言える。記録層が1層のBD−ROMでは、規格ではジッターは6.5%以下と規定されているが、もちろん低ければ低いほど良い。実際の製造では、マージンを考慮して6%以下である必要がある。
モジュレーション(変調度)は、(I8H−I8L)/(I8H)で表される。これは8T振幅の大きさであり、8Tピットの深さに依存する指標である。この値が大きいほど、C/N比がよくなると言える。
アシンメトリは、
{(I8H+I8L)−(I2H+I2L)}/{2(I8H−I8L)}
で表され、8T信号と2T信号の中心軸のズレを意味している。このアシンメトリは、二値化のスレッショルドを決める上で重要になる指標である。BD−ROMの規格では−10〜15%と定められているが、通常0〜10%程度が望ましい。
このアシンメトリ値は長ピット(例えば8Tピット等)と2Tピットの大きさが異なることで得られる信号であるが、大きさの微小変化に大きく影響を受けて変動する。
{(I8H+I8L)−(I2H+I2L)}/{2(I8H−I8L)}
で表され、8T信号と2T信号の中心軸のズレを意味している。このアシンメトリは、二値化のスレッショルドを決める上で重要になる指標である。BD−ROMの規格では−10〜15%と定められているが、通常0〜10%程度が望ましい。
このアシンメトリ値は長ピット(例えば8Tピット等)と2Tピットの大きさが異なることで得られる信号であるが、大きさの微小変化に大きく影響を受けて変動する。
ブルーレイディスクのような高密度ディスクにおいては、ピット深さがnmオーダーで微小変化すると、得られる信号特性は大きく異なってくる。
一般的な光ディスク製造工程では、スタンパ製作にニッケル電気メッキ法を用いており、効率的に大量生産するには、上述のように一枚の原盤からマスタースタンパを多数枚取る必要がある。
しかし、酸性のメッキ液中に長時間さらされることや、被覆されたニッケル(Ni)と原盤を剥ぎ取るなどの工程を行った原盤のピット形状は、1度の電鋳工程を行う毎にピットサイズに関わらず一様に深さが数nmオーダーで変化してしまうことが確認されている。
図9(a)は、一枚の原盤からマスタースタンパから作成されたマスタースタンパMaのピット高さを計測したものである。なお、「Ma#1」は、最初に作成されたマスタースタンパ、「Ma#5」は5回目の電鋳工程で作成されたマスタースタンパというように、「#n」で、1枚の原盤から複製された何枚目のスタンパであるかを示している。
図のように、スタンパ複製を重ねる毎に、製造されるスタンパのピット高さが低下していく。これは原盤の凹状のピットの深さが浅くなっていくことによる。
図9(b)に原盤における初期ピット形状(実線)と、電鋳工程後のピット形状(破線)を模式的に示す。原盤の無機レジスト層が、メッキ液中にさらされることで徐々に溶解することや、スタンパ剥離時に表面がスタンパ側に貼り付いての剥がれなどにより、ピット深さが浅くなっていく。
一般的な光ディスク製造工程では、スタンパ製作にニッケル電気メッキ法を用いており、効率的に大量生産するには、上述のように一枚の原盤からマスタースタンパを多数枚取る必要がある。
しかし、酸性のメッキ液中に長時間さらされることや、被覆されたニッケル(Ni)と原盤を剥ぎ取るなどの工程を行った原盤のピット形状は、1度の電鋳工程を行う毎にピットサイズに関わらず一様に深さが数nmオーダーで変化してしまうことが確認されている。
図9(a)は、一枚の原盤からマスタースタンパから作成されたマスタースタンパMaのピット高さを計測したものである。なお、「Ma#1」は、最初に作成されたマスタースタンパ、「Ma#5」は5回目の電鋳工程で作成されたマスタースタンパというように、「#n」で、1枚の原盤から複製された何枚目のスタンパであるかを示している。
図のように、スタンパ複製を重ねる毎に、製造されるスタンパのピット高さが低下していく。これは原盤の凹状のピットの深さが浅くなっていくことによる。
図9(b)に原盤における初期ピット形状(実線)と、電鋳工程後のピット形状(破線)を模式的に示す。原盤の無機レジスト層が、メッキ液中にさらされることで徐々に溶解することや、スタンパ剥離時に表面がスタンパ側に貼り付いての剥がれなどにより、ピット深さが浅くなっていく。
このように複製を重ねる毎に、原盤の凹ピット深さが浅くなり、スタンパの凸ピットの高さは低くなる。すると、後に製造されたスタンパから作成される光ディスクほど、ピット(凹ピット)は浅くなることになる。
その結果、例えばマスタースタンパMa#1〜Ma#10を元にして作成される最終製品の光ディスク(BD−ROM)では、それぞれ信号特性が異なるものとなる。即ちピット深さが浅くなった光ディスクほど、ジッター、アシンメトリ、モジュレーションなどの信号特性が劣化する。特に、アシンメトリが実用上問題となる。
その結果、例えばマスタースタンパMa#1〜Ma#10を元にして作成される最終製品の光ディスク(BD−ROM)では、それぞれ信号特性が異なるものとなる。即ちピット深さが浅くなった光ディスクほど、ジッター、アシンメトリ、モジュレーションなどの信号特性が劣化する。特に、アシンメトリが実用上問題となる。
図10(a)(b)(c)は、各複製回数段階のマスタースタンパMa#(n)を元に製造された光ディスクについて、ジッター、アシンメトリ、モジュレーションをそれぞれ測定したものである。
図10(a)のように、ジッターは複製回数が進むほど悪化している。ジッターを6.5%以下とするには、生産に使用できるのはマスタースタンパMa#7程度までとなる。
図10(c)のモジュレーションについても、複製回数が進むほど低下している。但し、モジュレーションについては、元々高反射率の再生専用型光ディスクであることから、実用には問題のない程度の劣化である。
図10(a)のように、ジッターは複製回数が進むほど悪化している。ジッターを6.5%以下とするには、生産に使用できるのはマスタースタンパMa#7程度までとなる。
図10(c)のモジュレーションについても、複製回数が進むほど低下している。但し、モジュレーションについては、元々高反射率の再生専用型光ディスクであることから、実用には問題のない程度の劣化である。
ところが通常0〜10%程度が望ましいとされるアシンメトリについては、図10(b)のようになり、マスタースタンパMa#3で既に不適となる。この結果、実用上、1、2枚程度のマスタースタンパMaしか生産に使用できない。
1枚の原盤からマスタースタンパMaが極めて少数しか得られないことは、人気タイトルのBD−ROM製品を大量生産したい場合などに極めて不都合となる。
例えばスタンパを多数製造するには、再度原盤マスタリングを必要とすることになる。原盤マスタリングは、製造時間やコストの点で生産性を大きく圧迫するため、できれば1枚の原盤から多数のマスタースタンパが得られるようにすることが望ましい。
1枚の原盤からマスタースタンパMaが極めて少数しか得られないことは、人気タイトルのBD−ROM製品を大量生産したい場合などに極めて不都合となる。
例えばスタンパを多数製造するには、再度原盤マスタリングを必要とすることになる。原盤マスタリングは、製造時間やコストの点で生産性を大きく圧迫するため、できれば1枚の原盤から多数のマスタースタンパが得られるようにすることが望ましい。
そこで本発明では、再生専用型光ディスクの大量生産の際の生産性を向上させるべく、1枚の原盤からスタンパを多数枚作成して用いることができるようにする。即ち複製回数が進んだ後のスタンパも実際の製造工程で実用できるようにすることを目的とする。
本発明のスタンパ製造方法は、無機レジスト層に、記録情報に基づいて凹状ピットによるピット列が形成された原盤を用い、電気メッキ処理により、上記凹状ピットに対応する凸状ピットが形成されたスタンパを製造するスタンパ形成工程と、上記スタンパの上記凸状ピットについて、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程とを有する。
また上記エッチング工程は、アルゴンプラズマを用いたドライエッチングとして行う。
また上記エッチング工程では、アルゴンプラズマを用いたドライエッチングの後に、酸素プラズマを用いたドライエッチングを行う。
また上記エッチング工程は、アルゴンプラズマを用いたドライエッチングとして行う。
また上記エッチング工程では、アルゴンプラズマを用いたドライエッチングの後に、酸素プラズマを用いたドライエッチングを行う。
本発明の再生専用型光ディスク製造方法は、原盤基板の無機レジスト層に対して、記録情報に基づいた記録レーザ光照射により、ピットパターンの露光を行い、上記露光後に現像処理を行うことで、上記無機レジスト層に記録情報に基づいて凹状ピットによるピット列が形成された原盤を製造する原盤製造工程と、上記原盤を用い、電気メッキ処理により、上記凹状ピットに対応する凸状ピットが形成されたスタンパを製造するスタンパ形成工程と、上記スタンパの上記凸状ピットについて、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程と、上記エッチング工程を経た上記スタンパを用い、上記凸状ピットに対応する凹状ピットが転写されたディスク基板を作成するディスク基板作成工程と、上記ディスク基板上に、所定の層構造を形成して再生専用型光ディスクを製造する層構造形成工程とを有する。
また上記層構造形成工程では、上記ディスク基板の、上記エッチング工程を経た上記スタンパから転写された、上記凹状ピットによるピット列が形成された面に反射膜を成膜して記録層とし、該記録層上にカバー層を形成する。
又は、上記層構造形成工程では、上記ディスク基板の、上記エッチング工程を経た上記スタンパから転写された、上記凹状ピットによるピット列が形成された面に反射膜を成膜して第1の記録層とした後、さらに中間層を介して、上記原盤製造工程と、上記スタンパ形成工程と、上記エッチング工程とを経て製造された他のスタンパを用いたピット列転写と、半透過反射膜の成膜により、第2以降の記録層を形成し、最後の記録層上にカバー層を形成する。
また上記層構造形成工程では、上記ディスク基板の、上記エッチング工程を経た上記スタンパから転写された、上記凹状ピットによるピット列が形成された面に反射膜を成膜して記録層とし、該記録層上にカバー層を形成する。
又は、上記層構造形成工程では、上記ディスク基板の、上記エッチング工程を経た上記スタンパから転写された、上記凹状ピットによるピット列が形成された面に反射膜を成膜して第1の記録層とした後、さらに中間層を介して、上記原盤製造工程と、上記スタンパ形成工程と、上記エッチング工程とを経て製造された他のスタンパを用いたピット列転写と、半透過反射膜の成膜により、第2以降の記録層を形成し、最後の記録層上にカバー層を形成する。
また本発明の再生専用型光ディスク製造方法は、同一の情報内容の再生専用型光ディスクを大量生産する際の再生専用型光ディスク製造方法である。そして、原盤基板の無機レジスト層に対して、記録情報に基づいた記録レーザ光照射により、ピットパターンの露光を行い、上記露光後に現像処理を行うことで、上記無機レジスト層に記録情報に基づいて凹状ピットによるピット列が形成された原盤を製造し、上記原盤を用いた複数回の電気メッキ処理により、上記原盤の凹状ピットに対応する凸状ピットが形成されたスタンパを複数個製造し、上記原盤を用いての所定回数目以降の電気メッキ処理で形成されたスタンパを対象とし、当該対象のスタンパの上記凸状ピットについて、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記対象のスタンパに対してエッチング処理を行い、上記原盤から形成されたスタンパであって、上記エッチング処理を施したスタンパと上記エッチング処理を施していないスタンパを含む複数のスタンパのそれぞれを並行して用いて、スタンパの上記凸状ピットに対応する凹状ピットが転写されたディスク基板の作成及びディスク基板上への所定の層構造形成を行って、再生専用型光ディスクを製造する。
このような本発明は、BD−ROM等の高密度再生専用光ディスクの製造工程において、原盤からピットが転写されたスタンパにエッチング処理を行うことで、アシンメトリ値を制御するものである。
上述のように、光ディスクを大量生産するためには、原盤からマスタースタンパを電気メッキを用いて多数枚複製する必要がある。しかし、規格で規定されたアシンメトリ値が原盤からマスタースタンパの複製を重ねるごとに上昇する。
そこで電鋳工程を繰り返すことによってアシンメトリが上昇してしまうマスタースタンパについて、エッチング処理を施し、アシンメトリ値を減少させる。
アシンメトリ値の上昇は、スタンパの複製が繰り返された場合に、後のスタンパほど、凸ピット高さ(光ディスクとしたときの凹ピットの深さ)が、長ピット、短ピットに限らず低下していくことに起因する。ここで、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程を行う。即ち短ピット(例えば2Tピット)の凸ピット高さの低下具合を、長ピットの高さの低下具合より大きくすると、アシンメトリ値を低下させるように制御することができる。
上述のように、光ディスクを大量生産するためには、原盤からマスタースタンパを電気メッキを用いて多数枚複製する必要がある。しかし、規格で規定されたアシンメトリ値が原盤からマスタースタンパの複製を重ねるごとに上昇する。
そこで電鋳工程を繰り返すことによってアシンメトリが上昇してしまうマスタースタンパについて、エッチング処理を施し、アシンメトリ値を減少させる。
アシンメトリ値の上昇は、スタンパの複製が繰り返された場合に、後のスタンパほど、凸ピット高さ(光ディスクとしたときの凹ピットの深さ)が、長ピット、短ピットに限らず低下していくことに起因する。ここで、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程を行う。即ち短ピット(例えば2Tピット)の凸ピット高さの低下具合を、長ピットの高さの低下具合より大きくすると、アシンメトリ値を低下させるように制御することができる。
本発明によれば、1枚の原盤からマスタースタンパを多数枚製造し、それら多数のマスタースタンパをディスク製造工程の実用に供することができる。1枚の原盤から繰り返しマスタースタンパの複製を行っても、後の方のマスタースタンパでも、エッチング工程の処理を行うことでアシンメトリ値が規格外とはならないようにできるためである。
従って、多数のマスタースタンパ(或いは多数のマスタースタンパを元とするサンスタンパ)を用いて効率的なディスク製造を行うことができる。また原盤の作成(マスタリング及び現像)も最小限(例えば1回)でよいことから、効率及びコスト的に有利である。これらのことから、同一内容(例えば映画等の同一タイトル)の光ディスクを大量生産する場合に、生産性を著しく向上させることができる。
従って、多数のマスタースタンパ(或いは多数のマスタースタンパを元とするサンスタンパ)を用いて効率的なディスク製造を行うことができる。また原盤の作成(マスタリング及び現像)も最小限(例えば1回)でよいことから、効率及びコスト的に有利である。これらのことから、同一内容(例えば映画等の同一タイトル)の光ディスクを大量生産する場合に、生産性を著しく向上させることができる。
また、1枚の原盤から繰り返しマスタースタンパの複製を行った場合でも、最初の1、2枚目程度のマスタースタンパは、特にアシンメトリ値の上昇等は発生しない。従って、必要なマスタースタンパのみにエッチング工程を行うものとすることで、エッチング工程の付加による工程負担がむやみに増大することはなく、全体としての製造効率を向上させることができる。
以下、再生専用型ブルーレイディスク(BD−ROM)の製造工程を例として、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.BD−ROMの概要及び実施の形態の適用性]
[2.ディスク製造工程]
[3.スタンパエッチング]
[1.BD−ROMの概要及び実施の形態の適用性]
[2.ディスク製造工程]
[3.スタンパエッチング]
[1.BD−ROMの概要及び実施の形態の適用性]
再生専用型ブルーレイディスク(BD−ROM)は、ディスクサイズとしては、直径が120mm、ディスク厚は1.2mmとなる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)方式のディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスクと同様となる。
そして記録/再生のためのレーザとして、いわゆる青色レーザが用いられ、また光学系が高NA(例えばNA=0.85)とされる。さらには狭トラックピッチ(例えばトラックピッチ=0.32μm)、高線密度(例えば記録線密度0.12μm)を実現する。これらのことにより直径12cmのディスクにおいて、ユーザーデータ容量として1つの記録層で23G〜25Gバイト程度を実現している。
再生専用型ブルーレイディスク(BD−ROM)は、ディスクサイズとしては、直径が120mm、ディスク厚は1.2mmとなる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)方式のディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスクと同様となる。
そして記録/再生のためのレーザとして、いわゆる青色レーザが用いられ、また光学系が高NA(例えばNA=0.85)とされる。さらには狭トラックピッチ(例えばトラックピッチ=0.32μm)、高線密度(例えば記録線密度0.12μm)を実現する。これらのことにより直径12cmのディスクにおいて、ユーザーデータ容量として1つの記録層で23G〜25Gバイト程度を実現している。
BD−ROMは、例えば約1.1mm厚のポリカーボネート等の樹脂基板(ディスク基板)上に、エンボスピット列が形成され、当該ピット列による凹凸が形成された面に反射膜が被膜されて記録層が形成される。さらに約100μmのカバー層が形成されて、1.2mm厚のディスクが形成される。
またBD−ROMでは、記録層が1つの1層ディスクの他、記録層が2層、3層・・・n層の複数層ディスクも開発されている。各記録層は、ディスク基板上に、中間層を介して形成される。当然ながら、多数の記録層を設けることで、記録容量を大幅に拡大できる。
またBD−ROMでは、記録層が1つの1層ディスクの他、記録層が2層、3層・・・n層の複数層ディスクも開発されている。各記録層は、ディスク基板上に、中間層を介して形成される。当然ながら、多数の記録層を設けることで、記録容量を大幅に拡大できる。
本実施の形態は、BD−ROMの大量生産に好適なディスク製造方法を実現するものである。
特に実施の形態のディスク製造方法は、次の特徴を有する光ディスクの大量生産に有効に適用できる。
(i)NAが高い(0.7以上)対物レンズを用いたシステムに対応するディスクであること。
(ii)アシンメトリという指標値があり、規格でその値が制限されている再生専用型光ディスクであること。
(iii)石英ガラス、シリコンウェハ等の原盤基板上に無機レジスト層を形成した原盤に対して、ニッケルメッキを施して得たスタンパを用いて、転写されたプラスチックディスクであること。
特に実施の形態のディスク製造方法は、次の特徴を有する光ディスクの大量生産に有効に適用できる。
(i)NAが高い(0.7以上)対物レンズを用いたシステムに対応するディスクであること。
(ii)アシンメトリという指標値があり、規格でその値が制限されている再生専用型光ディスクであること。
(iii)石英ガラス、シリコンウェハ等の原盤基板上に無機レジスト層を形成した原盤に対して、ニッケルメッキを施して得たスタンパを用いて、転写されたプラスチックディスクであること。
これらの特徴を有するBD−ROM製造工程として、ディスクの大量生産を行う場合には、図7で説明したように1枚の原盤から多数回の電鋳処理により、多数のスタンパを複製する必要がある。しかしながら上述のように、複製を繰り返した後のスタンパでは、そのままではディスク基板製造に使用することが適切でないものが形成される。特にアシンメトリ値の上昇による。
そこで本実施の形態では、電鋳工程を繰り返すことによってアシンメトリが上昇してしまうマスタースタンパについて、エッチング処理を施し、アシンメトリ値を減少させるものである。
そこで本実施の形態では、電鋳工程を繰り返すことによってアシンメトリが上昇してしまうマスタースタンパについて、エッチング処理を施し、アシンメトリ値を減少させるものである。
[2.ディスク製造工程]
図1(a)(b)に、BD−ROMの通常の製造工程と、実施の形態の製造工程を示す。
まず光ディスク(BD−ROM)の通常の製造工程を図1(a)で説明する。
製造工程は、大きく分けて図1(a)に示すように、
ステップST1:原盤製造工程
ステップST2:ニッケル電気メッキ工程
ステップST3:射出成形工程
ステップST4:層構造形成工程
から成る。
図1(a)(b)に、BD−ROMの通常の製造工程と、実施の形態の製造工程を示す。
まず光ディスク(BD−ROM)の通常の製造工程を図1(a)で説明する。
製造工程は、大きく分けて図1(a)に示すように、
ステップST1:原盤製造工程
ステップST2:ニッケル電気メッキ工程
ステップST3:射出成形工程
ステップST4:層構造形成工程
から成る。
ステップST1の原盤製造工程では、無機レジストを用いてヒートモードで露光し、原盤上にピットパターンを描く。そして現像処理を行って、露光部分が凹状のピットとなった原盤を作成する。
図2(a)〜(d)に原盤製造工程を模式的に示す。
図2(a)〜(d)に原盤製造工程を模式的に示す。
図2(a)はディスク原盤を構成する原盤基板100を示している。原盤基板100としては、例えばシリコンウェハ、石英ガラス等が用いられる。
この原盤基板100上に、スパッタリング法により図2(b)のように、蓄熱層101、無機レジスト層102を成膜する
次に図2(c)のように、マスタリング装置を利用して無機レジスト層102に記録信号パターンとしてのピット列に対応した選択的な露光を施し感光させる。
そして無機レジスト層102を有機アルカリ現像液により現像することによって、図2(d)のように所定の凹凸形状のピットパターン(凹状ピット及びスペースによるピット列形状)が形成された原盤103が生成される
この原盤基板100上に、スパッタリング法により図2(b)のように、蓄熱層101、無機レジスト層102を成膜する
次に図2(c)のように、マスタリング装置を利用して無機レジスト層102に記録信号パターンとしてのピット列に対応した選択的な露光を施し感光させる。
そして無機レジスト層102を有機アルカリ現像液により現像することによって、図2(d)のように所定の凹凸形状のピットパターン(凹状ピット及びスペースによるピット列形状)が形成された原盤103が生成される
この場合において、無機レジスト材料、無機レジスト層102の膜厚、さらにマスタリング装置で露光する際のレーザパワーやパルス幅を調節することで、形成される凹状ピットの深さやタンジェンシャル、ラディアル方向のピット幅を制御している。この原盤103上における凹状ピットの深さやピット幅等は、その後の転写により、最終製品である光ディスクにも、ほぼそのまま引き継がれることになる。
ステップST2のニッケル電気メッキ工程では、ステップST1で作られた原盤と凹凸が反転したスタンパを形成する。
即ち図2(e)のように、生成した原盤103の凹凸面上に、電鋳処理により金属ニッケル膜を析出させ、これをディスク原盤103から剥離させた後に所定の加工を施し、ディスク原盤103のピット列形状が転写された成型用のスタンパ104(マスタースタンパMa)を得る(図2(f))。スタンパ104ではピットに相当する部分が凸状となる。
即ち図2(e)のように、生成した原盤103の凹凸面上に、電鋳処理により金属ニッケル膜を析出させ、これをディスク原盤103から剥離させた後に所定の加工を施し、ディスク原盤103のピット列形状が転写された成型用のスタンパ104(マスタースタンパMa)を得る(図2(f))。スタンパ104ではピットに相当する部分が凸状となる。
なお、ディスク大量生産のためには、図7で述べたように、1回のニッケル電気メッキ工程で1枚のスタンパ104(マスタースタンパMa)を作成した後、その原盤103を用いて繰り返しニッケル電気メッキ工程を実行し、多数のマスタースタンパMaを作成する。
さらには、多数のマスタースタンパMaのそれぞれに対してメッキを行い、マスタースタンパMaと凹凸が反転したマザースタンパMTを作り、さらに、マザースタンパMTと凹凸が反転したサンスタンパSNを作り上げることもある。
この場合、多数のマスタースタンパMa又はサンスタンパSNを、それぞれ、図2に示す成型用のスタンパ104として用いることができる。
さらには、多数のマスタースタンパMaのそれぞれに対してメッキを行い、マスタースタンパMaと凹凸が反転したマザースタンパMTを作り、さらに、マザースタンパMTと凹凸が反転したサンスタンパSNを作り上げることもある。
この場合、多数のマスタースタンパMa又はサンスタンパSNを、それぞれ、図2に示す成型用のスタンパ104として用いることができる。
ステップST3の射出成形工程では、ニッケル電気メッキ工程で作られたスタンパ104(マスタースタンパMaもしくはサンスタンパSN)を用いて、凹凸が反転したプラスチックディスク基板を大量に成形する。
即ち金型内にスタンパを配置させた上、射出成形により、図2(g)に示すように、スタンパ104を用いて熱可塑性樹脂であるポリカーボネートからなる樹脂製ディスク基板105を成形する。そしてスタンパ104を剥離し、図2(h)に示すディスク基板105を作成する。ディスク基板105では、スタンパ104の凹凸形状が反転転写されたものとなる。即ち原盤103と同様、凹状ピットによるピット列が形成される。
即ち金型内にスタンパを配置させた上、射出成形により、図2(g)に示すように、スタンパ104を用いて熱可塑性樹脂であるポリカーボネートからなる樹脂製ディスク基板105を成形する。そしてスタンパ104を剥離し、図2(h)に示すディスク基板105を作成する。ディスク基板105では、スタンパ104の凹凸形状が反転転写されたものとなる。即ち原盤103と同様、凹状ピットによるピット列が形成される。
ステップST4の層構造形成工程では、射出成形により大量に生産されるディスク基板105のそれぞれに対し、所定の層構造を形成していく。
まず図2(i)のように、ディスク基板105の凹凸面、即ちスタンパ104から転写されたピット列形状の面に、Ag又はAg合金を用いたスパッタ成膜により反射膜106を成膜する。凹凸のピット列形状及び反射膜106により記録層L0が形成される。
そして図2(j)のように、記録層のレーザ入射面側に、例えば紫外線硬化型樹脂のスピンコート及び紫外線硬化による手法、或いはシート貼付の手法等で、カバー層109を生成する。これにより再生専用型の光ディスク(BD−ROM)が製造される。
なお、カバー層109の表面にさらにハードコート層を形成したり、ディスク基板側105の表面(レーベル印刷面側)に防湿膜を形成する場合もある。
まず図2(i)のように、ディスク基板105の凹凸面、即ちスタンパ104から転写されたピット列形状の面に、Ag又はAg合金を用いたスパッタ成膜により反射膜106を成膜する。凹凸のピット列形状及び反射膜106により記録層L0が形成される。
そして図2(j)のように、記録層のレーザ入射面側に、例えば紫外線硬化型樹脂のスピンコート及び紫外線硬化による手法、或いはシート貼付の手法等で、カバー層109を生成する。これにより再生専用型の光ディスク(BD−ROM)が製造される。
なお、カバー層109の表面にさらにハードコート層を形成したり、ディスク基板側105の表面(レーベル印刷面側)に防湿膜を形成する場合もある。
以上の工程により、図2(j)のように、記録層L0を備えた1層ディスクとしてのBD−ROMが製造される。2層ディスクの場合は、図3のような工程を経る。
図3(a)(b)(c)は、図1(a)のステップST3の射出成形工程を示しており、ここまでは図2と同様である。ここで、射出成形工程で用いるスタンパは第1の記録層L0としてのピットパターンが形成されたスタンパ104(L0)である。従って作成されるディスク基板105は、第1の記録層L0としての凹凸形状が転写されたものとなる。
図3(a)(b)(c)は、図1(a)のステップST3の射出成形工程を示しており、ここまでは図2と同様である。ここで、射出成形工程で用いるスタンパは第1の記録層L0としてのピットパターンが形成されたスタンパ104(L0)である。従って作成されるディスク基板105は、第1の記録層L0としての凹凸形状が転写されたものとなる。
2層ディスクを製造する場合、ステップST4の層構造形成工程において、複数の記録層を形成する。
まず図3(d)のように、ディスク基板105の凹凸面、即ちスタンパ104(L0)から転写されたピット列形状の面に、Ag又はAg合金を用いたスパッタ成膜により反射膜106を成膜する。凹凸のピット列形状及び反射膜106により第1の記録層L0が形成される。
次に図3(e)のように、例えばスピンコートにより、記録層L0上に、中間層110となる紫外線硬化型樹脂を展延する。そして図3(f)のスタンパ104(L1)を、図3(g)のように紫外線硬化型樹脂に圧着させ、この状態で紫外線照射により中間層110を硬化させる。その後、スタンパ104(L1)を剥離する。
スタンパ104(L1)は第2の記録層L1としてのピットパターンが形成されたスタンパである。従ったスタンパ剥離後の図3(h)のディスク基板105には、第2の記録層L1としての凹凸形状が転写されたものとなる。
まず図3(d)のように、ディスク基板105の凹凸面、即ちスタンパ104(L0)から転写されたピット列形状の面に、Ag又はAg合金を用いたスパッタ成膜により反射膜106を成膜する。凹凸のピット列形状及び反射膜106により第1の記録層L0が形成される。
次に図3(e)のように、例えばスピンコートにより、記録層L0上に、中間層110となる紫外線硬化型樹脂を展延する。そして図3(f)のスタンパ104(L1)を、図3(g)のように紫外線硬化型樹脂に圧着させ、この状態で紫外線照射により中間層110を硬化させる。その後、スタンパ104(L1)を剥離する。
スタンパ104(L1)は第2の記録層L1としてのピットパターンが形成されたスタンパである。従ったスタンパ剥離後の図3(h)のディスク基板105には、第2の記録層L1としての凹凸形状が転写されたものとなる。
その後図3(i)のように、スタンパ104(L1)から転写されたピット列形状の面に、半透過反射膜111をスパッタ成膜する。これにより第2の記録層L1が形成される。
そして図3(j)のように、記録層のレーザ入射面側に、例えば紫外線硬化型樹脂のスピンコート及び紫外線硬化による手法等で、カバー層109を生成する。これにより2層ディスクとしてのBD−ROMが製造される。
なお、この場合も、カバー層109の表面にさらにハードコート層を形成したり、ディスク基板側105の表面(レーベル印刷面側)に防湿膜を形成する場合もある。
また、3層以上の記録層を有する光ディスクを製造する場合は、図3(e)〜(i)の工程が、繰り返される。
そして図3(j)のように、記録層のレーザ入射面側に、例えば紫外線硬化型樹脂のスピンコート及び紫外線硬化による手法等で、カバー層109を生成する。これにより2層ディスクとしてのBD−ROMが製造される。
なお、この場合も、カバー層109の表面にさらにハードコート層を形成したり、ディスク基板側105の表面(レーベル印刷面側)に防湿膜を形成する場合もある。
また、3層以上の記録層を有する光ディスクを製造する場合は、図3(e)〜(i)の工程が、繰り返される。
実施の形態のディスク製造工程は図1(b)に示されるが、ステップST1,ST2,ST3,ST4は、以上の通常工程の場合と同様に行われる。
但し、この図1(b)の工程では、ニッケル電気メッキ工程で作成されたスタンパ104(マスタースタンパMa)につき、ステップST2−2として示すスタンパエッチング工程が行われる。
但し、この図1(b)の工程では、ニッケル電気メッキ工程で作成されたスタンパ104(マスタースタンパMa)につき、ステップST2−2として示すスタンパエッチング工程が行われる。
例えばステップST2のニッケル電気メッキ工程は、1枚の原盤103を用いて複数回繰り返し行うことで、多数のマスタースタンパMaを作成する。
その場合に、所定枚数目以降に作成されたマスタースタンパMaについては、この図1(b)に示すように、スタンパエッチング工程(ST2−2)が行われることになる。
これは、所定枚数目以降のマスタースタンパMaは、そのままではアシンメトリ値の上昇により実用に適さないものとなるところ、エッチング処理でアシンメトリ値を低下させるものである。
その場合に、所定枚数目以降に作成されたマスタースタンパMaについては、この図1(b)に示すように、スタンパエッチング工程(ST2−2)が行われることになる。
これは、所定枚数目以降のマスタースタンパMaは、そのままではアシンメトリ値の上昇により実用に適さないものとなるところ、エッチング処理でアシンメトリ値を低下させるものである。
つまり、例えばディスク製造工場での全体での製造工程として、1枚目、2枚目等の、初期に作成されたマスタースタンパMaに着目してみると、ディスク製造工程は図1(a)のようになる。一方、例えば3枚目以降など、所定枚数目以降のマスタースタンパMaに着目すれば、ディスク製造工程は図1(b)のようになるものである。
実際の製造工場では、多数のマスタースタンパMa又はサンスタンパSNが、図2(g)、図3(b)のように射出成形の際の転写用のスタンパ104(又は104(L0))として使用される。
このスタンパ104(又は104(L0))としてのマスタースタンパMaは、スタンパエッチングを経たものと経ないものが、それぞれ並行して用いられることになる。つまり図1(a)の工程で製造される光ディスクと図1(b)の工程で製造される光ディスクが並存する。
サンスタンパSNを用いる場合については、スタンパエッチングを経たマスタースタンパMaを元に作成されたものと、スタンパエッチングを経ないマスタースタンパMaを元に作成されたものとが、それぞれ並行して用いられる。
また、図3(f)(e)に示す、第2の記録層L1の成形のためのスタンパ104(L1)も同様である。スタンパ104(L1)としてのマスタースタンパMaは、スタンパエッチングを経たものと経ないものが、それぞれ並行して用いられる。サンスタンパSNの場合については、スタンパエッチングを経たマスタースタンパMaを元に作成されたものと、スタンパエッチングを経ないマスタースタンパMaを元に作成されたものとが、それぞれ並行して用いられる。
以下、スタンパエッチングについて詳述する。
このスタンパ104(又は104(L0))としてのマスタースタンパMaは、スタンパエッチングを経たものと経ないものが、それぞれ並行して用いられることになる。つまり図1(a)の工程で製造される光ディスクと図1(b)の工程で製造される光ディスクが並存する。
サンスタンパSNを用いる場合については、スタンパエッチングを経たマスタースタンパMaを元に作成されたものと、スタンパエッチングを経ないマスタースタンパMaを元に作成されたものとが、それぞれ並行して用いられる。
また、図3(f)(e)に示す、第2の記録層L1の成形のためのスタンパ104(L1)も同様である。スタンパ104(L1)としてのマスタースタンパMaは、スタンパエッチングを経たものと経ないものが、それぞれ並行して用いられる。サンスタンパSNの場合については、スタンパエッチングを経たマスタースタンパMaを元に作成されたものと、スタンパエッチングを経ないマスタースタンパMaを元に作成されたものとが、それぞれ並行して用いられる。
以下、スタンパエッチングについて詳述する。
[3.スタンパエッチング]
先に図9で、マスタースタンパMaの複製を繰り返すことで、後の方に複製されたマスタースタンパMaほど、凸ピット高さが低くなっていることを述べた。
そして図10(b)のように、光ディスクのアシンメトリ値に関しては、後の方に複製されたマスタースタンパMaを用いたものほど、値が上昇し、規格から外れることになる。
先に図9で、マスタースタンパMaの複製を繰り返すことで、後の方に複製されたマスタースタンパMaほど、凸ピット高さが低くなっていることを述べた。
そして図10(b)のように、光ディスクのアシンメトリ値に関しては、後の方に複製されたマスタースタンパMaを用いたものほど、値が上昇し、規格から外れることになる。
アシンメトリ値の悪化は次の理由による。
マスタースタンパMaの凸ピットのピット高さは、繰り返しの複製が進むことで、2Tピット等の短ピットも、8Tピット等の長ピットも、ほぼ同等に低くなっていく。
ピット高さが低くなる(最終製品のBD−ROMで言えば、ピット深さが浅くなる)と、各ピットに応じた信号振幅のボトムレベルが上昇する。
ところがMTFの関係で、ボトムレベルの上昇は、2Tピットでは小さく、長ピットほど大きくなる。
マスタースタンパMaの凸ピットのピット高さは、繰り返しの複製が進むことで、2Tピット等の短ピットも、8Tピット等の長ピットも、ほぼ同等に低くなっていく。
ピット高さが低くなる(最終製品のBD−ROMで言えば、ピット深さが浅くなる)と、各ピットに応じた信号振幅のボトムレベルが上昇する。
ところがMTFの関係で、ボトムレベルの上昇は、2Tピットでは小さく、長ピットほど大きくなる。
ここでアシンメトリは、
{(I8H+I8L)−(I2H+I2L)}/{2(I8H−I8L)}
で表される。
この式において、ボトムレベルの上昇とは、「I8L」「I2L」の上昇として表れるが、「I8L」の値の上昇率は、「I2L」の値の上昇率より顕著に大きいものとなる。その結果、上記式で表されるアシンメトリ値の上昇が発生する。
つまり、物理的には、2Tピットも8Tピットも、同程度にピット高さ(ピット深さ)が小さくなっていくが、再生信号上でみれば、8Tピットのボトムレベルの押し上げが顕著となり、その結果、アシンメトリ値が悪化する。
アシンメトリ値は8T信号と2T信号の中心軸のズレを意味しており、このアシンメトリ値の悪化は、再生信号の2値化処理を不安定化させることになる。
{(I8H+I8L)−(I2H+I2L)}/{2(I8H−I8L)}
で表される。
この式において、ボトムレベルの上昇とは、「I8L」「I2L」の上昇として表れるが、「I8L」の値の上昇率は、「I2L」の値の上昇率より顕著に大きいものとなる。その結果、上記式で表されるアシンメトリ値の上昇が発生する。
つまり、物理的には、2Tピットも8Tピットも、同程度にピット高さ(ピット深さ)が小さくなっていくが、再生信号上でみれば、8Tピットのボトムレベルの押し上げが顕著となり、その結果、アシンメトリ値が悪化する。
アシンメトリ値は8T信号と2T信号の中心軸のズレを意味しており、このアシンメトリ値の悪化は、再生信号の2値化処理を不安定化させることになる。
このようにアシンメトリ値が悪化するマスタースタンパMaを、実使用に用いることができるようにするには、エッチング処理により、マスタースタンパMaの凸ピットの高さを適切に制御すればよい。
つまり、2Tピットの高さの縮小率が、8Tピットの高さの縮小率より大きくなるように、エッチング処理によりピット高さを加工する。
エッチング処理により、2Tピットの高さを、8Tピットに比べて多く削り、2Tピットの凸ピット高さの低下具合を、長ピットの高さの低下具合より大きくすると、2Tピットに対応する再生信号のボトムレベルの押し上げが大きくなる。つまり、上記式における「I2L」の値の上昇が大きくなる。即ちこれは、アシンメトリ値を低下させるように作用する。
つまり、2Tピットの高さの縮小率が、8Tピットの高さの縮小率より大きくなるように、エッチング処理によりピット高さを加工する。
エッチング処理により、2Tピットの高さを、8Tピットに比べて多く削り、2Tピットの凸ピット高さの低下具合を、長ピットの高さの低下具合より大きくすると、2Tピットに対応する再生信号のボトムレベルの押し上げが大きくなる。つまり、上記式における「I2L」の値の上昇が大きくなる。即ちこれは、アシンメトリ値を低下させるように作用する。
以下に実験例を示しつつ説明していく。
今回用いたエッチング装置は、日本ビクター社製「IE−500」でワーキングディスタンスは40mmである。処理内容は
(1)Arガス10Pa雰囲気中に、150W電力を30sec投入するRF放電を行う。
(2)O2ガス10Pa雰囲気中に、150W電力を30sec投入するRF放電を行う。
今回用いたエッチング装置は、日本ビクター社製「IE−500」でワーキングディスタンスは40mmである。処理内容は
(1)Arガス10Pa雰囲気中に、150W電力を30sec投入するRF放電を行う。
(2)O2ガス10Pa雰囲気中に、150W電力を30sec投入するRF放電を行う。
この(1)(2)の順に処理を行い、これを1セットとした。
なお上記(2)の酸素プラズマによるドライエッチングは洗浄を目的としており、ターゲット表面に付着した微粒子を酸化物として吹き飛ばしている。これは酸素の活性作用を利用しているため、有機物の除去に有効である(CO2として吹き飛ばす作用がある)。
この酸素プラズマによるドライエッチングは、必須の工程ではない。アシンメトリ値の改善のためには、上記(1)のアルゴンプラズマによるドライエッチングが少なくとも行われればよい。但し、酸素プラズマによるドライエッチングによる洗浄効果により、より品質の良いスタンパを作成できる。
なお上記(2)の酸素プラズマによるドライエッチングは洗浄を目的としており、ターゲット表面に付着した微粒子を酸化物として吹き飛ばしている。これは酸素の活性作用を利用しているため、有機物の除去に有効である(CO2として吹き飛ばす作用がある)。
この酸素プラズマによるドライエッチングは、必須の工程ではない。アシンメトリ値の改善のためには、上記(1)のアルゴンプラズマによるドライエッチングが少なくとも行われればよい。但し、酸素プラズマによるドライエッチングによる洗浄効果により、より品質の良いスタンパを作成できる。
上記(1)のアルゴンプラズマによるドライエッチングでは、ターゲットのスパッタリングを行っている。
この工程でターゲット(即ち本例ではマスタースタンパMa)を、任意の形状に加工することになる。
一般にプラズマ原子の質量が重いほどスパッタ効率(ターゲットのスパッタ量)が増大するため、安価かつ希ガスで安定したAr(原子量40)がよく用いられる。
なお、ここではアルゴンガスを用いているが、例えばキセノンガス、クリプトンガスなどを用いることも考えられる。
この工程でターゲット(即ち本例ではマスタースタンパMa)を、任意の形状に加工することになる。
一般にプラズマ原子の質量が重いほどスパッタ効率(ターゲットのスパッタ量)が増大するため、安価かつ希ガスで安定したAr(原子量40)がよく用いられる。
なお、ここではアルゴンガスを用いているが、例えばキセノンガス、クリプトンガスなどを用いることも考えられる。
通常、プラズマを用いたドライエッチングは放電電離したイオンがターゲットを均一にたたき、表面に堆積した物質を一定厚さ削りだすものである。
しかし、表面に凹凸を有するターゲット(スタンパ上の凸ピット)に電界が印加されると形状変化の激しい部分(ピットエッジ部、2T等の短ピット自体など)に電界が集中し、イオンの衝突頻度が局所的に増大する。
これを利用することで、ピットの高さを任意に制御することができる。
しかし、表面に凹凸を有するターゲット(スタンパ上の凸ピット)に電界が印加されると形状変化の激しい部分(ピットエッジ部、2T等の短ピット自体など)に電界が集中し、イオンの衝突頻度が局所的に増大する。
これを利用することで、ピットの高さを任意に制御することができる。
この概念図を図4に示す。
平行平板内に電界Eが印加されると、平板に平行な等電位面(破線で示す)が形成される。しかし、図のように極板(つまりニッケルスタンパ側)が凹凸を有する場合、その形状の沿った形の等電位面が形成される。
電界の方向を示す電気力線(図中「→」で示す)は等電位面に垂直に進む。そして荷電粒子はこの電気力線に沿って加速していく。
よって、形状変化の激しい短ピットは等電位面の曲率が大きく、電気力線の曲げが激しくなり、より多くの荷電粒子が集中的に衝突することになる。
これによって、短ピットと長ピットの相対的な削り量を制御することが出来る。
平行平板内に電界Eが印加されると、平板に平行な等電位面(破線で示す)が形成される。しかし、図のように極板(つまりニッケルスタンパ側)が凹凸を有する場合、その形状の沿った形の等電位面が形成される。
電界の方向を示す電気力線(図中「→」で示す)は等電位面に垂直に進む。そして荷電粒子はこの電気力線に沿って加速していく。
よって、形状変化の激しい短ピットは等電位面の曲率が大きく、電気力線の曲げが激しくなり、より多くの荷電粒子が集中的に衝突することになる。
これによって、短ピットと長ピットの相対的な削り量を制御することが出来る。
原盤からニッケル電気メッキ工程を経て得たマスタースタンパで射出成形したポリカーボネート樹脂のディスク基板の観察像を図5(a)に示す。また、同マスタースタンパについてエッチング処理を行ったものから射出成形したディスク基板の観察像を図5(b)に示す。なお、これらはAFM観察像としてのピット凹凸面の表面、及び長ピットと2Tピットの断面を図面化したものである。
図5(a)の未エッチングスタンパから作成したディスク基板では、長ピットの深さは63nm、2Tピットの深さは49nmであった。
一方、図5(b)のようにエッチング処理後のスタンパから作成したディスク基板では、長ピットの深さは58nm、2Tピットの深さは42nmであった。
これらのことから、エッチング処理にスタンパの凸状ピットを削る効果があることが確認できる。
また、長ピットでは、5nm程度の削れが生じたのに対し、2Tピットでは7nm程度の削れが生じている。
これは形状が急峻に変化する部位に電界が集中し、Arイオンの衝突が局所的に増大したことで、ピットが縮小する方向に作用したものである。
特に2Tのピットはラディアル方向にもタンジェンシャル方向にも形状の変化が急峻であるため、電界が局所集中しやすく、プラズマ衝突が頻繁に起こると予想でき、その結果、相対的に縮小率が著しくなる。
一方、図5(b)のようにエッチング処理後のスタンパから作成したディスク基板では、長ピットの深さは58nm、2Tピットの深さは42nmであった。
これらのことから、エッチング処理にスタンパの凸状ピットを削る効果があることが確認できる。
また、長ピットでは、5nm程度の削れが生じたのに対し、2Tピットでは7nm程度の削れが生じている。
これは形状が急峻に変化する部位に電界が集中し、Arイオンの衝突が局所的に増大したことで、ピットが縮小する方向に作用したものである。
特に2Tのピットはラディアル方向にもタンジェンシャル方向にも形状の変化が急峻であるため、電界が局所集中しやすく、プラズマ衝突が頻繁に起こると予想でき、その結果、相対的に縮小率が著しくなる。
この効果を利用して、ニッケル電気メッキ工程を重ねることでピット形状が変化し、アシンメトリ値が規格外になったマスタースタンパMaに対して、2Tピットを相対的に小さく加工し、アシンメトリ値を下げることができる。
エッチング処理を施したスタンパを用いた光ディスクと、未エッチングのスタンパを用いた光ディスクにおけるジッター及びアシンメトリの測定結果を図6(a)(b)に示す。
なお、実験では4種類のマスタリングパワーのものをそれぞれ測定した。
即ち、原盤製造工程におけるレーザパワーを4段階に変化させて、それぞれ初期ピット形状が異なる4種類のスタンパを作成した。
そして、各スタンパについて、エッチング前後において作成した2枚の光ディスクを測定対象とした。「d1」は最もマスタリングパワーを低くした場合のスタンパによる、エッチング前後をそれぞれ元とする2枚のディスクであり、「d4」は最もマスタリングパワーを高くした場合のスタンパによる、エッチング前後をそれぞれ元とする2枚のディスクの測定結果である。○がエッチング後のスタンパから作成した光ディスクの特性値、×がエッチング前のスタンパから作成した光ディスクの特性値を示す。それぞれ反射膜にはAg合金を用いた。
なお、図5に示したAFM画像は、「d2」に相当するエッチング前後のスタンパから作成した光ディスクのものである。
なお、実験では4種類のマスタリングパワーのものをそれぞれ測定した。
即ち、原盤製造工程におけるレーザパワーを4段階に変化させて、それぞれ初期ピット形状が異なる4種類のスタンパを作成した。
そして、各スタンパについて、エッチング前後において作成した2枚の光ディスクを測定対象とした。「d1」は最もマスタリングパワーを低くした場合のスタンパによる、エッチング前後をそれぞれ元とする2枚のディスクであり、「d4」は最もマスタリングパワーを高くした場合のスタンパによる、エッチング前後をそれぞれ元とする2枚のディスクの測定結果である。○がエッチング後のスタンパから作成した光ディスクの特性値、×がエッチング前のスタンパから作成した光ディスクの特性値を示す。それぞれ反射膜にはAg合金を用いた。
なお、図5に示したAFM画像は、「d2」に相当するエッチング前後のスタンパから作成した光ディスクのものである。
まず図6(a)から、ジッターに関しては、エッチング処理による悪影響は無いことがわかる。
そして図6(b)から、エッチング処理を施すことで、初期ピット形状に関わらず、アシンメトリ値を約3〜5%程度減少させることができることが確認できる。
以上のことから、仮にアシンメトリが15%以上となり規格からはずれたマスタースタンパが作成されたとしても、エッチング処理により、ジッターの劣化を伴うことなく、アシンメトリを規格内の数値にすることが可能であることがわかる。
そして図6(b)から、エッチング処理を施すことで、初期ピット形状に関わらず、アシンメトリ値を約3〜5%程度減少させることができることが確認できる。
以上のことから、仮にアシンメトリが15%以上となり規格からはずれたマスタースタンパが作成されたとしても、エッチング処理により、ジッターの劣化を伴うことなく、アシンメトリを規格内の数値にすることが可能であることがわかる。
これまでの説明から理解されるように、原盤から多数枚のマスタースタンパMaを複製していった場合に、後の方のマスタースタンパMaでアシンメトリ値が規格外となっても、エッチング処理工程を付加することで、アシンメトリ値を規格内とすることができる。
つまり、マスタースタンパの大量複製によるアシンメトリ値の増加という問題を解決することができ、多数のマスタースタンパMaを実際の射出成形での使用(もしくはマザースタンパMT、サンスタンパSNの作成のための使用)に用いることができる。
従って、同一タイトルの原盤を再びマスタリングする工程を省略することができる。
また、複製されるマスタースタンパMaの最初の数枚は、アシンメトリ値は規格にスペックインするため、それらについてはエッチング処理工程を必要としない。
これらのことから、全体のディスク製造工程において、生産性を著しく向上させることができる。
つまり、マスタースタンパの大量複製によるアシンメトリ値の増加という問題を解決することができ、多数のマスタースタンパMaを実際の射出成形での使用(もしくはマザースタンパMT、サンスタンパSNの作成のための使用)に用いることができる。
従って、同一タイトルの原盤を再びマスタリングする工程を省略することができる。
また、複製されるマスタースタンパMaの最初の数枚は、アシンメトリ値は規格にスペックインするため、それらについてはエッチング処理工程を必要としない。
これらのことから、全体のディスク製造工程において、生産性を著しく向上させることができる。
また、図3で説明した2層ディスク(或いは3層以上のディスク)の場合に、各記録層の凹凸を形成するためのスタンパについても、アシンメトリ値の悪化が生ずる複製段階のものについては、エッチング処理を施して使用する。これにより複数層ディスクの製造が効率的に実行可能となる。
なお、以上の実施の形態では、マスタースタンパMaにエッチング処理を施すものとして説明してきたが、これは、原盤からの繰り返しの複製の際に、原盤側のピット深さが浅くなることで、マスタースタンパMaにピット高さの低下が生ずることによる。
一方、マスタースタンパMa→マザースタンパMT→サンスタンパSNという、各ニッケルスタンパの複製工程では、繰り返しの複製によってピット高さ(深さ)の低下は生じにくい。しかしながら、例えばエッチング処理をしていないマスタースタンパMaを元として作成されたサンスタンパSNなどの場合において、アシンメトリ値の悪化が見込まれる場合は、そのサンスタンパSNについてエッチング処理を行うことも考えられる。
一方、マスタースタンパMa→マザースタンパMT→サンスタンパSNという、各ニッケルスタンパの複製工程では、繰り返しの複製によってピット高さ(深さ)の低下は生じにくい。しかしながら、例えばエッチング処理をしていないマスタースタンパMaを元として作成されたサンスタンパSNなどの場合において、アシンメトリ値の悪化が見込まれる場合は、そのサンスタンパSNについてエッチング処理を行うことも考えられる。
103 原盤、104,104(L0),104(L1) スタンパ、105 ディスク基板、L0 第1の記録層、L1 第2の記録層
Claims (7)
- 無機レジスト層に、記録情報に基づいて凹状ピットによるピット列が形成された原盤を用い、電気メッキ処理により、上記凹状ピットに対応する凸状ピットが形成されたスタンパを製造するスタンパ形成工程と、
上記スタンパの上記凸状ピットについて、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程と、
を有するスタンパ製造方法。 - 上記エッチング工程は、アルゴンプラズマを用いたドライエッチングとして行う請求項1に記載のスタンパ製造方法。
- 上記エッチング工程では、アルゴンプラズマを用いたドライエッチングの後に、酸素プラズマを用いたドライエッチングを行う請求項2に記載のスタンパ製造方法。
- 原盤基板の無機レジスト層に対して、記録情報に基づいた記録レーザ光照射により、ピットパターンの露光を行い、上記露光後に現像処理を行うことで、上記無機レジスト層に記録情報に基づいて凹状ピットによるピット列が形成された原盤を製造する原盤製造工程と、
上記原盤を用い、電気メッキ処理により、上記凹状ピットに対応する凸状ピットが形成されたスタンパを製造するスタンパ形成工程と、
上記スタンパの上記凸状ピットについて、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記スタンパに対してエッチング処理を行うエッチング工程と、
上記エッチング工程を経た上記スタンパを用い、上記凸状ピットに対応する凹状ピットが転写されたディスク基板を作成するディスク基板作成工程と、
上記ディスク基板上に、所定の層構造を形成して再生専用型光ディスクを製造する層構造形成工程と、
を有する再生専用型光ディスク製造方法。 - 上記層構造形成工程では、
上記ディスク基板の、上記エッチング工程を経た上記スタンパから転写された、上記凹状ピットによるピット列が形成された面に反射膜を成膜して記録層とし、該記録層上にカバー層を形成する請求項4に記載の再生専用型光ディスク製造方法。 - 上記層構造形成工程では、
上記ディスク基板の、上記エッチング工程を経た上記スタンパから転写された、上記凹状ピットによるピット列が形成された面に反射膜を成膜して第1の記録層とした後、
さらに中間層を介して、上記原盤製造工程と、上記スタンパ形成工程と、上記エッチング工程とを経て製造された他のスタンパを用いたピット列転写と、半透過反射膜の成膜により、第2以降の記録層を形成し、
最後の記録層上にカバー層を形成する請求項4に記載の再生専用型光ディスク製造方法。 - 同一の情報内容の再生専用型光ディスクを大量生産する際の再生専用型光ディスク製造方法として、
原盤基板の無機レジスト層に対して、記録情報に基づいた記録レーザ光照射により、ピットパターンの露光を行い、上記露光後に現像処理を行うことで、上記無機レジスト層に記録情報に基づいて凹状ピットによるピット列が形成された原盤を製造し、
上記原盤を用いた複数回の電気メッキ処理により、上記原盤の凹状ピットに対応する凸状ピットが形成されたスタンパを複数個製造し、
上記原盤を用いての所定回数目以降の電気メッキ処理で形成されたスタンパを対象とし、当該対象のスタンパの上記凸状ピットについて、短ピットが長ピットよりもピット高さの縮小率が大きくなるように、上記対象のスタンパに対してエッチング処理を行い、
上記原盤から形成されたスタンパであって、上記エッチング処理を施したスタンパと上記エッチング処理を施していないスタンパを含む複数のスタンパのそれぞれを並行して用いて、スタンパの上記凸状ピットに対応する凹状ピットが転写されたディスク基板の作成及びディスク基板上への所定の層構造形成を行って、再生専用型光ディスクを製造する再生専用型光ディスク製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009009519A JP2010170587A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | スタンパ製造方法、再生専用型光ディスク製造方法 |
US12/689,602 US8278029B2 (en) | 2009-01-20 | 2010-01-19 | Stamper production method and read-only optical disc production method |
CN201010004687A CN101794599A (zh) | 2009-01-20 | 2010-01-20 | 压模制造方法以及只读光盘的制造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009009519A JP2010170587A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | スタンパ製造方法、再生専用型光ディスク製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010170587A true JP2010170587A (ja) | 2010-08-05 |
Family
ID=42337235
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009009519A Pending JP2010170587A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | スタンパ製造方法、再生専用型光ディスク製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US8278029B2 (ja) |
JP (1) | JP2010170587A (ja) |
CN (1) | CN101794599A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003009284A1 (en) * | 2001-07-18 | 2003-01-30 | Sony Corporation | Optical recording/reproducing meium-use substrate, production method for optical recording/reproducing medium producing stamper and optical recording/reprodcing medium producing stamper |
JP2003315988A (ja) * | 2002-02-22 | 2003-11-06 | Sony Corp | レジスト材料及び微細加工方法 |
JP2005100597A (ja) * | 2003-09-01 | 2005-04-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スタンパの製造方法、スタンパおよび光記録媒体 |
JP2008087476A (ja) * | 2006-09-06 | 2008-04-17 | Mitsubishi Kagaku Media Co Ltd | 光記録媒体 |
WO2008053999A1 (fr) * | 2006-11-02 | 2008-05-08 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Support d'enregistrement d'informations optique, procédé de fabrication de support d'enregistrement d'informations optique, et procédé de marquage bca (zone de découpage par rafale) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4610770B2 (ja) * | 2001-03-30 | 2011-01-12 | キヤノン株式会社 | 光ディスク原盤の製造方法 |
JP2003009284A (ja) | 2001-06-22 | 2003-01-10 | Sony Corp | スピーカ装置 |
KR20030093587A (ko) * | 2002-06-03 | 2003-12-11 | 삼성전자주식회사 | 재생전용 고밀도 광디스크 |
TWI261835B (en) * | 2002-11-20 | 2006-09-11 | Sony Corp | Method for producing a stamper used for producing an optical disc and optical disc producing method |
JP4678325B2 (ja) | 2006-04-18 | 2011-04-27 | ソニー株式会社 | 光ディスク原盤の製造方法 |
-
2009
- 2009-01-20 JP JP2009009519A patent/JP2010170587A/ja active Pending
-
2010
- 2010-01-19 US US12/689,602 patent/US8278029B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2010-01-20 CN CN201010004687A patent/CN101794599A/zh active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003009284A1 (en) * | 2001-07-18 | 2003-01-30 | Sony Corporation | Optical recording/reproducing meium-use substrate, production method for optical recording/reproducing medium producing stamper and optical recording/reprodcing medium producing stamper |
JP2003315988A (ja) * | 2002-02-22 | 2003-11-06 | Sony Corp | レジスト材料及び微細加工方法 |
JP2005100597A (ja) * | 2003-09-01 | 2005-04-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スタンパの製造方法、スタンパおよび光記録媒体 |
JP2008087476A (ja) * | 2006-09-06 | 2008-04-17 | Mitsubishi Kagaku Media Co Ltd | 光記録媒体 |
WO2008053999A1 (fr) * | 2006-11-02 | 2008-05-08 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Support d'enregistrement d'informations optique, procédé de fabrication de support d'enregistrement d'informations optique, et procédé de marquage bca (zone de découpage par rafale) |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN101794599A (zh) | 2010-08-04 |
US8278029B2 (en) | 2012-10-02 |
US20100183986A1 (en) | 2010-07-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6814897B2 (en) | Method for manufacturing a molding tool used for substrate molding | |
US20010028936A1 (en) | Method for manufacturing master substrate used for manufacturing grooved molding substrate, method for manufacturing stamper for manufacturing grooved molding substrate, method for manufacturing grooved molding substrate, grooved molding substrate, memory medium, memory device, and computer | |
JPH08306069A (ja) | 光ディスクおよび光ディスクの製造方法 | |
KR101058031B1 (ko) | 고밀도 기록 매체 형성 방법, 패턴 형성 방법 및 그 기록매체 | |
JP5325458B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2000280255A (ja) | 原盤の製造方法 | |
WO2003105145A1 (ja) | フォトレジスト原盤の製造方法、光記録媒体製造用スタンパの製造方法、スタンパ、フォトレジスト原盤、スタンパ中間体及び光記録媒体 | |
US8767520B2 (en) | Method of producing recording medium, and recording medium | |
JP2010170587A (ja) | スタンパ製造方法、再生専用型光ディスク製造方法 | |
JP2004046997A (ja) | 光ディスク及びスタンパー | |
JPH09115190A (ja) | 光ディスク用スタンパの製造方法 | |
JP4333576B2 (ja) | 光ディスク原盤およびその製造方法並びに光ディスクスタンパの製造方法 | |
JP2004136692A (ja) | 金属製第3成形型を大量に製造する方法、樹脂基板を製造する方法及び樹脂基板 | |
JP2010118121A (ja) | 光ディスク用原盤の製造方法、光ディスク用原盤、スタンパ、及び光ディスク | |
JPWO2004025630A1 (ja) | 光記録媒体とその製造方法 | |
JP4463224B2 (ja) | 凸構造基体とその製造方法、凸構造基体からなる記録媒体用原盤とその製造方法 | |
JP2009259368A (ja) | 光ディスク製造方法、ディスク原盤製造方法、光ディスク | |
JPH11333885A (ja) | ファザ―・スタンパ―の大量製造方法 | |
JP2002184032A (ja) | 光ディスクおよびその製造方法 | |
JPH10312585A (ja) | 光学記録媒体作製用スタンパ、スタンパ用原盤、および光学記録媒体の製造方法 | |
JPH10241214A (ja) | 光ディスク用スタンパーの製造方法 | |
JP4333624B2 (ja) | 光記録媒体の製造方法 | |
JP2005203032A (ja) | 多層構造光記録媒体の製造方法及び光透過性スタンパ | |
JP2010015637A (ja) | 光ディスクへのバーコード状マークの記録方法および光ディスク | |
JP2008140469A (ja) | 光ディスク用原盤の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101025 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101102 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110301 |