JP2010157886A - 圧電音響装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電音響装置1は、圧電振動子21と、圧電振動子21の周囲に設けられ該圧電振動子21を保持するプレート22と、プレート22の外周部を支持するフレーム23と、圧電振動子が発する放射音と共鳴する共鳴器3を備える。圧電振動子21は、圧電素子よりなる圧電体24と、圧電体24より大径で圧電体24の表面に同心状に取り付けられた金属板25とを有する。プレート22は、圧電振動子21を弾性的に保持する薄厚部材から成り、外周方向に山部又は谷部、若しくはその両方を有する蛇腹構造とされている。プレート22の蛇腹構造によって圧電振動子21の振幅が大きくなるので、低域及び高域の音圧が大きくなる。
【選択図】図1
Description
f=1/(2π)・(k/m)1/2
によって表される。従って、圧電スピーカ2の共振周波数f0は、プレート22のばね定数をk0、圧電振動子21の質量をm0とすると
f0=1/(2π)・(k0/m0)1/2
によって表される。そして、プレート22のばね定数k0は、プレート22のヤング率をE、プレート22の厚さをh、プレート22の径長さをLとすると、
k0=E・h3/L2/4
によって表される。
f2/f1=L1/L2=7/6
となる。従って、共振周波数f2は共振周波数f1の約1.2倍になり、210Hzや100Hz付近に大きな音圧のピークができている。このような圧電スピーカ2はプレート22の外径を大きくすれば音圧を大きくすることができるが、プレート22の外径が制約されている場合には、上述したように、プレート22のヤング率、厚さ、径長さを変えることによって共振周波数を変え、任意の周波数の領域の音圧を大きくすることができる。
fcav=C/2π×(S/V(l+1.3a))1/2
=C/2π×(4na2/d2h(l+1.3a))1/2
となる。共鳴器3の構成を変えることにより、共鳴器3の共振周波数を調整することができる。図10のデータでは、共鳴器3有りの場合は、無しの場合に較べて、約1000〜4000Hzの範囲で音圧が大きくなっている。本実施形態の圧電音響装置1では、上述した圧電スピーカ2が組み込まれているので、低域及び高域の音圧は大きいが、更にこのような構成にすることにより、共鳴器3によって任意の周波数の音圧を大きくすることができる。
以下、本実施形態の各種変形例について、図12乃至図23を参照して説明する。図12は第1の変形例を示す。本変形例においては、プレート22の蛇腹構造がフレーム23近傍位置に設けられている。図13は、蛇腹構造がプレート22の径方向全てにある場合と、フレーム23の近傍のみにある場合の圧電スピーカ2の音圧を示す。この蛇腹構造は、上述した実施形態と同様に、図12(a)に示すように、山部と谷部が交互に構成されてもよいし、図12(b)に示すように、山部だけでもよいし、図12(c)に示すように、谷部だけでもよい。蛇腹構造がフレーム23の近傍のみにある場合には、プレート22の径方向全てにある場合と較べ、高域(3000Hz付近)において音圧がピークになっている範囲が広くなっている。このように、蛇腹構造がプレート22のフレーム23近傍位置に設けられることにより、特に高域での圧電振動子21の振幅が大きくなり、高域の音圧が大きくなる。
図14は第2の変形例を示す。本変形例においては、プレート22は圧電振動子21を保持する部分に段差形状部22aを有している。段差形状部22aの内径は、圧電振動子21を周囲から嵌合する大きさであり、プレート22は、圧電振動子21を嵌合した状態で圧電振動子21と接着される。このような構成にすることによって、圧電振動子21がプレート22に確実に取り付けられ、また、取り付けられる位置が一定になるので圧電スピーカ2が発する放射音の音圧や共振周波数が安定する。
図15は第3の変形例を示す。本変形例においては、フレーム23はプレート22を支持する部分に断面L字形状部23aを有している。断面L字形状部23aは、縦方向の断面がL字形状をしており、その部分にプレート22を載置させて嵌合し支持する。L字形状の垂直部分の内径は、プレート22を周囲から嵌合する大きさであり、フレーム23は、プレート22を嵌合した状態でプレート22と接着される。このような構成にすることによって、プレート22がフレーム23に確実に取り付けられ、また、取り付けられる位置が一定になるので圧電スピーカ2が発する放射音の音圧や共振周波数が安定する。
図16は第4の変形例を示す。本変形例においては、フレーム23は第3の変形例の構成に加えて、更にL字形状のプレート22を載置させる一面に切り欠き23bを有しており、この42に接着剤CがディスペンサDより充填される。塗布された接着剤Cは切り欠き23bに堆積し、プレート22が浮き上がることなく貼着することができるので、プレート22がフレーム23に確実に取り付けられ、圧電スピーカ2が発する放射音の音圧や共振周波数が安定する。
図17(a)は、第5の変形例を示す。本変形例では、金属板25及び圧電体24を略円板形状とし、金属板25と圧電体24との半径の比を略10:7としている。図17(b)は、金属板25の直径を一定とし、圧電体24の直径を変えたときの共振周波数の変化を示す。圧電体24と金属板25は円形であり、金属板25の直径は50mmである。圧電体24の直径が35mm付近のときに共振周波数が最も低くなっており、このときの金属板25と圧電体24との半径の比が10:7になる。金属板25と圧電体24との半径の比は10:6から10:8の間が好ましい。従って、本変形例のような構成にすることにより、圧電スピーカ2の共振周波数が小さくなるので、低域での音圧を大きくすることができる。
図18は第6の変形例を示す。本変形例においては、プレート22は圧電振動子21を覆い、プレート22と圧電振動子21の間に空気層Eを設けている。空気の音響インピーダンスは、金属板25の音響インピーダンスよりはるかに小さい。従って、プレート22によって空気層Eを圧電振動子21の前面に設けることにより、金属板25の音響インピーダンスを緩和することができる。このような構成によって、圧電振動子21が発する放射音を減衰させずに前方へ伝達することができるので、音圧を大きくすることができる。また、特定の周波数で音圧が急激に小さくなるディップを少なくすることができる。
図19は第7の変形例を示す。本変形例においては、反射板4の外周縁部41が略エクスポーネンシャルカーブを持って前方に立ち上がった形状を成している。このエクスポーネンシャルカーブの部分では放射音が共鳴し難い。通常、反射板4が略長方形や略楕円形をしていると、反射板4の長手方向と短手方向とでの放射音の指向性が異なるが、上記の構成のように反射板4の外周縁部41を略エクスポーネンシャルカーブにすることによって放射音が外周縁部で共鳴し難くなり、反射板4の長手方向と短手方向とでの放射音の指向性の差を小さくすることができる。このとき、更に、共鳴器3の音孔31を、圧電音響装置1の前後方向において、フレーム23の開口位置と反射板4の外周縁部の上端位置との間に設けることにより、放射音の指向性の差を小さくすることができる。
図20は第8の変形例を示す。本変形例においては、圧電音響装置1は共鳴器3の前方に放射音の指向性を調整する板状のホーンキャップ7を備えている。ホーンキャップ7は共鳴器3の方向に湾曲しており、反射板4に設けられた支柱71によって支持されている。図21は、ホーンキャップ7を付けたときの放射音の指向性を示す。圧電音響装置1の前方方向を90°、前方方向と垂直な方向を0°としたときの15°、45°及び90°の方向の音圧を示している。このように、ホーンキャップ7を付けることにより放射音の伝達方向が広くなるので、15°と90°の方向の音圧の差が小さくなり、指向性を鈍くすることができる。更に、支柱71の長さを変えることによって、指向性を変えることができ、短くすると指向性が鈍くなり、長くすると指向性が鋭くなる。
図22は第9の変形例を示す。本変形例においては、圧電音響装置1は反射板4の前面空間と後気室61とを繋ぐダクト8を備え、このダクト8によって圧電音響装置1の共振周波数を調整する。ダクト8は、フレーム23の筒体の側面から反射板4の底面にかけて設けられており、複数設けてもよい。ダクト8は後気室61で反響している放射音を反射板4の前方に放出する。このダクト8の断面積と長さを変えることによってダクト8の共振周波数を変えることができる。ダクト8の共振周波数fdはダクト8の断面積をD、ダクトの長さをL、後気室61の容積をVc、とし、r=(D/π)1/2とすると、
fd=160(D/Vc/(L+r))1/2
となる。
21 圧電振動子
22 プレート
23 フレーム
24 圧電体
25 金属板
3 共鳴器
31 音孔
4 反射板
41 外周縁部
61 後気室
62 前気室
7 ホーンキャップ
8 ダクト
Claims (6)
- 圧電素子よりなる圧電体と、前記圧電体より大径で該圧電体の表面に同心状に取り付けられた金属板と、を有する圧電振動子と、
前記圧電振動子の周囲に設けられ該圧電振動子を保持するプレートと、
前記プレートの外周部を支持するフレームと、
前記圧電振動子が発する放射音と共鳴する共鳴器と、を備えた圧電音響装置において、
前記プレートは、前記圧電振動子を弾性的に保持する薄厚の部材から成り、外周方向に山部又は谷部、若しくはその両方を有する蛇腹構造を有し、
前記フレームは、一方が開口した有底の筒体で成り、前記プレートの周囲を該筒体の内壁で支持して該プレートと底面との間に後気室を形成し、
前記共鳴器は、前記フレームの開口を覆うように設けられて前記プレートとの間に前気室を形成していることを特徴とする圧電音響装置。 - 前記蛇腹構造は、前記プレートのフレーム近傍位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電音響装置。
- 前記フレームの開口の周囲に設けられ前記放射音を前方に反射する反射板を備え、
前記反射板はその外周縁部が略エクスポーネンシャルカーブを持って前方に立ち上がった形状を成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電音響装置。 - 前記共鳴器は前記放射音を通過させる音孔を有し、
前記音孔は、前後方向において、前記フレームの開口位置と前記反射板の外周縁部の上端位置との間に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の圧電音響装置。 - 前記共鳴器の前方に放射音の指向性を調整する板状のホーンキャップを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の圧電音響装置。
- 前記反射板の前面空間と前記後気室とを繋ぐダクトを備え、このダクトによって共振周波数が調整されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の圧電音響装置。
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