JP2010143784A - 分鎖状シリカ粒子よりなるシリカゾル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子成長に必要な塩以外の金属成分を含まず、低粘度で安価であり、且つバインダー力や塗料等の補強効果に優れるシリカゾルを提供することにある。
【解決手段】分鎖状シリカ粒子が分散媒に分散してなるシリカゾルにおいて、
上記分鎖状シリカ粒子は、微粒子が、他の材質からなる接合部を介することなく、微粒子同士が直接結合し一定方向に伸長した主鎖部と、該主鎖部の途中から枝分かれした、少なくとも一箇所の枝分かれ部を有するシリカゾル。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規なシリカゾルとその製造方法に関する。
シリカゾルは、塗料、ゴムのフィラーや各種コーティング材料等として用いられており、シリカゾルに含まれるシリカ粒子として、球状、亜鈴状、鎖状或いは三次元網目構造を有しているものが知られている。中でも、鎖状シリカ粒子を含むシリカゾルは、被膜としたときの膜質や強度を向上させるものとして有用である。
例えば、下記特許文献1には、鎖状或いは線状のシリカ粒子が分散媒に分散したシリカゾルの製造方法が記載されており、下記特許文献2には、表面がシリカ−アルミナに被覆された鎖状シリカ微粒子が分散媒に分散したシリカゾルの製造方法が記載されており、下記特許文献3には、針状(短繊維状)シリカ及びその製造方法が記載されており、下記特許文献4には、球状シリカの一次粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子間を結合させて数珠状に連結及び/又は分岐した形状のコロイダルシリカを用いた印刷用記録媒体用シートが記載されており、下記特許文献5には、球状コロイダルシリカ粒子と該球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカから形成された鉄亜鈴(ダンベル)型の連続で数珠状に連結したシリカ粒子が分散したシリカゾル及びその製造方法が記載されている。
特開平4−187512号公報 特開2002−3212号公報 特開2006−1822号公報 特開平4−201286号公報 国際公開00/15552号パンフレット
しかし、上記特許文献に記載された製造方法により得られたシリカゾルは、粒子成長に必要でない金属成分を多量に含むため半導体分野における使用が難しく、またチクソトロピック性が高いため塗料分野における使用が難しいという問題点があった。更に、高価なレアメタル成分を多量に含むため、コストが高くなる傾向にあった。
従って、本発明の目的は、粒子成長に必要な塩以外の金属成分を含まず、低粘度で安価であり、且つバインダー力や塗料等の補強効果に優れるシリカゾルを提供することにある。
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の形状を有するシリカ粒子を含むシリカゾルが、粒子成長に必要な塩、即ちシリカ、及びアルカリ金属或いは四級アンモニウム塩以外の金属成分を含まず、低粘度かつバインダー力や塗料等の補強効果に優れることを知見し、これを使用することにより、上記課題を解決しうることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、
分鎖状シリカ粒子が分散媒に分散してなるシリカゾルにおいて、
上記分鎖状シリカ粒子は、微粒子が、他の材質からなる接合部を介することなく、微粒子同士が直接結合し、一定方向に伸長した主鎖部と、該主鎖部の途中から枝分かれした、少なくとも一箇所の枝分かれ部を有するシリカゾルを提供することで、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記シリカゾルの好ましい製造方法として、アルカリ性珪酸塩水溶液に、アルカリ性珪酸塩水溶液を脱アルカリして得られる活性珪酸水溶液を加えた後、25℃でpH7.4〜8.2に調整し、続いて60〜100℃で1〜100時間加熱することを特徴とする、シリカゾルの製造方法を提供することで、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記シリカゾルの別の好ましい製造方法として、BET吸着法による換算粒子径が3〜7nmの球状シリカゾル水溶液を、25℃でpH7.5〜11.0に、シリカ固形分を0.1〜20質量%の濃度に調整した後、120〜200℃で0.5〜12時間加熱することを特徴とする、シリカゾルの製造方法を提供することで、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、a)不飽和結合を有するモノマー、b)上記シリカゾル、c)光重合開始剤及びd)有機溶剤を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物を提供することで、上記目的を達成したものである。
本発明のシリカゾルは、低粘度且つ安価であり、水系又は水溶性有機溶媒型塗料等からなる塗膜の補強効果に優れ、更にバインダー能力に優れるため、各種強度・硬度補強剤として好適であり、特にハードコート用光硬化性樹脂組成物に好適に用いられる。
以下、本発明のシリカゾル、並びに該シリカゾルを製造する方法及び該シリカゾルを含有する光硬化性樹脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明のシリカゾルは、分鎖状シリカ粒子を分散媒に分散させたものである。分鎖状シリカ粒子は、微粒子が、他の材質からなる接合部を介することなく微粒子同士が直接結合し、一定方向に伸長した主鎖部と、該主鎖部の途中から枝分かれした枝分かれ部を有するものである。またSEM、FE−SEM及びTEM等の電子顕微鏡を用いて50、000〜100、000倍に拡大した際、視野に存在する粒子の観察で、単独な球状粒子ではなく上記分鎖状シリカ粒子の形態で存在している粒子の粒子数が、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90〜100%の範囲のものである。分鎖状シリカ粒子の粒子数が50%未満のものでは、球状粒子からなるシリカゾルと同等の性能となってしまうため好ましくない
上記分鎖状シリカ粒子は、BET吸着法による換算粒子径が通常1〜100nm、好ましくは5〜50nmであり、また枝分かれしていない一番長い鎖(主鎖部)の長さを長径、枝分かれしている中で一番長い鎖(枝分かれ部)の長さを短径と定義すると、短径に対する長径のアスペクト比(長径〔nm〕/短径〔nm〕)は4以上、好ましくは30以上、更に好ましくは100以上3000未満である。アスペクト比が4未満であると、球状粒子からなるシリカゾルと同等の性能となってしまうため好ましくなく、3000を超えると、シリカ粒子の結合が進んで粒子が沈降し易くなりコロイドゾルとして好ましくない。
上記分鎖状シリカ粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡を用いて50、000〜100、000倍に拡大した際、視野に存在する粒子の肉眼による観察で、長径方向に連続する微粒子の数と短径方向に連続する微粒子の数を数えて、それらの比から計算する。
上記分鎖状粒子において、主鎖部が一定方向に伸長する状態は、例えば、直線状に、或いは屈曲して又は曲線状に蛇行しながら一定方向に伸長している。また主鎖部は、太さが全長にわたりほぼ一様である形状や、略球状の多数のシリカ粒子が数珠状の連結した形状をとり得る。

次に、本発明のシリカゾルの好ましい製造方法について説明する。
本発明のシリカゾルを製造する方法には二つある。
一つ目は、(A)アルカリ性珪酸塩水溶液に、アルカリ性珪酸塩を脱アルカリして得られる活性珪酸水溶液を加えた後、25℃でpH7.4〜8.2に調整する工程、(B)調整した水溶液を60〜100℃で1〜100時間加熱する湿熱反応工程を含む方法である。
二つ目は、(C)BET吸着法による換算粒子径が3〜7nmの球状シリカゾル水溶液を、25℃でpH7.5〜11.0に、シリカ固形分を0.1〜20質量%の濃度に調整する工程、(D)調整した水溶液を120〜200℃で0.5〜12時間加熱する湿熱反応工程を含む方法である。

先ず一つ目の方法について説明する。
(A)行程
先ず、アルカリ性珪酸塩水溶液を準備する。アルカリ性珪酸塩水溶液としては、市販の珪酸及びアルカリ金属が結合した珪酸ナトリウム水溶液、珪酸カリウム水溶液、珪酸リチウム水溶液、或いは珪酸及びアルカリ土類金属が結合した珪酸カルシウム水溶液、珪酸マグネシウム水溶液等の中から1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも珪酸ナトリウム及び珪酸リチウムが、入手が容易でコストが低いので好ましい。
上記アルカリ性珪酸塩水溶液とは別に、活性珪酸水溶液を準備する。該活性珪酸水溶液としては、一般的に活性珪酸と称せられるものを用いることができる。具体的には、アルカリ性珪酸塩水溶液を、シリカ固形分換算で0.5〜10質量%含有するようにイオン交換水或いは蒸留水で希釈した後、陽イオン交換膜或いは陽イオン交換樹脂で脱アルカリ処理した弱酸性珪酸水溶液を用いることができる。上記脱アルカリ処理は、除去後の弱酸性珪酸水溶液が安定に得られる方法であれば上記方法に制限されるものではない。
上記活性珪酸水溶液の濃度は、水溶液を120℃、3時間の条件下で乾燥した時の乾燥固形分で0.5〜10質量%の濃度が好ましく、1〜7質量%が更に好ましい。濃度が0.5質量%未満であると、工業レベルで経済的な濃度に濃縮する時に時間とエネルギーが多量に必要になり好ましくない。濃度が10質量%を超えると、製造後、速やかに珪酸成分が重合し、活性珪酸として安定して使用できる可使時間が短いため不適である。
次に、準備したアルカリ性珪酸塩水溶液に、アルカリ性珪酸塩水溶液を脱アルカリして得られる活性珪酸水溶液を添加する。具体的には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むアルカリ性珪酸塩水溶液に、活性珪酸水溶液を自然滴下又はフィードポンプ等を用いて、混合液中のシリカ固形分と金属酸化物の質量比が6:1〜200:1(前者:後者)の範囲、更に好ましくは20:1〜150:1の範囲となるように、また、混合後のpHが6.5〜10.0の範囲となるように配合する。金属酸化物に対してシリカ固形分が質量比で6よりも少なくなると、一旦分鎖状に成長した粒子が溶解し、単分子になってしまうため不適である。また金属酸化物に対してシリカ固形分が質量比で150よりも多くなると、得られた水溶液が不安定になる傾向があり不適である。尚、上記活性珪酸水溶液は、撹拌を充分行って、均一に混合しながら添加することが好ましい。また温度は加熱処理を行わず自然に設定される温度で良いが、3〜50℃が好ましく、更に好ましくは5〜40℃である。
次に、アルカリ性珪酸塩及び活性珪酸水溶液の混合水溶液にpH調整剤を添加し、25℃で7.4〜8.2の範囲、好ましくは7.6〜7.9の範囲に調整する。pHが7.4未満の場合、続けて行う湿熱反応時にシリカ成分がゲル化し沈殿するため不適である。pHが8.2を超えた場合、目的とする分鎖状シリカ粒子が得られず、球状シリカ粒子となるため不適である。
上記pH調整剤としては、酸性物質及びアルカリ性物質を使用することができる。該酸性物質としては、活性珪酸を追加添加するか、水溶性の無機酸又は有機酸を有効成分1〜5質量%に薄めたものを1種又は2種以上使用することができる。該水溶性の無機酸としては、塩酸、硫酸及び硝酸が、該水溶性の有機酸としては、酢酸及びギ酸が、入手容易なため好ましい。また、該アルカリ性物質としては、水溶性の無機アルカリである珪酸ソーダ、珪酸カリ、苛性ソーダ、或いは有機アルカリであるアミン等を1種又は2種以上使用することができ、珪酸ソーダが入手容易なため好ましい。
<B工程>
本工程では、上記<A工程>で準備した混合水溶液の湿熱反応を行う。具体的には、pHを調整したアルカリ性珪酸塩及び活性珪酸水溶液の混合水溶液を、撹拌しながら60〜100℃、好ましくは80〜100℃で1〜100時間加熱することにより行う。温度が60℃未満の場合、粒子成長が極端に遅くなり、経済的に不適となる。100℃を超える場合、水が沸騰するためオートクレーブ等の圧力容器が必要となり、工業的に好ましくない。反応時間は特に制限はないが、時間延長と共に粒子が大きくなるので目標とする粒子径に必要な時間を選択するようにする。

次に二つ目の製造方法について説明する。
<C工程>
先ず、BET吸着法による換算粒子径が3〜7nmの球状シリカゾル水溶液を準備する。該BET吸着法による換算粒子径が3〜7nmの球状シリカゾル水溶液としては、市販のシリカゾル、すなわちアデライトMS−15SS(株式会社ADEKA製:シリカ濃度15%、換算粒子径5〜6nm)やアデライトMS−20SS(株式会社ADEKA製:シリカ濃度20%、換算粒子径6〜7nm)を使用することができる。更に、アルカリ性珪酸塩水溶液を脱アルカリして得られる活性珪酸水溶液にアルカリ性珪酸塩水溶液を添加する事でpH調整したもの(換算粒子径3〜5nm)を使用することも出来る。
次に、BET吸着法による換算粒子径が3〜7nmの球状シリカゾル水溶液(或いはアルカリ性珪酸塩水溶液を脱アルカリして得られる活性珪酸水溶液にアルカリ性珪酸塩水溶液を添加する事でpH調整したもの(換算粒子径3〜5nm))に、pH調整剤を添加し、25℃で6.5〜12.0、好ましくは7.5〜11.0、更に好ましくは8.0〜10.5に調整する。pHが6.5未満の場合、加熱処理時にシリカ成分がゲル化し、水溶液全体が寒天状になり流動性を失うため不適である。pH12.0を超える場合、加熱処理時、異常成長反応を起こしシリカ成分が固化・分離するため不適である。
pHを調整した混合水溶液中のシリカ固形分の濃度は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%に調整する。0.1質量%未満の場合、濃縮工程に時間がかかって工業的に好ましくなく、また単位時間辺りに製造されるシリカゾルの絶対量が少なくなるのでコストがかかり不適である。20質量%を超えた場合、シリカゾルの安定性が悪くなるため不適である。
<D工程>
本工程では、上記<C工程>で準備した混合水溶液の湿熱反応を行う。具体的には、pHを調整した混合水溶液を、撹拌しながら120〜200℃、好ましくは130〜180℃で加熱することにより行う。加熱処理は、一般的な名称でオートクレーブと称される枚葉式の攪拌装置が付いた圧力容器を用いることができるが、これに制限されるものではない。加熱時間は0.5〜12時間、好ましくは1〜8時間であるのが工業的に好ましい。
以上説明した本発明の製造方法では、上記<B工程>及び<D工程>において、加熱反応を上記の時間内で中止し、続いて公知の粒子成長方法、即ち、例えばアルカリ種としてのアルカリ性珪酸塩を加えて均一に溶解させ、更に活性珪酸水溶液を追加添加する等の工程を導入してもよい。この際、所定量の活性珪酸を一度に添加するとゲル化しやすくなるので、徐々に添加することが好ましい。この公知の工程を導入することにより、本発明のシリカゾルにおける分鎖状シリカ粒子の連結部分が強化される。
本発明の製造方法により得られたシリカゾルは、このままで用いてもよいが、中空糸濃縮、限外濾過膜濃縮、蒸発濃縮等の任意の濃縮工程を設けて濃縮したものを用いてもよい。
また、本発明のシリカゾルは、シリカ粒子の粒子表面を分鎖状に成長させた後、公知のアルミ処理又はシランカップリング剤処理等の方法で親有機溶媒化処理し、続いて水溶性有機溶剤に溶剤置換することにより得られる、水溶性有機溶剤系シリカゾルとして用いることもできる。
以上説明した本発明のシリカゾルは、分散質である分鎖状シリカ粒子が、微粒子が、他の材質からなる接合部を介することなく、微粒子同士が直接結合し、一定方向に伸長した主鎖部と、該主鎖部の途中から枝分かれした、少なくとも一箇所以上の枝分かれ部を有する。また、粒子成長に必要な塩、即ちシリカ、及びアルカリ金属或いは四級アンモニウム塩以外の金属成分を含まず、粒子成長に必要でない金属成分、特に高価なレアメタル成分を含まない。このような特徴を有する本発明のシリカゾルは、低粘度で安価であり、且つバインダー力や塗料等の補強効果に優れる。
従って、本発明のシリカゾルは、以下に説明する光硬化性樹脂組成物の他、広範な用途に用いられる。具体的には、ハードコート剤、樹脂改質剤、表面処理剤、塗料添加剤、触媒、研磨材、スリップ防止剤、液晶用スペーサー、繊維処理剤、結合剤、接着剤、高分子凝集剤、トナー、洗浄剤、CMPスラリー、半導体封止樹脂、半導体用フィラー、ゴムフィラー、化粧品、歯科材料、ナノコンボジット、感熱記録体、感光性フィルム、滓下げ剤等に用いることができる。

次に、本発明の光硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、a)不飽和結合を有するモノマー、b)本発明のシリカゾル、c)光重合開始剤及びd)有機溶剤を含有することを特徴とする。
上記a)不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸N−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。
上記c)光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、チオキサントン/アミン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、並びに特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特開2005−97141号公報、特表2006−516246号公報、特許第3860170号公報、特許第3798008号公報、WO2006/018973号公報に記載の化合物等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンが好ましい。
上記d)有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセルソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの中でも、ケトン類或いはセロソルブ系溶媒が好ましい。これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物において、a)不飽和結合を有するモノマーの含有量は10〜95質量%、好ましくは20〜50質量%、b)本発明のシリカゾルの含有量は10〜90質量%、好ましくは15〜70質量%、c)光重合開始剤の含有量は0.05〜10質量%、好ましくは0.5〜15質量%であり、d)有機溶剤の含有量は、a)不飽和結合を有するモノマー、b)本発明のシリカゾル及びc)光重合開始剤の合計量100部に対し、0.5〜900部、好ましくは1〜100部である。
本発明の光重合性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブテン、ニトロセルロース、スチレンブタジエンブロックコポリマー水添物等の熱可塑性高分子化合物;無機フィラー、有機フィラー、顔料等の充填剤;結合剤;消泡剤;増粘剤;難燃剤;光安定剤;熱安定剤;保存安定剤;酸化防止剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;シランカップリング剤;重合禁止剤;表面改質剤;帯電防止剤;可塑剤;滑剤等の各種添加剤等を添加することができるが、本発明の光硬化性樹脂組成物の総量に対して20質量%以下とすることが好ましい。
以下、実施例、評価例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
下記実施例1〜10は、シリカゾル1〜10の製造例を示し、評価例1〜4は、実施例3で得られたシリカゾルを含有する光硬化性樹脂組成物を用いたハードコートフィルムの評価例を示す。また下記比較例1〜4は、比較シリカゾル1〜4の製造例を示し、比較評価例1〜4は、比較例1で得られたシリカゾルを含有する光硬化性樹脂組成物を用いたハードコートフィルムの評価例を示す。
〔実施例1〕シリカゾル1の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた1Lの四口フラスコに三号珪酸ナトリウム(代表値:SiO2=29.5質量%、Na2O=9.5質量%含有)を5.70g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃に保持し、1時間かけて滴下した。滴下終了後、有効成分濃度1%に希釈した塩酸水溶液を29.5g添加し、混合水溶液のpHを7.79に調整した。続いて撹拌しながら温度を90℃へ上げ、40時間保持した後冷却した。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が312m3/gで換算粒子径9.2nmでアスペクト比270の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例2〕シリカゾル2の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた2Lの四口フラスコに市販の三号珪酸ナトリウム(代表値:SiO2=29.5質量%、Na2O=9.5質量%含有)を5.70g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃に保持しながら、1時間かけて滴下した。滴下終了後、有効成分濃度1%に希釈した塩酸水溶液を32.5g添加し、混合水溶液のpHを7.72に調整した。続いて撹拌しながら温度を93℃へ上げ、4時間保持した。続いて三号珪酸ナトリウム4.74gをイオン交換水100.0gで希釈したアルカリ性珪酸塩水溶液を20分間かけて滴下した。別途、市販の三号珪酸ナトリウムをイオン交換水で質量比換算5倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に93℃の温度に保持しながら、1時間かけて滴下した後、4時間保持した。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が259m3/gで換算粒子径10.5nmでアスペクト比940の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例3〕シリカゾル3の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた3Lの四口フラスコに三号珪酸ナトリウム(代表値:SiO2=29.5質量%、Na2O=9.5質量%含有)を5.70g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃に保持しながら、1時間かけて滴下した。滴下終了後、有効成分濃度1%に希釈した塩酸水溶液を25.8g添加し、混合水溶液のpHを7.84に調整した。続いて撹拌しながら温度を95℃へ上げ、4時間保持した。続いて三号珪酸ナトリウム4.74gをイオン交換水100.0gで希釈したアルカリ性珪酸塩水溶液を20分間かけて滴下した。別途、一般市販の三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で5倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に95℃の温度に保持しながら、1時間かけて滴下した後、4時間保持した。更にこの追加添加反応をもう1度繰り返した。得られたシリカゾルはBET吸着法による比表面積が211m3/gで換算粒子径12.9nmでアスペクト比1750の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例4〕シリカゾル4の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた3Lの四口フラスコにリチウムシリケート(本荘ケミカル製:SiO2=20質量%、Li2O=5質量%)を12.7g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液をリチウムシリケートとイオン交換水の混合水溶液に25℃の温度に保持しながら、1時間かけて滴下した。滴下終了後、有効成分濃度1%に希釈した塩酸水溶液を37.1g添加し、混合水溶液のpHを7.78に調整した。続いて撹拌しながら温度を95℃へ上げ、4時間保持した。続いてリチウムシリケート10.54gをイオン交換水100.0gで希釈したアルカリ性珪酸塩水溶液を20分間かけて滴下した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で5倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を前記の混合水溶液に95℃の温度を保持しながら、1時間かけ滴下した後、4時間保持した。更にこの追加添加反応をもう1度繰り返した。得られたシリカゾルはBET吸着法による比表面積が224m3/gで換算粒子径12.1nmでアスペクト比1390の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例5〕シリカゾル5の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた1Lの四口フラスコに三号珪酸ナトリウム(代表値:SiO2=29.5質量%、Na2O=9.5質量%含有)を5.70g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を1570g得た。活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃の温度に保持し、1時間かけ滴下した。得られた混合水溶液のpHを7.78であった。続いて撹拌しながら温度を90℃へ上げ、4時間保持したのち冷却した。得られたシリカゾルはBET吸着法による比表面積が392m3/gで換算粒子径6.9nmでアスペクト比1500の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例6〕シリカゾル6の製造
アデライトMS−15SS(株式会社ADEKA製:SiO2=15質量%、平均粒子径=5.6nm、pH10.5)を300mLのSUS製オートクレーブ(耐圧ガラス工業株式会社製)に250質量部入れ、撹拌しながら150℃で1時間、成長反応を行った。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が254m3/gで換算粒子径=10.7nmでアスペクト比4〜10の亜鈴状シリカ粒子及び分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例7〕シリカゾル7の製造
反応時間を5時間にした以外は実施例6と同様にして反応を行った。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が214m3/gで換算粒子径=12.7nmでアスペクト比730の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例8〕シリカゾル8の製造
アデライトMS−20SS(株式会社ADEKA製:SiO2=20質量%、平均粒子径=6.3nm、pH10.1)を300mLのSUS製オートクレーブ(耐圧ガラス工業株式会社製)に250質量部入れ、撹拌しながら150℃で5時間、成長反応を行った。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が193m3/gで換算粒子径=14.1nmでアスペクト比600の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例9〕シリカゾル9の製造
三号珪酸ナトリウム水溶液(代表値:SiO2=29.5% Na2O=9.5%)5.70質量部をイオン交換水100質量部で希釈した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃に保持し、1時間かけ滴下した。得られた混合液はpH7.86であった。この混合液を250g分取し、実施例7と同様にして加熱反応を実施した。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が250m3/gで換算粒子径=10.9nmでアスペクト比950の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔実施例10〕シリカゾル10の製造
反応温度を200℃に変更した以外は実施例7と同様にして反応を行った。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が77.5m3/gで換算粒子径=35.1nmでアスペクト比820の分鎖状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔比較例1〕比較シリカゾル1の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた3Lの四口フラスコに三号珪酸ナトリウム(代表値:SiO2=29.5質量%、Na2O=9.5質量%含有)を5.70g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃の温度に保持しながら、1時間かけて滴下した。滴下終了後、有効成分濃度1%に希釈した塩酸水溶液を12.3g添加し、混合水溶液のpHを8.28に調整した。続いて撹拌しながら温度を95℃へ上げ、4時間保持した。続いて三号珪酸ナトリウム4.74gをイオン交換水100.0gで希釈したアルカリ性珪酸塩水溶液を20分間かけて滴下した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で5倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。この活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に95℃の温度に保持しながら、1時間かけて滴下した後、4時間保持した。更にこの追加添加反応をもう1度繰り返した。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が215m3/gで換算粒子径12.6nmでアスペクト比1の球状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔比較例2〕比較シリカゾル2の製造
撹拌機、還流器、温度計及びフィードポンプを付けた1Lの四口フラスコに三号珪酸ナトリウム(代表値:SiO2=29.5質量%、Na2O=9.5質量%含有)を5.70g入れ、イオン交換水を100.0g追加添加し撹拌し均一化した。別途、三号珪酸ナトリウムをイオン交換水により質量比換算で10倍希釈したアルカリ性珪酸塩希釈液を陽イオン交換樹脂(三菱化学製アンバーライトIR−120B)に通液し、脱アルカリした活性珪酸水溶液を800.0g得た。活性珪酸水溶液を三号珪酸ナトリウムとイオン交換水の混合水溶液に25℃に保持し、1時間かけ滴下した。滴下終了後、有効成分濃度1%に希釈した塩酸水溶液を40.1g添加し、混合水溶液のpHを7.32に調整した。続いて撹拌しながら温度を90℃へ上げ、熟成反応を開始したが、昇温後、30分間後に混合水溶液系全体が増粘・ゲル化し、目的のシリカゾルを得ることができなかった。
〔比較例3〕比較シリカゾル3の製造
アデライトAT−300S(株式会社ADEKA製:SiO2=30質量%、平均粒子径=9.2nm、pH10.2)をイオン交換水で2倍希釈し、300mLのSUS製オートクレーブ(耐圧ガラス工業株式会社製)に250質量部入れ、撹拌しながら150℃で5時間、成長反応を行った。得られたシリカゾルは、BET吸着法による比表面積が159m3/gで換算粒子径=17.1nmでアスペクト比1の球状シリカ粒子が分散してなるシリカゾルであった。
〔比較例4〕比較シリカゾル4の製造
有効成分1%に希釈した塩酸でpH7.3に調整した以外は実施例7と同様にして反応を行った。昇温途中でシリカゾル全体が寒天状にゲル化し目的とする安定した水溶液を得る事が出来なかった。
〔評価例1〜4及び比較評価例1〜4〕光硬化性樹脂組成物の評価
実施例3及び比較例1で得られたシリカゾルにアルミン酸ナトリウムを添加し、酸性からアルカリ性にわたる広いpH範囲で安定化させた後、d)成分であるプロピレングリコールメチルエーテル(PGMe)を添加しながら共沸により水を抜く溶剤交換処理を行い、水分含有量1.0質量%以下、且つシリカ固形分濃度30質量%の溶剤置換鎖状又分鎖状シリカゾル((b)成分)および溶剤置換球状シリカゾル((b)成分の比較品)をそれぞれ得た。得られたシリカゾルを、(a)成分であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート混合物(日本化薬製カヤラッドDPHA)に対して、[表1]に示すシリカ固形分濃度で混合し、(c)成分である光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバガイギー製イルガキュア184)を全固形分に対して10質量%配合し、光硬化性樹脂組成物を得た。#10バーコーターで易密着処理PETフィルムに塗工した後、80℃に保温した乾燥庫に2分間放置し溶剤を蒸発させた。次いで高圧水銀灯を用いて300mJ/cmのエネルギーをかけ、ハードコートフィルムを得た。得られたフィルムを65%RHの湿度に保った防湿庫に1晩放置した後、これらを試験片として以下の試験を行った。
〔評価方法〕
硬度試験:鉛筆硬度試験機でJIS K 5400に従って表面硬度を測定した。
耐擦傷性試験:#0000のスチールウール上に1000g/cm2の荷重をかけて100往復させた後、透過光の濁度(HAZE値)を測定した。
透明性試験:日本電飾社製ヘーズメーターNDH−5000でJIS K 7105に従って透過率を測定した。
[表1]より以下のことが明らかである。分鎖状シリカ粒子が分散してなる本発明のシリカゾルを配合した硬化膜は、鉛筆硬度すなわち表面硬度が高く、耐擦傷性が高く、高い透明性を有している。
図1は実施例1で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図2は実施例2で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図3は実施例3で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図4は実施例4で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図5は実施例5で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図6は実施例6で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図7は実施例7で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図8は実施例8で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図9は実施例9で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図10は実施例10で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図11は比較例1で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 図12は比較例3で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. 分鎖状シリカ粒子が分散媒に分散してなるシリカゾルにおいて、
    上記分鎖状シリカ粒子は、微粒子が、他の材質からなる接合部を介することなく、微粒子同士が直接結合し、一定方向に伸長した主鎖部と、該主鎖部の途中から枝分かれした、少なくとも一箇所の枝分かれ部を有するシリカゾル。
  2. 上記主鎖部の長さを長径、上記枝分かれ部の中で一番長い鎖の長さを短径とすると、短径に対する長径のアスペクト比(長径/短径)が4以上である請求項1記載のシリカゾル。
  3. 請求項1又は2記載のシリカゾルの製造方法であって、アルカリ性珪酸塩水溶液に、アルカリ性珪酸塩水溶液を脱アルカリして得られる活性珪酸水溶液を加えた後、25℃でpH7.4〜8.2に調整し、続いて60〜100℃で1〜100時間加熱することを特徴とする、シリカゾルの製造方法。
  4. 請求項1又は2記載のシリカゾルの製造方法であって、BET吸着法による換算粒子径が3〜7nmの球状シリカゾル水溶液を、25℃でpH7.5〜11.0に、シリカ固形分を0.1〜20質量%の濃度に調整した後、120〜200℃で0.5〜12時間加熱することを特徴とする、シリカゾルの製造方法。
  5. pHを調整するための酸性物質として、アルカリ性珪酸塩水溶液を脱アルカリした活性珪酸水溶液、水溶性無機酸及び水溶性有機酸からなる群から選択される、1種又は2種以上の混合物を用いる、請求項3又は4記載の製造方法。
  6. a)不飽和結合を有するモノマー、b)請求項1又は2記載のシリカゾル、c)光重合開始剤及びd)有機溶剤を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
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