JP2010143511A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コースト走行状態で、必要な目標減速駆動力が得られるように、モータ/ジェネレータMGを回生動作させるとともに、自動変速機ATの変速比を制御する減速走行制御を実行する統合コントローラ10を備え、この統合コントローラ10は、減速走行制御の実行時に、バッテリ充電量が、あらかじめ設定された第1閾値を越えた際に、自動変速機ATの変速比を、目標減速駆動力よりも大きなエンジンフリクションが得られる充電量高時変速比とするとともに、HEVモードでモータ/ジェネレータMGを力行動作状態として、バッテリ4の放電を行なうHEV放電処理を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置とした。
【選択図】図1
Description
また、近年、下り坂でのコースト走行時に、車両に減速度を与え、一定車速で走行するいわゆるエンブレ走行を行なうことを可能として、運転者に違和感を与えない品質の高い制御が求められている。
このように、バッテリが満充電状態となると、バッテリが過充電されて、バッテリの劣化を招くおそれがある。また、このようなバッテリの過充電を防止すべく回生動作を解除した場合は、減速駆動力が得られなくなり、一定速度に保つことができなくなるという問題があった。
すなわち、有段変速機の変速比を充電量高時変速比とすることで、エンジンフリクションが目標減速駆動力よりも大きくなる。一方、モータ/ジェネレータを力行動作状態とし、目標減速駆動力から負側に超過したエンジンフリクション相当分の正側のモータトルクに制御することで、目標減速駆動力を得ることができる。
したがって、有段変速機を備えたハイブリッド車両において、下り坂のコースト走行時などに、目標減速駆動力を得ながら、バッテリを放電させて、バッテリの過充電を防止することができる。
本実施の形態のハイブリッド車両の制御装置は、エンジン(Eng)とモータ/ジェネレータ(MG)とが有段変速機(AT)の入力軸に連結され、前記エンジン(Eng)および前記モータ/ジェネレータ(MG)の駆動力を駆動輪(RR,RL)に伝達するHEVモードの走行が可能なハイブリッド車両の制御装置であって、コースト走行状態を検出するコースト状態検出手段(10,16,20)と、バッテリ(4)の充電量を検出するバッテリ充電量検出手段(2)と、前記有段変速機(AT)の変速比を制御する変速比制御手段(7)と、前記コースト走行状態で、必要な目標減速駆動力が得られるように、前記モータ/ジェネレータ(MG)のトルクを回生動作状態に制御するとともに、前記有段変速機(AT)の変速比を制御する減速走行制御を実行する駆動力制御手段(10)と、を備え、前記駆動力制御手段(10)は、前記減速走行制御の実行時に、バッテリ充電量が、あらかじめ設定された第1閾値(Vs1)を越えた際に、前記有段変速機(AT)の変速比を、前記目標減速駆動力よりも大きなエンジンフリクションが得られる充電量高時変速比(Rhev1)とするとともに、前記HEVモードで前記モータ/ジェネレータ(MG)を力行動作状態として、前記バッテリ(4)の放電を行なうHEV放電処理を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置である。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
なお、本実施例1では、EVモードにおいて、モータ/ジェネレータMGのトルクを力行動作状態として正としてモータ/ジェネレータMGの駆動力で走行するEV走行モードと、モータ/ジェネレータMGのトルクを回生により負として減速走行するEV減速走行モードと、を形成可能としている。
「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態として、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの駆動力で走行するモードである。なお、本実施例1では、このHEVモードにおいて、エンジン走行モード、モータアシスト走行モード、走行発電モード、HEV減速走行モードを形成可能としている。
エンジン走行モードは、モータ/ジェネレータMGのトルクを0として、エンジンEngの正トルクで走行するモードである。
モータアシスト走行モードは、エンジンEngのトルクならびにモータ/ジェネレータMGのトルクを両方正として走行するモードである。
走行発電モードは、エンジンEngのトルクを正とする一方、モータ/ジェネレータMGのトルクを負とした回生動作状態として、モータ/ジェネレータMGにより発電を行ないながら走行するモードである。
HEV減速走行モードは、走行発電モードとは逆に、モータ/ジェネレータMGのトルクを正とした力行動作状態としながら、エンジンEngのトルクはフリクションによりモータ/ジェネレータMGのトルクよりも絶対値の大きな負の値として、減速走行するモードである。
前記「WSCモード」は、例えば、「EVモード」からの発進時、または、「HEVモード」からの発進時、第2クラッチCL2をスリップ締結状態とし、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start clutch」の略である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
さらに、本実施例1では、下り坂センサ23が設けられており、統合コントローラ10は、下り坂走行状態を検出できる。なお、下り坂センサ23としては、車両における重力加速度を検出するGセンサを用いることができるとともに、道路情報が記憶されたいわゆるナビゲーションシステムや、車外の情報機器から道路情報を入力する手段や、画像入力手段からの入力画像に基づいて下り坂を判定する手段などを用いることができる。
また、充電量高時変速比Phev1がいったん選択された場合には、放電フラグが設定され、この放電フラグが設定されている間は、後述するステップS8の通常変速比Rnの選択が回避される。この放電フラグは、後述するステップS7の充電量低時変速比Rhev2の選択がなされるか、下り坂走行を終了するかで、リセットされる。
続くステップS5では、モータトルクを決定する処理を行う。ここで、モータトルクは、目標減速駆動力とエンジンフリクショントルクとの差分に基づいて求める。すなわち、ステップS4からS5に至る条件では、エンジンフリクションが目標減速駆動力を上回っており、この場合、モータトルクは、正の差分に決定され、モータ/ジェネレータMGは、力行動作状態となる。一方、後述するステップS7→S5と進む条件では、エンジンフリクションが目標減速駆動力を下回り、この場合、モータトルクは、負の差分に決定され、モータ/ジェネレータMGは、回生動作状態となる。
なお、エンジンフリクションは、変速比に基づいて得られるエンジン駆動力および第1クラッチCL1容量から決定される。
また、充電量低時変速比Phev2がいったん選択された場合には、充電フラグが設定され、この充電フラグが設定されている間は、後述するステップS8の通常変速比Rnの選択が回避される。この充電フラグは、ステップS4の充電量高時変速比Rhev1の選択がなされるか、下り坂走行を終了するかで、リセットされる。
また、ステップS8では、通常変速比Rnを選択する。なお、通常変速比Rnとは、前述したように、シフトマップに基づいてアクセル開度APと車速VSPにより決定される。
ステップS11では、コースト判定および走行モード判定を行ない、コースト走行かつEVモードである場合、ステップS12に進み、それ以外は、ステップS18に進む。
なお、コースト判定は、前述のように、アクセル開度AP=0かつブレーキストロークBS=0であるときに、コースト走行と判定する。また、EVモードの判定は、第1クラッチCL1が解放状態であり、かつ第2クラッチCL2が締結状態である場合に、EVモードと判定する。
続くステップS15では、バッテリ充電量SOCが第1閾値Vs1よりも大きいか否か判定し、SOC>Vs1の場合は、ステップS16に進み、SOC≦Vs1の場合はステップS19に進む。
さらに、充電量高時変速比Rhev1を選択した場合には、同時に、第1クラッチCL1の締結を行って、HEVモードに移行する処理も並列に実施する。
ステップS20では、アクセル開度APと車速VSPとに基づいて、通常変速比Rnを求める。
このタイムチャートは、EVモードでの走行中に、走行路が、平坦路から下り坂に移行してコースト走行を行なった場合の制御態様の一例を示している。すなわち、この例では図7(a)勾配を見ると分かるように、t1の時点で、平坦路から下り坂に移行している。また、同図(d)に示すように、このタイムチャートに示す例では、アクセル開度APおよびブレーキストロークBSが0でありコースト状態の制御実施例を示している。
さらに、このt1の時点では、図7(h)に示されるようにバッテリ充電量SOCが第3閾値Vs3よりも低いことから、S13→S20の流れに基づいて、通常変速比Rn(=GR3、例えば、3rd)が選択される。そして、ステップS18において、モータトルクが算出される。このとき、モータトルクは、下り坂コースト状態で、車速を一定に保つことができる負の値が算出され。したがって、モータ/ジェネレータMGは、回生動作が行われて発電を行う。
したがって、いわゆるエンジンブレーキ状態が形成されて、下り坂でも一定の車速VSPに保持される。
そこで、バッテリ充電量SOCが第3閾値Vs3を越えると、その時点t2で、これまでの変速比GR3よりも減速度の大きな変速比GR2に変速される。
すなわち、t2の時点で、ステップS13によりYESと判定され、S14の処理に基づいて、HEVモードに移行したときのHEV移行時変速比Rev(=GR2(例えば、2nd))が算出される。そして、ステップS15→S19の処理に基づいて、このHEV移行時変速比Revが選択され、さらに、S18で算出されたモータトルクは、絶対値が小さくなる。
したがって、このt2の時点から、モータ/ジェネレータMGによる発電量が抑えられ、バッテリ充電量SOCの上昇量が緩やかになる。なお、この変速比GR2は、エンジンEngの共振点を避けて設定されている。このt2からt3の時期に実行される処理が、移行時処理である。
この処理により、t3の時点で、充電量高時変速比Rhev1が選択されると、第1クラッチCL1が締結されてHEVモードに切り換られ、エンジンEngにモータ/ジェネレータMG側から回転が入力されて、エンジン回転数が上昇して始動される。
このエンジン回転数を引き上げる際に、その前の時点t2から、充電量高時変速比Rhev1と等しいHEV移行時変速比Revが選択されており、このHEV移行時変速比Revは、エンジン共振点を除いて設定されている。このため、エンジン回転数が高く引き上げられ、始動性に優れるとともに、エンジンが共振して始動時ショックを与えるのを防止できる。また、モータ/ジェネレータMGでは、力行動作が成され、バッテリ4の放電が開始される。このt3〜t5の時点で実施される処理が、HEV放電処理である。
なお、第1クラッチCL1は、t3の時点からt4の時点にかけて、徐々に締結力が増加し、t4の時点で完全に締結状態となる。このような第1クラッチCL1の締結制御は、本願の要旨ではないので、説明を省略するが、例えば、特開2006−306328号公報に記載されている技術などを用いることができる。
t4の時点以降は、エンジントルク(エンジンフリクション)が目標減速駆動力を上回る負の値となり、モータトルクは、エンジンフリクションが目標減速駆動力を上回る分だけ、力行動作を行って放電し、車速VSPは、(b)に示すように、一定に保たれる。
このように、下り坂で、一定速走行を維持しても、バッテリ充電量は、上限設定値である第1閾値Vs1を越えることがなく、バッテリ4の劣化を防止できる。しかも、モータ/ジェネレータMGを力行動作させて、バッテリ4の充電を停止しても、エンジンフリクションによる減速度を得ることができ、車速VSPが上昇することなく、一定車速に保つことができる。
そこで、バッテリ充電量SOCが第2閾値Vs2に達した時点t5で、ステップS1→S2→S3→S6→S7の処理に基づいて充電量低時変速比Rhev2(=GR3)が選択され、変速される。
この充電量低時変速比Rhev2は、エンジンフリクションが、目標減速駆動力よりも小さな値となる変速比であり、図示のように、t5の時点からエンジントルクの負の絶対値が小さくなる。そこで、ステップS5で算出されるモータトルクは、目標減速駆動力を得るために、負の値となり、モータ/ジェネレータMGでは回生動作が成される。
加えて、この充電を、HEVモードを維持したままで、モータ/ジェネレータMGを回生動作させて行うため、EVモードに切り換えて回生動作を行なうものと比較して、モード移行によるトルク変動を抑えて、乗員に違和感を与えるのを抑えることができる。
したがって、車速VSPを一定に保持しながら、モータ/ジェネレータMGにより放電を行なってバッテリ充電量SOCが再び低下される。
a)有段の自動変速機ATを有したハイブリッド車両において、下り坂でのコースト走行時には、モータ/ジェネレータMGを回生動作させ、一定車速VSPで走行する下り坂定速走行制御を実行する。したがって、運転者に違和感を与えない品質の高い制御を実行することができる。
したがって、減速駆動力を得ながらも、バッテリ4の放電を行なって、バッテリ4が過充電状態となるのを防止できる。
したがって、このHEV放電処理によりバッテリ充電量SOCが減少しすぎるのを防止できるとともに、HEVモードのまま充電を行なうことで、EVモードとHEVモードとに頻繁に切換が成されるのを防止して、この切り換えに伴うトルク変動によるショック発生を抑制して、制御品質の向上を図ることができる。
したがって、定速走行状態を維持するとともに、HEVモードを維持したままで、バッテリ4の放電を行なって、バッテリ4が過充電状態となるのを防止できる。しかも、モード切り換えが生じないため、この切り換えの際のトルク変動によるショックの発生を抑えることができ、制御品質の向上を図ることができる。
したがって、HEVモードに移行する際に、エンジン回転数を高く引き上げることができエンジンEngの始動性に優れ、かつ、エンジン回転数の引き上げに伴う共振を防止することができる。さらに、このHEVモードへの移行時に、第1クラッチCL1の締結に伴うトルク伝達量の変化に伴って、モータトルクを電気的に制御することで、エンジンフリクションの変化がショックとして現れるのを抑制して、高い制御品質を得ることができる。
また、実施例1では、第1閾値Vs1を第3閾値Vs3よりも僅かに高い値に設定したが、両者は、同じ値に設定してもよい。
4 バッテリ
7 ATコントローラ(変速比制御手段)
10 統合コントローラ(コースト状態検出手段:駆動力制御手段)
16 アクセル開度センサ(コースト状態検出手段)
20 ブレーキストロークセンサ(コースト状態検出手段)
23 下り坂センサ
AT 自動変速機(有段変速機)
CL1第1クラッチ
Eng エンジン
MG モータ/ジェネレータ
Rev 移行時変速比
Rhev1 充電量高時変速比
Rhev2 充電量低時変速比
SOC バッテリ充電量
Vs1 第1閾値
Vs2 第2閾値
Vs3 第3閾値
VSP 車速
Claims (4)
- エンジンとモータ/ジェネレータとが有段変速機の入力軸に連結され、前記エンジンおよび前記モータ/ジェネレータの駆動力を駆動輪に伝達するHEVモードの走行が可能なハイブリッド車両の制御装置であって、
コースト走行状態を検出するコースト状態検出手段と
バッテリの充電量を検出するバッテリ充電量検出手段と、
前記有段変速機の変速比を制御する変速比制御手段と、
前記コースト走行状態で、必要な目標減速駆動力が得られるように、前記モータ/ジェネレータのトルクを回生動作状態に制御するとともに、前記有段変速機の変速比を制御する減速走行制御を実行する駆動力制御手段と、
を備え、
前記駆動力制御手段は、前記減速走行制御の実行時に、バッテリ充電量が、あらかじめ設定された第1閾値を越えた際に、前記有段変速機の変速比を、前記目標減速駆動力よりも大きなエンジンフリクションが得られる充電量高時変速比とするとともに、前記HEVモードで前記モータ/ジェネレータを力行動作状態として、前記バッテリの放電を行なうHEV放電処理を実行することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記駆動力制御手段は、前記HEV放電処理の実行時に、前記バッテリ充電量が、あらかじめ設定された前記第1閾値よりも小さな値の第2閾値未満となった際に、前記変速比を、目標減速駆動力以下のエンジンフリクションが得られる充電量低時変速比とするとともに、前記HEVモードで前記モータ/ジェネレータを回生動作状態として、前記バッテリの充電を行なうHEV充電処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記エンジンと前記モータ/ジェネレータとの間に、第1クラッチが介在され、走行モードを、前記第1クラッチを締結させた前記HEVモードと、前記第1クラッチを解放させて前記モータ/ジェネレータのみの出力トルクを前記変速機に入力するEVモードと、に切り換え可能に構成され、
前記駆動力制御手段は、前記EVモードでの前記減速走行制御の実行時に、前記バッテリ充電量が、あらかじめ設定された第3閾値を越えた際には、前記有段変速機の変速比を、前記目標減速駆動力よりも大きなエンジンフリクションが得られ、かつ、エンジン共振点を除いた移行時変速比とする移行時処理を実行した後、前記HEV充電処理に移行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記駆動力制御装置は、前記変速比から得られるエンジントルクおよび前記第1クラッチトルク容量から算出されるエンジンフリクションと、前記目標減速駆動力との差分により、前記モータ/ジェネレータのトルクを決定するモータトルク決定処理を実行することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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