JP2010160011A - ガスセンサ制御装置及びガスセンサ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体電解質体13,23および固体電解質体に設けられた一対の電極12、16、22、28を備えるセル14、24を有するガスセンサ8と、ヒータ43と、セルに通電するセンサ駆動回路52と、ヒータ制御回路60と、配線異常を検出する配線異常検出手段58と、配線異常を検出するとヒータの最大電圧未満でかつセルの活性化温度を維持可能な電圧以上の中間電圧でヒータを通電し、配線異常の発生が所定頻度を超えた場合には、異常を確定してガスセンサを非通電にする制御手段9とを備えたガスセンサ制御装置1である。
【選択図】図2
Description
これらのガスセンサは、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質の表面に一対の電極を形成してなるセルを1つないし複数備えたガスセンサ素子を有し、このガスセンサ素子からの出力に基づいて特定ガスの濃度検出を行っている。
又、これらのガスセンサは、固体電解質を活性化させるためのヒータを内蔵している。
このうち、保護用通電状態は、セルとセンサ駆動回路との間の導通を電気的に遮断して、ガスセンサに電流が流れないようにし、ガスセンサを保護する。又、活性前通電状態は、微小電流を通電することで、例えば酸素濃度検知セルの基準酸素室に基準濃度となる酸素を蓄積し、ガス濃度測定に備えるモードである。
このようなことから、配線異常を検出した場合に、センサ駆動回路側とガスセンサとの接続を電気的に遮断して保護用通電状態とし、その後、異常内容と異常発生箇所とを診断する技術が開発されている(特許文献1参照)。これにより、ガスセンサに異常電流が流れ続けることがなくなり、ガスセンサを破損させないようにしている。
このようなことから、直前の状態が活性前通電状態であるときにのみ、ガス濃度測定用通電状態への切り替えを許容することで、ガスセンサを破損させずに異常を検出する技術が開発されている(特許文献2参照)。これにより、仮に配線異常が生じていても、ガスセンサに微小電流を流す活性前通電状態であれば、ガスセンサの印加電圧が正常範囲を逸脱することから配線異常を検出できる。
一方、配線が正常であるにも係らず異常であると誤検出したり、配線異常が直ぐに解消することがあり、配線異常を検出して直ちにヒータの加熱をオフにすると、配線異常が解消されガスセンサを正常に復帰(作動)させようとしても、ガスセンサが冷え過ぎているため作動までに時間を要する。
すなわち、本発明は、暫定的に配線異常を検出したが異常を確定するに至らない場合には、異常が解消された時にガスセンサを速やかに正常復帰させることができると共に、異常確定後はガスセンサを非通電にして配線異常時の通電によるガスセンサの破損を防止することができるガスセンサ制御装置及びガスセンサ制御方法の提供を目的とする。
このような構成とすると、ひとまず暫定的に異常を検出したが、異常を確定するに至らない場合には、中間電圧でヒータを適度に加熱するため、異常が解消されれば直ちにガスセンサの正常な動作に復帰できる。従って、配線異常が解消されてガスセンサを正常に作動させようとしても、ガスセンサが冷え過ぎて起動に時間を要することが防止される。
一方で、異常確定後はガスセンサを非通電にするので、配線異常時の通電によるガスセンサの破損を防止する。又、異常確定後も中間電圧でヒータを適度に加熱すれば、ガスセンサが昇温され過ぎるのを防止すると共に、ガスセンサの適度な加熱が続くので、被測定ガス中のカーボン等によるガスセンサの被毒を防止することができる。
このような構成とすると、異常確定後はヒータを非通電にするので、異常確定後もヒータを加熱し続けてガスセンサが昇温され過ぎることをより確実に防止する。
このような構成とすると、異常確定の情報に応じて、操作者(自動車の運転者等)にガスセンサが異常であることを報知し、対応を促すことができる。通常、ガスセンサ制御装置を一旦停止した後、再び起動すると、前回に確定された異常が解消されることがあるにも係らず、異常確定が繰り返されている場合などには、異常が深刻であることが多いからである。
図1は、電子制御ユニット(ECU)5を含む、本発明の実施形態に係るガスセンサ制御装置1(内燃機関制御システム)の構成を示す概略図である。なお、ガスセンサ制御装置1は、内燃機関(エンジン)の運転状態を制御するための各種制御処理を実行し、被測定ガス(排気ガス)に含まれる特定ガス(酸素など)の濃度を検出する処理を実行している。
ガスセンサ制御装置1は、電子制御ユニット5、ガスセンサ8を備え、ガスセンサ8はエンジンの排気管に取り付けられている。電子制御ユニット5は、ガスセンサ8(センサ素子10)を制御するセンサ制御回路2、エンジン制御装置9(以下、「エンジンCPU」9ともいう)、ヒータ43を制御するヒータ制御回路60を備え、センサ制御回路2はセンサ駆動回路52を含んでいる。エンジン制御装置9は、ヒータ制御回路60に接続され、センサ素子10の温度が作動温度(以降、活性化温度ともいう、たとえば550〜900℃)となるようにヒータ制御回路60を制御する。又、エンジン制御装置9は、伝送ケーブル71を介してセンサ制御回路2に接続されてセンサ制御回路2を制御する。
なお、センサ制御回路2は、例えばASIC(特定用途向け集積回路)として実現することができる。又、ガス検出信号は、被測定ガス中の酸素濃度に応じて変化し、酸素濃度を測定するために用いられる。一方、素子抵抗値信号は、ガスセンサ8の電気抵抗値を示し、ガスセンサ8の温度に応じて変化するが、素子抵抗値信号の検出及びガスセンサ8の温度の算出は公知の手法を用いて行うことができるため、詳細は省略する。
なお、本実施形態において、ヒータ43を最大実効電圧(=バッテリVBの電源電圧、本実施形態では12V)で印加するときを通電率(デューティ)100%とし、最大実効電圧以下の電圧を印加する際の通電率を0%〜100%未満の間で変化させることにより、ヒータ43への印加電圧を制御している。そして、この制御は、エンジン制御装置9が、通電率で決まる上記ヒータオン信号をヒータ制御回路60に出力し、ヒータ制御回路60がヒータオン信号に従ってオン・オフすることで行われる。つまり、本実施形態では、ヒータ43への通電をPWM制御している。
但し、PWM制御の代わりに、定電圧源によってヒータ43への通電制御を行ってもよい。
なお、エンジン制御装置9の記憶部のうち、EEPROM(書き込み、消去可能な不揮発性メモリ)9mには、後述する異常確定情報が記憶され、該情報はガスセンサ制御装置1の停止後もEEPROM9mに保持される。
EEPROM9mが特許請求の範囲の「記憶手段」に相当する。
なお、エンジン制御装置9が特許請求の範囲の「制御手段」、「及び報知手段」に相当する。
酸素ポンプセル14は、部分安定化ジルコニア(ZrO2 )により板状に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体13と、その表面と裏面のそれぞれに主として白金で形成された第1ポンプ電極12、第2ポンプ電極16を有している。第1ポンプ電極12は、配線63を介して電子制御ユニット5の第3接続端子19に電気的に接続されており、第2ポンプ電極16は、配線62を介して電子制御ユニット5の第2接続端子17に電気的に接続されている。なお、第1ポンプ電極12は、多孔質保護層29に覆われており、多孔質保護層29により被毒物質などから保護されている。
酸素濃度検知セル24は、部分安定化ジルコニア(ZrO2 )により板状に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体23と、その表面と裏面のそれぞれに主として白金で形成された第1検知電極22、第2検知電極28を有している。第1検知電極22は、配線62を介して電子制御ユニット5の第2接続端子17に電気的に接続されており、第2ポンプ電極16とも電気的に接続されている。第2検知電極28は、配線61を介して電子制御ユニット5の第1接続端子15に電気的に接続されている。
酸素ポンプセル14と酸素濃度検知セル24との間には、多孔質拡散層18および上記絶縁層(図示省略)により包囲された中空状の測定室20が形成されている。測定室20は、多孔質拡散層18(詳細には、多孔質部)を介して測定ガス雰囲気と連通されている。また、測定室20の上面に第2ポンプ電極16が露出し、測定室20の下面に第1検知電極22が露出している。
そして、第2検知電極28は、補強板30と酸素イオン伝導性固体電解質体23との間に挟み込まれて外部と遮断され、第2検知電極28の周囲には密閉空間としての基準酸素室26が形成されている。従って、第2検知電極28から第1検知電極22に向かう方向に微小な定電流Icpを通電し、測定室20から第2検知電極28の側に酸素をポンピングすることにより、基準酸素室26に略一定濃度の酸素が蓄積される。このようにして基準酸素室26の酸素は、酸素濃度を検出する際の基準酸素濃度となる。
まず、被測定ガス(排気ガス)が、多孔質拡散層18を介して測定室20に拡散する。このとき、エンジンに供給される混合気(つまり、測定室20中の被測定ガス)が理論空燃比に保たれている状態では、測定室20と酸素濃度の基準となる基準酸素室26との間の酸素濃度差により、酸素濃度検知セル24に450[mV]の起電力が発生する(第1検知電極22と第2検知電極28との間に450[mV]の電位差が生じる)。
ところで、エンジンに供給される混合気の空燃比の変化に応じて、排気ガスに含まれる酸素濃度は変化し、測定室20に含まれる被測定ガス中の酸素濃度も変化する。そこで、本実施形態の内燃機関制御システム1では、第1検知電極22と第2検知電極28との間の電位差が450[mV]に保たれるように、センサ制御回路2によって酸素ポンプセル14に流れるIp電流を制御する。つまり、測定室20の雰囲気が理論空燃比と同じ状態になるようにIp電流を制御することで、酸素ポンプセル14によって酸素のポンピングが行われる。
また、センサ駆動回路52は、センサ素子10との接続端子(Vs+端子、COM端子、Ip+端子)、PID制御回路56の特性を決める素子を外付けするための端子(P1端子、P2端子、Pout端子)、及びエンジン制御装置9から出力された通電状態の切換指令に応じてセンサ駆動回路52の通電状態(作動モード)を変更するためのスイッチSW1〜SW5、を備えている。なお、センサ駆動回路52の作動モードとは、センサ素子10への通電状態を表す。
なお、Vcent点には、配線62,第2接続端子17および抵抗素子R1を介して第2ポンプ電極16が接続されている。
オペアンプ32の反転入力端子には、Vcent点および抵抗素子R2を介してPID制御回路56が接続され、オペアンプ32の非反転入力端子には基準電圧3.6Vが印加されている。つまり、オペアンプ32は、センサ素子10(詳細には、酸素濃度検知セル24)への通電電流を制御する負帰還回路の一部を構成している。
PID制御回路56の入力端(オペアンプ40の反転入力端子)には、オペアンプ42の出力端子が接続され、オペアンプ42の非反転入力端子がVs+端子に接続されている。つまり、酸素濃度検知セル24の出力電圧Vsがオペアンプ42を介してPID制御回路56に入力される。なお、オペアンプ42の反転入力端子は出力端子に接続されている。
又、Vs+端子には、スイッチSW5を介して定電流源46が接続されている。定電流源46は、酸素濃度検知セル24の第2検知電極28の周囲(基準酸素室26)の酸素濃度を一定に保つために、酸素濃度検知セル24に流される定電流Icp(例えば、17μA)を供給する回路である。
オペアンプ40の出力端子はP1端子に接続され、オペアンプ40の非反転入力端子はVcent点に接続されている。又、オペアンプ40の出力端子と反転入力端子の間に抵抗素子が介装されている。P1端子には、抵抗R5とコンデンサC3とコンデンサC2との第1直列回路の抵抗R5側と、抵抗R4とR3との第2直列回路のR4側が並列に接続されている。又、第1直列回路のコンデンサC3とコンデンサC2の接続点がP2端子に接続されている。同様に、第2直列回路の抵抗R4とR3の接続点もP2端子に接続されている。さらに、コンデンサC2と抵抗R3はコンデンサC1に接続され、コンデンサC1はPout端子に接続されている。
Pout端子は、抵抗素子R2を介してVcent点に接続され、PID制御回路56の出力端(コンデンサC1)は、抵抗素子R2及び抵抗素子R1を介してCOM端子に接続されている。
なお、抵抗R3〜R5、コンデンサC1〜C3は、P1端子及びP2端子に装着されPID制御回路56の制御特性を決めるために備えられている。
又、Vs+端子とIp+端子との間には、センサ駆動回路52の発振を防止するために、抵抗R6とコンデンサC4との直列回路からなる発振防止回路59が挿入されている。
端子電圧出力回路54は制御部55を介し、Vs+端子、COM端子、Ip+端子の各端子電圧をエンジン制御装置9に対して出力する。なお、図中では接続ラインが省略されているが、端子電圧出力回路54の入力端子は、Vs+端子、COM端子、Ip+端子にそれぞれ接続されている。
差動増幅回路57は、抵抗素子R2の両端電圧(具体的には、Vcent点とPout点の両端電圧)をガス検出信号としてエンジン制御装置9の入力ポートに出力する。この電圧は、酸素ポンプセル14に流れるIp電流を抵抗素子R2にて電圧変換したものである。なお、伝送ケーブル71を介して、ガス検出信号をエンジン制御装置9の入力ポートに出力しても良い。
各ウィンドコンパレータ58a、58b、58cは、それぞれ、Vs+端子、COM端子、Ip+端子の各端子電圧が所定の電圧範囲内であるときにローレベル信号を出力し、各端子電圧が所定の電圧範囲外であるときにハイレベル信号を出力するように構成されている。
具体的には、ウィンドコンパレータ58aの閾値の上限を9V、又は、センサ素子制御回路50の電源電圧の変動を考慮して、電源電圧から所定値(例えば、1.5V)減じた所定電圧値に設定すると共に、閾値の下限をグランドレベルの0Vにグランド浮きを考慮した1Vに設定する。そして、Vs+端子の端子電圧が上限値の9V又は所定電圧値を超えて上昇したとき、或いは、Vs+端子の端子電圧が下限値の1Vを超えて下降したときに、ウィンドコンパレータ58aは、ハイレベル信号を出力するように構成されている。
なお、異常検出回路58が特許請求の範囲の「配線異常検出手段」に相当する。
なお、エンジン制御装置9は、センサ駆動回路52の通電状態を切り換えるための指令(詳細には、各スイッチSW1〜SW5のON/OFF制御を行う制御信号)を出力ポートから出力し、伝送ケーブル71を介してセンサ制御回路2(の制御部55)に対して指令を出力する。そして、制御部55がセンサ駆動回路52の通電状態を切り換える(設定する)。
このように、エンジン制御装置9は、センサ駆動回路52の通電状態を制御することができると共に、異常検出回路58及び端子電圧出力回路54からの入力信号に基づき、センサ素子10の異常の有無を検出することができる。具体的には、エンジン制御装置9は、入力された各端子電圧の状態が予め定められた識別条件のうちどの条件に当てはまるかを識別することによって、異常が発生した端子とその異常内容(電源短絡(VBショート)、接地短絡(グランドショート)など)を検出することができる。
又、ガス濃度測定用通電状態は、酸素濃度検知セル24の両電極間の電圧が所望の値になるように、酸素ポンプセル14に流れる電流の値および方向を制御し、ガス濃度測定ができるようにする状態である。
活性前通電状態は、ガスセンサ8(の2つのセル14、24)に過電圧が印加されないよう、酸素濃度検知セル24と酸素ポンプセル14の少なくとも一方が有する両電極に対し、微小電流通電されている状態である。より具体的な活性前通電状態としては、酸素濃度検知セル24に設けられた一対の電極のうち、測定室に面しない側の電極28を外部に対し閉塞した構成のガスセンサである場合において、電極28を内部酸素基準源として働かせるために、酸素濃度検知セル24に微小電流を流す通電状態を挙げることができる。
一方、被測定ガスが燃料供給不足(リーン)となる場合には、測定室20の酸素濃度が理論空燃比よりも過剰となり、酸素濃度検知セル24の出力電圧Vsが制御目標電圧450mVよりも低くなるので、上述と同様にオペアンプ32によって偏差量ΔVsがフィードバックされて、過剰分の酸素を酸素ポンプセル14により測定室20から汲み出すためのIp電流が酸素ポンプセル14に流れるようになる。
このようにして、Ip電流の通電状態(通電方向、電流積算値など)に基づいて、被測定ガス中の酸素濃度を演算することができる。
従って、配線異常が発生し、OR回路58dから異常検出フラグDIAG(=1)が出力された場合に、エンジン制御装置9は制御部55に切替指令を出力し、この指令に基づき、制御部55がセンサ駆動回路52をセンサ保護用通電状態に設定することで、センサ素子10に異常電流が継続して流れるのを防ぐことができ、センサ素子10を保護できる。
また、スイッチSW1、SW4、SW5がONであるため、酸素ポンプセル14および酸素濃度検知セル24には、オペアンプ34、定電流源46、分圧回路65から微小な定電流Icpが供給されることになる。これにより、第1検知電極22から第2検知電極28の側に酸素をポンピングし、第2検知電極28の周囲に形成された基準酸素室26に略一定濃度の酸素を蓄積する。
又、上記したように、エンジン制御装置9は、入力された各端子電圧の状態に基づいて配線異常を検出するが、活性前通電モードでは各端子電圧が低いため、センサ素子10が破損することなく、配線異常の検出を行うことができる。
本発明は、配線異常を検出した際(これを、以下「暫定異常」という)、ヒータ43を最大電圧未満の電圧で通電する。これにより、配線異常があったためにガスセンサ1の作動を停止(エンジンスイッチのオフ動作)した後、ガスセンサ1を再起動(ホットリスタート)した際、従来のようにヒータ43を最大電圧で加熱し続け、ガスセンサ1が昇温され過ぎることを防止する。一方、配線が正常であるにも係らず異常であると誤検出したり、配線異常が直ぐに解消することがあり、暫定異常で直ちにヒータの電圧をオフにすると、配線異常が解消されてガスセンサを正常に復帰(作動)させようとしても、ガスセンサ1が冷え過ぎているため作動までに時間を要する。
そこで、本発明においては暫定異常であると判定すると、最大電圧と、セル14、24の活性化温度を維持可能な電圧との間の中間電圧でヒータ43を通電することで、ヒータ43を加熱し過ぎず、かつガスセンサ1が冷え過ぎることを防止する。
さらに、本発明においては、暫定異常が所定頻度を超えたか否かを異常の確定の判断基準とするため、例えば所定時間内の暫定異常の発生回数を検知するだけでよく、異常確定の処理が簡単となる。
各種制御処理としては、センサ制御回路2からのガス検出信号などに基づき排気ガス中の特定ガス濃度を検出する特定ガス濃度検出処理や、センサ制御回路2に対して通電状態の切換指令を出力する指令出力処理や、ガス検出信号に基づき検出した特定ガス濃度(酸素濃度)を用いてエンジンの空燃比制御を行うための空燃比制御処理など、がある。
最適な通電状態の判定方法としては、例えば、センサ起動直後のような条件下では、活性前通電状態を最適な通電状態として判定し、センサ素子10が活性化状態となる条件下では、ガス濃度測定用通電状態を最適な通電状態として判定する。
一方、配線異常(配線短絡など)発生時には、後述するヒータ通電制御処理、及びガスセンサの非通電処理を行う。
なお、エンジン制御装置9は、センサ制御回路2から現在の通電状態を表す現在状態フラグを受信しており、現在状態フラグに基づいて現在の通電状態を知ることができる。
なお、素子抵抗値信号は、ガスセンサ8を構成する酸素ポンプセル14及び酸素濃度検知セル24のいずれかに、所定の大きさの電流又は電圧を定期的に供給し、そのときにセルを介して得られる信号を指すものである。なお、この素子抵抗値信号は、公知の手法(回路構成)によって取得することができるものであるため、本実施形態での説明は省略する。但し、具体的には、酸素濃度検知セル24に対し定期的に所定の大きさの電流を流し、そのときに酸素濃度検知セル24を介して得られる出力をサンプルホールドし、このサンプルホールドした出力を素子抵抗値信号として、エンジン制御装置9に出力するようにしている。
自動車の電源オンでヒータ通電制御処理が起動されると、まず、エンジン制御装置9は、EEPROM9mに記憶された異常確定情報を読み出す。異常確定情報には異常確定の回数nが含まれており、エンジン制御装置9はnが2以下か否かを判定する(ステップS10)。
ここで、ガスセンサ制御装置1は、自動車の電源オンで起動し、自動車の電源オフで停止する。そして、ガスセンサ制御装置1の起動から停止までの間で異常が確定されると、EEPROM9mに異常確定回数が1であると記憶される。又、異常確定回数が2とは、ガスセンサ制御装置1の起動から停止までの間に1回異常が確定され、停止後に再度ガスセンサ制御装置1が起動されてから次の停止までの間にもう1回異常が確定されたことを意味する。これらの異常確定情報は、ガスセンサ制御装置1の停止後もEEPROM9mに保持される。
一方、ステップS12で暫定異常を検出しない場合(DIAG=0)、ステップS20に移行し、エンジン制御装置9は、センサ駆動回路52の通電状態をPI制御モードにする処理を行う。具体的には、図3に示したガス濃度測定用通電状態(PI制御モード)とするための各スイッチSW1〜SW5のON/OFFの切換指令を、エンジン制御装置9が制御部55に出力する。そして、制御部55がセンサ駆動回路52の通電状態をPI制御モードに切り換える。
さらに、エンジン制御装置9は暫定異常のカウンタ(例えば、DIAG=1の検知回数)をクリアにする(ステップS28)。その後、ステップS10に戻り、再度、暫定異常が発生するか否かをステップS12で判定する。
なお、ステップS20の後、直ちにステップS28の処理を行わず、ステップS20からステップS10へ戻る過程を何回か繰り返したときにステップS28を行うようにしてもよい。これは、ノイズ等によって誤ってステップS28の処理が行われることを防止するためである。例えば、ステップS20の処理を行った後にタイマーをスタートさせ、所定時間経過後にPI制御モードであれば、ステップS28を行うようにしてもよい。
ここで、中間電圧は、ヒータ43の最大電圧(この実施形態ではバッテリ電圧である12V)と、セル14、24の活性化温度を維持可能な電圧(この実施形態では6〜7V)との間の電圧である。セル14、24の活性化温度を維持可能な電圧は、例えばセル14、24の抵抗が所定の値以下となる電圧である。
なお、ステップS10で異常確定回数が0の場合は、ステップS12の判定結果に関らずにステップS20へ移行させてもよい。つまり、ステップS10で、異常確定回数の下限を判定基準に加えても良い。これは、異常確定回数が0であれば、一旦PI制御モードに移行させても問題ないと考えられるからである。
ステップS16での異常確定回数のインクリメントは、ステップS12とステップS14で共に「Yes」が連続した場合に行う。
なお、上記したように、ステップS16のヒータ43の電圧オフを行わず、ステップS22に移行してもよい。このようにすると、ヒータ43を中間電圧で加熱し続けながら、ステップS24のガスセンサ非通電処理を行うことになる。
このように、異常確定が所定の回数(この実施形態では3回)以上生じた場合に、異常報知処理(異常終了処理)を行うことで、操作者(自動車の運転者等)に、ガスセンサ8が異常であることを報知し、対応(エンジン停止)を促すことができる。これは、ガスセンサ制御装置1を一旦停止した後、再び起動すると、前回の起動で異常確定した場合であっても、異常が解消される(例えば、配線上を短絡していた異物が脱落する等)ことがあるにも係らず、異常確定が複数回であると記憶されている場合、異常が深刻であることが多いからである。
例えば、センサ素子10として全領域空燃比センサを取り上げたが、これに限られず、上記センサ素子10にもう1つのセルを追加して、2つの測定室を備えたNOxセンサに適用することも可能である。
但し、NOxセンサの場合、ガスセンサの制御を1個のマイクロコンピュータ(コントローラ)が一括して行うので、制御手段、ヒータ制御回路、配線異常検出手段がいずれも1個のコントローラ上に実現されている。又、コントローラがガスセンサ制御装置に相当する。
2 センサ制御回路
5 電子制御ユニット
8 ガスセンサ
9 制御手段、報知手段(エンジン制御装置)
9m 記憶手段(EEPROM)
13、23 固体電解質体
14、24 セル(酸素ポンプセル、酸素濃度検知セル)
12、16 一対の電極(第1ポンプ電極、第2ポンプ電極)
22、28 一対の電極(第1検知電極、第2検知電極)
43 ヒータ
52 センサ駆動回路
58 配線異常検出手段(異常検出回路)
60 ヒータ制御回路
Claims (6)
- 固体電解質体および該固体電解質体に設けられた一対の電極を備えるセルを少なくとも1つ以上有するガスセンサと、
前記固体電解質体を加熱するヒータと、
前記ガスセンサに接続され、前記ガスセンサを駆動するため前記セルに通電するセンサ駆動回路と、
前記ヒータを制御するヒータ制御回路と、
前記センサ駆動回路又は前記ガスセンサの配線異常を検出する配線異常検出手段と、
前記配線異常検出手段が前記配線異常を検出すると、前記ヒータ制御回路を駆動させて前記ヒータの最大電圧未満でかつ前記セルの活性化温度を維持可能な電圧以上の中間電圧で前記ヒータを通電し、前記配線異常の発生が所定頻度を超えた場合には、異常を確定して前記センサ駆動回路を駆動させ前記ガスセンサを非通電にする制御手段と、
を備えたガスセンサ制御装置。 - 前記制御手段は、前記異常を確定する際、さらに前記ヒータ制御回路を駆動させて前記ヒータを非通電にする請求項1記載のガスセンサ制御装置。
- 前記制御手段による前記異常を確定した旨の情報が記憶され、該情報が前記ガスセンサ制御装置の停止後も保持される記憶手段と、
前記制御手段が前記異常を確定したときに、前記記憶手段に保持された前記情報に基づいて報知の有無を判定する報知手段と
をさらに備えた請求項1又は2記載のガスセンサ制御装置。 - 固体電解質体および該固体電解質体に設けられた一対の電極を備えるセルを少なくとも1つ以上有するガスセンサと、前記固体電解質体を加熱するヒータと、前記ガスセンサに接続され、前記ガスセンサを駆動するため前記セルに通電するセンサ駆動回路とを備えたガスセンサ制御装置の制御方法であって、
前記センサ駆動回路又は前記ガスセンサの配線異常を検出する配線異常検出過程と、
前記配線異常を検出すると、前記ヒータの最大電圧未満でかつ前記セルの活性化温度を維持可能な電圧以上の中間電圧で前記ヒータを通電するヒータ通電制御過程と、
前記配線異常の発生が所定頻度を超えた場合には、異常を確定して前記センサ駆動回路を駆動させ前記ガスセンサを非通電にするガスセンサ非通電過程と、
を有するガスセンサ制御方法。 - 前記ガスセンサ非通電過程において、前記異常を確定する際、さらに前記ヒータを非通電にする請求項4記載のガスセンサ制御方法。
- 異常を確定した旨の情報を記憶し、かつ該情報を前記ガスセンサ制御装置の停止後も保持する記憶過程と、
前記ガスセンサ非通電過程において前記異常を確定したときに、前記情報に基づいて報知の有無を判定する報知過程と
をさらに有する請求項4又は5記載のガスセンサ制御方法。
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