JP2009041507A - 内燃機関 - Google Patents

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儀明 田中
Ryosuke Hiyoshi
亮介 日吉
Shinichi Takemura
信一 竹村
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Abstract

【課題】複リンク式のピストンクランク機構の潤滑性能を向上させる。
【解決手段】コントロールシャフト9の回転に伴う制御リンク7の揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変可能なピストンクランク機構14を備えた内燃機関において、駆動モータ20の駆動力をコントロールシャフト9に伝達する駆動力伝達機構部は、ウォーム20aとウォームホイール21とからなり、内燃機関の前壁25に取り付けられるフロントカバーと、内燃機関の前壁25との間に形成されるフロントカバー室に配置され、フロントカバー室は、シリンダヘッド26に形成された潤滑油通路と連通するよう構成されている。これによって、ピストンクランク機構14の複リンクの影響を受けることなく、シリンダヘッド26側から、駆動力伝達機構部に十分な潤滑油を供給することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、いわゆる複リンク式のピストンクランク機構を備えた内燃機関に関する。
本出願人による特許文献1には、ピストンにピストンピンを介して揺動可能に連結されたアッパーリンクと、このアッパーリンクに揺動可能に連結されるとともにクランクシャフトのクランクピン部に回転可能に連結されたロアリンクと、クランクシャフトの下方に位置し、気筒列方向に沿ってクランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、一端がロアリンクに揺動可能に連結されるとともに他端がコントロールシャフトに偏心して固定された回転カムに回転可能に嵌合するコントロールリンクと、コントロールシャフトに固定されたウォームホイールと、このウォームホイールに噛み合う駆動モータのウォームと、を有し、駆動モータによりコントロールシャフトを回転させ、コントロールリンクの他端の支持中心点を変位させることでピストンの圧縮上死点の位置を変位させる可変圧縮比機構が開示されている。
特開2005−69204号公報
しかしながら、いわゆる複リンク式のピストン−クランク構造となっている特許文献1の可変圧縮比機構においては、コントロールシャフトに固定されたウォームホイールと、このウォームホイールに噛み合う駆動モータのウォームとの噛合い部(ウォーム連結部)の位置がクランクシャフト下方に位置している点は開示されているが、上記ウォーム連結部のコントロールシャフトの長手方向に沿った位置は開示されていない。
すなわち、上記ウォーム連結部の位置が、コントロールシャフトの長手方向の中央近傍といったクランクケース内に設定されているような場合には、従来の単リンク式のいピストン−クランク構造と比較して、複リンク式のピストン−クランク構造となっているため、複リンク部品(アッパーリンク、ロアリンク、コントロールリンク等)によってピストン下面などから滴下する潤滑油が妨げられる。そのため、ピストン下面から滴下した潤滑油のうち、クランクシャフトの下方に位置する上記ウォーム連結部に到達して、このウォーム連結部を潤滑する潤滑油量が相対的に少なくなり、上記ウォーム連結部に潤滑油量が十分に供給できなくなる虞がある。つまり、上記ウォーム連結部の早期磨耗を招き、上記ウォーム連結部の耐久性が低下してしまう虞がある。
そこで、本発明は、ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、上記アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿って上記クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、一端が上記コントロールシャフトに揺動可能に連結され、他端が上記ロアリンクに連結される制御リンクと、このコントロールシャフトを所定角度範囲内で回転駆動するアクチュエータと、シリンダヘッド下方に位置し、上記コントロールシャフトと上記アクチュエータとの間に介装され上記アクチュエータの駆動力を上記コントロールシャフトに伝達する駆動力伝達機構部と、を有し、上記コントロールシャフトに対する上記制御リンクの揺動中心を上記コントロールシャフトの回転中心から偏心させ、上記コントロールシャフトの回転に伴う上記制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変可能なピストンクランク機構を備えた内燃機関であって、上記駆動力伝達機構部は、上記コントロールシャフトと一体の被駆動部材と、この被駆動部材に係合して上記アクチュエータの駆動力を上記コントロールシャフトに伝達する駆動部材と、を有する内燃機関において、上記駆動力伝達機構部は、内燃機関の前壁に取り付けられるフロントカバーと、上記内燃機関の前壁との間に形成されるフロントカバー室に配置され、上記フロントカバー室は、上記シリンダヘッドに形成された潤滑油通路と連通するよう構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、フロントカバーと、内燃機関の前壁との間に形成されるフロントカバー室に、駆動力伝達機構部が配置されているので、駆動力伝達機構部がクランクケース内に配置される場合と比較して、駆動力伝達機構部に対して相対的に潤沢に潤滑油量を確保でき、駆動部材と被駆動部材とが係合する部分の潤滑性能を大幅に向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、複リンク式のピストンクランク機構14を備えた本発明に係る内燃機関の全体構成図を示している。
シリンダブロック(内燃機関本体)1に形成されるシリンダ2内には、ピストン3が摺動可能に配設されている。このピストン3とシリンダヘッド等(図示せず)により、燃焼室4が画成されている。
ピストン3は、複数のリンクによって構成されるピストンクランク機構14の一端に取り付けられている。ピストンクランク機構14の他端には、アクチュエータとしての駆動モータ20が連携されており、駆動モータ20の作動により圧縮上死点におけるピストン3の位置の変更が可能である。以下、このピストンクランク機構14の構成について説明する。
ピストン3には、アッパーリンク5の一端がピストンピン10を介して揺動可能に連結されている。このアッパーリンク5の他端は、第1連結ピン11を介してロアリンク6に揺動可能に連結されている。このロアリンク6は、クランクシャフト8に取り付けられており、クランクピン13によりクランクシャフト8のジャーナル部8aの軸中心位置からオフセットした位置に回転可能に連結されている。
クランクシャフト8は、クランク軸受ブラケット(図示せず)によりシリンダブロック1に回転可能に支持されている。ロアリンク6には、制御リンク7の一端が第2連結ピン12を介して揺動可能に連結されている。制御リンク7の他端には、コントロールシャフト9に偏心して固定された円形の回転カム15が回転可能に嵌合している。
コントロールシャフト9は、クランクシャフト8と平行に気筒列方向に延在し、シリンダブロック1に回転可能に支持されている。コントロールシャフト9には、シリンダブロック1の下部に回転可能に支持された軸部16と、上述した回転カム15と、が一体に設けられている。そして、このコントロールシャフト9の前端には、図2に示すように、被駆動部材としてのウォームホイール21が固定(連結)されている。
ウォームホイール21は、外周に歯車が形成されており、この歯車が駆動モータ20の回転軸に固定(連結)された駆動部材としてのウォーム20aと噛合(係合)している。そして、駆動モータの回転は、ウォーム20aとウォームホイール21との間で所定量の減速比で減速された後、コントロールシャフト9に駆動トルク(駆動力)として伝達される。
駆動モータ20は、機関本体に取り付けられ、エンジン制御装置(図示せず)の回転信号により運転状態に応じたモータ回転をする。このモータ回転による回転角度は、駆動モータ20に取り付けられた角度センサ17の出力信号により算出される。
以上により、駆動モータ20を回転させることで、ウォーム20aと噛合するウォームホイール21が回転し、この回転が直接コントロールシャフト9に伝達され、コントロールシャフト9が所定角度範囲内で回転し、コントロールシャフト9に固定された回転カム15が偏心回転することにより、回転カム15の中心位置、すなわち制御リンク7の他端の支持中心位置が変位する。このため、制御リンク7によるロアリンク6及びアッパーリンク5の運動拘束条件が変化して、クランク角に対するピストン3のストローク行程が変化し、圧縮比(燃焼室4の容積)が変更される。
そして、この第1実施形態においては、駆動モータ20の駆動力をコントロールシャフト9に伝達する駆動力伝達機構部が、ウォーム20aとウォームホイール21とを有し、内燃機関の前壁25(後述の図6を参照)に取り付けられるフロントカバー(図示せず)と、この内燃機関の前壁25との間に形成されるフロントカバー室(図示せず)に配置されている。そして、このフロントカバー室は、シリンダヘッド26(後述の図6を参照)に形成された潤滑油通路(図示せず)と連通するよう構成されている。
ここで、図3に示す第1比較例のように、クランクケース内に駆動力伝達機構部を配置してもコントロールシャフト9を回転駆動させることは可能である。すなわち、コントロールシャフト9の軸部16と回転カム15との間隙であれば、クランクケース内のどの部位で連結を行っても、コントロールシャフト9の回転運動が可能である。
図3に示す第1比較例は、上述した第1実施形態と略同一構成となっているが、コントロールシャフト9の長手方向の略中央にウォームホイール21とウォーム20aが配置されている。尚、図3において、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図3における31は、シリンダブロック1の気筒間隔壁である。
ところで、複リンク式のピストンクランク機構では、上述したように、単リンク式のピストンクランク機構と比較して、クランクケース内での部品点数が大幅に増加するため、例えば、ピストン3下面や、各部ピン(第1連結ピン11、第2連結ピン12等)を潤滑した後の潤滑油の滴下量が相対的に少ない。つまり、図3に示す第1比較例のように、ウォームホイール21とウォーム20aからなる動力伝達部をクランクケース内に配置した場合には、クランクシャフト8の下方に位置するウォームホイール21とウォーム20aとの噛合い部に到達してこの噛合い部を潤滑する潤滑油が相対的に減少するため、この噛合い部に対する潤滑性能が十分ではない。
それに対して、上述した本発明の第1実施形態においては、フロントカバーと、内燃機関の前壁25との間に形成されるフロントカバー室に、ウォーム20aとウォームホイール21とが配置されているので、クランクケース内と比較して、相対的に潤沢に潤滑油量を確保でき、ウォームホイール21とウォーム20aとの噛合い部の潤滑性能を大幅に向上させることができる。
また、本発明の第1実施形態では、ウォーム20aとウォームホイール21とによって、駆動モータ20の回転運動を、並進運動を介さずに回転運動のままコントロールシャフト9に伝達しているが、例えば、アクチュエータの回転運動を並進運動に変換してコントロールシャフトに伝達してもコントロールシャフトを回転させることは可能である。
図4は、アクチュエータの回転運動を並進運動を介さずに回転運動のままコントロールシャフト9に伝達している場合(本発明の第1実施形態)と、アクチュエータの回転運動を並進運動に変換してコントロールシャフトに伝達している場合(第2比較例)と、におけるコントロールシャフト回転角度とアクチュエータ回転角度との相関関係を示す特性線図である。
ここで、図4中の特性線Aは上述した第1実施形態の特性線であり、特性線Bは、上述した第2比較例の特性線である。また、第2比較例は、本発明の第1実施形態の内燃機関における駆動力伝達機構部の構成のみを変更したものであり、それ以外の構成は本発明の第1実施形態の内燃機関と同一構成となっている。
第2比較例における駆動力伝達機構部は、駆動モータ20により所定角度範囲内で回転する第1回転部材(図示せず)と、一端が上記第1回転部材に螺合し、この第1回転部材の回転に伴い前後進(進退)運動する駆動部材としての操作軸(図示せず)と、コントロールシャフト9半径方向に突出する、コントロールシャフト9に設けられたアーム部(図示せず)と、このアーム部に設けられ、コントロールシャフト9半径方向に細長く延びるスリット(図示せず)と、上記操作軸の他端のピン支持孔に回転可能に支持され、上記スリットにスライド可能に係合するた連結ピン(図示せず)と、を有し、上記操作軸が駆動モータ20によって進退操作されると、上記連結ピンが上記スリット内をスライドしつつコントロールシャフト9を所定角度範囲内で回転させ、上記操作軸の前後進運動(並進運動)をコントロールシャフト9に所定角度範囲内の回転運動として伝達する。
図4に示すように、第2比較例では、上記操作軸の並進運動における並進量の設定範囲の上下限近傍に相当する駆動モータ20の回転角度、すなわち設定可能な圧縮比範囲の最高圧縮比付近と最低圧縮比付近において、上記操作軸の単位送り量(単位並進量)に相当する駆動モータ20の単位回転角度に対するコントロールシャフト9の単位回転角度が非線形の傾向を呈する。従って、第2比較例では、設定可能な圧縮比範囲の最高圧縮比付近と最低圧縮比付近においては、コントロールシャフト9の回転角度を基にしたフィードバック制御が非常に困難となっている。
それに対して本発明の第1実施形態では、駆動モータ20の単位回転角度に対するコントロールシャフト9の単位回転角度が、コントロールシャフト9の回転角度位置に関わらず、全域で線形特性を呈することができる。従って、ウォーム20aないしは、コントロールシャフト9の回転角度を基にしたフィードバック制御が著しく簡便になる。
また、上述した本発明に第1実施形態においては、駆動力伝達機構部を構成する駆動部材と被駆動部材が、ウォーム20aとウォームホイール21であり、ねじ表面の滑り割合、すなわちウォーム20aとウォームホイール21とが噛み合う部分の滑りの割合が、例えば平歯車の減速機構と比較して相対的に多いことから、駆動トルクの伝達仕事のうち、摩擦熱として放出される割合も多くなる。従って、ウォーム20aとウォームホイール21との噛合い部の潤滑状況は良好に保っておく必要がある。
そこで、図5に示す本発明の第2実施形態のように、駆動モータ20の駆動力をコントロールシャフト9に伝達する駆動力伝達機構部を、ウォーム20aとウォームホイール21ではなく、一対のハイポイドギヤ35、36で構成することも可能である。
この第2実施形態においては、コントロールシャフト9の前端に、被駆動部材としてのハイポイドギヤ35が固定(連結)されている。ハイポイドギヤ35は、一端面に歯車が形成されており、この歯車が駆動モータ20の回転軸に固定(連結)された駆動部材としてのハイポイドギヤ36と噛合(係合)している。ここで、ハイポイドギヤ35は、ハイポイドギヤ36よりも相対的に大きくなっており、ハイポイドギヤ35が大歯車、ハイポイドギヤ36が小歯車となっている。
ハイポイドギアは以前より、自動車の最終減速部(ディファレンシャル機構部)に採用されており、大トルクに対する実績が高いことが知られている。また、図2に示した第1実施形態と比較して、歯車表面での滑り割合が相対的に低いことから、摩擦熱の影響も若干簡便に扱うことができる。
図6は、上述した第1実施形態における内燃機関の前端部を模式的に示した説明図であり、上記フロントカバーを外した状態で内燃機関を前面視したものである。
クランクシャフト8のクランクスプロケット27と、吸排気弁のカムシャフト(図示せず)の前端に取り付けられたカムスプロケット28,28にはタイミングチェーン29が巻き掛けられ、図6において時計回りに回転するクランクシャフト8の回転に伴い、タイミングチェーン29も図6において時計回りに回転する。
そして、ウォーム20aとウォームホイール21からなる駆動力伝達機構部は、内燃機関の前面視で、クランクシャフト8を境に、カムシャフトを回転駆動するタイミングチェーン29がカムシャフトから下降する側に配置されている。
図6においてクランクシャフト8中心より右側、すなわちカムスプロケット28を駆動するタイミングチェーン29が下降する側では、タイミングチェーン29はシリンダヘッド26から滴下する潤滑油を振り落とす効果を発生する。
従って、駆動力伝達機構部を図6のように配置することで、シリンダヘッドから滴下する潤滑油を駆動力伝達機構部に効果的に供給することができる。尚、上述した第2実施形態においても、ハイポイドギヤ35,36からなる駆動力伝達機構部を、内燃機関の前面視で、クランクシャフト8を境に、カムシャフトを回転駆動するタイミングチェーン29がカムシャフトから下降する側に配置すれば、潤滑油を駆動力伝達機構部に効果的に供給することができる。
図7は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態は、上述した第1実施形態において、駆動力伝達機構部のウォーム20aとウォームホイール21とをコントロールシャフト9中心(軸心)よりも下方で連結(噛み合い)させると共に、上記フロントカバー室内に潤滑油を貯留する油溜め部40を形成し、ウォーム20aとウォームホイール21との噛合い部をこの油溜め部40に浸漬するように構成したものである。
ここで、図8に示す第3比較例は、上述した第3実施形態に対して、ウォーム20aとウォームホイール21とをコントロールシャフト9中心よりも上方で連結(噛み合い)させる構成として、ウォーム20aとウォームホイール21との噛合い部を上記フロントカバー室内に形成された油溜め部40に浸漬するよう構成したものである。この第3比較例においては、図7に示す本発明の第3実施形態と比較して油溜め部40が深底で、相対的に油溜め部40内の潤滑油の攪拌抵抗が増大することになり、駆動力伝達機構部の駆動損失も同時に大きくなる。
一方、上述した本発明の第3実施形態においては、ウォーム20aとウォームホイール21との噛合い部が潤滑油に没する構造としながら、その噛合い部は、コントロールシャフト9中心よりも下方に設けることで、ウォームホイール21の油溜め部40内の潤滑油への浸漬量が少なくなり、潤滑油の粘性によりウォームホイール21に作用する攪拌抵抗を最小限とし、駆動力伝達機構部の駆動損失を極力抑制することができる。また、ウォーム20aとウォームホイール21との噛合い部を、油溜め部40に浸漬することで、噛合い部から発生する放射音を、油の粘性によって減衰・低減することができる。
上記実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(1) ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、上記アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿って上記クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、一端が上記コントロールシャフトに揺動可能に連結され、他端が上記ロアリンクに連結される制御リンクと、このコントロールシャフトを所定角度範囲内で回転駆動するアクチュエータと、シリンダヘッド下方に位置し、上記コントロールシャフトと上記アクチュエータとの間に介装され上記アクチュエータの駆動力を上記コントロールシャフトに伝達する駆動力伝達機構部と、を有し、上記コントロールシャフトに対する上記制御リンクの揺動中心を上記コントロールシャフトの回転中心から偏心させ、上記コントロールシャフトの回転に伴う上記制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変可能なピストンクランク機構を備えた内燃機関であって、上記駆動力伝達機構部は、上記コントロールシャフトと一体の被駆動部材と、この被駆動部材に係合して上記アクチュエータの駆動力を上記コントロールシャフトに伝達する駆動部材と、を有する内燃機関において、上記駆動力伝達機構部は、内燃機関の前壁に取り付けられるフロントカバーと、上記内燃機関の前壁との間に形成されるフロントカバー室に配置され、上記フロントカバー室は、上記シリンダヘッドに形成された潤滑油通路と連通するよう構成されている。これによって、フロントカバーと、内燃機関の前壁との間に形成されるフロントカバー室に、駆動力伝達機構部が配置されているので、駆動力伝達機構部がクランクケース内に配置される場合と比較して、駆動力伝達機構部に対して相対的に潤沢に潤滑油量を確保でき、駆動部材と被駆動部材とが係合する部分の潤滑性能を大幅に向上させることができる。
また、別体の潤滑油供給装置を用いることなく、自然滴下する潤滑油を使用して、動力伝達機構部に十分な潤滑油を供給することができる。
(2) 上記(1)に記載の内燃機関において、上記アクチュエータは、回転運動を上記駆動部材に伝達するものであって、上記駆動力伝達機構部は、上記アクチュエータの回転運動を、並進運動を介さずに、回転運動のまま上記コントロールシャフトに回転トルクとして伝達する。これによって、駆動部材の回転角度に対する、被駆動部材の回転角度が稼動領域で線形特性となり、制御性を向上させることができる。
(3) 上記(1)または(2)に記載の内燃機関おいて、上記駆動力伝達機構部は、内燃機関の前面視で、上記クランクシャフトを境に、カムシャフトを回転駆動するタイミングチェーンが上記カムシャフトから下降する側に配置されている。タイミングチェーンが下降する側では、タイミングチェーンはシリンダヘッドから滴下する潤滑油を振り落とす効果を発生する。これによって、タイミングチェーンの下降側に駆動力伝達機構部を設置することで、タイミングチェーンの下降に伴い誘導された滴下潤滑油を効果的に駆動力伝達機構部に導くことができ、潤滑油を駆動力伝達機構部に効果的に供給することができる。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関において、上記駆動力伝達機構部は、具体的には、上記コントロールシャフトに一体的に連結されたウォームホイールと、上記アクチュエータに連結されたウォームとの組合せである。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関において、上記駆動力伝達機構部は、具体的には、上記コントロールシャフトに一体的に連結された相対的に大きなハイポイドギヤと、上記アクチュエータに連結された相対的に小さなハイポイドギヤとの組合せである。
(6) 上記(4)または(5)に記載の内燃機関において、上記フロントカバー室内には、シリンダヘッドより滴下する潤滑油を貯留しておく油溜め部が形成され、上記駆動力伝達機構部における被駆動部材と駆動部材との噛合い部は、上記油溜め部内に配置されている。これによって、被駆動部材と駆動部材との噛合い部から発生する放射音を、油の粘性によって減衰・低減することができる。
(7) 上記(6)に記載の内燃機関において、上記駆動力伝達機構部における被駆動部材と駆動部材との噛合い部は、上記コントロールシャフトの軸心よりも機関下方に配置されている。これによって、上記油溜め部内の潤滑油によって上記駆動部材に作用する攪拌抵抗を最小限とし、駆動力伝達機構部の駆動損失を極力抑制することができる。
本発明に係る内燃機関の全体構成図。 本発明に係る内燃機関の第1実施形態における駆動力伝達機構部を模式的に示した説明図。 第1比較例を模式的に示す説明図。 コントロールシャフト回転角度とアクチュエータ回転角度との相関関係を示す特性線図。 本発明に係る内燃機関の第2実施形態における駆動力伝達機構部を模式的に示した説明図。 本発明に係る内燃機関の前端部を模式的に示した説明図。 発明に係る内燃機関の第3実施形態の要部を模式的に示した説明図。 第3比較例を模式的に示す説明図。
符号の説明
9…コントロールシャフト
15…回転カム
16…軸部
20…駆動モータ
20a…ウォーム
21…ウォームホイール

Claims (7)

  1. ピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、上記アッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとに連結されるロアリンクと、気筒列方向に沿って上記クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、一端が上記コントロールシャフトに揺動可能に連結され、他端が上記ロアリンクに連結される制御リンクと、このコントロールシャフトを所定角度範囲内で回転駆動するアクチュエータと、シリンダヘッド下方に位置し、上記コントロールシャフトと上記アクチュエータとの間に介装され上記アクチュエータの駆動力を上記コントロールシャフトに伝達する駆動力伝達機構部と、を有し、上記コントロールシャフトに対する上記制御リンクの揺動中心を上記コントロールシャフトの回転中心から偏心させ、上記コントロールシャフトの回転に伴う上記制御リンクの揺動中心位置の相対的な位置変化により機関圧縮比を可変可能なピストンクランク機構を備えた内燃機関であって、
    上記駆動力伝達機構部は、上記コントロールシャフトと一体の被駆動部材と、この被駆動部材に係合して上記アクチュエータの駆動力を上記コントロールシャフトに伝達する駆動部材と、を有する内燃機関において、
    上記駆動力伝達機構部は、内燃機関の前壁に取り付けられるフロントカバーと、上記内燃機関の前壁との間に形成されるフロントカバー室に配置され、
    上記フロントカバー室は、上記シリンダヘッドに形成された潤滑油通路と連通するよう構成されていることを特徴とする内燃機関。
  2. 上記アクチュエータは、回転運動を上記駆動部材に伝達するものであって、上記駆動力伝達機構部は、上記アクチュエータの回転運動を、並進運動を介さずに、回転運動のまま上記コントロールシャフトに回転トルクとして伝達することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 上記駆動力伝達機構部は、内燃機関の前面視で、上記クランクシャフトを境に、カムシャフトを回転駆動するタイミングチェーンが上記カムシャフトから下降する側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
  4. 上記駆動力伝達機構部は、上記コントロールシャフトに一体的に連結されたウォームホイールと、上記アクチュエータに連結されたウォームとの組合せであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関。
  5. 上記駆動力伝達機構部は、上記コントロールシャフトに一体的に連結された相対的に大きなハイポイドギヤと、上記アクチュエータに連結された相対的に小さなハイポイドギヤとの組合せであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関。
  6. 上記フロントカバー室内には、シリンダヘッドより滴下する潤滑油を貯留しておく油溜め部が形成され、上記駆動力伝達機構部における被駆動部材と駆動部材との噛合い部は、上記油溜め部内に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の内燃機関。
  7. 上記駆動力伝達機構部における被駆動部材と駆動部材との噛合い部は、上記コントロールシャフトの軸心よりも機関下方に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関。
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WO2013122380A1 (ko) * 2012-02-14 2013-08-22 Maeng Ho Jae 압축비 가변장치
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US8667934B1 (en) * 2012-12-21 2014-03-11 Hyundai Motor Company Engine having compression ratio variable device

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