JP2010146027A - ペリクル枠 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型化が可能な非熱処理型のアルミニウム合金を用い、しかも陽極酸化染色後の皮膜欠陥を抑制して白点の発生を防いだペリクル枠を提供する。
【解決手段】Mg:0.8〜3.5質量%,Ti:0.005〜0.15質量%、及び必要に応じてさらにB:0.0005〜0.05質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、当該不可避的不純物とのFeが0.40質量%以下,Siが0.25質量%以下,その他の不可避的不純物がそれぞれ0.3質量%以下に規制された成分組成と、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1μm以上の晶出物の占める面積比が5%未満である組織を有するアルミニウム合金を素材として形作る。
枠の表面には陽極酸化処理が施された後、陽極酸化皮膜が黒色系染料で染色される。
【選択図】なし

Description

本発明は、TFT−LCD(薄膜トランジスター液晶ディスプレイ)等を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクに異物が付着することを防止するために用いられるペリクル装置のペリクル枠に関する。
従来、TFT−LCD(薄膜トランジスター液晶ディスプレイ)等を製造する際、フォトマスクの両面側にペリクル装置と称される防塵部材を配置して前記フォトマスクへの異物の付着を防止している。
ペリクルは、表面に陽極酸化処理が施され、フォトマスクの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度のアルミニウム合金製の枠体で構成されている。そして、この枠体の一方の縁面に厚さ10μm以下のニトロセルロース或いはセルロース誘導体やフッ素ポリマー等の透明な高分子膜からなるペリクル膜が貼り付けられ、かつ他方の縁面に粘着剤が付着され、当該粘着剤が付着された縁面をフォトマスクの表面に貼着させて用いられている。
フォトマスクの表面に異物が付着した場合、その異物がTFT−LCD用マザーガラス上に形成されたフォトレジスト上に結像して回路パターン欠陥を発生させる原因となる。そこで、フォトマスクの両面側にペリクルを配置し、異物をペリクルで遮ってフォトマスク表面への異物の付着を防止するものである。ペリクルに付着した異物は、フォーカス位置のずれによってTFT−LCD用マザーガラスに形成されたフォトレジスト上に結像することはなく、回路パターンに欠陥を発生させることはない。
近年では、各種マルチメディアの普及により、高画質,高精細表示が可能な大型のカラーTFT−LCD製造時のフォトリソグラフィー工程で使用される大型のフォトマスクにも適用可能な大型のペリクルが要望されている。
このような、ペリクルの大型化に伴って、ペリクル膜を貼着するアルミニウム合金製ペリクル枠の大型化の要請が高まっている。ペリクル枠にはペリクル膜が貼着されるので、この貼着状態を保持するためにも、ペリクル枠の大型化に伴って、基材としてのアルミニウム合金の高強度化が要求される。
そして、特許文献1には、熱処理により高強度を発現する7000系アルミニウム合金の押出形材をペリクル枠に用いることが提案されている。
特開2001−279359号公報
ところで、ペリクル枠には、回路パターンに欠陥を生じさせないために、ある程度の平坦度も必要になる。さらに、回路パターンの転写工程においては光源からの光の反射を防いで鮮明な転写パターンを得るために、金属材料からなるペリクル枠には陽極酸化処理が施された後に黒色に染色処理されている。
陽極酸化処理が施された高強度のアルミニウム合金に黒色染色処理を施すと、染色面にいわゆる白点と称される皮膜欠陥が生じやすい。近年、パターンにおける線幅が益々狭くなっており、0.1〜0.01μm程度にまで細くなると、従来の白点の発生数及び大きさでは、露光時の光の反射が転写パターンを不鮮明にするといった問題点が顕在化してきた。
また、回路パターンを転写する装置においては、装置系部材に付着している塵は目視ないし機械検査でその存在を確認して取り除いている。そして、回路パターンの細線化にともなって、付着塵の検査基準が近年益々厳しくなっており、従来問題にされなかったほどの細かい塵までが検査対象にされるようになった。ところが、前記の白点は付着塵と紛らわしいために検査対象となる誤認白点数が多くなって作業進捗の妨げにもなっている。
上記特許文献1で提案された技術により、押出形材からペリクル枠を製造しようとすると、最大限200mm×200mm程度の大きさのペリクル枠を得るのが限界である。このため、押出形材からのペリクル枠のさらなる大型化への対応は困難である。
熱処理により高強度を発現する7000系アルミニウム合金の板材を用いてペリクル枠を製造することも想定されるが、熱処理型合金である当該合金を用いた場合には熱処理による反りの発生等の問題があり、容易にペリクル枠に適した平坦な板材を得ることができない。このため、熱処理を施さなくても所要の強度を発現してペリクル枠に適用できるアルミニウム合金が必要になる。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、大型化が可能な非熱処理型のアルミニウム合金を用い、しかも白点の発生を抑制したペリクル枠及びこのペリクル枠を製造するためのアルミニウム合金板材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のペリクル枠は、その目的を達成するため、Mg:0.8〜3.5質量%,Ti:0.005〜0.15質量%、及び必要に応じてさらにB:0.0005〜0.05質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、当該不可避的不純物としてのFeが0.40質量%以下,Siが0.25質量%以下,その他の不可避的不純物がそれぞれ0.3質量%以下に規制された成分組成と、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1μm以上の晶出物の占める面積比が5%未満である組織を有するアルミニウム合金を素材として形作られていることを特徴とする。
枠の表面には陽極酸化処理が施された後、陽極酸化皮膜が黒色系染料で染色されているものが好ましい。この黒色染色の際、ペリクル枠全体が染料液内で揺動させながら染色されたものが好ましい。
また、ペリクル枠用板材は、上記の成分組成を有するアルミニウム合金のDC鋳造スラブを、400℃以上の温度で均熱化処理した後に圧延加工することにより製造される。
本発明で提供されるペリクル枠は、熱処理を施さなくても所要強度を発現するアルミニウム合金を基材とし、しかも、合金組織中の晶出物のうち、円相当径が1μm以上の晶出物の大きさ及び分散性、特に円相当径及び組織中に占める面積比を適切に制御することによって、陽極酸化後に染色した皮膜への欠陥の形成を抑制し、光の反射を伴う白点の発生を抑制することができている。このため、陽極酸化染色後の皮膜欠陥の形成を抑制し光の反射を伴う白点の発生抑制に優れたペリクル枠用圧延板材を確実かつ安定に、しかも安価に製造することができる。
したがって、ペリクル枠の大型化に資するとともに、大面積化し、かつ微細化した回路パターン転写作業の効率化にも資することになる。
本発明者等は、ペリクル枠の大型化を目途に、基材アルミニウム合金として熱処理を行わなくても所要の強度を発揮する合金の探索と、白点の発生を防止するためのアルミニウム合金の組織改良について種々検討を重ねてきた。
その結果、基材アルミニウム合金としてJIS規格の5000系合金を用い、その合金組織を晶出物が所定の大きさ及び密度で分散したものに調整することにより、上記課題が解決できることを見出した。
以下にその詳細を説明する。
まず、陽極酸化皮膜に黒色染色処理したペリクル枠に出現しやすい皮膜欠陥は、陽極酸化処理工程から染色工程全般及び種々の染色材料を用いて試験した結果、枠を形成する金属組織中の晶出物が陽極酸化処理後の染色工程において染色液によって腐食し、欠落することにより皮膜の欠陥が生じるものと推考した。そして、この晶出物の大きさを小さくできれば染色液にことさら工夫を加えることなしに皮膜欠陥の発生を抑制できるものと考え、晶出物を小さく、かつ少なくする手段について検討した。
その結果、晶出物に関しては、後の実施例で詳しく説明するが、そのうちの円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1μm以上の晶出物の占める面積比が5%未満となるように晶出物が分散した組織とする必要があることがわかった。また、この晶出物の大きさと分布状態は、合金中の特定不純物、すなわちFe及びSiの含有量を少なくすることによりコントロールできることもわかった。
ところで、基材アルミニウム合金として選定したJIS規格の5000系合金は、Mgを合金元素として含むものである。このMgは、固溶強化によって合金に強度を付与する上で必須である。Mg含有量が0.8質量%に満たないと、所要の強度が得られない。逆に3.5質量%を超えるほどに含まれると、圧延加工性を損なうことになる。したがって、本発明では、Mg含有量は0.8〜3.5質量%の範囲に規定した。
ペリクル枠に限らず、アルミニウム合金の塑性加工材を用いようとするとき、塑性加工性を確保するためには、鋳造時の結晶粒組織を微細化し、鋳造割れを防止する必要がある。このため、本発明では、DC鋳造工程においてスラブの鋳造割れを防止するために、Tiを含有させるか、又はTiとBを合わせて含有させるかの手段を採用する。
Ti,又はTiとBを含有させると、溶湯中にAl−Ti系、又はTi−B系等の金属間化合物を形成し、これらが凝固結晶粒の核となって鋳塊組織を微細化し、スラブの鋳造割れを防ぐことができる。
Ti単独よりもTi及びBの方が鋳造割れに対しては有効である。その含有量の下限値は鋳造条件で異なるが、概ねTi0.001質量%、好ましくは0.005質量%以上である。Bの下限は特に限定するものではないが、0.001質量%以上添加するとTiとの複合効果が顕在化する。下限値未満では効果が少なく、上限値を超えると、Al−Ti系及びTi−B系等の金属間化合物或いはAl−Ti系及びTi−B系等の粗大な金属間化合物が生じ、或いは一部の未固溶のTi又はBがマトリックスに存在し、これらが陽極酸化処理後の染色時に白点欠陥を発生させる原因となる。Tiの添加は金属Ti又はAl−Ti母合金を、また、TiとBの添加はAl−Ti−B母合金を使用すると容易に含有させることができる。
以上の検討から、Mg:0.8〜3.5質量%,Ti:0.005〜0.15質量%、及び必要に応じてさらにB:0.0005〜0.05質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を基材とし、その圧延材をもちいることにより、熱処理を施すことなく、ペリクル枠としての所要の強度を得ることができる。
次いで、前記合金中における晶出物の大きさと分布状態をコントロールするために、当該合金中に含まれる特定不純物、すなわちFe及びSi等の含有量の影響を検討した。
これらの元素は溶製時の原材料から不純物として混入してくる。特にFe、Siは本発明においてはAl−Fe系,Al−Fe−Si系等の晶出物が陽極酸化処理後の染色処理で白点の発生原因になるところから、その含有量は極力少なくする必要がある。Feは、0.40質量%以下に、好ましくは0.10質量%以下にする必要がある。Siは、0.25質量%以下にする必要がある。また、Mn,Cr,Cu,Zn等も同様にその含有量は極力少ないことが好ましく、各々0.03質量%を超えると、近年の厳しい検査基準に合格しなくなる。前記したように、不純物の大半は使用した原料から混入されるので、不純物としてのFe,Si,Mn,Cr,Cu或いはZn等の含有量を少ないものにするには、溶製する原料地金及び必要に応じて用いる返り材として純度の高いものを使用することが好ましい。
次に、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満とする理由について説明する。
陽極酸化処理後の染色処理で白点欠陥を生じる原因となる金属間化合物は、上記したAl−Fe系,Al−Fe−Si系等の化合物ばかりでなく、主要合金元素との化合物も原因となる。すなわちAlCuMg,Al7Cu2Fe,Al2CuMg,MgZn2等の化合物である。これらの化合物はX線回折で同定できる。これらの化合物の大きさが円相当径の平均値で5μm以上となると、近時の厳しい基準に対応できない。ここで円相当径は、ペリクル枠表面に存在する晶出物の各個の面積を円相当に置き換えた時の直径を指すものである。
円相当径が1μm未満の晶出物は相当数在り、しかも白点欠陥には影響が少ないので、1μm以上の晶出物の円相当径平均値を限定するものである。なお、測定は画像解析処理で行うことができる。すなわち、晶出物の円相当径平均値が5μm未満であれば、陽極酸化処理後の染色処理で発生する晶出物が原因の白点欠陥は非常に小さく、自然光又は光源からの光の反射による転写配線図の不鮮明さの程度が小さくなるからである。また、塵と確認される確率も非常に少なくなる。
次に、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の占める面積比が5%未満とする理由について説明する。陽極酸化処理後の染色処理で白点欠陥を生じる原因となる金属間化合物は、円相当径が1μm以上の晶出物の平均値が5μm未満であっても、組織中の狭い範囲に集合体として存在する場合、すなわち、分散性が悪く、組織全体に占める割合が一定の値以上に大きい場合は、微小な光の集合体として確認可能な程度の光の反射を呈することがある。このことから、晶出物の占める面積比が5%未満と分散して晶出していれば、光学的に集合体として大きな晶出物として検知されることがなく、自然光又は光源からの光の反射による転写配線図の不鮮明さの程度が小さくなるからである。
また、塵と確認される確率も非常に少なくなる。したがって、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満でしかもそれらの占める面積比が5%未満とする。
次に、Mg及びTi,或いはTi及びB含有量を限定し、FeやSi等の不純物含有量を規制したアルミニウム合金を基材とし、晶出物を所定の大きさ及び分散状態にした板材からペリクル枠を製造する態様について説明する。
本実施形態のペリクル枠は、TFT−LCD(薄膜トランジスター液晶ディスプレイ)等を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクに異物が付着することを防止するために用いられるペリクル装置に使用される。ペリクル枠は、陽極酸化処理後の皮膜欠陥の発生が防止され、自然光ないし光源からの光を極力反射させない表面に染色され、表面処理性に優れたアルミニウム合金組織を有する。
好ましいペリクル枠の製造方法は、本実施形態で規定する合金組成の溶湯を溶製する際に、例えばAl溶湯中に合金元素を金属のまま、又は母合金で添加することができる。脱ガス処理後必要によりフィルターを通過してスラブに鋳造する。鋳造に際しては、溶湯が急冷され晶出物が小さく晶出する点でDC鋳造法を採用することが好ましい。次に、460℃以上の温度に加熱して12時間以上保持する均質化処理を、スラブに施す。より高い温度でより長い時間で処理することが好ましい。
この処理は鋳造時に晶出した上記の晶出物を固溶させるものであり、アルミニウム合金に含まれる不純物の含有量を低減したことと相俟って、鋳造時に晶出した晶出物をより小径にかつ少なくして、ペリクル枠に陽極酸化処理後の染色処理で生じる白点欠陥を解消する作用効果を発揮するものである。460℃以上の温度で行う保持は、必ずしも一定の温度である必要はなく、400〜500℃の温度で1時間以上、好ましくは1〜2時間保持の後、530℃の温度で1〜24時間処理しても良い。
均質化処理したスラブは、熱間圧延し、冷間圧延を経て所定の厚さの板材とし、所定の形状に打ち抜き、研削・研磨等の機械加工を施してペリクル枠形状とする。
得られたペリクル枠は、その後陽極酸化処理が施されて表面が硬化されるとともに染色剤が保持され易くする。この陽極酸化処理は特に限定するものではないが、染色剤保持能力の高い皮膜が安定して得られる硫酸液処理が好ましい。処理条件は限定されるものではないが、以下の処理条件の範囲から適宜選定することが好ましい。
陽極酸化処理条件
硫酸液濃度 10〜20vol%水溶液
電流密度 1.0〜2.0A/dm2
液温度 10〜20℃
通電時間 10〜30分
ペリクル枠は陽極酸化処理前に皮膜の密着性の向上及び微細なキズの消去を目的として必要に応じてショットブラストをかける表面処理をしても良い。
陽極酸化処理されたペリクル枠は、光の反射を防ぐために表面全体を黒色に染色処理する。この染色処理は染料を特に限定するものではないが、特にサンド社製サノダールディープブラックMLW(商品名)等の有機染料を用いる黒染めは変色が少なく、塵が少なくしかも安価で一般的である。染色処理は、ペリクル枠を掛けた治具を染料の入った処理槽内に浸漬して処理する。処理条件は限定されるものではないが、以下の処理条件の範囲から適宜選定することが好ましい。
染色処理条件
染色液温度 55〜65℃
処理時間 5〜20分
染色処理に際しては、治具とペリクル枠が処理時間中に接触していると接触箇所に染料が染色されないおそれがあるので、治具又はペリクル枠、又は両者を揺動させながら処理すると上述のおそれが無く、全面が黒色に染色できる。染色後のペリクル枠は、封孔処理して耐食性と染料の保持効果を向上させる。封孔処理の条件は限定されるものではないが、以下の処理条件の範囲から適宜選定することが好ましい。
封孔処理条件
処理液 70〜95℃熱水
処理時間 10〜30分
表1は、実施例及び比較例で使用した合金成分組成(質量%)を示す。実施例1,2は、それぞれ合金符号A,Bについて、比較例1〜7は、それぞれ合金符号B,C,D,E,F,G,HについてDC鋳造法によりスラブを作製し、表2に示す条件で均質化処理を施した後、スラブを圧延加工した。さらに、打ち抜き加工を施して、枠型形状をなす外形寸法915mm×760mm×5.8mmのペリクル枠を各例につき150枚作成した。これらのペリクル枠にショットブラスト、陽極酸化処理及び染色処理、封孔処理を施した。染色処理は硫酸陽極酸化処理後、有機染料により黒色に染色し、酢酸ニッケル系封孔剤による封孔処理を行ったもので、陽極酸化皮膜の膜厚は5〜10μmとなるよう印加電気量を制御した。
Figure 2010146027
処理条件を以下に示す。
(1) 陽極酸化条件
硫酸液濃度 16vol%
水溶液電流密度 1.2A/dm2
液温度 17〜19℃
通電時間 25分
(2) 染色条件
染色剤 サンド社製 商品名Sanodal Deep Black MLW New
染色剤液濃度 10g/L
液温度 60℃
処理時間 10分
(3) 封孔処理条件
封孔助剤 花見化学社製 商品名 シーリングX
封孔助剤濃度 9g/L液
温度 90.5℃
処理時間 25分
これらのペリクル枠について蛍光灯下の目視及び照度30万1x(ルックス)の集光灯下の目視により光の反射を伴う白点の発生している枚数(1点でも存在すれば1枚と数える)を確認した結果を表2に示す。
前記した実施例1、2及び比較例1〜7と同一処理された同一ロット内の押出材について、当該板材の組織中の晶出物の内、円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径の平均値、組織中に占める晶出物のうち、円相当径が1μm以上の晶出物の面積比を測定した。
晶出物の円相当径の平均値及び組織中に占める晶出物の面積比については圧延方向に平行な断面及び圧延方向に垂直な断面を測定面とし、画像解析によりもとめた結果を表2に併せて示す。
表2の結果から、実施例1,2のペリクル枠において、組織中の晶出物のうち、円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径の平均値は3.5〜3.7μmであり、かつ面積比は2.0〜3.0%であって、いずれも5μm未満及び5%未満の値を示している。また、目視による白点検査では、集光灯下においても150枚中2枚以下と少ない発生枚数であることがわかる。
一方、比較例1〜7により得られたペリクル枠は、組織中の晶出物のうち、円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径の平均値は5.1〜6.7μmで5μmを越えた。組織中に占める晶出物のうち、円相当径が1μm以上の晶出物の面積比も5.2〜21.5%で、いずれも5%を越えた値を示した。白点検査においても150枚中7〜30枚で実施例1,2の7倍以上の発生枚数であることがわかる。
また、比較例3において、蛍光灯下の目視検査にて観察された白点のSEM観察像を観察したところ、蛍光灯下の目視にて確認される白点の大きさは約30μm以上で、時には100μmを越えるものもあり組織中の晶出物の円相当径の数十倍を越える大きな値となる。これは、陽極酸化皮膜の皮膜欠陥が晶出物を起点に腐食・欠落する際、その周辺の皮膜にも広い範囲で影響を及ぼすためである。
さらに、実施例2において、蛍光灯下の目視検査にて観察された白点のSEM観察像を観察すると、比較例3に比較して皮膜欠陥部の大きさが小さくなっていることが伺える。また、実施例2において、集光灯下の目視検査のみにて観察された白点のSEM観察像を観察すると、大きさは約10μm程度であり、比較例3に示した白点に比較してさらに小さな物となっており、蛍光灯下の目視検査では確認が極めて困難な白点であり、光輝度の集光灯下においてのみ確認されるものである。
これらの白点の原因となる陽極酸化皮膜の欠陥部は、皮膜が欠落し皮膜下のアルミ素地が露出し黒色を示さないことから、光を反射し輝点上の白点として観察される。なお、実施例1、2及び比較例1〜7において観察された全ての白点についてSEM観察を行ったが、何れの白点も上記と同様の皮膜の欠落による形態のものであった。
以上、表1,2及びSEM観察の結果から、本発明の実施例がペリクル枠における白点の発生抑制に優れた効果を奏していることが明らかである。
Figure 2010146027

Claims (4)

  1. Mg:0.8〜3.5質量%,Ti:0.005〜0.15質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、当該不可避的不純物としてのFeが0.40質量%以下,Siが0.25質量%以下,その他の不可避的不純物がそれぞれ0.3質量%以下に規制された成分組成と、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1μm以上の晶出物の占める面積比が5%未満である組織を有するアルミニウム合金を素材として形作られていることを特徴とするペリクル枠。
  2. Mg:0.8〜3.5質量%,Ti:0.005〜0.15質量%,B:0.0005〜0.05質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、当該不可避的不純物としてのFeが0.40質量%以下,Siが0.25質量%以下,その他の不可避的不純物がそれぞれ0.3質量%以下に規制された成分組成と、晶出物のうち円相当径が1μm以上の晶出物の円相当径平均値が5μm未満であり、かつ前記1μm以上の晶出物の占める面積比が5%未満である組織を有するアルミニウム合金を素材として形作られていることを特徴とするペリクル枠。
  3. 表面に陽極酸化処理が施され、陽極酸化皮膜が黒色系染料で染色されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のペリクル枠。
  4. 陽極酸化皮膜が黒色系染料で染色される際、ペリクル枠全体が染料液内で揺動させながら染色されたものであることを特徴とする請求項3記載のペリクル枠。
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