JP2004088733A - 圧電振動体を用いたスピーカシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電振動板を用いたスピーカシステムにおいて、低音領域の音圧を高めること。
【解決手段】スピーカシステムが、硬質の薄板より成る音響振動板20と、音響振動板20の一側面に取り付けられた圧電振動板100とを具備し、音響振動板20は、音響振動板20の外周に沿って延設された柔軟な材料より成るダンパ部材22を介して支持体12に取り付けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】スピーカシステムが、硬質の薄板より成る音響振動板20と、音響振動板20の一側面に取り付けられた圧電振動板100とを具備し、音響振動板20は、音響振動板20の外周に沿って延設された柔軟な材料より成るダンパ部材22を介して支持体12に取り付けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動体を用いたスピーカシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
スピーカシステムの音源として圧電振動板を備えたスピーカが知られている。例えば、本願出願人による実用新案登録第3037167号には、スピーカシステムの音源としてバイモルフ等の圧電素子を用いたスピーカ構造が開示されている。このスピーカは、炭素繊維等の繊維強化プラスチックから成る音響振動板に圧電振動板を取り付けてスピーカの音源としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
圧電振動板は特に高音特性に優れているが、然しながら圧電振動板の振幅は小さく、従って圧電振動板を用いて低音の音圧を十分に高くすることは困難であった。
従って、本発明は、圧電振動板を用いたスピーカシステムにおいて、低音領域の音圧を高めることを技術課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、硬質の薄板より成る音響振動板と、前記音響振動板の一側面に取り付けられた圧電振動板とを具備し、前記音響振動板の外周に沿って延設された柔軟な材料より成るダンパ部材を介して前記音響振動板を支持体に取り付けたスピーカシステムを要旨とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
先ず、図1から図3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
本発明の第1の実施形態によるスピーカシステム10は、硬質の薄板より成る音響振動板20に取着された圧電振動体100と、音響振動板20を支持する支持体としてのエンクロージャ12とを具備している。音響振動板20は、例えば、プラスチック製板材、合成樹脂をバインダとしアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維を強化繊維とした複合材料、または、アルミハニカム材料から成る比較的硬質の薄板により形成することができる。また、圧電振動体100は、図3に示すように、円形の金属製薄板より成る金属板102と、該金属板102の両側面に適当な接着剤により貼付されたセラミックス層104とから成る圧電振動板を具備している。セラミックス層104は、チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛等のセラミック材料にて形成することができる。図3においてセラミックス層104は金属板102の両側面の概ね全面にわたって形成されている。なお、図3において、圧電振動板は金属板102の両側面にセラミックス層104を配設したバイモルフとして図示されているが、セラミックス層104を金属板102の一方側面にのみ配設したモノモルフとしてもよい。
【0006】
前記圧電振動板は、その中心部において、外ネジが形成されたロッド108a、ロッド108aの外ネジに係合するナット106b、ブラケット108cから成る取付組立体108を介して、音響振動板20に取着されている。ブラケット108cは、音響振動板20の一方の側面、好ましくは、エンクロージャ12に対して音響振動板20の内向きの側面に、接着剤や両面テープにより取着されている。圧電振動体100は、更に、前記圧電振動板の一方の側面に環状の振動制御片106を取り付けることができる。振動制御片34は、弾性材料、好ましくは、合成ゴム、天然ゴム、低密度ポリエチレン、軟質塩化ビニルプラスチック等のエラストマ材料から成る。また、振動制御片34は環状ではなく、長方形、台形、平行四辺形等の他の形状であってもよい。
【0007】
本発明の第1の実施形態において、音響振動板20は、ダンパ部材22、および、エンクロージャ12の開口部12aに沿って配設、取着された複数の取付部材24を介して、エンクロージャ12の円形の開口部12aの前方を覆うように取り付けられている。ダンパ部材22は弾性を有した環状部材であり、好ましくは、複数の同心円に沿って延設された山部22aと、谷部22bとを有して、図1に示すように、半径方向の断面が波形となるように形成されている。また、ダンパ部材22は、好ましくは、織物または編物に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱、硬化した基体の表面にエラストマ材料を塗布した複合材料を用いることができる。また、このように基体の表面にエラストマ材料を塗布することにより、基体の通気性を除去可能となり、ダンパ部材22が音響振動板20と共に振動したときの、空気の押しのけ量を増加させて、低音領域における音圧を増加させることが可能となる。前記基体は、織物または編物に替えて不織布を用いてもよい。
【0008】
また、取付部材24は、上側部材24aと、下側部材24bとを有しており、上側部材24aと下側部材24bは、両者間にダンパ部材22の外周縁部の一部を挟持させて、接着剤を用いて互いに接着されている。また、図2に示す例では、6個の取付部材24が、開口部12aに沿って等間隔にエンクロージャ12の外面に取り付けられている。然しながら、6より小さな個数例えば3個、4個または5個、若しくは、6より大きな個数例えば7個または8個、更にはそれ以上の個数の取付部材24を用いてもよい。音響振動板20およびダンパ部材22の軸方向への移動量を大きくするために、取付部材24の下側部材24aは、比較的重い材料、好ましくは、金属材料にて形成するようにしてもよい。
【0009】
本実施形態によれば、圧電振動体100のセラミックス層102、104および金属板102をアンプ(図示せず)に接続して音声信号を印加することにより、該音声信号に従って圧電振動板が屈曲し、その振動が取付組立体108を介して音響振動板20に伝達される。これにより、音響振動板20はダンパ部材22と共に軸方向、つまり、ロッド108aの方向に移動して、前記圧電振動板20の振動が周囲の空気に伝達される。音響振動板20をダンパ部材22を介して支持体としてのエンクロージャ12に取り付けることにより、音響振動板20の軸方向の移動量を、従来技術と比較して大きくすることが可能となり、低音領域の音圧を増大することが可能となる。
【0010】
次に、図4、5を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態によるスピーカシステム30は、第1の音響振動板32に取着された第1の圧電振動体200と、第1の音響振動板32の外側に概ね平行に配設された第2の音響振動板34に取着された第2の圧電振動体210と、支持体としてのエンクロージャ12とを具備している。第1と第2の音響振動板32、34は、第1の実施形態の音響振動板20と概ね同様に形成されているが、本実施形態では、特に第1と第2の圧電振動体200、210を取り付けるためのロッド36を貫通させるための中心穴32a、34aが形成されている。第1の圧電振動体200は、2枚の圧電振動板202、204を具備しており、第2の圧電振動体210は1枚の圧電振動板212を具備している。圧電振動板202、204、212は図2の圧電振動板と概ね同様に形成されている。
【0011】
第1の圧電振動体200の圧電振動板202、204は、その中心部において、外ネジが形成されたロッド36、ロッド36の外ネジに係合するナット38a、38b、ブラケット40、カラー42から成る取付組立体を介して、第1の音響振動板32に取着されている。第2の圧電振動体210の圧電振動板212は、その中心部において、ロッド36、ロッド36の外ネジに係合するナット40a、40b、ブラケット44から成る取付組立体を介して、第2の音響振動板34に取着されている。ナット38bと第1の音響振動板32の間、および、ナット46と第2の音響振動板34の間には適宜に座金48、50を適宜に配設することができる。また、ロッド36が金属材料にて形成されている場合には、図5に示すように、圧電振動板202、204、212とロッド36との間の絶縁を確実にするために、圧電振動板202、204、212の各々の中心穴202a、204a、212aに沿って環状の絶縁部材200a、200bを配設してもよい。
【0012】
第2の実施形態において、第1と第2の音響振動板32、34の各々は、第1と第2のダンパ部材206、214および取付部材208を介して、エンクロージャ12の円形の開口部12aの前方を覆うように取り付けられている。第1と第2のダンパ部材206、214は、第1の実施形態のダンパ部材22と同様に形成されている。取付部材208は、2つのダンパ部材206、214の各々の外周縁部を挟持できるようにした点を除いて第1の実施形態の取付部材24と同様に形成されている。
【0013】
第1の実施形態では、ブラケット108cは、音響振動板20の一方の側面に接着剤や両面テープにより取着されている旨説明したが、第2の実施形態では、ブラケット40、44は、第1と第2の圧電振動体200、210を貫通するロッド36およびナット38a、38b、46a、46bにより取着されている。こうした構成により、ナット38a、38bおよび46a、46bの締込量を調節することにより、第1と第2の音響振動板32、34の相対的な位置を調節することが可能となり、これにより、ダンパ部材206、214に作用する張力を調節することが可能となる。つまり、本実施形態において、ロッド36およびナット38a、38bおよび46a、46bはダンパ部材206、214の張力調節手段を形成している。
【0014】
また、図4の実施形態では、第1と第2のダンパ部材206、214は、第1の実施形態の取付部材24と同様に形成された取付部材208によりエンクロージャ12の外表面に取着されている旨説明したが、図6に示すように、取付部材は第1と第2のダンパ部材206、214の各々の外周縁部に沿って延設され、同外周縁部に接着された環状部材252、254と、該環状部材252、254をエンクロージャ12の外表面に取着するための柱状部材250とによりエンクロージャ12の外表面に取着するようにしてもよい。環状部材252、254は、金属またはプラスチック材料から形成することが可能であるが、第1と第2の音響振動板32、34および第1と第2のダンパ部材206、214の軸方向への移動量を大きくするために、比較的重い材料である金属材料から形成することが好ましい。
【0015】
次に図7を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図7において、スピーカシステム50は、音響振動板60に取着された圧電振動体300、302を具備している。音響振動板60は、第1と第2の音響振動板62、64を具備しており、第1と第2の音響振動板62、64は間座66を介してボルト68およびナット70により互いに平行に離間するように固定されている。また、第1の音響振動板62は第2の音響振動板64よりも薄くなっっている。本実施形態では、音響振動板60は、第1の音響振動板62において、ダンパ部材としてのウレタンゴム製ダンパ54を介して、支持体としてのエンクロージャ12に取付けられている。好ましくは、音響振動板60は、第2の音響振動板64がエンクロージャ12に対して外側となるように配置される。また、好ましくは、第1の圧電振動体300は直列的に重畳された2つの圧電振動板を具備し、第2の圧電振動体302は1つの圧電振動板を具備している。
【0016】
本実施形態では、第1の音響振動板62が第2の音響振動板64よりも薄くなっているために、第2の音響振動板64よりも大きく振動する、すなわち振幅が大きくなり、第2の音響振動板64よりも低音領域において音圧を高くすることができる。また、第1の音響振動板62をエンクロージャ12の内側に配置することにより、低音領域における音圧を一層高くすることが可能となる。更に、第1の圧電振動体300を複数、図7の実施形態では2つの圧電振動板により形成することにより、第1の音響振動板の振幅を大きくすることが可能となる。更に、ダンパ部材54を介して第1の音響振動板62をエンクロージャ12に取着することにより、音響振動板60の軸方向への移動量を大きくすることが可能となり、低音領域における音圧を一層高くすることが可能となる。
【0017】
他方、第2の音響振動板64を厚くすることにより第2の音響振動板64では低音領域における音圧が小さくなり高音領域を効果的に再生可能となる。
また、本実施形態によるスピーカシステムで実験を行ったところ、第1と第2の圧電振動体を同相または互いに逆相となるように音声信号を印加しても実際の聴取者の耳に聞こえる音響的効果に差異が生じなかった。
【0018】
本発明においてエンクロージャ12は、一般的な室内に据え置かれる箱形のエンクロージャに限定されず、例えば自動車のトランクルームに形成することもできる。更にはテレビその他の音響機器または音響、映像機器のケースによって形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるスピーカシステムの断面図である。
【図2】図1の音響振動板、ダンパ部材および取付部材を示す平面図である。
【図3】圧電振動体の拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態によるスピーカシステムの断面図である。
【図5】圧電振動板の部分拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態によるスピーカシステムの断面図である。
【符号の説明】
10…スピーカシステム
12…エンクロージャ
20…音響振動板
22…ダンパ部材
100…圧電振動体
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動体を用いたスピーカシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
スピーカシステムの音源として圧電振動板を備えたスピーカが知られている。例えば、本願出願人による実用新案登録第3037167号には、スピーカシステムの音源としてバイモルフ等の圧電素子を用いたスピーカ構造が開示されている。このスピーカは、炭素繊維等の繊維強化プラスチックから成る音響振動板に圧電振動板を取り付けてスピーカの音源としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
圧電振動板は特に高音特性に優れているが、然しながら圧電振動板の振幅は小さく、従って圧電振動板を用いて低音の音圧を十分に高くすることは困難であった。
従って、本発明は、圧電振動板を用いたスピーカシステムにおいて、低音領域の音圧を高めることを技術課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、硬質の薄板より成る音響振動板と、前記音響振動板の一側面に取り付けられた圧電振動板とを具備し、前記音響振動板の外周に沿って延設された柔軟な材料より成るダンパ部材を介して前記音響振動板を支持体に取り付けたスピーカシステムを要旨とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
先ず、図1から図3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
本発明の第1の実施形態によるスピーカシステム10は、硬質の薄板より成る音響振動板20に取着された圧電振動体100と、音響振動板20を支持する支持体としてのエンクロージャ12とを具備している。音響振動板20は、例えば、プラスチック製板材、合成樹脂をバインダとしアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維を強化繊維とした複合材料、または、アルミハニカム材料から成る比較的硬質の薄板により形成することができる。また、圧電振動体100は、図3に示すように、円形の金属製薄板より成る金属板102と、該金属板102の両側面に適当な接着剤により貼付されたセラミックス層104とから成る圧電振動板を具備している。セラミックス層104は、チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛等のセラミック材料にて形成することができる。図3においてセラミックス層104は金属板102の両側面の概ね全面にわたって形成されている。なお、図3において、圧電振動板は金属板102の両側面にセラミックス層104を配設したバイモルフとして図示されているが、セラミックス層104を金属板102の一方側面にのみ配設したモノモルフとしてもよい。
【0006】
前記圧電振動板は、その中心部において、外ネジが形成されたロッド108a、ロッド108aの外ネジに係合するナット106b、ブラケット108cから成る取付組立体108を介して、音響振動板20に取着されている。ブラケット108cは、音響振動板20の一方の側面、好ましくは、エンクロージャ12に対して音響振動板20の内向きの側面に、接着剤や両面テープにより取着されている。圧電振動体100は、更に、前記圧電振動板の一方の側面に環状の振動制御片106を取り付けることができる。振動制御片34は、弾性材料、好ましくは、合成ゴム、天然ゴム、低密度ポリエチレン、軟質塩化ビニルプラスチック等のエラストマ材料から成る。また、振動制御片34は環状ではなく、長方形、台形、平行四辺形等の他の形状であってもよい。
【0007】
本発明の第1の実施形態において、音響振動板20は、ダンパ部材22、および、エンクロージャ12の開口部12aに沿って配設、取着された複数の取付部材24を介して、エンクロージャ12の円形の開口部12aの前方を覆うように取り付けられている。ダンパ部材22は弾性を有した環状部材であり、好ましくは、複数の同心円に沿って延設された山部22aと、谷部22bとを有して、図1に示すように、半径方向の断面が波形となるように形成されている。また、ダンパ部材22は、好ましくは、織物または編物に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱、硬化した基体の表面にエラストマ材料を塗布した複合材料を用いることができる。また、このように基体の表面にエラストマ材料を塗布することにより、基体の通気性を除去可能となり、ダンパ部材22が音響振動板20と共に振動したときの、空気の押しのけ量を増加させて、低音領域における音圧を増加させることが可能となる。前記基体は、織物または編物に替えて不織布を用いてもよい。
【0008】
また、取付部材24は、上側部材24aと、下側部材24bとを有しており、上側部材24aと下側部材24bは、両者間にダンパ部材22の外周縁部の一部を挟持させて、接着剤を用いて互いに接着されている。また、図2に示す例では、6個の取付部材24が、開口部12aに沿って等間隔にエンクロージャ12の外面に取り付けられている。然しながら、6より小さな個数例えば3個、4個または5個、若しくは、6より大きな個数例えば7個または8個、更にはそれ以上の個数の取付部材24を用いてもよい。音響振動板20およびダンパ部材22の軸方向への移動量を大きくするために、取付部材24の下側部材24aは、比較的重い材料、好ましくは、金属材料にて形成するようにしてもよい。
【0009】
本実施形態によれば、圧電振動体100のセラミックス層102、104および金属板102をアンプ(図示せず)に接続して音声信号を印加することにより、該音声信号に従って圧電振動板が屈曲し、その振動が取付組立体108を介して音響振動板20に伝達される。これにより、音響振動板20はダンパ部材22と共に軸方向、つまり、ロッド108aの方向に移動して、前記圧電振動板20の振動が周囲の空気に伝達される。音響振動板20をダンパ部材22を介して支持体としてのエンクロージャ12に取り付けることにより、音響振動板20の軸方向の移動量を、従来技術と比較して大きくすることが可能となり、低音領域の音圧を増大することが可能となる。
【0010】
次に、図4、5を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態によるスピーカシステム30は、第1の音響振動板32に取着された第1の圧電振動体200と、第1の音響振動板32の外側に概ね平行に配設された第2の音響振動板34に取着された第2の圧電振動体210と、支持体としてのエンクロージャ12とを具備している。第1と第2の音響振動板32、34は、第1の実施形態の音響振動板20と概ね同様に形成されているが、本実施形態では、特に第1と第2の圧電振動体200、210を取り付けるためのロッド36を貫通させるための中心穴32a、34aが形成されている。第1の圧電振動体200は、2枚の圧電振動板202、204を具備しており、第2の圧電振動体210は1枚の圧電振動板212を具備している。圧電振動板202、204、212は図2の圧電振動板と概ね同様に形成されている。
【0011】
第1の圧電振動体200の圧電振動板202、204は、その中心部において、外ネジが形成されたロッド36、ロッド36の外ネジに係合するナット38a、38b、ブラケット40、カラー42から成る取付組立体を介して、第1の音響振動板32に取着されている。第2の圧電振動体210の圧電振動板212は、その中心部において、ロッド36、ロッド36の外ネジに係合するナット40a、40b、ブラケット44から成る取付組立体を介して、第2の音響振動板34に取着されている。ナット38bと第1の音響振動板32の間、および、ナット46と第2の音響振動板34の間には適宜に座金48、50を適宜に配設することができる。また、ロッド36が金属材料にて形成されている場合には、図5に示すように、圧電振動板202、204、212とロッド36との間の絶縁を確実にするために、圧電振動板202、204、212の各々の中心穴202a、204a、212aに沿って環状の絶縁部材200a、200bを配設してもよい。
【0012】
第2の実施形態において、第1と第2の音響振動板32、34の各々は、第1と第2のダンパ部材206、214および取付部材208を介して、エンクロージャ12の円形の開口部12aの前方を覆うように取り付けられている。第1と第2のダンパ部材206、214は、第1の実施形態のダンパ部材22と同様に形成されている。取付部材208は、2つのダンパ部材206、214の各々の外周縁部を挟持できるようにした点を除いて第1の実施形態の取付部材24と同様に形成されている。
【0013】
第1の実施形態では、ブラケット108cは、音響振動板20の一方の側面に接着剤や両面テープにより取着されている旨説明したが、第2の実施形態では、ブラケット40、44は、第1と第2の圧電振動体200、210を貫通するロッド36およびナット38a、38b、46a、46bにより取着されている。こうした構成により、ナット38a、38bおよび46a、46bの締込量を調節することにより、第1と第2の音響振動板32、34の相対的な位置を調節することが可能となり、これにより、ダンパ部材206、214に作用する張力を調節することが可能となる。つまり、本実施形態において、ロッド36およびナット38a、38bおよび46a、46bはダンパ部材206、214の張力調節手段を形成している。
【0014】
また、図4の実施形態では、第1と第2のダンパ部材206、214は、第1の実施形態の取付部材24と同様に形成された取付部材208によりエンクロージャ12の外表面に取着されている旨説明したが、図6に示すように、取付部材は第1と第2のダンパ部材206、214の各々の外周縁部に沿って延設され、同外周縁部に接着された環状部材252、254と、該環状部材252、254をエンクロージャ12の外表面に取着するための柱状部材250とによりエンクロージャ12の外表面に取着するようにしてもよい。環状部材252、254は、金属またはプラスチック材料から形成することが可能であるが、第1と第2の音響振動板32、34および第1と第2のダンパ部材206、214の軸方向への移動量を大きくするために、比較的重い材料である金属材料から形成することが好ましい。
【0015】
次に図7を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図7において、スピーカシステム50は、音響振動板60に取着された圧電振動体300、302を具備している。音響振動板60は、第1と第2の音響振動板62、64を具備しており、第1と第2の音響振動板62、64は間座66を介してボルト68およびナット70により互いに平行に離間するように固定されている。また、第1の音響振動板62は第2の音響振動板64よりも薄くなっっている。本実施形態では、音響振動板60は、第1の音響振動板62において、ダンパ部材としてのウレタンゴム製ダンパ54を介して、支持体としてのエンクロージャ12に取付けられている。好ましくは、音響振動板60は、第2の音響振動板64がエンクロージャ12に対して外側となるように配置される。また、好ましくは、第1の圧電振動体300は直列的に重畳された2つの圧電振動板を具備し、第2の圧電振動体302は1つの圧電振動板を具備している。
【0016】
本実施形態では、第1の音響振動板62が第2の音響振動板64よりも薄くなっているために、第2の音響振動板64よりも大きく振動する、すなわち振幅が大きくなり、第2の音響振動板64よりも低音領域において音圧を高くすることができる。また、第1の音響振動板62をエンクロージャ12の内側に配置することにより、低音領域における音圧を一層高くすることが可能となる。更に、第1の圧電振動体300を複数、図7の実施形態では2つの圧電振動板により形成することにより、第1の音響振動板の振幅を大きくすることが可能となる。更に、ダンパ部材54を介して第1の音響振動板62をエンクロージャ12に取着することにより、音響振動板60の軸方向への移動量を大きくすることが可能となり、低音領域における音圧を一層高くすることが可能となる。
【0017】
他方、第2の音響振動板64を厚くすることにより第2の音響振動板64では低音領域における音圧が小さくなり高音領域を効果的に再生可能となる。
また、本実施形態によるスピーカシステムで実験を行ったところ、第1と第2の圧電振動体を同相または互いに逆相となるように音声信号を印加しても実際の聴取者の耳に聞こえる音響的効果に差異が生じなかった。
【0018】
本発明においてエンクロージャ12は、一般的な室内に据え置かれる箱形のエンクロージャに限定されず、例えば自動車のトランクルームに形成することもできる。更にはテレビその他の音響機器または音響、映像機器のケースによって形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるスピーカシステムの断面図である。
【図2】図1の音響振動板、ダンパ部材および取付部材を示す平面図である。
【図3】圧電振動体の拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態によるスピーカシステムの断面図である。
【図5】圧電振動板の部分拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態によるスピーカシステムの断面図である。
【符号の説明】
10…スピーカシステム
12…エンクロージャ
20…音響振動板
22…ダンパ部材
100…圧電振動体
Claims (12)
- 硬質の薄板より成る音響振動板と、
前記音響振動板の一側面に取り付けられた圧電振動板とを具備し、
前記音響振動板の外周に沿って延設された柔軟な材料より成るダンパ部材を介して前記音響振動板を支持体に取り付けたスピーカシステム。 - 前記音響振動板が互いに略平行に配置された第1と第2の音響振動板を具備し、
前記圧電振動板が、前記第1と第2の音響振動板に取り付けられた第1と第2の圧電振動板を具備し、
前記ダンパ部材が、前記第1と第2の音響振動板を前記支持体に取り付ける第1と第2のダンパ部材を具備する請求項1に記載のスピーカシステム。 - 前記ダンパ部材は、複数の同心円に沿って延設された山部と谷部とを有して、半径方向の断面が波形となるように形成されている請求項1または2に記載のスピーカシステム。
- 前記ダンパ部材は、半径方向に張力を付与して前記支持体に取り付けられている請求項1から3の何れか1項に記載のスピーカシステム。
- 前記第1と第2のダンパ部材に付与された張力を調節する張力調節手段を更に具備する請求項2または3に記載のスピーカシステム。
- 前記張力調節手段は外ネジが形成された棒状部材と、前記外ネジに係合するナットとを具備しており、前記棒状部材は、その各端部において前記第1と第2の音響振動板の各々に前記ナットを用いて連結されており、前記ナットの締込量を調節することにより、前記第1と第2の音響振動板の間の距離を調節し以て前記ダンパ部材に作用する張力を調節するようになっている請求項5に記載のスピーカシステム。
- 前記圧電振動板は、前記張力調節手段の棒状部材に取り付けられている請求項6に記載のスピーカシステム。
- 音響振動板に圧電振動体を中心支持して、圧電振動体により音響振動板を駆動するスピーカシステムにおいて、
前記音響振動板が互いに略平行に配置された第1と第2の音響振動板を具備し、前記第1と第2の音響振動板の各々に第1と第2の圧電振動体が中心支持されており、
前記第1の音響振動板が第2の音響振動板よりも薄くなっていることを特徴とした圧電振動体を用いたスピーカシステム。 - 前記第1の音響振動板が低音用スピーカを構成し、前記第2の音響振動板が高音用スピーカを構成する請求項8に記載のスピーカシステム。
- 前記第2の音響振動板が前記第1の音響振動板に関して外側に配置されてエンクロージャに取付けられる請求項8または9に記載のスピーカシステム。
- 前記エンクロージャは自動車のトランクルームである請求項1から10の何れか1項に記載のスピーカシステム。
- 前記第1の圧電振動体は2つの圧電振動板を具備し、前記第2の圧電振動体は1つの圧電振動板を具備している請求項1から11の何れか1項に記載のスピーカシステム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003129114A patent/JP2004088733A/ja active Pending
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