JP5021601B2 - ガスセンサシステム - Google Patents

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Description

本発明は、排気ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサシステムに関するものである。
従来、自動車のエンジンなどの内燃機関の排気通路に取り付けられ、排気ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサが知られている。このガスセンサには、例えば、ジルコニア等を主成分とする固体電解質体および一対の電極を有するセルを備えたガス検出素子と、固体電解質体が活性化する温度(活性化温度)以上にガス検出素子の温度を上昇させるためのヒータとを有するものがある。また、セルに設けられた電極に定電流が流されることで、排気ガス中の酸素濃度を検出するための基準となる基準酸素を自己生成するガスセンサも広く知られている。このガスセンサに、ガス検出素子およびヒータへの電力の供給の制御を行うセンサ制御装置が接続され、ガスセンサシステムが構成されている。
ところで、エンジンの始動時など、排気管がまだ十分に温まっていない状態では、排気管内に凝縮水が発生する場合がある。このときにヒータに電力を供給して、ガス検出素子を一気に高温に加熱すると、高温状態のガス検出素子に凝縮水が付着してガス検出素子が急冷され、その際の熱衝撃によりガス検出素子が割れる現象(所謂「飛水割れ」)が生じることがある。また、ガス検出素子の外表面に最初から凝縮水が付着している場合には、凝縮水が全て蒸発した瞬間に、凝縮水が付着していた部分の温度が急激に上昇してしまい、その際の熱衝撃によりガス検出素子が割れる現象(所謂「凝縮水割れ」)が生じることもある。そこで、凝縮水の飛水に起因した割れが生じ得る温度(飛水割れ発生温度)よりも低い温度にガス検出素子の温度を維持させた後、活性化温度以上とするために温度を上昇させるガスセンサシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによると、ガス検出素子の温度を活性化温度以上に上昇させる前に、凝縮水の蒸発を促進させることができるため、ガス検出素子の飛水割れおよび凝縮水割れを抑制することができる。
また、ガスセンサに配線異常が生じ、その配線異常に起因した過剰電流がガス検出素子に供給されると、酸素イオンの喪失によるセルの黒化現象(所謂「ブラックニング」)等が発生し、ガス検出素子が破損する場合がある。この問題を解決するために、ガス検出素子を活性化温度以上に昇温させる際に、活性化後に流す電流よりも小さな電流を流す活性化通電状態を必ず経てから、ガスセンサへの完全な通電を開始させるガスセンサシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。このガスセンサシステムのように、活性前通電状態中にガスセンサのセルの電極に流す電流の大きさを抑えれば、センサの破損の程度を低減させることができる。また、配線異常が生じている場合には、活性前通電状態において配線異常を検知することができる。
特開2005−308719号公報 特開2008−70194号公報
しかしながら、このような従来のガスセンサシステムでは、内燃機関が始動して通電制御を開始させると同時に、ガスセンサのセルの電極に定電流を通電させていた。すると、ガス検出素子の温度を飛水割れ発生温度未満に維持させる状態では、ガス検出素子の温度がある程度上昇するまでは固体電解質体のインピーダンスが高いため、定電流は微小電流であるものの、ガス検出素子に過大な電圧がかかることとなる。これにより、ブラックニング等が生じてガス検出素子が破損する虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、固体電解質体の温度が上昇する前にガス検出素子に過大な電圧がかかることを防止し、ガス検出素子の破損を防ぐことができるガスセンサシステムを提供することを目的とする。
本発明に係るガスセンサシステムは、固体電解質体および当該固体電解質体に設けられた一対の電極を有するセルを少なくとも1つ以上備えるガス検出素子と、通電により発熱することで前記ガス検出素子を加熱して活性化させるヒータとを有すると共に、前記1つ以上のセルのうちの一のセルが、自身の前記一対の電極間への定電流の供給により基準酸素源の生成を行うガスセンサを備えている。また、前記1つ以上のセルの前記一対の電極間に、少なくとも前記定電流を含む電力を供給する電極通電手段と、内燃機関が始動した際に、凝縮水の飛水によって前記ガス検出素子に割れが生じる飛水割れ発生温度未満の範囲に前記ガス検出素子の温度を維持させるのに必要な電力を前記ヒータに供給する予備通電手段と、当該予備通電手段による前記ヒータへの電力の供給後に、前記ガス検出素子の温度を活性化温度以上に上昇させる電力を前記ヒータに供給する本通電手段とを備えている。さらに、前記電極通電手段、前記予備通電手段、および前記本通電手段による前記ガスセンサへの電力の供給を制御する通電制御手段を備えている。そして、前記通電制御手段は、前記予備通電手段によって前記ヒータへの電力の供給が行われている場合に、前記電極通電手段による前記定電流の供給を遮断させ、前記本通電手段による前記ヒータへの電力の供給を開始させる場合に、前記電極通電手段による前記定電流の供給を開始させることを特徴とする。
本発明に係るガスセンサシステムでは、飛水割れ発生温度未満の範囲にガス検出素子の温度を維持させるための電力がヒータに供給されている場合、すなわち、ガス検出素子のインピーダンスが高い低温時には、ガスセンサのセルの電極への定電流(一定電流)の供給を遮断することができる。したがって、インピーダンスが高い状態のガス検出素子に過大な電圧がかかることを防止しつつ、凝縮水の蒸発を促進させることができる。よって、内燃機関が始動した際にガス検出素子に生じ得る破損、すなわち、過大な電圧がかかることを原因とする破損と、飛水割れおよび凝縮水割れによる破損とを、共に防止することができる。
また、本発明に係るガスセンサシステムにおいて、前記内燃機関が始動した際に、前記予備通電手段による前記ヒータへの電力の供給を実行させるか否かを判断する判断手段を備え、当該判断手段が前記予備通電手段による前記ヒータへの電力の供給を実行させないと判断した場合、前記本通電手段による前記ヒータへの電力の供給を開始させると共に、前記電極通電手段による前記定電流の供給を開始させるように前記通電制御手段が電力の供給を制御してもよい。
上記構成によれば、予備通電手段によるヒータへの電力の供給を実行させないと判断手段が判断した場合には、凝縮水の蒸発を促進させる過程を経ずに、ガスセンサのセルの電極への定電流の供給と、活性化温度以上とするためのヒータへの電力の供給とを開始させることができる。したがって、凝縮水の蒸発を促進させる過程が不要である場合には、この過程を省略することができる。よって、ガス検出素子を短時間で活性化温度以上に上昇させることができ、排気ガス中の酸素濃度の検出をより早く開始することができる。
また、本発明に係るガスセンサシステムにおいて、前記予備通電手段によって前記ヒータへの電力の供給が行われている場合に、前記電極通電手段による前記1つ以上のセルに対する全ての電力の供給を遮断させるように、前記通電制御手段が電力の供給を制御することが望ましい。この構成によれば、定電流のみならず、電極通電手段からガス検出素子への全ての電力の供給が行われないため、低温時のガス検出素子に過電流が流されることによる破損が生じる虞をさらに低下させることができる。
以下、本発明を具体化したガスセンサシステム100の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、ガスセンサシステム100の構成の概略について説明する。図1は、ガスセンサシステム100の概略構成図である。
図1に示す全領域空燃比センサ1は、自動車のエンジンの排気通路(図示外)に取り付けられ、排気通路を流通する排気ガス中の特定ガス成分(本実施の形態では酸素)の濃度を検出するセンサであり、排気ガスの空燃比を検出するためのセンサである。全領域空燃比センサ1は、内部に細長で長尺な板状をなすセンサ素子10を、図示外のハウジング内に保持した構造を有する。全領域空燃比センサ1からは、このセンサ素子10が出力する信号を取り出すための信号線が引き出されており、全領域空燃比センサ1とは離れた位置に取り付けられるECU3に電気的に接続されている。ECU3では、全領域空燃比センサ1への通電の制御が行われると共に、全領域空燃比センサ1からの出力に基づき、エンジンの空燃比フィードバック制御が行われる。
まず、センサ素子10の構造について説明する。センサ素子10は、排気ガス中の酸素濃度を検出するためのガス検出素子29と、ガス検出素子29を加熱するためのヒータ体30とから構成されている。ガス検出素子29は、ジルコニアを主体とする固体電解質体11,13,14と、アルミナを主体とする絶縁基体12とを、固体電解質体14,13、絶縁基体12、固体電解質体11の順に積層した構造を有する。固体電解質体11の両面には、白金を主体とする一対の電極19,20がそれぞれ形成されており、電極19は、その表面がセラミックスからなる多孔質性の保護層24に覆われている。電極19は、この保護層24によって、排気ガスに含まれるシリコン等の被毒成分から保護されている。また、固体電解質体13の両面にも一対の電極21,22がそれぞれ形成されており、電極22は、固体電解質体13,14に挟まれ、固体電解質体中に埋設された形態となっている。固体電解質体11,13,14および絶縁基体12は、いずれも細長い板状に形成されており、図1ではその長手方向と直交する断面を示している。
絶縁基体12の長手方向の一端側には、固体電解質体11,13を一壁面としつつ、排気ガスを導入可能な中空の内部空間としてのガス検出室23が形成されている。このガス検出室23の幅方向の両端には、ガス検出室23内に排気ガスを導入する際の流入量を規制するための多孔質状の拡散律速部15が設けられている。上記した固体電解質体11上の電極20と、固体電解質体13上の電極21は、このガス検出室23内にそれぞれ露出されている。
次に、ヒータ体30は、アルミナを主体とし、板状をなす2枚の絶縁基体18,17を積層しつつ、両絶縁基体間に白金を主体とする発熱抵抗体26を挟んで配設した構造を有する。ジルコニアからなる固体電解質体は、常温では絶縁性を示すが、高温環境下では活性化されて酸素イオン導電性を示すことが知られており、ヒータ体30は、その固体電解質体11,13,14を加熱して活性化させるために設けられている。このヒータ体30は、ガス検出素子29の固体電解質体14側の外層に配設されている。そして、ヒータ体30の絶縁基体17と、ガス検出素子29の固体電解質体14とは接合材を介して一体化されている。
このように構成されたセンサ素子10において、固体電解質体11およびその両面に設けられた一対の電極19,20は、外部からガス検出室23内に酸素を汲み入れ、あるいはガス検出室23から外部へ酸素を汲み出す酸素ポンプセルとして機能する。以下、固体電解質体11および電極19,20を総じてIpセル27という。
そして、固体電解質体13およびその両面に設けられた一対の電極21,22は、両電極間の酸素濃度に応じて起電力を発生させる酸素濃度検出セルとして機能する。また、一対の電極21,22に定電流が供給されることにより、電極22は、ガス検出室23内の酸素濃度検出のための基準となる一定の酸素濃度となるように基準酸素源を生成する。すなわち、電極22は、酸素基準電極として機能する。以下、固体電解質体13及び電極21,22を総じてVsセル28という。尚、Ipセル27およびVsセル28の詳細な機能については後述する。
次に、センサ素子10に接続されるECU3の構成について説明する。ECU3は、マイクロコンピュータ5、ガスセンサ制御装置40、およびヒータ制御回路41から構成される。そして、ガスセンサ制御装置40およびヒータ制御回路41を介して全領域空燃比センサ1への電力の供給を制御すると共に、センサ素子10から排気ガス中の酸素濃度に応じた電流値を電圧信号として得るための電気回路である。
マイクロコンピュータ5は、自動車のエンジンの駆動等を電子的に制御するための装置であり、制御プログラムの実行にしたがって燃料の噴射タイミングや点火時期の制御を行うものである。そのために、マイクロコンピュータ5は、図示外の信号入出力部を介して、全領域空燃比センサ1への電力の供給を制御するための信号をガスセンサ制御装置40やヒータ制御回路41に出力し、全領域空燃比センサ1からの出力(検出信号)をガスセンサ制御装置40から入力する。また、マイクロコンピュータ5には、エンジンのウォータージャケット(図示外)内に臨んで冷却水温Twを検出する温度センサ35が接続され、温度センサ35の出力が入力される。さらに、マイクロコンピュータ5には、エンジンのピストン位置や回転数を検出できるクランク角や、燃焼圧などの情報も入力される。そして、マイクロコンピュータ5には、公知の構成のCPU6、ROM7、およびRAM8が搭載されている。CPU6は、上記の制御を含む各種制御を実行し、ROM7には、これらの各種制御を行うためのプログラムや初期値等が記憶されている。RAM8には、プログラムの実行に使用される各種変数やフラグ、カウンタ等が一時的に記憶される。
ガスセンサ制御装置40は、全領域空燃比センサ1の駆動制御を行うための回路を集積して1チップ化し、ECU5に容易に組み込めるようにしたASIC(特定用途向け集積回路)である。そして、マイクロコンピュータ5から入力される信号に応じてガス検出素子29に電力を供給すると共に、ガス検出素子29から電圧信号及びセンサ素子抵抗値信号を検出してマイクロコンピュータ5に出力する。詳細には、ガスセンサ制御装置40は、Vsセル28の電極22から電極21側へ微小な定電流Icpを流し、電極22側に酸素イオンを移動させて酸素を溜め込ませることで、電極22を排気ガス中の酸素濃度を検出するための基準となる酸素基準電極として機能させる。また、Vsセル28の電極21,22間に生ずる起電力Vsを検出して、あらかじめ定められた基準電圧(例えば450mV)との比較を行う。この比較結果に基づき、Ipセル27の電極19,20間に流すポンプ電流Ipを制御して、Ipセル27によるガス検出室23への酸素の汲み入れやガス検出室23からの酸素の汲み出しが行われるようにする。さらに、温度に応じて変化するガス検出素子29の電気抵抗値を公知の手法を用いて検出し、マイクロコンピュータ5に出力する。
ヒータ制御回路41は、センサ素子10に設けられたヒータ体30の発熱抵抗体26の両端に電圧Vhを印加する。これにより、発熱抵抗体26を発熱させて、Ipセル27およびVsセル28の加熱を行う。
次に、図1および図2を参照して、上記したガスセンサシステム100の電気的構成について説明する。図2は、ガスセンサシステム100の電気的構成を示す図である。
図1に示すように、全領域空燃比センサ1のIpセル27およびVsセル28に設けられた電極のうち、ガス検出室23に露出した両セルの一方の電極20,21は、互いに導通している。そして、図2に示すように、導通されているこれらの電極21,22は、全領域空燃比センサ1のCOMポートに接続されている。また、Vsセル28の他方の電極22は、全領域空燃比センサ1のVs+ポートに接続され、前述の酸素基準電極として機能する。Ipセル27の他方の電極19は、全領域空燃比センサ1のIp+ポートに接続されており、ガス検出室23と外気との間で酸素交換を行うために機能する。
また、ECU3は、先述したマイクロコンピュータ5、ガスセンサ制御装置40、およびヒータ制御回路41と、A/D変換器42とを備えている。このA/D変換器42は、ガスセンサ制御装置40のVoutポートに接続されており、Voutポートを介してガスセンサ制御装置40から入力されるアナログの出力電圧をデジタル変換し、マイクロコンピュータ5のCPU6に出力する。
ガスセンサ制御装置40は、入出力用の複数のポートP1〜P6、検出した酸素濃度に対応する出力電圧を出力するためのVoutポート、また、図示しない、電源用のポート等を有する。また、ガスセンサ制御装置40は、全領域空燃比センサ1のガス検出素子29に微小な定電流Icpを供給するIcp供給回路46を有しており、このIcp供給回路46は、スイッチSW5およびP1ポートを介して全領域空燃比センサ1のVs+ポートに接続されている。定電流Icpは、Vsセル28、Ipセル27の順に流され、次いでガスセンサ制御装置40のP5ポートに流される。これにより、酸素基準電極として機能するVsセル28の電極22(図1参照)側では、酸素濃度が一定に保たれる。また、後述する異常検出回路59によって行われる、短絡や断線等の異常の検出が可能となる。
また、ガスセンサ制御装置40は、ガス検出素子29のIpセル27にポンプ電流Ipを供給するアンプ48、49を有する。アンプ48の反転入力(−)端子はP3ポートに接続され、さらに、抵抗器R13を介して全領域空燃比センサ1のCOMポートに接続されている。アンプ48の非反転入力(+)端子には3.6Vの基準電圧が印加されており、出力端子はスイッチSW3およびP5ポートを介し、全領域空燃比センサ1のIp+ポートに接続されている。さらに、P5ポートには、後述する非活性モード中にガス検出素子29に微小な電流を供給するための分圧回路55が、スイッチSW4を介して接続されている。分圧回路55は、2つの抵抗素子R1およびR2から構成されている。また、アンプ49は、P3ポートに3.6Vの基準電圧を印加する回路であり、その出力端子は、スイッチSW1を介してP3ポートに接続されている。
アンプ48,49によってIpセル27に供給されるポンプ電流Ipの大きさは、PID制御回路50によって決定される。PID制御回路50の入力側は、バッファ51を介してP1ポート(つまりは全領域空燃比センサ1のVs+ポート)に接続されている。さらに、PID制御回路50の入力側には、ポンプ電流Ipの制御目標となる基準電圧(450mV)を生成する基準電圧生成回路52が接続されている。一方、PID制御回路50の出力側は、スイッチSW2を介してP2ポートに接続され、さらに、後述する検出抵抗器Rdを介して、P3ポート、つまりはアンプ48の反転入力(−)に接続されている。このPID制御回路50は、Vsセル28に微小な定電流Icpを流すことによって生ずる起電力Vsが450mVとなるように、アンプ48,49からIpセル27に供給するポンプ電流Ipの向きや大きさを調整するフィードバック制御を行う。
検出抵抗器Rdは、ポンプ電流Ipの大きさを検出するために設けられており、その両端が、ガスセンサ制御装置40のP2ポートとP3ポートとに接続されている。そして、P2ポートとP3ポートとは、それぞれ差動増幅回路53に接続されている。差動増幅回路53は、ポンプ電流Ipが流れることによって検出抵抗器Rdの両端に生ずる電位差Vdを、所定の増幅度で増幅して、検出電位VoutとしてVoutポートから出力する。
また、ガスセンサ制御装置40は、通信回路57、スイッチ制御回路58、および異常検出回路59を備えている。通信回路57は、マイクロコンピュータ5のCPU6との間で信号の入出力を行うための回路であり、P6ポートを介してCPU6に接続されている。スイッチ制御回路58は、通信回路57に接続されており、通信回路57に入力されたCPU6からのスイッチ切替信号に応じて5つのスイッチSW1〜SW5の入切を行う。これにより、ガスセンサ制御装置40によるガス検出素子29への電力の供給が制御される。異常検出回路59は、短絡や断線等の異常を検出し、異常が検出された場合には異常信号をCPU6へ出力する。この異常検出回路59には、ガス検出素子29とガスセンサ制御装置40とを接続するP1、P4、P5の各ポートが接続されており、各ポートの電圧値のいずれかが正常な範囲を逸脱した場合に、異常信号を出力する。尚、異常検出回路59での異常検出には公知の構成を適用すればよい。
例えば、後述する活性モードでは、全領域空燃比センサ1のVs+ポートに接続されているP1ポートの電圧値は、異常が生じていなければ、アンプ48による3.6Vの基準電圧と、ポンプ電流Ipの制御目標となる基準電圧(450mV)との和となる。しかし、Vsセル28に接続されている配線に短絡等の異常が生じると、P1ポートの電圧値が異常値となり、ガス検出素子29に過大な電流が流れる。すると、ブラックニング等によるセンサの破損が生じる。また、配線の断線や導通不良等の異常が生じると、正常な値よりも高い電圧値が検出される(端子オープン異常)。異常検出回路59は、P1ポートの電圧値を監視し、電圧値が制御状態(制御モード)に応じた所定の閾値を超えた場合には、異常信号をCPU6に出力する。同様に、全領域空燃比センサ1のCOMポートに接続されているP4ポート、およびIp+ポートに接続されているP5ポートの電圧値についても監視を行い、異常値が検出された場合には異常信号を出力する。尚、定電流Icpの供給を含む、ガス検出素子29への電力の供給を行うガスセンサ制御装置40が、本発明における「電極通電手段」に相当する。
また、ヒータ制御回路41は、マイクロコンピュータ5のCPU6、およびヒータ体30の発熱抵抗体26に接続されており、発熱抵抗体26への通電をPWM制御(パルス幅変調制御)するためのスイッチング素子を備えている。そして、マイクロコンピュータ5のCPU6から出力されるパルス信号に応じて、発熱抵抗体26の両端に電圧Vhを印加し、ガス検出素子29を加熱させる。加熱状態を制御するため、CPU6は、発熱抵抗体26の両端に印加する電圧Vhの電圧波形のデューティ比を算出する。
具体的に、本実施の形態では、後述するプレヒートモード中のデューティ比である予備通電デューティ比D1と、固体電解質体11,13,14の温度を活性化温度以上(例えば、750℃)に上昇させて維持させるためのデューティ比である本通電デューティ比D2とが、CPU6によって算出される。そして、ヒータ制御回路41は、CPU6の指示に従い、予備通電デューティ比D1で発熱抵抗体26への通電をPWM制御することで、発熱抵抗体26の両端に2〜3V(DC2〜3V)の電圧を印加した場合と同様の電力を供給する。これにより、ガス検出素子29の温度を約200度に上昇、維持させるための通電制御が行われる。また、ヒータ制御回路41は、本通電デューティ比D2で発熱抵抗体26への通電を制御することで、11V(DC11V)の電圧を印加した場合と同様の電力を供給する。これにより、ガス検出素子29、すなわち固体電解質体11,13,14の温度を活性化温度以上に上昇、維持させるための通電制御が行われる。尚、発熱抵抗体26に対する予備通電デューティ比D1での電力供給、および本通電デューティ比D2での電力供給を行うヒータ制御回路41が、本発明における「予備通電手段」および「本通電手段」に相当する。
次に、全領域空燃比センサ1を用いて排気ガスの酸素濃度(空燃比)を検出する動作について、図1および図2を参照して簡単に説明する。まず、ガス検出素子29が活性化温度以上となっている場合に、Icp供給回路46によってVsセル28の電極21,22に微小な定電流Icpが流されると、Vs+ポートに接続された電極22側に、ガス検出室23から固体電解質体13を介して酸素が汲み込まれる。この酸素イオンの移動に伴い、Vsセル28の両端には電圧Vsが発生するが、ガス検出室23内に導入された排気ガス中の酸素濃度に応じて酸素イオンの移動量が変化するため、電圧Vsは変動する。そこで、この電圧Vsが基準電圧、すなわち、ガス検出室23内の排気ガスの空燃比を理論空燃比に近づけるための電圧Vsの制御目標として設定される450mVとなるように、Ipセル27に流されるポンプ電流Ipの向きと大きさが、PID制御回路50によって制御される。
ガス検出室23内に流入した排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであった場合、排気ガス中の酸素濃度が薄いため、外部から固体電解質体11を介してガス検出室23内に酸素を汲み入れるように、ポンプ電流Ipが制御される。一方、ガス検出室23内に流入した排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであった場合、排気ガス中には多くの酸素が存在するため、ガス検出室23から外部へ酸素を汲み出すように、ポンプ電流Ipが制御される。このときのポンプ電流Ipが検出抵抗器Rdを流れ、差動増幅回路53によって電圧変換されて、A/D変換器42を介し、全領域空燃比センサ1の出力(検出信号)としてマイクロコンピュータ5のCPU6に出力される。そして、CPU6では、検出信号として得られたポンプ電流Ipの大きさと向きから、排気ガス中に含まれる酸素濃度、ひいては排気ガスの空燃比を検出するのである。
ここで、酸素濃度の検出動作を実行するためには、固体電解質体11,13,14が活性化温度以上(例えば、750℃)となるまでガス検出素子29を加熱しなければならない。その際に、前述した飛水割れや凝縮水割れの発生を防止するため、本実施の形態では、凝縮水が発生する条件となっているか否かをエンジン始動時に判断する。そして、凝縮水が発生する条件であると判断された場合には、発熱抵抗体26に対し、ガス検出素子29の温度を活性化温度以上に上昇させるための本通電を行う前に、ガス検出素子29の温度を飛水割れが生じる温度未満に維持させる予備通電を行う。詳細は後述するが、この場合のマイクロコンピュータ5による全領域空燃比センサ1の制御モードを、プレヒートモードという。これにより、ガス検出素子29を活性化温度以上に上昇させる前に凝縮水の蒸発を促進させて、飛水割れおよび凝縮水割れの発生を抑制している。
また、プレヒートモード終了後、発熱抵抗体26への本通電を開始させてからガス検出素子29が活性化温度以上となるまでの間は、ガス検出素子29へ供給する電流の大きさを、活性化後に供給する電流の大きさよりも小さくしている。これにより、異常検出回路59による配線異常の検出を行いつつ、配線異常が生じている場合に起こりうるガス検出素子29の破損(例えば、ブラックニングによる破損)の程度を低減させる。プレヒートモードが終了してから酸素濃度の検出動作を実行するまでの、マイクロコンピュータ5による全領域空燃比センサ1の制御モードを、非活性モードという。
本実施の形態のガスセンサシステム100では、ガス検出素子29の温度が低温となっているプレヒートモード中は、Icp供給回路46からの定電流Icpの供給を遮断している。ガス検出素子29の温度が低く、固体電解質体11,13,14のインピーダンスが高い状態で、リーク等によってガス検出素子29に過電流が流れる虞を無くすことで、Ipセル27およびVsセル28に破損が生じることを防止している。さらに、プレヒートモード中は、定電流Icpのみならず、ガスセンサ制御装置40からガス検出素子29への全ての電力の供給を遮断し、セルの破損が生じることをより確実に防止している。以下、全領域空燃比センサ1の制御モードの詳細、および通電制御処理の詳細について説明する。
次に、図3を参照して、マイクロコンピュータ5による全領域空燃比センサ1の制御モードについて説明する。図3は、マイクロコンピュータ5による全領域空燃比センサ1の制御モードを表した説明図である。制御モードとは、マイクロコンピュータ5によって制御される、ガスセンサ制御装置40のスイッチSW1〜SW5の状態、およびヒータ制御回路41の作動状態である。
保護モードとは、全領域空燃比センサ1に異常電流が流れることを防ぎ、破損から保護するための制御モードである。保護モードでは、ガスセンサ制御装置40のスイッチSW1〜SW5の全てが「OFF」とされ、ヒータ制御回路41によってヒータ体30の発熱抵抗体26に印加される電圧Vhも「0V」とされる。よって、アンプ48,49、基準電圧生成回路52、分圧回路55、およびIcp供給回路46からの全ての電力の供給が遮断され、ヒータ体30によるガス検出素子29の加熱も行われない。
プレヒートモードとは、飛水割れが生じる温度に達しないようにガス検出素子29の温度を上昇、維持させて、自身に付着した凝縮水や付近を漂う凝縮水を蒸発させることで、飛水割れおよび凝縮水割れの発生を抑制するための制御モードである。プレヒートモードでは、ガスセンサ制御装置40のスイッチSW1〜SW5は、保護モード中と同様に全て「OFF」とされる。また、発熱抵抗体26に印加される電圧Vhは、予備通電デューティ比D1でヒータ制御回路41による通電がPWM制御されることで、2〜3V(DC2〜3V)の電圧を印加した場合と同様の電圧とされる。これにより、定電流Icpを含む、ガス検出素子29への全ての電力の供給を遮断しつつ、ガス検出素子29の温度が約250℃に上昇、維持されるように電力供給が制御される。尚、本実施の形態では、プレヒートモード中に維持させるガス検出素子29の温度を100℃以上とすることで、凝縮水の蒸発を促進させている。もちろん、凝縮水の気化が促進される温度であれば100℃未満であってもよいが、沸点以上となる100℃以上とすることが好ましい。また、一般的なガス検出素子29の飛水割れ発生温度は約300℃であるため、本実施の形態では、プレヒートモード中のガス検出素子の目標温度を100℃以上300℃未満の範囲内である250℃とするように、予備通電デューティ比D1を算出している。
非活性モードとは、ガス検出素子29へ供給する電流の大きさを活性化後に供給する電流の大きさよりも小さくして、配線異常等による不具合の検出を行いつつ、ガス検出素子29を活性化温度以上に上昇させるための制御モードである。非活性モードでは、ガスセンサ制御装置40のスイッチSW1、SW4、SW5が「ON」とされ、SW2、SW3が「OFF」とされる。すなわち、SW5が「ON」とされると、ガス検出素子29のVsセル28およびIpセル27への微小な定電流の供給が開始される。これにより、Vsセル28の電極22側に一定濃度の酸素が生成されると共に、異常検出回路59による短絡や断線等の異常の検出が可能となる。また、SW2およびSW3が「OFF」とされるため、PID制御回路50およびアンプ48からのIpセル27への電流の供給が行われない。また、発熱抵抗体26に印加される電圧Vhは、本通電デューティ比D2でヒータ制御回路41による通電がPWM制御されることで、11V(DC11V)の電圧を印加した場合と同様の電圧とされる。これにより、ガス検出素子29の温度は活性化温度以上(本実施の形態では、約750℃)を目標温度として上昇する。
活性モードとは、ガス検出素子29の温度を活性化温度以上に維持しつつ、酸素濃度の検出動作を実行するための電流をガス検出素子29に供給する制御モードである。活性モードでは、ガスセンサ制御装置40のスイッチSW2、SW3、SW5が「ON」とされ、SW1、SW4が「OFF」とされる。これにより、Ipセル27では排気ガス中の酸素濃度に応じて酸素イオンが移動する。また、発熱抵抗体26には本通電デューティ比D2で通電が行われて、ガス検出素子29の温度が活性化温度以上で維持される。
次に、図4を参照して、マイクロコンピュータ5のCPU6によって行われる通電制御処理について説明する。図4は、マイクロコンピュータ5のCPU6によって行われる通電制御処理のフローチャートである。通電制御処理は、ガスセンサ制御装置40およびヒータ制御回路41による全領域空燃比センサ1への通電を制御する処理である。この処理は、自動車がキーオンされてマイクロコンピュータ5の駆動が開始すると、内燃機関を制御するための他のプログラムと共に、CPU6によって実行される。初期状態においては、全領域空燃比センサ1の制御モードは保護モードに設定される。すなわち、ガスセンサ制御装置40のスイッチSW1〜SW5は全て「OFF」とされ、発熱抵抗体26への通電も行われない。尚、ガスセンサ制御装置40およびヒータ制御回路41からのガス検出素子29への電力の供給を制御するCPU6が、本発明における「通電制御手段」として機能する。また、フローチャートの各ステップについては「S」と略記する。
通電制御処理が開始されると、まず、温度センサ35(図1参照)からの出力により、エンジンのウォータージャケット内の冷却水温Twが所定温度T℃(一例として、0℃)よりも低いか否かが判断される(S1)。T℃よりも低い場合には(S1:YES)、排気管の温度が低く、内部に凝縮水が発生する条件にあるとされて、発熱抵抗体26にDC2〜3V相当の電圧を印加させるための処理が行われる(S2)。詳細には、予備通電デューティ比D1が算出されて、デューティ比D1でヒータ制御回路41による通電がPWM制御される。尚、この時点では、ガスセンサ制御装置40へのスイッチ切替信号の出力は行われず、スイッチSW1〜SW5は全て「OFF」のままとなっている。すなわち、全領域空燃比センサ1についての制御モードは、保護モードからプレヒートモードへ移行する。ここで、予備通電デューティ比D1での発熱抵抗体26への通電を実行させるか否かをS1で判断するCPU6が、本発明における「判断手段」として機能する。
次いで、所定時間(一例として、30秒)が経過したか否かにより、予備通電デューティ比D1に基づくガス検出素子29の加熱(プレヒート)が完了したか否かが判断されるS3)。所定時間が経過していなければ(S3:NO)、プレヒートが完了していないと判断され、プレヒートが継続される(S2)。そして、所定時間が経過すると(S3:YES)、Icp供給回路46による微小な定電流Icpの供給を開始させるために、SW5を「ON」とさせるスイッチ切替信号がガスセンサ制御装置40に出力される(S4)。
ところで、例えばエンジンを一旦停止させた後、すぐに始動を再開させる場合などは、通電制御処理が開始された時点で凝縮水が発生する条件にない場合がある。そこで、通電制御処理が開始されたときに、冷却水温Twが所定温度T℃以上となっていれば(S1:NO)、凝縮水が発生する条件にないとして、プレヒートモードを経ずに、SW5を「ON」とさせるスイッチ切替信号がガスセンサ制御装置40に出力される(S4)。
定電流Icpの供給が開始されると、異常検出回路59の検出結果から、短絡異常が生じているか否かが判断される(S5)。先述したように、短絡異常が生じ、少なくともいずれかのポートの電圧値が所定の閾値を超えると、異常検出回路59からCPU6へ短絡異常を示す異常信号が出力される。この異常信号が入力されている場合には、短絡異常が生じていると判断され(S5:NO)、制御モードを保護モードへ移行させる処理が行われて待機状態とされる(S7)。詳細には、ガスセンサ制御装置40に対し、全てのスイッチSW1〜SW5を「OFF」とさせるスイッチ切替信号が出力される。そして、ヒータ制御回路41に対し、ヒータ体30の発熱抵抗体26への通電を終了させる処理が行われて、処理がリセットされるまで待機状態とされる。
また、短絡異常の異常信号が入力されておらず、短絡異常が生じていないと判断された場合には(S5:YES)、端子オープン異常が生じているか否かが判断される(S6)。先述したように、断線や導通不良等を起因とした異常である端子オープン異常が生じ、ポートの電圧値が所定の閾値を超えると、異常検出回路59は端子オープン異常を示す異常信号を出力する。この異常信号が入力されている場合には、端子オープン異常が生じていると判断されて(S6:NO)、制御モードを保護モードへ移行させる処理が行われる(S7)。
端子オープン異常が生じていないと判断された場合には(S6:YES)、発熱抵抗体26にDC11V相当の電圧を印加させるための処理が行われる(S8)。詳細には、本通電デューティ比D2が算出されて、デューティ比D2でヒータ制御回路41による通電がPWM制御される。次いで、ガス検出素子29のインピーダンスを公知の手法を用いて算出し、算出されたインピーダンスが所定の活性化閾値を下回ったか否かを判定することで、ガス検出素子29が活性化しているか否かが判断される(S9)。プレヒート完了の直後は、ガス検出素子29の温度が飛水割れ発生温度付近(約250℃)にあり、活性化温度よりも低いため、インピーダンスが高い状態にある。よって、活性化していないと判断されると(S9:NO)、全領域空燃比センサ1についての制御モードが非活性モードとされて(S10)、S5の判断へ戻る。詳細には、発熱抵抗体26への通電状態を維持させつつ、SW1、SW4、SW5を「ON」とさせるスイッチ切替信号がガスセンサ制御装置40に出力される。
非活性モードにおいて、ヒータ体30によるガス検出素子29の加熱が継続されて温度が活性化温度に達すると、インピーダンスが所定の活性化閾値を下回る。これにより、ガス検出素子29が活性化していると判断されると(S9:YES)、制御モードが活性モードとされて(S11)、S5の判断へ戻る。詳細には、発熱抵抗体26への通電状態を維持させたまま、SW2、SW3、SW5を「ON」とさせるスイッチ切替信号がガスセンサ制御装置40に出力される。これにより、全領域空燃比センサ1は、酸素濃度の検出が可能な状態となる。尚、自動車がキーオフされて、ECU5への電力の供給が遮断されると、通電制御処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態のガスセンサシステム100によると、ガス検出素子29の温度を飛水割れ発生温度未満に上昇、維持させる制御モードであるプレヒートモードでは、Icp供給回路46からのガス検出素子29への定電流Icpの供給を遮断させることができる。そして、ガス検出素子29の温度を活性化温度以上まで上昇させる非活性モードへ移行する場合に、定電流Icpの供給を開始させる。これにより、ガス検出素子のインピーダンスが高い低温時に、ガス検出素子29に過大な電圧がかかることを防止することができる。よって、ガス検出素子29が破損することを防ぐことができる。
また、内燃機関が始動して通電制御処理を開始させる場合に、発熱抵抗体26に対して予備通電を実行させるか否かが判断される。この予備通電とは、ガス検出素子29の温度を活性化温度以上に上昇させるための本通電を行う前に、飛水割れが生じる温度未満にガス検出素子29の温度を維持させるための通電である。そして、予備通電を実行させないと判断された場合には、ガス検出素子29への定電流Icpの供給を開始させると共に、発熱抵抗体26に対して本通電を開始させることができる。したがって、予備通電が不要である場合には、予備通電を経ずに短時間でガス検出素子29を活性化温度以上に上昇させることができる。また、プレヒートモードでは、定電流Icpの供給のみならず、ガス検出素子29への全ての電力の供給を遮断することができるため、低温時のガス検出素子29に破損が生じる虞をさらに低下させることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能であることは勿論である。例えば、全領域空燃比センサ1に対する制御モードを他の制御モードへ移行する場合、スイッチSW1〜SW5の切り替えと、ヒータ体30の発熱抵抗体26に印加する電圧の変更とは、必ずしも同時に行う必要はない。より具体的には、図4に示すS8で本通電デューティ比D2による発熱抵抗体26への通電を開始させた場合、同時にガスセンサ制御装置40でのスイッチの切り替えを行ってもよいし、一定時間経過後に切替を行ってもよい。
また、発熱抵抗体26に対する電圧印加の制御も適宜変更が可能である。本実施の形態では、プレヒートモードでの発熱抵抗体26への電圧の印加の際に算出されるデューティ比D1は1種類のみであり、プレヒートモード中には、DC2〜3Vに相当する電圧が常に発熱抵抗体26に印加されることとなる。しかし、プレヒートモード中に複数種類のデューティ比を算出して電圧印加を制御してもよく、例えば、プレヒートモード開始時から所定時間は10V、その後さらに所定時間は3V相当の電圧が印加されるように電圧印加を制御してもよい。デューティ比D2に関しても同様である。また、PWM制御でなく、公知の一定電圧制御、一定電力制御を用いることも可能である。
また、本実施の形態では、凝縮水が発生する条件にあるか否かを冷却水温Twから判断することで、プレヒートモードを経るか否かを判断しているが(S1、図4参照)、この判断も変更が可能である。例えば、外気温センサや吸気温センサ等からの出力を参照して、凝縮水が発生する条件にあるか否かを判断し、プレヒートモードを減るか否かの判断を行ってもよいし、外気温、吸気温、および冷却水温のうち2以上の情報に基づいて判断を行ってもよい。
また、ガスセンサシステム100の構成も適宜変更が可能である。例えば、本実施の形態で用いられているガスセンサは、酸素ポンプセルであるIpセル27と、酸素濃度検出セルであるVsセル28とを備えた全領域空燃比センサ1である。しかし、一定の酸素濃度となるように基準酸素の生成を行うガスセンサであれば本発明を適用できる。よって、セルの数は2つに限られないし、ヒータ体30がVsセル28側でなくIpセル27側に配設されていてもよい。また、マイクロコンピュータ5、ガスセンサ制御装置40、およびヒータ制御回路41は一体に構成される必要はなく、例えば、CPU6などを備えたECUとガスセンサ制御装置40とを別体に構成してもよい。
ガスセンサシステム100の概略構成図である。 ガスセンサシステム100の電気的構成を示す図である。 マイクロコンピュータ5による全領域空燃比センサ1の制御モードを表した説明図である。 マイクロコンピュータ5のCPU6によって行われる通電制御処理のフローチャートである。
符号の説明
1 全領域空燃比センサ
5 マイクロコンピュータ
6 CPU
11,13,14 固体電解質体
19〜22 電極
26 発熱抵抗体
27 Ipセル
28 Vsセル
29 ガス検出素子
30 ヒータ体
40 ガスセンサ制御装置
41 ヒータ制御回路
46 Icp供給回路

Claims (3)

  1. 固体電解質体および当該固体電解質体に設けられた一対の電極を有するセルを少なくとも1つ以上備えるガス検出素子と、通電により発熱することで前記ガス検出素子を加熱して活性化させるヒータとを有すると共に、前記1つ以上のセルのうちの一のセルが、自身の前記一対の電極間への定電流の供給により基準酸素源の生成を行うガスセンサと、
    前記1つ以上のセルの前記一対の電極間に、少なくとも前記定電流を含む電力を供給する電極通電手段と、
    内燃機関が始動した際に、凝縮水の飛水によって前記ガス検出素子に割れが生じる飛水割れ発生温度未満の範囲に前記ガス検出素子の温度を維持させるのに必要な電力を、前記ヒータに供給する予備通電手段と、
    当該予備通電手段による前記ヒータへの電力の供給後に、前記ガス検出素子の温度を活性化温度以上に上昇させる電力を前記ヒータに供給する本通電手段と、
    前記電極通電手段、前記予備通電手段、および前記本通電手段による前記ガスセンサへの電力の供給を制御する通電制御手段とを備えたガスセンサシステムにおいて、
    前記通電制御手段は、
    前記予備通電手段によって前記ヒータへの電力の供給が行われている場合に、前記電極通電手段による前記定電流の供給を遮断させ、
    前記本通電手段による前記ヒータへの電力の供給を開始させる場合に、前記電極通電手段による前記定電流の供給を開始させることを特徴とするガスセンサシステム。
  2. 前記内燃機関が始動した際に、前記予備通電手段による前記ヒータへの電力の供給を実行させるか否かを判断する判断手段を備え、
    当該判断手段が前記予備通電手段による前記ヒータへの電力の供給を実行させないと判断した場合、前記通電制御手段は、前記本通電手段による前記ヒータへの電力の供給を開始させると共に、前記電極通電手段による前記定電流の供給を開始させることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサシステム。
  3. 前記通電制御手段は、前記予備通電手段によって前記ヒータへの電力の供給が行われている場合に、前記電極通電手段による前記1つ以上のセルに対する全ての電力の供給を遮断させることを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサシステム。
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