本発明の実施の形態を次のケース1ないし6の6つに分けて説明する。
[ケース1]
この発明にかかるシート状媒体後処理装置としては、シート状媒体に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有するものが含まれ、後処理の内容としては、押印、穴あけ、ステープル処理、そのほか、シート状媒体に何らかの加工を行なうものが含まれる。
このシート状媒体後処理装置にはシート状媒体処理装置が一体的に構成されている。当該シート状媒体後処理装置において、後処理実行有無の選択ができ、後処理実行が選択されたことにより後処理されたシート状媒体、或いは後処理実行が選択されなかったことにより後処理が行なわれなかったシート状媒体は、シート状媒体処理装置の仕分け機能及び揃え機能によってトレイ上に仕分けられた状態で揃えることができる。図1に本例にかかるシート状媒体後処理装置51の全体構成例を示す。
[ケース2]
この発明にかかるシート状媒体処理装置は、<1>単独の装置として構成することもできるし、<2>シート状媒体を排出する手段をもつ他の装置、例えば、揃え機能を有しない画像形成装置、揃え機能を有しないシート状媒体後処理装置等と一体的若しくは連結して組み合わせて用い、揃え機能によってシート状媒体をトレイ上に仕分けかつ、揃えることができる。ここでは<2>の装置を説明する。<1>の装置はケース6で併せて説明する。
[ケース3]
この発明にかかる揃え部材駆動装置は、前記ケース1、2のシート状媒体処理装置と一体的に構成することもできるし、単独の装置として構成することもできる。この揃え部材駆動装置は、前記ケース1、2におけるシート状媒体処理装置の主要部を構成するサブユニットとして有用であり、トレイ上に積載されたシート状媒体を1対の揃え部材で挟むようにして該シート状媒体の端面に接しさせ、該シート状端面を揃える揃え動作や、この揃え動作後に揃え部材をシート状媒体と干渉し得ない位置まで退避させる退避動作などを行なわせるための機械的な構成部分からなる。
[ケース4]
この発明にかかる仕分け揃え方法は、前記ケース1、2の揃え手段による揃え動作及び仕分け動作を組み合わせた、仕分け揃えを行なう手順に関する。この仕分け揃え方法は、CPUを用いた制御手段により実行することができる。
[ケース5]
この発明にかかる画像形成装置としては、シート状媒体に画像形成を行なう画像形成手段及び画像形成されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有するものが含まれる。
この画像形成装置に、前記ケース2の<1>又は<2>の態様でシート状媒体後処理装置を組み合わせて構成し、当該画像形成装置で画像形成され搬送手段により搬送され排出手段よりトレイ上に排出されたシート状媒体を、揃え手段によって仕分け、揃えるようにした画像形成装置である。
前記ケース2の<2>の態様で画像形成装置にシート状媒体処理装置を一体的に組み合わせて構成した例は図43に基き後述する。なお、前記ケース1における単独の装置としてのシート状媒体処理装置を画像形成装置に連結して組み合わせる例は、図44に基き後述するシート状媒体処理装置51'に単独の装置としてのシート状媒体処理を組み合わせた例に準じて構成する。
[ケース6]
この発明にかかる画像形成後処理装置は、仕分け揃え機能を有しない画像形成装置と、仕分け揃え機能を有しないシート状媒体後処理装置との組み合わせからなる画像形成後処理装置に、ケース2のシート状媒体処理装置を組み合わせて構成した画像形成後処理装置に関する。
画像形成装置において画像形成されたシート状媒体は、シート状媒体後処理装置に至る。後処理の有無は選択することができ、選択により後処理されたシート状媒体或いは選択により後処理を行なわなかったシート状媒体はシート状媒体後処理装置と組み合わされたシート状媒体処理装置の揃え手段による揃え動作によってトレイ上に揃えられた状態で仕分けられる。
揃え機能を有しない画像形成後処理装置に前記ケース2の<1>の態様で単独のシート状媒体処理装置を組み合わせて画像形成後処理装置を構成した場合は図44に基き後述する。なお、前記ケース2<2>の態様で画像形成処理装置と一体的にシート状媒体処理装置を構成する場合にはケース1におけるシート状媒体後処理装置の例に準じて構成する。
この明細書では、取り扱われるシート状媒体として、複写紙、転写紙、記録紙、表紙、合い紙(仕切紙)、コンピューターフォーム、特殊紙、OHPシート等が含まれるが、以下では、これらを代表して用紙の名称で表示する。
以下、次の項目の順にシート状媒体処理装置の詳細及び該シート状媒体処理装置を組み込んだ装置等について説明する。
[1]:ケース1ないし3に対応する例
[1]―1:シート状媒体後処理装置
[1]―2:シート状媒体処理装置
[1]―2―1:トレイ
[1]―2―2:トレイの昇降手段、昇降方向の位置決め手段
[1]―2―3:トレイの移動手段
[1]―2―4:揃え手段
[1]―2―4―a:揃え部材
[1]―2―4―b:揃え部材の移動手段
[1]―2―4―c:揃え部材の位置制御
[1]―2―4―d:揃え部材の退避手段
[1]―2―4―e:揃え部材の駆動装置
[1]―2―5:揃え部材とトレイとの関係
[1]―2―5―a:トレイの凹部
[1]―2―5―b:揃え部材と用紙との干渉回避
<1>揃え部材の退避
<2>トレイの下降による退避
<3>上記<1>と<2>の組み合わせによる退避
[2]ケース4に対応する例
[2]―1:揃え動作
[2]―1―1:片側移動態様
[2]―1―2:両側移動態様
[2]―2:揃え手順
[2]―2―1:用紙サイズに応じて片側移動態様と両側移動態様を切り換える揃え
手順
[2]―2―2:両側移動態様のみによる揃え手順
[2]―2―3:片側移動態様のみによる揃え手順
[3]ケース5に対応する例
[4]ケース6に対応する例
について説明する。
[1]:ケース1ないし3に対応する例
画像形成装置に連結された独立したシート状媒体後処理装置と一体的に構成されたシート状媒体処理装置を例に説明する。また、シート状媒体処理装置のサブユニットとして構成された揃え部材駆動装置も併せて説明する。
[1]―1:シート状媒体後処理装置
図1において、用紙に後処理を行なう後処理手段としてのシート状媒体後処理装置51は、画像形成装置50と連結されている。
画像形成装置50では、オペレーターにより指示された後処理内容に従い画像形成手段により画像形成された用紙Sがシート状媒体後処理装置51に送られてくる。
シート状媒体後処理装置51における後処理内容としては、画像形成装置50が複写機の場合には次のモードがある。<1>用紙を排出順に単に積載する通常モード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数を指示することで処理が実行される。<2>ステープル処理を行なうステープルモード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数のほか、綴じ枚数や綴じ位置等を指示することにより処理が実行される。<3>仕分け処理を行なう仕分けモード。このモードでは用紙サイズと仕分け部数を指示することで処理が実行される。<4>パンチモード。このモードでは、穴あけが行なわれる。
これらの後処理にかかる作業指示は、複写機の操作パネルからキー操作によりCPUを含む制御手段に伝えられ、画像形成装置50及びシート状媒体後処理装置51と制御手段との間で後処理遂行の信号授受が行なわれて後処理が実行される。
図1に示したシート状媒体後処理装置51は、これら<1>〜<4>の後処理を実行することができる。シート状媒体後処理装置51において、画像形成装置50からの用紙排出搬送路入口1から用紙の進行方向順に、入口センサ36、搬送ローラ2a、ロータリーパンチ15、搬送ローラ2b、分岐爪8aが設けられている。
分岐爪8aに至る前に用紙Sはロータリーパンチ15を通過する。前記<4>のパンチモードでは、ロータリーパンチ15を通過する過程で用紙Sに穴あけ処理がなされる。
分岐爪8aに達した用紙Sは、この分岐爪8aの回動による進路の切り換えにより、前記<1>の通常モードにおいて排紙トレイ14側へ送られる場合と、別の進路に向かう場合とに分れる。
前記<1>の通常モードが指示されている場合には、用紙Sは分岐爪8aにより排紙トレイ14に搬送されて指示枚数分だけ積載される。前記<2>、<3>のステープルモードや仕分けモードが指示されている場合には、分岐爪8a部で排紙トレイ14側とは別の進路を進み、次の分岐爪8bに至る。
この分岐爪8bにおいても、進路の切り換えが行なわれ、前記<2>のステープルモードのためステープル装置11側、或いは前記<3>の仕分けモードのため仕分け処理を行なうトレイ12側へ送られるケースの何れかに進路が分かれる。
前記<2>のステープルモードが指示されている場合には、用紙Sは分岐爪8bからステープル装置11に向かう。ステープル装置11方向へ向かう搬送路には、下搬送ローラ4a、4b、排紙センサ37、紙送りローラ(ブラシローラ)6などが配置されている。タイミングベルトで連結された下搬送ローラ4aと下搬送ローラ4bは、モーター54により駆動される。
用紙Sは下搬送ローラ4aと下搬送ローラ4bにより搬送され紙送りローラ6を経て、図示しないステープルトレイ内に順次送り込まれ、ステープルトレイの下側に設けた用紙の下側を受け止めるための後端フェンス19で後端を支持され、後端センサ37が後端検知する毎に、紙面を貫く方向に対向して設けられたジョガーフェンス62の開閉方向の移動及び戻しローラ5の動作などにより、積載された用紙Sの用紙束の整合が行なわれる。
整合を終えた用紙束に対して、ステープル装置11が移動してステープル処理がなされる。図示しないステープルトレイの背後位置にはステープル処理された(綴じられた)用紙束を搬送する搬送手段として、排出するための放出ベルト10が配置されている。
放出ベルト10には用紙束を引っ掛ける放出爪10aが設けられていて、ステープル処理が終えると、放出ベルト10が回転し、ステープル処理された用紙束は放出爪10aにより持ち上げられ、排出手段としての一対の排紙コロ3に送られる。ここまでがシート状媒体後処理装置の本来的な機能部分の構成及び動作の概要である。
[1]―2:シート状媒体処理装置
前記したシート状媒体後処理装置51では、本来的な機能である後処理を行なうことができると共に、以下に述べるように、シート状媒体処理装置により仕分け動作を行なうトレイ12上に積載された後の用紙を揃える。従って、用紙が排紙コロ3からトレイ12上に落下する途中で横ずれを生じ乱れて積載されても、この乱れた状態の用紙は、トレイ12の仕分け機能により仕分けられた状態で、端面が高精度に揃えられる。
排紙コロ3以降の搬送経路における用紙Sの処理は、当該シート状媒体後処理装置51と一体的に構成されたシート状媒体処理装置によりなされる。このシート状媒体処理装置の全体を概観したのち、該シート状媒体処理装置を構成する各部について構成及び作用を説明する。ここでは、図1ないし図6によりシート状媒体後処理装置51と一体的に構成されたシート状媒体処理装置についての概観を説明するが、勿論シート状媒体処理装置は、独立したユニット構成とすることもできる。
図1において、シート状媒体処理装置は、排紙コロ3、該排紙コロ3より排出される用紙Sを積載するトレイ12、トレイ12を昇降させるトレイの昇降手段、トレイ12の昇降方向の位置を制御する位置決め手段、トレイ12を図1の排出方向aと直交するシフト方向(図1の紙面を貫く方向)に往復動させるトレイの移動手段、トレイ12上に積載された用紙を揃える揃え手段99などからなる。このうち、上記トレイの昇降手段は図2(a)に符号95、昇降方向の位置決め手段は図2(a)、(b)に符号96で、上記トレイの移動手段は図3、図4に符号98で、上記揃え手段は図1に符号99で示され、詳細はそれぞれ後で述べる。
これらの部材による仕分け揃え動作の概要を述べる。図1ないし図4において、トレイ12はトレイ昇降手段95により昇降されるとともに、位置決め手段96により用紙Sの着地に適する位置に常時制御されるようになっていて、仕分け揃えに際して予め移動手段98によりシフト方向の一端側に寄せられている。揃え手段99を構成する1対の揃え部材102a、102bは排紙コロ3から排出される用紙Sを受け入れることができる所定の対向間隔をあけた受け入れ位置で待機している。
用紙Sが排紙コロ3より排出されトレイ12上に積載される毎に揃え部材102a、102bの少なくとも一方は前記受け入れ位置から対向間隔をせばめる動作をして用紙Sの端面を僅かに押す程度に接し用紙束を挟む状態となったのち、対向間隔を広げる動作をして前期受け入れ位置に復帰する。この一連の揃え動作を行なうことにより用紙の端面を揃える。
予め指定された仕分けの単位である1つの部(以下、単に部という)を構成する所定枚数の用紙Sが排出され揃えられたら、揃え部材102a、102bは揃え済みの部の用紙束との干渉を避けるため該用紙束から離れた退避位置に退避するため移動し、この退避の間にトレイ12は揃えられた用紙を載せたまま、トレイ移動手段98によりシフト方向の他端側に移動する。
トレイ12が上記他端側に位置したらトレイ移動手段98はトレイ12を停止させる。また、揃え部材102a、102bが退避位置から前記受け入れ位置に復帰する。前回の部の揃え動作におけると同様に、排紙コロ3より次の部の用紙Sがトレイ12上であって、揃え部材102a、102bの間に排出されてきて積載される。この積載のたび毎に揃え部材102a、102bは揃え動作をし、用紙束を挟み揃え、受け入れ位置に戻る。部を構成する所定枚数の用紙Sが揃えられたら、揃え部材102a、102bは揃え済みの用紙束との干渉を避けるため退避させられ、トレイ12はトレイ移動手段98によりシフト方向の前記一端側に移動させられる。この仕分け揃え動作の間、トレイ12上に用紙Sが積載されていくのであるから、トレイ12はトレイの昇降手段95およびトレイの昇降方向の位置決め手段96により適量下降させられて用紙最上面の位置が排紙コロ3のニップ部から一定の高さを維持し着地位置が一定レベルに保持されるように制御される。以上がシート状媒体処理装置における構成及び動作の概要である。
[1]―2―1:トレイ
図1において、前記<3>の仕分けモードが指示されている場合には、用紙Sは分岐爪8bから用紙の搬送手段である搬送ローラ7により排紙センサ38を経てトレイ12に向けて搬送され、排紙コロ3により排出方向aに送り出される。
図1、図2(a)に示すように、トレイ12の上面は排出方向aに進むほど、上面の高さが増す傾向に傾斜している。該トレイ12の傾斜面の下方基端部には図3に符号40で示すように鉛直面からなる後端フェンスが位置している。
図1において排紙コロ3から排出された用紙Sは、前記受け入れ位置で待機している揃え部材102a、102b間に進入し、重力によりトレイ12上、上記傾斜に沿って滑り、後端部が後端フェンス40に突き当たることにより後端部が揃えられ整合される。後端部が整合されたトレイ12上の用紙Sは揃え部材102a、102bの揃え動作により揃えられる。
図2(a)に示すように、トレイ12の上面であって、揃え部材102aに対向する部位には凹部80a、揃え部材102bが対向する部位は凹部80bがそれぞれ形成されていて、トレイ12の上面よりも部分的に低くなっている。少なくともこれら凹部80a、80b上に用紙が積載されていない状態では、受け入れ位置にある揃え部材102a、102bはこれら凹部80a、80bの中にその一部が進入しトレイ12とオーバーラップした状態を保持するようになっている。これは、揃え動作において揃え部材102a、102bを用紙Sの端面に確実に当てるためである。凹部80a、80bと揃え部材102a、102bとの関係は、[1]―2―5:揃え部材とトレイとの関係の項で説明する。
[1]―2―2:トレイの昇降手段、トレイの昇降方向の位置決め手段
図2(a)により、トレイ12を昇降される昇降手段95を説明し、図2(a)、(b)により、排出コロ3からの用紙Sの排出時にトレイ12上面又はトレイ12上面に積載された用紙の最上面の上下方向の位置が排出コロ3からの用紙Sの排出に適する適正排出位置となるように昇降手段95による昇降方向のトレイ12の位置を決める位置決め手段96について説明する。
図1、図2(a)において、排紙コロ3は定位置にある。よって、仮にトレイ12が昇降しない構成では、トレイ12上に用紙Sが排出され積載されてくると用紙束の高さが高くなりこの用紙束が用紙の排出をさえぎることにより、遂には用紙Sの排出ができなくなる。
昇降手段を設けることによりトレイ12を昇降させ、かつ、排紙コロ3のニップ部からトレイ12上面までの間隔、或いは排紙コロ3のニップ部からトレイ12上の用紙Sの最上面までの間隔を、位置決め手段により、排紙が適正に行なわれる適正間隔に維持することができる。これにより、トレイ12上面へ用紙Sを着地位置のバラツキが小さい状態で排出することができる。
図2(a)に示すようにトレイ12は上下リフトベルト70により吊るされている。上下リフトベルト70はギヤ列及びタイミングベルトを介して上下モーター71により駆動され、上下モーター71の正転または逆転により上昇または下降する。これら上下リフトベルト70、上下モーター71、ギヤ列及びタイミングベルト等はトレイを昇降させる昇降手段95の主な構成要素である。
図2(a)において、トレイ12の積載面上にはスポンジ状の材料からなる寄せローラ72が揺動可能に自重で接している。トレイ12上に送り出された用紙Sは、トレイ12の傾斜面に沿って滑り落ち、後端側が寄せローラ72に挾まれると、寄せローラ72により送りをかけられて下方向に向かい用紙受け止め手段としての後端フェンス40(図3参照)に突き当てられて縦方向(用紙送り方向)での整合が行われる。
こうして、順次、画像形成済みの用紙Sがトレイ12上に次々と排出され積載により用紙Sの最上面が上昇していく。積載された用紙の最上面には、図2(a)に示すように軸73aに揺動自在に支持された紙面レバー73の一端側が自重で接するように設けられており、この紙面レバー73の他端側はフォトインタラプタからなる紙面センサ74により検知されるようになっている。
紙面センサ74は仕分けモードにおいて、トレイ12の上下位置を制御するためのものであり、また、紙面センサ75はステープルモードにおいて、同様の制御を行うためのものであり、モードに応じて用紙の排出位置を異ならせている。
紙面レバー73は、支点を中心にして自重によるモーメントで回動するようになっていて、トレイ12が下降したとき、該紙面レバー73の上側の自由端部が紙面センサ75又は紙面センサ74をオンさせる位置で該紙面レバー73の回動を止めるようにするストッパ手段が設けられている。
このストッパ手段は、仕分け処理において紙面レバー73が紙面センサ74をオンにさせる位置で回動を停止させ、ステープルモードでは紙面センサ75をオンにさせる位置で回動を停止させる。トレイ12上に用紙Sが積載されていくと、紙面レバー73の下側の自由端部が押し上げられる。これにより紙面レバー73が紙面センサ75又は紙面センサ74を外れるとこれらセンサはオフになる。
ここでは、仕分けモードであるので、用紙Sが1枚ずつ排出される毎に用紙Sの積載面が上昇し、紙面レバー73の自由端部が紙面センサ74を外れる毎に、上下モーター71が駆動されて紙面センサ74がオンになるまでトレイ12を下降させる制御が行われる。これにより、用紙Sのトレイ12上での着地位置の条件は、排紙コロ3とトレイ12(用紙の最上面)との間隔が前記適正間隔に制御される。ここで、紙面センサ74、75及び紙面レバー73等はトレイ12の高さを一定の高さに制御するトレイの位置決め手段96の主な構成要素であり、位置決めのための情報を検知して制御手段に送る。
このような前記適正間隔のもとでのトレイ12の高さ位置を適正排出位置と称し、カール等特殊な態様で送り出される用紙以外の普通の状態の用紙を受ける位置として適切な位置として設定された位置である。
仕分けモードで用紙が1枚ずつ排出される場合と、ステープルモードでステープル処理された用紙束が排出される場合とでは、排紙の条件が異なるので当然のことながら、トレイ12の適正排出位置は異なる。このことは、紙面センサ75と74とで位置を異ならせていることからも明らかである。また、後処理終了時には、用紙の取り出しに備え排紙トレイ12を30mm程度下降させる動作が行なわれる。
仕分けモード、ステープルモード、何れの後処理にかかるモードでも、それぞれに適する基準高さで、排紙コロ3からの用紙Sはトレイ12上に排出され、用紙Sが積もる毎にトレイ12は下降し、遂には下限センサ76により下限位置が検知される。また、トレイ12の上昇時にはトレイ12は紙面センサ74、75、紙面レバー73等の位置決め手段による紙面の検知情報に基き、基準高さまで上昇させられる。
寄せローラ9は支点軸を中心にして揺動自在になっていて、トレイ12が所定の上昇限界位置に達すると、揺動端部がトレイ12の上限リミットスイッチを押して上下モーター23を停止させトレイ12のオーバーランによる破損を防止している。用紙排出時には、トレイ12は前記した昇降手段95と前記した位置決め手段96により、適正間隔をとる適正排出位置に制御される。
[1]―2―3:トレイの移動手段
図1においてトレイ12は、仕分け動作を行なうため図1の紙面を貫くシフト方向、つまり、図2(a)及び図4に符号cで示す方向の一端に移動したのち、他端側に移動し、また他端側から一端側に移動するようにシフトされる。仕分けの単位である部を構成する所定枚数の排出量の用紙を処理するときの作業単位を1ジョブとすれば、同一ジョブ中、トレイ12はシフト方向cにはシフトせず、1ジョブ(部)が終わる毎にシフト方向cに移動し、一方の移動端で次のジョブにかかる用紙Sの排出を受ける。用紙Sの排出を受けトレイ12上に用紙Sが積載される毎に、揃え部材102a、102bによる揃え動作が行なわれる。
トレイ12上に積載された用紙(用紙束を含む)を仕分けるべく当該トレイ12をシフト方向cに移動させて仕分け動作を行なうトレイの移動手段98について図3ないし図6により説明する。ここで、トレイ12の移動量は仕分けに必要な量であって、用紙サイズや用紙の種類、オペレーターの好みなどにもよるが、例えば20mm程度に設定される。
トレイの移動手段98は図3に示すようにトレイ12を台座8でスライド可能に支持しているトレイ支持構造と、図4ないし図6に示すようにトレイ12を往復動させるトレイ往復動機構からなる。
図3によりトレイ支持構造60を説明する。図3において台座8の上部には紙面を貫くシフト方向cに長さを有し、左右方向に対向する2つの案内板30、31が一体的に設けられている。これらの案内板30、31の各外側には軸が突出していて、ローラ32、33が軸支されている。
一方、トレイ12の底部には、左右方向についてはローラ32、33の間隔より広く、シフト方向cにはトレイのシフト量を十分カバーし得る奥行きを有する平坦面からなる平坦部が形成されていて、この平坦部をローラ32、33上に乗せている。また、トレイ12の上記平坦部には、案内板30、31の内側に対応する位置に、2本の軸が植設されていて、これらの2本の軸にはそれぞれ、ローラ34、35が軸支されている。これらのローラ34、35は、ガイド板30、31の各内側に接している。
ローラ32、33、34、35及び案内板30、31等が、トレイ12をシフト方向cに移動可能に支持するトレイ支持構造60を構成する。かかるトレイ支持構造60により、トレイ12はその荷重をローラ32、33で支持され、ガイド板30、31に案内されてシフト方向cに可動である。
トレイ支持構造60で支持されたトレイ12に、トレイ往復動機構を組み合わせることで、トレイ12に往復動の駆動力を与えて、シフト方向cに往復動させることができる。トレイ往復動機構としては種々のものが考えられる。例えば、図示しないが、シフト方向cに沿ってラックを設け、このラックに噛み合うピニオンを正逆回転可能なモーターで駆動する駆動機構や、クランク機構などである。
このように構成されるトレイ移動手段により、トレイ12はシフト方向cに用紙の仕分けに必要な所定量往復動させることができる。
以下に、トレイ往復動機構の具体例を、トレイの位置判別手段とともに説明する。図4において、トレイ12はエンドフェンス40の凹凸部に入り込んでいてエンドフェンス40がシフト方向cに動作することによってトレイ12も同方向に動作する。エンドフェンス40のシフト方向cの中央部には、長穴41aがあけられたブラケット41が装着されていて、この長穴41aにピン42が挿入されている。
ピン42は図示しない本体部に軸支されたウォームホイール43に挿入固定されている。この挿入固定位置はウォームホイール43の回転中心から偏心している。この偏心量は、トレイ12のシフト方向の移動量dmmの1/2である。
ウォームホイール43は、モーター44からタイミングベルト45を介して回転させられるウォーム46によって回転させられるようになっている。ウォームホイール43の回転運動によりピン42が回転し、偏心量に応じてトレイ12はシフト方向cへの直線往復運動をするように運動方向が変換される。これら偏心回転するピン42と長穴41aまわりの構成がトレイ往復動機構の主要部をなす。
図5、図6に示すように、ウォームホイール43には大きさの異なる2つの切り欠き43L、43S及びこれら切り欠き43L、43Sにより相対的に形成される半周分の長さの長い凸部とこれに隣接する短い凸部を有する円板状のエンコーダ47が設けられている。
切り欠き43Lは長い切り欠き、切り欠き43Sは短い切り欠きである。エンコーダ47の半回転おきにホームセンサ48がエンコーダ47の切り欠きの長さを前記2つの凸部間の間隔により検知して、モーター44の停止、駆動の信号が制御手段から発せられるようになっている。
図5において、矢視49の向きに回転したエンコーダ47の短い方の切り欠きが43Sをホームセンサ48を通過して短い凸部と重なりかけた時点でモーター44は停止している。この状態ではピン42が右側にあり、図4のエンドフェンス40も右側に動作することによってシフトトレイ12も右側に移動している。
図6では、図5に示した状態からさらに矢視49の向きにエンコーダ43が回転して、長い切り欠き43Lがホームセンサ48を通過して長い凸部と重なりかけた時点でモーター44は停止している。この状態ではピン42が左側にあり、図4のエンドフェンス40も左側に動作することによってシフトトレイ12も左側に移動している。
このように、トレイ12が右側にあるか、左側にあるかは、エンコーダ47の切り欠きの長さをホームセンサ48により検知し、この検知上方に基いて判別することができる。ここで、エンコーダ43とホームセンサ48とが、トレイの位置判別手段の主要部を構成する。
このように、トレイ12のシフト方向cへの往復動のストロークdmmの往動端で、同一ジョブ中に部を構成する用紙分の排出を受け、シフトし復動端で次のジョブ中に部を構成する用紙の排出を受ける。
かかる仕分け動作を繰り返すことにより、ジョブ(部)毎に用紙束が凹凸状にdmmだけ位置がずれた状態に積載され、部毎に用紙束を仕分けることができる。移動量dは用紙のサイズに応じて仕分けが明確な適量の値5〜25mm、例えば、A4サイズで20mm前後の値に設定することができる。
[1]―2―4:揃え手段
図1、図2(a)、図4等で示した揃え部材102a、102bの上端部は図1、図7ないし図10に示すフレーム90内に支持されている。該フレーム90には、揃え部材102a、102bの揃え動作及び該揃え動作に付随して動作させるべき他の動作を行なわせるための手段として、以下の項で説明する揃え部材の移動手段、揃え部材の退避手段、揃え部材の駆動装置等が構成されており、これらの各手段を制御するマイクロコンピューターからなる制御手段と共に揃え手段99を構成している。この制御手段は、図1に示したシート状媒体後処理装置51の制御手段を共用しており、図示しない入出力回線を介して揃え手段99と接続されている。揃え手段99は制御手段により制御されて揃え部材102a、102bに対して用紙の揃え動作及び該揃え動作に付随して生ずる他の動作をも行なわせる。
揃え手段99のうち、制御手段を除く機械的構成部分は図15に示すように箱状のフレーム90内に納めて一体的な揃えユニットとして構成されている。図1において、フレーム90はシート状媒体後処理装置51の本体にねじ止め、或いは、凹凸状の係脱手段により着脱可能に取り付けられ、揃え手段99による揃え機能を不要とするユーザーに対して容易に対応することができるようになっている。ここで、揃え部材102a、102bはフレーム90内に支持されているので、揃えユニット90は排紙コロ3より上方で装置本体としてのシート状媒体後処理装置51の本体に間接的に支持されていることになる。
このように、揃え部材102a、102bの支持部分を排紙コロ3の上方でシート状媒体後処理装置51の本体に支持する構成としたので、トレイ12の上下動や排紙コロ3からの用紙Sの排出動作に影響を与えることなく、揃え部材102a、102bを動作させることができ、揃え部材102a、102bを簡単に構成することができる。
[1]―2―4―a:揃え部材
図7ないし図10などに示すように、1対の揃え部材102a、102bは板状体からなり、揃え部102a1、102b1はこれら揃え部材102a、102bの最下部に位置し、互いの対向面は前記シフト方向cと直交する平坦面からなる。
このように揃え部102a1、102b1を、互いの対向面がシフト方向cと直交する平坦面で構成したことにより、揃え部材102、103をシフト方向cに移動することによって、トレイ12上に積載された用紙Sの端面に揃え部102a1、102b1を確実に接離させて用紙束を揃えることができる。また、板状体としたことにより、コンパクトな構成となし得る。
図7において、揃え部材102a、102bは、図1、図2に示した排紙コロ3から排出された用紙Sをこれら揃え部材102a、102bの対向間隔内に導きやすくするため、各揃え部102a1、102b1の上方部分がこれら揃え部102a1、102b1の対向間隔Fよりも広い間隔F'で形成された逃げ部102a2、102b2を構成している。
揃え動作に際し、用紙Sがトレイ12上に排出されるとき、揃え部材102a、102bは、予め揃え部102a1、102b1が該用紙幅よりも広い所定の間隔をあけた受け入れ位置に移動して待機しており、この受け入れ位置で排紙コロ3からの用紙Sの排出を待つ。この受け入れ位置は、図8において例えば、A4サイズの用紙からなる用紙束SSの紙幅よりも片側で7mm広めにとった位置である。
揃え部材102a、102bは、シフト方向cにある程度ばらついて排出されてくる用紙を受け入れることのできる最小限の間隔をおいた受け入れ位置で待機していて、用紙が排出されてトレイ12上に積載されると、この受け入れ位置から用紙の紙幅より狭い図9に示す位置まで移動して揃える。このように受け入れ位置を設定したのは、揃え動作の都度、間隔を広くあけたホームポジションまで戻っていたのでは、時間がかかるためである。
用紙Sが排紙コロ3から排出されてトレイ12に落下し完全に停止する所定の時間が経過したら、(1)図8に矢印で示すように揃え部材102a、102bを互いに接近する方向に移動させ或いは、(2)図8において揃え部材102a或いは揃え部材102bの何れか一方を不動にしたまま、残る揃え部材を矢印方向に移動させることにより、結果的に図9に示すように揃え部102a1、102b1が用紙束SSの排紙方向(紙面を貫く方向)と平行な2つの端面に紙幅よりも僅かにせばめた揃え位置で接しさせる。
このせばめ度合いは、例えば、紙幅よりも片側1mmずつの食い込み量となるように用紙束SSの端面に揃え部102a1、102b1を圧接させた状態であり、この食い込み量により用紙束SSの端面が揃えられる。その後、揃え部材102a、102bは図8に示す受け入れ位置に復帰して次の用紙Sの排出積載を待つ。
なお、上記<1>のように揃え動作に際して、揃え部材102a、102bを互いに接近する方向に移動させて揃える態様を両側移動態様と称する。また、上記<2>のように、揃え部材102a或いは揃え部材102bの何れか一方を停止したまま、残る揃え部材を矢印方向に移動させて揃える態様を片側移動態様と称する。これらの移動態様については、後述の「[2]―1揃え動作」でさらに説明する。
同一ジョブでは、その部を構成する全ての用紙が排出されるまで揃え部材102a、102bはトレイ12の一方の移動端で図8に示す受け入れ位置と、図9に示す揃え位置との間を移動する。
揃え部材102a、102bが図8に示す受け入れ位置で待機しているときに排紙コロ3から排出される用紙Sのシフト方向cでの位置は正確に一定の位置ではなく、スキューなどによりバラツキがある。よって、揃え部102a1、102b1の対向間隔で決まる受け入れ位置は広いほど、用紙の受け入れが容易であるが、あまりに大きくし過ぎると、揃え動作における揃え部材102a、102bの移動量が大きくなって揃え動作に時間を要してしまい、高速排紙の機種に適合できない。
そこで、揃え部102a1、102b1の対向間隔を可能な限りせばめ、つまり、揃え部材102a、102bの受け入れ位置をできるだけ小さくし、その上で揃え部102a1、102b1の上部の対向間隔を広げ、用紙Sを受け入れることができるようにしている。高速機では、揃え動作中にも用紙Sの排出があり得るがその場合でも逃げ部102a2、102b2を設けておけば、揃え部材102a、102bに用紙Sがぶつかることはない。
図11に2点鎖線の円中に拡大して示すように、揃え部材102a、102bは各下端部の内エッジを角度θが鋭角となるように形成している。このように、内エッジをたてた鋭角にすることで、揃え動作時に確実に用紙Sを捉えることができ、用紙Sが揃え部材102a、102bの下にもぐり込んで揃えられなくなることが防止される。
片側移動態様、両側移動態様の何れであっても、既に揃えられた前回ジョブでの部の上に所定のシフト量だけずれて今回ジョブにかかる部が積載され揃え動作が行なわれるとき、A4サイズでシフト量が20mm程度のシフト量の場合、今回ジョブでは揃え部材102a、102bのうち、今回ジョブの直前におけるシフトの下流側に位置する揃え部材は前回ジョブでの部の用紙束の上面に対向し、接した状態となる。
片側移動態様では、この前回ジョブでの部の用紙束の上面に接している揃え部材を揃え動作に際して不動とし、反対側の揃え部材を移動させて揃えることができるが、両側移動態様では両方の揃え部材102a、102bが移動するのであるから、用紙の上面に接したままで揃え動作することとなる。
また、片側移動態様、両側移動態様の何れであっても、既に揃えられた前回ジョブ終了後、図8に示す受け入れ位置に復帰したままでいると、今回ジョブに際してトレイ12がシフトする際に揃え部材102a、102bがせっかく揃えた前回ジョブの部を引っ掛けてトレイ12上でシフト方向にずらし乱してしまうことから、このようなことを回避するために、ジョブ終了後、揃え部材102a、102bを用紙上面から離間させる退避動作がとられるようになっている。
退避動作には揃え部材102a、102b自体を移動させる態様と、トレイ12を下降させる方法などあり、具体例については「[1]―2―5―c退避動作」の項で後述するが、揃え部材102a、102bを移動する方法のうち、1点を支点にして回動させて退避させる方法では、この退避動作に際して用紙の上面に揃え部材102a、102bの下端部が摺れることとなり、揃えられた用紙を乱す要因となりかねない。
このように、両側移動態様では揃え動作に際して用紙上面との擦れがあり、また、片側移動態様、両側移動態様共に、退避動作に際して用紙上面との擦れがあり、これらの擦れは態様が異なるため擦れの程度も同じではないにしても、揃え部材102a、102bの下端部が用紙Sの上面と程度の違いはあっても擦れ、揃えられた用紙を乱すおそれがあることに変わりがない。
そこで、揃え部材102a、102bの下端部であって用紙Sと接触する部分の摩擦係数を、用紙相互間の摩擦係数よりも小さくなるように材質を選択し、表面粗さも小さく加工するなどして用紙相互間の摩擦係数よりも小さくした。これにより、揃え動作においてまた、退避動作において既に揃え済みの部(用紙束)が乱されることはない。
[1]―2―4―b:揃え部材の移動手段
揃え部材102a、102bは揃え動作に際してシフト方向c上、図8に示す受け入れ位置から図9に示す揃え位置間を移動することは既に述べた。その他に揃え部材102a、102bは図8に示す受け入れ位置からさらに互いに離間する方向に移動したホームポジションまで移動することができるようになっている。
このようなシフト方向cでの移動を可能にするため、揃え手段99は揃え部材の移動手段を具備している。この揃え部材の移動手段について説明する。
揃え部材の移動手段は、片側移動態様を採用する場合には、トレイ12がシフトする毎に揃え部材102a、102bの一方が不動、他方が移動となる役割が交代する。両側移動態様を採用する場合には、トレイ12がシフトする毎に揃え部材102a、102bの両方を等量、接近、離間させる動作を行なわせるだけでよい。
したがって、両側移動態様では揃え部材の移動手段として揃え部材の一方と他方とを連動させる連動機構を採用することができるが、片側移動態様では連動機構を採用することができない。連動機構では揃え部材の一方と他方の移動用駆動源が共用化されるので一般的には構成が簡易となる長所を有するが、ここでは、片側移動態様に適する移動手段として、各揃え部材102a、102bについてそれぞれ単独で接離方向に移動させることができる移動手段について説明する。
以下の説明にかかる単独で接離方向に移動させることができる移動手段では、もちろん、両側移動態様における揃え部材の移動にも対応することができる。
図10において排出方向aの上流側から下流側に向かってトレイ12をみたときシフト方向cの左側を前側、右側を後側とすれば、揃え部材102aは前側の揃え部材であり、揃え部材102bは後側の揃え部材である。
先ず、前側の揃え部材102aの移動手段について説明する。
図10において、揃え部材102aはシフト方向cと平行な円柱状の軸108に摺動可能に枢着されている。軸108の両端部はフレーム90に固定されている。
図12、図13に示すように、揃え部材102aの上端部は受け台105aに形成された軸108と直交する平面と平行なスリット105a1内に嵌合している。受け台105aは軸108に摺動可能に嵌合するとともに、該軸108と平行なガイド軸109に摺動可能に嵌合している。さらに、受け台105aの上部はタイミングベルト106aに固定されている。
タイミングベルト106aは図10に示すようにプーリ120a、121a間に張設されている。プーリ120aはフレーム90に固定された軸に軸支されている。プーリ121aはフレーム90に固定されたステッピングモーター104aの回転軸に固定されている。
これらステッピングモーター104a、受け台105a、タイミングベルト106a、軸108、ガイド軸109は、受け部材102aの移動手段を構成する主要な部材である。
後側の揃え部材102bの移動手段について説明する。
図12、図13に示すように揃え部材102bは揃え部材102aと同じ軸108に摺動可能に枢着されている。また、この揃え部材102bは揃え部材102aと受け台105aとの係合関係と同様、受け台105bのスリット105b1に嵌合されている。
受け台105bの上部はタイミングベルト106bに固定されている。タイミングベルト106bは図15に示すようにプーリ120b、121b間に張設されている。プーリ120bはフレーム90に固定された軸に軸支されている。プーリ121bはフレーム90に固定されたステッピングモーター104bの回転軸に固定されている。
これらステッピングモーター104b、受け台105b、タイミングベルト106b、軸108、ガイド軸109は、受け部材102bの移動手段を構成する主要な部材である。
本例では、軸108とガイド軸109については、受け台195a、105bを安定支持しかつガイドする機能を有し共用されているが、揃え部材102a、102bの移動に際して使用される領域は前側、後側でずれているので、独立して設けることもできる。
このように、揃え部材102a、102bはそれぞれ独立した移動手段を具備しているといえるので、ステッピングモーター104a、104bをそれぞれ単独で正転、逆転を切り換え駆動することにより、タイミングベルト106a、106bがそれぞれ単独に回動し、これに伴い受け台105a、105bが移動し、受け台105a、105bに形成されたスリット105a1、105b1に挟まれた揃え部材102a、102bがシフト方向cに単独で移動する。
各揃え部材102aと102bについてかかる構成の揃え部材の移動手段により、揃え部材102a、102bを単独で駆動できる。例えば、片側移動態様で揃え動作をする場合のように、任意のジョブで揃え部材102aを不動とし、揃え部材102bを移動させたら、トレイ12をシフト後の次のジョブで揃え部材102bを不動とし、揃え部材102aを移動させる、というように、各揃え部材102a、102bのうち不動側と移動側の役割を交互に入れ換えて仕分け揃え動作を行なうことができる。
また、揃え動作において、両方の揃え部材102a、102bを移動させる両側移動態様を採用することも可能である。片側移動態様の方が、両側移動態様に比べてトレイ12上の用紙束にのせている方の揃え部材が不動となる分、用紙の揃え状態を乱にくい特性を有するが、独立した移動手段を構成した場合には、かかる片側移動態様を採用することもできる。
[1]―2―4―c:揃え部材の位置制御
図12、図13において、軸108は揃え部材102aをシフト方向cに案内するガイドであると共に、揃え部材102aを回転可能に支持する支持軸でもある。揃え部材102aの上端部は前記したようにスリット105a1内に嵌合しており、該揃え部材102aの下端側は軸108よりも排出方向a側に延びている。このため、揃え部材102aの重心位置も排出方向aにずれており、揃え部材102aは自重により軸108を中心とする矢視Kの向きのモーメントを受けている。
図13、図14に示すように、スリット105a1の奥部は開放されてはおらず、塞がれている。このため、矢視Kの向きのモーメントによる揃え部材102aの回転は、トレイ12上の用紙Sとの干渉がない限り、揃え部材102aの上端縁部102a3がスリット105a1の奥部と当接することにより阻止される。図14において、この回動を阻止された状態の揃え部材102aを実線で示している。
スリット105a1は受け台105aに形成されているので、受け台105aは揃え部材102aの、軸108を中心とする回転量を規制する規制部材でもある。これと全く同じ構造及び作用が揃え部材102bと受け台105bとの間にも成り立っている。
奥部が塞がれたスリット105a1と有する受け台105a、同じく受け台105bによる回転量の規制部材の働きにより、1対の揃え部材102a、102bは自重のモーメントによる回動が規制され、回動方向上の一定の位置が自動的に保持されることとなり、特別な回転方向の位置決め機構を設けずに済む。
図10、図11、図13ないし図15、図17(b)に示すように少なくともこれら凹部80a、80b上に用紙が積載されていない状態では、揃え部材102a、102bの各下端部がトレイ12の積載面より下方、つまり、凹部80a、80b内に位置する状態でこれら揃え部材102a、102bはスリット105a1、105b1の奥部により係止されるように設定されている。
図8に示したように、揃え部材102a、102bがシフト方向c上の受け入れ位置にあるときには、トレイ12の積載面上であって、揃え部材102aと対向する部位には凹部80aが形成されており、この凹部80aを塞ぐようにして用紙が積載されていれば、揃え部材102aはこの用紙の上面に自重による当接力で当接することになる。同様に、受け入れ位置にある揃え部材102bと対向する部位には凹部80bが形成されていて、この凹部80bを塞ぐようにして用紙が積載されていれば、揃え部材102bはこの用紙の上面に自重による当接力で当接することになる。
揃え部材102a、102bは、常時自重によるモーメントで回転しようとしており、トレイ12上に用紙が無ければ凹部80a、80b内で回動可能のため、図12、図14に示すようにスリット105a1、105b1の奥部により係止される。こうして矢視Kの向きの回転は阻止されているが、矢視Kの向きと逆向きの回転は阻止されていない。従って、トレイ12上に凹部80a、80bを塞ぐようにして用紙Sが積載された場合には、自重により該トレイ12上の用紙S上に揃え部材102a、102bが接することとなるのである。
上記したように、トレイ12上、用紙が無ければ、揃え部材102a、102bの下端部は自重により凹部80a、80b内に位置し、用紙が有ればこの用紙の最上面に自重で接する状態となる。これらの何れの状態でも、シフト方向の移動により揃え動作に移行することが可能である。そこで、これらの状態を以下の説明の便宜上、揃え作動位置と称することとする。代表例として示す図15では、用紙が無い場合の揃え部材102aの位置を揃え作動位置として示しているが、用紙が有る場合には該用紙の上面に揃え部材102aの下端部が自重で当接した状態となる。図15に示す揃え作動位置というときは、これら何れの状態も含めるものとする。また、揃え部材102bについても揃え部材102aにおけると同様の作動位置をとり得るものとする。
このように、図8に示す受け入れ位置にある揃え部材102a、102bは、図15に示す揃え作動位置では、トレイ12の凹部80a、80b上に用紙が積載されていなければこれら凹部80a、80bの中にその一部が進入した状態を保持するし、凹部80a、80b上に用紙が積載されていれば該用紙の最上面に自重で接する状態となる。
揃え部材102a、102bを、シフト方向c上、図8の受け入れ位置におき、かつ、軸108を中心とする回動方向上、図15の揃え作動位置におき、これらの状態で用紙Sが揃え部材102a、102b間のトレイ12上に積載された場合、揃え部材102a、102bの両方或いは何れか一方を移動して揃え動作を行なうことで、該トレイ12上に積載された用紙を揃えることができる。
揃え部材102a、102bは重心の位置を適切に設定することにより、用紙Sに対する接触圧力を小さく調整でき、仕分け揃え動作に際し、既に揃えられた用紙が乱さないようにすることができる。
図7ないし図9において、受け台105a、105bには遮蔽板105a1、105b1がそれぞれ付いており、ステッピングモーター104a、104bが受け台105a、105bを互いに離間する向きに移動するように回転すると、受け台105aの遮蔽板105a1がホームポジションセンサ107b内に挿入されて光学的に遮蔽され、受け台105bの遮蔽板105b1がホームポジションセンサ107bに挿入されて光学的に遮蔽されることで、それぞれこの遮蔽状態がこれらホームポジションセンサ107a、107bにより検知され、この検知信号に基き、ステッピングモーター104a、104bが停止制御される。
遮蔽板105a1、105b1がそれぞれホームポジションセンサ107a、107bにより検知された状態が揃え部材102a、102bのホームポジションであり、このホームポジションは揃え部材102a、102bが仕分け揃えの対象となる各種サイズの用紙のうち、最大幅よりも十分に開いた位置である。
揃え部材102a、102bは仕分け揃え作業に入る前には、このホームポジションで待機している。図7では、揃え部材102a、102bがホームポジションにある。
揃え部材102a、102bは、排紙コロ3から排出されてくる用紙Sの紙幅に応じて図8に示すように、各ホームポジションからステッピングモーター104a、104bが所定パルス相当分だけ図8に示す矢印方向に駆動されて受け入れ位置で待機し、紙がシフトトレイ12に落下し完全に停止してスタックされてから図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行う。この時点でトレイ12に積載された用紙束SSは揃えられ、再び次の用紙の受け入れ状態に入るために図11の受け入れ位置まで移動し待機する。
このような動作を繰り返し、一連所定部数分の揃え動作にかかる一連のジョブが終了した時点で、再び図7に示すホームポジションまで揃え部材102a、102bが移動する。
こうして、ステッピングモーター104a、104b、遮蔽部材105a1、105b1を含む受け台105a、105b、タイミングベルト106a、106b、軸108、ガイド軸109などの移動手段や、ホームポジションセンサ107a、107bなど、及び制御手段により、揃え部材102a、102bの揃え部102a1、102b1が、図8に示す受け入れ位置と図9に示す揃え位置の少なくとも2つの位置に位置させられ得る。このように、受け入れ位置を設定することにより、揃え動作に際しての揃え部材102a、102bの移動量をホームポジションからの移動量よりも小さい移動量で用紙を受け入れ、揃えることができる。
[1]―2―4―d:揃え部材の退避手段
図12ないし図16において、揃え部材102aは前記したように軸108により枢着されているが、この枢着部を基点として排出方向aの上流側の部位には、L字状の切り欠きが形成されている。この切り欠きのうち、揃え部材102aが図15に示した揃え作動位置にあるとき、略水平方向に沿う状態となる面を押動面と称し、符号102a4で示す。同様に、揃え部材102bについても押動面102b4が形成されている。
これらの押動面102a4、102b4には、軸108と平行な軸110が自重で当接している。軸110の軸長手方向の両端部はフレーム90の側板部に形成された鉛直方向の長穴90a、90bに上下動可能に嵌合されている。
図10、図12、図15に示すように軸110の中央部にはフレーム90に軸112を軸支されたL字状のレバー113の一端側が自重で乗っている。レバー113の他端側はばね114を介してソレノイド115のプランジャと連結されている。ソレノイド115はフレーム90に設けられている。
ソレノイド115がオフ(非励磁)の状態では、揃え部材102a、102bは自重によるモーメントにより、図13、図14に示すように上端縁部102a3がスリット105a1の奥部と当接し、或いはこれら揃え部材102a、102bの下端部がトレイ12上の用紙に接することにより上端縁部102a3がスリット105a1の奥部から少し離間した、図15に示す揃え作動位置にある。
この揃え作動位置では、前記したように揃え部材102a、102bはトレイ12上面の凹部80a、80b内、又は、トレイ12上に積載された用紙の最上面部に当接した状態にある。
図16に示すように、ソレノイド115をオン(励磁)にすると、該ソレノイド115のプランジャが引かれ、レバー113が回動する。これにともない図12、図13に示すように軸110がレバー113によりフレーム90に設けられた長穴90a、90bに案内されて押し下げられる。
図12ないし図16に示すように軸110は揃え部材102a、102bに形成された切り欠きのうち押動面102a4、102b4に係合しているので、図16に示すように軸110が押し下げられることにより、揃え部材102a、102bは矢視Kとは逆の向きに回動し、凹部80a、凹部80b内から、或いはトレイ12上に積載された用紙の最上面から大きく離間したトレイ12の上方位置に移動する。
このようにトレイ12の上方へ移動したときの揃え部材102a、102bの位置を図14に2点鎖線で、また図16に実線で示し、この位置を退避位置という。軸110、レバー113、ソレノイド115などは、揃え部材102a、102bを退避位置におく退避手段を構成する。
[1]―2―4―e:揃え部材の駆動装置
図12、図13、図15、図16において、揃え部材102a、102bを支持している構成部分は、これら揃え部材102a、102bを共通に枢着する支点軸としての軸108と、この軸108からずれた揃え部材上の各作用点としての押動面102a4、102b4に当接して軸108を中心に揃え部材102a、102bを回動させる押動軸としての軸110と、揃え部材102a、102bの自重による軸108を中心とするモーメントによる回動をそれぞれ阻止し得る、スリット105a1、105b1の各奥部を具備した受け台105a、105bからなる回動阻止部材を有し、軸108は揃え部材102a、102bを揃え方向であるシフト方向cに案内するガイド軸を兼ねていて、受け台105a、105bは揃え部材102a、102bをシフト方向cに移動させる駆動手段を兼ねている構成からなり、さらに、シート状媒体の2つの端面を挟むようにこれら端面に接離する揃え方向に移動して前記端面の位置を揃える揃え動作を行なう1対の揃え部材を具備した構成としてとらえることができる。
この構成を揃え部材駆動装置と称すれば、この揃え部材駆動装置は、自重によるモーメントに相当する荷重で用紙Sの上面に揃え部材102a、102bを当接することができ、この荷重を調節することにより、用紙Sへの接触圧力を自在に調節可能であり、用紙Sがないときには図14に実線で示すように揃え部材102aの上部をスリット105a1の奥部に係止状態のもとで揃え部材102a、102bをトレイ12の凹部80a、80b内におくことができ、用紙S端面への揃え部102a1、102b1の確実な当接を可能とする。
さらに、当該揃え部材駆動装置において、押動軸としての軸110に作用して作用点としての押動面102a4、102b4を押動させる状態と、該押動を解除する状態とを切り換え自在とする、レバー113とソレノイド115を主な構成とする切り換え駆動手段を具備していることにより、揃え部材102a、102bを同時に、用紙Sの最上面から退避する状態と、自重による回転モーメントで接する状態とを切り換えることができる。
[1]―2―5:揃え部材とトレイとの関係
図2により説明した位置決め手段96により、トレイ12上面又はトレイ12上面に積載された用紙の最上面の上下方向の位置が排出コロ3からの用紙Sの排出に適する適正排出位置となるように昇降方向のトレイ12の位置が制御されるようになっていて、この適正排出位置において、図15で説明した揃え作動位置が設定されている。
揃え部材102a、102bがシフト方向cに移動して揃え動作をするとき、揃え機能がよく発揮されるように、また、仕分けのためにトレイ12がシフトするときなどに、トレイ12上の用紙と揃え部材102a、102bとが干渉するのが回避されるようになっている。
[1]―2―5―a:トレイの凹部
揃え部材102a、102bが図15で説明した揃え作動位置にあるとき、トレイ12上に設けられた凹部80a、80b内に揃え部材102a、102bの下端部が部分的に入り込んでいてかつ、トレイ12と非干渉である。このときのトレイ12は、図2(a)で説明したように、トレイの昇降方向の位置決め手段96により適正排出位置に制御されるようになっている。
図1、図2(a)、図13などに示すように、凹部80a、80bを形成することにより、揃え部材102a、102bの下端部は凹部80a、80b内、つまり、トレイの12上面よりも下方に位置することにより、揃え部材102a102bの下端部、より詳しくは揃え部材102a、102bの下端部内側に位置する揃え部102a1、102b1を凹部80a、80bを介して確実に用紙Sの端面に交差させた態様をとり、揃え部102a1、102b1は一番下の用紙Sについてもその端面に確実に当てて揃えることができる。
揃え部材102a、102bによる揃え動作を凹部80a、80b内で行なわれる。
揃え部材102a、102bを図7に示すホームポジションと図8に示す受け入れ位置間で動作可能とし、動作中にトレイ12と干渉するのを避けるため、凹部80a、80bは揃え動作を行なうときの揃え部材102a、102bのストローク範囲でも十分に受容できる大きさとする。本例では、凹部80a、80bはシフト方向cに長さを有しトレイ12の端面部で開放されている。
トレイ12に排出される用紙Sとしては、種々のサイズのものが予定されている。最小サイズの用紙の場合には、揃え部材102a、102bの揃え動作に際しての移動量が最も大きくなるが、このような最小サイズの用紙についても、揃え部材102a、102bを受容できる大きさとする。
図17(a)、(b)において、最小サイズの用紙幅をt'とすれば、凹部80a、80bの最小間隔tはt’>tの関係とする。
揃え動作のうち、片側移動態様では、例えば、揃え部材102aを凹部80aの内側端寄りの位置で不動状とし、揃え部材102bを凹部80bの内側端から適度のシフトの余裕を見込んだ最小サイズ紙の受け入れ可能な待機間隔Wをあけた位置で待機させる。図17(a)で、揃え部材102bの最大移動量は凹部80bの内側端までの距離αであり、この最大移動量αの範囲で移動させて最小サイズ紙の端面に接して揃えることになる。
また、両側移動態様では、図17(a)で、揃え部材102a、102bを凹部80a、80bの各内側端から等分に振り分けた位置で待機間隔Wをとり、各揃え部材102a、102bをそれぞれ上記片側移動態様における移動量の1/2移動させて揃える。
最小サイズ紙について揃え動作可能な範囲で揃え部材を受容できるように凹部80a、80bの最小間隔tを形成することにより、最小サイズ紙についてトレイ12と干渉することなく揃え部材102a、102bを動作させ揃えることができる。
図17の例では、図示のように凹部80aの内側の近傍(若しくは若干の余裕をもたせた位置)に揃え部材102aの揃え部102a1が位置しており、この状態から凹部80aの内側端より揃え部102a1が離れる向きにトレイ12が移動するものとすれば、凹部80a、80bはトレイ12のシフト量が距離αの範囲で揃え部材102a102bを受容できる大きさになっている。これより、凹部80a、80bは最小サイズ用紙を仕分ける場合にもトレイと揃え部材との干渉を回避することができる。
なお、凹部80a、80bは揃え部材102a、102bとオーバーラップさせる目的だけならば、深さはそれほど必要ないが、用紙を取り出す際に手を差し入れるための隙間と兼用する場合には、その機能に応じた大きさとすれば、十分である。
図17において、凹部80a、80bはシフト方向cについて最小間隔tを有するようにするだけでなく深さ方向についても、揃え部材102a、102bの下端部は待機時、揃え動作時を通じて凹部80a、80b内にあることが必要である。このため、図13、図14において、凹部80a、80bの底と揃え部材102a、102bの下端部との間にはβの間隔をとるようにしている。
トレイ12上に用紙が積載されていない状態では、揃え部材102a、102bの下端部は凹部80a、80b内にある。また、凹部80a、80bはトレイ12の中央部で最小間隔tを残して終わっている。よって、誤動作により揃え部材102a、102bを互いに接近させる方向に移動すると揃え部材102a、102bが最小間隔tの段部に衝突して破損するおそれがある。このため揃え部材102a、102bが最小間隔tの凹部80a、80b端に接近した任意の位置に達したら、ステッピングモーター104a、104bの駆動を停止するように、安全スイッチを設け、衝突して破損することのないようにしている。
[1]―2―5―b:揃え部材と用紙との干渉回避
ジョブを終わり、揃え部材102a、102bが図8に示す受け入れ位置にある状態のままで、仕分けのためトレイ12がシフト方向cに移動したとすると、せっかく揃えた用紙束SSが、トレイ12のシフトとともに、揃え部材102a、102b下端部にひっかけられて整列を乱されてしまう。そこで、これを回避するために、トレイ12がシフトする前に、予めトレイ12上の用紙と揃え部材102a、102bとを退避手段により離間、退避させることとした。
また、所定部数の仕分け揃えが終了し、次の所定部数の仕分け揃えに際し、用紙幅が変更される場合などに備え、揃え部材102a、103aは受け入れ位置よりも更に間隔を開けた位置まで移動させる必要がある。このための揃え部材102a、102bの移動に際しても、揃え部材102a、102bが既に揃えられたトレイ12上の用紙に干渉するのを避けるため、揃え部材102a、102bを受け入れ位置よりも開いた位置、ホームポジション或いは、ホームポジションよりも狭い任意の位置まで移動させる前に、トレイ12上の用紙Sとの干渉を避けるため予めトレイ12上の用紙と揃え部材102a、102bとを離間、退避させる。
この退避の態様としては、揃え部材102a、102bを移動させる方法、トレイ12を移動させる方法、揃え部材102a、102bを移動させると共にトレイ12を移動させる方法、の3つがある。また、退避量を定めるには用紙のカールの度合いとトレイのシフト量との関係を考慮し、現実の装置において具体的に定めるのがよい。
<1>揃え部材の退避
図12ないし図16において、軸110、レバー113、ソレノイド115などは、揃え部材102a、102bを退避位置におく退避手段を構成する。
退避手段により、ジョブが終わる毎に、つまり、トレイ12がシフトする前毎に、予めソレノイド115をオンにして、図16に示すように揃え部材102a、102bを退避位置におく。
或いは、所定部数の仕分け揃えが終了したときに、必要に応じて図16に示すように揃え部材102a、102bを退避位置におく。
図14に示すように退避位置では、図15で揃え部材の下端部分(トレイ12とオーバーラップしていた部分)は押し上げられ、トレイ12との間に隙間が生じる。隙間が生じた時にトレイ12が仕分けをするためにシフト方向cに動作するため、用紙の最上面と揃え部材102a、102bとの接触を回避できる。
退避手段により図16に示す退避位置におかれた揃え部材102a、102bは、ソレノイド115をオフにするだけで、揃え部材102a、102bの自重によるモーメントで図8に示す揃え作動位置に復帰させることができる。但し、退避位置から揃え作動位置に戻すタイミングは、揃え部材102a、102bが図8に示す受け入れ位置に移動した後とする。
揃え動作が片側移動態様の場合、揃え部材102a、102bが揃え作動位置に復帰したとき、揃え部材の一方は前回ジョブでの用紙束の上に乗っかり、他方の揃え部材が前回ジョブでの用紙束の端面の外側に位置し、トレイ12のシフト後に行なわれる次回ジョブでは、上記前回ジョブでの用紙束上に乗っかった方の揃え部材が不動で、前回ジョブでの用紙の端面の外側に位置する揃え部材が該端面に接離して揃え動作を行う。
揃え動作が両側移動態様の場合、揃え部材102a、102bが揃え作動位置に復帰したとき、揃え部材の一方は前回ジョブでの用紙束の上に乗っかり、他方の揃え部材が前回ジョブでの用紙束の端面の外側に位置する点は片側移動態様と同じであるが、トレイ12のシフト後に行なわれる次回ジョブでは、上記前回ジョブでの用紙束上に乗っかった方の揃え部材及び、前回ジョブでの用紙の端面の外側に位置する揃え部材の両方が該用紙束の端面に接離して揃え動作を行う。
片側移動態様、両側移動態様の何れであっても、揃え部材102a、102bが揃え動作を一連の用紙に対して完了した後は用紙をトレイ12から取り出す場合がある。この場合にも、揃え部材102a、102bを図15に示す揃え作動位置から図16に示す退避位置におけば、トレイ12上からの仕分け揃え済みの用紙束の取り出しが容易となる。
<2>トレイの下降による退避
図2(a)に示した昇降手段95により適正排出位置よりトレイ12を下降させることにより、トレイ12のシフトに際してのトレイ12上の用紙と揃え部材102a、102bとの干渉を回避することができる。
これらの事由によるトレイ12の下降状態は、トレイ12が仕分けに必要な所定のシフト量だけ移動した後、或いは、次の所定部数の仕分け揃えに際して、これから揃え動作を行なうべき用紙サイズが決まりそのサイズに合わせた受け入れ位置まで揃え部材102、103が移動された後まで継続し、その後、トレイ12は適正排出位置まで上昇させられる。これにより、用紙をトレイ上に良好な状態で排出し、揃え動作を実行することができる。
<3>上記<1>と<2>の組み合わせによる退避
上記<1>のソレノイド115をオンさせて揃え部材102a、102bを動作させる退避と、上記<2>の昇降手段95を駆動することによりトレイ12を下降させる退避とを組み合わせた退避である。特別大きな退避量が必要で上記<1>のソレノイド115をオンさせるだけ、或いは上記<2>の昇降手段95を駆動するだけの退避量では足りない場合に行なうことで、必要な退避量を確保することができる。また、揃え部材102a、102bとトレイ12とを互いに離間する方向に移動させているので、短時間で必要退避量を確保することができる。
特別大きな退避量が必要な場合のケースとして用紙Sのカールが大きい場合が考えられる。揃え部材102a、102bと、トレイ12とがシフト方cに相対的にシフト移動する場合、図18に示すように用紙Sがカールしていて、カール量が大きいと通常の退避量ではカバーできないことがある。
例えば、用紙Sが中凹にカールした場合、図18(a)に示すようにシフト量c1のときの、凹部80bからの用紙の最大高さh1と、図18(b)に示すようにシフト量c2のときの、凹部80bからの用紙の最大高さh2とを比べた場合、c1<c2であったとすると、図18(b)に示すようにシフト量c2が大きい場合の方が図18(a)に示すようにシフト量c1が小さい場合よりも用紙Sの最上面の高さ位置が高くなる傾向がある。
このような特性を踏まえて必要に応じ、トレイ12を下降し、揃え部材102a、102bを退避させて用紙の最上面と非干渉となるような量を確保することができる。
[2]ケース4に対応する例
[2]―1:揃え動作
揃え動作として、<1>揃え部材102a或いは揃え部材102bの何れか一方を不動にしたまま、残る揃え部材を不動の揃え部材側に移動させて揃える片側移動態様と、<2>揃え部材102a、102bを互いに接近する方向に移動させて揃える両側移動態様の2つがある。
片側移動態様では、不動側の揃え部材を既に揃えられている前回ジョブの用紙上に当接するので、揃え動作における用紙の乱れのおそれが少ない利点があるが、揃え部材を個別に動作させねばならないので動作機構が複雑になる。
両側移動態様では、既に揃えられている前回ジョブの用紙上に1対の揃え部材が交互に当接するので、揃え部材の用紙との接触部の摩擦係数を用紙間の摩擦係数より小さくする等の配慮が必要であるが、揃え部材を連動して動作させる機構を採用することができるので駆動機構が簡単になる利点がある。
以下に、片側移動態様、両側移動態様における各揃え動作について説明する。
[2]―1―1:片側移動態様
揃え部材102a、102bによる片側移動態様による揃え動作について図19ないし図22により説明する。図19はトレイ12を図1において排出方向aの上流側から下流側に向かってみたときの図、図21ないし図22は揃え動作の斜視図で、図19(a)は図21、図19(b)は図22、図19(c)は図22にそれぞれ対応する。
図1において搬送ローラ7、排紙センサ38、排紙コロ3等が配設された搬送経路を通過してきた用紙Sは、排紙コロ3より排出方向aに向けて排出される。
[第1のジョブ]
図19(a)、図20において、用紙Sは重力の影響を受けて、斜め下方の矢視Bの向きに進みトレイ12に落下する。ここでは、既に部を構成する数枚の積載がなされている。用紙Sの排出に先立ち、トレイ12は図4〜図6で説明したトレイ往復動機構により予めシフト方向cの一端側、例えば後側に寄せられており、また、揃え部材は図8に示す受け入れ位置、図15に示す揃え作動位置にあり、最初のジョブにかかる第1の用紙束SS−No.1を構成する用紙がある程度積載されている。
用紙Sが排出されると揃え部材102bは不動、揃え部材102aが用紙束SS−NO.1に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.1を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、用紙束SS−NO.1は用紙Sが自由落下距離Lを落下する間に生じた横ずれ量Δがない状態に揃えられる。その後、揃え部材102aは復動し、図8に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図7参照)に戻す。
[第2のジョブ]
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙が排紙トレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動すること(或いは、トレイ12が下降又は揃え部材の退避とトレイの下降の組み合わせるなど)により退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトする。
上記シフト後、揃え部材102a、102bは図16に示す退避位置から図15に準じた揃え作動位置に移行し、かつ、図8に示す受け入れ位置になる。この状態を図19(b)、図21に示す。トレイ12のシフトにより、前側の揃え部材102aが第1の用紙束SS−NO.1の上に当接して位置し、後側の揃え部材102bが所定の受け入れ位置にある。なお、図19(b)、図21では、第2のジョブにかかる第2の用紙束SS−No.2を構成する用紙がある程度積載されている。
第2のジョブにかかる用紙Sが排出されると今度は前側の揃え部材102aが不動、後側の揃え部材102bが第2の用紙束SS−NO.2に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.2を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第2の用紙束SS−NO.2が揃えられる。その後、揃え部材102bは復動し、図8に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図7参照)に戻す。
[第3のジョブ]
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙が排紙トレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動すること(或いは、トレイ12が下降又は揃え部材の退避とトレイの下降の組み合わせるなど)により退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトする。
上記シフト後、揃え部材102a、102bは図16に示す退避位置から図15に準じた揃え作動位置に移行し、かつ、図8に示す受け入れ位置になる。この状態を図19(c)、図22に示す。トレイ12のシフトにより、後側の揃え部材102bが第2の用紙束SS−NO.2の上に当接して位置し、前側の揃え部材102aが所定の受け入れ位置にある。なお、図19(c)、図22では、第3のジョブにかかる第3の用紙束SS−No.3を構成する用紙が有る程度積載されている。
第3のジョブにかかる用紙Sが排出されると今度は後側の揃え部材102bが不動、前側の揃え部材102aが第3の用紙束SS−NO.3に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.3を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第3の用紙束SS−NO.3が揃えられる。
その後、揃え部材102aは復動し、図8に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図7参照)に戻す。
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙が排紙トレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動すること(或いは、トレイ12が下降又は揃え部材の退避とトレイの下降の組み合わせるなど)により退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトし、該先頭紙の排出を待つ。
以下、前記したと同様の手順を繰り返す。
[2]―1―2:両側移動態様
揃え部材102a、102bによる両側移動態様による揃え動作について図23により説明する。図23はトレイ12を図1において排出方向aの上流側から下流側に向かってみたときの図である。
図1において搬送ローラ7、排紙センサ38、排紙コロ3等が配設された搬送経路を通過してきた用紙Sは、排紙コロ3より排出方向aに向けて排出される。
[第1のジョブ]
図23(a)において、用紙Sは前記片側移動態様の場合と同様に、トレイ12に落下する。ここでは、既に部を構成する数枚の積載がなされている。用紙Sの排出に先立ち、トレイ12は図4〜図6で説明したトレイ往復動機構により予めシフト方向cの一端側、例えば後側に寄せられており、また、揃え部材は図8に示す受け入れ位置、図15に示す揃え作動位置にあり、最初のジョブにかかる第1の用紙束SS−No.1を構成する用紙が有る程度積載されている。
用紙Sが排出されると揃え部材102a、102bが共に用紙束SS−NO.1に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.1を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、用紙束SS−NO.1は前記片側移動態様の場合と同様に用紙Sが自由落下距離Lを落下する間に生じた横ずれ量Δがない状態に揃えられる。その後、揃え部材102a、102bは復動し、図8に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図7参照)に戻す。
[第2のジョブ]
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙が排紙トレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動すること(或いは、トレイ12が下降又は揃え部材の退避とトレイの下降の組み合わせるなど)により退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトする。
上記シフト後、揃え部材102a、102bは図16に示す退避位置から図15に準じた揃え作動位置に移行し、かつ、図8に示す受け入れ位置になる。この状態を図23(b)に示す。トレイ12のシフトにより、前側の揃え部材102aが第1の用紙束SS−NO.1の上に当接して位置し、後側の揃え部材102bが所定の受け入れ位置にある。なお、図23(b)では、第2のジョブにかかる第2の用紙束SS−No.2を構成する用紙が有る程度積載されている。
第2のジョブにかかる用紙Sが排出されると前回同様揃え部材102a、102bが第2の用紙束SS−NO.2に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.2を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第2の用紙束SS−NO.2が揃えられる。その後、揃え部材102a、102bは復動し、図8に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図7参照)に戻す。
[第3のジョブ]
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙が排紙トレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動すること(或いは、トレイ12が下降又は揃え部材の退避とトレイの下降の組み合わせるなど)により退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトする。
上記シフト後、揃え部材102a、102bは図16に示す退避位置から図15に準じた揃え作動位置に移行し、かつ、図8に示す受け入れ位置になる。この状態を図23(c)に示す。トレイ12のシフトにより、後側の揃え部材102bが第2の用紙束SS−NO.2の上に当接して位置し、前側の揃え部材102aが所定の受け入れ位置にある。なお、図23(c)では、第3のジョブにかかる第3の用紙束SS−No.3を構成する用紙が有る程度積載されている。
第3のジョブにかかる用紙Sが排出されると揃え部材102a、102bが第3の用紙束SS−NO.3に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.3を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図9に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第3の用紙束SS−NO.3が揃えられる。
その後、揃え部材102a、102bは復動し、図8に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図7参照)に戻す。
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙が排紙トレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動すること(或いは、トレイ12が下降又は揃え部材の退避とトレイの下降の組み合わせるなど)により退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトし、該先頭紙の排出を待つ。
以下、前記したと同様の手順を繰り返す。
[2]―2:揃え手順
揃え動作は前記したように、片側移動態様と両側移動態様がある。各移動態様を実行するための手順は、図1の画像形成装置50およびシート状媒体後処理装置51を統括する制御手段により実行される。制御手段は、マイクロコンピューターを具備している。
[2]-2-1:用紙サイズに応じて片側移動態様と両側移動態様を切り換える揃え手順
両側移動態様では揃え部材102a、102bが交互に積載済みの用紙の上面に接した態様となり、揃え動作に際して該用紙上面と擦れるので、特に、小サイズの用紙では積載済みの用紙が乱されるおそれがあるが揃え性はよい。これに対して、片側移動態様では揃え部材102a、102bは積載済みの用紙の上面に接する側の揃え部材は不動で他方の揃え部材が移動するので、揃え動作の過程で積載済みの用紙の上面に揃え部材が擦れることはなく、小サイズの用紙でも積載済みの用紙が乱されることはないが制御が複雑になる。揃え精度は片側移動態様も両側移動態様も同じである。
このように、両側移動態様では、小サイズ紙について仕分け揃え動作に付随して積載済み用紙の乱れのおそれがある反面、揃え部材の移動機構及び制御を比較的簡単にでき、例えば揃え部材102a、102bの移動機構を図43に示したようなラックとピニオンの機構とすることができ、揃え性もよい。
これに対して、片側移動態様では、小サイズ紙でも仕分け揃え動作に付随した積載済み用紙の乱れのおそれがない反面、揃え部材の移動機構が図7、図8などで示したように各揃え部材にそれぞれ移動機構およびモーターが必要であり、また、その制御も複雑である。
このように、揃え部材の移動態様には一長一短がある。本例では、揃え部材の移動機構を図7、図8などで示した駆動用のモーターが2つの構成を採用し、用紙サイズに応じて、両側移動態様と片側移動態様とを使い分けることとした。
図1の画像形成装置50およびシート状媒体後処理装置51を統括するメインスイッチをオンにすることにより、図24に示すイニシャルルーチンが実行される。このイニシャルルーチンでは、ステップP1で「トレイのシフト位置チェック」のサブルーチンが実行される。
このステップP1の「トレイのシフト位置チェックのサブルーチン」の内容を図25に示す。図25において、ステップP2にてソレノイド115がオンにされる。よって、図15においてレバー113がソレノイド115により引かれて揃え作動位置にある揃え部材102a、102bが図16に示すように退避位置に変位させられる。これはトレイ12のシフトに際して、揃え作動位置にある揃え部材102a、102bの下端部がトレイ12又はトレイ12上の用紙と干渉するのを避けるためである。
揃え部材102a、102bが退避位置に移行するのにはある程度の所要時間A1が必要なので、この時間を稼ぐためにステップP3でソレノイドタイマをリセットして計時を開始し、ステップP4でこのソレノイドタイマの計時がタイマの設定時間A1を超えるのを待ち、設定時間A1を経過したらステップP5に進む。
ステップP5でトレイ12をシフトさせるモーター44(図4参照)をオンにし、駆動する。このモーター44の回転方向は一定である。現在のトレイ12の位置がどこにあるかは不明であるので、位置確認を行なう。このため、ステップP6、ステップP7でホームセンサ48がオンするまでモーター44を回転させる。従って、ステップP7の時点で制御手段はエンコーダ47が図5又は図6に示す状態にあることを認識している。
このホームセンサ48がオンの状態からさらにモーター44を回転することにより、ホームセンサ48がオフになり(ステップP8)、次いでオン(ステップP10)になるまでの時間、つまり、現在のオンから次のオンまでの時間をシフトカウンタで計時し、この計時された時間の長短により、トレイ12の位置を認識する。このため、ステップP9でシフトカウンタをリセットして計時を開始する。
ステップP10でホームセンサ48がオンになったらステップP11でモーター44を停止(オフ)し、そのときのシフトカウンタの値をステップP12でチャックする。ステップP12において、シフトカウンタのカウント値が所定の値B1よりも大ならば、ステップP13でトレイ前フラグを1にするし、B1よりも大でないならばステップP14でトレイ前フラグを0にして、ステップP15でソレノイド115をオフにしてこのルーチンを終える。
因みに、シフトカウンタのカウント値が所定の値B1よりも大のときは図6に示すように長い切り欠き43Lに相当する時間を経過後の停止であり、所定の値B1よりも大でないときは図5に示すように短い切り欠き43Sに相当する時間を経過後の停止であり、この状態は、図4に示す状態に対応し、トレイ12は揃え部材102b側に移動している。
図24に示すイニシャルルーチンが終わると常に図26に示すメインルーチンが実行される。図26において、メインルーチンは、主として、用紙サイズに応じて揃え部材102a、102bを所定の受け入れ位置に移動させるステップP20の揃え部材サイズ別移動制御のサブルーチン、用紙の搬送を制御するステップP21の用紙搬送制御のサブルーチン、両側移動態様に係るステップP23のジョギング制御のサブルーチン、片側移動態様に係るステップP24のジョギング制御のサブルーチン、トレイ12上の用紙Sと揃え部材102a、102bとの干渉を避けるためのステップP25のシフト制御のサブルーチンなどからなる。ここで、ステップP25のサブルーチンは、図31、図32、図33に示した各シフト制御のルーチンの何れかの1つを任意に選択して実行することができる。
図27により、揃え部材サイズ別移動制御について説明する。ステップP30では、これからトレイ12上に排出されてくる用紙Sのサイズが用紙チェックされる。用紙サイズは例えば、画像形成装置50においてオペレーターが指示した用紙サイズ情報などに基いて得られる。用紙サイズがチェックされることにより、揃え部材の受け入れ位置(図8参照)や揃え位置(図9参照)などが決まる。
揃え部材102a、102bはホームポジション(図7参照)に位置しており、かつ、図15に準拠した揃え作動位置にあるままだと、このまま受け入れ位置に移動させると、もしもトレイ12上に既に用紙が積載されている場合には、この用紙と揃え部材102a、102bとが干渉してしまう。
これを回避するには、<1>揃え部材102a、102bを移動させる方法、<2>トレイ12を移動させる方法、<3>揃え部材102a、102bを移動させると共にトレイ12を移動させる方法、の3つがある。ここでは、<1>の方法を採用した。
揃え部材102a、102bは図16に示す退避位置におかれる。そのための手順として前記図25におけるステップP2、P3、P4に準じたステップP31、P32、P33の動作が行なわれる。こうして揃え部材102a、102bが図16に示す退避位置に移動した後、ステップP34において、図7のステッピングモーター104a、104bが駆動し、揃え部材102a、102bはシフト方向cであって互いに接近する向きに移動し用紙サイズに応じた図8の受け入れ位置に向かう。
ステッピングモーター104a、104bに所定のパルス入力され、揃え部材102a、102bの移動が終わると、それまでオン状態だったソレノイド115がステップP36でオフにされ、揃え部材102a、102bは自重により回動して図15に示す揃え作動位置に移動する。これにより、揃え部材102a、102bは図8に示す受け入れ位置であって、図15に示す揃え作動位置にあることになる。
図28により用紙搬送制御について説明する。この制御ではステップP37で排紙センサ38(図1参照)がオンしたか、つまり、用紙Sが排出されてきたかどうかがチェックされる。用紙Sの排出がステップP37で確認されると、今度は、ステップP38でシフトコマンドを当該制御手段が受信したかどうかがチェックされる。このシフトコマンドは、仕分けを行なうべきことを指令する信号で、搬送されてくる用紙が仕分けをする部の先頭紙であるときにこの用紙に付随している信号である。
排紙センサ38でチェックされた用紙Sがシフトコマンドを伴うものでなければ、つまり、今度排出される用紙が部の先頭紙でなければ、揃え動作を行なう必要があるので、ステップP39で排紙センサ38がオフ、つまり用紙Sが排紙センサ38を通過したことを条件としてステップP40で揃え動作に関連するジョギングフラグを1にし、ステップP41でジョギングタイマをリセットしてリターンへ抜ける。
また、排紙センサ38でチェックされた用紙Sがシフトコマンドを伴うものであれば、つまり、今度排出される用紙が部の先頭紙であれば、ジョブの最初の1枚目であり、トレイ12を予め現在位置からシフト方向cにシフトしてこの先頭紙を受け入れる必要があるので、ステップP42でシフト動作に関連するシフトフラグを1にしてリターンへ抜ける。
図27における用紙搬送制御を終えると、図25に示すステップP22で用紙サイズのチェックが行なわれ、ここで用紙サイズが所定より小さい場合には揃え部材について、片側移動態様にかかるステップP23に進むし、所定より大きい場合には両側移動態様にかかるステップP24に進む。
図29により、片側移動態様にかかるジョギング制御を説明する。なお、この片側移動態様の具体例については図19ないし図22で説明した。
ステップP50で前記ステップP42でジョギングフラグ1なら、ステップP51に進む。ステップP51では、ステップP43のジョギングタイマリセットからジョギングタイマで計時開始しトレイ12上に積載されるまでの時間Cの経過を待ってステップP52に進む。
ステップP52でトレイ前フラグ0なら図4、図5に示したようにトレイ12は後側にシフトしており、ステップP53に進み、ステッピングモーター104aにパルスを送り駆動して揃え部材102aを移動させ、ステッピングモーター104bにはパルスを送らず励磁することにより揃え部材102bを不動とし、揃え動作におけるストッパ機能を果たさせる。
ステップP52でトレイ前フラグ1ならステップP54に進み、上記と逆に、ステッピングモーター104bにパルスを送り駆動して揃え部材102bを図11に示す受け入れ位置から図12に示す揃え位置に移動させて揃える。このとき、ステッピングモーター104aにはパルスを送らず励磁することにより揃え済みの用紙上に接している揃え部材102aを不動とし、揃え動作におけるストッパ機能を果たさせる。
ここで、揃え動作に際して一方の揃え部材が不動であり、ストッパ機能を果たし、他方の揃え部材が用紙の端面に接するように移動するので、既に揃えられた用紙の揃え状態を乱さずに揃え動作を行なうことができる。また、電流制御という簡単な方法で2つのステッピングモーターのブレーキ機能を切り換えて、揃え動作を実行できる。
移動側の揃え部材は図9に示す揃え位置まで移動したら再び図8に示す受け入れ位置に戻り、揃え動作を終了する。ステップP55で揃え動作の終了が判断されたら、ステップP56でジョギングフラグをリセットしてリターンへ抜ける。図29の制御では、部の枚数分の排紙が終わるまで、用紙排出の毎にステップP24またはステップP23のジョギング動作が繰り返される。
図30により両側移動態様のジョギング制御について説明する。なお、この両側移動態様の具体例については、図23により説明した。
ステップP60で前記ステップP42でジョギングフラグ1なら、ステップP61に進む。ステップP61では、ステップ50と同様、ステップP43のジョギングタイマリセットからジョギングタイマで計時開始しトレイ12上に積載されるまでの時間Cの経過を待ってステップP62に進む。
ステップP62では、ステッピングモーター104a、104bにパルスを送り両方を駆動して揃え部材102a、102bを移動させ揃え動作を行なう。1対の揃え部材が図9に示す揃え位置から図8に示す受け入れ位置に復帰したら揃え動作を終了する。ステップP63で揃え動作の終了が判断されたら、ステップP64でジョギングフラグをリセットしてリターンへ抜ける。図30の制御では、部の枚数分の排紙が終わるまで、用紙排出の毎にステップP62のジョギング動作が繰り返される。
図28の制御において、ステップP38でシフトコマンド信号を伴う用紙の通過が判断されると、この用紙は部の先頭紙であるので、この用紙がトレイ12に積載されるまでの間にトレイ12をシフトさせて仕分けを行なうため、トレイをシフト方向cの現在位置と反対側にシフト動作がなされる。このため、図28において、ステップP42でシフトフラグを1にしリターンに抜ける。その上で、図26のシフト制御25でトレイをシフトさせる。このシフトに際しては、トレイ12上に既に積載された用紙があり、そのままシフトさせると揃え部材102a、102bの下端部と干渉して揃え状態を乱す。
これを回避するには、<1>揃え部材102a、102bを移動させる方法、<2>トレイ12を移動させる方法、<3>揃え部材102a、102bを移動させると共にトレイ12を移動させる方法、の3つがある。
a.<1>揃え部材102a、102bを移動させる方法による制御例を説明する。
図31において、ステップP70でシフトフラグ1である(図28のステップP42)場合、ステップP71でソレノイド115(図15)をオンにする。これにより、揃え部材102a、102bは図16に示す退避位置に退避する。尤も、図16に示す退避位置に移動するには時間を要するので、この時間を待ってシフトさせる必要がある。このため、ステップP72でソレノイドタイマをリセットして計時を開始し、ステップP73で退避位置になるための時間Dが経過したことを条件としてステップP74でモーター44(図4参照)を駆動する。
ステップP75、P76により、図4に示すモーター44の回転によりホームセンサ48がオフしてからオンするまで回転することで、トレイ12を図5に対応する後側から図6に対応する前側,或いは図6に対応する前側から図5に対応する後側へシフトさせる。
シフト後はステップP77でモーターをオフにし、ステップP78ないしステップP80で、トレイ前フラグを0から1或いは1から0に置き換えることで、揃え部材の不動側と、移動側とが図28のステップP52ないしステップP54で切り換えられるようにした上で、ステップP81でソレノイド115(図15)をオフにする。これにより、揃え部材は図15に示す揃え作動位置になる。次のシフトコマンドのない用紙について揃え動作を行なわせるため、ステップP82でシフトフラグを0にしてリターンに抜ける。
b.<2>トレイ12を移動させる方法による制御例を説明する。
図32において、ステップP90でシフトフラグ1である場合、ステップP91で上下モーター71を駆動してトレイ12を下降させる。所定の下降量で止めるため,ステップP92でトレイ下降タイマをリセットして計時を開始し、ステップP93で所定の下降量に相当する時間Eの経過を待って、ステップP94でモーター44を停止する。
図31におけるステップP74ないしステップP76に相当するステップP94ないしステップP97において、トレイ12を現在と反対側にシフトし、ステップP97ないしステップP100で、トレイ前フラグを0から1或いは1から0に置き換えることで、揃え部材の不動側と、移動側とが図29のステップP52ないしステップP54で切り換えられるようにした上で、ステップP101で上下モーター71を下降時における回転方向と逆転させてトレイ12を上昇させる。
ステップP102で、トレイ12が図2に示す紙面レバー73及び紙面センサ75(74)により検知されるホームポジションに至ると、ステップP103で上下モーター71が停止し、トレイ12の上下方向の位置が定まる。この位置は揃え部材102a、102bとの関係でも揃え動作に適当な位置である。ステップP104でシフトフラグを0にしてリターンに抜ける。
c.<3>揃え部材102a、102bを移動させると共にトレイ12を移動させる
方法による制御例を説明する。
図33において、ステップP110でシフトフラグ1であるので、ステップP110でソレノイド115(図15)をオンにする。これにより、揃え部材102a、102bは図14に示す退避位置に退避する。ステップP112で上下モーター71を駆動してトレイ12を下降させる。
所定の下降量で止めるため,ステップP113でトレイ下降タイマをリセットして計時を開始し、ステップP114で所定の下降量に相当する時間Fの経過を待って、モーター44を停止する。
時間Fは揃え部材102a、102bの退避とトレイ12の下降とが行なわれるケースであるので、適正なトレイ12の下降量は上記bとは異なり少なくすることができるので、ステップP93における設定時間Eとは必ずしも同じにならない。
ステップP115ないしステップP121までのプロセスは図31のフローにおけるステップP74ないしステップP80に準じて行なわれ、トレイ12のシフトと、トレイ前フラグの設定変更が行なわれる。
トレイ12のシフト後、ステップP122でソレノイド122がオフとなり、揃え部材102a、102bは図15に示す揃え作動位置になる。ステップP123ないしステップP126までのプロセスは図32のフローにおけるステップP101ないしステップP104に準じて行なわれ、トレイ12を排紙と揃え動作に適するトレーホームポジションに位置決めした上で、シフトフラグを0にしてリターンに抜ける。
[2]―2―2:両側移動態様のみによる揃え手順
図1の画像形成装置50およびシート状媒体後処理装置51を統括するメインスイッチをオンにすることにより、図34に示すイニシャルルーチンが実行される。このイニシャルルーチンでは、ステップP131で「トレイのシフト位置チェック」のサブルーチンが実行される。
このステップP131の「トレイのシフト位置チェックのサブルーチン」の内容を図35に示す。図35において、ステップP132ないしステップP140までのプロセスと図25におけるステップP2ないしステップP11におけるプロセスとを比較した場合、図35には図25におけるステップP9がない点を除けば同じで、トレイ12が図4における後側にシフトした状態となる。
図35には図25におけるステップP9がないのは、両側移動態様では揃え部材102a、102bの両方が移動する揃え動作であるので揃え動作においてトレイ12のシフト方向での位置に対応させて揃え部材102a、102bの一方を不動側、他方を移動側にするという対応づけをする必要がなく、その制御に関わるシフトカウンタの計時のためのシフトカウンタリセットも必要ないからである。同様の理由により、図25におけるステップP12ないしステップP14を省いたプロセスとなっている。
トレイ12がシフト後、ステップP140でモーター44が停止し、ステップP141でソレノイド115をオフにして揃え部材102a、102bを図15の揃え作動位置にする。
図34に示すイニシャルルーチンが終わると常に図36に示すメインルーチンが実行される。図36において、メインルーチンは、主として、用紙サイズに応じて揃え部材102a、102bを所定の受け入れ位置に移動させるステップP150の揃え部材サイズ別移動制御のサブルーチン、用紙の搬送を制御するステップP151の用紙搬送制御のサブルーチン、両側移動態様に係るステップP152のジョギング制御のサブルーチン、トレイ12上の用紙Sと揃え部材102a、102bとの干渉を避けるためのステップP153のシフト制御のサブルーチンなどからなる。ここで、ステップP153のサブルーチンは、図38、図39、図40に示した各シフト制御のルーチンの何れかの1つを任意に選択して実行することができる。
ステップP150にかかる揃え部材サイズ別移動制御は、図27で説明したプロセスと全く同じなので説明は省略する。また、ステップP151にかかる用紙搬送制御は、図28で説明したプロセスと全く同じなので説明は省略する。
図37により、両側揃え動作にかかるジョギング制御を説明する。ステップP180で図28におけるステップP40でジョギングフラグ1なら、ステップP181に進む。ステップP181では、図28におけるステップP41のジョギングタイマリセットからジョギングタイマで計時開始しトレイ12上に積載されるまでの時間Cの経過を待ってステップP182に進む。
ステップP182では、ステッピングモーター104a、104bにパルスを送り駆動して揃え部材102a、102bを同時に両方移動させ揃え動作をする。
ステップP183で揃え動作終了が判断されると、ステップP184でジョギングフラグをリセットしてリターンへ抜ける。図37の制御では、部の枚数分の排紙が終わるまで、用紙排出の毎にステップP182の揃え動作が繰り返される。この動作の具体例は図23で説明した。
図示を省略したステップP151にかかる用紙搬送制御に相当する図28の制御において、ステップP38でシフトコマンド信号を伴う用紙の通過が判断されると、この用紙は部の先頭紙であるので、この用紙がトレイ12に積載されるまでの間にトレイ12をシフトさせて仕分けを行なうため、トレイをシフト方向cの現在位置と反対側にシフト動作がなされる。このため、図28において、ステップP42でシフトフラグを1にしリターンに抜ける。その上で、図36のシフト制御153でトレイをシフトさせる。このシフトに際しては、トレイ12上に既に積載された用紙があり、そのままシフトさせると揃え部材102a、102bの下端部と干渉して揃え状態を乱す。
これを回避するには、<1>揃え部材102a、102bを移動させる方法、<2>トレイ12を移動させる方法、<3>揃え部材102a、102bを移動させると共にトレイ12を移動させる方法、の3つがある。
A.<1>揃え部材102a、102bを移動させる方法の制御例を図38により説明する。
図38において、揃え部材102a、102bを退避させてからシフト用のモーター44をオンするまでのステップP190ないしステップP194までのプロセスは図31におけるステップP70ないしステップP74におけるプロセスに準じて行なわれる。ホームセンサ48の検知結果によりシフト終了がステップP195で検知されると、ステップP196でモーター44をオフにしてステップP197でソレノイド115をオフにして揃え部材102a、102bを図15に示す揃え作動位置に戻し、ステップP198でシフトフラグを0にしてリターンに抜ける。
B.<2>トレイ12を移動させる方法による制御例を図39により説明する。
図39において、トレイ12を下降させてからトレイ12をシフト駆動させるステップP200ないしステップP204までのプロセスは、図32におけるステップP90ないしステップP94までのプロセスに準ずる。ホームセンサ48の検知結果によりシフト終了がステップP205で検知されると、ステップP206でモーター44を停止し、ステップP207で上下モーター71を逆転させてトレイ12を上昇させる。以後のステップP208ないしステップP210までのプロセスは、図32におけるステップP102ないしステップP104までのプロセスに準ずる。
C.<3>揃え部材102a、102bを移動させると共にトレイ12を移動させる方法による制御例について、図40により説明する。
図40において、トレイ12を下降させ、かつ、揃え部材102a、102bを退避位置に退避させてからトレイ12をシフト駆動させるステップP211ないしステップP216までのプロセスは、図33におけるステップP110ないしステップP115までのプロセスに準ずる。
ステップP217でホームセンサ48の検知結果によりトレイ12のシフト終了が判断されたら、ステップP218でモーター44を停止し、ステップP219でソレノイド115をオフにして揃え部材102a、102bを図13に示す揃え作動位置に戻し、ステップP220で上下モーター71を逆転させてトレイ12を上昇させる。
以後のステップP221ないしステップP223までのプロセスは、図33におけるステップP124ないしステップP126までのプロセスに準ずる。
[2]―2―3:片側移動態様のみによる揃え手順
片側移動態様のみによる揃えて順は、前記「用紙サイズに応じて片側移動態様と両側移動態様を切り換える揃え手順」にかかる手順中、図26のフローでステップP22で用紙サイズにかかわらずステップP23に進むようにして、ステップP22、ステップP24をなくするとともに、両側移動態様にかかる図30の手順をなくしたプロセスにより実行できる。
[3]ケース5に対応する例
本例は、用紙に画像形成を行なう画像形成手段及び画像形成された用紙を搬送する搬送手段を有する画像形成装置に関するもので、図41に示した画像形成装置50'は、図1における画像形成装置50と共通の画像形成手段を具備している。画像形成装置50'は、前記[ケース1]で図1ないし図17により説明した構成に準じた用紙処理装置を具備している。
図41に、画像形成手段及び用紙処理装置(シート状媒体処理装置)の主要な部材を示す。画像形成装置の内容をなす用紙処理装置は、前記図1ないし図39で説明した用紙処理装置と共通の構成を具備しているので、それらの部材と機能的に同じ部材については、煩雑を避けるため、図41においても前記図1ないし図17に付したものと同じ符号を付している。それらは、排紙コロ3、台座8、寄せローラ9、トレイ12、紙面レバー13、フレーム90、排紙センサ38、紙面センサ74、75、揃え部材102a、102b等である。
画像形成装置50'について、図41を参照しながら説明する。装置本体のほぼ中央部に画像形成部135が配置され、この画像形成部135のすぐ下方に給紙部136が配置されている。給紙部136給紙カセット210を備えている。
画像形成装置50'の上部には必要に応じて、原稿を読み取る原稿読み取り装置(図示せず)を配設することができる。画像形成部135の上部は、画像形成された用紙を搬送する搬送手段としてのローラRRやガイド板等が設けられている。
画像形成部135には、装置を電気的に駆動したり、制御したりする電装ユニットQが配置されている。また、ドラム状をした感光体500が配置されている。この感光体500の周囲に、該感光体500の表面に帯電処理を行う帯電装置600、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する露光装置700、感光体500の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化する現像装置800、感光体500上で可視化されたトナー像を用紙に転写する転写装置900、転写後感光体表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置1000等がそれぞれ配置されている。
これら、感光体500、帯電装置600、露光装置700、現像装置800、転写装置900、クリーニング装置1000等は画像形成手段の主要部をなす。感光体500の略上方であって、感光体500よりも用紙搬送経路上の下流位置には、定着装置140が配置されている。
画像形成装置がプリンタとして機能する場合、画像形成に際しては、画像信号が入力される。予め、感光体500は暗中にて帯電装置600により一様に帯電されている。この一様に帯電された感光体500に、画像信号に基づいて露光装置700のレーザダイオードLD(不図示)の発光により露光光が照射され、公知のポリゴンミラーやレンズを介して感光体に至り、感光体500の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体500の回転と共に移動し、現像装置800により可視像化され、さらに移動して転写装置900に向かう。
一方、給紙部136の給紙カセット210には、未使用の用紙が収容されており、回動可能に支持された底板220上の最上位置の用紙Sが給紙ローラ230に押し付けられるように、底板220がばね240により加圧されるようになっている。転写のための給紙に際しては、給紙ローラ230が回転し、この回転により、用紙Sは給紙カセット210から送り出され、一対のレジストローラ1400へと搬送される。
レジストローラ1400に送られてきた用紙は、ここでその搬送が一時的に止められる。レジストローラ1400は、感光体500の表面のトナー像と用紙Sの先端との位置関係が転写装置900が設けられた転写位置で画像転写に適する所定の位置になるよう、タイミングをとって用紙の搬送を開始する。
転写を終えた用紙は定着装置140を通過する間にトナー像が定着される。定着装置140を通過した用紙は搬送手段であるローラRRにより搬送され、排紙センサ38を経て、排紙コロ3よりトレイ12へ排出される。
以後の用紙処理装置による用紙揃えの機能については、前記[ケース1]で述べた内容と同じであるので、説明は省略する。
本例の画像形成装置においても、既にトレイ上に積載された用紙Sに対して揃え部材により揃え動作を行なうのであるから、高精度にシート状媒体を揃えることができる。
[4]ケース6に対応する例
本例は、画像形成装置と後処理装置との組み合わせからなる画像形成後処理装置に関するもので、図41に示した画像形成装置50'から台座8、寄せローラ9、トレイ12、紙面レバー13、フレーム90、排紙センサ38、紙面センサ74、75、揃え部材102a、102b等の用紙処理装置にかかる主要な構成を除いた構成と、図1に示した後処理装置51から台座8、寄せローラ9、トレイ12、紙面レバー13、フレーム90、排紙センサ38、紙面センサ74、75、揃え部材102a、102b等の用紙処理装置の主要な構成を除いた構成に、1つのまとまりをなす装置として構成されたシート状媒体処理装置を組み合わせた構成からなる。これらは、全体として1つの装置を構成し、画像形成後処理装置と称される。
具体的には、図42に示すように図43に示した画像形成装置50'から上記用紙処理装置の主要なを除いた構成の画像形成装置50"と、この画像形成装置50"よりも用紙搬送方向Vの下流に配置されている装置であって図1に示した後処理装置51から上記用紙処理装置の主要な構成を除いた構成の後処理装置51'と、この後処理装置51'よりも用紙搬送方向の下流に位置している装置であって単独の装置として構成された用紙処理装置(シート状媒体処理装置)650からなる。
画像形成装置50”の内部構成については、前記図41において説明した内容と共通であるので内部の構成は図示を省略した。後処理装置51’の内部構成については、前記図1などにおいて説明した内容と共通であるので、内部の構成は図示を省略した。
独立の装置として構成された用紙処理装置650については、前記図1ないし図17で説明した用紙処理装置と共通の構成を具備しているので、それらの部材と機能的に同じ部材については、煩雑を避けるため、図42においても前記図1ないし図17に付したものと同じ符号を付している。それらは、排紙コロ3、台座8、寄せローラ9、トレイ12、紙面レバー13、フレーム90、揃え部材102a、102b等である。これらの部材はフレーム90に組み付けられて、用紙処理装置650を構成している。
図42において、画像形成装置50"から搬送手段により送られた用紙は、後処理装置51'に至り、ここで選択により、後処理がなされ、或いは後処理されずに、搬送手段により次の用紙処理装置650に送られる。用紙処理装置650では、トレイ12の動作により仕分けが行なわれるとともに、揃え部材102a、102bの揃え動作によりきれいに揃えられる。
なお、以上の説明において、揃え部材102a、102bについて両側移動態様を採用した場合には、揃え部材102a、102bをシフト方向に移動する揃え部材移動手段に関し、図43に示すようにラックとピニオンによる機構を採用することができ、ステッピングモーター104a、104bやタイミングベルト106a、106b等を使用する前記[1]―2−2dにおける例と比べて構成を簡易にすることができる。
図43において、揃え部材102aの上部はラック150aに軸108a'により枢着されている。この軸108a'は図15における軸108に対応する。揃え部材102aはラック150aに形成したスリット150a1内を回動可能であり、揃え作動位置では自重によるモーメントで、図15に示した軸110に対応する軸110a'に押動面102a4が当接することにより回動を阻止されるようになっている。但し、軸110a'は図15における軸110とは異なり該軸110a'自体が上下に動くようにはなっておらず。ラック150aに固定されている。軸108a'と軸110a'の位置関係は図14に示した軸108と実線で示した軸110の関係に準じた関係にあり、軸110a'を中心にして押動面102a4の反対側に揃え部材102aの下端部が位置しているので、図1
5で説明した揃え作動位置におくことができる。
同様に、揃え部材102bの上部はラック150bに軸108'により枢着されている。この軸108b'は図15における軸108に対応する。揃え部材102bはラック150bに形成したスリット150b1内を回動可能であり、揃え作動位置では自重によるモーメントで、図15に示した軸110に対応する軸110b'に押動面102b4が当接することにより回動を阻止されるようになっている。但し、軸110b'は図15における軸110とは異なり該軸110b'自体が上下に動くようにはなっておらず。ラック150bに固定されている。軸108b'と軸110b'の位置関係は図14に示した軸108と実線で示した軸110の関係に準じた関係にあり、軸110b'を中心にして押動面102b4の反対側に揃え部材102bの下端部が位置しているので、図15で説明し
た揃え作動位置におくことができる。
これらのラック150a、150b間にはピニオン151が共通に噛み合わされており、ピニオン151は正逆転可能な図示しないステッピングモーターにより回転駆動されるようになっている。また、これらのラック150a、150bは図示しない案内手段によりシフト方向cに移動方向を限定されて移動できるように案内手段により摺動可能に支持されている。
これらのラック150a、150b、ピニオン451、揃え部材102a、102bのシフト方向c上での位置を決めるホームポジションセンサ107c、ステッピングモーターなどは、揃え部材102a、102bをシフト方向c上、互いに接近しまた離間する向きに往復動させる往復動機構の一例であり、揃え部材の移動手段を構成する。
揃え部材の移動手段として図43に示すようなラックとピニオンによる機構を採用した場合には、揃え部材の退避手段としては、前記[1]―2−2fで説明した構成に代えて図44に示すようにフレーム90'全体を揺動させる構成を採用することができる。フレーム90'には図43に示したラック150a、150bなどが装着されている。
図44において、フレーム90'からは、シフト方向cに軸86が延びていて、この軸86は両端部がそれぞれ本体85に軸支されている。本体85は例えば図1における後処理装置51の一部である。取り付け位置は、排紙コロ3の上方位置とする。排紙コロ3の上方位置に揃え部材102a、102bを支持すれば、トレイ12の上下動や、用紙の排出動作に影響を与えることなく、揃え部材102a、102bを動作させることができるので、構成の複雑化を免れることができる。
フレーム90'は、軸86を支点として揺動可能であり、揃え部材102a、102bもフレーム90と共に揺動する。軸86の一端側にはアーム87が固定されている。アーム87の自由端側にはワイヤを介してソレノイド88のプランジャが連結されている。
アーム87の自由端側は、緊縮性のばね91によりソレノイド88側と反対側に付勢されていて、揃え部材102a、102bが実線で示す揃え作動位置にあるときに、ストッパ92により該付勢による回動が阻止されている。
ここで、揃え作動位置とは、前記図17で説明したように、トレイ12上に用紙Sがなければ下端部は凹部80a、80b内にあり、トレイ12上に用紙Sがあれば揃え部材102a、102bは最上面の用紙Sと自重で接する位置である。
図44で、ソレノイド88は本体85に固定されており、ソレノイド88をオン状態にすると、プランジャによりアーム87が引かれて、2点鎖線の位置に移動し、フレーム90'も揃え部材102a、102bと共に回動して図44に2点鎖線で示すように、トレイ12上から離間した上方に移動し、退避位置に変位する。また、ソレノイド88をオフにすれば、アーム87はストッパ92に係止された実線で示す揃え作動位置に復帰する。ここで、ソレノイド88、アーム87、ストッパ92等は、揃え部材102a、102bを揃え作動位置と、退避位置とをとり得るように変位させる退避手段120を構成している。
また、ラックとピニオンを使用する別の構成例として、図44のようにフレーム90'を揺動させて退避させるのではなく、図10、図12、図13の例において揃え部材102a、102bと係合関係にある受け台105a、105bに図43のピニオン151を伴うラック150a、150b(但し、これらラック150a、150bには図43に示した揃え部材102a、102bを設けていない)を固定し、タイミングベルト106a、106b及びステッピングモーター104a、104bを削除した構成とすることにより、図14で説明したように、揃え部材102a、102bのみを揺動させる構成を採用することもできる。