JP2010163791A - ユニット式建物の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】増改築が迅速に行われ、防水上及び防犯上良好なユニット式建物の増改築方法の提供。
【解決手段】それぞれ直方体状の骨組み14を有する複数の建物ユニット31〜36の一部の建物ユニットを、その骨組み14に外壁パネル3Aを着脱自在に取り付けた増改築対応建物ユニット31とし、増改築時には、この増改築対応建物ユニット31の外壁パネル3Aに対向した位置において増築用の建物ユニット6を離し置きし、その後、増改築対応建物ユニット31の外壁パネル3Aを取り外し、この外壁パネル3Aを取り外した増改築用建物ユニット31と増築用の建物ユニット6との間に閉塞外壁パネル71、閉塞天井パネル72及び閉塞床パネル73を配置し、増築用の建物ユニット6、閉塞外壁パネル71、閉塞天井パネル72、閉塞床パネル73及び増改築対応建物ユニット31の内装工事を行うようにした。
【選択図】図5
Description
このユニット式建物では、上下左右に配置された建物ユニット同士は接続プレートやピン等によって互い連結固定されており、ユニット式建物の外周には外壁が取り付けられている。このようなユニット式建物では、既存の建物に新たな増改築用の建物ユニットを取り付けるには両建物ユニットの接合がしにくく、増改築は困難であった。
そこで、複数の建物ユニットのうち1つの建物ユニットの外壁を取り外して開口部を形成し、この開口部に開口側面を合わせるように増築建物ユニットをクレーンで吊り下ろし、これらのユニットの互いに近接する上梁同士並びに下梁同士を板状の接合部材で連結固定したユニット式建物の増築方法の従来例がある(特許文献1)。
さらに、特許文献1で示される従来例では、既存の建物ユニットに増築建物ユニットを隣接配置しなければならないので、増築する際には、既存の建物側にある屋根の軒先に干渉しないように増築建物ユニットを慎重に吊り下ろさなければならず、この点からも、増改築作業に時間がかかる。
そのため、時間のかかる増築用の建物ユニットの設置後に、増改築対応用建物ユニットからの外壁パネルの取り外し作業、ジョイント部材設置作業を続けて行うから、増改築対応用建物ユニットで外壁パネルが取り外されて建物の内部が露出される時間が短くてすむ。従って、在来工法の増改築作業のようにシートで建物開口を覆うことがないので、防水上や防犯上の問題を解決することができる。そして、増築用の建物ユニットを増改築対応用建物ユニットから離し置きするから、増改築対応用建物ユニットの上方に屋根の軒先があったとしても、この軒先に干渉することなく増築用の建物ユニットをクレーンで吊り下げて設置することができるから、増改築作業を容易に行うことができる。
この構成の発明では、ジョイント部材をパネルで構成するから、ジョイント部材の輸送を省スペースで行うことができる他、パネルで接続されたユニットの間の空間を広くすることができるので、増改築部分の空間を広くすることができる。
この構成の発明では、骨組みにジョイント用パネルを仮固定することで、1台のトラックにジョイント用パネルと増築用の建物ユニットとを載せて同時に搬送することができるから、搬送効率を向上させることができる。
図1には本実施形態にかかるユニット式建物の概略構成が示されている。
図1において、ユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた6個の1階用の建物ユニット31〜36(図1では4個の建物ユニット31〜34のみ示す)と、これらの1階用の建物ユニット31〜36の上に配置された2階用の建物ユニット41〜46と、これらの2階用建物ユニット41〜46の上に配置された入母屋屋根5とを備えた建物である。これらの建物ユニット31〜36,41〜46は図示しない連結手段、例えば、プレートやボルト及びナットを介して互いに連結されている。1階用の建物ユニット31〜36のうち角部に配置された建物ユニットは増改築対応建物ユニット31とされる。この増改築対応建物ユニット31の長辺方向に面して増築用の建物ユニット6が配置可能とされる。
入母屋屋根5の軒先5Aは建物外周から外側に突出している。
図2に示される通り、増改築対応建物ユニット31は、四隅に立設された4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する各2本の長辺上梁12A及び短辺上梁12Bを含む上梁12と、柱10の下端間同士を結合する各2本の長辺下梁13A及び短辺下梁13Bを含む下梁13と、これらの梁12,13の端部同士を互いに接合する仕口11とを有する骨組み14を備えている。
ここで、長辺上梁12A、短辺上梁12B、長辺下梁13A及び短辺下梁13Bは、それぞれ上下のフランジ及びウェブを備えて断面コ字形とされた鋼材から形成されている。
このうち、外壁パネル3Aは骨組み14の柱10、長辺上梁12A及び長辺下梁13Aに対して図示しない取付金具で着脱自在に取り付けられている。つまり、取付金具と骨組み14や外壁パネル3Aとはボルト等によって取り付けられており、このボルトは増改築対応建物ユニット31が敷地に設置された後でも、ユニット内部の居室側から内壁材等を取り除くことによって操作可能であり、ボルトを操作することにより、外壁パネル3Aが取り外される。
建物ユニット32〜36、41〜46は、柱10及び梁12,13からなる骨組み14を備え、この骨組み14には外壁パネル3A,3Bや内壁材等が必要に応じて取り付けられている。なお、建物ユニット32〜36、41〜46は増改築対応建物ユニット31とは異なり、必ずしも、骨組み14に着脱自在に取り付けられることを要せず、固定された状態でもよい。
図3に示される通り、増築用の建物ユニット6は、柱10及び梁12,13からなる骨組み14を備え、この骨組み14にALCからなる外壁パネル3A,3Bが設けられ、その角部にコーナーパネル3Cが設けられている。骨組み14の下梁13には床パネル15が設けられている。
増築用の建物ユニット6は、その搬送時には増改築用建物ユニット31と増築用の建物ユニット6との間を接続するためのジョイント部材7が仮固定されている。
このジョイント部材7は、閉塞外壁パネル71と、閉塞天井パネル72と、閉塞床パネル73とからなるジョイント用パネルから構成されている。
閉塞外壁パネル71、閉塞天井パネル72及び閉塞床パネル73は、それぞれ幅寸法が増改築用建物ユニット31と増築用の建物ユニット6との間の寸法(離し置き寸法)に対応したものであり、増改築時には、増改築用建物ユニット31と増築用の建物ユニット6との骨組み14に連結される。なお、必要に応じて、増改築対応建物ユニット31と増築用の建物ユニット6の骨組み14の間に連結梁(図示せず)を接続し、この連結梁にこれらのパネル71〜73を連結する構成としてもよい。
図4に示される通り、増築用の建物ユニット6の長辺側の側面には、閉塞外壁パネル71が仮固定用の取付治具81,82を介して骨組み14に仮固定される。天井側の取付治具81は長辺上梁12Aにボルト90で接合され、床側の取付治具82は、長辺下梁13Aにボルト90で接合されている。そして、これらの取付治具81,82に、閉塞外壁パネル71がボルト90で接合されている。
水平板部811は、長辺上梁12Aよりも外壁側に突出し、かつ、下フランジと重なる部分よりも低い段差部814を有する。この段差部814の上方には、長辺上梁12Aのウェブに断面矩形のスペーサ83が、その下端を下フランジよりも下方に突出した状態で固定されている。
鉛直板部812は、段差部814によって、ウェブよりも外壁側にオフセットした位置に設けられるとともに、埋込ナット84が閉塞外壁パネル71の裏面に予め埋設されている。
下側鉛直板部822は、長辺下梁13Aのウェブと重なる位置に設けられ、その下端には、断面L字形のパネル受け部825が張出部826を介して設けられている。パネル受け部825は、閉塞外壁パネル71の下端を受けるための部材である。
従って、閉塞外壁パネル71を上下の取付治具81,82に仮固定する際、まず、閉塞外壁パネル71を斜めの姿勢でパネル受け部825に下端を係止させ、次に、閉塞外壁パネル71を鉛直な姿勢に立てて裏面を上側鉛直板部821及び天井側の取付治具81の鉛直板部812に当接させ、最後に、閉塞外壁パネル71をボルト接合するという取付手順を採用できるようになっている。
以上の増築用の建物ユニット6及びジョイント部材7は工場にて製造され、トラックでの搬送時には増築用の建物ユニット6にジョイント部材7が仮固定される。
まず、図5(A)に示される通り、複数の建物ユニット31〜36や図5では図示を省略する建物ユニット41〜46等からユニット式建物1が予め施工されている。このユニット式建物1を増改築するために、増改築する部分に基礎2Aを施工し(図1参照)、その後、図5(B)に示される通り、ジョイント部材7が仮固定された増築用の建物ユニット6を増改築対応建物ユニット31に対して所定寸法離し置きする。この際、増改築対応建物ユニット31の外壁パネル3Aと増築用の建物ユニット6の閉塞外壁パネル71とが対向するようにする。
増築用の建物ユニット6を設置するにあたり、ジョイント部材7が仮固定された増築用の建物ユニット6をトラックからクレーンで吊り下げるが、この増築用の建物ユニット6の吊り下げ作業は、増築用の建物ユニット6が増改築対応建物ユニット31から離し置きされることから、ユニット式建物1の施工される入母屋屋根5の軒先5Aに衝突することなく容易に行える。
続いて、図5(D)に示される通り、増築用の建物ユニット6からジョイント部材7を外し、このジョイント部材7を増築用の建物ユニット6と増改築対応建物ユニット31との間の隙間に設置する。そのため、ジョイント部材7を構成する閉塞外壁パネル71、閉塞天井パネル72及び閉塞床パネル73を骨組み14から取り外し、これらのパネル71〜73を所定箇所に設置する。閉塞外壁パネル71が取り外されることで、増築用の建物ユニット6と増改築対応建物ユニット31との開口部同士が対向することになる。
この際、増改築対応建物ユニット31の梁12B,13Bと、増築用の建物ユニット6の梁12B,13Bとの間に連結梁75を設置し、この連結梁75に閉塞外壁パネル71の裏面側をボルト等で連結固定してもよい。また、閉塞天井パネル72を設置した後は、この閉塞天井パネル72の上部と、増築用の建物ユニット6の上部とをそれぞれ覆う屋根部(図示せず)の施工を行う。この屋根部の施工は通常と同様の手法で行う。
その後、増築用の建物ユニット6、ジョイント部材7及び増改築対応建物ユニット31の内装工事を行う。
(1)それぞれ直方体状の骨組み14を有する複数の建物ユニット31〜36,41〜46の一部の建物ユニットを、その骨組み14に外壁パネル3Aを着脱自在に取り付けた増改築対応建物ユニット31とし、増改築時には、この増改築対応建物ユニット31の外壁パネル3Aに対向した位置において増築用の建物ユニット6を離し置きし、その後、増改築対応建物ユニット31の外壁パネル3Aを取り外し、この外壁パネル3Aを取り外した増改築用建物ユニット31と増築用の建物ユニット6との間にジョイント部材7を配置し、増築用の建物ユニット6、ジョイント部材7及び増改築対応建物ユニット31の内装工事を行うようにした。そのため、時間のかかる増築用の建物ユニット6の設置後に、増改築対応建物ユニット31からの外壁パネル3Aを取り外し、続けて、ジョイント部材7を設置するから、増改築対応建物ユニット31で外壁パネル3Aが取り外されて建物の内部が露出される時間が短くてすむので、防水対策や防犯対策を確実なものにできる。加えて、増築用の建物ユニット6を増改築対応建物ユニット31から離し置きするから、増改築対応建物ユニット31の上方にある入母屋屋根5の軒先に干渉することなく増築用の建物ユニット6をクレーンで吊り下げることができる。そのため、増改築作業を容易に行うことができるから、この点からも、増改築作業を迅速に行うことができる。
例えば、前記実施形態では、建物ユニット31〜36,41〜46のうち1つの建物ユニットを増改築対応ユニット31としたが、本発明では、このユニットと隣接する建物ユニット32、並びに、この建物ユニット32に隣接する建物ユニット33を増改築対応ユニットとしてもよく、あるいは、全ての建物ユニットを増改築対応建物ユニットとしてもよい。
また、屋根は入母屋屋根5に限定されるものではなく、切り妻屋根、その他の屋根であってもよい。
Claims (3)
- 直方体状の骨組みを有する建物ユニットを水平方向に複数組み合わして施工されたユニット式建物を増改築する方法であって、
前記複数の建物ユニットの少なくとも一部の建物ユニットを、その骨組みに外壁パネルを着脱自在に取り付けた増改築対応用建物ユニットとし、増改築時には、前記増改築対応建物ユニットの外壁パネルに対向した位置において増築用の建物ユニットを離し置きし、その後、前記増改築対応建物ユニットの外壁パネルを取り外し、この外壁パネルを取り外した前記増改築用建物ユニットと前記増築用の建物ユニットとの間にジョイント部材を配置し、前記増築用の建物ユニット、前記ジョイント部材及び前記増改築対応建物ユニットの内装工事を行うことを特徴とするユニット式建物の施工方法。 - 請求項1に記載されたユニット式建物の施工方法において、
前記ジョイント部材は隣合う建物ユニットの骨組みに連結されるジョイント用パネルであることを特徴とするユニット式建物の施工方法。 - 請求項2に記載されたユニット式建物の施工方法において、
前記増築用の建物ユニット及び前記ジョイント用パネルを工場にて製造し、前記増築用の建物ユニットに前記ジョイント用パネルを仮固定した状態で輸送し、現場では、前記ジョイント用パネルを仮固定した前記増築用の建物ユニットを前記増改築対応建物ユニットに離し置きし、前記増築用の建物ユニットから前記ジョイント用パネルを外して前記増改築用建物ユニットと前記増築用の建物ユニットとの間に配置することを特徴とするユニット式建物の施工方法。
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