JP4768796B2 - ガスセンサ制御装置及びガスセンサ制御方法 - Google Patents
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Description
これらのガスセンサは、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質体の表面に一対の電極を形成してなるセルを1つないし複数備えたガスセンサ素子を有し、このガスセンサ素子からの出力に基づいて特定ガスの濃度検出を行っている。
又、セルのインピーダンス(素子インピーダンス)がセルの温度に応じて変化するため、このインピーダンスを検出してセルの温度制御(ヒータの通電制御)を行う装置が知られている(特許文献1参照)。セルの温度制御については、定期的に検出されるセルのインピーダンスが目標インピーダンスになるように、ヒータへの通電量をヒータ制御回路にて制御することで実行することができる。なお、セルのインピーダンスについては、インピーダンス検出対象となるセルに対してインピーダンス検出用の信号を入力し、そのときの出力(応答信号)に基づいてインピーダンスを検出することができる。
このようなことから、素子インピーダンスの変化に基づいて酸素濃度センサの異常の有無を診断する技術が開示されている(特許文献2参照)。この技術は、ガスセンサ(素子)やヒータの断線、短絡等の異常が発生した場合、素子インピーダンスの変化が通常と異なることを利用して異常を診断し、ヒータの通電制御を行っている。
すなわち、本発明は、セルの配線異常等により検出されるガスセンサのインピーダンスが過大になった状態が継続する場合にも、ヒータが過昇温されてガスセンサが高温になり過ぎることを防止すると共に、ヒータへの通電をオフにせず、ガスセンサが冷えてカーボン等の異物がセンサ表面に付着するのを防止したガスセンサ制御装置及びガスセンサ制御方法の提供を目的とする。
このような構成とすると、インピーダンス検出対象セルの配線が断線してインピーダンス検出手段にて検出されるインピーダンスが過大になり、ヒータに最大実効電圧が印加される状態になっても、最大実効電圧の印加時間をヒータ過昇温防止時間内に制限することで、ガスセンサが高温になるのを防止することができる。又、ヒータ過昇温防止時間が経過後は、ヒータへ最大実効電圧より低い低実効電圧を印加することで、異常時にヒータへの通電をオフにする場合に比べて最低限の温度で加熱するため、ガスセンサが冷えて異物がセンサ表面に付着するのを防止することができる。とりわけ、インピーダンス検出対象セルの温度が500℃以上となり得る低実効電圧をヒータに印加することで、カーボンがセンサ表面に付着するのを効果的に抑制することができる。
このような構成とすると、インピーダンスが前記活性判定閾値以下か否かに応じて、最適なヒータ過昇温防止時間が設定(選択)されることから、ヒータに最大実効電圧が印加され続ける前のガスセンサの温度状態に対応した形で最適なヒータ過昇温防止時間が設定(選択)される。従って、インピーダンス検出対象セルの配線が断線してインピーダンス検出手段にて検出されるインピーダンスが過大になり、ヒータに最大実効電圧が印加される状態になっても、ガスセンサが高温になるのをより確実に防止することができる。
このような構成とすると、カーボンの他に、りん、珪素、鉛といったガスセンサの正常な駆動に影響を与える物質がセンサ表面に付着しなくなるので好ましい。
このガスセンサ制御方法によれば、上記のガスセンサの制御装置と同様の効果を得ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るガスセンサ制御装置(電子制御ユニット;ECU)5を含む、内燃機関制御システム1の構成を示す概略図である。なお、内燃機関制御システム1は、内燃機関(エンジン)の運転状態を制御するための各種制御処理を実行し、被測定ガス(排気ガス)に含まれる特定ガス(酸素)の濃度を検出する処理を実行している。
内燃機関制御システム1は、電子制御ユニット5、ガスセンサ8を備え、ガスセンサ8はエンジンの排気管に取り付けられている。電子制御ユニット5は、ガスセンサ8(センサ素子10)を制御するセンサ制御回路2、エンジン制御装置9(以下、「エンジンCPU」9ともいう)、ヒータ43を制御するヒータ制御回路60を備え、センサ制御回路2はセンサ駆動回路52を含んでいる。エンジン制御装置9は、ヒータ制御回路60に接続され、センサ素子10の温度が作動温度(以降、活性化温度ともいう)となるようにヒータ制御回路60を制御する。又、エンジン制御装置9は、伝送ケーブル71を介してセンサ制御回路2に接続されてセンサ制御回路2を制御する。
ここで、本実施形態では、酸素濃度検知セル24が素子インピーダンスの検出対象のセルであるので、酸素濃度検知セル24が特許請求の範囲の「インピーダンス検出対象セル」に相当する。
なお、以下の説明では、Vs+端子と第1接続端子、COM端子と第2接続端子、及びIp+端子と第3接続端子とを特に区別せずに用いる。
又、素子インピーダンスを過大にさせる配線異常(断線)が生じる部分を、必要に応じて「Vs+ライン」と称する。Vs+ラインは、素子インピーダンスを検出する酸素濃度検知セル24の両電極28、22から延びる配線61、62、及び配線61、62に接続されるセンサ駆動回路52の配線部分が該当する。
なお、制御部55は、例えばアナログ構成のスイッチング回路として構成することができる。
そして、エンジン制御装置9は、センサ制御回路2から出力されるガス検出信号Vipに基づき、後述する酸素ポンプセル14に流れるIp電流の通電状態(通電方向、電流値など)を判定するとともに、Ip電流の通電状態に基づき酸素濃度を演算する。エンジン制御装置9は、演算により得られた酸素濃度を用いてエンジンの燃焼制御などを実行することで、内燃機関の運転状態を制御する。
なお、上記したヒータ43の通電指令が特許請求の範囲の「指令」に相当する。また、エンジン制御装置9が特許請求の範囲の「インピーダンス異常判定手段」、「電圧印加判定手段」、「電圧印加状態判定手段」、「指令手段」、「活性判定手段」、「時間設定手段」に相当する。ヒータ制御回路60及びエンジン制御装置9が特許請求の範囲の「ヒータ制御手段」に相当する。また、センサ制御回路2及びエンジン制御装置9が特許請求の範囲の「インピーダンス検出手段」に相当する。
酸素ポンプセル14は、部分安定化ジルコニア(ZrO2 )により板状に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体13と、その表面と裏面のそれぞれに主として白金で形成された第1ポンプ電極12、第2ポンプ電極16を有している。第1ポンプ電極12は、配線63を介して電子制御ユニット5の第3接続端子19に電気的に接続されており、第2ポンプ電極16は、配線62を介して電子制御ユニット5の第2接続端子17に電気的に接続されている。なお、第1ポンプ電極12は、多孔質保護層29に覆われており、多孔質保護層29により被毒物質などから保護されている。
酸素濃度検知セル24は、部分安定化ジルコニア(ZrO2 )により板状に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体23と、その表面と裏面のそれぞれに主として白金で形成された第1検知電極22、第2検知電極28を有している。第1検知電極22は、配線62を介して電子制御ユニット5の第2接続端子17に電気的に接続されており、第2ポンプ電極16とも電気的に接続されている。第2検知電極28は、配線61を介して電子制御ユニット5の第1接続端子15に電気的に接続されている。
酸素ポンプセル14と酸素濃度検知セル24との間には、多孔質拡散層18および上記絶縁層(図示省略)により包囲された中空状の測定室20が形成されている。測定室20は、多孔質拡散層18(詳細には、多孔質部)を介して測定ガス雰囲気と連通されている。また、測定室20の上面に第2ポンプ電極16が露出し、測定室20の下面に第1検知電極22が露出している。
そして、第2検知電極28は、補強板30と酸素イオン伝導性固体電解質体23との間に挟み込まれて外部と遮断され、第2検知電極28の周囲には密閉空間としての基準酸素室26が形成されている。従って、第2検知電極28から第1検知電極22に向かう方向に微小な定電流Icpを通電し、測定室20から第2検知電極28の側に酸素をポンピングすることにより、基準酸素室26に略一定濃度の酸素が蓄積される。このようにして基準酸素室26の酸素は、酸素濃度を検出する際の基準酸素濃度となる。
まず、被測定ガス(排気ガス)が、多孔質拡散層18を介して測定室20に拡散する。このとき、エンジンに供給される混合気(つまり、測定室20中の被測定ガス)が理論空燃比に保たれている状態では、測定室20と酸素濃度の基準となる基準酸素室26との間の酸素濃度差により、酸素濃度検知セル24に450[mV]の起電力が発生する(第1検知電極22と第2検知電極28との間に450[mV]の電位差が生じる)。
ところで、エンジンに供給される混合気の空燃比の変化に応じて、排気ガスに含まれる酸素濃度は変化し、測定室20に含まれる被測定ガス中の酸素濃度も変化する。そこで、本実施形態の内燃機関制御システム1では、第1検知電極22と第2検知電極28との間の電位差が450[mV]に保たれるように、センサ制御回路2によって酸素ポンプセル14に流れるIp電流を制御する。つまり、測定室20の雰囲気が理論空燃比と同じ状態になるようにIp電流を制御することで、酸素ポンプセル14によって酸素のポンピングが行われる。
センサ制御回路2は、センサ駆動回路52及び制御部55を備えている。
なお、本実施形態において、ヒータ43を最大実効電圧(=バッテリVBの電源電圧、本実施形態では12V)で印加するときを通電率(デューティ)100%とし、最大実効電圧以下の電圧を印加する際の通電率を0%〜100%未満の間で変化させることにより、ヒータ43への印加電圧を制御している。そして、この制御は、エンジン制御装置9が、通電率で決まる上記ヒータオン信号をヒータ制御回路60に出力し、ヒータ制御回路60がヒータオン信号に従ってオン・オフすることで行われる。つまり、本実施形態では、ヒータ43への通電をPWM制御している。
センサ駆動回路52は、酸素ポンプセル14を駆動するIp電流を流すためのオペアンプOP2、Ip電流の制御特性を改善するためのPID制御回路69、第2検知電極28の周囲(基準酸素室26)の酸素濃度を一定に保つよう酸素濃度検知セル24に定電流Icpを流すための定電流回路62、を備えている。
また、センサ駆動回路52は、エンジン制御装置9から出力された切替指令に応じてセンサ駆動回路52の通常状態を変更するためのスイッチSW1〜SW3を備えている。なお、スイッチSW1〜SW3のオン・オフ状態を切替えることにより、インピーダンス信号Vrpvsを検出するための検出信号の供給や、インピーダンス信号Vrpvsの検出等を行い、ヒータ43の通電制御やガスセンサ8の温度検出に必要な各種処理を行うようになっている。
又、差動増幅回路61の入力端子の他方は、PID制御回路69の出力端(Vpid点)と検出抵抗R1の接続点(Vpid点)に接続され、検出抵抗R1の両端の電圧の差を増幅可能になっている。
なお、Vcent点には、抵抗R、配線62,第2接続端子(COM端子)17を介して第2ポンプ電極16が接続されている。
PID制御回路69の入力端には、オペアンプOP1を介してオペアンプOP4の出力端子が接続され、オペアンプOP4の非反転入力端子がVs+端子15に接続されている。つまり、酸素濃度検知セル24の出力電圧VsがオペアンプOP4を介してPID制御回路69に入力される。なお、オペアンプOP4の反転入力端子はその出力端子に接続されている。
又、Vs+端子15に接続された定電流回路62は、定電圧源(図2では8Vにて表示)に抵抗を直列に接続した回路からなり、酸素濃度検知セル24の第2検知電極28の周囲(基準酸素室26)の酸素濃度を一定に保つために、酸素濃度検知セル24に定電流Icp(例えば、17μA)を供給する回路である。
まず、センサ駆動回路52は、定電流回路62より酸素濃度検知セル24に一定値の微小電流Icpを流しつつ、酸素濃度検知セル24の両端(端子Vs+と端子COM間)に発生する電圧Vsが450mVになるように、酸素ポンプセル14に流すポンプ電流Ipを制御して、測定室20における酸素の汲み入れ、または汲み出しを行う。つまり、酸素濃度検知セル24の両端に発生する電圧Vsが450mVになるように、酸素ポンプセル14を用いて測定室20の酸素濃度(酸素分圧)を調整する。
PID制御回路69は、第1オペアンプOP1を介して接続された酸素濃度検知セル24の端子Vs+の電位と端子COM(Vcent点)における電位との電位差が450mVとなるように、ポンプ電流Ipの通電状態をPID制御する。具体的には、PID制御回路69にて、目標制御電圧(450mV)と酸素濃度検知セル24の両端に発生する電圧Vsとの偏差がPID演算され、第2オペアンプOP2にフィードバックされることで、第2オペアンプOP2は酸素ポンプセル14にポンプ電流Ipを流す。
そして、エンジン制御装置9は、ガス検知信号Vipを図示しないA/D変換回路にてデジタル値に変換した後に、保持しているマップまたは計算式に基づき、ガス検知信号Vipに対応する酸素濃度を算出する濃度算出処理を実行する。
なお、第1コンデンサC1の一端は、第1スイッチSW1と第1オペアンプOP1の非反転入力端子の接続点に接続され、第1コンデンサC1の他端は接地されている。
一方、第3オペアンプOP3の反転入力端子には、抵抗R4を介して第4オペアンプOP4の出力端子が接続されるとともに、第3オペアンプOP3自身の出力が抵抗R6を介して入力されている。従って、第3オペアンプOP3の反転入力端子には、後述するインピーダンス検出用の電流−Iconstを酸素濃度検知セル24に通電した際のVs+電位(Vs+端子の電位)が入力されることになる。
ここで、第5オペアンプOP5、第2コンデンサC2、第2スイッチSW2、抵抗R2が信号ホールド回路を形成している。この信号ホールド回路には、まず、酸素濃度検知セル24のインピーダンス検出時に第2スイッチSW2がオフからオン状態になると、第3オペアンプOP3から電圧変化量ΔVsが入力される。その後、第2スイッチSW2がオンからオフ状態になると、この信号ホールド回路は、第2スイッチSW2がオン状態の時に第3オペアンプOP3から出力された電圧変化量ΔVsを第2コンデンサC2にて保持すると共に、電圧変化量ΔVsを表すインピーダンス信号Vrpvsをエンジン制御装置9に出力する。
同様に、Vs+端子15には第3スイッチSW3を介して電流源64が接続されている。又、抵抗RとCOM端子17との接続点にも、別の第3スイッチSW3を介して電流源66が接続されている。電流源64、66は、インピーダンス検出用の電流−Iconstとは逆極性の一定の電流値である一定電流+Iconstを流すための電流源である。
ここで、第1スイッチSW1は、第1オペアンプOP1(サンプルホールド回路)における電圧ホールド動作を制御する。第2スイッチSW2は、酸素濃度検知セル24のインピーダンス検出用の一定電流−Iconstのオン・オフを制御すると共に、第5オペアンプOP5(信号ホールド回路)における信号ホールド動作を制御する。第3スイッチSW3は、電流−Iconstと逆極性の一定電流+Iconstのオン・オフを制御する。
本発明においては、酸素濃度検知セル24のVs+ラインの断線等により、酸素濃度検知セル24のインピーダンスRpvsが異常閾値(インピーダンス異常閾値)以上になったときに、1)ヒータ43への最大実効電圧の印加時間を所定のヒータ過昇温防止時間以下で打ち切った後、2)最大実効電圧未満でかつ酸素濃度検知セル24の温度が500℃以上となる(換言すれば、酸素濃度検知セル24のインピーダンスRvpsが500℃以上に相当する値となる)低実効電圧でヒータ43を通電する処理を行う。
つまり、図3に示すように、酸素濃度検知セル24のVs+ラインが断線すると、インピーダンスが無限大ないし過度に大きくなるため、酸素濃度検知セル24が低温であると誤認識され、ヒータ43に最大実効電圧が通電され続けてしまう。その結果、ガスセンサ8の温度が異常に上昇して(1000℃を超え)、破損に至るおそれがある(図3における一点鎖線にて示したガスセンサの温度推移参照)。
なお、Vs+ラインがグランド電位に短絡した場合は、信号自体が検出できないので、異常が生じたことが直ちに判明し、別の方法で対応することができる。
さらに、ヒータ過昇温防止時間が経過した後は、ヒータ43へ最大実効電圧より低い低実効電圧を印加することで、異常が生じてもヒータ43への通電をオフにせずにガスセンサ8(センサ素子10)が冷えて異物(カーボン等)がセンサ素子10の表面に付着するのを防止する温度で加熱するようにしている。
そして、酸素濃度検知セル24のインピーダンスRpvsが異常閾値未満に低下した場合には、通常のPI演算によるヒータ制御処理に移行する。このPI演算は公知であり、目標とするRpvsと、ステップS18の処理時におけるRpvsの差ΔRpvsから、ガスセンサ8の温度を一定に保つためのヒータ印加電圧が計算される。
又、酸素濃度検知セル24の温度は、酸素濃度検知セル24のインピーダンスRpvsから測定することができる。
なお、本実施形態において、ガスセンサ8が目標の作動温度(本実施形態では830℃)にあるときのインピーダンスRpvsは75Ω程度である。
又、ヒータ制御処理の開始と同期して、エンジン制御装置9では、ガスセンサ8の温度検出処理を別途に実行する。この温度検出処理は公知であるが、簡単に説明すると、エンジン制御装置9は、所定の検出タイミングでセンサ駆動回路52から出力されるインピーダンス信号Vrpvsを取得する。そして、エンジン制御装置9は、所定の計算式、又はインピーダンス信号Vrpvsと酸素濃度測定セル24のインピーダンスRpvsとの相関関係を示したデータ(例えば、2次元マップ)を用い、酸素濃度測定セル24のインピーダンスRpvsを算出する。次いで、エンジン制御装置9は、インピーダンスRpvsに基づき、酸素濃度測定セル24(ガスセンサ8)の温度を算出し、この温度の情報がヒータ制御処理に用いられることになる。
ここで、過昇温防止フラグがオン(「1」)であると、後述する過昇温防止処理へ直ちに移行する。センサ活性経験フラグは、ガスセンサ8が活性になって正常なガス測定状態(ポンプ電流Ipを流しても良い状態)になっていたかを示し、ガスセンサ8が活性になっているとフラグがオン(「1」)となる。又、過昇温防止カウンタは、図3に示したヒータ過昇温防止時間(TOP、Tcl)をカウントするために用いられる。
ステップS18で、エンジン制御装置9はPI演算によるヒータ印加電圧(Vhrms)の計算を行う。ここで、PI演算は上述のように公知であり、ガスセンサ8の温度を一定に保つよう、ヒータ印加電圧が計算される。そして、ヒータ43は、この計算されたヒータ印加電圧(Vhrms)に基づき、ヒータ制御回路6を通じて通電制御(PWM制御)される。
ステップS20でインピーダンスRpvsが活性判定閾値よりも大きい場合、エンジン制御装置9は、ヒータ43への印加電圧(Vhrms)を最大実効電圧に設定する(ステップS24)。これは、ステップS24の段階では、インピーダンスRpvsが断線等による異常を示しているか、又は単にガスセンサ8が低温であるかが不明であるからである。
一方、ステップS50で「No」である場合、エンジン制御装置9は、ヒータ印加電圧(Vhrms)が最大実効電圧であるか否かを判定する(ステップS54)。ステップS54で「No」であれば、処理を終了する。
次に、エンジン制御装置9は、センサ活性経験フラグがオン(「1」)であるか否かを判定する(ステップS58)。ステップS58の判定は、センサ活性経験フラグの状態に応じて、ガスセンサ8の温度が異なることが想定され、ガスセンサ8の温度に応じて最適のヒータ過昇温防止時間(上記したTOP、Tcl)を選択するために行われる。
ステップS60で「Yes」(過昇温防止カウンタがTOP以上)の場合、最大実効電圧でのヒータへの印加時間がTOPになったことを意味する。従って、エンジン制御装置9は、ヒータ印加電圧を低実効電圧に下げる指令(ヒータオン信号)を所定の通電率(デューティ)でヒータ制御回路60に出力する(この実施形態では、ヒータ43への実効電圧が低実効電圧としての8Vに設定されるように通電率が設定されている)と共に、過昇温防止フラグをオン(「1」)にする(ステップS62)。ヒータ制御回路60は、上記ヒータオン信号に基づいてヒータ43に低実効電圧を印加する。ステップS62を行うと、過昇温防止処理を終了し、メインルーチンに戻る。
なお、ステップS62で過昇温防止フラグをオン(「1」)にすることにより、メインルーチンに戻ったときにステップS14で直ちに過昇温防止処理へ移行し、ヒータの過昇温を引き続き防止することができる。これは、ステップS62まで移行した場合、Vs+ラインの断線異常等が継続して生じている可能性があるからである。
ステップS64で「Yes」(過昇温防止カウンタがTcl以上)の場合、最大実効電圧でのヒータへの印加時間がTclになったことを意味する。従って、エンジン制御装置9は、ヒータ印加電圧を低実効電圧に下げる指令(ヒータオン信号)を所定の通電率(デューティ)でヒータ制御回路60に出力する(この実施形態では、ヒータ43への実効電圧が低実効電圧としての8Vに設定されるように通電率が設定されている)と共に、過昇温防止フラグをオン(「1」)にする(ステップS66)。ヒータ制御回路60は、上記ヒータオン信号に基づいてヒータ43に低実効電圧を印加する。ステップS66を行うと、過昇温防止処理を終了し、メインルーチンに戻る。
ステップS66で過昇温防止フラグをオン(「1」)にする理由は、ステップS62で説明したのと同様である。
また、上記実施形態では、本発明のガスセンサ制御装置をECU5に組み込んだ構成としたが、ECU5とは別体にしてガスセンサ制御装置を設けても良い。つまり、ガスセンサ8とECU5との間に、センサ制御回路2、ヒータ制御回路60、および、上述のヒータ制御処理と過昇温防止処理を実行可能なマイクロコンピュータを回路基板に搭載したガスセンサ制御装置を設置しても良い。
さらに、上記実施形態では、ステップS20における活性判定閾値とステップS50における異常閾値との値を同じ値に設定したが、これら閾値は別々の値に設定しても良い。
2 インピーダンス検出手段(センサ制御回路)
5 ガスセンサ制御装置(電子制御ユニット)
8 ガスセンサ
9 インピーダンス検出手段、インピーダンス異常判定手段、電圧印加判定手段、電圧印加状態判定手段、指令手段、活性判定手段、時間設定手段(エンジン制御装置)
13、23 固体電解質体
14 セル(酸素ポンプセル)
12、16 一対の電極(第1ポンプ電極、第2ポンプ電極)
24 インピーダンス検出対象セル(酸素濃度検知セル)
22、28 一対の電極(第1検知電極、第2検知電極)
43 ヒータ
52 センサ駆動回路
60 ヒータ制御手段(ヒータ制御回路)
TOP ヒータ過昇温防止時間(第2の到達時間)
Tcl ヒータ過昇温防止時間(第1の到達時間)
Claims (6)
- 固体電解質体および該固体電解質体に設けられた一対の電極を備えるセルを少なくとも1つ以上有すると共に特定ガスの濃度を検出するためのガスセンサであって、該セルのうちの1つがインピーダンスを検出するためのインピーダンス検出対象セルであるガスセンサに接続され、
前記ガスセンサが有するヒータを通電制御するヒータ制御手段と、
前記インピーダンス検出対象セルからの出力に基づき、前記インピーダンスを検出するインピーダンス検出手段と、
前記インピーダンス検出手段にて検出された前記インピーダンスが異常閾値以上か否かを判定するインピーダンス異常判定手段と、
前記インピーダンスが前記異常閾値以上と判定した場合に、前記ヒータに最大実効電圧を印加しているか否かを判定する電圧印加判定手段と、
前記ヒータに最大実効電圧を印加していると判定していた場合、前記最大実効電圧の印加時間が所定のヒータ過昇温防止時間以上になったか否かを判定する電圧印加状態判定手段と、
前記印加時間が前記ヒータ過昇温防止時間以上になった場合に、前記ヒータ制御手段に対し、前記最大実効電圧未満でかつ前記インピーダンス検出対象セルの温度が500℃以上となる低実効電圧を前記ヒータに印加する指令を出力する指令手段と、
を備えたガスセンサ制御装置。 - 前記インピーダンス検出手段にて検出されたインピーダンスが活性判定閾値以下か否かを判定し、前記活性判定閾値以下のときに前記ガスセンサが活性したと判定する活性判定手段と、
前記活性判定手段により前記インピーダンスが前記活性判定閾値以下と判定された場合には、前記ヒータ過昇温防止時間を第1の到達時間に設定し、前記インピーダンスが前記活性判定閾値より大きいと判定された場合に、前記ヒータ過昇温防止時間を前記第1の到達時間より長い第2の到達時間に設定する時間設定手段と、
を備えた請求項1に記載のガスセンサ制御装置。 - 前記低実効電圧は、前記インピーダンス検出対象セルの温度が700℃以上となる値に設定されている請求項1又は2に記載のガスセンサ制御装置。
- 固体電解質体および該固体電解質体に設けられた一対の電極を備えるセルを少なくとも1つ以上有すると共に特定ガスの濃度を検出するためのガスセンサであって、該セルのうちの1つがインピーダンスを検出するためのインピーダンス検出対象セルであり、ヒータを有するガスセンサに接続されるガスセンサ制御装置の制御方法であって、
前記インピーダンス検出対象セルからの出力に基づき、前記インピーダンスを検出するインピーダンス検出過程と、
前記インピーダンス検出過程にて検出された前記インピーダンスが異常閾値以上か否かを判定するインピーダンス異常判定過程と、
前記インピーダンスが前記異常閾値以上であると判定した場合に、前記ヒータに最大実効電圧を印加しているか否かを判定する電圧印加判定過程と、
前記ヒータに最大実効電圧を印加していると判定していた場合、前記最大実効電圧の印加時間が所定のヒータ過昇温防止時間以上になったか否かを判定する電圧印加状態判定過程と、
前記印加時間が前記ヒータ過昇温防止時間以上になった場合に、前記ヒータに前記最大実効電圧未満でかつ前記インピーダンス検出対象セルの温度が500℃以上となる低実効電圧を印加する低実効電圧印加過程と、
を有するガスセンサ制御方法。 - 前記インピーダンス検出過程にて検出されたインピーダンスが活性判定閾値以下か否かを判定し、前記活性判定閾値以下のときに前記ガスセンサが活性したと判定する活性判定過程と、
前記活性判定過程により前記インピーダンスが前記活性判定閾値以下と判定された場合には、前記ヒータ過昇温防止時間を第1の到達時間に設定し、前記インピーダンスが前記活性判定閾値より大きいと判定された場合に、前記ヒータ過昇温防止時間を前記第1の到達時間より長い第2の到達時間に設定する時間設定過程と、
を有する請求項4に記載のガスセンサ制御方法。 - 前記低実効電圧は、前記インピーダンス検出対象セルの温度が700℃以上となる値に設定される請求項5に記載のガスセンサ制御方法。
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