JP2010151143A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御軸から伝達された交番トルクに起因したアクチュエータ内での異音の発生を防止できる可変動弁装置を提供する。
【解決手段】可変機構3の制御軸19を回転制御するアクチュエータ5を、電動モータ22の回転力によって偏心回動する外周円形状の偏心カム26と、内周に偏心カムが相対回転可能に収容された摺動孔を有し、偏心カムの回転に応じて偏心回転する遊星ピニオンギア27と、内外歯27a、28aを噛合させることによって遊星ピニオンギアを自転しながら公転させるリングギア28と、前記偏心カムと遊星ピニオンギア及びリングギアによって、前記制御軸から作用する交番トルクを吸収して偏心カムへ伝達されないように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、機関弁である吸気弁や排気弁の作動特性であるバルブタイミングなどを機関運転状態に応じて可変にできる可変機構を備えた内燃機関の可変動弁装置に関し、具体的には前記可変機構を駆動させるアクチュエータの改良に関する。
この種の従来の内燃機関の可変動弁装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されたものがある。
概略を説明すれば、この可変動弁装置は、吸気弁側に適用されたもので、クランク軸の回転に同期して回転する駆動軸の外周に、軸心が駆動軸の軸心から偏心した駆動カムが設けられていると共に、駆動カムの回転力が多節リンク状の伝達機構を介して伝達されて、吸気弁の上端部に有するバルブリフターの上面をカム面が摺接して吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる揺動カムを有している。
前記伝達機構は、揺動カムの上方に配置されて制御軸に揺動自在に支持されたロッカアームと、円環状の一端部が駆動カムの外周面に嵌合しかつ他端部がロッカアームの一端部に回転自在に連結されたリンクアームと、一端部がロッカアームの他端部に回転自在に連結され、他端部が前記揺動カムのカムノーズ部に回転自在に連結されたリンクロッドとから構成されている。
また、前記制御軸は、シリンダヘッドの上端部に設けられた軸受によって回転自在に支持されており、その外周面には、軸心が制御軸の軸心から所定量だけ偏心した制御カムが固定されている。
そして、アクチュエータである電動モータや該電動モータの回転を減速させる減速機構であるボール螺子伝達手段によって前記制御軸を回転制御し、さらにこの制御軸を介して制御カムの回動位置を変化させることによって、ロッカアームの揺動支点を変化させて揺動カムのカム面のバルブリフター上面に対する転接位置を変化させることにより、吸気弁のバルブリフト量を機関運転状態に応じて可変制御するようになっている。
特開2002−155716号公報
ところで、一般に内燃機関は、吸気弁や排気弁の開閉作動時において、バルブスプリングの大きなばね反力に起因して、いわゆる正負の交番トルクが発生していることは周知の通りである。
この交番トルクは、前記従来の可変機構を備えたものにあっては、揺動カムからリンクアームやロッカアームなどの伝達機構を介して制御軸に伝達されており、該制御軸には、図11の波形特性図に示すような大きなトルク変動が発生している。
さらに、この制御軸に伝達された交番トルクは、前記ボール螺子伝達手段である減速機構に伝達されてしまう。このため、該ボール螺子伝達手段では、各ボールとボール軸外周の螺旋状ボール溝やボールナットのボール溝との噛み合い部などの伝達経路で交番トルクによる各部の干渉による激しい異音が発生するおそれがある。
本発明は、前記従来の可変動弁装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1に記載の発明は、機関運転状態に応じて回転する電動モータと、前記電動モータから回転力が入力されると共に、回転中心に対して中心が偏心して設けられた偏心カムと、中央に前記偏心カムを収容する摺動孔を有し、外周面全体にトロコイド形状の外歯が形成された遊星ピニオンギアと、前記偏心カムと摺動孔の間に設けられたボールベアリングと、内周に前記遊星ピニオンギアの外歯よりも歯数が多く、前記遊星ピニオンギアの外歯と噛み合うトロコイド形状の内歯が形成されたリングギアと、を備え、前記電動モータの回転によって、前記リングギアの内部で前記遊星ピニオンギアが自転しながら公転することによって制御軸を回転させ、該制御軸の回転により、バルブスプリングのばね力に抗して開弁する機関弁のリフト中心の位相を可変にしてバルブタイミングを制御し、前記偏心カムと遊星ピニオンギア及びリングギアによって、前記制御軸に作用する交番トルクが前記偏心カムへ伝達されないように構成したことを特徴としている。
本発明の可変動弁装置の実施形態を示す要部分解斜視図である。 本実施形態に供される可変機構を示す斜視図である。 同可変機構の平面図である。 本実施形態に供されるアクチュエータの断面図ある。 同アクチュエータの斜視図である。 同アクチュエータの正面図である。 同アクチュエータのサイクロイド機構に偏心吸収手段を設けた状態を示す正面図である。 同アクチュエータのサイクロイド機構と偏心吸収手段の作用を示す正面図である。 Aは可変機構による小リフト制御時における閉弁状態を示す説明図、Bは同開弁状態を示す説明図である。 Aは可変機構による大リフト制御時における閉弁状態を示す説明図、Bは同開弁状態を示す説明図である。 バルブスプリングのばね力に起因して制御軸に伝達される交番トルクの波形特性図である。
以下、本発明に係る内燃機関の可変動弁装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。
この実施形態では、可変動弁装置を、従来と同じく、吸気弁側に適用したものであって、1気筒当たり2つの吸気弁を備え、かつ吸気弁のバルリフト量とリフト作動角を機関運転状態に応じて可変にするようになっている。
すなわち、この実施形態における可変動弁装置は、図1〜図4に示すようにシリンダヘッド1に図外のバルブガイドを介して摺動自在に設けられた一対の吸気弁2,2と、該各吸気弁2,2のバルブリフト量を可変制御する可変機構3と、該可変機構3の作動位置を制御する制御機構4と、該制御機構4を回転駆動するアクチュエータ5とを備えている。
前記吸気弁2,2は、図2に示すように、シリンダヘッド1の上端部内に収容されたほぼ円筒状のボアの底部とバルブステム上端部のスプリングリテーナとの間に弾装されたバルブスプリング6,6のばね力によって閉方向に付勢されている。
前記可変機構3は、機関前後方向に配置された内部中空状の駆動軸7と、各気筒毎に配置されて、前記駆動軸7の外周面に同軸上に回転自在に支持されたカムシャフト8と、前記駆動軸7の所定位置に固設された駆動カム9と、前記カムシャフト8の両端部に一体に設けられて、各吸気弁2,2の上端部に配設されたバルブリフター10、10に摺接して各吸気弁2,2を開作動させる一対の揺動カム11,11と、駆動カム9と揺動カム11,11との間に連係されて、駆動カム9の回転力を揺動カム11,11の揺動力(開弁力)として伝達する伝達機構とを備えている。
前記駆動軸7は、機関前後方向に沿って配置されて、両端部がシリンダヘッド1の上部に設けられた図外の軸受によって回転自在に軸支されていると共に、一端部に設けられた図外の従動スプロケットや該従動スプロケットに巻装されたタイミングチェーン等を介して機関のクランク軸から回転力が伝達されている。
前記各カムシャフト8は、駆動軸7の軸方向に沿ってほぼ円筒状に形成され、内部軸方向に前記駆動軸7の外周面に回転自在に支持される支軸孔が貫通形成されていると共に、中央位置に形成された円筒状のジャーナル部8aが前記軸受の上端部に一体的に設けられたカム軸受によって回転自在に軸支されている。
前記駆動カム9は、ほぼ円盤状に形成されて、図2に示すように、その一側部に固定用の筒状部9aが一体に設けられており、この筒状部9aが駆動軸7の軸方向の所定位置で固定用ピン12を介して駆動軸7の外周に一体的に固定されていると共に、外周面が偏心円のカムプロフィールに形成されて、軸心Yが駆動軸7の軸心Xから径方向へ所定量だけオフセットしている。
前記各揺動カム11は、図1〜図3に示すように、同一形状のほぼ雨滴状を呈し、基端部側がカムシャフト8を介して前記駆動軸7の軸心Xを中心として揺動するようになっていると共に、揺動カム11の下面にはカム面11aがそれぞれ形成されている。
また、揺動カム11の前記カムノーズ部11b側には、後述するリンクロッド15の他端部15bと連結するピン18が挿通されるピン孔が両側面方向へ貫通形成されている。
前記伝達機構は、図1〜図3に示すように、駆動軸7の上方に配置されたロッカアーム13と、該ロッカアーム13の一端部13aと駆動カム9とを連係するリンクアーム14と、ロッカアーム13の他端部13bと一方の揺動カム11のカムノーズ部11bとを連係するリンクロッド15とを備えている。
前記ロッカアーム13は、中央の筒状基部の内部に支持孔13cが横方向から貫通形成され、この支持孔13cを介して後述する制御カム20に揺動自在に支持されている。また、前記一端部13aは、先端部の側部にピン16が一体に突設されている一方、他端部13bは、先端部の内部にリンクロッド15の一端部15aと連結するピン17が嵌入するピン孔が形成されている。
前記リンクアーム14は、比較的大径な円環部14aと、該円環部14aの外周面所定位置に突設された突出端14bとを備え、円環部14aの中央位置には、前記駆動カム9の外周面に回転自在に嵌合する嵌合孔14cが形成されていると共に、突出端14bには、前記ピン16が回転自在に挿通するピン孔が貫通形成されている。
前記リンクロッド15は、プレス成形によって一体に形成され、中央部が横断面ほぼコ字形状に形成されており、内側がコンパクト化を図るために、ほぼく字形状に折曲形成されていると共に、両端部15a,15bが前記ロッカアーム13の他端部13bと揺動カム11のカムノーズ部11b側にそれぞれ前記各ピン17,18を介して回転自在に連結されている。
前記制御機構4は、図1〜図3に示すように、駆動軸7の上方位置に配置された制御軸19と、該制御軸19の外周に一体に固定されてロッカアーム13の揺動支点となる制御カム20とを備えている。
前記制御軸19は、駆動軸7と並行に機関前後方向に配設されていると共に、前記カムシャフト8と共用の前記軸受の上端に有するブラケットに回転自在に支持されている。一方、前記制御カム20は、円筒状を呈し、軸心位置が肉厚部の分だけ制御軸19の軸心から所定分αだけ偏倚している。
前記アクチュエータ5は、図1及び図4〜図7に示すように、シリンダヘッド1の後端部に固定されたハウジング21と、該ハウジング21の一端壁21aに固定された回転駆動源である電動モータ22と、ハウジング21の内部に設けられて電動モータ21の回転駆動力を前記制御軸19に伝達する減速機構であるサイクロイド機構23とから構成されている。
前記ハウジング21は、有蓋円筒状に形成されて、前記制御軸19の軸方向とほぼ同軸状に配置され、一端壁21aのほぼ中央に、電動モータ22の出力軸である駆動シャフト22aを回転支持するボールベアリング24を支持する支持孔21bが貫通形成されていると共に、外周の端部4個所にシリンダヘッド1の後端壁への固定用ボス部21cが一体に形成されている。また、上端部には内部へ潤滑油を導く潤滑油供給孔21dが形成されている。なお、前記シリンダヘッド1の後端壁1aには、ハウジング21内を潤滑した潤滑油を排出するドレン孔1bが形成されている。
前記電動モータ22は、比例型のDCモータによって構成され、モータケーシングの先端部が前記一端壁21aに複数のボルト25によって軸方向から固定されていると共に、機関の運転状態を検出する図外の電子コントローラ(ECU)からの制御信号によって駆動するようになっている。
この電子コントローラは、機関回転数を検出するクランク角センサや、吸入空気量を検出するエアーフローメータ、機関の水温を検出する水温センサ及び制御軸19の回転位置を検出するポテンショメータ等の各種のセンサからの検出信号をフィードバックして現在の機関運転状態を演算などにより検出して、前記電動モータ22に制御信号を出力している。
前記サイクロイド機構23は、電動モータ22の駆動シャフト22aに固定された偏心カム26と、中央に前記偏心カム26の外周面に摺動自在に嵌合する摺動孔27bを有する動力伝達部材である円環状の遊星ピニオンギア27と、前記ハウジング21の内部に複数のボルト29によって固定されて、内周側に前記遊星ピニオンギア27を公転及び自転させるように連係する非回転部材であるリングギア28と、前記遊星ピニオンギア27の偏心回動を同心回動に変換して回転を前記制御軸19に伝達する偏心吸収手段30とから構成されている。
前記偏心カム26は、図4及び図6〜図8に示すように、その中心Z1が駆動シャフト22aの軸心Zから所定量β偏心した位置で固定され、外周面がほぼ円形状に形成されている。
前記偏心カム26は、外形が偏心円形状に形成されて、中心から偏心した位置に前記駆動シャフト22aが貫通固定される固定孔26aが穿設されている。
前記遊星ピニオンギア27は、前記偏心カム26の外周面と前記摺動孔27bとの間に設けられたボールベアリング31によって前記偏心カム26に相対回転自在に支持されていると共に、外周面全体にトロコイド形状の外歯27aが形成されている。
前記リングギア28は、内周面の内径が遊星ピニオンギア27の外径よりも僅かに大きく設定されていると共に、該内周面に前記遊星ピニオンギア27の外歯27aと噛合するトロコイド形状の内歯28aが形成されており、この内歯28aの歯数が外歯27aの歯数より一枚多く形成されている。これによって、電動モータ22の回転速度を減速させるようになっている。
前記偏心吸収手段30は、図1、図4、図7に示すように、前記偏心カム26の前端面側と制御軸19の一端部19aに設けられた円筒大径部32との間に配置され、内部に前記制御軸19の一端部19aが遊嵌状態に挿通される円環部33と、該円環部33の外周面から直径方向に沿って外方へ一体に突設された一対の2面幅状の突起部34、34と、前記遊星ピニオンギア27の一端面の直径方向の180°位置に突設されて、前記両突起部34、34に嵌合しつつ長手方向へ摺動案内されて遊星ピニオンギア27を図7中、上下径方向への移動を許容する一対の二股状ガイド部35、35と、前記制御軸19の一端部19aに直径方向に貫通された固定用孔19bに挿通固定されたガイドピン36と、前記円環部33の両突起部34,34と直交する方向から貫通形成されて、前記ガイドピン36の両端部に摺動自在に挿入されて円環部33を、図7中、左右方向への移動を許容する摺動用孔37,37とから構成されている。
したがって、前記遊星ピニオンギア27は、図7及び図8に示すように、偏心回転すると、円環部33の各突起部34,34に沿って各ガイド部35,35が径方向へ摺動すると共に、円環部33がガイドピン36を介してさらに90°の径方向へ摺動することによって、遊星ピニオンギア27の偏心回転を許容しつつ円環部33を介して制御軸19に回転力が伝達される。つまり、遊星ピニオンギア27の偏心回転に伴う公転及び自転による回転力は、ガイド部35,35から突起部34,34を介して円環部33に伝達され、さらに摺動用孔37,37を介してガイドピン36に伝達されるが、このとき円環部33は、ガイドピン36上を径方向へ自由に移動して遊星ピニオンギア27の偏心回転を吸収しつつ、ガイドピン36に遊星ピニオンギア27の自転力を伝達して制御軸19を回転させるようになっている。
また、前記ハウジング21内部には、前述のように、潤滑油供給孔21dから潤滑油が供給されて、各ボールベアリング24、31や内外歯27a、28a間に充填されるようになっている。
以下、本実施形態の作用を説明すれば、まず、例えば、機関の低回転域では、この運転状態を検出したコントローラからの制御信号によって電動モータ22が回転駆動されて、偏心カム26が偏心回転すると、この偏心回転力によって遊星ピニオンギア27がリングギア28の内周側を噛合した内外歯27a、28aを介して逆方向へ偏心回転する。つまり、遊星ピニオンギア27は、駆動シャフト22aの回りを一方向へ自転しながら公転することになる。
これにより円環部33は、ガイド部35,35から各突起部34,34を介して減速された回転力を付与されながらガイドピン36を介して径方向へ自由に移動しながら遊星ピニオンギア27の偏心回転を吸収しつつ遊星ピニオンギア27の自転のみをガイドピン36を介して制御軸19に一方向の回転力を付与する。
したがって、制御軸19の一方向への回転に伴って制御カム20が、図9A、Bに示すように、軸心P2が制御軸19の軸心P1の回りを同一半径で回転して、肉厚部が駆動軸7から上方向に離間移動する。これにより、ロッカアーム13の他端部13bとリンクロッド15の枢支点は、駆動軸7に対して上方向へ移動し、このため、各揺動カム11は、リンクロッド15を介してカムノーズ部11b側が強制的に引き上げられる。
よって、駆動カム9が回転してリンクアーム14を介してロッカアーム13の一端部13aを押し上げると、そのバルブリフト量がリンクロッド15を介して揺動カム11及びバルブリフター10に伝達されるが、そのリフト量は充分小さくなる。
したがって、かかる機関の低回転領域では、バルブリフト量L1が最も小さくなることにより、各吸気弁2の開時期が遅くなり、排気弁とのバルブオーバラップが小さくなる。このため、燃費の向上と機関の安定した回転が得られる。
一方、機関が高回転領域に移行した場合は、これを検出したコントローラからの制御信号によって電動モータ22が逆回転して偏心カム26も同方向へ偏心回転すると、遊星ピニオンギア27もリングギア28の内周側を反対に偏心回転して、駆動シャフト22aの回りを他方向へ自転しながら公転することになる。
これにより円環部33は、ガイド部35,35から各突起部34,34を介して減速された回転力を付与されながら偏心方向へ、つまり径方向へ自由に移動しながら遊星ピニオンギア27の偏心回転を吸収しつつガイドピン36を介して制御軸19に他方向の回転力を付与する。
したがって、制御軸19は、制御カム20を図9に示す位置から時計方向へ回転させて、軸心P2が下方向へ移動する。このため、ロッカアーム13は、図10A、Bに示すように、今度は全体が駆動軸7方向に移動して他端部13bによって揺動カム11のカムノーズ部11bを、リンクロッド15を介して下方へ押圧して該揺動カム11全体を所定量だけ反時計方向へ回動させる。
したがって、揺動カム11のバルブリフター10の上面に対するカム面11aの当接位置が、カムノーズ部11b側(リフト部側)に移動する。このため、吸気弁2の開作動時に駆動カム9が回転してロッカアーム13の一端部13aをリンクアーム14を介して押し上げると、バルブリフター10に対するそのリフト量は十分に大きくなる。
よって、かかる高回転領域では、バルブリフト量L2が最大に大きくなり、各吸気弁2の開時期が早くなると共に、閉時期が遅くなる。この結果、吸気充填効率が向上し、十分な出力が確保できる。
そして、この実施形態によれば、バルブスプリング6,6のばね力などに起因して発生して前記制御軸19に伝達された交番トルクは、まず、ガイドピン36や円環部33及びガイド部35などの偏心吸収手段30を介して遊星ピニオンギア27に入力されるが、この遊星ピニオンギア27はリングギア28内で公転しながら自転するようになっている。すなわち、両ギアが同軸的に回転するのではなく、遊星ピニオンギア27がリングギア28の内周側を、いわば転がりながら偏心回転(公転)及び自転することから、リングギア28と噛合している部分での交番トルクの正負の回転方向での干渉が発生しない。
また、偏心カム26は、遊星ピニオンギア27の摺動孔27a内に相対回転自在に収容されていることから、従来のようなボール螺子伝達手段の各ボールとボール溝との噛み合い部における交番トルクによる干渉が発生しない。
この結果、制御軸19に交番トルクが作用しても、偏心カム26に伝達されることがない。よって、異音の発生を十分に抑制することが可能になると共に、電動モータ22の回転負荷の発生を防止することができる。
前記遊星ピニオンギア27の外周面に外歯27aが形成されていると共に、前記リングギア28の内周面に、前記外歯27aに噛合する内歯28aが形成されていることから、内外歯27a、28aを用いることによって、リングギア28に対する遊星ピニオンギア27の回転性が確実になる。しかも、互いの内外歯27a、28aを介して遊星ピニオンギア27が、前述のように、転がるようになっているので、各歯27a、28a間にバックラッシが存在しても互いのガタ付きを最小限に抑えることが可能になる。
さらに、各内歯28aと各外歯27aとの見かけ上の噛み合い領域を多くすることができるので、たとえ、バックラッシに起因するガタ付きが生じたとしても、該噛み合い部を分散させることができ、これによって異音の発生を防止することができる。
また、ハウジング21内の潤滑油によって各内外歯27a、28a間に常時潤滑油が供給されていることから、該各歯間27a、28aが十分に潤滑されることは勿論のこと、噛み合った内外歯27a、28a間での干渉ダンパー効果が得られるため、異音の発生をさらに防止することができる。
また、この実施形態では、偏心カム26と遊星ピニオンギア27との間に、ボールベアリング31を介装したことから、遊星ピニオンギア27と偏心カム26との間の摩擦抵抗の発生を抑制でき、常時円滑な回動が得られると共に、両者間でのガタ付きの発生も防止できる。
しかも、前記ボールベアリング31の各ボール転動部に潤滑油が充填されることから、潤滑性の向上と干渉ダンパー効果を得ることができる。
また、前記遊星ピニオンギア27の外歯27aとリングギア28の内歯28aを、インボリュート曲線のトロコイド形状とすることも可能であり、このような形状にすると、歯面同士の衝突をさらに防止することが可能になる。
さらに、この実施形態では、単にハウジング21内に設けられた偏心カム26や遊星ピニオンギア27及びリングギア28を用いた簡単な構造のサイクロイド機構を利用したため、装置全体の軽量化とコンパクト化が図れ、内燃機関への搭載性が良好になる。
また、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、回転駆動源としては、電動モータ22の他に、油圧モータなどであってもよく、また動力伝達部材と非回転部材との間に、内外歯27a、27aを設けずにそれぞれの内外周面を単純な円形状に形成することも可能であり、さらに動力伝達部材を、非回転部材内を複数のピンを介して公転及び自転させることも可能である。
さらに、各ベアリングをボールベアリングに代えてプレーンベアリングとすることも可能であり、さらに可変機構としては、制御軸19を回転させることによってバルブタイミングを可変制御するものやバルブリフト量のみを可変制御するものにも適用することができる。
また、偏心吸収手段30としては、前記実施形態に記載したもの以外に、オルダム継手や、複数の円形孔とそれに偏心可能に挿通される円柱突起によって構成することも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
(1)前記動力伝達部材の外歯と非回転部材の内歯との噛み合い部に、常時潤滑油を供給したことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。
この発明によれば、各内外歯間に供給された潤滑油によって、該各歯間が十分に潤滑されると共に、噛み合った内外歯間での干渉ダンパー効果が得られる。
(2)前記動力伝達部材の外歯と非回転部材の内歯を、それぞれトロコイド形状に形成したことを特徴とする請求項(1)に記載の内燃機関の可変動弁装置。
この発明によれば、各内外歯を、インボリュート曲線のトロコイド形状としたことによって、歯面同士の衝突をさらに防止することが可能になる。
(3)前記偏心カムの外周面と前記動力伝達部材の前記摺動孔との間に、ベアリングを介装したことを特徴とする請求項2〜(2)のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
この発明によれば、動力伝達部材と偏心カムとの間の摩擦抵抗の発生を抑制でき、常時円滑な回動が得られると共に、両者間でのガタ付きの発生も防止できる。
(4)前記ベアリングを、ボールベアリングによって形成すると共に、該ボールベアリングの各ボール転動部に潤滑油を充填したことを特徴とする請求項(3)に記載の内燃機関の可変動弁装置。
この発明によれば、前記請求項(3)の作用効果に加えて、潤滑油による潤滑性の向上と干渉ダンパー効果を得ることができる。
(5)前記可変機構は、機関運転状態に応じて前記機関弁のバルブリフト量を可変制御することを特徴とする請求項1〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
(6)前記可変機構は、機関運転状態に応じて前記機関弁のリフト中心の位相を可変制御することを特徴とする請求項1〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
(7)前記可変機構は、機関運転状態に応じて前記機関弁のバルブリフトとリフト作動角とを可変制御することを特徴とする請求項1〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
1…シリンダヘッド
2…吸気弁(機関弁)
3…可変機構
4…制御機構
5…アクチュエータ
6…バルブスプリング
21…ハウジング
22…電動モータ
23…サイクロイド機構
26…偏心カム
27…遊星ピニオンギア(動力伝達部材)
27a…外歯
27b…摺動孔
28…リングギア(非回転部材)
28a…内歯
30…偏心吸収手段
31…ボールベアリング

Claims (1)

  1. 機関運転状態に応じて回転する電動モータと、
    前記電動モータから回転力が入力されると共に、回転中心に対して中心が偏心して設けられた偏心カムと、
    中央に前記偏心カムを収容する摺動孔を有し、外周面全体にトロコイド形状の外歯が形成された遊星ピニオンギアと、
    前記偏心カムと摺動孔の間に設けられたボールベアリングと、
    内周に前記遊星ピニオンギアの外歯よりも歯数が多く、前記遊星ピニオンギアの外歯と噛み合うトロコイド形状の内歯が形成されたリングギアと、を備え、
    前記電動モータの回転によって、前記リングギアの内部で前記遊星ピニオンギアが自転しながら公転することによって制御軸を回転させ、該制御軸の回転により、バルブスプリングのばね力に抗して開弁する機関弁のリフト中心の位相を可変にしてバルブタイミングを制御し、
    前記偏心カムと遊星ピニオンギア及びリングギアによって、前記制御軸に作用する交番トルクが前記偏心カムへ伝達されないように構成したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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