JP2010145184A - 測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検面としての非球面の形状を高精度に測定する測定方法を提供する。
【解決手段】球面波を形成する光束を用いて非球面を有する被検面を照明し、前記被検面の形状を測定する測定方法であって、球面波の曲率中心が前記非球面の非球面軸上にある状態で前記非球面軸の方向に前記被検面を駆動して複数の位置に順に位置決めし、前記複数の位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と参照面からの光束との干渉パターンを検出する第1の検出ステップと、前記複数の位置のそれぞれから前記非球面軸の方向に前記被検面を既知の量だけシフトした複数のシフト位置のそれぞれに位置決めし、前記複数のシフト位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と前記参照面からの光束との干渉パターンを検出する第2の検出ステップと、を有することを特徴とする測定方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、測定方法及び測定装置に関する。
光学系におけるイノベーションは、新しい光学素子又は自由度の導入によってもたらされており、例えば、非球面の導入による光学性能の改善(向上)は、昔から追求されてきた項目の1つである。近年では、加工技術や測定技術の進歩に伴い、最も精度が要求される半導体デバイス製造用の露光装置に非球面が導入されるようになってきている。露光装置における非球面の導入の効果は3つに大別される。
第1の効果は、光学素子の枚数の削減である。近年では、露光光の短波長化が進み、露光装置の光学系には、石英や蛍石などの高価な硝材を用いなければならなくなっている。従って、非球面の導入による光学素子の枚数の削減は、光学系の製造面及びコスト面で有利となる。
第2の効果は、光学系の小型化(コンパクト化)である。非球面を導入することで光学系を小型化することが可能となるため、光学系の製造面及びコスト面に対する影響が無視できないほど大きい。
第3の効果は、光学系の高性能化である。高NA化や低収差化によってますます要求が高くなっている光学性能を実現する上で、非球面の果たす役割が非常に重要になってきている。
一方、露光装置おいては、半導体デバイスの急速な微細化に対応するために、波長10nm乃至15nm程度の極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いることが検討されている。EUV光の波長領域では、光を透過する硝材(透過材料)が存在しないため、レンズを用いることなくミラー(反射部材)のみで光学系を構成しなければならない。但し、EUV光の波長領域では、反射材料も限られており、1面あたりのミラーの反射率は70%程度となる。従って、なるべく少ない枚数のミラーで所望の光学性能を満たす光学系を構成しなければならないため、所定の非球面形状を有する光学素子(ミラー)を高精度に加工及び測定することが必須の技術となってきている。また、少ない枚数のミラーで適切な露光領域を確保しながら高精度な解像度を維持するためには、大口径の光学素子(例えば、有効径560mmの凹面ミラーなど)が必要となる。
そこで、干渉計を用いて光学素子の面形状を測定する技術が従来から提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、球面波を形成する光束で回転対称形状の被検面を照明すると共に、かかる被検面を光軸方向に駆動しながら走査して、被検面の駆動量v、及び、干渉縞が輪帯的にヌルとなる位置と近軸中心位置との光路長差pから非球面形状を求めている。また、被検面上の位置(非球面軸からの位置)hは、駆動量vに基づいて、以下の数式1を解いて求めている。ここで、ヌルとは、干渉縞の密度が低い状態である。
vm(h)=z(h)−R0+h/z’(h) ・・・(数式1)
但し、z(h)は非球面形状を表す設計式、z’(h)はz(h)のhによる微分、R0は近軸曲率半径、vmはvの測定値である。
また、被検面上の位置情報である横座標の測定に着目した技術も提案されている(特許文献2乃至4参照)。特許文献2乃至4では、被検面と参照面とをアライメントさせた状態(アライメント状態)の測定結果と、アライメント状態からずらした状態(非アライメント状態)の測定結果との差に基づいて、被検面と干渉計の撮像素子との関係を求めている。
米国特許第6781700号明細書 特開平4−48201号公報 特開2000−97663号公報 米国特許出願公開第2007/0201035号明細書
しかしながら、従来技術では、非球面(特に、大口径の非球面)に対しての測定精度に限界があり、所定の値以上の非球面量を有する非球面を高精度に測定及び加工することができない。よく知られているように、測定と加工は一体のものであり、高い測定精度がなければ精密な加工を行うことは不可能である。特に、測定と加工のサイクルにおいては、被検面の法線方向の設計値からのずれを高精度に測定することに加えて、被検面上の位置情報である横座標を高精度に測定することも求められている。
例えば、特許文献1では、非球面によっては光軸方向の駆動量vが100mmを超えるような場合があり、このような大きな駆動量vを高精度に測定することは非常に困難である。また、駆動量vから被検面上の位置hを求める際には、輪帯上の全ての点は被検面の光軸からの距離が等しい位置(以下、等半径位置と称する)からの情報であると仮定している。但し、被検面を照明する球面波に誤差がある場合や干渉計の光学系に歪曲等がある場合には、干渉縞がヌルとなる領域が必ずしも被検面上の等半径位置からの反射光によるものとは限られないため、被検面上の位置の測定に誤差が生じてしまう。
また、特許文献2及び3では、アライメント状態と非アライメント状態における被検面全面の情報が必要であるが、非球面に関して具体的な測定方法を開示していない。なお、特許文献4は、被検面全面の情報を必ずしも必要としていないが、非球面に関して具体的な測定方法を開示していない。
そこで、本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、被検面としての非球面の形状を高精度に測定することができる測定方法及び測定装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての測定方法は、球面波を形成する光束を用いて非球面を有する被検面を照明し、前記被検面の形状を測定する測定方法であって、球面波の曲率中心が前記非球面の非球面軸上にある状態で前記非球面軸の方向に前記被検面を駆動して複数の位置に順に位置決めし、前記複数の位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と参照面からの光束との干渉パターンを検出する第1の検出ステップと、前記複数の位置のそれぞれから前記非球面軸の方向に前記被検面を既知の量だけシフトした複数のシフト位置のそれぞれに位置決めし、前記複数のシフト位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と前記参照面からの光束との干渉パターンを検出する第2の検出ステップと、前記複数の位置のそれぞれ、及び、前記複数のシフト位置のそれぞれについて、前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップで検出された干渉パターンに基づいて、前記球面波の曲率中心と前記光束が垂直に入射する被検面上の位置との間の距離を算出する第1の算出ステップと、前記第1の算出ステップで算出された算出結果に基づいて、前記被検面を前記複数の位置に位置決めしたときと前記シフト位置に位置決めしたときの前記距離の変化を算出する第2の算出ステップと、前記第2の算出ステップで算出された前記距離の変化に基づいて前記被検面上の位置を決定し、当該位置における前記被検面の設計値から求まる前記距離と前記第1の算出ステップで算出された前記被検面を前記複数の位置に位置決めしたときの前記距離との差分である形状誤差を算出する第3の算出ステップと、を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、被検面としての非球面の形状を高精度に測定する測定方法及び測定装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としての測定装置1の構成を示す概略図である。測定装置1は、参照面を通過した球面波を形成する光束を用いて非球面を有する被検面を照明し、かかる被検面の形状を測定する測定装置であって、本実施形態では、フィゾー型の干渉計として具現化される。
測定装置1は、図1に示すように、光源102と、ハーフミラー104と、集光レンズ106と、TSレンズ108と、TSレンズ108に配置された参照面108aと、被検面TOaとしての非球面を有する被検物TOを保持するホルダ110とを有する。更に、測定装置1は、被検物TO(被検面TOa)をホルダ110と共に5軸駆動する5軸ステージ112と、5軸ステージ112をz軸方向に駆動するz軸ステージ114と、結像レンズ116と、検出部118と、制御部120とを有する。
ここで、図1に示すように、TSレンズ108の光軸に平行な方向をz軸、紙面内でz軸に垂直な方向をy軸、紙面に垂直な方向をx軸とする。また、5軸ステージ112の5軸の自由度は、x、y、θx、θy及びθzである。ここで、θxはx軸周りの回転、θyはy軸周りの回転、θzはz軸周りの回転である。本実施形態では、z軸ステージ114は、後述するように、TSレンズ108の光軸と非球面の非球面軸を一致させた状態で非球面軸の方向に被検物TO(被検面TOa)を駆動して複数の位置に順に位置決めする機能を有する。なお、TSレンズ108の光軸と非球面の非球面軸を一致させた状態とは、球面波の曲率中心が非球面の非球面軸上にある状態であるとも言える。また、z軸ステージ114は、後述するように、非球面の非球面軸の方向に被検面TOaを既知の量だけシフトした複数のシフト位置のそれぞれに位置決めする機能も有する。
図1において、CPはTSレンズ108の集光点を示す。MP1(実線)は被検面TOaの中心部を測定するときの被検物TO(ホルダ110及び5軸ステージ112)の位置を示し、MP2(点線)は被検面TOaの周辺部を測定するときの被検物TO(ホルダ110及び5軸ステージ112)の位置を示す。
光源102からの光束は、ハーフミラー104を介して、集光レンズ106に入射する。集光レンズ106は、光源102と集光レンズ106との間の距離が集光レンズ106の焦点距離と等しくなるように配置され、集光レンズ106に入射した光束は、平行光となって射出される。
TSレンズ108に入射した光束のうち一部の光束は、球面波に変換されて集光点CPに集光する。また、TSレンズ108に入射した光束のうち残りの光束は、参照面108aで垂直反射してハーフミラー104に入射する。以下では、参照面108aで反射した光束を参照光と称する。
TSレンズ108を透過した光束は、被検物TOの被検面TOaに入射する。なお、被検物TO(被検面TOa)は、5軸ステージ112の上に配置されたホルダ110に保持されている。5軸ステージ112は、z軸ステージ114の上に配置され、被検物TO(被検面TOa)と共にz軸方向に駆動される。また、5軸ステージ112の位置は、図示しない位置検出部によって、TSレンズ108の基準点、或いは、参照面108aを基準として検出される。
被検面TOaに入射した光束のうち被検面TOaの法線と同一角度で入射した光束は被検面TOaで垂直反射し、TSレンズ108及び集光レンズ106を介して、ハーフミラー104に入射する。以下では、被検面TOaで反射した光束を被検光と称する。
ハーフミラー104に入射した被検光と参照光は垂直に折り曲げられ、結像レンズ116を介して、検出部118に入射する。検出部118は、本実施形態では、撮像面を有する撮像素子(CCDなど)で構成され、被検光と参照光との干渉によって形成される干渉縞(干渉パターン)を撮像(検出)する。
本実施形態では、後述するように、被検物TO(被検面TOa)を駆動しながら干渉縞を撮像(検出)する。但し、結像レンズ116はフォーカス調整機能を有しているため、被検面TOaを駆動しても被検面TOa上の測定対象領域と検出部118とを共役関係に保つことが可能である。
制御部120は、CPUやメモリを含み、測定装置1の全体を制御する。特に、制御部120は、被検面TOaの形状の測定に関する動作(処理)を制御し、被検物TO(被検面TOa)の位置決めに関する処理(即ち、5軸ステージ112やz軸ステージ114の制御)や被検面TOaの形状を算出する処理を行う。例えば、制御部120は、位相シフト法を用いて、検出部118で検出された干渉縞に基づいて、参照面108aに対する被検面TOaの形状誤差を算出する。位相シフト法とは、被検面TOaと参照面108aとの間の距離を、光源102からの光束の波長の数倍の量だけ変更しながら複数の干渉縞を取得し、かかる複数の干渉縞の変動から干渉縞の位相情報を算出するものである。被検面TOaと参照面108aとの間の距離は、z軸ステージ114を用いて被検物TO(被検面TOa)をz軸方向に駆動させることで変更することができる。但し、TSレンズ108又は参照面108aをz軸方向に駆動する駆動機構を設けて、TSレンズ108又は参照面108aを駆動してもよい。また、光源102からの光束の波長を変調することで位相情報を取り出すことも可能である。
被検面TOaが球面であれば、被検面TOaの曲率中心位置をTSレンズ108の集光点CPに一致させることで、ほぼヌルの干渉縞が撮像されることになる。なお、ヌルとは、干渉縞の密度が低い状態であって、本実施形態では、干渉縞の本数が1本以下の状態である。
被検面TOaは、本実施形態では、非球面であるため、被検面TOaの近軸曲率中心の位置がTSレンズ108の集光点CPと一致している場合に、被検面TOaの中心部がヌルで、周辺部に向かうにつれて縞の密度が高くなるような干渉縞が撮像される。なお、近軸曲率中心は、ほぼ球面で表現される非球面の近軸領域において、かかる球面の曲率中心のことである。また、非球面の設計値は、本実施形態では、回転対称非球面とする。
ここで、被検面TOaとして、近軸曲率半径R0=−500[mm]、円錐係数k=0.0811、有効径De=220[mm](有効半径he=110[mm])で表される非球面係数を有する非球面AP1について考える。非球面AP1は、EUV光の波長領域で使用される投影光学系に適用可能なミラーである。
非球面AP1の形状zと径方向の大きさhは、以下の数式2の関係で表される。
また、径方向の大きさhは、図1に示す座標系を用いて、以下の数式3で表される。
数式2の右辺の第1項は、円錐曲線である2次曲線を表す。また、数式2の右辺の第2項において、nは整数であって、一般には、4以上の整数である。Aは、hのn次で変化する成分の係数である。本実施形態では、数式2の右辺の第1項のみを使用するものとする。
図2は、測定装置1を用いて被検面TOaとしての非球面AP1を測定した場合の干渉縞を示す図である。但し、図2に示す干渉縞は演算で求めた干渉縞である。具体的には、TSレンズ108の集光点CPを中心とする球面と非球面AP1との法線方向の差分を求め、かかる差分の2倍の量を光源102からの光束の波長で除して干渉縞を算出した。なお、光源102からの光束の波長は、633nmとしている。
図2を参照するに、中心部付近は概ねヌルの干渉縞になっているが、周辺部に向かうにつれて干渉縞が密になっている。干渉縞が密になっている領域では、モジュレーション(隣接する画素の強度比)が劣化してしまうため、データが欠落して測定不能となる。また、干渉縞が解像する場合であっても、参照光と被検光とが測定装置1の光学系の異なる位置を通って検出部118(撮像素子の撮像面)に結像されるため、所謂、リトレースエラー(retrace error)が発生して高精度な測定が困難となる。
このように、球面波を形成する光束を用いて被検面TOaを照明する場合には、一般的に、非球面全面を一括して測定することが困難となる。但し、被検面TOaの近軸曲率中心の位置がTSレンズ108の集光点CPと一致している場合には、被検面TOaの近軸中心付近に限り、干渉縞が概ねヌルとなるため、高精度な測定が可能となる。なお、被検面TOaの近軸曲率中心の位置がTSレンズ108の集光点CPと一致している状態から被検物TO(被検面TOa)を参照面108aの光軸方向に駆動すると、干渉縞がヌルになる領域が周辺部に移動していく。
周辺部がヌルとなる場合の被検面TOaとTSレンズ108の集光点CPとの関係を説明する前に、図3を参照して、非球面の着目点(非球面上の任意の一点)における球面の概念について説明する。図3において、Aは被検面TOaとしての非球面を示し、横軸hは非球面の半径方向を示す。縦軸zは高さ方向を示し、非球面Aの非球面軸と一致している。
非球面A上の点Q=(hQ,zQ)に着目する。点Qにおける法線と非球面軸であるz軸との交点を点CQとする。また、点Qにおける法線でもある線分Q−CQのz軸に対する傾きをθとし、線分Q−CQの距離(長さ)をrとする。なお、rは、点CQを中心として、点Qにおいて非球面Aと接する球面(内接球面)S1の曲率半径でもある。また、近軸中心Cから点CQまでの距離をρとし、非球面Aの近軸領域の曲率中心位置をC0とする。点Qが非球面Aの近軸中心Cである場合、r=ρ=R0となる。
S2は、曲率中心位置が点CQ、半径がρである球面であって、非球面Aの近軸中心Cにおいて非球面Aと接する。球面S1と球面S2とは、非球面A上の点Qの位置で決定され、近軸曲率中心の位置が同じであるが、半径の異なる2つの球面である。また、VはρとR0との差分を示し、pはρとrとの差分を示す。
球面S1の曲率半径rは、以下の数式4で表すことができる。また、近軸中心Cから球面S1の中心である点CQまでの距離ρは、以下の数式5で表すことができる。
数式3及び数式4において、z’(h)は、非球面の形状zのhによる微分である。
被検物TO(被検面TOa)をz軸方向に駆動して点Qにおける干渉縞がヌルになると、TSレンズ108の集光点CPと点CQとが一致している状態になっている。換言すれば、TSレンズ108(参照面108a)を通過した球面波を形成する光束が被検面TOaに対して垂直に入射する位置では、干渉縞がヌルとなる。
z軸ステージ114を用いて非球面AP1(被検面TOa)を駆動し、有効半径110mmの2割半径、4割半径、6割半径、8割半径、10割半径の位置の干渉縞をヌルにしたときの干渉縞を図4(a)乃至図4(e)に示す。
近軸領域の干渉縞をヌルにする(図2参照)と、TSレンズ108の集光点CPと曲率中心位置C0(図3参照)とが一致した状態となる。図4(a)に示す干渉縞は、数式5で規定されるρと近軸曲率半径R0との差分Vだけ非球面AP1をz軸方向に駆動して、2割半径h=0.2heにおける球面S1の曲率中心である点CQとTSレンズ108の集光点CPが一致した状態のときの干渉縞である。図4(b)乃至図4(e)に示す4割半径(h=0.4he)、6割半径(h=0.6he)、8割半径(h=0.8he)、10割半径(h=1.0he)の位置の干渉縞をヌルにしたときの干渉縞に関しても同様である。
図4(a)乃至図4(e)に示したように、TSレンズ108(参照面108a)を通過した球面波を形成する光束が被検面TOaに垂直に入射する位置の近傍では、干渉縞は概ねヌルとなる。但し、TSレンズ108(参照面108a)を通過した球面波を形成する光束が被検面TOaに垂直に入射する位置の近傍以外の位置では、干渉縞が密になる。従って、球面波を形成する光束が垂直に入射している位置の近傍以外の位置では、測定誤差が大きく、被検面TOaをz軸方向のどのような位置に配置したとしても、被検面TOaの全面を一括して測定することは困難である。
被検面TOaの設計値(設計形状)からの差分である形状誤差は、設計値と被検面TOaの法線方向の差分Δnと、対応する横座標hとを用いて、(h、Δn)で表される。
形状誤差は、後述するように、球面波を形成する光束が被検面TOaに垂直に入射する領域の情報(干渉縞)から求めることができる。なお、球面波を形成する光束が被検面TOaに垂直に入射する領域は、z軸ステージ114を用いて被検面TOaをz軸方向に駆動することで順次変更する。
具体的には、球面S1の曲率半径rを用いて、以下の数式6が測定位置(測定径)hmにおける法線方向の形状誤差となる。
Δn=rm−rd(hm) ・・・(数式6)
数式6において、rmはrの測定値(算出値)であり、rd(hm)は測定位置hmにおけるrの設計値である。
まず、rmの測定方法(算出方法)について説明する。本実施形態では、h=0.6heを測定する場合を例に説明する。
図5(a)は、非球面AP1において、TSレンズ108(参照面108a)を通過した球面波を形成する光束が被検面TOaのh=0.6heに垂直に入射した場合の干渉縞を示す図である。図3に示す点Qがh=0.6heに相当する。ここでは、被検物TO(被検面TOa)は、TSレンズ108の集光点CPと球面S1の曲率中心が一致するように配置される。これにより、点Qには、球面波を形成する光束が垂直に入射することになる。また、検出部118では、結像レンズ116を介して、被検面TOaの形状を反映する干渉縞が撮像(検出)される。
ここで、図5(a)に示すように、被検面TOa上の点Qに相当する撮像面の点を点qとする。また、被検面TOaの近軸中心の像に相当する撮像面の点を点cとし、点cと点qとの間の距離をηqとする。
TSレンズ108(参照面108a)に対して、z軸ステージ114を用いて被検物TO(被検面TOa)をアライメントすると、図5(a)に示すように、被検面TOaの近軸領域と、点qと同半径(ηq)の輪帯領域近傍の干渉縞はヌルとなる。かかる状態における球面波と非球面(被検面TOa)との光路長の差分(光路長差)の断面を図5(b)に示す。図5(b)を参照するに、形状誤差がない場合には、球面波を形成する光束が垂直に入射している点Q(h=0.6he)又は点qにおける光路長差は0となり、周辺部における光路長差は最大で5μmとなっていることがわかる。また、近軸近傍の点cと、点qを含む輪帯領域(ηqを半径とする円状領域)では、光路長差の変化が緩やかになっており、かかる領域で概ねヌルの干渉縞が形成される。なお、図5(a)に示す干渉縞は、図5(b)に示す光路長差から、ダブルパスを考慮して演算で求めた干渉縞である。
そして、制御部120は、位相シフト法を用いて、参照面108aに対する被検面TOaの形状を算出(測定)する。なお、参照面108aの形状は校正されているものとする。
制御部120による被検面TOaの形状の算出結果(測定結果)Dbのうち6割半径の点qにおける測定値(算出値)をφqとする。位相シフト法による被検面TOaの形状の算出結果は、光源102からの光束の波長以下でしか求めることができないため、測定値φqの範囲は、光源102からの光束の波長をλとして、以下の数式7となる。
−λ/4 < φq ≦ λ/4 ・・・(数式7)
一方、球面S1の曲率半径rは、光源102からの光束の波長よりも長いため、数式7は、以下の数式8に書き直すことができる。
r=λ/2・nr+φr ・・・(数式8)
数式8において、nrは整数であり、φrは(−λ/4,λ/4)の範囲の値である。
被検面TOaの設計値からの乖離が十分に小さい(例えば、光源102からの光束の波長の数分の一)とすると、数式8の右辺のnrは設計値に置き換えても問題がないことになる。また、後述するように、ステッチングの原理を用いて、球面S1の曲率半径rを求めることも可能である。
数式8において、レンジでλ/2よりも小さいφrは、位相シフト法の原理によって測定することが可能であるため、点Qにおけるrの測定値rmは、以下の数式9で表すことができる。
rm=λ/2・nq+φq ・・・(数式9)
なお、nqは、数式8のnrと同じ値であって、演算で求められる値である。
干渉縞がヌルとなる全ての領域(ηqを半径とする円状領域)に対して同様に演算を行うことで、輪帯上の領域のrmを算出(測定)することができる。
また、点qを含み、ηqを半径とする円状領域近傍の干渉縞がヌルに近ければ、点qよりも中心側や外側の点においてもrmを算出(測定)することができる。これにより、数式9のλ/2・nq(rmの1/2波長の整数倍部分)に関しては、被検面TOaの中心部から周辺部に向かって測定を行った際の重なり領域の情報(干渉縞)から、所謂、ステッチングの原理で求めることが可能である。
また、複数の波長の光束を射出する光源を用いて(即ち、見かけ上の波長を長くして)、所謂、合致法の原理で参照面108aと被検面TOaとの間の距離gを求めてもよい。この場合、参照面108aの曲率半径、又は、参照面108aとTSレンズ108の集光点CPとの間の距離rTSを予め校正しておけば、数式9のλ/2・nq(rmの1/2波長の整数倍部分)を、(g−rTS)の1/2波長の整数倍部分として表すことができる。なお、参照面108aと被検面TOaとの間の距離gは、波長可変レーザーを用いて干渉縞をフーリエ変換したり、白色干渉を用いたりすることで求めることが可能である。
同様にして、被検物TO(被検面TOa)を非球面の非球面軸の方向に順次駆動し、各径の球面S1とTSレンズ108の集光点CPとを一致させて干渉縞を検出することで、被検面TOaの全面にわたってrの測定値rmを算出(測定)することができる。
また、干渉縞がヌルの位置の点q、即ち、φrを取得する撮像面上の位置は、以下のように決定する。上述したように、被検面TOaの形状の算出結果(測定結果)Dbにおいて、点cを通るような断面は図5(b)のようになる。図5(b)を参照するに、位相の変化量が緩やかである領域が、球面波を形成する光束が垂直に入射した位置となるため、被検面TOaの形状の算出結果Dbに対して径方向の1次微分が0となるような位置を測定位置である点qとして決定する。図5(b)において、1次微分が0となる位置は、点cと、h=0.6heの近傍となる。なお、1次微分が0となる位置を求める際には、ηqを半径とする円状領域を多項式でフィットした結果を用いてもよい。これにより、ノイズ成分を緩和することができる。
次に、測定位置hmの測定方法(算出方法)について説明する。本実施形態では、h=0.6heを測定する場合を例に説明する。
測定値rmを算出する点qが被検面TOa上のどの位置からの反射光であるのかは、測定装置1の光学系の設計値から、ある程度まで対応させることができるが、高精度に横座標を決定する場合には不十分である。
そこで、本実施形態では、上述したように、まず、点Qを含む輪帯領域の干渉縞をヌルとし、参照面108aに対する被検面TOaの形状を算出(測定)する。このときの被検面TOaの形状の算出結果(測定結果)をDbとし、測定位置をベース位置と呼ぶ。
次に、z軸ステージ114を用いて被検物TO(被検面TOa)をz軸方向(非球面の非球面軸の方向)に微少量δzだけシフトさせる。かかる状態で、位相シフト法を用いて、参照面108aに対する被検面TOaの形状を算出(測定)する。このときの被検面TOaの形状の算出結果(測定結果)をDsとし、測定位置をZシフト位置と呼ぶ。なお、微小量δzは、小さいと横座標の検出感度が劣化し、大きいと干渉縞が密になりすぎて測定精度に影響を与える。実用的な撮像系の画素数は500×500から4000×4000程度であるので、微少量δzは、光源102からの光束の波長の10倍以上500倍以下であることが好ましい。
ベース位置の算出結果DbとZシフト位置の算出結果Dsとの差分をDnとすると、Dnと微少量δzとの関係は、以下の数式10で表される。
Dn=Ds−Db=δz・(1−Sqrt[1−NA(h)]) ・・・(数式10)
なお、Sqrt[ ]は、[ ]内の平方根を表している。NAは、hにおける開口数であり、hの関数で表される。また、法線の角度をθとすると、NA=sinθである。
また、非球面の設計形状をz(h)とすると、法線の角度θは、以下の数式11で表すことができる。
θ=tan−1z’(h) ・・・(数式11)
z軸方向にシフトさせる微少量δzは、図示しない位置検出部によって測定可能であり、差分Dnは算出結果Db及びDsから算出することができる。従って、数式10を用いれば、撮像面上の着目点(例えば、点q)と、被検面TOa上の横座標h(例えば、点Q)とは、差分Dn及び微少量δzに基づいて、対応させることが可能である。
図6は、ベース位置の算出結果DbとZシフト位置の算出結果Dsとの差分Dnを説明するための図である。図6(a)は、撮像面上におけるベース位置の算出結果DbとZシフト位置の算出結果Dsとの差分Dnのマップを示し、図6(b)は、図6(a)に示すマップの断面を示している。なお、有効半径の6割半径において干渉縞がヌルになる位置をベース位置とし、δz=10μmとした。
図6(a)及び図6(b)を参照するに、被検面TOa上の点Qに相当する点である点qでは、Dn=−235.9nmの変化が生じている。実際には、δz=10μmは位置検出部から得られ、差分Dn=−235.9nmはベース位置及びZシフト位置での干渉縞から得られる。従って、被検面TOaの設計値と数式10を用いて、撮像面上の点qに対応する被検面TOaの横座標(位置)h=0.6heを求めることができる。
このような演算を撮像面上の全ての点に対して同様に行うことで、rmに対応する被検面TOa上の横座標hmを算出することができる。
また、撮像面上の注目点、例えば、点q’のように、図6(a)の紙面左右方向をx軸とし、中心からの距離は点qと同じであり、x軸からαの角度にある点を被検面TOa上の直交座標(xmq’,ymq’)で表すことを考える。数式10を用いて、点q’が被検面TOa上でhmqの半径であることが求められたとすると、被検面TOa上の直交座標(xmq’,ymq’)は、以下の数式12に示す関係から決定することができる。
xmq’=hmq・cosα、 ymq’=hmq・sinα ・・・(数式12)
同様に、被検物TO(被検面TOa)を非球面の非球面軸の方向に順次駆動し、各径の球面S1の曲率中心とTSレンズ108の集光点CPを一致させた状態をベース位置として、順次横座標hmを測定する。これにより、被検面TOaの全面にわたって横座標を算出(測定)することができる。
また、ベース位置の算出結果DbとZシフト位置の算出結果Dsとの差分Dnは、NAが小さい領域では、以下の数式13で近似される。
Dn≒δz・NA(h)/2 ・・・(数式13)
数式13を参照するに、被検面TOaの近軸中心近傍のNAが小さい領域では、ベース位置の算出結果DbとZシフト位置の算出結果Dsとの差分Dnは、NAの2乗で変化する。従って、δzに対して差分Dnの変化が小さく、数式10を用いた場合には、被検面TOa上の位置の測定精度が悪化する。
干渉計において、光学系の近軸領域の光学性能は、設計上においても製造上においても良好にすることができるため、近軸中心近傍に限っては、干渉計の光学系の設計値に基づいて被検面TOa上の横座標の対応を行うことができる。例えば、被検面TOaと検出部118(撮像面)との間の結像倍率をβ、被検面TOa上の座標をhp、撮像面上の座標をhCCDとすると、以下の数式14に示す関係が成り立つ。
hp=β・hCCD ・・・(数式14)
被検面TOaの近軸中心近傍については、数式14を用いて、横座標を決定することが可能である。なお、横座標用の原器等を用いて、横座標を予め校正しておくことも可能である。
このようにして求められた被検面TOa上の測定位置hmにおけるrの設計値rdは、数式4にhmを代入して、以下の数式15で表される。
これまで説明してきたように、制御部120は、検出部118で検出された干渉縞に基づいて、rm、hm=(xm、ym)、及び、rd(hm)を求めることができる。これにより、被検面TOaの形状誤差Δnを被検面TOa上の座標(横座標)に対応させて表すことが可能となる。
以下、図7を参照して、測定装置1による測定処理について説明する。かかる測定処理は、被検物TOの被検面TOaの形状(測定領域の全面の形状)を測定する処理であって、制御部120が測定装置1の各部を統括的に制御することで実行される。
ステップS1002では、被検物TOをホルダ110に保持させる。
ステップS1004では、5軸ステージ112及びZ軸ステージ114を用いて、被検物TOの被検面TOaの近軸領域の干渉縞がヌルになるように、被検面TOaをTSレンズ108に対してアライメントする。この際、被検面TOaの近軸領域における位相成分の回転対称成分のうち径の2次で変化する成分が0になるようにアライメントを行うと、被検面TOaの近軸曲率中心位置(図3に示すC0)とTSレンズ108の集光点CPとを一致させることができる。ここで、ステップS1004での被検面TOaの位置を、後段のステップにおける座標系の原点とする。但し、原点のうちzに関しては、TSレンズ108の集光点CPの位置に被検面TOaを配置して、所謂、キャッツアイ測定ができる位置をzの原点としてもよい。
ステップS1006では、被検物TO(被検面TOa)の駆動軸を決定する。かかる駆動軸は、被検面TOaを駆動軸に沿って駆動した際に近軸領域も含めた全ての輪帯領域がヌルになるように決定する。
例えば、最外周の干渉縞がヌルになる位置に被検物TO(被検面TOa)を駆動し、輪帯領域の位相成分のうち、所謂、チルト成分が最小となるような5軸の値を記憶する。ここで、5軸とは、θzを除くx、y、z、θx、θyである。そして、チルト成分が最小となる5軸の値と、ステップS1004でアライメントを行った径の2次で変化する成分が0となる5軸の値とに基づいて決定される直線を駆動軸とする。
また、少なくとも2つの点において被検面TOaの位置を表す5軸の値が決定されれば駆動軸を決定することが可能であるため、例えば、1割半径と8割半径でチルト成分が最小となるような5軸の値の組を求めて駆動軸を決定してもよい。
また、チルト成分を測定する点を3つ、或いは、4つと増やし、各点でチルト成分が最小となる5軸の値を求め、最小自乗法を用いて駆動軸を決定してもよい。
なお、本実施形態では、z軸ステージ114は、TSレンズ108の光軸に対して平行に被検物TO(被検面TOa)を駆動し(即ち、TSレンズ108の光軸とz軸とが一致する)、5軸ステージ112のx、yは、z軸に垂直になっているものとする。一般的には、装置の軸と光軸とは一致していないが、本実施形態で決定される被検物TO(被検面TOa)の駆動軸は、TSレンズ108の光軸と一致する。従って、駆動軸に基づいて測定装置1の座標軸(6軸)の校正を行ってもよい。かかる座標軸の校正は、ステップS1006で行ってもよいし、予め行っておいてもよい。
ステップS1008では、被検面TOaの設計値、及び、ステップS1006で決定した駆動軸に基づいて、被検物TO(被検面TOa)をz軸方向に駆動する位置、即ち、測定位置ziを決定する。ここで、iは、1〜Nの整数であり、Nは、互いに異なる測定位置の個数である。また、Nは、被検面TOaの全面が十分なサンプリング精度で測定できるように決定され、例えば、100〜1000程度が好ましい。
各測定位置ziにおいて、被検面TOaの形状と横座標の測定(算出)が行われる。測定位置ziは、干渉縞がヌルとなる輪帯領域が被検面TOaの座標で等間隔となるように決定してもよいし、z軸方向への駆動量が一定になるように決定してもよい。
ステップS1010では、z軸ステージ114を用いて被検物TO(被検面TOa)を測定位置ziのベース位置に配置し、参照面108aに対する被検面TOaの形状を測定する。ここで、ベース位置とは、干渉縞が輪帯状にヌルになる位置である。また、参照面108aの形状は、予め校正されているものとする。
被検面TOaの形状の測定については、上述したように、位相シフト法を用いて行う。各測定位置ziでは、TSレンズ108(参照面108a)を通過した球面波を形成する光束が垂直に入射する位置の変化に伴い、図4(a)乃至図4(e)に示したように、撮像面上で干渉縞がヌルになる領域が変化する。なお、ステップS1010における測定位置ziでの測定結果をDbiとする。
ステップS1012では、z軸ステージ114を用いて被検物TO(被検面TOa)を測定位置ziのベース位置からz軸方向に既知の微少量δzだけシフトさせてZシフト位置に配置し、参照面108aに対する被検面TOaの形状を測定する。なお、ステップS1012における測定結果をDsiとする。
ステップS1014では、全ての測定位置ziについて被検面TOaの形状を測定したかどうか(即ち、ステップS1010及びS1012の測定を行ったかどうか)を判定する。
全ての測定位置ziについて被検面TOaの形状を測定していなければ、次の測定位置ziにおいて被検面TOaの形状を測定するために、i=i+1として(ステップS1016)ステップS1010に戻る。一方、全ての測定位置ziについて被検面TOaの形状を測定していれば、ステップS1018に進む。
このように、ステップS1010では、非球面軸の方向に被検面TOaを駆動して複数の測定位置(のベース位置)に順に位置決めし、かかるベース位置のそれぞれについて干渉パターンを取得する(第1の検出ステップ)。また、ステップS1012では、ベース位置から非球面軸の方向に被検面TOaを既知の量だけシフトした複数のシフト位置のそれぞれに位置決めし、複数のシフト位置のそれぞれについて干渉パターンを取得する(第2の検出ステップ)。
ステップS1018では、被検面TOaの設計値からの形状誤差Δn(hm)を算出する。形状誤差Δnは、被検面TOaの設計値と、測定結果Dbi及びDsiとに基づいて、rの測定値rm、測定値rmに相当する被検面TOa上の測定位置hm、測定位置hmにおけるrの設計値rd(hm)を求めることで算出される。
具体的には、ステップS1010における測定結果Dbiから干渉縞が概ねヌルとなる位置(図5に示す点qなど)の位相φrを抽出し、数式9を用いてrmを算出する(第1の算出ステップ)。
また、ステップS1012における測定結果DsiとステップS1010における測定結果Dbiとの差分を算出する。換言すれば、被検面TOaを測定位置のベース位置に位置決めしたときとシフト位置に位置決めしたときのrmの変化Dniを算出する(第2の算出ステップ)。そして、ステップS1012における測定結果DsiとステップS1010における測定結果Dbiとの差分Dniから、数式10及び数式12を用いて、検出部118の撮像面上の点qに相当する被検面TOa上の位置hmq=(xmq、ymq)を算出する。
更に、被検面TOa上の位置hmq=(xmq、ymq)から、数式15を用いて測定位置hmにおけるrの設計値rd(hm)を算出する。そして、数式6を用いてrmとrd(hm)との差を算出し、かかる算出結果を被検面TOa上の位置hmq=(xmq、ymq)における形状誤差Δnとする(第3の算出ステップ)。
干渉縞が概ねヌルとなる領域の全ての位置(点)に対して上述した演算を行う。これにより、各測定位置において、形状誤差Δnと、対応する被検面TOa上の位置とが算出されることになる。なお、各測定位置で算出された形状誤差Δnを被検面TOa上の座標(x、y)を用いて3次元的に表示(x、y、Δn)してもよい。これにより、被検面TOaの全面にわたって形状誤差を表すことができる。
なお、ステップS1012では、ベース位置からz軸方向に既知の微少量δzだけシフトさせたZシフト位置において被検面TOaの形状を測定している。但し、ステップS1008において測定位置ziを適切に決定する(測定位置ziの間の距離と既知の微小量δzを等しくする)ことで、測定位置ziでの測定結果と1つ前の測定位置z(i−1)での測定結果とを用いて、横座標を算出(決定)することができる。
具体的には、δz=z(i−1)−ziとし、測定位置ziでの測定結果をDbi、測定位置z(i−1)での測定結果をDb(i−1)とすると、数式10と同様に、以下の数式16で示す関係が成り立つ。
Dn=Dbi−Db(i−1)=δz・(1−Sqrt[1−NA(h)]) ・・・(数式16)
従って、被検面TOa上の測定位置を算出(決定)することが可能である。
この場合、ステップS1012を省略することが可能となり、被検面TOaの形状を測定する時間(測定時間)を短縮することができる。なお、測定位置ziの間の距離と既知の微小量δzを等しくすることができるかどうかは、被検面TOaの設計値と測定精度(被検面TOaのサンプリング間隔)に依存する。
このように、本実施形態では、被検面の駆動量や干渉縞が輪帯的にヌルとなる位置と近軸中心位置との光路長差などを用いることなく、被検面上の位置を算出(決定)することができるため、被検面としての非球面の形状を高精度に測定することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、フィゾー型の干渉計だけではなく、球面波を形成する光束を用いる干渉計(トワイマングリーン型の干渉計や点回折干渉計)にも適用することができる。
本発明の一側面としての測定装置の構成を示す概略図である。 図1に示す測定装置を用いて被検面としての非球面を測定した場合の干渉縞を示す図である。 非球面の着目点(非球面上の任意の一点)における球面の概念を説明するための図である。 非球面(被検面)の有効半径110mmの2割半径、4割半径、6割半径、8割半径、10割半径の位置の干渉縞をヌルにしたときの干渉縞を示す図である。 数式6におけるrmの測定方法を説明するための図である。 ベース位置の算出結果とZシフト位置の算出結果との差分を説明するための図である。 図1に示す測定装置による測定処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 測定装置
102 光源
104 ハーフミラー
106 集光レンズ
108 TSレンズ
108a 参照面
110 ホルダ
112 5軸ステージ
114 z軸ステージ
116 結像レンズ
118 検出部
120 制御部
TO 被検物
TOa 被検面

Claims (6)

  1. 球面波を形成する光束を用いて非球面を有する被検面を照明し、前記被検面の形状を測定する測定方法であって、
    球面波の曲率中心が前記非球面の非球面軸上にある状態で前記非球面軸の方向に前記被検面を駆動して複数の位置に順に位置決めし、前記複数の位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と参照面からの光束との干渉パターンを検出する第1の検出ステップと、
    前記複数の位置のそれぞれから前記非球面軸の方向に前記被検面を既知の量だけシフトした複数のシフト位置のそれぞれに位置決めし、前記複数のシフト位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と前記参照面からの光束との干渉パターンを検出する第2の検出ステップと、
    前記複数の位置のそれぞれ、及び、前記複数のシフト位置のそれぞれについて、前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップで検出された干渉パターンに基づいて、前記球面波の曲率中心と前記光束が垂直に入射する被検面上の位置との間の距離を算出する第1の算出ステップと、
    前記第1の算出ステップで算出された算出結果に基づいて、前記被検面を前記複数の位置に位置決めしたときと前記シフト位置に位置決めしたときの前記距離の変化を算出する第2の算出ステップと、
    前記第2の算出ステップで算出された前記距離の変化に基づいて前記被検面上の位置を決定し、当該位置における前記被検面の設計値から求まる前記距離と前記第1の算出ステップで算出された前記被検面を前記複数の位置に位置決めしたときの前記距離との差分である形状誤差を算出する第3の算出ステップと、
    を有することを特徴とする測定方法。
  2. 前記既知の量は、前記被検面を照明する光束の波長の10倍以上500倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記既知の量は、前記非球面軸の方向における前記複数の位置のそれぞれの間の距離と等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. 球面波を形成する光束を用いて非球面を有する被検面を照明し、前記被検面の形状を測定する測定装置であって、
    前記被検面からの光束と参照面からの光束との干渉パターンを検出する検出部と、
    前記検出部で検出された干渉パターンに基づいて、前記被検面の形状を求めるための処理を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、
    球面波の曲率中心が前記非球面の非球面軸上にある状態で前記非球面軸の方向に前記被検面を駆動して複数の位置に順に位置決めし、前記複数の位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と前記参照面からの光束との干渉パターンを検出する第1の検出ステップと、
    前記複数の位置のそれぞれから前記非球面軸の方向に前記被検面を既知の量だけシフトした複数のシフト位置のそれぞれに位置決めし、前記複数のシフト位置のそれぞれにおいて、前記被検面からの光束と前記参照面からの光束との干渉パターンを検出する第2の検出ステップと、
    前記複数の位置のそれぞれ、及び、前記複数のシフト位置のそれぞれについて、前記第1の検出ステップ及び前記第2の検出ステップで検出された干渉パターンに基づいて、前記球面波の曲率中心と前記光束が垂直に入射する被検面上の位置との間の距離を算出する第1の算出ステップと、
    前記第1の算出ステップで算出された算出結果に基づいて、前記被検面を前記複数の位置に位置決めしたときと前記シフト位置に位置決めしたときの前記距離の変化を算出する第2の算出ステップと、
    前記第2の算出ステップで算出された前記距離の変化に基づいて前記被検面上の位置を決定し、当該位置における前記被検面の設計値から求まる前記距離と前記第1の算出ステップで算出された前記被検面を前記複数の位置に位置決めしたときの前記距離との差分である形状誤差を算出する第3の算出ステップと、
    を実行することを特徴とする測定装置。
  5. 前記既知の量は、前記被検面を照明する光束の波長の10倍以上500倍以下であることを特徴とする請求項4に記載の測定装置。
  6. 前記既知の量は、前記非球面軸の方向における前記複数の位置のそれぞれの間の距離と等しいことを特徴とする請求項4又は5に記載の測定装置。
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