JP2017072447A - 位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法 - Google Patents
位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017072447A JP2017072447A JP2015198659A JP2015198659A JP2017072447A JP 2017072447 A JP2017072447 A JP 2017072447A JP 2015198659 A JP2015198659 A JP 2015198659A JP 2015198659 A JP2015198659 A JP 2015198659A JP 2017072447 A JP2017072447 A JP 2017072447A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wavefront
- stage
- reflected light
- processing unit
- axis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
Abstract
【課題】被検面を傾斜させる回転ステージの回転軸の実位置を簡便な作業で取得し、また、回転ステージの実位置を取得するのに要する時間を短縮する。
【解決手段】CPUは、基準面を有する原器の設計形状に基づき、反射光の波面の変化量である波面敏感度をシミュレーションにより算出する(S102)。CPUは、原器からの反射光の第1波面を実測により算出する(S104)。CPUは、波面敏感度と第1波面を用いて基準面の頂点の第1位置を算出する(S105)。CPUは、θy回転ステージを回転させる(S106)。CPUは、原器からの反射光の第2波面を実測により算出する(S107)。CPUは、波面敏感度と第2波面を用いて基準面の頂点の第2位置を算出する(S108)。CPUは、基準面の頂点の第1位置及び第2位置と、S106による原器の傾斜角度の角度変化量から、θy回転ステージの回転軸の実位置を算出する(S109)。
【選択図】図4
【解決手段】CPUは、基準面を有する原器の設計形状に基づき、反射光の波面の変化量である波面敏感度をシミュレーションにより算出する(S102)。CPUは、原器からの反射光の第1波面を実測により算出する(S104)。CPUは、波面敏感度と第1波面を用いて基準面の頂点の第1位置を算出する(S105)。CPUは、θy回転ステージを回転させる(S106)。CPUは、原器からの反射光の第2波面を実測により算出する(S107)。CPUは、波面敏感度と第2波面を用いて基準面の頂点の第2位置を算出する(S108)。CPUは、基準面の頂点の第1位置及び第2位置と、S106による原器の傾斜角度の角度変化量から、θy回転ステージの回転軸の実位置を算出する(S109)。
【選択図】図4
Description
本発明は、被検面の形状を計測する際の被検物のアライメントに用いる回転ステージの回転軸の実位置を求める位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法に関する。
近年、カメラや光学ドライブ等の電子機器では、小型化のために軸対称非球面を有するレンズの導入が一般的になりつつある。軸対称非球面を有するレンズの製造には、軸対称非球面の形状を高精度に計測する技術が必須である。
軸対称非球面の形状を計測する技術としては、特許文献1に記載のシャックハルトマンセンサ(SHS:Shack−Hartmann sensor)と呼ばれる波面計測装置を用いた形状計測装置が知られている。この形状計測装置では、軸対称非球面である被検面に球面波の光を計測光として照射し、その反射光を結像レンズでSHSに結像する。SHSはマイクロレンズアレイと撮像素子を有して構成され、その面間隔はマイクロレンズの焦点距離にほぼ等しい。反射光がマイクロレンズアレイに入射すると、撮像素子上に複数のスポットが形成される。それぞれのスポットの中心の位置は、各マイクロレンズの中心を通過した光線の位置と一致する。そのため、これらのスポットの像を撮像し、各スポットの中心の位置を算出すれば、各スポットの中心の位置から各マイクロレンズに入射した光線の角度を算出することができる。この光線角度分布から反射光の波面を算出することができ、更にはこの波面が被検面の形状を反映しているので、波面から被検面の形状を取得することができる。
被検面とSHSとの結像関係を確保するために、被検面がSHSの共役面となる位置に、被検面を有する被検物を設置する。以下、被検面の駆動を説明するため、SHSの共役面と計測光軸との交点を装置座標系の原点(装置原点)に定める。また、計測光軸に平行な方向に沿ってz軸、計測光軸に垂直な方向に沿ってx軸、xz平面に垂直な方向に沿ってy軸を定義し、x軸回りの回転をθx回転、y軸回りの回転方向をθy回転と定義する。
特許文献1の形状計測方法では、軸対称非球面である被検面を有する被検物をステージに搭載した後、被検面と被検面の非球面軸との交点(以下、被検面の頂点)が装置原点に一致し、かつ非球面軸が計測光軸に一致する様に被検面の位置をアライメントする。アライメントの際には、SHSで被検面からの反射光の波面を計測し、そこから被検面の頂点の位置と非球面軸の傾斜角を求め、その結果に基づいてステージをxyzθxθy方向へ駆動をする。
一般にxyzθxθy方向へ駆動可能なステージは、xyz軸方向へ駆動可能な直動ステージと、θxθy方向へ駆動可能な回転ステージから構成され、回転ステージの回転軸は、被検面の頂点に設計されていないことがほとんどである。
このようなステージ構成において、被検面の頂点を装置原点に一致させた後、頂点を移動させることなく非球面軸を傾斜させるには、回転ステージによる傾斜に加えて、xyz軸方向に直動ステージを駆動する必要がある。直動ステージの駆動すべき量は、「傾斜させるべき非球面軸の角度」と「回転ステージの回転軸の位置」から求めることとなる。
回転軸の位置については、装置の設計より概略値を得ることができる。ところが、実際の回転軸の位置は、組立誤差などにより、設計値に対して誤差を持つ。回転軸の位置に誤差があると、回転後の頂点の位置は想定からずれるため、その想定に基づいてこの状態からxyz軸方向に駆動しても、被検面の頂点は、回転前の位置、つまり装置原点の位置からずれることとなる。その際には、波面計測まで含めたアライメント動作が再度必要となり、アライメントに要する時間が増大し、全体の計測時間も増大する。
そこで、被検面の形状を計測する際のアライメントに要する時間を短縮するために、被検面を駆動するための回転ステージの回転軸の実位置を取得する方法が提案されている(特許文献2)。特許文献2の形状計測方法では、球面の校正原器を用いる。形状計測装置に設置した校正原器を回転ステージによりθy方向に回転させ、その回転位置で反射光の波面を計測する。そして、計測した波面が所定の波面となるようにxzステージを複数回駆動し、所定の波面が計測されたときのステージの位置を校正原器の位置として取得する。これをθy方向の傾斜角度を変えて複数回繰り返して、校正原器の複数の位置を取得している。取得した校正原器の複数の位置を円でフィッティングして回転軸の実位置を算出する。
しかしながら、特許文献2に記載の形状計測方法では、校正原器の複数の位置から回転軸の実位置を求めるために、回転ステージの各傾斜角度で計測波面が所定の波面となるように調整する作業を複数回行わなければならなかった。また、直動ステージを移動させて波面を計測する作業を計測波面が所定の波面となるまで繰り返さなければならなかった。このように、特許文献2に記載の形状計測方法では、回転ステージの回転軸の実位置を求めるのに煩雑な作業と多大な時間を要していた。
そこで、本発明は、被検面を傾斜させる回転ステージの回転軸の実位置を簡便な作業で取得し、また、回転ステージの実位置を取得するのに要する時間を短縮することを目的とする。
本発明の位置算出方法は、処理部が、被検物が搭載され、回転軸を中心に回転して光源から照射された計測光の計測光軸に対して前記被検物の被検面の中心軸を傾斜させる回転ステージと、前記被検物を直動させる直動ステージとを制御して、検出部により前記被検面からの反射光を検出し、前記回転軸の実位置に基づき、前記被検面を所定の位置と所定の角度にアライメントする際に用いる、前記回転軸の実位置を算出する位置算出方法であって、前記処理部が、基準面を有する原器を単位量移動させたときに前記基準面にて反射する反射光の波面変化量を算出する変化量算出工程と、前記処理部が、前記回転ステージに搭載された前記原器の前記基準面に前記計測光が照射されたときの反射光の検出結果を前記検出部から取得して前記原器からの反射光の第1波面を算出する第1波面算出工程と、前記処理部が、前記波面変化量及び前記第1波面を用いて前記基準面で特徴づけられる所定の点の第1位置を算出する傾斜前算出工程と、前記処理部が、前記回転ステージを回転させる駆動工程と、前記処理部が、前記駆動工程にて前記回転ステージを回転させた位置で前記原器の前記基準面に前記計測光が照射されたときの反射光の検出結果を前記検出部から取得して前記原器からの反射光の第2波面を算出する第2波面算出工程と、前記処理部が、前記波面変化量及び前記第2波面を用いて前記所定の点の第2位置を算出する傾斜後算出工程と、前記処理部が、前記所定の点の前記第1位置及び前記第2位置、並びに前記駆動工程による前記原器の傾斜角度の角度変化量から、前記回転ステージの回転軸の実位置を算出する回転軸算出工程と、を備えている。
本発明によれば、被検面を傾斜させる回転ステージの回転軸の実位置を簡便な作業で取得することができ、また、回転ステージの回転軸の実位置を取得するのに要する時間を短縮することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る形状計測装置を示す模式図である。第1実施形態において、被検物800は、例えばレンズやミラー等の光学部品(光学素子)であり、その表面が被検面801である。被検面801は、中心軸である非球面軸800Cを中心に軸対称な面、より具体的には軸対称な非球面である。第1実施形態では、形状計測装置1000は、被検物800の被検面801の形状を計測する。なお、図1中、z軸は、被検面801に照射する計測光の計測光軸(光軸)100Cと平行な方向に延びる軸、x軸は、z軸に直交(交差)する方向に延びる軸、y軸は、xz軸に直交(交差)する方向に延びる軸である。また、x軸まわりの回転方向をθx方向、y軸まわりの回転方向をθy方向、z軸まわりの回転方向をθz方向とする。
図1は、第1実施形態に係る形状計測装置を示す模式図である。第1実施形態において、被検物800は、例えばレンズやミラー等の光学部品(光学素子)であり、その表面が被検面801である。被検面801は、中心軸である非球面軸800Cを中心に軸対称な面、より具体的には軸対称な非球面である。第1実施形態では、形状計測装置1000は、被検物800の被検面801の形状を計測する。なお、図1中、z軸は、被検面801に照射する計測光の計測光軸(光軸)100Cと平行な方向に延びる軸、x軸は、z軸に直交(交差)する方向に延びる軸、y軸は、xz軸に直交(交差)する方向に延びる軸である。また、x軸まわりの回転方向をθx方向、y軸まわりの回転方向をθy方向、z軸まわりの回転方向をθz方向とする。
原器900は、第1実施形態では被検物800の設計形状に基づいて高精度に作成されたものであり、被検面801に対応する基準面901を有する。基準面901も被検面801と同様に、中心軸である非球面軸900Cを中心に軸対称な面、より具体的には軸対称な非球面である。基準面901の形状は既知であり、非球面軸900Cを中心に軸対称な設計形状に基づいて設計されている。なお、第1実施形態では、基準面901が被検面801と同じ設計形状に基づいて形成されている場合について説明するが、両者の設計形状は異なっていても良い。
形状計測装置1000は、光源100と、光学系200と、ステージ装置300と、検出部として波面センサであるSHS(シャックハルトマンセンサ)400と、演算装置500と、を備えている。また、形状計測装置1000は、ステージコントローラ(以下、単に「コントローラ」という)600と、測長機700と、を備えている。
被検物800又は原器900は、ステージ装置300に固定されたホルダ350に保持されることで、ステージ装置300に搭載される。
光源100は、計測光軸(光軸)100Cを中心とする軸対称な球面波の光(計測光)を出射(照射)する。
光学系200は、光源100から出射された光を導く光ファイバ202と、光源100から出射された光を光ファイバ202に導くレンズ201と、を有する。また、光学系200は、光ファイバ202の光ファイバコネクタ202Aからの出射光を収束させるレンズ203と、この光を折り曲げるビームスプリッタ204とを有する。また、光学系200は、ビームスプリッタ204にて折り曲げられ、発散した光を計測光軸100Cに対して軸対称な光に収束させ、原器900の基準面901又は被検物800の被検面801に照射する対物レンズ205を有する。また、光学系200は、被検面801又は基準面901からの反射光(波面)をSHS400に結像する結像レンズ206を有する。これにより、SHS400は、光学系200を介し、被検面801や基準面901に対して共役な位置関係となる。その結果、被検面801や基準面901の非球面量が大きい場合であっても、SHS400に入射する波面をSHS400のダイナミックレンジに収めることが出来る。
SHS400は、被検面801又は基準面901からの反射光を検出するものであり、レンズアレイであるマイクロレンズアレイ401と、撮像センサ(撮像素子)402と、を有する。マイクロレンズアレイ401は、入射光を分割した光を集光して複数の光のスポットを形成する複数のマイクロレンズ(レンズ)411を有する。複数のマイクロレンズ411は、撮像センサ402の撮像面(図1に示すxy平面)に平行にアレイ状(正方状)に等間隔に配列されている。撮像センサ402は、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである。マイクロレンズ411から撮像センサ402までの距離は、マイクロレンズ411の焦点距離とおおよそ一致している。
図2は、第1実施形態に係る形状計測装置のステージ装置を示す模式図である。ステージ装置300は、搭載された原器900又は被検物800の位置及び姿勢を調整するものである。特に、ステージ装置300は、形状計測の際、被検面801の位置及び姿勢の調整(アライメント)を行うものである。
ステージ装置300は、回転ステージであるθx回転ステージ303X及びθy回転ステージ303Yと、直動ステージであるXYステージ301及びZステージ302と、を有する。
第1実施形態では、ホルダ350は、θy回転ステージ303Yに支持され、θy回転ステージ303Yは、θx回転ステージ303Xに支持されている。θx回転ステージ303Xは、Zステージ302に支持され、Zステージ302は、XYステージ301に支持されている。
θy回転ステージ303Yは、y軸方向に延びる回転軸304Yを中心に回転(傾斜)し、計測光軸100Cに対して被検面801又は基準面901の非球面軸800C,900Cをθy方向に傾斜させる。θx回転ステージ303Xは、x軸方向に延びる回転軸304Xを中心に回転(傾斜)し、計測光軸100Cに対して被検面801又は基準面901の非球面軸800C,900Cをθx方向に傾斜させる。
Zステージ302は、回転ステージ303X,303Y(即ち、被検面801又は基準面901)をZ軸方向に直動させる。XYステージ301は、回転ステージ303X,303Y(即ち、被検面801又は基準面901)をX軸,Y軸方向に直動させる。
但し、ステージ装置300は、被検面801や基準面901をxyzθxθy軸方向に駆動できれば、この構成に限らない。例えば、各直動ステージが回転ステージの上に取り付けられていても良い。また、Zステージ302の駆動方向が必ずしもz軸に対して平行である必要はない。その駆動方向がz軸に対して傾斜している場合であっても、XYステージ301による補正駆動を加えることで、被検面801や基準面901をz軸に平行に駆動することができる。同様に、XYステージの駆動方向も、必ずしもx軸とy軸に対して平行である必要はない。
演算装置500は、コンピュータで構成されており、図1に示すように、処理部としてのCPU501、ROM502及びRAM503などのメモリ、フレームグラバー506並びにインタフェース510を備えている。ROM502には、プログラム508が格納されている。CPU501は、形状計測方法(位置算出方法)の各工程を、プログラム508に従って実行する。フレームグラバー506は、SHS400の出力信号を入力して画像データを構成し、CPU501に出力する。また、CPU501は、コントローラ600に対してステージ装置300の位置制御情報を出力する。さらに、演算装置500は、例えばIEEE802.3規格のネットワークインターフェースなどから構成される通信部504を有する。CPU501は、例えば被検面801の形状計測結果、又はそれに基づく被検物800の評価結果を、通信部504を介して不図示の製造プラントの他の機器に送信することができる。
インタフェース510には、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である外部記憶装置512が接続可能となっている。なお、第1実施形態では、ROM502にプログラム508が格納される場合について説明するが、これに限定するものではない。プログラム508は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。例えば、プログラム508を供給するための記録媒体としては、RAM503や、外部記憶装置512、不図示の記録ディスク等を用いてもよい。具体例を挙げて説明すると、記録媒体として、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性メモリ(例えばUSBメモリ)等を用いることができる。
第1実施形態では、被検面801の位置を指定するために、結像レンズ206と対物レンズ205によって形成されるSHS400の共役面(不図示)と計測光軸100Cとの交点を、装置原点150とする。また、被検面801と非球面軸800Cとの交点を、頂点800Vとする。基準面901と非球面軸900Cとの交点を、頂点900Vとする。
被検面801にて反射した反射光がSHS400に結像されるように、被検面801の頂点800Vを装置原点150に一致させ、且つ非球面軸800Cを計測光軸100Cに一致させる必要がある。
但し、θx回転ステージ303Xとθy回転ステージ303Yはそれぞれ回転軸304Xと回転軸304Yを中心に回転し、これらの回転軸304X,304Yは、装置原点150からずれている。
ホルダ350は、原器900や被検物800の側面を突き当てるピン(不図示)、目印としてのけがき線(不図示)などの位置決め機構を備える。さらに、ステージ装置300を構成する各ステージ301,302,303X,303Yには、ステージ原点が設定されている。ステージ原点は、位置決め機構に従って原器900をホルダ350に設置した時に、基準面901の非球面軸900Cが計測光軸100Cに、頂点900Vが装置原点150に、おおよそ一致するように設定されている。
図3は、第1実施形態における部品の製造方法のフローチャートである。まず、ワークを加工してレンズ(部品)を製作する(S1)。次に、レンズ(部品)を被検物800とし、後述する形状計測方法で被検物800の被検面801の形状を計測する(S2)。
以下、このステップS2の処理について説明する。図4は、第1実施形態における位置算出方法(即ち、形状計測方法の位置算出工程)を示すフローチャートである。CPU501は、被検物800の被検面801に計測光が照射されたときにSHS400により検出された被検面801からの反射光の検出結果をSHS400から取得する。そして、CPU501は、SHS400の検出結果に基づき被検面801からの反射光の波面を求め、被検面801の形状を計測する。その際CPU501は、被検面801を所定の位置及び所定の角度にアライメントする。即ちCPU501は、ステージ装置300を制御して、回転軸304X,304Yの実位置に基づき、被検面801の頂点800Vを装置原点150にアライメントしておくと共に、被検面801の非球面軸800Cを計測光軸100Cにアライメントしておく。第1実施形態では、これらアライメントの際に、回転軸304X,304Yの実位置を求める。
以下、回転軸を求める工程について詳細に説明する。なお、波面や形状を表現するためのZernike関数Z1〜Z9を式(1)の様に定義しておく。
Z1はピストン成分、Z2,Z3はチルト成分、Z4は球面成分、Z5,Z6は非点収差成分、Z7,Z8はコマ収差成分、Z9は球面収差成分に相当する。また、Z4,Z9は、軸対称成分に相当する。第1実施形態では、以上9つの低次のZernike関数を利用した方法を示すが、これに限定するものではなく、より高次のZernike関数を利用しても良い。また、式(1)に示したZernike関数を定数倍したものを利用しても良い。
以下、ステップS101〜S113で、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの位置と、θx回転ステージ303Xの回転軸304Xの位置を求める。
まず、CPU501は、基準面901がアライメントされた状態でSHS400に入射する波面gについて、波面gに含まれるZ4成分の大きさc4,0を求める(S101)。ここで、アライメントされた状態とは、頂点900Vが装置原点150に、非球面軸900Cが計測光軸100Cに一致した状態を指す。
具体的にc4,0を求める手順として、まずは、光ファイバコネクタ202Aから、アライメントされた基準面901を経由して、SHS400まで、形状計測装置1000に含まれる各光学素子や基準面901の設計値に基づいて光線追跡を行う。形状計測装置1000に含まれる各光学素子や基準面901について、その形状を事前に他の形状計測装置で計測しておき、その結果に基づいて光線追跡を行っても良い。
その後、SHS400上での光線傾斜分布∂g/∂ξ、∂g/∂ηを、式(2)に示すZernike関数の微分形の線形和でフィッティングし、その係数であるc4,0を求める。
ここで、(ξ,η)はSHS400に入射する波面を指定するために定義した座標系であり、ξはx軸方向に、ηはy軸方向に沿う位置を示す。mは、対物レンズ205と結像レンズ206によって基準面の反射光がSHS400に結像される際の、結像倍率を示す。r0は、基準面901の外径半径を示す。
このように、ステップS101では、設計上の基準面901からの反射光(仮想反射光)の波面、具体的にはその波面に含まれるZ4成分の大きさc4,0をシミュレーションにより算出する。
次に、CPU501は、アライメントされた状態から設計上の原器900を仮想的に単位量移動させたときに設計上の基準面901にて仮想的に反射する反射光の波面変化量(以下、「波面敏感度」という)を算出する(S102)。ここでは、SHS400の位置における反射光の波面変化量を求める。
まず、z軸方向の波面敏感度について説明する。原器900がz軸方向に移動したときには、SHS400に入射する波面の曲率が変化する。すなわち、波面gに含まれるZ4成分の大きさが変化する。ステップS102では、アライメントされた状態から基準面901をz軸方向に単位量移動させた場合について、ステップS101と同様の光線追跡を行う。その後、波面gに含まれるZ4成分の大きさについて、アライメントされた状態からの変化量Δc4を求め、これをz軸方向の波面敏感度とする。
続いて、xyθxθy方向の波面敏感度について説明する。基準面901は軸対称な設計形状に基づいて形成されているので、基準面901の設計形状f(x,y)はおおよそ式(3)で近似される。
観測座標系を固定した状態で、この基準面901をx,y,θx,θy方向にそれぞれΔx,Δy,Δθx,Δθy移動すると、基準面901の実形状は式(4)で表されるf’(x,y)として観測される。
式(1)及び式(3)によると、形状の傾斜分布∂f/∂x,∂f/∂yは、ある係数a1,a2を用いて、式(5)の様に表される。
すなわち、原器900の移動により、基準面901の形状f’(x,y)にチルト成分(Z2,Z3)とコマ収差成分(Z7,Z8)が表れることとなる。このチルト成分とコマ収差成分は、反射光の波面にも現れ、SHS400に結像される光の波面gにも現れる。
波面gに含まれるZ2,Z3,Z7,Z8成分の大きさをそれぞれc2,c3,c7,c8とすると、これらの係数は原器900の移動量Δx,Δy,Δθx,Δθyとほぼ線形な関係にあり、係数k1,k2,k3,k4により式(6)の関係で結ばれる。
k1〜k4は、原器900をx,y,θx,θy方向に単位量だけ駆動したときの波面変化量を表しており、x,y,θx,θy方向の波面敏感度に相当する。
以上、ステップS102では、各ステージの駆動方向、具体的にはx,y,z,θx,θy方向の波面敏感度を光線追跡(シミュレーション)により算出する(変化量算出工程、変化量算出処理)。つまり、ステップS102では、既知である原器900の設計形状に基づき、基準面901を仮想的に単位量移動させたときに基準面901から反射すると仮定する仮想反射光の仮想の波面変化量を算出する。なお、ステップS101とステップS102の処理は、計測を開始してから行うのではなく、計測前に事前に行っておいてもよい。
なお、本実施形態では波面敏感度をシミュレーションで算出する例を示すが、波面敏感度は実測しても良い。すなわち、原器900を各方向に単位量だけ駆動させる前後で反射光波面を実際に計測し、その差から波面敏感度を見積もっても良い。
次に、原器900を、上述の位置決め機構に従ってホルダ350に搭載する(S103)。このとき、ステージ装置300を構成する各ステージ301,302,303X,303Yは、ステージ原点に移動しておく。これにより、非球面軸900Cが計測光軸100Cに、頂点900Vが装置原点150に、機械精度でおおよそ一致することとなる。
次に、CPU501は、SHS400に入射する光線の傾斜分布∂g/∂ξ、∂g/∂η、つまり基準面901からの実際の反射光の波面(第1波面)を求める(S104:第1波面算出工程、第1波面算出処理)。即ち、ステップS104では、CPU501は、原器900の基準面901に計測光が照射されたときの反射光の検出結果をSHS400から取得して原器900からの反射光の波面を算出する。そして、CPU501は、波面敏感度とステップS104で算出した波面のデータを用いて、基準面901の頂点900Vの位置(第1位置)と非球面軸900Cの傾斜角度(第1傾斜角度)を算出する(S105:傾斜前算出工程、傾斜前算出処理)。
光線の傾斜分布を求める際に、まずCPU501は、撮像センサ402でスポットを撮像した撮像画像を取得する。次に、CPU501は、そのスポット像から、(ξ0,i,η0,i)に光軸が位置するi番目(i=1,2,・・・)のマイクロレンズ411が生成したスポットの位置(ξi,ηi)を求める。その後、これを式(7)に代入してi番目のマイクロレンズ411に入射した光線の傾斜を算出する。
マイクロレンズ411の光軸の位置(ξ0,i,η0,i)は、平行光を入射したときのスポットの位置を計測するなどして、あらかじめ校正しておく。
一般に光の波面とは、光を電磁波として捉えたときの等位相面であり、SHS400で得られる光線の傾斜分布を2次元に亘って積分して得られるものである。但し、等位相面の法線が光線であり、等位相面と光線傾斜分布は一対一に対応する。従って、撮像センサ402に入射される光線傾斜分布を検出することは、等位相面を検出することと等価であり、波面を検出することと等価と考えることができる。
ここで第1実施形態では、CPU501は、ステップS104において、光線傾斜分布を式(2)でフィッティングすることにより、波面gに含まれるZ2,Z3,Z4,Z7,Z8成分の大きさc2,1,c3,1,c4,1,c7,1,c8,1を算出する。このとき、式(2)のcj,0は、cj,1に置き換える。
ステップS105では、CPU501は、頂点900Vの位置W1(x1(=Δx),y1(=Δy))と、θx,θy方向への非球面軸900Cの傾斜角度θx,1(=Δθx),θy,1(=Δθy)を求める。頂点900Vの位置W1及び傾斜角度θx,1,θy,1は大きさc2,1,c3,1,c7,1,c8,1と波面敏感度k1〜k4を式(6)に代入することで求まる。頂点900Vのz軸方向の位置z1については、式(8)で求める。
但し、基準面901の形状や光学系によってはc4,1とz1の関係を線形式で近似できない場合があるので、その場合は2次の項まで考慮する。また、第1実施形態では、波面gに含まれるZ4成分の大きさに基づいてz1を求めたが、軸対称成分であればZ4成分に限らず、例えばZ9成分に基づいて求めても良い。
次に、CPU501は、θy回転ステージ303Yを所定角度だけ駆動する(S106:駆動工程、駆動処理)。つまり、CPU501は、θy回転ステージ303Yを所定角度回転させる。後述のステップS108でθy回転ステージ303Yの回転軸304Yの実位置を精度良く求めるためには、ステップS106で駆動する所定角度は0.1°以上であることが望ましい。
次に、CPU501は、ステップS104と同様、SHS400に入射する光線の傾斜分布∂g/∂ξ、∂g/∂η、つまり基準面901からの実際の反射光の波面(第2波面)を求める(S107:第2波面算出工程、第2波面算出処理)。そして、CPU501は、波面敏感度とステップS107で算出した波面のデータを用いて、基準面901の頂点900Vの位置(第2位置)と非球面軸900Cの傾斜角度(第2傾斜角度)を算出する(S108:傾斜後算出工程、傾斜後算出処理)。
つまりCPU501は、ステップS106にてθy回転ステージ303Yを所定角度回転させた位置で原器900の基準面901に計測光が照射されたときの反射光の検出結果をSHS400から取得する。そして、CPU501は、原器900からの反射光の波面(第2波面)として、そこに含まれるZ2,Z3,Z4,Z7,Z8成分の大きさc2,2、c3,2、c4,2、c7,2、c8,2を算出する。次に、CPU501は、波面敏感度及びc2,2、c3,2、c4,2、c7,2、c8,2から、頂点900Vの第2位置である位置W2(x2,y2,z2)と非球面軸900Cの第2傾斜角度である傾斜角度θy,2を算出する。このとき、θx回転ステージ303Xに対する第1傾斜角度である傾斜角度θx,2も算出する。
次に、CPU501は、算出した頂点900Vの位置W1,W2と、非球面軸900Cの傾斜角度θy,1,θy,2から、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの実位置Oθy(x0,y,z0,y)を算出する(S109)。具体的に説明すると、CPU501は、位置W1,W2と傾斜角度θy,1,θy,2を式(9)に代入して、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの実位置Oθy(x0,y,z0,y)を算出する(回転軸算出工程、回転軸算出処理)。ここで、第1実施形態では、ステップS106による原器900の傾斜角度の角度変化量は、第1傾斜角度θy,1と第2傾斜角度θy,2との角度差(θy,2−θy,1)である。CPU501は、式(9)に従い、角度変化量である角度差(θy,2−θy,1)を用いて、実位置Oθy(x0,y,z0,y)を算出する。なお、角度差(θy,2−θy,1)の代わりに、ステップS106にて回転させたθy回転ステージ303Yの回転角度の変化量を用いてもよい。
式(9)は、W1とW2を結ぶ線分の垂直二等分線が回転軸Oθyを通ることから導出される。
以上、各被検物800の被検面801の形状を計測するに当たり被検面801をアライメントするのに用いるθx回転ステージ303Xの回転軸304Yの実位置Oθy(x0,y,z0,y)が求まる。
次に、CPU501は、θx回転ステージ303Xを所定角度だけ駆動する(S110:駆動工程、駆動処理)。
ここで、θx回転ステージ303Xについては、ステップS107の処理が第1波面算出処理(第1波面算出工程)であり、ステップS108の処理が傾斜前算出処理(傾斜前算出工程)である。つまり、θx回転ステージ303Xについては、頂点900Vの位置W2(x2,y2,z2)が第1位置であり、基準面901の非球面軸900Cの傾斜角度θx,2が第1傾斜角度である。
次に、CPU501は、θx回転ステージ303Xの駆動後、SHS400に入射する光線の傾斜分布∂g/∂ξ、∂g/∂η、つまり基準面901からの実際の反射光の波面(第2波面)を求める(S111:第2波面算出工程、第2波面算出処理)。そして、CPU501は、波面敏感度とステップS111で算出した波面のデータを用いて、基準面901の頂点900Vの位置(第2位置)と非球面軸900Cの傾斜角度(第2傾斜角度)を算出する(S112:傾斜後算出工程、傾斜後算出処理)。
つまり、CPU501は、ステップS110にてθx回転ステージ303Xを所定角度回転させた位置で原器900の基準面901に計測光が照射されたときの反射光の検出結果をSHS400から取得する。そして、CPU501は、原器900からの反射光の波面(第2波面)として、Z2,Z3,Z4,Z7,Z8成分の大きさc2,3、c3,3、c4,3、c7,3、c8,3を算出する。次に、CPU501は、波面敏感度及びc2,3、c3,3、c4,3、c7,3、c8,3から、頂点900Vの第2位置である位置W3(x3,y3,z3)と非球面軸900Cの第2傾斜角度である傾斜角度θx,3を算出する。このとき、θy回転ステージ303Yに対する傾斜角度θy,3も算出する。
以上、ステップS111,S112では、SHS400に入射する光線の傾斜分布を求め、そこから非球面原器の頂点900Vの位置W3(x3,y3,z3)と、θx,θy方向への非球面軸900Cの傾斜角θx,3,θy,3を算出する。
次に、CPU501は、算出した頂点900Vの位置W2,W3と、非球面軸900Cの傾斜角度θx,2,θx,3を用いてθx回転ステージ303Xの回転軸304Xの実位置Oθx(x0,x,z0,x)を算出する(S113)。具体的に説明すると、CPU501は、位置W2,W3と傾斜角度θx,2,θx,3を式(10)に代入して、θx回転ステージ303Xの回転軸304Xの実位置Oθx(x0,x,z0,x)を算出する(回転軸算出工程、回転軸算出処理)。ここで、第1実施形態では、ステップS110による原器900の傾斜角度の角度変化量は、第1傾斜角度θx,2と第2傾斜角度θx,3との角度差(θx,3−θx,2)である。CPU501は、式(10)に従い、角度変化量である角度差(θx,3−θx,2)を用いて、実位置Oθx(x0,x,z0,x)を算出する。なお、角度差(θx,3−θx,2)の代わりに、ステップS110にて回転させたθx回転ステージ303Xの回転角度の変化量を用いてもよい。
なお、ステップS110の前に、θy回転ステージ303Yの位置をステージ原点まで戻す工程と、SHS400に入射する光線傾斜分布を取得する工程と、そこから頂点900Vの位置と非球面軸900Cの傾斜角度を算出する工程とを設けても良い。その上で、ステップS110でθx回転ステージ303Xを駆動する前後での頂点位置と非球面軸の傾斜角度から、ステップS113でθx回転ステージ303Xの回転軸304Xの位置Oθxを求めても良い。また、第1実施形態では、ステージ駆動前後の頂点900Vの位置から回転軸304Xと回転軸304Yの実位置を求めているが、基準面901から特徴づけられる点の位置であれば、どこから求めても良い。例えば、基準面901をフィッティングした球面の曲率中心点や、この曲率中心点や頂点から所定の量だけずれた点の位置から求めても良い。
ここで、一般的な干渉計では、観測できる縞の本数は計測面内でせいぜい50本までであり、例えば原器900がφ50の場合には、0.02度以上傾斜した状態で波面を計測することはできない。
これに対してSHS400では、撮像センサ402の許容入射角度である±5度の範囲に波面の傾斜角度が収まっていれば、マイクロレンズアレイ401が生成したスポットを撮像することができ、その波面の傾斜角度を計測することができる。
図5は、原器を搭載した回転ステージに指示した傾斜角度と、SHSで取得した非球面原器の反射光波面から求めた非球面原器の傾斜角度とを比較した実験の結果を示すグラフである。±0.1°の範囲に亘って、両者は良く一致している。このことから、干渉計では計測できなかった0.1°に及ぶ傾斜角度も、SHS400を用いた波面計測であれば精度良く求められることが示唆される。
よって、第1実施形態では、このようにSHS400のダイナミックレンジが広範囲に及ぶため、回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yを精度良く求めるのに利用している。
図6は、第1実施形態における形状計測方法の形状計測工程を示すフローチャートである。以下、ステップS114〜S119では、ステップS101〜S113で算出した回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yに基づき、被検物800をアライメントして、被検面801の形状を計測する。
最初に、ホルダ350に被検物800を搭載する(S114)。図7(a)は、被検物をホルダに設置した最初の状態を示す模式図である。被検物800の非球面軸800Cは、計測光軸100Cに対して角度Δθy,s傾き、頂点800Vは、装置原点150からずれ量(xs,zs)ずれている。
CPU501は、SHS400に入射する光線の傾斜分布、即ちSHS400に入射する被検面801で反射した反射光の波面を求める(S115)。CPU501は、その波面データから、被検面801の頂点800Vの位置Ws(xs,ys)と、非球面軸800Cのθx、θy方向の傾斜角度Δθx,s,Δθy,sとを、式(2)及び式(6)から求める(S116)。
被検面801は基準面901と同じ設計形状に基づいて形成されているので、ステップS116の計算では、ステップS101で求めた波面敏感度k1〜k4をそのまま用いることができる。
両者の設計形状が異なる場合には、被検面801の設計形状に基づいて別途波面敏感度を計算しておき、この波面敏感度に基づいて被検面801の頂点800Vの位置や非球面軸800Cの傾斜角度を算出することとなる。第1実施形態では、原器900と被検物800との設計形状が同じであるため、図3に示すステップS101〜S113は、図5のステップS114〜S119の前に1度だけ行えばよい。
ステップS116では、被検面801の頂点800Vのz軸方向の位置zsも求める。この値は、対物レンズ205と被検物800との間に測長機700を挿入して計測する。測長機700の原点と装置原点150との関係は、予め校正しておく。
次に、CPU501は、θy回転ステージ303Y及びθx回転ステージ303Xを駆動するのに加え、XYステージ301とZステージ302を駆動する(S117)。
ここでθx回転ステージ303Xとθy回転ステージ303YをそれぞれΔθx,s,Δθy,s動かすだけでは、被検面801の頂点800Vは装置原点150に一致しない。θx回転ステージ303Xとθy回転ステージ303YをそれぞれΔθx,s,Δθy,s動かすだけでは、xyz軸方向にそれぞれ、式(11)で表されるΔX、ΔY、ΔZだけずれた状態となる。
図7(b)は、直動ステージで被検物を移動させた状態を示す模式図である。このずれを補正するため、図7(b)に示すように、XYステージ301をxy方向にそれぞれ−ΔX,−ΔY、Zステージ302を−ΔZだけ駆動する。
図7(c)は、回転ステージで被検物を移動させた状態を示す模式図である。直動ステージ301,302を駆動した上で、θy回転ステージ303YをΔθy,s,θx回転ステージ303XをΔθx,s駆動する。これにより、図7(c)に示すように、非球面軸800Cは計測光軸100Cにアライメントされ、被検面801の頂点800Vは装置原点150にアライメントされる。
次に、CPU501は、アライメントが完了した状態で、SHS400に入射する光線の傾斜分布、即ち被検面801で反射した反射光の波面を求める(S118)。次に、CPU501は、形状計測装置1000に含まれる各光学素子の設計情報に基づいて光線を逆方向に追跡し、被検面801上での反射光光線の傾斜分布を算出する。さらに、この光線傾斜分布から、被検面801の傾斜分布を算出し、これを2次元に亘って積分する。これにより、被検面801の形状を算出する(S119)。
なお、光学系200には、製造誤差に由来する有限の収差が存在し、これが形状データの誤差の要因となる。この誤差を校正するために、形状が既知である基準面901について形状計測装置1000で形状データを取得しても良い。すなわち、既知である基準面901の形状データをfb,1、形状計測装置1000で取得した基準面901の形状データをfb,2、形状計測装置1000で取得した被検面801の形状データをfs,1とする。この時、校正された被検面の形状データfs,2を、fs,2=fs,1+fb,1−fb,2として求めても良い。この様な手順で被検面801の形状データを取得する場合には、光学系200の収差を正しく校正するために、基準面901の頂点900Vと被検面801の頂点800Vの位置を厳密に一致させるのが望ましい。
本実施形態では、非球面量の大きな被検面を計測するために被検面801とSHS400を互いに共役な位置に設置する例を示したが、被検面の非球面量がそう大きくない場合には、両者の共役関係が多少ずれていても良い。この場合には、装置原点を共役面から離し、頂点800Vや頂点901Vを共役面から離れた位置に設置しても良い。但し、その様な場合であっても、基準面901の形状計測によって光学系200の収差を校正する場合には、被検面801の頂点800Vの位置を基準面901の頂点900Vの位置と厳密に一致させるのが望ましい。そのためには、被検面の厳密かつ迅速なアライメントが求められることとなり、そのために、回転ステージ303Xの回転軸304Xと回転ステージ303Yの回転軸304Yの実位置を簡便かつ精密に取得することは重要となる。
以上、第1実施形態によれば、被検面801を傾斜させる回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yの実位置を求める際に、従来のような計測される波面を所定の波面に一致させる複雑で時間のかかる動作を行わなくてもよい。つまり、第1実施形態では、回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yの実位置を求めるために、SHS400で検出される原器900からの反射光の第1波面及び第2波面を取得するだけでよい。そのため、回転ステージ303X,303Yをそれぞれ1回だけ回転させればよく、簡便な作業である。また、これ以外はCPU501による演算だけで良いので、回転ステージ303Y,303Xの回転軸304X,304Yの実位置を取得するのに要する時間を短縮することができる。
また、回転ステージ303Y,303Xの回転軸304X,304Yの実位置を取得するのに要する時間を短縮できるので、被検面801をアライメントするのに要する時間を短縮でき、その結果、形状計測に要する時間を短縮できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る位置算出方法(形状計測方法)について説明する。なお、第2実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置と同様であり、各部の動作、即ちプログラムの内容が第1実施形態と異なる。
次に、第2実施形態に係る位置算出方法(形状計測方法)について説明する。なお、第2実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置と同様であり、各部の動作、即ちプログラムの内容が第1実施形態と異なる。
即ち、第1実施形態では、例えばθy回転ステージ303Yの回転軸304Yを求める場合に、θy回転ステージ303Yだけを駆動し、その駆動前後でSHS400に入射する波面を計測した。ところが、対物レンズ205や結像レンズ206の有効領域には限りがある。この様な状況で回転軸304Yが装置原点150から大きく離れている場合、回転ステージの駆動によって頂点900Vの位置が大きくずれ、駆動後に基準面901からの反射光の一部がSHS400に入射しなくなることがある。そこで、第2実施形態では、回転軸304Yが装置原点150から大きく離れている場合であっても、傾斜後の基準面901からの反射光を全てSHS400に入射させ、回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yを正確に求める方法を示す。
図8は、第2実施形態において回転ステージの回転軸を求める位置算出方法、即ち形状計測方法の位置算出工程を示すフローチャートである。なお、形状計測方法の形状計測工程は、第1実施形態の図6と同じであるため、説明を省略する。
図8に示すステップS201からステップS205までは、第1実施形態の図4のステップS101からステップS105と同様である。
ステップS205終了後には、非球面軸900Cは計測光軸100Cに、頂点900Vは装置原点150に、機械精度でおおよそ一致している。
次に、CPU501は、θy回転ステージ303Yを任意の所定角度Θyだけ駆動すると共に、XYステージ301をx軸方向に以下のΔX’、Zステージ302を以下のΔZ’だけ駆動する(S206:駆動工程、駆動処理)。
(x0,y’,z0,y’)は、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの設計位置である。
つまり、CPU501は、θy回転ステージ303Yを回転させると共に、直動ステージ301,302を直動させて基準面901の位置を調整する。具体的には、CPU501は、式(12)に従い、基準面901の頂点900Vが、装置原点150に近づく方向に直動ステージ301,302を移動させる。
このようなステージ装置300の駆動により、頂点900Vが装置原点150にほぼ固定された状態で、基準面901がθy方向に角度Θy傾斜することとなる。これにより、基準面901を傾斜させた後も、反射光を全てSHS400に入射させることができる。
次に、CPU501は、原器900からの反射光の第2波面を求め(S207)、この時の基準面901の頂点900Vの位置W2(x2’,z2’)を算出する(S208)。
次に、CPU501は、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの位置(x0,y,z0,y)を、式(13)に従って求める(S209)。
ステップS210〜S213では、ステップS206〜S209と同様の方法で、θx回転ステージ303Xの回転軸304Xを求める。
以上、第2実施形態によれば、回転軸304X,304Yが装置原点150から大きく離れている場合であっても、傾斜後の基準面901からの反射光を全てSHS400に入射させ、回転ステージの回転軸を正確に求めることができる。さらには、この回転軸304X,304Yの情報を用いることにより、被検面801を短時間でアライメントすることができる。
ここで、回転軸の設計位置だけに基づいてステージを駆動した場合と、第2実施形態の手法により取得した回転軸の実位置に基づいてステージを駆動した場合とで、アライメント後の被検面の頂点のx軸方向の位置(原点からのずれ量)を比較する実験を行った。回転軸を取得する際の回転ステージの駆動量は、0.1度とした。このとき、設計値のみに基づいてアライメントした後の位置は−4.9μm、第2実施形態の手法により取得した回転軸に基づいてアライメントした後の位置は0.7μmであった。アライメントの必要精度が1μmとすると、回転軸の設計値のみに基づいてアライメントした場合には再度アライメントを行う必要があるが、本手法で取得した回転軸に基づくアライメントであれば、再度アライメントを行う必要がないこととなる。また回転軸を取得するのに要する時間は、1分程度であった。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る位置算出方法(形状計測方法)について説明する。なお、第3実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置と同様であり、各部の動作、即ちプログラムの内容が第1実施形態と異なる。
次に、第3実施形態に係る位置算出方法(形状計測方法)について説明する。なお、第3実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置と同様であり、各部の動作、即ちプログラムの内容が第1実施形態と異なる。
第1実施形態や第2実施形態では、回転ステージ303Yの駆動後には、計測光軸Cに対して基準面901が直交することは無い。θy回転ステージ303Yの駆動量が大きく、駆動後に計測光軸上で基準面901が大きく傾斜していると、その反射光の一部がSHSに入射しなくなることがある。そこで、第3実施形態では、θy回転ステージ303Yの駆動量が大きい場合であっても、傾斜後の基準面901からの反射光を全てSHS400に入射させ、ステージの回転軸を正確に求める方法を示す。なお、第3実施形態では、第2実施形態と同様、図8のフローチャートに従って行う。
第3実施形態では、第2実施形態とはステップS206でのXYステージ301の駆動量ΔX’と、Zステージ302の駆動量ΔZ’が異なる。第3実施形態では、CPU501は、ステップS206において、式(14)で算出される駆動量で各直動ステージ301,302を駆動する。
R0は、基準面901の頂点900Vでの曲率半径の設計値である。つまり、CPU501は、θy回転ステージ303Yを回転させると共に、直動ステージ301,302を直動させて基準面901の位置を調整する。具体的には、CPU501は、式(14)に従い、基準面901がSHS400の共役面に近づく方向に直動ステージ301,302を移動させる。
このようなステージ装置300の駆動により、計測光軸100Cと基準面901との直交状態と、SHS400と基準面901との共役関係をほぼ保ちつつ、基準面901がθy方向に角度Θy傾斜することとなる。これにより、基準面901を傾斜させた後も、反射光を全てSHS400に入射させることができる。なお、式(14)では、R0の代わりに、基準面全面を近似する球面の曲率半径Rfitなどを用いても良い。
ステップS209では式(13)に従ってθy回転ステージ303Yの回転軸304Yの位置を算出するが、この時には式(14)で算出されるΔX’、ΔZ’を代入する。ステップS210、S213も、それぞれ第3実施形態のステップS206、S209と同様に行う。
以上、第3実施形態によれば、θy回転ステージ303Yの駆動量が大きい場合であっても、傾斜後の基準面901からの反射光を全てSHS400に入射させ、回転ステージの回転軸を正確に求めることができる。さらには、この回転軸の情報を用いることにより、被検面801を短時間でアライメントすることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る位置算出方法(形状計測方法)について説明する。なお、第4実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置と同様であり、各部の動作、即ちプログラムの内容が第1実施形態と異なる。また、第1〜第3実施形態では、原器の基準面が非球面である場合について説明したが、第4実施形態では、原器の基準面が球面である場合について説明する。
次に、第4実施形態に係る位置算出方法(形状計測方法)について説明する。なお、第4実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置と同様であり、各部の動作、即ちプログラムの内容が第1実施形態と異なる。また、第1〜第3実施形態では、原器の基準面が非球面である場合について説明したが、第4実施形態では、原器の基準面が球面である場合について説明する。
図9は、第4実施形態において回転ステージの回転軸を求める位置算出方法、即ち形状計測方法の位置算出工程を示すフローチャートである。なお、形状計測方法の形状計測工程は、第1実施形態の図6と同じであるため、説明を省略する。
第4実施形態では、原器の基準面が、曲率半径R0’の球面であり、そのときの回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yを算出する。
非球面では頂点と非球面軸が一意に定義され、第1〜第3実施形態ではそれぞれの位置と傾斜角度を反射光の波面から求め、さらにその値から回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yを求めた。ところが、原器900の基準面901が球面の場合には、非球面軸を一意に定義することはできない。球面から特徴付けられる点として、曲率中心点が挙げられる。
そこで第4実施形態では、この曲率中心点の位置を反射光の波面から求め、その値から回転ステージの回転軸を求める。
まず、CPU501は、SHS400の共役面と原器900の基準面(球面)1006aとが計測光軸100C上で接するように原器900を設置した場合について、SHS400に仮想的に入射する仮想反射光の波面を算出する(S301)。具体的には、仮想反射光の波面に含まれるZ4成分の大きさc4,0’を光線追跡で算出する。
次にCPU501は、原器900をx軸方向へ単位量移動したときの反射光波面中のZ2、Z4成分の波面敏感度Δc2,x,Δc4,xと、z軸方向へ単位量移動したときの反射光波面中のZ4成分の波面敏感度Δc4,zを光線追跡で算出する(S302)。つまり、CPU501は、ステップS302では、波面敏感度として、基準面901からの仮想反射光の波面に含まれるチルト成分の変化量(Δc2,x)と、軸対称成分の変化量(Δc4,z)を求める(変化量算出工程、変化量算出工程)。
次に、ステップS102と同様、原器900をホルダ350に搭載する(S303)。
次に、CPU501は、SHS400に入射する光線の傾斜分布、即ち反射光の波面(第1波面)を取得する(S304:第1波面算出工程、第1波面算出処理)。具体的には、SHS400に入射する光線の傾斜分布を、第1実施形態と同様の方法で取得する。その後、CPU501は、この光線傾斜分布から、SHS400に入射した波面に含まれるZ2,Z4成分の大きさc2,1,c4,1を第1実施形態と同様の方法で算出する。
次にCPU501は式(15)に従い、波面敏感度Δc2,x,Δc4,x及びZ2,Z4成分の大きさc2,1,c4,1等を用いて原器900の曲率中心点(x1’,z1’)の位置(第1位置)を算出する(S305:傾斜前算出工程、傾斜前算出処理)。
次に、CPU501は、θy回転ステージ303Yを所定角度Θyだけ駆動する(S306:駆動工程、駆動処理)。
次に、CPU501は、SHS400に入射する光線傾斜分布(第2波面)、具体的には、波面に含まれるチルト成分と軸対称成分の大きさc2,2,c4,2を取得する(S307:第2波面算出工程、第2波面算出処理)。
次に、CPU501は、原器900の曲率中心点(x2’,z2’)の位置(第2位置)を、ステップS305と同様の方法で算出する(S308:傾斜後算出工程、傾斜後算出処理)。
次に、CPU501は、式(16)に従って、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの位置(x0,y,z0,y)を算出する(S309:回転軸算出工程、回転軸算出処理)。
ここで、第1実施形態では、演算に用いる角度変化量Θyの値を角度差(θy,2−θy,1)とし、傾斜角度θy,2と傾斜角度θy,1の値をSHS400に入射する波面から求めた。ところが原器900の基準面901が球面の場合には、球面に非球面軸が存在しないため、その傾斜角度θy,2,θy,1を定義することはできない。
そこで第4実施形態では、この角度変化量Θyの値を、コントローラ600への指示値又は回転ステージに取り付けたエンコーダの値から求める。即ち、第4実施形態では、CPU501は、ステップS309において、角度変化量として、ステップS306にて回転させたθy回転ステージ303Yの回転角度の変化量を用いる。このようにして取得した角度変化量Θyの値を式(16)に代入することにより、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yを求めることができる。
ステップS310〜S313では、ステップS306〜S309と同様の手順で、θx回転ステージ303Xの回転軸304Xを求める。
第4実施形態によれば、原器900の基準面901を球面としたことで、非球面とするよりも安価に原器を作成することができる。そして、安価な原器900を用いて回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yを求めることができる。さらには、回転軸304X,304Yの情報を用いることにより、被検面801を短時間でアライメントすることができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る形状計測方法について説明する。図10は、第5実施形態における被検物の平面図である。第5実施形態における被検物800は、大口径又は大開角のレンズであり、対物レンズ205が照明できる領域の半径r1よりも被検面801の半径r0が大きい。この場合には、被検面801を半径r1の複数の部分領域に分割し、それぞれの部分領域の形状を計測して繋ぎ合せる必要がある。第5実施形態では、このような場合の形状計測方法について述べる。特に第5実施形態では、r0がr1の2倍程度の場合について説明する。
次に、第5実施形態に係る形状計測方法について説明する。図10は、第5実施形態における被検物の平面図である。第5実施形態における被検物800は、大口径又は大開角のレンズであり、対物レンズ205が照明できる領域の半径r1よりも被検面801の半径r0が大きい。この場合には、被検面801を半径r1の複数の部分領域に分割し、それぞれの部分領域の形状を計測して繋ぎ合せる必要がある。第5実施形態では、このような場合の形状計測方法について述べる。特に第5実施形態では、r0がr1の2倍程度の場合について説明する。
図10に示すように、被検面801を部分領域SA1〜SA9で分割している。部分領域SA1の中心点P1は非球面軸800Cと一致しており、頂点でもある。部分領域(円上部分領域)SA2〜SA9の中心点P2〜P9は、非球面軸800Cを中心とする半径r2の円C81上に45°等配で配置されている。r2は、r0の3/4程度に設定している。
なお、第5実施形態の形状計測装置の構成は、第1実施形態の形状計測装置において、θy回転ステージ303Yとホルダ350との間に不図示のθz回転ステージを追加したものである。ステージ装置300を構成する各ステージがステージ原点に位置し、被検物800が位置決め機構に従ってホルダ350に搭載されている場合に、θz回転ステージを駆動させることで被検物800をz軸まわりに回転させることができる。
CPU501は、ステージ装置300を制御して、複数の部分領域SA1〜SA9に、順次、計測光が照射されるよう、被検物800を移動させる。CPU501は、SHS400に検出されたそれぞれの反射光の波面から各部分領域SA1〜SA9の部分形状データを算出して、各部分形状データを繋ぎ合せることにより、被検物800の被検面801の形状を計測する。
以下、具体的に説明すると、まず、回転ステージ303X,303Yの回転軸304X,304Yの実位置を算出する位置算出方法は、第1実施形態で説明した図4に示す手順と同じである。これにより、CPU501は、θx回転ステージ303Xの回転軸304Xと、θy回転ステージ303Yの回転軸304Yの実位置を取得する。
また、第1実施形態で説明した図6のステップS114〜S119に従って、被検面の部分領域SA1の形状を計測する。ステップS119が完了した後には、被検面801の非球面軸800Cは計測光軸100C、頂点800Vは装置原点150に一致している。
次に、θy回転ステージ303Yを式(17)で算出される角度Θy’だけ駆動すると共に、XYステージ301とZステージ302とをそれぞれ式(18)で算出されるΔX’’、ΔZ’’だけ駆動する。
f(x,y)は、第1実施形態と同じく、基準面901と被検面801の設計形状を表す。式(18)には事前に求めた回転軸の位置x0,y,z0,yが含まれているので、ΔX’’,ΔZ’’だけステージ装置300を駆動することは、求めた回転軸に基づいてステージ装置300を駆動することに相当する。これにより、計測光軸100Cと被検面801が直交し、点P2が装置原点150に一致することとなり、部分領域SA2からの反射光がSHS400上に正確に結像される。ここで、SHS400に入射する光線の傾斜分布をモニタしながら被検面801をアライメントする必要は無い。さらに、SHS400に入射する光線の傾斜分布を取得し、そこから部分領域SA2の形状を算出する。その後は、θz回転ステージの駆動による照明する部分領域の切り替えと、SHS400に入射する光線の傾斜分布をモニタしながらのアライメントと、SHS400に入射する光線の傾斜分布を取得と、照明した部分領域での形状の算出を繰り返す。ここでのアライメントでは、第1実施形態と同様に被検面801の傾斜角を調整するが、その際には、上で求めた回転軸304Xと回転軸304Yの位置に基づいてステージ装置300を駆動する。これにより、部分領域SA1〜SA9の形状を全て取得し、これらを繋ぎ合せて被検面801全面の形状を算出する。
図11は、被検物に設定する部分領域の別の例を示す平面図である。第5実施形態では、r0がr1の2倍程度の場合について説明したが、例えばr0がr1の1.2倍程度の場合には、図11の様に、被検面801を部分領域SA11〜SA14で分割すれば良い。すなわち、中心が測定光軸と一致する様な部分領域を設ける必要はない。この場合には、回転軸の実位置を図4に示す手順で取得した後、ステージ装置300を構成する各ステージをステージ原点に移動し、そこから式17、18に従ってステージ装置300を駆動してSA11を照明する。その後は、SHS400に入射する光線の傾斜分布をモニタしながらのアライメントと、SHS400に入射する光線の傾斜分布を取得と、照明した部分領域での形状の算出と、θz回転ステージの駆動による照明する部分領域の切り替えを繰り返す。
また、第5実施形態では、部分領域SA2〜SA9の中心点P2〜P9が同心円上に配置する例を示したが、これらは必ずしも同心円状に配置する必要はない。これらが同心円状に配置されていない場合には、照明する部分領域を切り替える際に、θz回転ステージに加え、XYステージ301とZステージ302も駆動する。
第5実施形態によれば、照明できる領域よりも大きな被検面801の形状を計測することができる。さらに第5実施形態では、部分領域SA1からの反射光が正確に結像されている状態から、事前に求めた回転軸の位置と被検面801の設計形状に基づいてステージ装置300を駆動することで、部分領域SA2からの反射光をSHS400に正確に結像させる。そのため、SHS400に入射する光線の傾斜角分布を取得して部分領域SA2の形状を算出する直前には、光線傾斜分布をモニタしながらアライメントを行う必要が無く、その分短時間で被検面801の形状を計測することができる。また、その後のSA3〜9の形状を計測する前の各アライメントに要する時間を短縮することが出来る。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
100…光源、100C…計測光軸、150…装置原点、301,302…直動ステージ、303X,303Y…回転ステージ、304X,304Y…回転軸、400…SHS(検出部)、501…CPU(処理部)、800…被検物、800C…非球面軸(中心軸)、800V…頂点、801…被検面、900…原器、900C…非球面軸(中心軸)、900V…頂点、901…基準面、1000…形状計測装置
Claims (18)
- 処理部が、被検物が搭載され、回転軸を中心に回転して光源から照射された計測光の計測光軸に対して前記被検物の被検面の中心軸を傾斜させる回転ステージと、前記被検物を直動させる直動ステージとを制御して、検出部により前記被検面からの反射光を検出し、前記回転軸の実位置に基づき、前記被検面を所定の位置と所定の角度にアライメントする際に用いる、前記回転軸の実位置を算出する位置算出方法であって、
前記処理部が、基準面を有する原器を単位量移動させたときに前記基準面にて反射する反射光の波面変化量を算出する変化量算出工程と、
前記処理部が、前記回転ステージに搭載された前記原器の前記基準面に前記計測光が照射されたときの反射光の検出結果を前記検出部から取得して前記原器からの反射光の第1波面を算出する第1波面算出工程と、
前記処理部が、前記波面変化量及び前記第1波面を用いて前記基準面で特徴づけられる所定の点の第1位置を算出する傾斜前算出工程と、
前記処理部が、前記回転ステージを回転させる駆動工程と、
前記処理部が、前記駆動工程にて前記回転ステージを回転させた位置で前記原器の前記基準面に前記計測光が照射されたときの反射光の検出結果を前記検出部から取得して前記原器からの反射光の第2波面を算出する第2波面算出工程と、
前記処理部が、前記波面変化量及び前記第2波面を用いて前記所定の点の第2位置を算出する傾斜後算出工程と、
前記処理部が、前記所定の点の前記第1位置及び前記第2位置、並びに前記駆動工程による前記原器の傾斜角度の角度変化量から、前記回転ステージの回転軸の実位置を算出する回転軸算出工程と、を備えた位置算出方法。 - 前記変化量算出工程において、前記処理部が、前記波面変化量として、前記原器の設計形状に基づき、設計上の基準面を仮想的に単位量移動させたときに前記設計上の基準面にて仮想的に反射する反射光の波面の変化量をシミュレーションにより求める請求項1に記載の位置算出方法。
- 前記所定の点は、前記被検面の中心軸と前記被検面との交点であり、
前記アライメントは、前記被検面の中心軸と前記被検面との交点を、前記検出部の共役面と前記計測光軸との交点にアライメントすると共に、前記被検面の中心軸を前記計測光軸にアライメントすることである請求項1又は2に記載の位置算出方法。 - 前記変化量算出工程では、前記処理部が、前記波面変化量として、前記基準面からの反射光の波面に含まれる軸対称成分の変化量を求め、
前記第1波面算出工程では、前記処理部が、前記第1波面として、前記基準面からの反射光の波面に含まれる軸対称成分の大きさを求め、
前記第2波面算出工程では、前記処理部が、前記第2波面として、前記基準面からの反射光の波面に含まれる軸対称成分の大きさを求める請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置算出方法。 - 前記回転軸算出工程では、前記処理部が、前記角度変化量として、前記駆動工程にて回転させた前記回転ステージの回転角度の変化量を用いる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置算出方法。
- 前記傾斜前算出工程では、前記処理部が、前記波面変化量及び前記第1波面を用いて前記基準面の中心軸の第1傾斜角度を算出し、
前記傾斜後算出工程では、前記処理部が、前記波面変化量及び前記第2波面を用いて前記基準面の中心軸の第2傾斜角度を算出し、
前記回転軸算出工程では、前記処理部が、前記角度変化量として、前記第1傾斜角度と前記第2傾斜角度との角度差を用いる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置算出方法。 - 前記原器の基準面が非球面であり、
前記変化量算出工程では、前記処理部が、前記波面変化量として、前記基準面からの反射光の波面に含まれるチルト成分及びコマ収差成分の変化量を求め、
前記第1波面算出工程では、前記処理部が、前記第1波面として、前記基準面からの反射光の波面に含まれるチルト成分及びコマ収差成分の大きさを求め、
前記第2波面算出工程では、前記処理部が、前記第2波面として、前記基準面からの反射光の波面に含まれるチルト成分及びコマ収差成分の大きさを求める請求項1乃至6のいずれか1項に記載の位置算出方法。 - 前記原器の基準面が球面であり、
前記変化量算出工程では、前記処理部が、前記波面変化量として、前記基準面からの反射光の波面に含まれるチルト成分の変化量を求め、
前記第1波面算出工程では、前記処理部が、前記第1波面として、前記基準面からの反射光の波面に含まれるチルト成分の大きさを求め、
前記第2波面算出工程では、前記処理部が、前記第2波面として、前記基準面からの反射光の波面に含まれるチルト成分の大きさを求める請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置算出方法。 - 前記駆動工程では、前記処理部が、前記直動ステージを直動させて前記基準面の位置を調整する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の位置算出方法。
- 前記駆動工程では、前記処理部が、前記基準面の中心軸と前記基準面との交点が、前記検出部の共役面と前記計測光軸との交点に近づく方向に前記直動ステージを移動させる請求項9に記載の位置算出方法。
- 前記駆動工程では、前記処理部が、前記基準面が前記検出部の共役面に近づく方向に前記直動ステージを移動させる請求項9に記載の位置算出方法。
- 前記検出部がシャックハルトマンセンサである請求項1乃至11のいずれか1項に記載の位置算出方法。
- 前記処理部が、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の位置算出方法により前記回転ステージの前記回転軸の実位置を算出する位置算出工程と、
前記処理部が、前記回転軸の実位置に基づき、前記被検面を、前記所定の位置と前記所定の角度にアライメントして、前記被検面に前記計測光が照射されたときに前記検出部により検出された前記被検面からの反射光の検出結果を前記検出部から取得し、前記検出部の検出結果に基づき前記被検面からの反射光の波面を求めて前記被検面の形状を計測する形状計測工程と、を備えた形状計測方法。 - 前記形状計測工程では、前記処理部が、前記回転ステージ及び前記直動ステージを制御して、前記被検面の複数の部分領域に、順次、前記計測光が照射されるよう、前記被検物を移動させ、前記検出部に検出されたそれぞれの前記反射光の波面から前記各部分領域の部分形状データを算出して、前記各部分形状データを繋ぎ合せることにより、前記被検物の被検面の形状を計測する請求項13に記載の形状計測方法。
- 計測光を照射する光源と、
被検面を有する被検物が搭載され、回転軸を中心に回転して前記計測光の計測光軸に対して前記被検面の中心軸を傾斜させる回転ステージと、
前記被検物を直動させる直動ステージと、
前記被検面からの反射光を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記被検面からの反射光の波面を求めて前記被検面の形状を計測する際に、前記回転軸の実位置に基づき、前記被検面を所定の位置と所定の角度にアライメントする処理部と、を備え、
前記処理部は、
基準面を有する原器を単位量移動させたときに前記基準面にて反射する反射光の波面変化量を算出する変化量算出処理と、
前記回転ステージに搭載された前記原器の前記基準面に前記計測光が照射されたときの反射光の検出結果を前記検出部から取得して前記原器からの反射光の第1波面を算出する第1波面算出処理と、
前記波面変化量及び前記第1波面を用いて前記基準面で特徴づけられる所定の点の第1位置を算出する傾斜前算出処理と、
前記回転ステージを回転させる駆動処理と、
前記駆動処理にて前記回転ステージを回転させた位置で前記原器の前記基準面に前記計測光が照射されたときの反射光の検出結果を前記検出部から取得して前記原器からの反射光の第2波面を算出する第2波面算出処理と、
前記波面変化量及び前記第2波面を用いて前記所定の点の第2位置を算出する傾斜後算出処理と、
前記所定の点の前記第1位置及び前記第2位置、並びに前記駆動処理による前記原器の傾斜角度の角度変化量から、前記回転ステージの回転軸の実位置を算出する回転軸算出処理と、を実行する形状計測装置。 - コンピュータに請求項1乃至14のいずれか1項に記載の各工程を実行させるためのプログラム。
- 請求項16に記載のプログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
- ワークを加工して部品を製作する工程と、
前記部品を被検物とし、請求項13又は14に記載の形状計測方法で前記被検物の被検面の形状を計測する工程と、を有することを特徴とする部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015198659A JP2017072447A (ja) | 2015-10-06 | 2015-10-06 | 位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015198659A JP2017072447A (ja) | 2015-10-06 | 2015-10-06 | 位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017072447A true JP2017072447A (ja) | 2017-04-13 |
Family
ID=58538657
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015198659A Pending JP2017072447A (ja) | 2015-10-06 | 2015-10-06 | 位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017072447A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115355867B (zh) * | 2022-08-01 | 2024-05-17 | 南京理工大学 | 一种基于Zernike拟合的旋转角度计算方法及装置 |
-
2015
- 2015-10-06 JP JP2015198659A patent/JP2017072447A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115355867B (zh) * | 2022-08-01 | 2024-05-17 | 南京理工大学 | 一种基于Zernike拟合的旋转角度计算方法及装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2369319B1 (en) | Aspheric object measuring method and apparatus | |
WO2007018118A1 (ja) | レンズにおける表裏面の光軸偏芯量の測定方法 | |
JPH1183438A (ja) | 光学式測定装置の位置校正方法 | |
JP5971965B2 (ja) | 面形状計測方法、面形状計測装置、プログラム、および、光学素子の製造方法 | |
JP6000577B2 (ja) | 非球面計測方法、非球面計測装置、光学素子加工装置および光学素子の製造方法 | |
JP5896792B2 (ja) | 非球面計測方法、非球面計測装置および光学素子加工装置 | |
JP2002357415A (ja) | 形状測定装置及び方法、被測定物の製造方法 | |
JP2010164388A (ja) | 測定方法及び測定装置 | |
US20200141832A1 (en) | Eccentricity measuring method, lens manufacturing method, and eccentricity measuring apparatus | |
US11391564B2 (en) | Active alignment technique for measuring tilt errors in aspheric surfaces during optical assembly using lens alignment station (LAS) | |
KR20110065365A (ko) | 비구면체 측정 방법 및 장치 | |
JP6685741B2 (ja) | 形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び光学素子の製造方法 | |
JP2016211933A (ja) | 面形状計測装置、面形状計測方法、及び加工装置、並びにそれによって加工された光学素子 | |
JP2017072447A (ja) | 位置算出方法、形状計測方法、形状計測装置、プログラム、記録媒体及び部品の製造方法 | |
JP2005201703A (ja) | 干渉測定方法及び干渉測定システム | |
JP4802134B2 (ja) | 姿勢変化測定方法および装置 | |
JP4922905B2 (ja) | 回転中心線の位置変動測定方法および装置 | |
JP2006133059A (ja) | 干渉測定装置 | |
TWI596325B (zh) | 決定物體或透明光學元件的資訊的方法與系統以及形成光學組件方法 | |
JP5289026B2 (ja) | 測定方法及び測定装置 | |
JP2010145184A (ja) | 測定方法及び測定装置 | |
JP6821407B2 (ja) | 計測方法、計測装置、光学機器の製造方法および光学機器の製造装置 | |
JP2016142691A (ja) | 形状計測方法、及び形状計測装置 | |
JP2016136120A (ja) | 形状測定方法および形状測定装置 | |
JPH11211611A (ja) | 偏心測定装置 |