JP2010158762A - タービン翼接続用溝の切削加工方法およびそれに用いるクリスマスカッタ - Google Patents

タービン翼接続用溝の切削加工方法およびそれに用いるクリスマスカッタ Download PDF

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Abstract

【課題】カッタの折損の心配がないタービン翼接続用溝の切削加工方法およびそれに用いられるクリスマスカッタを提供する。
【解決手段】クリスマスツリー状であるタービン翼接続用溝の凹状溝と凸状溝を切削加工する方法であって、この切削加工は、大荒加工を行う大荒加工工程と、荒加工を行う荒加工工程と、仕上加工を行う仕上加工工程を備えている。そして、この荒加工においては、最小幅の凸状溝を含む1つ以上の凸状溝が非切削となるように、ソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工する切削加工方法である。また、荒加工において切削加工を行うためのソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタは、カッタの凸状部と凹状部を繰り返してなる荒加工用クリスマスカッタであって、カッタの外周部に切れ刃を有する凸状部と、カッタの外周部に切れ刃の無い非切削部が少なくともこれら凹状部のうちの最小径の凹状部に設けられている。
【選択図】 図6

Description

本発明は、タービン翼接続用溝の切削加工方法、およびこの切削加工方法に用いるクリスマスカッタに関する。
タービン翼をタービンの回転軸(ローター)に取り付けるタービン翼接続用溝は、溝中心軸に対して逆クリスマスツリー状(以下、略してツリー状ともいう)に凹凸状の溝を繰り返して有し、この凹凸状の溝が溝中心軸と直交する方向の溝幅(溝幅寸法)は溝深さ方向に向かって徐々に狭くなっている。このようなツリー状の溝を切削加工するための工具として、外周切れ刃の刃径がツリー状の溝幅の変化に対応して工具先端側に向かうにしたがって増減しながら、徐々に小径となっているクリスマスカッタが知られている。
タービン翼接続用溝は、便宜上その溝深さ方向の深さによって大型と小型のツリー状溝に分類される。大型のツリー状の溝を加工する場合には、切削量が多いので、大荒加工を1回以上行い、荒加工、仕上加工を含む複数回の工程で切削するのが通常の切削加工方法である。小型のツリー状溝を加工する場合には、通常は1回の荒加工および仕上加工の工程の組合せが多い。
タービン翼接続用溝の切削加工方式には、まず被削材に、例えば特許文献1に記載の総形フライスを用いて、溝壁面にわずかな凹凸を有するツリー状溝を形成する大荒加工を行い、その後、該フライスと同様の仕様で回転軌跡が1回り大きい荒加工用の総形フライスを用いて、溝壁面の凹凸の溝幅を同時に拡幅する方法が提案されている。通常はこれらの大荒加工と荒加工の後に、仕上加工を行い、所望する凹凸の形状を有するツリー状の溝が仕上がる。
また、特許文献2に記載の発明では、凸状溝の直径の寸法ごとに交換可能に装着した切削チップを用い、上部の広い凸状溝から狭い凸状溝まで段階的に予備成形をした後、倣いフライスの1回の工具通過で全凹状溝をフライス加工する方法が提案されている。この方法においては、Fig1に記載される工程1乃至3の予備成形は大荒加工に属し、工程4は荒工程に相当する。特許文献2には、「断面クリスマスツリー状溝の、予備形状の段階的に狭まっている断面形状のフライス加工は、複数のエンドミルで行い仕上げ削り作業は、従来と同様に、仕上げフライスにより実施する。その工具形状が仕上げ輪郭を実現する。
また、断面クリスマスツリー状溝の最終形状を予備形状からほぼ1回の工具通過で、短時間でフライス加工できる利点がある。」との記載やFig2に記載の形状から理解されるように、特許文献2に記載の加工方法には図示はされていない仕上加工を必要としている。特許文献2に記載のフライス加工方法は切れ刃の負担の多い総形ソリッド工具の使用を避けて、大荒加工の工程は増えるものの負担の少ない切削チップで大荒加工時間を短縮させようとする技術である。
特開平10−6122号公報 特表2004−507369号公報
図1は、本発明が対象にする標準的なタービン翼接続用溝Hの断面形状を示す。図1において、1a、1b、1cは凸状溝、2a、2b、2cは凹状溝を示している。凸状溝1a、1b、1cの溝幅(図1に示す矢印1a、1b、1c方向の長さ)、すなわちタービン翼接続用溝Hの溝中心軸O1と直交し、かつ紙面の左右方向の幅は、タービン翼接続用溝Hの上部(紙面の上方部)から深さ方向(紙面の下方部)に向かって次第に小さくなっており、溝Hの最下方に位置する凸状溝1aがこれら凸状溝のうち最小の溝幅を有する最小幅の凸状溝となっている。同様に、凹状溝2a、2b、2cの溝中心軸O1と直交する方向の幅(図1に示す矢印2a、2b、2c方向の溝幅寸法)は、タービン翼接続用溝Hの上部から深さ方向に向かって次第に小さくなっており、溝Hの最下方に位置する凹状溝2aがこれら凹状溝のうち最小の溝幅を有する最小幅の凹状溝になっている。なお、3は被削材を示し、4は被削材3にタービン翼接続用溝Hの仕上加工を行ったときの形状(以下、「仕上加工形状溝」という)を示している。なお、図1に示すタービン翼接続用溝Hは、紙面と直交する方向にこの溝Hが所定の長さにわたって連続して形成されている。
図2は総形フライスによる従来のタービン翼接続用溝Hの加工工程を示す図であって、図2(1)は大荒加工、図2(2)は荒加工、図2(3)は仕上加工を示す。図2において、4は溝の仕上加工形状溝である。この仕上加工形状溝4を達成するために大荒加工(図2(1))により大荒加工の形状溝(以下、「大荒加工形状溝」という)5として、さらに荒加工(図2(2))により荒加工の形状溝(以下、「荒加工形状溝」という)6(図2(2)の実線部分)まで加工する工程を経ることになる。すなわち、図2(2)に示されるように、荒加工ではタービン翼接続用溝Hは溝の全域にわたって大荒加工形状溝5よりは拡径され、荒加工形状溝6を得るが、この段階では依然として図2(2)の被削材3のハッチング内に点線で示される仕上加工形状溝4までの取り代が溝の全域に残されている。仕上加工は前記の取り代を加工する工程であり、仕上加工により図2(3)に示される仕上加工形状溝4を得る。従来の加工工程がこのように三段階を経ている理由は、クリスマスカッタの折損事故を防止するために、各加工工程でのクリスマスカッタの負荷を分散させるためである。なお、図1と図2のハッチング部分は、被削材3を示している。
図3は、従来から一般的に使用されている大荒加工用クリスマスカッタの正面図を示し、また、図4は、従来から一般的に使用されている荒加工用クリスマスカッタの正面図を示す。
図3、図4に示すクリスマスカッタは、刃部11に凸状部7a、7b、7cと凹状部8a、8b、8cを有している。そして、これらカッタの凸状部7a、7b、7cは図1に示すタービン翼接続用溝Hの凹状溝2a、2b、2cの大荒加工及び荒加工に対応し、凹状部8a、8b、8cはタービン翼接続用溝Hの凸状溝1a、1b、1cの大荒加工及び荒加工に対応する。また、カッタの軸心O2と直交する方向の径が最小となる最小径の凹状部8aは、タービン翼接続用溝Hの最小の溝幅を有する凸状溝1aの大荒加工及び荒加工に対応する。なお、図3および図4において、ハッチング部分はカッタの心厚の断面を示し、9はカッタのシャンク部、10は刃部11に設けられているクリスマスカッタの溝を示す。
従来のタービン翼接続用溝Hの加工に使用されるカッタは、図2に示すような大荒加工形状溝5、荒加工形状溝6、仕上加工形状溝4にそれぞれ合わせた形状からなり、いずれも図3、図4に代表されるような、クリスマスツリーの形状をなすように切れ刃が形成されたクリスマスカッタ(総形フライスカッタ)で切削加工されている。
図1乃至図4から分かるように、タービン翼接続用溝Hの最小の溝幅を有する凸状溝1aは、それを加工する大荒加工用クリスマスカッタが最もくびれた部分(図3ではカッタの最小径の凹状部8a)で加工する必要があった。よって、カッタの最小径の凹状部8aの径は、大荒加工形状溝5の加工を行うときが最も細く、次いで荒加工形状溝6、溝Hの仕上加工形状溝4の加工を行う順に太くなることが図2から分かる。
また、加工の取り代を加工工程の順からみると、大荒加工工程に使用する大荒加工用クリスマスカッタは切削量が多く、その加工負荷は大きくなる。そのために、大荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部8aからの折損事故が度々発生していた。荒加工工程に使用する荒加工用クリスマスカッタにおいても、クリスマスカッタの先端側の凹状部8aに切れ刃を有して切削するのが一般的であるため、クリスマスカッタの先端側の凹状部8aからの折損事故があった。
また、従来のクリスマスカッタは、図3、図4に示すように、切れ刃がクリスマスカッタの刃部11に連続して設けられている。図5は、図4に示す荒加工用クリスマスカッタについて、刃部11の先端側の凹状部8aの周辺を拡大して示している。なお、図5のハッチング部分は心厚の断面を示している。図5に示すように先端側の凹状部8aにもクリスマスカッタの溝10が設けられており、その部分は工具としての刃径が小さくなるためにその強度が低く、折損の起点となりやすかった。なお、クリスマスカッタの溝10とは、刃溝、切削屑を逃がすための溝、あるいは潤滑剤が通る溝を示すものである。
クリスマスカッタは一部でも折損すると被削物3の形状精度に悪影響を及ぼし、また、加工物(ローター)を廃棄しなければならない場合や、工具の折損に対する信頼性が損なわれることから、同じ設計基準で製作したカッタを全数不良処分とする場合がある。このように、クリスマスカッタによるタービン翼接続用溝の加工は、加工難易度が高く、かつ工具費が高い上に、前述のように工具の重大な折損事故の危惧を常に抱えた加工であり、クリスマスカッタの構造およびクリスマスカッタを用いた加工方法の改善が要望されていた。
特許文献2に記載されている発明は、ソリッド工具ではなく、スローアウェイ式の切削チップの使用を前提にしているため、切削チップの切削抵抗を考慮すると、各凹状部に応じた数だけの予備加工(大荒加工といってもよい)を必要とし、大荒加工だけでも多くの加工工程が必要であり、加工時間の面からみると大きな問題となる。また、特許文献2に記載されている大荒加工(特許文献2では予備加工と呼んでいる)と倣いフライスによる荒加工および最終形状の関係を示すFig2からも明らかなように、切削チップの形状とタービン翼接続用溝の最終形状では、大きな形状の差異があり、特許文献2では詳しい説明のない仕上加工用カッタでの取り代が多くなり、切削負荷(切削抵抗)も大きくなる。さらに、取り代の形状バランスも悪いことから、仕上加工用カッタの最小径となる部分が折損する危険性すらある。さらに、取り代が多かったり少なかったりすると仕上加工時の加工面粗さのムラができ、タービン翼接続用溝形状の加工精度に問題が生じる。
本発明は、以上のような従来技術が抱えている課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、タービン翼接続用溝を切削加工するときの荒加工として、刃部が1つの母材で構成されているソリッド工具からなり、カッタの外周部に凸状部と凹状部を繰り返して形成した荒加工用クリスマスカッタを用いる際に、このカッタの凹状部のうちカッタの最先端側の凹状部を含む少なくとも一つの凹状部は切れ刃の無い非切削部としたカッタを使用することにより、折損の心配がなく、切削加工能率を大幅に上げることができるタービン翼接続用溝の切削加工方法、およびそれに用いる荒加工用クリスマスカッタを提供することである。
本発明の請求項1に係る発明は、溝の深さ方向の溝中心軸に対して複数の凹状溝と凸状溝が交互に連続して繰り返されたクリスマスツリー状であるタービン翼接続用溝を切削加工する切削加工方法であって、前記切削加工方法は、
大荒加工を行う大荒加工工程と、荒加工を行う荒加工工程と、仕上加工を行う仕上加工工程とを有し、
前記荒加工においては、前記タービン翼接続用溝の深さ方向と直交する方向の幅が最小となる最小幅の前記凸状溝を含む1つ以上の前記凸状溝が非切削となる、少なくとも刃部がソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴としている。なお、請求項1に係る発明を、以下の説明において「本発明の第1の発明」と記載する場合がある。
また、本発明の請求項2は、本発明の請求項1に記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法に係り、前記荒加工は、前記最小幅の前記凸状溝に対応する荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部における径の最も細い部分には、如何なる方向にも溝を有しないソリッド工具からなる前記荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴としている。なお、請求項2に係る発明を、以下の説明において「本発明の第2の発明」と記載する場合がある。
また、本発明の請求項3は、本発明の請求項1または請求項2に記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法に係り、前記大荒加工は、少なくとも複数回の大荒加工を行う工程を有し、
前記荒加工は、前記最小幅の凸状溝を含む1つ以上の前記凸状溝が非切削となるソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴としている。
なお、請求項3に係る発明を、以下の説明において「本発明の第3の発明」と記載する場合がある。
また、本発明の請求項4に記載の発明は、本発明の請求項1から請求項3のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法に係り、前記大荒加工の最終工程は、前記凸状溝のうち少なくとも前記最小幅の凸状溝を前記仕上加工前の寸法まで加工し、
前記荒加工においては、少なくとも前記最小幅の凸状溝は非切削とするソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴としている。すなわち、請求項4に記載の発明においては、前記凸状溝のうち少なくとも前記最小幅の凸状溝については、大荒加工の終了段階で仕上加工での取り代を残して加工が完了していることになる。
なお、請求項4に係る発明を、以下の説明において「本発明の第4の発明」と記載する場合がある。
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法に係り、前記大荒加工の最終工程は、すべての前記凸状溝を仕上加工前の寸法まで加工し、
前記荒加工は、すべての前記凸状溝を非切削とするソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴としている。
なお、請求項5に係る発明を、以下の説明において「本発明の第5の発明」と記載する場合がある。
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法に係り、前記大荒加工の最終工程において、前記凸状溝を仕上加工前の寸法まで加工する程度は、
前記タービン翼接続用溝の深さ方向と直交する方向の前記凸状溝の径の差が、前記大荒加工の最終工程後と前記仕上加工前と比べて、半径分で3.0mm以下の範囲とすることを特徴としている。
なお、請求項6に係る発明を、以下の説明において「本発明の第6の発明」と記載する場合がある。
さらに、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法の前記荒加工に用いられ、軸心方向に凸状部と凹状部が交互に繰り返して形成されたソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタであって、
前記荒加工用クリスマスカッタは、
前記荒加工用クリスマスカッタの先端からシャンク部側へ向かった該カッタの外周部に切れ刃を有する前記凸状部と、
前記外周部に切れ刃の無い非切削部が、少なくとも軸心方向と直交する方向の径が最小となる最小径の前記凹状部に設けられていることを特徴としている。
なお、請求項7に係る発明を、以下の説明において「本発明の第7の発明」と記載する場合がある。
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法の前記荒加工に用いられ、軸心方向に凸状部と凹状部が交互に繰り返して形成されたソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタであって、
前記荒加工用クリスマスカッタは、
前記荒加工用クリスマスカッタの先端からシャンク側へ向かった該カッタの外周部に切れ刃を有する前記凸状部と、該カッタ外周部に切れ刃の無い非切削部を有する前記凹状部が1つ以上設けられ、
前記非切削部を有する前記凹状部のうち、前記荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部であって、軸心方向と直交する方向の径が最小となる部分には、溝を有しないことを特徴としている。
なお、請求項8に係る発明を、以下の説明において「本発明の第8の発明」と記載する場合がある。
本発明のタービン翼接続用溝の切削加工方法によれば、大荒加工で少なくとも最も幅の小さい凸状溝を仕上加工前の寸法まで加工し、荒加工では最も幅の小さい凸状溝部分を非切削とするので、荒加工用クリスマスカッタの最も径の小さい凹状部の加工負荷が大幅に軽減できる。したがって、従来問題になっていた荒加工用クリスマスカッタの折損事故が防止できる。
本発明の荒加工用クリスマスカッタは、少なくとも工具径として最も小さい径である先端側の凹状部に切れ刃を有しない。すなわち、その部分は非切削になっているので、荒加工の工程で最小幅の凸状溝を加工することは無い。そのために、本発明の加工方法の効果とも相まって荒加工用クリスマスカッタの折損事故が防止できる。
本発明のタービン翼接続用溝の切削加工方法では、凹状溝の大荒加工はタービン翼接続用溝の凹状溝の加工負荷を減らし、凸状溝の加工を多くして、凸状溝での荒加工の負荷をほぼゼロにしている。一方、荒加工は、タービン翼接続用溝の凹状溝の加工が若干増える代わりに少なくともタービン翼接続用溝の最小幅の凸状溝での加工負荷は無い。したがって、大荒加工と荒加工における切削抵抗の負荷の適正化が図られ、全体として大荒加工用クリスマスカッタと荒加工用クリスマスカッタの折損の心配が無い上に、加工能率が向上する。
本発明によれば、凸状溝と凹状溝の高さの差がいかに変化するタービン翼接続用溝であっても、それに応じた大荒加工と荒加工が出来るので、前述の特許文献2に記載されるようなスローアウェイ式の切削チップを使用するカッタでは対応が困難であるすべての形状のタービン翼接続用溝の加工が可能である。
本発明によれば、大荒加工と荒加工の適正な切削量のバランス分担により、タービン翼接続用溝の凹凸溝の各所での仕上加工での取り代をほぼ均一にできる。このことにより、スローアウェイ式の切削チップを使用するカッタでは形状的な対応が困難で取り代が不均一となるスローアウェイ式の切削チップと比較して、仕上加工用のクリスマスカッタの負荷を軽減できる。また、取り代が部分によって多かったり少なかったりすることがないので、仕上加工時の加工面粗さを均一にでき、タービン翼接続用溝形状の加工精度を向上させることができる。
荒加工用クリスマスカッタの凹状部を非切削にすることにより、切削量が少なくなり切削抵抗も低減されるため、切れ刃にねじれ角を設けなくても良く、長手方向の切れ刃が同時に切削を行うことになる。また、回転方向における切れ刃の数を偶数刃とすれば、相乗効果で、より一層タービン翼接続用溝の加工精度が向上する。
標準的なタービン翼接続用溝の断面図である。 従来のタービン翼接続用溝の加工工程を示す図である。 従来の大荒加工用クリスマスカッタの正面図である。 従来の荒加工用クリスマスカッタの正面図である。 図4に示すクリスマスカッタの先端側の凹状部の周辺の拡大図である。 本発明の切削加工方法の工程を示す図である。 本発明の切削加工方法の他の一例として、大荒加工を複数回に分けた場合の加工工程を示す図である。 本発明の切削加工方法において、大荒加工用として使用することができるV字型のカッタを示す正面図である。 本発明の他の一例として、径をより小さくした形状の総形カッタを用いて、大荒加工を複数回に分けた場合の加工工程を示す図である。 本発明の一例である荒加工用クリスマスカッタの形状を示す図である。 本発明の非切削部の他の形状に係り、(a)は略円弧状のものを示し、(b)は凹状の中心付近に直線部を含み、両端近傍を略円弧状で結んだものを示す。 本発明において、各非切削部の範囲の設け方を説明するための図である。 従来の大荒加工用クリスマスカッタと荒加工用クリスマスカッタの加工形状の特徴を示す図である。 本発明の大荒加工用クリスマスカッタと荒加工用クリスマスカッタの加工形状の特徴を示す図である。 実施例1の切削加工試験において、使用した各カッタの仕様等を加工工程別に示す図である。
本発明において、切削加工の対象となる凹状溝および凸状溝とは、図1に示すように、深さ方向の断面がクリスマスツリー状となるタービン翼接続用溝において、溝の深さ方向と直交する方向の溝幅が狭くなっている部分を凸状溝、広くなっている部分を凹状溝という。図1においては、凸状溝として凸状溝1a、1b、1cが、凹状溝として凹状溝2a、2b、2cが切削加工により形成されている例を示している。
一方、クリスマスカッタについては、図3、図4に示すように前記溝の狭い部分である凸状溝(図1に示す凸状溝1a、1b、1c)を加工するクリスマスカッタの部分を凹状部といい、前記溝の広い部分である凹状溝(図1に示す凹状溝2a、2b、2c)を加工するクリスマスカッタの部分を凸状部という。図3および図4においては、凹状部として凹状部8a、8b、8cを、凸状部として凸状部7a、7b、7cを備えている例を示している。すなわち、前記タービン翼接続用溝とクリスマスカッタのいずれも、タービン翼接続用溝の深さ方向と直交する方向またはクリスマスカッタの軸心と直交する方向に突き出ているところが凸状溝(凸状溝1a、1b、1c)と凸状部(凸状部7a、7b、7c)であり、窪んでいるところが凹状溝(凹状溝2a、2b、2c)と凹状部(凹状部8a、8b、8c)と考えると理解しやすい。
ソリッド工具からなるクリスマスカッタは、タービン翼接続用溝に沿った形状をほとんど全体として切削することを原則としているため、切削の能率は高いが、一度に所定の形状を加工することは切削負荷も大きく、また形状精度も達成しにくいので、切削加工工程を複数の工程、例えば、荒加工と仕上加工を行う工程に分けて加工する方法を採用することが望ましい。
本発明の切削加工方法においては、荒加工の工程において1回のみの荒加工ではクリスマスカッタへの加工負荷が大きいため、荒加工の前に行う大荒加工と、荒加工と、最後に仕上寸法に仕上げる仕上加工の工程から構成するようにしている。また本発明では、刃部11が1つの母材で構成されているものをソリッド工具と言う。
本発明の切削加工方法において、その切削加工の工程の一例を図6(1)〜図6(3)に示す。図6は各工程におけるタービン翼接タービン続用溝の加工形状を示しており、図6(1)は大荒加工、図6(2)は荒加工、図6(3)は仕上加工の工程を示している。
さらに、大型のタービンに対するタービン翼接続用溝の場合には、本発明の第3の発明のように、大荒加工の工程を複数の工程に分けてもよい。その場合の切削加工工程の一例を図7(1)〜図7(4)に示している。この切削加工工程においては、荒加工の前の工程において大荒加工の工程を2つ設けている。そして、図7(1)に示す1回目の大荒加工においては、断面形状がV字型形状をなす大荒加工形状溝12を、V字型のカッタ(または、テーパーエンドミル)を使用して切削加工する。
この1回目の大荒加工において、V字型の大荒加工形状溝12を切削加工するカッタとしては、図8に示すようなカッタを使用することができる。図8に示すカッタは、軸心O2を回転軸としたときの刃部11の回転軌跡が、図7(1)に示すようなV字型となる角度付き切れ刃を備えている大荒加工用のV字型カッタ21である。本発明の1回目の大荒加工に用いられるカッタとしては、先端の外径が翼溝の凸状溝の最小幅より小さく設定され、前記翼溝の凸状溝の最大幅よりも小さく設定された仮想位置を直線的に結んでなる角度付き切れ刃を備えたV字型のカッタもしくはテーパーエンドミルを使用することができる。なお、図6および図7のハッチング部分は、被削材を示す。また、図8のハッチング部分はカッタの心厚の断面を示す。
また、本発明による他の切削加工方法の一例として、図9(1)〜図9(4)に示す加工工程による加工を採用することができる。すなわち、図9(1)に示す1回目の大荒加工において1回目の大荒加工形状溝12を加工するときには、図9(2)に示す2回目の大荒加工において2回目の大荒加工形状溝13の加工に使用する大荒加工用クリスマスカッタの径を、より小さくした形状の総形カッタを用いて、1回目の大荒加工形状溝12の加工を行うこともできる。なお、図9のハッチング部分は被削材を示す。
本発明の切削加工方法において、荒加工とは、特に断りがない限り、前記したように大荒加工の工程を複数設けている場合には、複数の大荒加工工程のうちの最後の大荒加工工程に続いて行う加工であって、仕上加工の直前に実施される荒加工を示す。従って、大荒加工が1回の場合には、第2番目に行う加工が、荒加工となる。
本発明の切削加工方法において、仕上加工とは、本発明の前記荒加工の後に、最終目的とする形状寸法に仕上げるために行う加工を示す。本発明は、前記したタービン翼接続用溝の切削加工工程のうち、大荒加工と荒加工の切削加工方法、およびこれらの切削加工に用いるクリスマスカッタに特徴がある発明である。本発明は、タービン翼接続用溝の凹凸形状の切削加工を行うときに、その切削加工の能率を上げるために、タービン翼接続用溝の最終目的とする形状寸法にできるだけ沿ったソリッド工具を使用することを前提にしている。
本発明の第1の発明である、荒加工において最小幅の凸状溝1aを含む1つ以上の凸状溝を非切削とするためのソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタの形状例を図10に示す。なお、図10において、ハッチング部分はカッタの心厚および非切削部の断面を示す。図10においては、荒加工用クリスマスカッタの凸状部7a、7b、7cには外周に切れ刃を有し、カッタの先端側の凹状部8aのみに非切削部14aを設けた例を示している。このときは、他の凹状部8b、8cには切れ刃を設けたカッタから構成され、このような構成とした荒加工用クリスマスカッタが、本発明の第7の発明に相当する。なお、本発明においては、カッタの凹状部8a、8b、8cの全てを、上記非切削部14aと同様に、切れ刃が無い非切削部としてもよい。また、この荒加工用クリスマスカッタを用いてタービン翼接続用溝を切削加工する方法が、本発明の第1乃至第6のいずれかの発明に適用できる。
本発明の特徴は、タービン翼接続用溝の加工で折損事故の多いクリスマスカッタの先端側の凹状部8aを、大荒加工用クリスマスカッタでは仕上加工前の寸法まで加工できるように、荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部8aと比較して径を太くし、荒加工には少なくとも切れ刃の無い凹状部8aを設けた荒加工用クリスマスカッタを用いて、荒加工の前に行う大荒加工により形成された先端側の凹状部8aが非切削となるように荒加工を行う切削加工方法とこの切削加工方法に用いるクリスマスカッタである。
荒加工用クリスマスカッタは図10に例示するように、少なくとも先端側の凹状部8aの最も細い部分(図11(a)に示す最小径となる凹状部の部分14a1)には切れ刃や溝の無いクリスマスカッタとするのが望ましい。切れ刃の無いことによって、最小径の凹状部の部分14a1は非切削となるため、切削加工の負荷は無くなる。前記最小径の凹状部8aに切れ刃が無ければクリスマスカッタの溝は、主に切り屑の排出のために設けても良い。しかし、クリスマスカッタの溝は、クリスマスカッタ断面で見れば溝の分だけクリスマスカッタの断面を小さくするので、この溝によりカッタに折損が発生する可能性が生じる。このため、カッタの折損防止の点から、少なくともクリスマスカッタの最小径の凹状部8aには溝(図10のハッチング部分の左端付近に相当する)を設けないほうが良い。これが本発明の第2の発明である。
ただし、タービン翼接続用溝の最小幅の凸状溝1a以外の凸状溝1b、1cも非切削とする荒加工用クリスマスカッタとしては、荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部8aに切れ刃は付けないものの、その他の凹状部8b、8cについては切れ刃の有り無しは問わず、その他の凹状部8b、8cに対応する大荒加工用クリスマスカッタよりも荒加工用クリスマスカッタの刃径を小さくして、荒加工を非切削にすればよい。荒加工用クリスマスカッタのその他の凹状部8b、8cは、先端側の凹状部8aよりはクリスマスカッタの刃径が太いので、相対的に折損事故は軽減されるからである。
図11(a)、(b)は、本発明の荒加工用クリスマスカッタの凹状部に設けた非切削部について、他の形状を示す一部断面図である。なお、図中のハッチング部分は、カッタの心厚および非切削部の断面を示す。図11(a)は、非切削部14aの軸心O2方向の断面形状を略円弧状に形成した例を示し、図11(b)は、非切削部14aの軸心O2方向の断面形状を凹状とするとともに、この凹状部の中心付近に軸心O2方向に延びる直線部を含み、さらに、この直線部の両端近傍を略円弧状で結んだ形状とした例を示す。本発明のクリスマスカッタの一例として示す図10において、凹状部8a、8b、8cのうち、先端側の最も細い部分である最小径の凹状部は、図11(a)、(b)に示すように、クリスマスカッタの外周面からクリスマスカッタの軸心O2への垂直距離が最も短い部分14a1、あるいは14a2を有する凹状部として定義できる。
本発明の第4の発明において、大荒加工の最終工程で凸状溝のうちの少なくとも最小幅の凸状溝1aを仕上げ加工前の寸法まで加工する程度、同じく本発明の第5の発明において、大荒加工の最終工程ですべての凸状溝を仕上げ加工前の寸法まで加工する程度は、仕上加工の切削負荷を低減し、仕上加工での切り屑厚みを極力減らすために、次のように設定することが望ましい。
すなわち、大荒加工の最終工程で凸状溝を切削加工したときに、図14に示すように、この凸状溝が溝中心軸O1に対して直交する方向の径となる溝幅寸法をR3、同じく仕上げ加工でこの凸状溝を仕上加工したときの溝中心軸O1に対して直交する方向の径となる溝幅寸法をR1としたときに、溝幅寸法R1とR3の差となる「T=(R1−R3)/2」、すなわち半径分の差の値は、3.0mm以下と小さくすることが望ましい。なお、このTは、図14に示す取り代20に相当する。このようにTの値を設定すると、仕上加工前の取り代は上記した溝幅寸法R1とR3の差を半径分の差で示した値である3.0mm以下になる。Tの値が小さいほうが仕上加工におけるクリスマスカッタへの切削負荷が減ることになる。
なお、仕上加工後に大荒加工面を残さないために、大荒加工において仕上加工前の寸法まで加工する程度は上記した半径分の差に相当する(T)の値は、0.1mm以上とすることがより望ましい。本発明の第4の発明や第5の発明のいずれの場合も、少なくとも最小幅の凸状溝1aは大荒加工と仕上加工のみで上記の寸法程度で加工が完成され、この最小幅の凸状溝1aの部分について、荒加工用カッタは非切削であるために切削加工を行わない。このような切削加工方法が、本発明の第6の発明に相当するものである。本発明の加工形状の特徴を示す図14で説明すれば、最小幅の凸状部1aの部分においては、大荒加工での大荒加工形状溝5より荒加工での荒加工形状溝6は溝中心軸O1に近く位置しており、荒加工がこの部分では非切削であることが本発明の第6の発明の特徴である。
本発明の荒加工用クリスマスカッタの凹状部に切れ刃が無いとは、カッタの凹状部のうち最も小さい径を有する凹状部の部分に切れ刃が無ければ十分である。望ましくは、図12に本発明での非切削部の範囲の設け方で示すように、カッタの最小径の凹状部において、カッタの軸心方向O2に対する径が最も細い径15の部分を含み、カッタの軸心O2方向にある程度の範囲を持って切れ刃が無い非切削部14aを設けるのが良い。
図12に示すように、カッタの軸心O2方向に対する各非切削部14aの範囲の設け方は、クリスマスカッタの非切削部14aの最も細い径15と隣接する先端側の凸状部の頂点16との先端側高さ18の1/2以上、最も細い径15と隣接するシャンク側の凸状部の頂点17とのシャンク側高さ19の1/2以下、の範囲になるように設けるのが望ましい。
同一のタービン翼接続用溝Hの加工を目的として、セットで使用する本発明の大荒加工用クリスマスカッタと荒加工用クリスマスカッタによる加工形状の特徴を、仕上げ加工を行ったときの仕上加工形状溝4を基準にして、図14に基づいて説明する。図14において、5は大荒加工を行ったときの大荒加工形状溝、6は荒加工を行ったときの荒加工形状溝を示す。また、本発明と比較するために、従来の大荒加工用クリスマスカッタと従来の荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工を行ったときの加工形状の特徴を図13に示している。なお、図13、図14のハッチング部分は、被削材3を示す。
従来の大荒加工用クリスマスカッタと荒加工用クリスマスカッタを用いた切削加工方法によれば、図13で示されるように、大荒加工形状溝5、次いで荒加工形状溝6、そして仕上加工形状溝4へと加工されていた。クリスマスカッタの先端側の凹状部8aで言えば、「大荒加工用クリスマスカッタ→荒加工用クリスマスカッタ→仕上加工用クリスマスカッタ」へと次第にクリスマスカッタの凹状部8aが太くなり、この凹状部8aに対応するタービン翼接続用溝の加工形状はこのカッタの順番に従って少しづつ拡幅されていることになる。
これに対して、本発明では図14に示すように、タービン翼接続用溝Hの先端側の凸状溝1aでは、大荒加工形状溝5の凸状溝1aを仕上加工前の取り代20を残す程度で仕上加工前の寸法に近づけ、荒加工ではこの凸状溝1aが非切削となるような荒加工用クリスマスカッタを用いて切削するのである。言い換えれば、タービン翼接続用溝Hの最小幅の凸状溝1aでは、従来とは異なり、大荒加工用クリスマスカッタの刃径は荒加工用クリスマスカッタの刃径より太く、大荒加工の最小幅の凸状溝1aは荒加工の最小幅の凸状溝1aより幅が広くなる。
本発明で使用される大荒加工用クリスマスカッタは、少なくとも最小径の凹状部8aが従来の大荒加工用クリスマスカッタの最小径の凹状部8aより太くなっていることに特徴がある。これにより、最小幅の凸状溝1aを大荒加工用クリスマスカッタが加工する場合に、従来の大荒加工用クリスマスカッタに比べて耐折損性が大きく改善されるのである。さらに、荒加工用クリスマスカッタにおいては、前記カッタの最小径の凹状部8aは切れ刃を設けない非切削部14aとしているため、最も折損の可能性の高い最小幅の凸状溝1aにおいての切削は大荒加工と仕上加工のみで行われ、荒加工用クリスマスカッタの前記非切削部14aでは加工はしない。
大荒加工に続く荒加工では、大荒加工で比較的多く取り残した凹状溝2a、2b、2cの加工が主体になる。したがって荒加工のときに荒加工用クリスマスカッタにかかる負荷は大きいが、従来はこの段階でも荒加工用クリスマスカッタに最小幅の凸状溝1aを含む切削加工を負担させていたのである。そのために、従来の荒加工用クリスマスカッタはこの最小径の凹状部8aで折損するという事故がたびたびあった。
本発明は、この最小幅の凸状溝1aを含む1つ以上の凸状溝が非切削となるクリスマスカッタを用いて荒加工することとし、非切削とした凸状溝のある程度の加工は予め大荒加工で済ませておくか、荒加工の次に行う仕上加工で行うようにする。特に非切削とした最小幅の凸状溝1aの切削加工は、図14に示すように、予め大荒加工で仕上加工前の寸法まで済ませておくのが望ましい。これによって、荒加工用クリスマスカッタの最小径の凹状部8aは非切削となり大きな負荷はなくなり、折損が防止できる。
タービン翼接続用溝は凸状溝を複数有するのが通常であり、この場合には荒加工用クリスマスカッタとしては、折損の危険性のある複数のくびれた部分(例えば、凹状部8a、8b、8cなど)を有することになる。そこで本発明での大荒加工においては、クリスマスツリー状のすべての凸状溝1a、1b、1cの部分を仕上加工前の寸法にまで加工し、前記すべての凸状溝1a、1b、1cを前記した非切削部14aと同様の非切削部を有する荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することが望ましい場合がある。これが本発明の第5の発明に相当する切削加工方法である。特に、タービン翼接続用溝の最大径が20mm程度の小型のツリー状溝を加工する場合には、相対的に全体が小径のクリスマスカッタとなり、折損しやすいので、荒加工用クリスマスカッタのすべての凹状部8a、8b、8cに前記した非切削部14aと同様な非切削部を設けて凸状溝1a、1b、1cを非切削とする本発明の第5の発明を適用するのがよい。
本発明の方法に用いられる荒加工用クリスマスカッタとしては、カッタの先端からシャンク側へ、切れ刃を有する凸状部7a、7b、7cと、切れ刃の無い非切削部を有する凹状部がすくなくとも一つ設けられている荒加工用クリスマスカッタを使用する。本発明に係る荒加工用クリスマスカッタは、形状的に最もくびれて細くなっている最小径の凹状部8aが非切削部14aとなっているので、荒加工時の切削加工の負荷が著しく低減されるので、この最小径の凹状部8aにおける荒加工用クリスマスカッタの折損が防止できる。さらに、最小径の凹状部8aは非切削部14aであるから溝、すなわち、主に切削屑を逃がすために設けられる刃溝を設ける必要はないので、最小径の凹状部8aは溝のない円柱状となり、この円柱状には応力が集中して破損の原因となる部分を無くすることができる。このように、本発明に係る荒加工用クリスマスカッタは、その最小径の凹状部8aには溝を設ける必要がないので、カッタの軸心O2方向と直交する方向の断面積を大きくすることができる。これにより、本発明の第8の発明に係る荒加工用クリスマスカッタは、剛性の高い形状となっている。
本発明の切削加工方法で用いる大荒加工用クリスマスカッタは、大荒加工時において、荒加工用クリスマスカッタによると荒加工と比較して取り代が多く、切り屑も大量に生成されることから、生成された切り屑を収容するクリスマスカッタ溝10のスペースを大きくとる必要があるため、クリスマスカッタの回転方向における切れ刃の数は4枚刃以下、好ましくは、3枚刃にすると良い。また、切削抵抗を低減するために、切れ刃にねじれ角を設けることや、切れ刃を波形状にしたラフィング切れ刃を採用することが大変有効である。
本発明の荒加工用クリスマスカッタは、大荒加工用クリスマスカッタと比較すると、切削加工時の全体の取り代は少ないことから、切り屑の生成量も少量でクリスマスカッタ溝10のスペースを大きくとる必要もなく、クリスマスカッタ回転方向における切れ刃の数は3枚刃以上が良い。さらに、刃数を増やすことにより、タービン翼接続用溝を加工する加工機のテーブル送り速度も大幅に上げることが可能となり、加工能率の向上に大きく貢献できる。また、刃数が奇数の場合は、切削加工時にクリスマスカッタの進行方向に対して、カッタの刃先が左右同時に切削を行わないため、タービン翼接続用溝が傾く恐れがある。好ましくは、刃数を偶数にすることにより、クリスマスカッタの進行方向に対して、カッタの刃先が左右同時に切削を行うようにすることが望ましい。これにより、切削加工するタービン翼接続用溝が傾くことなく荒加工ができるので、次の仕上加工の工程に対しても有効になる。
また、本発明の荒加工用クリスマスカッタは、カッタの最小径の凹状部8aに切れ刃や溝を設けないことから、カッタ先端側の凸状部7aの心厚を太くできる。これにより、カッタの軸心O2の方向と直交する断面視において、クリスマスカッタの回転方向の1刃ごとの心厚近傍の剛性は格段に向上している。
また、非切削部14aを設けることにより、切削量が少なくなり切削抵抗も低減されるため、切れ刃にねじれ角を設けなくても良い。切れ刃にねじれ角を設けないことから、カッタの長手方向(軸心方向O2)の切れ刃が同時に切削を行うこととなり偶数刃との相乗効果で、タービン翼接続用溝の加工精度がより一層向上することになる。なお、切れ刃の刃先を波形状にしたラフィング切れ刃が大変有効である。
このように、本発明の切削加工方法で用いる大荒加工用クリスマスカッタは、カッタの折損に対する安全性及び刃部の最小径となる部分の切削性を両立した設計となっており、荒加工用クリスマスカッタは、カッタの折損に対する安全性、タービン翼接続用溝の仕上加工前の加工溝精度及び、加工能率すべてを兼ね備えた設計となっているのである。
また、本発明の荒加工用クリスマスカッタは、最小径の凹状部8aに切れ刃や溝を設けない設計になっていることから、この荒加工用クリスマスカッタの最先端側の凸状部7aは、単独での心厚設計を行うことができ、その心厚は最小径の凹状部8aの最も細い部分よりも大きくすることが望ましい。
以下、本発明を実施例に基き具体的に説明する。
(実施例1)
タービン翼接続用溝の切削加工方法について、本発明の切削加工方法と従来方法との比較を行うために、図15に示す仕様からなる大荒加工用クリスマスと荒加工用クリスマスカッタ、仕上げ加工用クリスマスカッタを製作して、被削材への切削加工試験(切削試験)を行った。
なお、図15は、タービン翼接続用溝の切削加工の工程(t1)ごとに、本発明の切削加工方法と従来方法との比較を行うために製作した各クリスマスカッタ(以下、単に「カッタ」と記載する)の凸状部の最大刃径(t2)と、同じく凹状部の特徴(t3)と、大荒加工と荒加工を実施したときの加工方法(t4)を、本発明例1〜3と従来例ごとに記載している。また、製作した各クリスマスカッタ(以下、単に「カッタ」と記載する)の母材はいずれも高速度鋼(ハイスピードスチール)の粉末を用いて製作し、被削材はJISにより規定されているSUS420(Crを約13重量%含むステンレス鋼)とした。
なお、以下の実施例の説明において記載している第1凸状部とは、クリスマスカッタに設けられている複数の凸状部のうち、カッタの先端側(シャンク部の反対側)に設けられている凸状部7aを示し、第2凸状部とは第1凸状部に対してシャンク部側方向に設けられた第2番目の凸状部7bを示し、第3凸状部とは第2凸状部に対してシャンク部側方向に設けられた第3番目の凸状部7cを示す。また、第1凹状部とは、クリスマスカッタに設けられている複数の凹状部のうち、カッタの先端側(シャンク部の反対側)に設けられている凹状部8aを示し、第2凹状部とは、第1凹状部に対してシャンク部側方向に設けられた第2番目の凹状部8bを示し、第3凹状部とは第2凹状部に対してシャンク部側方向に設けられた第3番目の凹状部8cを示す。
本発明例1において、大荒加工に使用した大荒加工用カッタは、図8に示す3つの凸状部を有する大荒加工用カッタを製作して使用した。この大荒加工用カッタの仕様は、図15に示すように、カッタ先端よりカッタの第1凸状部の最大刃径が16mm、カッタの第2凸状部の最大刃径が27mm、カッタの第3凸状部の最大刃径が38mmとした。さらに、カッタの第1凹状部の刃径寸法を、被削材の最小幅の第1凸状溝の仕上寸法に対して直径分で0.6mm小さくした。
また、本発明例1において使用した荒加工用カッタの仕様は、図15に示すように、カッタ先端よりカッタの第1凸状部の最大刃径が27mm、カッタの第2凸状部の最大刃径が38mm、カッタの第3凸状部の最大刃径が49mmとした。なお、このカッタにおいて第1凹状部の最も細い部分には、図11(a)または図11(b)に示すように、溝を設けずに非切削部とした。また、このカッタの第1凹状部の外径寸法は、被削材の最小幅の第1凸状溝の仕上寸法に対して直径分で2.0mm小さくし、カッタの他の凹状部は切れ刃とし、これら他の凹状部の刃径寸法を被削材の仕上寸法に対して直径分で1.0mm小さくしたものを製作した。この直径分とは、仕上加工と荒加工における前記した溝幅寸法の差を示す。
これらのカッタを用い、本発明例1の加工方法として、大荒加工用カッタの第1凹状部でタービン翼接続用溝の第1凸状溝を仕上加工前寸法まで切削加工し、荒加工では、タービン翼接続用溝の第1凸状溝のみを非切削とした本発明に係る切削加工方法を採用した。
本発明例2において使用した大荒加工用カッタの各凸状部の最大刃径は、図15に示すように、本発明例1と同じ仕様とした。また、この大荒加工用カッタは3つある凹状部の刃径寸法を、被削材の仕上寸法に対して半径分で0.6mm小さくした。なお、この半径分とは、仕上加工と大荒加工における前記した溝幅寸法の差の1/2を示す。
また、本発明例2において使用した荒加工用カッタは、図15に示すように、カッタの全凸状部の最大刃径を本発明例1と同様とした。さらに、この荒加工用カッタの各凹状部のうち、最小幅の凹状部8aには溝を設けず非切削部とし、各凹状部の刃径寸法を被削材の仕上寸法に対して直径分で2.0mm小さくしたものを製作した。なお、本発明例2の切削加工方法は、大荒加工でタービン翼接続用溝の各凸状溝を仕上加工前寸法まで行い、荒加工では、タービン翼接続用溝の各凸状溝を非切削とした本発明に係る切削加工方法を採用した。
本発明例3においては、1回目の大荒加工に使用する切削工具として、工具の先端径が8mm、最大径が40mm、刃長60mm、テーパー角15°、刃数が3枚刃のテーパーラフィングエンドミルを製作して使用した。また、2回目の大荒加工と荒加工において使用したカッタは、図15に示す本発明例1と同じ仕様のものを製作して使用した。切削加工方法は、大荒加工を2回行い、荒加工では、タービン翼接続用溝の第1凸状溝を非切削とした本発明に係る切削加工方法を採用した。
従来例4において使用した大荒加工用カッタでは、図15に示すように、カッタ先端よりカッタの第1凸状部の最大刃径が18mm、カッタの第2凸状部の最大刃径が29mm、カッタの第3凸状部の最大刃径が40mmとした。また、このカッタの各凹状部の径寸法を、被削材の仕上加工寸法に対して直径分で2.0mm小さくしたものとした。
また、従来例4におい使用した荒加工用カッタは、図15に示すように、カッタ先端よりカッタの第1凸状部の最大刃径が27mm、カッタの第2凸状部の最大刃径が38mm、カッタの第3凸状部の最大刃径が49mmとした。また、このカッタの各凹状部の径寸法を被削材の仕上寸法に対して直径分で1.0mm小さくしたものを製作した。加工方法は従来の方法を採用し、大荒加工ではタービン翼接続用溝の各凸状溝と凹状溝にそれぞれ荒加工時の取り代を残した加工を行い、荒加工でこの取り代を徐々に切削加工してタービン翼接続用溝を拡幅する加工方法とした。
仕上加工用クリスマスカッタは、図15に示すように、いずれの本発明例、従来例ともに先端よりカッタの第1凸状部の最大刃径が28mm、カッタの第2凸状部の最大刃径が39mm、カッタの第3凸状部の最大刃径が50mmとした。カッタの第1凹状部の最大刃径が10mm、カッタの第2凹状部の最大刃径が21mm、カッタの第3凹状部の最大刃径が26mm、で同様のものを使用した。
なお、実施例1において、被削材を切削加工するときの切削条件は、次のように設定した。
本発明例1および本発明例2の大荒加工と荒加工ではともに、カッタの回転数を160回/min、送り速度を10mm/minとした。また、本発明例3の切削条件は、1回目の大荒加工用テーパーラフィングエンドミルの回転数を180回/min、送り速度を10mm/minとした。さらに、本発明例3の2回目の大荒加工と荒加工とは、共にカッタの回転数を160回/min、送り速度を10mm/minとした。
なお、仕上加工において、仕上加工用クリスマスカッタで切削加工するときの切削条件は、本発明例および従来例ともに、カッタの回転数を180回/min、送り速度を10mm/minとした。実施例1の切削試験で使用した切削液は、水溶性切削液を用いた。
そして、実施例1による切削試験においては、本発明例1〜3、および従来例4について大荒加工、荒加工、仕上加工を上記した各カッタを用いた繰り返しの切削試験を実施し、各カッタの切削長さの合計値が4000mmに達した時点において、各カッタの刃先のチッピングや欠損の有無、機械のロード値(主軸モーターの最高出力を100%とした時の主軸へかかる回転方向の負荷を%で示す)、および仕上加工後の被削材の第1凸状溝の面粗さを確認する評価を行った。その確認結果を表1に示す。
Figure 2010158762
表1に示す切削試験の結果から、本発明例1から3のものは、大荒加工、荒加工共に機械ロード値と加工面の状況などから判断して、良好な切削加工が行えたことが分かる。また、本発明例はいずれも、仕上加工の加工面荒さは仕上加工として従来例よりかなり良好であった。
さらに、加工後の刃先状態の観察では、本発明例に使用した大荒加工用カッタ、荒加工用カッタ、仕上加工用カッタのいずれも、刃先のチッピングや欠損もなく良好な刃先状態であった。
一方、従来例4では、大荒加工時の機械ロード値が特に大きく、また、タービン翼接続用溝の全体にビビリ跡が残っていた。このビビリ跡は、特に最も細い部分であるタービン翼接続用溝の第1凸状溝にビビリ跡が大きく残っていた。これは、タービン翼接続用溝の第1凸状溝を加工する大荒加工用カッタの第1凹状部の外径が小さく、カッタの溝のスペースや、すくい角が十分に確保出来ないことから、切り屑がスムーズに排出できなかったことにより、加工面を傷付けたことや、切り屑が詰まり、切り屑を噛み込んで刃先にチッピングが発生し、そのまま切削を続けたことによるものと推測される。
また、従来例4の荒加工で機械ロード値が大きくなっている要因としては、大荒加工時のビビリ跡の影響やカッタの第1凹状部でも切削を行うことにより大きくなったと考えられ、荒加工後の加工面にもビビリ跡が見られた。
さらに、仕上加工後の第1凸状溝の面粗さは、本発明例1〜3と比較して、従来例4の面粗さが若干悪くなっている。これは荒加工面のビビリ跡の影響を受けているのではないかと推測される。
(実施例2)
次に、本発明に係る切削加工方法について、他の切削試験とその結果について説明する。実施例2において使用した大荒加工用カッタの各凸状部の刃径は、前記した本発明例1と同じ仕様とし、さらに大荒加工用カッタの各凹状部は仕上寸法に対しての取り代を変化させた8種のカッタを製作した。
また、荒加工用カッタは、荒加工用カッタの各凸状部の刃径は前記した本発明例1と同じ仕様とし、さらに荒加工用カッタの各凹状部は大荒加工用カッタの各凹状部の仕上寸法に対しての取り代を変化させたものに対応する非切削部としたものを製作した。
そして、8種の大荒加工用カッタごとに切削試験(本発明例5〜本発明例12)を行った。また、大荒加工はタービン翼接続用溝を大荒加工用カッタの各凹状部で仕上加工前の寸法まで行い、荒加工では、タービン翼接続用溝の各凸状溝を非切削としたとした本発明に係る切削加工方法を行った。なお、被削材、各カッタの母材、切削条件および評価方法は、実施例1と同様とした。その切削試験の結果を表2に示す。
Figure 2010158762
表2に示す結果から、本発明例5の荒加工では、取り代が小さいため機械ロード値は小さいが、大荒加工は、切削量が多いため機械ロード値が大きくなった。一方、本発明例12では、タービン翼接続用溝の第1凸状溝の仕上面荒さがやや大きくなった。この結果から、相対的に大荒用カッタの各凹状部の径寸法を被削材の仕上寸法に対して半径分(取り代)は、0.1mm〜3.0mmの範囲にすることが望ましいといえる。
(実施例3)
荒加工用カッタの送り速度を速くした時の折損に対する安定性について、本発明例と従来例のカッタについて比較するために切削試験を行った。この切削試験において、本発明例(以下、「本発明例13」という)に使用したカッタは、前記した本発明例1と同じ仕様とし、従来例(以下、「従来例14」という)に使用したカッタは、前記した従来例4と同じ仕様とし、それぞれ10本のカッタを製作した。また、各カッタの母材、切削加工方法及び切削条件は、大荒加工は前記した実施例1と同様とし、荒加工用カッタの送り速度は前記した実施例1の2倍である20mm/minとした。切削試験結果の評価方法としては、荒加工用カッタ1本当りの切削長さを4000mmと設定し、各10回繰り返した時の折損の有無を確認した。その結果を表3に示す。
Figure 2010158762
表3に示すように、本発明例13は、大荒加工に使用した大荒加工用カッタを、第1凹状部の外径を仕上加工前の寸法にしたことにより、この第1凹状部の剛性が向上し、荒加工用カッタに非切削部を設けることで送り速度を速くした場合においても折損することなく安定した加工ができた。
また、従来例14は、荒加工用カッタの第1凹状部に溝を設けているために、剛性が劣り、かつ、この第1凹状部で切削も行うことから送り速度を20mm/minと速くすると、表3に示すように荒加工用カッタの6本が折損し、安定した切削加工ができなかった。
以上に説明したように、本発明のタービン翼接続用溝の切削加工方法を用いれば、大荒加工と荒加工の適正な切削量のバランス分担により、タービン翼接続用溝の凹凸溝の各所での仕上加工での取り代をほぼ均一にすることができる。さらに、荒加工用クリスマスカッタの少なくとも最小径の凹状部を非切削にすることにより、荒加工における切削量が少なくなって切削抵抗も低減され、荒加工用クリスマスカッタの剛性を得ることができる。これにより、ソリッド工具の母材が超硬合金製であっても折損することがなく安定した切削加工ができると考えられる。
1a、1b、1c:凸状溝
2a、2b、2c:凹状溝
3 :被削材
4 :仕上加工形状溝
5 :大荒加工形状溝
6 :荒加工形状溝
7a、7b、7c:凸状部
8a、8b、8c:凹状部
9 :シャンク部
10 :クリスマスカッタの溝
11 :刃部
12 :1回目の大荒加工形状溝
13 :2回目の大荒加工形状溝
14a:非切削部
14a1、14a2:軸心O2への距離が最も短い部分
15 :非切削部の最も細い径
16 :凸状部のうち先端側の頂点
17 :凸状部のうちシャンク側の頂点
18 :凸状部のうち先端側の高さ
19 :凸状部のうちシャンク側の高さ
20 :仕上加工前の取り代
21 :大荒加工用のV字型カッタ
H :タービン翼接続用溝
O1:溝中心軸
O2:カッタの軸心
t1:切削加工工程
t2:カッタの凸状部の最大刃径
t3:カッタの凹状部の特徴
t4:加工方法

Claims (8)

  1. 溝の深さ方向の溝中心軸に対して複数の凹状溝と凸状溝が交互に連続して繰り返されたクリスマスツリー状であるタービン翼接続用溝を切削加工する切削加工方法であって、前記切削加工方法は、
    大荒加工を行う大荒加工工程と、荒加工を行う荒加工工程と、仕上加工を行う仕上加工工程とを有し、
    前記荒加工においては、前記タービン翼接続用溝の深さ方向と直交する方向の幅が最小となる最小幅の前記凸状溝を含む1つ以上の前記凸状溝が非切削となる、少なくとも刃部がソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴とするタービン翼接続用溝の切削加工方法。
  2. 前記荒加工は、前記最小幅の前記凸状溝に対応する荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部における径の最も細い部分には、溝を有しないソリッド工具からなる前記荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴とする請求項1に記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法。
  3. 前記大荒加工は、少なくとも複数回の大荒加工を行う工程を有し、
    前記荒加工は、前記最小幅の凸状溝を含む1つ以上の前記凸状溝が非切削となるソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを請求項1または請求項2に記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法。
  4. 前記大荒加工の最終工程は、前記凸状溝のうち少なくとも前記最小幅の凸状溝を前記仕上加工前の寸法まで加工し、
    前記荒加工においては、少なくとも前記最小幅の凸状溝は非切削とするソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法。
  5. 前記大荒加工の最終工程は、すべての前記凸状溝を仕上加工前の寸法まで加工し、
    前記荒加工は、すべての前記凸状溝を非切削とするソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタを用いて切削加工することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法。
  6. 前記凸状溝を仕上加工前の寸法まで加工する程度は、
    前記タービン翼接続用溝の深さ方向と直交する方向の前記凸状溝の径の差が、前記大荒加工の最終工程後と前記仕上加工前と比べて、半径分で3.0mm以下の範囲とすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法の前記荒加工に用いられ、軸心方向に凸状部と凹状部が交互に繰り返して形成されたソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタであって、
    前記荒加工用クリスマスカッタは、
    前記荒加工用クリスマスカッタの先端からシャンク部側へ向かった該カッタの外周部に切れ刃を有する前記凸状部と、
    前記外周部に切れ刃の無い非切削部が、少なくとも軸心方向と直交する方向の径が最小となる最小径の前記凹状部に設けられていることを特徴とする荒加工用クリスマスカッタ。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のタービン翼接続用溝の切削加工方法の前記荒加工に用いられ、軸心方向に凸状部と凹状部が交互に繰り返して形成されたソリッド工具からなる荒加工用クリスマスカッタであって、
    前記荒加工用クリスマスカッタは、
    前記荒加工用クリスマスカッタの先端からシャンク側へ向かった該カッタの外周部に切れ刃を有する前記凸状部と、該カッタ外周部に切れ刃の無い非切削部を有する前記凹状部が1つ以上設けられ、
    前記非切削部を有する前記凹状部のうち、前記荒加工用クリスマスカッタの先端側の凹状部であって、軸心方向と直交する方向の径が最小となる部分には、溝を有しないことを特徴とする荒加工用クリスマスカッタ。
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