JP2010148504A - ホンシメジの菌床栽培方法 - Google Patents

ホンシメジの菌床栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大規模な商業栽培においてホンシメジの安定生産を可能にするホンシメジの菌床栽培方法を提供すること。
【解決手段】ホンシメジの菌床栽培方法において、CO高濃度の環境条件下で芽出し工程及び/又は子実体の生育工程を行うことを特徴とするホンシメジの菌床栽培方法を提供する。CO高濃度の環境条件下とは、芽出し工程のCO濃度は2500ppm以上、子実体の生育工程のCO濃度は5000ppm以上が例示される。本発明により、ホンシメジの菌床栽培において幼子実体の形成率が向上することから、大規模な商業栽培においてホンシメジの安定生産が可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)の菌床栽培方法に関する。
ホンシメジは10月中ごろにコナラ林又はコナラ・アカマツ混生林の地上に発生するきのこであり、「香りマツタケ味シメジ」と称されているように、マツタケと並んで日本における食用きのこの中で最高級きのことされている。近年、エノキタケ、ヒラタケ、ナメコ、ブナシメジ、マイタケ等の食用きのこは主としてオガクズと米糠・フスマなどの栄養源を混合した培養基を用いて人工的に栽培を行う菌床栽培方法が確立され、1年を通じて季節に関わり無く安定してきのこが収穫できるようになっている。ホンシメジも極めて美味なきのこであるため、人工的に栽培する方法の確立が望まれているが、前述のエノキタケ等が木材腐朽菌であるのに対し、ホンシメジは菌根菌であるため人工的な菌床栽培は困難であるとされていた。
このホンシメジの人工的な菌床栽培に滋賀県森林センターの太田が初めて成功した。特許文献1では麦類を用いたホンシメジの菌床栽培方法が、非特許文献1では麦類を用いた培地でのホンシメジ子実体の発生実験が開示されている。
また、特許文献2ではピートモスを基材とし、デンプン等を添加した培養基による菌根菌の菌糸培養方法が開示されており、同発明者らは非特許文献2でピートモスを基材とし、デンプン等を添加した培養基でのホンシメジの子実体発生実験を報告している。
しかし、特許文献1の方法では培地に使用する麦類が高価なため培地コストが高くなる。また、特許文献2の発明者らの方法では発生した子実体の収量が低く、いまだ商業生産レベルには至っていない。
近年、ホンシメジの商業栽培を目的としたホンシメジの栽培方法が種々開示されてきている。特許文献3ではキビ亜科植物を含有することを特徴とするホンシメジの菌床栽培用培養基及び当該培養基を用いたホンシメジの栽培方法が開示されている。また、特許文献4では少なくともトウモロコシ粉と広葉樹のオガクズを含有する混合培地を調製し、該混合培地を水湿潤状態においてホンシメジの菌糸を接種し、30℃以下の温度で培養することにより、子実体を発生させることを特徴とするホンシメジの菌床栽培方法が開示されている。
特許文献5ではホンシメジの栽培方法において、水湿潤状態においてホンシメジの菌糸を接種し、培養することにより子実体を発生可能な培地に対して、粉砕した牡蠣殻を添加混合し、かつ、培地のpHが7を超えない範囲に調整することを特徴とするホンシメジの菌床栽培方法が開示されている。
特許文献6では培地としてトウモロコシ及びオガクズを含有する培地に少量の麦類及び/又は米類を添加混合し調製した混合培地を使用し、該混合培地を水湿潤状態においてホンシメジを接種培養後、子実体を発生させることを特徴とするホンシメジの菌床栽培方法が開示されている。
特許文献1では、その実施例において、ホンシメジ菌株を23℃で70日間培養後、温度を15℃に下げ、子実体原基が形成されるかどうかを調べている。またピートで培地表面を覆うことにより、子実体形成率を上昇させている。また非特許文献1では、22℃の培養工程で菌糸が蔓延したとき、ピートを培地上に厚さが1cmになるように加え、その後更に2週間培養し、培養終了後15℃の発生室に移し、子実体を発生させている。
非特許文献2では、ホンシメジ菌株を培養基に接種後、23℃で培養・熟成後、16℃の発生室で発生操作を行い、その13〜15日目に子実体原基の形成を認めている。
特許文献3では、ビン栽培方法として、培地調製、ビン詰め、殺菌、接種、培養、芽出し、生育、収穫の各工程が開示されており、培養後の芽出し工程において子実体原基を形成させている。またその実施例では芽出し工程を赤玉土被覆下で行っている。
特許文献4では、その実施例において、ホンシメジ菌株を23℃で60日間培養後、鹿沼土で培地上面を被覆して、更に7日間培養した後、15℃の発生室に移し子実体の発生を促している。
特許文献5では、その実施例において、ホンシメジ菌株を23℃で70日間栽培後、15℃の発生室に移し、小さな子実体が現れたときにキャップを取り除き、子実体の傘が開くまで成長した段階で収穫している。
特許文献6では、その実施例において、ホンシメジ菌株を23℃で55日間培養後、鹿沼土で培地上面を被覆し、更に10日間培養した後、15℃の発生室に移して子実体の発生を促している。
特開平07−115844号公報 特開平06−153695号公報 特開2000−106752号公報 特開2002−247917号公報 特開2005−27585号公報 特開2007−54044号公報
日本菌学会報、第39巻、第13〜20頁,1998年 日本菌学会報、第35巻、第192〜195頁,1994年
本発明者らは、前記特許文献3に開示の技術をもとにホンシメジの商業栽培を開始しているが、大規模な商業栽培に際しては生産の安定化が必要で有り、更なる技術の開発が望まれている。
すなわち、本発明の目的は、上記の現状にかんがみ、大規模な商業栽培においてホンシメジの安定生産を可能にするホンシメジの菌床栽培方法を提供することにある。
ホンシメジの菌床栽培方法において、通常、菌糸の培養から子実体形成まで通気性をよくする必要があるとされてきた(非特許文献1)。本発明者らは、ホンシメジ菌床栽培に影響を与える諸因子ごとに栽培研究を行い、大規模な商業栽培への影響を鋭意検討してきた。その結果、驚くべきことに、ホンシメジの菌床栽培方法における芽出し工程において、通気性をよくするのではなく、逆にCO濃度を高くすることにより、従来に比べて芽(幼子実体)の形成率が高くなることを見出した。更に子実体の生育工程においてもCO濃度を高くすることにより、子実体の収量が増加し、ホンシメジ特有の大型の子実体とした場合でも、従来制御が困難であった柄の部分の空洞が減少するもしくは無くなること、更には傘の開きが抑えられることを見出し、良質の大型子実体栽培に適した本発明を完成させた。
すなわち、本発明を概説すれば、
[1]ホンシメジの菌床栽培方法において、芽出し工程及び/又は子実体の生育工程の一部又は全部をCO高濃度の環境条件下で行うことを特徴とするホンシメジの菌床栽培方法、
[2]芽出し工程のCO濃度が2500ppm以上である[1]の栽培方法、
[3]子実体の生育工程のCO濃度が5000ppm以上である[1]の栽培方法、
[4]芽出し工程の少なくとも1日間、CO高濃度の環境条件下とすることを特徴とする[1]の栽培方法、
[5]子実体の生育工程の少なくとも2日間、CO高濃度の環境条件下とすることを特徴とする[1]の栽培方法、
に関する。
本発明により、大規模な商業栽培においてホンシメジの安定生産を可能にするホンシメジの菌床栽培方法が提供される。本発明を利用することにより、大型で形状の優れたホンシメジ子実体を安定して得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本明細書において、ホンシメジとは分類学上、Lyophyllum shimejiに分類されるものをいう。
本発明に使用されるホンシメジの菌株については、特に限定はなく、市販の菌株、野生の子実体からの組織分離株、選抜、交配、細胞融合又は遺伝子組換え等の方法により育種した菌株で、かつ人工的な菌床栽培が可能な菌株であればよい。例えば、Lyophyllum shimeji La 01−27(FERM BP−10960)、Lyophyllum shimeji La 01−20(FERM BP−10959)、Lyophyllum shimeji La 01−37(FERM P−17456)、Lyophyllum shimeji La 01−45(FERM P−17457)、Lyophyllum shimeji La 01−46(FERM P−17458)及び栽培に適したこれらの変異株が例示される。
菌床栽培が可能な菌株で、本発明に適用できる菌株であれば、上記菌株に何ら限定されるものではない。
本発明のホンシメジの菌床栽培方法としては、CO高濃度の環境条件下で菌床栽培が可能であれば特に限定はなく、ビン栽培、袋栽培、箱栽培などを適用することができる。
以下、一例としてビン栽培による本発明のホンシメジの菌床栽培方法について述べると、その方法とは培地調製、ビン詰め、殺菌、接種、培養、(必要に応じて菌掻き工程:培養基表面の種菌部分と培養基表面部分を掻き取り、子実体原基形成を促す工程)、原基形成、芽出し(幼子実体の形成及び育成)、必要に応じてさし芽(幼子実体)の単離ならびに移植、幼子実体から成熟子実体への生育、成熟子実体の収穫等の各工程からなる。次にこれらを具体的に説明するが、本発明はこの説明の内容に限定されるものではない。
「培地調製」とは、菌床栽培に用いる各種基材を計量、かくはんし、加水してホンシメジの菌床栽培に適した水湿潤状態になるよう水分調整するまでの工程をいう。本発明に用いるホンシメジの菌床栽培用培養基(培地ともいう)に限定はなく、栽培に使用できるものであれば良いが、トウモロコシ類とオガクズの組合せが好適である。オガクズとしては、広葉樹由来もしくは針葉樹由来のいずれのオガクズも使用でき、好適には針葉樹由来のオガクズ、例えばスギ由来のオガクズ(スギオガ)が例示される。なお、本願明細書において、トウモロコシ類としては、トウモロコシの実を含有するものであれば特に限定はなく、例えばトウモロコシの実の新鮮物、実の乾燥物、粉砕物、圧ペン物、加熱圧ペン物が例示される。
トウモロコシ類と針葉樹由来のオガクズの混合比率を、例として加熱圧ペントウモロコシとスギ由来のオガクズ(スギオガ)の場合で説明する。トウモロコシ類と針葉樹由来のオガクズの混合比率は、ホンシメジの栽培できる比率であれば良い。高収量を実現させる観点からは、加熱圧ペントウモロコシ含量の下限は、その乾燥重量比で菌床栽培用培養基中の40%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上である。40%未満になると得られるホンシメジの収量が著しく下がり、好ましくない。また、加熱圧ペントウモロコシは吸水性が低いことから、菌床栽培用培養基中の含量が高くなりすぎると菌床栽培用培養基の水分保持力が下がり、培養ビン下部に水が滞留するので、菌廻り不良につながることがある。すなわち、加熱圧ペントウモロコシ含量の上限は、その乾燥重量比で菌床栽培用培養基中の80%以下、好ましくは75%以下、更に好ましくは70%以下である。
また、菌床栽培用培養基の水分含量についても、加熱圧ペントウモロコシとスギオガの場合で説明する。菌床栽培用培養基の水分含量は、当業者の常識に従って、培養ビン下部に水が滞留しない程度に調整することが好適である。水分含量は、特に限定はないが、例えば68重量%以下、好適には66重量%以下である。ただし、水分含量が64重量%を超える場合は、培地中の空隙が減少して菌廻り不良が起こる場合があるので、得られる子実体の収量及び品質が低下することがある。従って、水分含量は、64重量%以下に調整することが更に好ましい。なお、水分含量が低すぎても、培地の乾燥等の影響により、菌廻り不良や子実体の奇形、発生不良が起こる。すなわち、水分含量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上に水分含量が調整される。これらの水分含量については、水分調整した培地性状を見て、適宜設定することができる。
「ビン詰め」とは、菌床栽培用培養基をビンに詰める工程である。具体的には、通常400〜2300mL容のビン栽培に用いる耐熱性広口培養ビンに、調製した菌床栽培用培養基、例えば1100mLビンの場合は550〜900g、好ましくは600〜850g、より好ましくは650〜750g圧詰し、さらに圧詰した菌床栽培用培養基に口径1〜3cm程度の穴(孔ともいう)を1ないし複数個開け、打栓する工程をいう。1ビンあたりの穴の数は、ビン口の大きさに応じて適宜設定できるが、例えば圧詰した菌床栽培用培養基の表面部位の中心部に口径1.5〜2.0cm、そのまわりに口径1cmの4つの穴を開けることで、より好適にホンシメジの培養が可能である。
「殺菌」とは、培地中のすべての微生物を死滅させる工程であれば良い。通常蒸気による常圧殺菌では98〜100℃、4〜12時間、高圧殺菌では101〜125℃、好ましくは118℃、30〜90分間行われる。このようにして製造された培地を、本発明において栽培用培地と称することがある。
「接種」とは、殺菌後放冷させた培地に種菌を植え付ける工程である。通常、種菌としてホンシメジ菌糸を液体培地で培養した液体種菌が使用される。液体種菌の製造に用いられる培地としては、特に限定はないが、グルコース、ペプトン、酵母エキスを主成分とし、KHPO、MgSO/7HO等を添加したPGY液体培地もしくは1/2PGY液体培地や、グルコース、酵母エキスを主成分するGY培地、1/2GY培地等が例示される。当該培地にホンシメジ菌糸を接種し、例えば、25℃、10〜15日間培養したものを液体種菌として用いることができる。液体種菌の培養は、フラスコやジャーファーメンター等を用いて実施することができる。大規模な栽培を行うための液体種菌を培養する場合は、より容量が大きく培養日数を短縮できる観点から、ジャーファーメンターが好適である。栽培用培地への種菌接種に用いられる液体種菌の菌体濃度としては、特に限定はないが、乾燥菌体濃度で0.1〜10g/L、好適には1〜7g/L、特に好適には2〜5g/Lが例示される。また液体種菌の接種量としては、例えば1100mLの広口培養ビンの1ビンあたり、約5〜30mLが例示される。また、公知の固体種菌を使用することもできる。例えば、ここまで説明した工程で得られる液体種菌接種済みの菌床栽培用培養基を25℃で60〜150日間培養し、菌廻りしたものを固体種菌として用いることができる。この固体種菌は、例えば1100mLの広口培養ビンの1ビンあたり、15gほどを無菌的に植え付ける。
「培養」とは、種菌を接種した培地を培養する工程であり、菌糸の伸長及び蔓延、熟成を行わせる。通常、種菌を接種した菌床栽培用培養基にて温度20〜25℃、湿度50〜80%において菌糸を蔓延させ、更に熟成させる。なお、熟成は省くこともできる。培養工程は、培養基の容量により適宜設定でき、1100mLビンを用いた培養の場合は通常80〜120日間、好ましくは100日間前後行われる。培養工程は培養前期工程及び培養後期工程に分けて工程管理してもよく、菌糸の伸長の盛んな培養後期においてやや温度を低めにして管理すればよい。この場合、前期培養工程は75〜85日、後期培養工程は25〜35日で終了する。
「原基形成」とは、ホンシメジの子実体原基を形成させる工程である。培養工程終了後に、19〜22℃、好ましくは20℃前後、湿度60〜80%、照度1000ルクス以下の照明の環境下に培養物を移し、ビンのキャップを外して子実体原基形成を行わせればよい。原基形成工程は10〜20日間を要する。また、前記培養後期工程において、例えば積算照度20ルクス時間以上の光照射等を行うことにより菌座(栽培用培地上部の表面部位)に子実体原基を形成させてもよい。
「芽出し」とは、子実体原基から芽(幼子実体:子実体原基から分化した原基の先端部に灰白色の菌傘が形成されるようになった状態)を形成させる、及び必要に応じて芽(幼子実体)の成長を促す工程である。芽出し工程は、通常10〜20℃、好ましくは15℃前後、湿度80%以上、好ましくは100%を超える高加湿条件下、照度1000ルクス以下の照明下で5〜15日間行う。芽出し工程中は加湿で結露水が発生しやすいため、濡れを防ぐ目的で菌床面を有孔ポリシートや波板等で覆うか、又は培養ビンを反転して培養してもよい。また、幼子実体の成長を促すため、必要に応じて適当な覆土材で菌床面を覆土してもよい。
以下に説明する「さし芽」とは、芽出し工程で得られた幼子実体を成熟子実体形成のための菌床栽培用培地に移植する作業に用いる単離された幼子実体である。大型子実体の作製や子実体の形態の均一化が望まれる場合にはさし芽の単離及びさし芽の移植工程が実施される。
「さし芽の単離」とは、芽出し工程で生育した幼子実体を単離する工程をいう。さし芽の単離は、品種に応じて最も適切な方法を選択すればよい。例えば、単離しやすい幼子実体であれば、菌床から手やピンセットで採取してもよく、単離しがたい幼子実体であればメス、包丁、スパーテル等の任意の器具を使用して所望の幼子実体を単離・採取すればよい。
「さし芽の移植」とは、さし芽の単離工程で得られたさし芽を、子実体を生育させたい培地の任意の位置に移植する工程である。
さし芽を移植する培地としては、さし芽の単離に使用した培地(さし芽単離後の培地)であってもよく、また当該培地とは別に製造したきのこの菌糸が蔓延した培地、例えば培養工程中の培地、芽出し工程中の培地であっても良い。また、これらの培地にさし芽を移植して成熟子実体を得た後の培地も再度使用することが可能である。培養工程中の培地としては菌糸が蔓延した直後のものから熟成が完了したものまでいずれのものも使用することが可能であるが、好ましくは70日以上、より好ましくは80〜120日間の培養工程を経た培養物である。また芽出し工程中の培地としては芽出し開始直後のものから芽出しが完了したものまでいずれのものでも使用することが可能である。移植される側の培地に子実体原基、幼子実体等が形成されている場合は、それらの子実体原基、幼子実体等をいったん取り除いたうえで、さし芽として使用する幼子実体を所望の位置に移植することができる。なお取り除かれた幼子実体は移植に用いるさし芽として使用することが可能である。
移植の方法は移植されたさし芽が菌床上の菌糸と融合・成長するような方法であれば特に限定はない。また、さし芽は培地面の任意の位置に移植することが可能である。例えば培養工程の前や芽出し工程の前に菌床上に形成された孔部、例えば、植菌孔、通気孔等にかん合、すなわちはめ合わせることが好適である。また、さし芽工程の前に新たに孔を開け、そこに差し込んでもよい。これらの孔の口径はさし芽がかん合する口径であればよく特に限定はないが、通常2〜20mm、好ましくは4〜10mmの直径であればよい。培養基上の1つの孔に対し1本のさし芽、たとえば幼子実体を移植・生育せしめることで株状にならず1本1本が独立した大型で形状の良い子実体を製造することができる。なお1つの孔に対し数本の幼子実体を移植してもよい。その際は各子実体の根元が癒着し、株状となるが、癒着する部分は子実体の根部のごく一部に限られるため、簡単に1本ずつ分けることができ、1つの孔に対し1本の幼子実体を移植して得られる子実体と同様の1本1本が独立した大型で形状の良い成熟子実体を得ることができる。また、さし芽として使用される子実体の大きさを分類し、同程度の大きさのさし芽を培地に移植し、栽培管理することで、大きさの揃った成熟子実体を得ることが可能である。
なお、さし芽、例えば幼子実体を孔への移植、例えば挿入する際には、幼子実体が直立し、かつ幼子実体の一部が培地に接触するように挿入するのが好適である。
「幼子実体から成熟子実体への生育」とは、通常、照度が2000ルクス以下であること以外は芽出し工程とほぼ同じ条件で5〜15日間行う工程である(本明細書において、単に生育工程と記載する場合がある)。幼子実体から成熟子実体への生育工程では結露水による濡れの影響を受けにくいので、有孔ポリシートや波板等の被覆は施さないほうが好ましい。
幼子実体の成熟子実体への生育工程において、前述の芽出し工程後に、菌座中心部の芽(幼子実体)以外の芽、すなわち菌座の外縁(ビン淵部)の芽を取り除き、生育工程を行うことで、安定してビンの中心部に株化(多本立ち)成熟子実体を得ることができる。なお、菌座中心部の芽以外の芽を取り除く場合、ビン淵部に沿って機械的に取り除くことができる。これらの処理後に生育を行うことにより、効率よく、株化成熟子実体に生育することができる。
また、芽の選別工程、例えば前述の芽出し工程や、幼子実体から成熟子実体への生育工程の初期(5日目まで)に、培地表面上に生えた芽のうち成熟子実体に成長させたい数本の芽を選抜しその他の芽を取り去る工程を加えることで、一本立ちした商品価値の高いホンシメジ大型子実体を得ることができる。なお芽の選別工程においては、ビン淵部の芽摘みをビン淵部に沿って機械的に行ってもよく、そのとき必要に応じ菌座中央部に形成された芽も機械的に芽摘みをしてもよい。これらの処理後に生育に適した子実体(幼子実体)以外を更に芽摘みし、残された幼子実体を選抜育種することにより、効率よく、形状のよい大型のホンシメジ子実体を生育させることができる。
本発明は、上記記載の芽出し工程及び/又は幼子実体の成熟子実体への生育工程(以下、子実体の生育工程と記載)の一部又は全部をCO高濃度の環境条件下で行うことにより実施される。CO高濃度の環境条件下とは、CO濃度が2500ppm以上、好ましくは5000ppm以上、更に好ましくは5000〜35000ppmの範囲内、また更に好ましくは10000〜20000ppmの範囲内である環境条件のことをいう。更に好適には、芽出し工程におけるCO濃度は、2500ppm以上、好ましくは5000ppm以上、更に好ましくは5000〜35000ppmの範囲内、また更に好ましくは10000〜20000ppmの範囲内である。子実体の生育工程におけるCO濃度は、5000ppm以上、好ましくは5000〜35000ppmの範囲内、更に好ましくは7000〜20000ppmの範囲内、また更に好ましくは7000〜8000ppmの範囲内である。また、芽出し工程又は子実体の生育工程のいずれかの工程のみを上記環境条件下としてもよく、両工程を上記環境条件下としてもよい。なお、前記のCO高濃度の環境条件は一定のCO濃度の条件を意味するものではなく、前記の範囲内においてCO濃度を変化させた条件を包含する。CO濃度を高濃度とする方法は、CO濃度を高濃度に維持できる方法であれば特に限定はなく、芽出し工程及び/又は子実体の生育工程を行う場所(部屋)の換気を制御することによりCO濃度を調整してもよく、またCO源、例えばCOガスやドライアイス等と換気を用いて当該場所のCO濃度を調整してもよい。芽出し工程においては用いる培養ビンのフタによりCO濃度を調整してもよい。例えば、培養工程後、芽出し工程に入る前に培養ビンのフタの通気部分を一部又は全体を塞いでもよく、また通気性の低いフタに交換してもよい。
CO高濃度の環境条件下とする期間について、芽出し工程においては、芽出し工程の少なくとも1日間、好適には1〜10日間、更に好適には3〜6日間、上記環境条件下で行うことが挙げられる。また、芽出し工程中のCO高濃度の環境条件下とする時期については特に限定はないが、芽出し工程の開始より行うことが好ましい。CO高濃度の環境条件下での芽出し工程後に、通常のCO濃度(約1000ppm以下)の環境条件下で1〜3日間芽出し工程を継続してもよい。子実体の生育工程においてCO高濃度の環境条件下とする期間は、子実体の生育工程の少なくとも2日間、好適には3〜5日間である。また、子実体の生育工程中のCO高濃度の環境条件下とする時期については特に限定はないが、子実体の生育工程の開始より行うことが好ましい。CO高濃度の環境条件下での子実体の生育工程後、通常のCO濃度(約5000ppm未満)で子実体の生育工程を継続し、成熟子実体への生育を行う。
以上の工程により成熟子実体を得ることができ、収穫を行って栽培の全工程を終了する。以上、本発明をビン栽培方法により説明したが、本発明はホンシメジの菌床栽培に適用できるものであり、上記ビン栽培に限定されるものではない。
本願明細書において、湿度が100%を超える高加湿条件とは、飽和水蒸気量以上に加湿を行い、水が霧として漂う状態を指す。本願明細書では、このような高加湿状態を数値化するために、測定に(株)鷺宮製作所製の装置(商品名:ヒューミアイ100)を用いた。該装置は、空気中の水分を加熱によって下げ、湿度センサーで検出後、加熱による低下分を補正する方法を用いている。このため、本装置が示す数値は、100%以下では、相対湿度と同じであるが、100%を超えると、空気中に含まれる水分量を水蒸気に換算して飽和水蒸気量との比で現した数値となる。なお、加湿を行う方法は、超音波加湿器、蒸気式加湿器、噴霧式加湿器などの加湿器を用いるのが簡便である。
本発明により、芽(幼子実体)形成率が向上するホンシメジの菌床栽培方法が提供される。本発明により幼子実体形成率が顕著に安定して向上することから、ホンシメジの商業的栽培において、その安定生産が可能になる。また幼子実体形成率が向上することにより、安定した株化(多本立ち)ホンシメジの生産が可能になる。さし芽の単離及び移植工程を組合わせて大型ホンシメジを生産する場合、本発明により安定的に優良なさし芽を大量に得ることが可能となる。また、芽摘み工程を組合わせて大型ホンシメジを生産する場合、本発明により多数の芽が生じることで、子実体を形成させるのに好適な部位である培養ビンの中央部付近に芽を安定して残すことが可能となり、大型ホンシメジの育成に適した培地位置での、優良な芽の育成、選抜がきわめて容易になる。これらにより、歩留まりが向上した、安定したホンシメジ子実体の栽培が可能となる。また、本発明により成熟子実体において、傘開きが抑制されることから、商品価値の高い形状のホンシメジを生産することが可能となる。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
実施例1
PGY液体培地(組成:グルコース2.0%(w/v)、ペプトン0.2%(w/v)、酵母エキス0.2%(w/v)、KHPO0.05%(w/v)、MgSO・7HO0.05%(w/v))100mLにLyophyllum shimeji La 01−27株(FERM BP−10960)の菌糸を接種し、25℃で7日間振とう培養(100rpm)した。培養物2mLを200mLの同培地に植え継ぎ、7日間振とう培養(100rpm)した。更に、160Lの同培地が入った200L容ジャーファーメンター(小松川製作所製)に培養物の全量を接種して6日間かくはん培養(かくはん速度:100rpm、通気量25L/分)を行って、液体種菌を調製した。一方、圧ペントウモロコシ(飯坂精麦社製)と針葉樹鋸屑のスギオガ〔(有)トモエ物産製〕を乾物重量比で2:1(圧ペントウモロコシ:針葉樹鋸屑)に混合し、培地の水分が最終的に62重量%になるように水を加えて十分にかくはん・混合した。ポリプロピレン製の広口培養ビン(1100mL)に混合物を入れ(ビン及びキャップを含めた重量合計800g)圧詰した。圧詰物表面の中央に口径2.0cmの穴を開け、圧詰物表面の中央を中心とした直径4cmの円周上に口径1cmでそれぞれ深さが10cm程度の4つの孔を開けた後で、培養ビンにキャップをした。キャップをした培養ビンに118℃で30分間高圧蒸気殺菌を行い、20℃まで放冷し、菌床栽培用培養基(固形培地)を調製した。この固形培地に上記の液体種菌を約12.5mL接種し、暗所にて温度20℃、湿度70〜75%の条件下で105日間(前期培養80日、後期培養25日)菌糸を培養、原基形成を確認後、同工程を完了した。
次に、通常方法(コントロール)とCO高濃度区の芽出し工程に分けて、各12本で芽出しを行った。コントロールはキャップを外し、反転後、温度16℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で115〜120%、照度を菌座表面上で100ルクス以下(明暗30分間欠)となるように制御した芽出室において、7日間芽出しを行った。一方、CO高濃度区は栽培ビンにキャップをしたまま芽出しを行うことによりCO高濃度状態とした。本試験区に使用したキャップは中央部に培養ビン内のCO濃度の測定を行うための直径6mmの貫通穴を開け、その上面部をビニールテープで塞いだものであり、上記培養工程が完了した後にそれまで使用した通常のキャップと付け替えた。CO高濃度区はコントロールと同じ芽出室で5日間芽出しを行った後、キャップを外し、反転後、更に2日間芽出しを行った。芽出室のCO濃度の測定はVAISALA製COメーター(型式:GMT220シリーズ)を用いて行い、CO高濃度区の培養ビン内のCO濃度の測定は株式会社ガステック製の検知管(型番:No.2L)を貫通穴に差し込むことで行った。同検知管による測定は1回につき培養ビン2本のCO濃度を測定し、その平均を測定値とした。なお、各芽出し工程中におけるCO濃度の測定は1日1回の頻度で行った。それらのCO濃度の測定結果を表1に示す。
Figure 2010148504
次に、各試験区の培養ビンを正転し、温度15℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で110〜115%となるように制御した生育室に移動し、100ルクス以下(明暗30分間欠)の照明下で4日間芽を成長させた。その後、各培養ビンの菌座表面に形成された芽(幼子実体)の本数を計測した。その結果を表2に示す。
Figure 2010148504
表2からも明らかなようにコントロールにおいては平均の芽の数が20本であったのに対し、CO高濃度区は90本と多く、コントロールと比較して4.5倍の芽の数であった。また、CO高濃度区の芽はコントロールと比べ大きさの揃いも良かった。
実施例2
実施例1と同様に、培養工程を完了した培養物を得た。
次に、温度16℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で115〜120%となるように制御した芽出室に移動し、50ルクス以下(明暗30分間欠)の照明下7日間芽出しを行った。その際8つの試験区を設定し(1試験区12本)、すなわちキャップをつけたまま0、1、2、3、4、5、6日間芽出しを行った後、キャップを外し、反転後さらに芽出しを7、6、5、4、3、2、1日間続け、芽出しを完了した。芽出し期間中のCO濃度の測定は実施例1と同様の方法で行った。キャップ内のCO濃度は10000〜25000ppmの範囲内で推移し、また部屋の平均CO濃度は1050ppmであった。その後各試験区の培養ビンを正転し、温度15℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で110〜115%となるように制御した生育室に移動し、100ルクス以下(明暗30分間欠)の照明下で2日間芽を成長させた。その後、培養ビンの菌座表面に形成された芽(幼子実体)の本数を計測し、各試験区の平均芽数を算出した。その結果を表3に示す
Figure 2010148504
以上の結果より、芽出し期間中に少なくとも1日間CO濃度が10000ppmを超える高CO濃度環境下において芽出しを行うことで、得られる芽数が増加することがわかった
実施例3
実施例1と同様に、培養工程を完了した培養物を得た。
次に、芽出しは3試験区を設定した。すなわちコントロールはキャップを外し、反転後、温度16℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で115〜120%、照度を菌座表面上で50ルクス以下(明暗30分間欠)となるように制御した芽出室において、7日間芽出しを行った。残りの2試験区は培養ビンにキャップをしたものと(キャップ区)、さらにキャップと培養ビンのかん合部の半周部分をビニールテープで密閉したもの(半密閉区)を設定し、コントロールと同じ芽出室で芽出しを行った。
芽出し期間中のCO濃度の測定は実施例1と同様の方法で行った。キャップ区のキャップ内CO平均濃度は20000ppmであった。また、半密閉区のキャップ内CO平均濃度は25000ppmであった。また、部屋のCO平均濃度は1000ppmであった。その後、キャップを外し、ビンを正転し、温度15℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で110〜115%となるように制御した生育室に移動し、100ルクス以下(明暗30分間欠)の照明下で2日間芽を成長させ、培養ビンの菌座表面に形成された芽(幼子実体)の本数を計測し、各試験区12本あたりの平均芽数を算出した。その結果、コントロールが60本であったのに対し、キャップ区は120本、また半密閉区は115本と高CO濃度環境下で芽出しを行うことで芽数が増加することが明らかとなった。
実施例4
実施例1と同様に、培養工程を完了した培養物を得た。
次にキャップを外し、反転後、温度16℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で115〜120%、照度を菌座表面上で50ルクス以下(明暗30分間欠)となるように制御した芽出室において、7日間芽出しを行った。部屋の換気を調整することで、芽出し期間中の平均CO濃度を2500ppm、5000ppm、7000ppmにした際の、各試験区16本あたりの平均芽数を算出した。その結果、それぞれ45本、68本、92本と高CO濃度環境下で芽出しを行うことで芽数が増加することが明らかとなった。
実施例5
実施例1と同様に、培養工程を完了した培養物を得た。
次に、培養物のキャップを外し、ビンを反転した後、温度15℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で115〜120%となるように制御した芽出室に移動し、100ルクス以下(明暗30分間欠)の照明下7日間芽出しを行った。その後ビンを正転し、温度15℃、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で95〜105%となるように制御した生育室に移し、50〜100ルクス以下の照明下、2日間成長させることによりさし芽に使用する幼子実体を得た。
更に、上記培養工程まで終了した別の固形培地の菌座表面の中心を除く4つの孔に各1本ずつピンセットを用いて上記で得た幼子実体をさし芽として移植した。さし芽を移植した固形培地は1ケース(16本)作製し、8本は実施例1のCO高濃度区の芽出しに使用したものと同様のキャップをし(試験区)、残りの8本はキャップはせずに(対照区)、加湿をヒューミアイ100〔(株)鷺宮製作所製〕の表示値で105〜120%とした以外は同条件の上記生育室で幼子実体を生育させた。試験区は生育開始4日目にキャップを外して10日目に収穫、対照区は10日目に収穫を行い、各子実体の収量(g/ボトル)及び空洞率(%)を測定した。なお、生育室のCO濃度の測定は理研計器(株)製COメーター(型式:RI−85)を用いて行った。試験区の培養ビン内のCO濃度の測定は実施例1と同様の方法で行った。また、生育工程中におけるCO濃度の測定は1日1回の頻度で行った。その結果、試験期間中の部屋のCO濃度は約5000ppm未満、培養ビン内のCO濃度は平均で約20000ppmであった。
その結果、試験区においてビン当たりの平均収量が81gから85gへと増加し、また空洞率(柄の部分の空洞が生じた子実体の割合)は6%から3%へと減少した。更に、傘開き(傘の淵が巻いていないもの)している子実体の割合を調べたところ、試験区が3%であるのに対し、対照区が28%であった。すなわち試験区において傘の開きが大幅に軽減され、形状の良い子実体を得ることが可能となった。
本発明により、大規模な商業栽培においてホンジメジの安定生産を可能にする菌床栽培方法が提供される。当該方法を用いることにより、芽(幼子実体)形成率が高く、安定したホンシメジの栽培が可能となる。また成熟子実体の傘開きが抑制されることから、商品価値の高い形状のホンシメジを生産することが可能となる。

Claims (5)

  1. ホンシメジの菌床栽培方法において、芽出し工程及び/又は子実体の生育工程の一部又は全部をCO高濃度の環境条件下で行うことを特徴とするホンシメジの菌床栽培方法。
  2. 芽出し工程のCO濃度が2500ppm以上である請求項1記載の栽培方法。
  3. 子実体の生育工程のCO濃度が5000ppm以上である請求項1記載の栽培方法。
  4. 芽出し工程の少なくとも1日間、CO高濃度の環境条件下とすることを特徴とする請求項1記載の栽培方法。
  5. 子実体の生育工程の少なくとも2日間、CO高濃度の環境条件下とすることを特徴とする請求項1記載の栽培方法。
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