JP5172604B2 - ユニット式建物の施工方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載のユニット式建物は、複数の建物ユニットと、離し置きした建物ユニット同士の隙間を閉塞する複数の閉塞パネルとを有して構成される。建物ユニットには、必要に応じて外壁パネルが骨組みに取り付けられている。また、閉塞パネルは、縦枠および横枠で形成されるフレームと、フレームに取り付けられた外壁材とを有して構成される。これらの建物ユニットおよび閉塞パネルは、工場にて製造された後、トラック等で建設現場に搬送される。
一方、建物ユニットをトラックで搬送する技術として、例えば、特許文献2から特許文献4に開示された搬送方法が知られている。特許文献2には、開口部に縦枠と横枠とからなる開口枠を固定した建物ユニットの搬送方法が示されている。すなわち、工場にて開口枠の一部を本固定し、残りを仮固定した状態で、建設現場に搬送し、建設現場にて仮固定部分を解除して本固定する。このようにして開口枠を開口部に精度よく取り付けることができるというものである。
これらの特許文献2から特許文献4には、建物ユニット自体に直接設置される開口枠、ドア部、出窓などに関する搬送技術が開示されている。これに対して前述の閉塞パネルは、一対の建物ユニットの隙間に設置されるパネルであり、このような閉塞パネルを搬送する際に、特許文献2から特許文献4に開示された技術をそのまま用いることは困難であった。
この施工方法によれば、骨組みに閉塞用パネルを仮固定することで、1台のトラックに閉塞用パネルと建物ユニットとを載せて同時に搬送することができ、搬送効率を向上させることができる。
この施工方法によれば、閉塞用パネルと骨組みとを仮固定するためにボルトを用いることが可能となり、仮固定の作業と、建設現場での仮固定を解除する作業とを容易に実施できる。
この施工方法によれば、閉塞用パネルを取付治具を介して骨組みに仮固定するので、仮固定の作業を容易に実施できる。
この施工方法によれば、建設現場にて所定位置に設けられた建物ユニットから、閉塞用パネルを取り外して、離し置きされた建物ユニット同士の隙間に閉塞用パネルを取り付けることによって、建設現場での建物ユニットの設置作業の順番を変更することなく、建物ユニットおよび閉塞用パネルを順序よく効率的に組み立てることができる。
<ユニット式建物の全体構成>
図1は、本実施形態のユニット式建物1を示す全体斜視図である。
ユニット式建物1は、図1に示すように、基礎2の上に設けられた例えば6個の下階建物ユニット3からなる下階部4と、下階部4の下階建物ユニット3の上に載置された同じく6個の上階建物ユニット5からなる上階部6と、上階部6の上方に設けられる屋根部7とを備えて構成されている。
下階建物ユニット3および上階建物ユニット5は、それぞれ建物ユニット3,5の短辺方向に3個並べられ、短辺方向に直交する方向である建物ユニット3,5の長辺方向に2個並べられ、かつ、各建物ユニット3,5の短辺側の側面同士、および、長辺側の側面同士が対向するように配置されている。
なお、図1では、各階に6個の各建物ユニット3,5を配置した場合を示したが、本発明のユニット式建物1としては、6個に限らず複数の建物ユニット3,5を組み合わして建てられ、各建物ユニット3,5のうちの少なくとも2つを離し置きして形成されたものであればよい。例えば、図1のユニット式建物1において、長辺方向に並べられた3つの各建物ユニット3,5について各建物ユニット3,5間に離し置き部Aをそれぞれ形成したものでもよい。
下階建物ユニット3は、図2に示すように、四隅に立設される4本の柱10と、これらの柱10の上端間同士を結合する4本の天井梁11と、各柱10の下端間同士を結合する4本の床梁12とを含む略直方体状に形成された骨組み13を有している。
そして、天井梁11は各2本の長辺天井梁111(図4参照)および短辺天井梁112で構成され、床梁12は各2本の長辺床梁121(図4参照)および短辺床梁122で構成されている。2本の長辺天井梁111間、および2本の長辺床梁121間には、図示しないが、複数本の天井小梁、複数本の根太がそれぞれ架け渡されている。また、柱10と天井梁11および床梁12とは、仕口14を介して接続されている。
一方、外周ユニット3Aを除く2個の下階建物ユニット3は、建設現場で組み合わされた際に、長辺側の側面のいずれも外壁面にはならないように配置される内周ユニット3Bである。すなわち、内周ユニット3Bは、ユニット式建物1の内周に設置されるユニットであり、内周に設置されるとは、短辺方向において他の2個の下階建物ユニット3(本実施形態では外周ユニット3A)に挟まれて配置されることを示す。
離し置き部Aには、間隔寸法Lに応じた長さの連結梁(不図示)が配置され、この連結梁によって離し置きされた外周ユニット3Aおよび内周ユニット3Bが連結されている。
離し置き部Aには、図2に示すように、閉塞用パネルである2種類のALCパネル21(21A,21B)を利用して壁構造20が構築されている。
例えば、第1のALCパネル21Aは、一面の矩形板状の軽量気泡コンクリート製の板材(以下、ALC板と示す。)を外壁材として備え、窓などの開口部を有しないパネルである。このALCパネル21Aは、離し置き部Aの長辺方向に沿った一方の端部に配置される。第2のALCパネル21Bは、開口部を有する一面の矩形板状のALC板を外壁材として備え、離し置き部Aの長辺方向に沿った他方の端部に配置されるパネルである。これらのALCパネル21A,21Bは、離し置き部Aの隙間を閉塞して、内部に居室空間等を形成するために設けられる外壁パネルである。
第1のALCパネル21Aは、製造工場にて内周ユニット3Bに仮固定された状態で建設現場に搬入される。建設現場にて基礎2上の所定位置に載置された後、ALCパネル21Aは、内周ユニット3Bから取り外され、離し置き部Aの一端にて一対の柱10を跨ぐようにして配置され、柱10等にボルト接合される。
以降、内周ユニット3BにALCパネル21を仮固定する構造について、第1のALCパネル21Aおよび第2のALCパネル21Bの順に説明する。
図4は、第1のALCパネル21Aが仮固定された内周ユニット3Bの搬送時の状態を示す斜視図である。図5は、内周ユニット3Bの一部を切断した縦断面図であり、ALCパネル21Aの仮固定構造を示す。図6および図7は、天井梁側および床梁側の仮固定構造をそれぞれ示す分解斜視図である。
第1のALCパネル21Aは、図5に示すように、仮固定用の取付治具30(31,32)を介して骨組み13に仮固定される。すなわち、天井側の取付治具31および床側の取付治具32は、それぞれ長辺天井梁111および長辺床梁121にボルト接合されている。そして、これらの取付治具31,32に、第1のALCパネル21Aが直接固定されている。
なお、長辺天井梁111および長辺床梁121は、本実施形態では、それぞれ鉛直方向に沿ったウェブ113,123と、水平方向に沿った上フランジ114,124、下フランジ115,125とを有する断面コ字状の溝型鋼を構成部材としている。
水平板部311における下フランジ115と重なる部分には、ボルト孔315が形成されている。このボルト孔315に連通するボルト孔116が、長辺天井梁111の下フランジ115に形成されている。
以上のような天井側の取付治具31は、ボルト孔315およびボルト孔116に挿通したボルト33と、ナット34とを螺合することで、長辺天井梁111の下フランジ115にボルト接合される。骨組み13を組み立てた後に、取付治具31を長辺天井梁111に取り付ける場合、ウェブ113または上ウランジ114に固定するよりも、下フランジ115に固定する方が、低い取付位置となるので、取付治具31の取付作業が容易となる。
そして、鉛直板部312の長孔316に挿通したボルト24を、ALCパネル21Aの埋込ナット23に螺合することで、ALCパネル21Aは、取付治具31にボルト接合され、骨組み13に取り付けられるようになっている。
上側鉛直板部321には、水平方向に長い長孔327が形成されている。この長孔327に連通する位置に、埋込ナット23がALC板22の裏面に予め埋設されている。
パネル受け部325は、ALC板22の下端を受けるための部材であり、張出部326によってL字形の縦部材が上側鉛直板部321と同一平面上となるように、下側鉛直板部322よりも外壁側に張り出した位置に設けられている。従って、ALC板22を上下の取付治具31,32に仮固定する際、まず、ALC板22を斜めの姿勢でパネル受け部325に下端を係止させ、次に、ALC板22を鉛直な姿勢に立てて裏面を上側鉛直板部321および天井側の取付治具31の鉛直板部312に当接させ、最後に、ALC板22をボルト接合するという取付手順を採用できるようになっている。
続いて、内周ユニット3Bに開口部付きの第2のALCパネル21Bを仮固定する構造について説明する。
図8は、第2のALCパネル21Bが仮固定された内周ユニット3Bの搬送時の状態を示す斜視図である。図9は、内周ユニット3Bの一部を切断した縦断面図であり、ALCパネル21Bの仮固定構造を示す。図10および図11は、天井梁側および床梁側の仮固定構造をそれぞれ示す分解斜視図である。
第2のALCパネル21Bは、図9に示すように、縦枠271および横枠272を組み合せたフレーム27と、フレーム27に固定されたALC板26とを有する。ALC板26には、窓用の開口部が形成されている。フレーム27は、開口部の周りを囲うように縦枠271および横枠272を接合して形成され、開口部に設けられるサッシ窓などを支持する。第2のALCパネル21Bは開口部によって採光性または通気性を備えている。
なお、閉塞用パネルとしては、以上の2種類のALCパネル21A,21Bに限られず、例えば、開口部のないALC板に補強用のフレームを組み合せて構成されたALCパネルであってもよい。
そして、第1のALCパネル21A用の取付治具31,32と同様に、これら取付治具35,36によって、第2のALCパネル21Bが内周ユニット3Bに仮固定されるが、第2のALCパネル21Bのフレーム27と、骨組み13とが連結される点で相違する。
水平板部351は、下フランジ115に重なるように配置され、かつ、その外壁側の端部がスペーサ25に当接する位置に設けられている。また、水平板部351には、ボルト孔356(図10参照)が形成され、このボルト孔356に連通するボルト孔116が、長辺天井梁111の下フランジ115にも形成されている。
溝型部材353は、図10に示すように、外壁面に沿って鉛直に設けられ、溝型の底部となる鉛直板354と、溝型の両側部となる一対の側板355とを有し、一対の側板355が、一対の側板部352の内面に接合されている。
鉛直板354は、水平板部351の外壁側の端部よりも内側にオフセットした位置に設けられるとともに、水平方向に沿って形成された長孔357を有する。縦枠271には、長孔357に連通する位置に、ボルト孔273が形成されている。
上側鉛直板部361には、水平方向に長い長孔364が形成されている。フレーム27の横枠272には、長孔364に連通する位置に、ボルト孔274(図11参照)が形成されている。
下側鉛直板部362は、ウェブ123と重なる位置に設けられ、互いに連通するボルト孔365,126が形成されている。
従って、このような構成において、骨組みに取付治具をボルト接合するので、取付治具を容易に着脱できる。また、骨組みに取付治具を固定した状態で、取付治具に対してALCパネル21をボルト接合するので、ALCパネル21を容易に着脱できる。
次に、以上のようなユニット式建物1の施工方法を説明する。
まず、製造工場にて、下階建物ユニット3、上階建物ユニット5、および、ALCパネル21をそれぞれ製造する。各建物ユニット3,5のうち、外周ユニット3Aの長辺側の一方の面には、外壁パネルを固定する。また、適宜、建物ユニット3,5の短辺側にも、外壁パネル15を固定する。この際、外壁パネルを骨組み13にボルト接合する(製造工程)。
次に、各建物ユニット3,5のうち、長辺側の面に外壁パネル15が固定されていない内周ユニット3Bに、図4および図8に示すように、ALCパネル21を仮固定する。この際、図5および図9に示すように、内周ユニット3Bの骨組み13の外側に、ALCパネル21A,21Bを配置して上下の取付治具31,32,35,36を用いてボルト接合する(仮固定工程)。
建設現場にて、まず、下階建物ユニット3を基礎2上に載置固定し、下階部4を構築する。この際、図2に示すように、2つの外周ユニット3Aを内周ユニット3Bに対して離し置きして、離し置き部Aを形成する。そして、図3に示すように、ALCパネル21を内周ユニット3Bの骨組み13から取り外して、離し置き部Aの隙間にALCパネル21を設置する(現場施工工程)。
この現場施工工程にて、図1のように、仮固定されたALCパネル21は離し置き部Aの近くに配置されるので、効率よくALCパネル21を本設位置に移動させ、本固定できる。
このようにして、離し置き部Aに設置される閉塞用パネルを備えたユニット式建物1の施工が完了する。
一方、離し置き部Aを形成すると、ALCパネル21の数量分だけ搬送量が増加するので、従来の施工方法のように建物ユニット3,5とALCパネル21とを別々に搬送する場合には、搬送トラックの搬送回数が増加してしまう。
(1)内周ユニット3Bの骨組み13にALCパネル21を仮固定することで、1台のトラックにALCパネル21と内周ユニット3Bとを載せて同時に搬送することができ、搬送効率を向上させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、建物ユニットの長辺側の面に閉塞用パネルであるALCパネル21を仮固定したが、建物ユニットの短辺側の面に閉塞用パネルを仮固定してもよい。このようにすれば、内周ユニット3Bに限らず、長辺側に外壁パネルを固定した外周ユニット3A(長辺側の面が外壁面を構成する建物ユニットを示す。)に対しても、閉塞用パネルを仮固定して、効率よく搬送することができる。
また、離し置きされる建物ユニットの近くに配置される建物ユニットに閉塞用パネルを仮固定しても、同様の効果が得られる。
本発明の閉塞用パネルとしては、前記実施形態で説明した外壁材としてのALCパネル21に限られず、例えば、床パネルや天井パネルのように離し置き部Aに設置される各種パネルにも適用できる。
Claims (4)
- それぞれ柱、天井梁および床梁を含んで形成された略直方体状の骨組みを有する複数の建物ユニットを組み合わせて建てられるとともに、前記建物ユニットのうちの少なくとも2つを離し置きして、これら離し置きされた前記建物ユニットの隙間に閉塞用パネルを取り付けて構成されるユニット式建物の施工方法であって、
複数の前記建物ユニットおよび前記閉塞用パネルをそれぞれ製造して、複数の前記建物ユニットのうち、一部の前記建物ユニットの前記骨組みに外壁パネルを固定する製造工程と、
複数の前記建物ユニットのうち、前記外壁パネルが固定されていない前記建物ユニットの前記骨組みの外側に、前記閉塞用パネルを配置して、この閉塞用パネルを前記骨組みに仮固定する仮固定工程と、
前記閉塞用パネルを仮固定した建物ユニットをトラックの荷台に載せて建設現場まで搬送する搬送工程と、
前記閉塞用パネルを仮固定した前記建物ユニットおよび他の前記建物ユニットを建設現場で組み合せて、少なくとも2つの前記建物ユニットを離し置きするとともに、前記骨組みから前記閉塞用パネルを取り外して、離し置きした前記建物ユニットの隙間に前記閉塞用パネルを設置する現場施工工程と、
を備えたことを特徴とするユニット式建物の施工方法。 - 請求項1に記載のユニット式建物の施工方法において、
前記仮固定工程では、前記閉塞用パネルに埋設された埋込ナットと前記骨組みとをボルトで結合することを特徴とするユニット式建物の施工方法。 - 請求項1または請求項2に記載のユニット式建物の施工方法において、
前記仮固定工程では、前記天井梁および前記床梁にそれぞれ取付治具をボルトおよびナットで固定し、前記取付治具に前記閉塞用パネルをボルトで取り付けることを特徴とするユニット式建物の施工方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のユニット式建物の施工方法において、
前記仮固定工程では、離し置きする前記建物ユニット、または、離し置きする前記建物ユニットの近くに配置される前記建物ユニットに、前記閉塞用パネルを仮固定することを特徴とするユニット式建物の施工方法。
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