JP6640652B2 - センサ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検出ガス中の特定成分を検出するためのガスセンサを制御するセンサ制御装置に関する。
従来、ガスセンサとしては、被検出ガス中の特定成分の濃度に応じて電流が変化する特性を有するものが知られている。
例えば、自動車に使用されるガスセンサの一つとして、自動車エンジンなどの内燃機関の排気通路に取り付けられ、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサが知られている。この酸素センサは、セルを流れる電流の大きさが排ガス中の酸素濃度に応じて変化することを利用して、酸素濃度の検出、ひいては排ガスの空燃比を検出するものである。なお、セルは、例えば、固体電解質体および一対の電極を有して構成される。
このようなガスセンサ(酸素センサなど)の駆動を制御するセンサ制御装置は、ガスセンサ(詳細には、セル)を通電制御すると共に、ガスセンサに流れる電流を電圧変換して電子制御装置(ECU)に出力する機能を有している。ECUは、センサ制御装置からの出力を用いて排ガスの酸素濃度や空燃比を演算することができる。そして、ECUは、得られた排ガスの酸素濃度や空燃比を、燃料噴射量の調整等の空燃比フィードバック制御に利用することができる。
酸素センサとしては、一対の第1電極を有する固体電解質体を備えた酸素濃度検出セル(起電力セル)と、一対の第2電極を有する固体電解質体を備えたポンプセルと、を備えるものがある。このような酸素センサの駆動を制御するセンサ制御装置は、酸素濃度検出セルの一対の第1電極間に生じる電圧が制御目標電圧となるように、ポンプセルの一対の第2電極間に流れる電流を制御する。
なお、ガスセンサへの通電経路の短絡異常などが発生して、酸素濃度検出セルおよびポンプセルに対して異常電圧が印加されると、異常電圧の印加によってガスセンサが故障あるいは破損する場合がある。例えば、異常電圧の印加により、ポンプセルの固体電解質体中の酸素が電流として引き抜かれて、ブラックニングが生じる場合がある。このブラックニングとは、固体電解質体に含まれる金属酸化物が還元され金属が生成される現象であり、ブラックニングが発生すると固体電解質体の特性(特にイオン伝導性)が劣化してしまう。
これに対して、センサ制御装置は、酸素濃度検出セルおよびポンプセルのうち少なくとも一方に対して異常電圧が印加されたか否かを判定し、異常電圧を検出した場合には、酸素濃度検出セルおよびポンプセルに接続される各端子をHIインピーダンスにして、各セルへの電圧印加および電流通電を停止する。これにより、ガスセンサが異常電圧の印加によって故障あるいは破損することを抑制できる。
特開2006−275911号公報
しかし、上記のセンサ制御装置は、酸素濃度検出セルおよびポンプセルのうち少なくとも一方に対する異常電圧の印加を検出し、ガスセンサへの電圧印加および電流通電を停止した後、ガスセンサの制御を再開する場合に、直ちに通常制御を実行するため、ガス検出精度が低下する可能性がある。
つまり、異常電圧の影響によってガスセンサ(詳細には、セル)の状態が正常でない場合には、センサ制御装置によるガスセンサの通常制御の開始時点から一定期間は、ガスセンサ(詳細には、セル)の状態が正常でないために、正常なガス検出ができず、ガス検出精度が低下する虞がある。
そこで、本発明は、異常電圧の検出により電圧印加および電流通電を停止した後にガスセンサの制御を再開する場合に、ガス検出精度の低下を抑制できるセンサ制御装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの局面は、被検出ガス中の特定成分を検出するガスセンサを制御するセンサ制御装置であって、異常判定部と、履歴情報記憶部と、調整処理要否判定部と、調整処理実行部と、を備える。
ガスセンサは、起電力セルおよびポンプセルを有している。起電力セルは、第1固体電解質体および第1固体電解質体に形成された一対の第1電極を有し、特定成分の濃度差に応じて一対の第1電極間に起電力を発生するように構成されている。ポンプセルは、第2固体電解質体および第2固体電解質体に形成された一対の第2電極を有し、センサ制御装置からの印加電圧に応じて一対の第2電極間にて酸素をポンピングするように構成されている。
異常判定部は、起電力セルの一対の第1電極間における電圧値である第1電極電圧値が予め定められた異常電圧値であるか否かを判定する。履歴情報記憶部は、第1電極電圧値に関する履歴情報を記憶する。
調整処理要否判定部は、異常判定部で第1電極電圧値が異常電圧値であると判定された後の履歴情報に基づいて、ガスセンサの状態を特定成分が検出可能な状態に近づけるための調整処理の要否を判定する。調整処理実行部は、調整処理要否判定部にて調整処理が必要と判定された場合に、ガスセンサへの通電再開前に調整処理を実行する。
このようなセンサ制御装置は、一対の第1電極間の電圧値が異常と判定された後のその電圧値の履歴情報に基づいて、ガスセンサの調整処理の要否を判定し、調整処理が必要と判定された場合には、ガスセンサへの通電再開前に調整処理を実行する。調整処理を実行することで、ガスセンサの状態を特定成分が検出可能な状態に近づけることができ、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
よって、このセンサ制御装置によれば、一対の第1電極間の電圧値が異常と判定された後において、特定成分を検出できない状態のガスセンサを用いて強制的にガス検出を実行することを抑制でき、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
なお、センサ制御装置は、一対の第1電極間の電圧値が異常と判定された場合に、ガスセンサへの電圧印加および電流通電を停止することで、ガスセンサを保護するように構成してもよい。これにより、一対の第1電極間の電圧値が異常であることに起因して、ガスセンサが破損することを抑制できる。そして、電圧印加および電流通電を停止した時点から通電再開までに、調整処理を実行することで、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
また、ガスセンサが特定成分として酸素を検出するものであって、酸素基準部(酸素基準室、酸素基準電極など)を備える構成である場合には、調整処理として、ガスセンサの酸素基準部における酸素濃度を適切な値に戻す処理を実行することで、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
次に、上述のセンサ制御装置においては、調整処理要否判定部は、履歴情報を用いて第1電極電圧値が予め定められた電圧基準値を下回る時間である異常継続時間を演算し、異常継続時間が予め定められた時間基準値よりも小さい場合には、調整処理が不要と判断し、異常継続時間が時間基準値以上である場合には、調整処理が必要と判断する構成であってもよい。
つまり、異常継続時間の長さに応じてガスセンサの状態が変化するため、異常継続時間と時間基準値との比較結果に基づいて調整処理の要否を判定することで、ガスセンサの状態に応じた適切な判定が可能となる。
例えば、酸素を検出するガスセンサの場合には、異常継続時間の長さに応じて起電力セルにおける酸素基準部の酸素濃度(自己基準酸素濃度)が変化するため、異常継続時間と時間基準値との比較結果に基づいて調整処理の要否を判定することで、起電力セルの状態に応じた適切な判定が可能となる。
また、例えば、異常継続時間が長くなり起電力セルにおける酸素基準部の酸素濃度が適正値から逸脱した場合には、調整処理を行うことで、酸素濃度を適正値に近づけることができ、特定成分の検出に適した状態を作ることができる。なお、異常継続時間が短いときには、起電力セルにおける酸素基準部の酸素濃度が適正値から逸脱する可能性が低いため、調整処理を行うことなく、特定成分の検出を再開してもよい。
次に、上述のセンサ制御装置においては、調整処理要否判定部は、履歴情報を用いて第1電極電圧値が予め定められた電圧基準値を下回るときの第1電極電圧値の積分値を演算し、積分値が予め定められた積分基準値よりも小さい場合には、調整処理が不要と判断し、積分値が積分基準値以上である場合には、調整処理が必要と判断する構成であってもよい。
つまり、積分値の大きさに応じてガスセンサの状態が変化するため、積分値と積分基準値との比較結果に基づいて調整処理の要否を判定することで、ガスセンサの状態に応じた適切な判定が可能となる。
例えば、酸素を検出するガスセンサの場合には、積分値の大きさに応じて起電力セルにおける酸素基準部の酸素濃度(自己基準酸素濃度)が変化するため、積分値と積分基準値との比較結果に基づいて調整処理の要否を決定することで、起電力セルの状態に応じた適切な判定が可能となる。
また、例えば、積分値が大きくなり起電力セルにおける酸素基準部の酸素濃度が適正値から逸脱した場合には、調整処理を行うことで、酸素濃度を適正値に近づけることができ、特定成分の検出に適した状態を作ることができる。なお、積分値が小さいときには、起電力セルにおける酸素基準部の酸素濃度が適正値から逸脱する可能性が低いため、調整処理を行うことなく、特定成分の検出を再開してもよい。
次に、上述のセンサ制御装置においては、調整処理実行部は、履歴情報に基づいて調整処理の内容を変更する構成であってもよい。
調整処理として常に同一内容の処理を実行するのではなく、ガスセンサの状態に応じて調整処理の内容を変更することで、ガスセンサの状態に応じた適切な調整処理を実行することが可能となる。そのため、調整処理実行部が履歴情報に基づいて調整処理の内容を変更する構成を採ることで、ガスセンサの状態に応じた適切な調整処理を実行することが可能となる。
例えば、調整処理としてガスセンサへの通電を行う場合には、履歴情報に基づいて通電時間を変更してもよい。これにより、ガスセンサの状態に応じて適切な調整処理を実行できる。
本発明のセンサ制御装置においては、一対の第1電極間の電圧値が異常と判定された後において、特定成分を検出できない状態のガスセンサを用いて強制的にガス検出を実行することを抑制でき、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
センサ制御装置が取り付けられる内燃機関の概略的なシステム構成を示す図である。 全領域空燃比センサの概略的な構造を示す図である。 ガスセンサ素子の概略構造、センサ制御装置の概略構成、およびガスセンサ素子とセンサ制御装置との電気的接続構成を表す図である。 センサ制御装置で実行される制御処理のフローチャートである。 起電力セルにおける一対の第1電極間における電圧値(起電力Vs)の履歴情報を表した波形の一例を示す図である。
以下、本発明を具体化したセンサ制御装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、本発明に係るセンサ制御装置の一例として、ガスセンサ素子の出力する検出信号に基づき、被検出ガス中の酸素濃度を検出することが可能なセンサ制御装置を例に説明する。また、ガスセンサ素子が備えられるガスセンサとしては、酸素濃度に応じてセンサ電流がリニアに変化する全領域空燃比センサ(酸素センサ)を例に説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
まず、図1に基づいて、第1実施形態のセンサ制御装置1が取り付けられる内燃機関3の概略的なシステム構成について説明する。
内燃機関3は、エンジン本体5と、排気管7と、を有しており、自動車に搭載されている。エンジン本体5は、自動車を駆動するための動力を発生する。排気管7は、エンジン本体5に接続されて、エンジン本体5から排出される排ガスを車外に放出する。
排気管7の経路上には、全領域空燃比センサ9が配設されている。より詳細には、全領域空燃比センサ9は、排気管7の排気通路を流通する排ガス中の特定成分(第1実施形態では酸素)のガス濃度(酸素濃度)を検出するガスセンサである。全領域空燃比センサ9は、自身とは離れた位置に配設されるセンサ制御装置1とハーネス11を介して電気的に接続されており、センサ制御装置1によって通電制御されて酸素濃度を検出する。
センサ制御装置1は、バッテリ15から電力の供給を受けて駆動し、全領域空燃比センサ9を用いて検出した酸素濃度の検出信号をエンジン制御装置17(以下、ECU17ともいう)に出力する。ECU17は、センサ制御装置1から出力される検出信号に基づき、エンジン本体5の空燃比フィードバック制御を実行する。
なお、センサ制御装置1の配設態様は適宜変更可能であり、例えば、センサ制御装置1をECU17に組み込み、ECU17に組み込まれたセンサ制御装置1が全領域空燃比センサ9を制御する構成としてもよい。
第1実施形態では、エンジン本体5に燃料供給が行われているときは、上記のように排ガスが全領域空燃比センサ9の検出対象となる。一方、エンジン本体5への燃料供給が停止された状態(フューエルカット期間)では、排気管7内に大気が流通するため、排気管7内を流通する大気が全領域空燃比センサ9の検出対象となる。以下では、全領域空燃比センサ9の検出対象となる「被検出ガス」は、排ガス及び大気のいずれも包含するものとして説明する。
[1−2.全領域空燃比センサ]
次に、図2に基づいて、全領域空燃比センサ9について簡単に説明する。
全領域空燃比センサ9は、筒状の主体金具23と、軸線O方向(図2の上下方向)に延びる板状形状のガスセンサ素子25と、ガスセンサ素子25の周囲を取り囲む筒状のセラミックスリーブ27と、ガスセンサ素子25の後端部(図2の上方)の周囲を取り囲む筒状の第1セパレータ31と、ガスセンサ素子25と第1セパレータ31との間に配置される複数個の接続端子33と、を備えている。
ガスセンサ素子25は、その先端側に、排ガスに含まれる酸素の濃度を検出する検出部35を備えており、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる各主面には、複数の電極パッド37が形成されている。
複数の接続端子33は、ガスセンサ素子25の電極パッド37にそれぞれ電気的に接続されるとともに、外部から全領域空燃比センサ9の内部に配設される複数のリード線39にそれぞれ電気的に接続されている。なお、複数のリード線39は、ハーネス11(図1参照)の少なくとも一部を構成する。
主体金具23は、貫通孔41に挿通されたガスセンサ素子25を保持するよう構成されている。つまり、主体金具23の貫通孔41には、ガスセンサ素子25の周囲を取り囲む状態で、セラミックホルダ43と滑石リング45、47とセラミックスリーブ27が積層されている。なお、主体金具23の先端側には、通気孔を有するプロテクタ49が取り付けられている。
一方、主体金具23の後端側外周には、外筒51が固定されており、外筒51の後端側にはグロメット53が配置され、グロメット53と第1セパレータ31との間には第2セパレータ55が配置されている。
[1−3.ガスセンサ素子]
次に、図3に基づいて、ガスセンサ素子25の構造について説明する。
ガスセンサ素子25は、ジルコニアを主体とする第1固体電解質体61、第2固体電解質体63と、アルミナを主体とする第1絶縁基体65、第2絶縁基体67、第3絶縁基体69、第4絶縁基体71と、を備えている。
なお、ガスセンサ素子25では、図3の下方より、第1絶縁基体65、第2絶縁基体67、第1固体電解質体61、第3絶縁基体69、第2固体電解質体63、第4絶縁基体71の順に積層されている。
第1固体電解質体61の両面(図3の上下方向)には、白金を主体とする一対の第1電極73、75がそれぞれ形成されている。そのうちの第1電極73は、第1固体電解質体61と第2絶縁基体67との間に挟まれて埋設されている。第2固体電解質体63の両面には、一対の第2電極77、79がそれぞれ形成されている。
なお、第1固体電解質体61、第2固体電解質体63および第1絶縁基体65、第2絶縁基体67、第3絶縁基体69、第4絶縁基体71は、いずれも図3の紙面に対する垂直方向に細長い板状に形成されており、図3ではその長手方向と直交する断面(即ち検出部35の断面)を示している。
第3絶縁基体69の長手方向の一端側(即ち検出部35)には、第1固体電解質体61および第2固体電解質体63のそれぞれを壁面としつつ、排ガスを導入可能な中空の検出室81が形成されている。検出室81の幅方向(図3の左右方向)の両端には、外部より検出室81の内部に排ガスを導入する際の流入量を規制するための多孔質状の拡散律速部83が設けられている。
なお、第1固体電解質体61の上に形成された第1電極75と、第2固体電解質体63の上に形成された第2電極77とは、検出室81の内部にそれぞれ露出されている。
また、第1絶縁基体65と第2絶縁基体67との間には、白金を主体とする発熱抵抗体85が埋設されている。第1絶縁基体65、第2絶縁基体67および発熱抵抗体85は、第1固体電解質体61、第2固体電解質体63を加熱して活性化させるためのヒータとして機能する。
第2固体電解質体63の上に形成された第2電極79は、セラミックス(例えば、アルミナ)で構成された多孔質性の保護層87によって表面が覆われている。つまり、排ガスに含まれるシリコン等の被毒成分によって劣化しないように、第2電極79が保護層87によって保護されている。なお、第2固体電解質体63に積層された第4絶縁基体71には、第2電極79を覆わないように開口89が設けられており、保護層87はその開口89の内部に配設されている。
このように構成されたガスセンサ素子25において、第1固体電解質体61とその両面に設けられた一対の第1電極73、75は、両第1電極73、75間の酸素濃度の差に応じて起電力を発生させる酸素濃度検出セル91(即ち、起電力セル91:以下、「Vsセル91」ともいう。)として機能する。なお、一方の第1電極73は、検出室81の内部の酸素濃度の検出のための基準となる酸素濃度を維持する酸素基準電極として機能する。
同様に、第2固体電解質体63とその両面に設けられた一対の第2電極77、79は、外部から検出室81内に酸素を汲み入れ、あるいは検出室81から外部へ酸素を汲み出す酸素ポンプセル93(以下、「Ipセル93」ともいう。)として機能する。
[1−4.センサ制御装置]
次に、図3に基づいて、センサ制御装置1の構成について説明する。
センサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101および電気回路部103を備えて構成されている。
マイクロコンピュータ101は、例えば、公知の構成のCPU101a、ROM101b、RAM101c、不揮発性メモリ(図示せず)等を搭載したマイコンチップを用いて実現できる。なお、ROM101bには、CPU101aに各処理を実行させるための制御プログラムや、制御プログラムで利用する各種情報(例えば、数式、マップ情報、情報変換用テーブル)などが記憶されている。
電気回路部103は、ヒータ電圧供給回路105、微小電流供給回路109、電圧検出回路111、基準電圧比較回路113、ポンプ電流駆動回路115、ポンプ電流検出回路117を備えて構成される。
ヒータ電圧供給回路105は、発熱抵抗体85の両端に供給される電圧VhをPWM制御して発熱抵抗体85を発熱させ、Ipセル93及びVsセル91の加熱を行う。
微小電流供給回路109は、Vsセル91の一方の第1電極73から他方の第1電極75側へ微小電流Icpを流し、第1電極73側に酸素イオンを移動させて、ガス検出の基準となる酸素濃度雰囲気を第1電極73に生成する。これにより、第1電極73は、被検出ガス中の酸素濃度を検出するための基準となる酸素基準電極として機能する。
電圧検出回路111は、酸素濃度を検出する際に、Vsセル91の一対の第1電極73、75間に生ずる起電力Vsを検出する。そして、その検出結果を基準電圧比較回路113に出力する。
基準電圧比較回路113は、予め定められた基準電圧Vaと、電圧検出回路111にて検出した起電力Vsとの比較を行い、比較結果をポンプ電流駆動回路115にフィードバックする。
ポンプ電流駆動回路115は、基準電圧比較回路113から得られた比較結果に基づき、Ipセル93の一対の第2電極77、79間に流すポンプ電流Ipの大きさや向きを制御する。これにより、Ipセル93による検出室81内への酸素の汲み入れや検出室81からの酸素の汲み出しが行われる。
ポンプ電流検出回路117は、Ipセル93の一対の第2電極77、79間に流れるポンプ電流Ipを検出して電圧変換し、検出信号としてマイクロコンピュータ101に出力する。
第1実施形態では、酸素濃度を検出する際に基準電圧比較回路113によって起電力Vsと比較される基準電圧Vaが予め定められている。
つまり、酸素濃度を検出する場合には、起電力Vsが基準電圧Vaに近づくように、ポンプ電流駆動回路115の動作が制御される。これにより、ポンプ電流駆動回路115により制御されるポンプ電流Ipに基づいて、排ガス中の酸素濃度を演算できる。なお、基準電圧Vaは、検出室81の内部に導入された排ガス中の水分(HO )が実質的に解離しないような電圧値(例えば450mV)に設定される。
[1−5.エンジン制御装置(ECU)]
次に、エンジン制御装置17(ECU17)の構成について説明する。
ECU17は、自動車のエンジン本体5の駆動等を電子的に制御するための装置である。ECU17は、公知の構成のCPU、ROM、RAM等を搭載したマイコンチップを用いて構成することができる。ECU17は、制御プログラムの実行にしたがって各種制御処理(燃料噴射タイミングの制御や点火時期の制御など)を実行する。
かかる制御を行うための情報として、センサ制御装置1からECU17に対して、排ガス中の酸素濃度に応じた出力(検出信号)が送信される。また、その他の情報として、その他のセンサからの信号(例えば、エンジン本体5のピストン位置や回転数を検出できるクランク角、冷却水の水温、燃焼圧などの情報)も、ECU17に対して送信される。
[1−6.酸素濃度検出]
次に、センサ制御装置1にて行われる酸素濃度検出方法について説明する。
全領域空燃比センサ9を用いて排ガスの酸素濃度(従って排ガスの空燃比)を検出する動作について説明する。
酸素濃度を検出する場合には、図3に示す回路において、まず、微小電流供給回路109によりVsセル91の一方の第1電極73から他方の第1電極75に向けて微小電流Icpを流す。この通電より、他方の第1電極75側から一方の第1電極73側に、第1固体電解質体61を介して排ガス中の酸素が汲み込まれ、第1電極73が酸素基準電極として機能する。
そして、電圧検出回路111により両第1電極73、75間に発生する起電力Vsを検出し、この起電力Vsを基準電圧比較回路113で基準電圧Vaと比較する。ポンプ電流駆動回路115では、基準電圧比較回路113による比較結果に基づいて、起電力Vsが基準電圧Vaに近づくようにIpセル93の第2電極77、79間に流すポンプ電流Ipの大きさや向きを制御する。
なお、検出室81に流入した排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであった場合、排ガス中の酸素濃度が薄いため、Ipセル93において外部から検出室81に酸素を汲み入れるように、第2電極77、79間に流すポンプ電流Ipが制御される。一方、検出室81に流入した排ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであった場合、排ガス中には多くの酸素が存在するため、Ipセル93において検出室81から外部へ酸素を汲み出すように、第2電極77、79間に流すポンプ電流Ipが制御される。
このときのポンプ電流Ipが、ポンプ電流検出回路117にて電圧変換されて全領域空燃比センサ9の出力(検出信号)としてマイクロコンピュータ101に出力される。マイクロコンピュータ101では、全領域空燃比センサ9から出力されるポンプ電流Ipの大きさと向きに基づいて、排ガス中に含まれる酸素濃度、ひいては排ガスの空燃比を特定できる。
つまり、上述したように、第1実施形態では、全領域空燃比センサ9およびセンサ制御装置1が、排ガスの酸素濃度(排ガスの空燃比)の検出動作を行う。
[1−7.制御処理]
次に、センサ制御装置1のマイクロコンピュータ101において実行されるガス濃度検出処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
センサ制御装置1のマイクロコンピュータ101においては、先述のROM101bがガス濃度検出処理に関するプログラムを記憶しており、CPU101aがプログラムを読み込んでガス濃度検出処理を実行する。
エンジン本体5が始動されてマイクロコンピュータ101においてガス濃度検出処理が起動されると、まず、S110(Sは、ステップを表す)にて、ガス濃度検出に関する通常制御を実行する。なお、通常制御とは、上述の酸素濃度検出方法に基づいて、排ガスの酸素濃度を検出する制御処理である。
次のS120では、ガスセンサ素子25で異常が発生したか否かを判定しており、肯定判定するとS130に移行し、否定判定すると再びS110に移行する。
つまり、ガス濃度検出処理は、ガスセンサ素子25が正常の場合には、S110およびS120の処理を繰り返し実行することで酸素濃度の検出を継続し、ガスセンサ素子25で異常が発生した場合には、S130に移行する。
なお、S120では、起電力セル91における一対の第1電極73、75間における電圧値(換言すれば、起電力Vs)を検出し、起電力Vsと予め定められた異常電圧判定値Vth(ここでは、−50mV)とを比較する。S120では、起電力Vsが異常電圧判定値Vthよりも小さい場合に肯定判定し、起電力Vsが異常電圧判定値Vth以上である場合に否定判定する。
S120で肯定判定されてS130に移行すると、S130では、一対の第1電極73、75間における電圧値(換言すれば、起電力Vs)を記憶する処理(以下、電圧記憶処理ともいう)を開始する。この電圧記憶処理では、起電力Vsを繰り返し検出し、検出した起電力Vsを時系列にRAM101cに記憶させることで、異常発生後の起電力Vsの履歴情報をRAM101cに記憶させる。
次のS140では、センサ制御装置1の端子のうちガスセンサ素子25と接続される全ての端子をHiインピーダンスに設定する。これにより、ガスセンサ素子25に対するセンサ制御装置1からの電圧印加および電流通電が継続されるのを抑制することができ、ガスセンサ素子25を保護することができる。
次のS150では、ECU17に対してガスセンサ素子25に異常が発生したことを通知するとともに、エンジン本体5を停止する処理を実行する。具体的には、センサ制御装置1からECU17に対して、異常通知信号およびエンジン停止指令が出力されて、ECU17がエンジン本体5の制御処理を停止する。
次のS160では、起電力Vsが異常電圧判定値Vthよりも大きいか否かを判定し、肯定判定するとS170に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
S160で肯定判定されてS170に移行すると、S170では、電圧記憶処理を停止して、一対の第1電極73、75間における電圧値(換言すれば、起電力Vs)を記憶する処理を停止する。
次のS180では、起電力Vsの履歴情報を用いた異常情報の演算を実行する。具体的には、S120で異常発生と判定された後、起電力Vsが異常電圧判定値Vthよりも小さい状態となっていた時間(以下、異常継続時間Teともいう)を演算する。
図5に、起電力セル91における一対の第1電極73、75間における電圧値(換言すれば、起電力Vs)の履歴情報を表した波形の一例を示す。
図5では、時刻t1でガスセンサ素子25が異常状態(一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)が異常電圧判定値Vthよりも低い電圧)となり、その後、時刻t2で起電力Vsが異常電圧判定値Vthよりも高い電圧となり、さらに、起電力Vsが徐々に0Vに近づいていく事例を示している。
図5に示す事例においては、時刻t1から時刻t2までの時間が異常継続時間Teに相当する。
なお、S180では、起電力Vsの履歴情報を用いて異常情報を演算するにあたり、異常継続時間Teに代えて、異常積分値Seを演算してもよい。異常積分値Seは、起電力Vsの波形のうち異常電圧判定値Vthを下回るときの積分値(図5では、斜線模様で示す領域の面積)である。
次のS190では、S180で演算された異常情報に基づいてガスセンサ素子25の調整処理が必要であるか否かを判定し、肯定判定する場合にはS200に移行し、否定判定する場合にはS220に移行する。
S190での判定処理は、例えば、異常情報が予め定められた調整要否判定条件を満たすか否かの判定結果に基づいて実行する。具体的には、異常情報としての異常継続時間Teと予め定められた時間基準値Tth(例えば、1.0msec)とを比較して、異常継続時間Teが時間基準値Tthよりも大きい場合に肯定判定し、異常継続時間Teが時間基準値Tth以下である場合に否定判定する。
なお、S190では、異常情報としての異常積分値Seと予め定められた積分基準値Sthとを比較して、異常積分値Seが積分基準値Sthよりも大きい場合に肯定判定し、異常積分値Seが積分基準値Sth以下である場合に否定判定してもよい。
S190で肯定判定されてS200に移行すると、S200では、異常情報に基づいて調整処理の内容を決定する処理を実行する。具体的には、異常情報としての異常継続時間Teが長くなるほど調整処理の実行時間を長く設定し、異常継続時間Teが短くなるほど調整処理の実行時間を短く設定する。
なお、S180において異常情報として異常積分値Seを演算する場合には、異常積分値Seが大きくなるほど調整処理の実行時間を長く設定し、異常積分値Seが小さくなるほど調整処理の実行時間を短く設定してもよい。
次のS210では、S200で決定された内容に基づいて調整処理を実行する。
この実施形態では、ガスセンサ素子25の調整処理として、Vsセル91の一方の第1電極73から他方の第1電極75側へ微小電流Icpを流す処理を実行する。このように微小電流Icpを通電することで、第1電極73側に酸素イオンを移動させることができ、第1電極73を酸素基準電極として機能させるための準備処理を実現できる。なお、異常電圧の印加時間が長くなるほど第1電極73の酸素イオンがより多く失われるため、例えば、上述のように異常継続時間Teが長くなるほど調整処理の実行時間を長く設定することで、第1電極73側により多くの酸素イオンを移動させることができる。
S190で否定判定されるか、S210の処理が終了してS220に移行すると、S220では、ECU17に対してガスセンサ素子25を用いたガス検出が可能であることを通知する。具体的には、センサ制御装置1からECU17に対して、ガス検出可能信号が出力される。
ガス検出可能信号を受信したECU17は、そのほかのエンジン始動許可条件(使用者からの始動指令の受信、各種センサの正常状態確認完了など)が満たされたか否かを判定し、全てのエンジン始動許可条件が満たされた場合に、エンジン本体5を始動するとともに各種制御処理を開始する。
次のS230では、エンジン本体5が始動したか否かを判定し、肯定判定する場合には再びS110に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで待機する。つまり、エンジン本体5が始動されるまでは待機し、エンジン本体5が始動されると、再びS110を実行することで、ガス濃度検出に関する通常制御を実行する。
上述のように、このガス濃度検出処理においては、ガスセンサ素子25が正常の場合(S120で否定判定)には、酸素濃度の検出(S110)を継続し、ガスセンサ素子25で異常が発生した場合(S120で肯定判定)には、ガスセンサ素子25の制御を一旦中止する(S140)。
このガス濃度検出処理では、ガスセンサ素子25に異常が発生してガスセンサ素子25の制御を一旦中止した後、ガスセンサ素子25の状態に応じて調整処理の要否を判定し(S190)、必要と判断した場合には調整処理(S210)を実行する。調整処理が不要と判定されるか(S190で否定判定)、調整処理(S210)が実行されると、ECU17に対してガス検出可能信号を送信する(S220)。その後、ECU17によりエンジン本体5が再度始動されると(S230で肯定判定)、ガスセンサ素子25を用いたガス検出(S110)を再開する。
このガス濃度検出処理は、センサ制御装置1が停止するまで継続して実行される。
[1−8.効果]
以上説明したように、本実施形態のセンサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101がガス濃度検出処理のS120を実行することで、起電力セル91における一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)が異常電圧判定値Vthよりも低いか否かを判定し、その判定結果に基づいてガスセンサ素子25に異常が発生したか否かを判定している。
センサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101がS130で起動される電圧記憶処理を実行することで、一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)に関する履歴情報をRAM101cに記憶させる。
センサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101がS190を実行することで、起電力Vsに関する履歴情報に基づいて、ガスセンサ素子の状態をガス検出が可能な状態に近づけるための調整処理の要否を判定する。なお、S190では、起電力Vsに関する履歴情報として、S180で演算された異常情報を用いている。
センサ制御装置1は、S190で調整処理が必要と判定された場合には、S210を実行することで、ガスセンサ素子25への通電再開前に調整処理を実行する。
このようなセンサ制御装置1は、一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)が異常電圧判定値Vthよりも低いと判定された後の起電力Vsの履歴情報に基づいて、ガスセンサ素子25の調整処理の要否を判定する。そして、調整処理が必要と判定された場合には、センサ制御装置1は、ガスセンサ素子25への通電再開前に調整処理を実行する。センサ制御装置1は、調整処理を実行することで、ガスセンサ素子25の状態をガス検出可能な状態に近づけることができ、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
よって、このセンサ制御装置1によれば、一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)が異常と判定された後において、ガス検出が不可能な状態のガスセンサ素子25を用いて強制的にガス検出を実行することを抑制でき、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
なお、センサ制御装置1は、一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)が異常と判定された場合に、ガスセンサ素子25と接続される全ての端子をHiインピーダンスに設定する(S140)。これにより、ガスセンサ素子25に対するセンサ制御装置1からの電圧印加および電流通電が継続されるのを抑制することができ、ガスセンサ素子25を保護することができる。そして、センサ制御装置1は、電圧印加および電流通電を停止した時点から通電再開までに、調整処理(S210)を実行することで、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
ガスセンサ素子25は、特定成分として酸素を検出するものであって、酸素基準部としての第1電極73(酸素基準電極)を備える構成である。このため、センサ制御装置1は、調整処理として、ガスセンサ素子25の第1電極73における酸素濃度を適切な値に戻す処理を実行することで、ガスセンサ素子25の状態をガス検出可能な状態に近づけることができ、通電再開後のガス検出精度の低下を抑制できる。
次に、センサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101がS180を実行することで、起電力Vsの履歴情報を用いて異常継続時間Teを演算する。そして、センサ制御装置1は、異常継続時間Teが時間基準値Tthよりも大きい場合に調整処理が必要と判定(S190で肯定判定)し、異常継続時間Teが時間基準値Tth以下である場合に調整処理が不要と判定(S190で否定判定)する。
つまり、異常継続時間Teの長さに応じてガスセンサ素子25の状態が変化するため、異常継続時間Teと時間基準値Tthとの比較結果に基づいて調整処理の要否を判定することで、ガスセンサ素子25の状態に応じた適切な判定が可能となる。
例えば、酸素を検出するガスセンサ素子25の場合には、異常継続時間Teの長さに応じて起電力セル91の第1電極73における酸素濃度(自己基準酸素濃度)が変化するため、異常継続時間Teと時間基準値Tthとの比較結果に基づいて調整処理の要否を判定することで、起電力セル91の状態に応じた適切な判定が可能となる。
また、例えば、異常継続時間Teが長くなり起電力セル91における酸素濃度が適正値から逸脱した場合には、調整処理を行うことで、酸素濃度を適正値に近づけることができ、ガスセンサ素子25の状態をガス検出に適した状態に近づけることができる。なお、異常継続時間Teが短いときには、起電力セル91における酸素濃度が適正値から逸脱する可能性が低いため、調整処理を行うことなく、ガスセンサ素子25を用いたガス検出を再開してもよい。
次に、センサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101がS180を実行するにあたり、起電力Vsの履歴情報を用いて異常積分値Seを演算する構成を採ることができる。そのような構成のセンサ制御装置1は、異常積分値Seが積分基準値Sthよりも大きい場合に調整処理が必要と判定(S190で肯定判定)し、異常積分値Seが積分基準値Sth以下である場合に調整処理が不要と判定(S190で否定判定)する構成を採ることができる。
つまり、異常積分値Seの大きさに応じてガスセンサ素子25の状態が変化するため、異常積分値Seと積分基準値Sthとの比較結果に基づいて調整処理の要否を判定することで、ガスセンサ素子25の状態に応じた適切な判定が可能となる。
例えば、酸素を検出するガスセンサ素子25の場合には、異常積分値Seの大きさに応じて起電力セル91の第1電極73における酸素濃度(自己基準酸素濃度)が変化するため、異常積分値Seと積分基準値Sthとの比較結果に基づいて調整処理の要否を決定することで、起電力セル91の状態に応じた適切な判定が可能となる。
また、例えば、異常積分値Seが大きくなり起電力セル91における酸素濃度が適正値から逸脱した場合には、調整処理を行うことで、酸素濃度を適正値に近づけることができ、ガスセンサ素子25の状態をガス検出に適した状態に近づけることができる。なお、異常積分値Seが小さいときには、起電力セル91における酸素濃度が適正値から逸脱する可能性が低いため、調整処理を行うことなく、ガスセンサ素子25を用いたガス検出を再開してもよい。
次に、センサ制御装置1は、マイクロコンピュータ101がS200を実行することで、一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)の履歴情報(詳細には、S180の演算で得られた異常情報)に基づいて調整処理の内容を決定する。具体的には、異常情報としての異常継続時間Teが長くなるほど調整処理の実行時間を長く設定し、異常継続時間Teが短くなるほど調整処理の実行時間を短く設定する。
このように、調整処理として常に同一内容の処理を実行するのではなく、ガスセンサ素子25の状態に応じて調整処理の実行時間を変更することで、ガスセンサ素子25の状態に応じた適切な調整処理を実行することが可能となる。
なお、S180において異常情報として異常積分値Seを演算する場合には、異常積分値Seが大きくなるほど調整処理の実行時間を長く設定し、異常積分値Seが小さくなるほど調整処理の実行時間を短く設定してもよい。
[1−9.文言の対応関係]
ここで、本実施形態における文言の対応関係について説明する。
センサ制御装置1がセンサ制御装置の一例に相当し、全領域空燃比センサ9がガスセンサの一例に相当し、酸素濃度検出セル91(起電力セル91、Vsセル91)が起電力セルの一例に相当し、一対の第1電極73、75が一対の第1電極の一例に相当し、酸素ポンプセル93(Ipセル93)がポンプセルの一例に相当し、一対の第2電極77、79が一対の第2電極の一例に相当する。
S120を実行するマイクロコンピュータ101が異常判定部の一例に相当し、一対の第1電極73、75間における電圧値(起電力Vs)が第1電極電圧値の一例に相当し、「異常電圧判定値Vthよりも小さい電圧値」が異常電圧値の一例に相当する。
電圧記憶処理を実行するマイクロコンピュータ101が履歴情報記憶部の一例に相当し、起電力Vsの履歴情報が第1電極電圧値に関する履歴情報の一例に相当する。
S190を実行するマイクロコンピュータ101が調整処理要否判定部の一例に相当し、異常継続時間Teが異常継続時間の一例に相当し、時間基準値Tthが時間基準値の一例に相当し、異常積分値Seが第1電極電圧値の積分値の一例に相当し、積分基準値Sthが積分基準値の一例に相当する。
S200およびS210を実行するマイクロコンピュータ101が調整処理実行部の一例に相当する。
[2.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記の実施形態では、起電力Vsの履歴情報に基づいて調整処理の実行時間を決定する処理(S200)を実行する構成について説明したが、この処理は必ずしも必要な処理ではない。つまり、調整処理の実行時間を予め定められた固定値とすることで、S200の処理を省略してもよい。これにより、ガス濃度検出処理を実行する際のセンサ制御装置1の処理負荷の低減を図ることができる。
また、異常電圧判定値Vth、時間基準値Tthなどにおけるそれぞれの数値は、上記の数値に限られることはなく、センサ制御装置およびガスセンサ素子の仕様や用途などの各種条件に応じて、適切な値をそれぞれ設定してもよい。
次に、上記実施形態では、被検出ガス中の特定成分を検出するガスセンサとして、被検出ガス中の酸素濃度を検出する全領域空燃比センサについて説明したが、本発明のセンサ制御装置の制御対象となるガスセンサは、全領域空燃比センサに限定されることはない。本発明のセンサ制御装置の制御対象となるガスセンサは、起電力セルおよびポンプセルを有するガスセンサであればよく、例えば、NOxセンサなどが挙げられる。
1…センサ制御装置、3…内燃機関、5…エンジン本体、7…排気管、9…全領域空燃比センサ、17…エンジン制御装置(ECU)、25…ガスセンサ素子、61…第1固体電解質体、63…第2固体電解質体、65…第1絶縁基体、67…第2絶縁基体、69…第3絶縁基体、71…第4絶縁基体、73…第1電極、75…第1電極、77…第2電極、79…第2電極、91…酸素濃度検出セル(起電力セル)、93…酸素ポンプセル、101…マイクロコンピュータ、101a…CPU、101b…ROM、101c…RAM、103…電気回路部。

Claims (4)

  1. 被検出ガス中の特定成分を検出するガスセンサを制御するセンサ制御装置であって、
    前記ガスセンサは、起電力セルおよびポンプセルを有しており、前記起電力セルは、第1固体電解質体および前記第1固体電解質体に形成された一対の第1電極を有し、前記特定成分の濃度差に応じて前記一対の第1電極間に起電力を発生するように構成され、前記ポンプセルは、第2固体電解質体および前記第2固体電解質体に形成された一対の第2電極を有し、当該センサ制御装置からの印加電圧に応じて前記一対の第2電極間にて酸素をポンピングするように構成されており、
    前記起電力セルの前記一対の第1電極間における電圧値である第1電極電圧値が予め定められた異常電圧値であるか否かを判定し、異常と判定した場合には前記ガスセンサの制御を一旦中止する異常判定部と、
    前記第1電極電圧値に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、
    前記異常判定部で前記第1電極電圧値が前記異常電圧値であると判定された後の前記履歴情報に基づいて、前記ガスセンサの状態を前記特定成分が検出可能な状態に近づけるための調整処理の要否を判定する調整処理要否判定部と、
    前記調整処理要否判定部にて前記調整処理が必要と判定された場合に、前記ガスセンサへの通電再開前に前記調整処理を実行する調整処理実行部と、
    を備えるセンサ制御装置。
  2. 前記調整処理要否判定部は、前記履歴情報を用いて前記第1電極電圧値が予め定められた電圧基準値を下回る時間である異常継続時間を演算し、前記異常継続時間が予め定められた時間基準値よりも小さい場合には、前記調整処理が不要と判断し、前記異常継続時間が前記時間基準値以上である場合には、前記調整処理が必要と判断する、
    請求項1に記載のセンサ制御装置。
  3. 前記調整処理要否判定部は、前記履歴情報を用いて前記第1電極電圧値が予め定められた電圧基準値を下回るときの前記第1電極電圧値の積分値を演算し、前記積分値が予め定められた積分基準値よりも小さい場合には、前記調整処理が不要と判断し、前記積分値が前記積分基準値以上である場合には、前記調整処理が必要と判断する、
    請求項1に記載のセンサ制御装置。
  4. 前記調整処理実行部は、前記履歴情報に基づいて前記調整処理の内容を変更する、
    請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
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