JP2010142870A - 超音波打撃処理を用いた加工方法 - Google Patents

超音波打撃処理を用いた加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010142870A
JP2010142870A JP2008326065A JP2008326065A JP2010142870A JP 2010142870 A JP2010142870 A JP 2010142870A JP 2008326065 A JP2008326065 A JP 2008326065A JP 2008326065 A JP2008326065 A JP 2008326065A JP 2010142870 A JP2010142870 A JP 2010142870A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
processing
ultrasonic
hitting
weld toe
weld
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008326065A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5251486B2 (ja
Inventor
Tamaki Suzuki
環輝 鈴木
Noriyoshi Tominaga
知徳 冨永
Tetsuo Nose
哲郎 野瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2008326065A priority Critical patent/JP5251486B2/ja
Publication of JP2010142870A publication Critical patent/JP2010142870A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5251486B2 publication Critical patent/JP5251486B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

【課題】突合せ溶接継手の溶接止端部に生じた引っ張り残留応力に対して大きな圧縮残留応力を効率的に導入し、繰り返し荷重が作用する環境で従来よりも疲労特性を向上させるための超音波打撃処理法を提供する。
【解決手段】溶接止端部に沿った方向の材料表面上に超音波打撃処理を施して、鋼板表面から20μm〜300μmの最大深さを有する加工帯を形成する際、その打撃処理位置が、溶接止端部を含まない部分であり、前記加工帯の端部が溶接止端部から0.1mm以上7mm以下の範囲に位置するようにして超音波打撃処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、橋梁の橋桁、自動車や自動二輪の足回りの部品、家電製品などの成型部品などの疲労特性を改善する技術に関し、特に引張り残留応力が生じやすい溶接部または塑性加工部に圧縮応力を導入し、疲労特性を向上するための超音波打撃装置を用いた加工法に関する。
一般に溶接構造物における溶接部及びその近傍(以下、溶接止端部ということもある)は、溶接後の熱収縮により引っ張り残留応力が生じやすいと同時に、その形状が急峻な角度を有する切欠形状となりやすいことに起因して、溶接継手の繰返し応力付加時に応力集中部となりやすい。
また、冷間プレス成形などにより強い引っ張り応力が付与される金属部品の塑性変形領域にも、同様に引っ張り残留応力が生じる。
特に、橋梁の橋桁、自動車の足回り部品などの溶接構造物、自動車ホイールなど成形部品などでは、繰り返し荷重を受ける環境下で使用されるため、引っ張り残留応力が生じやすい溶接部や塑性変形部位が疲労亀裂の発生箇所となり、疲労特性を低下させる主要な原因となっている。
従来、溶接構造物の溶接止端部に生じた引っ張り残留応力部に対して外部から圧縮応力を導入し、疲労特性を改善させるための方法として、ショットピーニング、ハンマーピーニング、超音波打撃処理等が知られている。
ショットピーニングは、1mm以下の硬質金属球体を圧縮空気などにより処理対象物表面に吹き付けることにより、表面に圧縮残留応力を導入する方法である。また、ハンマーピーニングは、硬質金属棒を用いて処理対象物表面を機械的に打撃することにより、表面に圧縮残留応力を導入する方法である。
これに対し、超音波打撃処理は、上記ショットピーニングやハンマーピーニングに比べて、反動が少なくて作業性が良く、また、比較的深い領域まで圧縮残留応力を導入できる方法として知られている。この超音波打撃処理は、硬質金属製の超音波振動端子を超音波を用いて高周波数で振動させ、その端子で処理対象物表面を打撃することにより、処理対象物表面に圧縮残留応力を導入する方法である。
しかし、ショットピーニング、ハンマーピーニング、超音波打撃処理は、いずれも、硬質金属により打撃して処理対象物表面に圧縮応力を付与する方法であるため、処理表面に圧縮残留応力を多く導入しようとすると、結果的に表面性状を劣化させることになり、さらに、表面に形成された凹部は応力集中部および疲労亀裂発生基点となる恐れがあるため、疲労強度の飛躍的な向上には限界があった。
この超音波打撃処理技術については、特許文献1に開示されている。また、その技術を用いて溶接継手の疲労強度を向上させる技術としては、例えば、特許文献2〜4に開示されている。
特許文献2には、重ね合わせした端部を溶接した後に、疲労強度向上の為に、打撃する位置を規定する方法が開示されている。しかし、この方法により規定された打撃位置は、溶接止端部を含めた位置であったため、処理表面に圧縮残留応力を多く導入する場合は、打撃表面に形成された凹部は応力集中部および疲労亀裂発生基点となるおそれがあり、疲労強度を飛躍的に向上するためには限界があった。また、溶接止端部に圧縮の応力が導入されるが、形状変化によりその絶対値には限界があった。
特許文献3、特許文献4には、溶接止端部を含めない箇所についても超音波打撃することが開示されているが、これらの溶接継ぎ手形状は、溶接止端部での応力集中が高い隅肉溶接継ぎ手であり、溶接止端部で応力集中の小さい突合せ溶接継手には適用できないという問題があった。
米国特許6171415号明細書 特開2004−130315号公報 特開2004−130313号公報 特開2004−130316号公報
上記従来技術の現状を鑑みて、本発明は、2枚の金属板を突き合わせて溶接した突合せ溶接継手の溶接止端部に生じた引っ張り残留応力に対して、超音波打撃処理法を用いて大きな圧縮残留応力を効率的に導入し、繰り返し荷重が作用する環境で従来よりも疲労特性を向上させるための超音波打撃処理法を提供することを目的とする。
2枚の金属板を突き合わせて溶接した突合せ溶接継手のボンド部における特定の範囲を超音波振動端子で打撃することによって、仮にビード形状不良が生じても、従来に比べて高い疲労強度を確保できる突合せ溶接継手の疲労強度向上方法を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
本発明によれば、超音波打撃処理を用いた加工方法における処理位置を最適制御することにより、2枚の鋼板を突き合わせて溶接した突合せ溶接継手の溶接止端部に生じた引っ張り残留応力のうち、特に繰り返し荷重が作用する方向に大きな圧縮残留応力を効率的・効果的に導入することができ、その結果、溶接構造物および成形加工部品の疲労特性を従来よりも向上させることが可能となる。
本発明の実施の形態について、図1及至図4を用いて詳細に説明する。
図1は、超音波打撃装置を用いた加工方法を例示する図である。
図1においては、突合わされた鋼板1および鋼板2は、溶接金属3により突き合せ溶接されている。超音波打撃処理は、超音波振動端子4により、溶接金属3に沿った方向に鋼板を打撃することにより行われる。その結果、超音波振動端子4により打撃された部分に、溶接金属3に沿った加工帯5が形成される。
図1に示すように、溶接止端部7に沿った鋼板1表面上に、超音波打撃処理による加工帯5を形成し、その加工帯5が、溶接止端部7を含まないよう加工する。その際、その加工帯5の溶接金属3に近い側の加工帯端部6の位置が、加工帯に近い側の溶接止端部7から0.1mm以上7mm以下、すなわち、加工帯端部6と溶接止端部7の間の距離が0.1mm以上7mm以下となるように加工するのがよいことを見出した。
疲労が生じる箇所に圧縮応力が入っていると、疲労寿命が向上する。このとき、圧縮残留応力の絶対値が大きいほどその疲労強度向上効果は大きいものと考えられる。特につき合わせ溶接のように、溶接止端部における応力集中係数が大きくない場合、疲労向上効果は大きい。さらに、鋼材の強度が高い程、導入される圧縮の残留応力は高くなるため、鋼材強度が高い程、疲労向上効果は大きい。
しかし、図2に示すような、溶接止端部も打撃する従来から行われている超音波打撃処理方法では、実験してみると、打撃処理前に溶接止端部であった位置について、打撃加工により生じた加工帯処理方向に直角方向(図2に示すX方向)では、圧縮応力が導入されるが、その値は十分に大きな値ではない結果が得られた。
しかも、溶接金属に遠い側の加工帯処理端部6から少し離れた位置9について、加工帯処理方向に直角であるX方向の圧縮残留応力は、溶接金属に遠い側の加工帯処理端部よりも、導入される圧縮の応力の絶対値が大きいことも判明した。
この理由を推定すると、以下のようになる。
超音波打撃処理では、超音波で駆動した超音波振動端子により打撃加工された加工帯周辺には圧縮の残留応力が導入されるが、打撃箇所(加工帯真上)においては、その衝撃で形状が変化することにより、圧縮の残留応力の一部は開放されてしまうと考えられる。
これに対し、打撃箇所から離れた位置においては、形状変化もなく、導入された圧縮の残留応力がすべて残留することにより、打撃位置よりも絶対値の高い圧縮残留応力となり、加工帯よりもさらに離れた領域においては、応力バランスで、逆に引張残留応力となると考えられる。
以上の結果から、以下のことを想定した。
処理の進行方向に直角の方向での圧縮残留応力の値は、打撃処理位置と止端部との距離に関係し、止端部から離して打撃処理を行い、その離す距離を適度にすることにより、止端部の処理方向に垂直方向での圧縮残留応力の絶対値を大きくすることができる。
これらの考えを基礎に、直径D=2mm、4mm、8mmの超音波振動端子を用いて、処理位置と溶接線の距離を変えて、溶接線に平行に加工帯を形成した場合の止端部の処理垂直方向の残留応力がどのように変化し、疲労特性にどのように変化するかを検討した。
(実験方法)
超音波打撃(UIT)装置(Applied Uitrasonic社製):電源1kw、周波数27kHz
超音波振動端子の直径:2mm、4mm、8mm
出力パワー:機器と機器の設定値に依存する。このUIT装置では、装置についている
回転つまみで1〜9まで調整できるが絶対値は不明であった。
また、超音波打撃処理を施して加工帯を形成する際、打撃処理速度(打撃処理位置における単位時間あたりの処理長さ)をT[mm/sec]、打撃処理ピンの直径をD[mm]としたときに、下記式1で定義される打撃処理密度A[sec/mm3]を変えて実験を行った。
A=1/(T・D2 ) ・・・(式1)
(残留応力の測定)
残留応力の測定は、X線回折によりsin2ψ−2θ法を用いて行った。測定に用いた装置はリガク(株)のMSF−2Mを用い、X線の管球はCr、検出器はシンチレーション計測器を用い、電圧は30kv、電流は10mA、回折線の測定方法に並傾法を用い、X線の入射方法にψ一定法を用い、入射角ψは0度、15度、30度、45度の4点について、検出器を151度〜161度までの範囲について3sec/step、ステップ間隔0.25度でステップ操作をして測定し、ピークの決定には半値幅法を用いた。
応力測定においては、フェライトの[211]回折面を利用し、物理定数として吸収係数850.04、ヤング率21000kgf/mm、ポアッソン比0.28、応力定数−32.44を用いた。測定領域は0.5mm(処理方向に垂直な方向)×6mm(処理方向)について測定を行った。
図3は、溶接止端部に近い側の加工帯端部から加工帯に近い側の溶接止端までの距離Xと加工帯に近い側の溶接止端部での残留応力の関係を示す図である。
図3においては、横軸の前記距離Xと残留応力との間に相関が見られ、その距離が7mm以下であれば、溶接止端部を超音波加工した場合よりも、圧縮の残留応力が高いことがわかる。
このことから、溶接金属に近い側の加工帯端部と加工帯に近い側の溶接止端部の距離Xを7mm以下にすれば、溶接止端部を含む位置に加工帯を形成した場合に比べ、加工帯に近い側の溶接止端部の残留応力を高くすることができる。
その際、溶接金属に近い側の加工帯端部を溶接止端部にできるだけ近づけていけば、加工帯に近い側の溶接止端部での残留応力を高くすることができるが、あまり近づけすぎた場合には、溶接止端部を処理してしまうため限界があり、実際には溶接止端部に未処理領域を残した上で0.1mmより内に近づけることは難しい。
以上のように超音波打撃位置での残留応力を高くすることができれば、疲労強度を向上させることができる。
図4に、溶接止端部に近い側の加工帯から加工帯に近い側の溶接止端部までの距離Xと加工帯に近い側の溶接止端部の疲労強度(破断寿命が200万回となる応力範囲)の関係を示すが、上記距離Xを7mm以下にすれば、疲労強度も向上することが示されている。
さらに、超音波打撃端子のサイズ(ピンサイズ)を変えた場合について検討したところ、単位面積あたりの打撃密度(単位時間に単位面積に与えられるエネルギー=1/単位時間あたりの処理長さ・ピンの面積)を同じにした場合、残留応力の分布はほぼ同じになり、疲労強度も同程度の結果となった。
そこで、打撃処理密度の大きさについて検討した結果、その値を0.0125[sec/mm]以上とすることにより、より高い圧縮残留応力を付与できることがわかった。
すなわち、打撃処理位置における単位長さあたりの処理時間をT[mm/sec]、打撃処理ピンの直径をD[mm]としたときに、下記式1で定義される打撃処理密度A[sec/mm]が、0.0125[sec/mm]以上となるように、打撃処理ピンの直径に応じて単位長さあたりの処理時間を選定して、超音波打撃処理を実施すればよい。
A=1/(T・D2 ) ・・・(式1)
なお、打撃処理密度の値の上限は、特に制限されるものではないが、処理時間の現実的な制約から、現状では、37.5[sec/mm]である。
また、これらの効果をより顕著に得るためには、加工帯においては、処理前の表面に対して、深さ20um〜深さ300um程度の圧痕を形成するように打撃することが望ましい。
突合せ溶接継手としては、本発明においては、金属板の突合せ溶接継手の形成に適用できる溶接方法であれば、継手を形成する溶接方法は特に問わない。レーザー溶接、プラズマ溶接や電子ビーム溶接などの高エネルギービーム溶接のほか、一般に用いられるアーク溶接によって形成された継手にも適用できる。
(実施例1)
板厚1.2mm、強度490MPaの鋼板2枚を突き合わせ、レーザー溶接によって突き合わせ溶接した後、直径2mm,4mm,8mmの超音波振動端子により本発明例の打撃処理を行った。継手サイズは40mm(幅)×200mm(長さ)とした。レーザー溶接にはYAGレーザーを用い、加工点出力を3.0kW、溶接速度を7.5m/min、焦点のビーム直径を0.4mmとした。シールドにはセンターシールドトーチ、ガスとして窒素を用いた。ビームの焦点位置は、鋼板表面とした。
超音波振動装置は、電源1kW、周波数27kHとし、超音波振動端子の振幅は30μm〜40μm、打撃処理速度(単位時間あたりの処理長さ)は、ピンのサイズにより打撃密度が変わるため、打撃密度が一定となるよう、2mmピンでは20mm/sec,4mmピンでは5mm/sec,8mmピンでは5mm/4secで行なった。
上記のようにピンの形状および打撃処理速度を変えた場合について、超音波振動端子による打撃処理を行った後の疲労特性を、打撃処理を溶接止端部真上に処理したものと比較し、疲労強度が10%以上向上したものをOK、それ以下のものをNGとした。
なお、疲労試験条件は、荷重比(最小荷重/最大荷重)=0.1、繰り返し速度=10kHzの片振り引張とした。
これらの試験条件と評価結果を表1〜3に示す。
表1〜3に示すとおり、本願発明の規定範囲内(打撃処理位置:溶接止端部から0.1〜7mmの範囲内、打撃処理密度:0.0125sec/mm以上)で超音波打撃処理を行った発明例1〜27は、本願発明の規定範囲を外れて処理を行った、あるいは処理を行わなかった比較例1〜20に比べて継ぎ手の疲労強度が向上できることが示される。
Figure 2010142870
Figure 2010142870
Figure 2010142870
(実施例2)
板厚1.2mm、強度780MPaの鋼板2枚を突き合わせ、レーザー溶接によって突き合わせ溶接した後、直径2mmの超音波振動端子により本発明例の打撃処理を行った。継手サイズは40mm(幅)×200mm(長さ)とした。レーザー溶接にはYAGレーザーを用い、加工点出力を3.0kW、溶接速度を7.5m/min、焦点のビーム直径を0.4mmとした。シールドにはセンターシールドトーチ、ガスとして窒素を用いた。ビームの焦点位置は、鋼板表面とした。
超音波振動装置は、電源1kW、周波数27kHとし、超音波振動端子の振幅は30μm〜40μm、打撃処理速度は10mm/sec(打撃処理密度:0.025sec/mm)で行なった。
超音波振動端子による打撃処理を行った後の疲労特性を、打撃処理を溶接止端部真上に処理したものと比較し、疲労強度が10%以上向上したものをOK、それ以下のものをNGとした。なお、疲労試験条件は、荷重比(最小荷重/最大荷重)=0.1、繰り返し速度=10kHzの片振り引張とした。
これらの試験条件と評価結果を表4に示す。
表4に示すとおり、本願発明の規定範囲内(溶接止端部から0.1〜7mmの範囲内)で超音波打撃処理を行った発明例28〜36は、本願発明の規定範囲を外れて処理を行った比較例21〜26、打撃処理を行わなかった比較例27に比べて継ぎ手の疲労強度が向上できることが示される。
Figure 2010142870
(実施例3)
板厚1.2mm、強度490MPaの鋼板2枚を突き合わせ、アーク溶接によって突き合わせ溶接した後、直径2mmの超音波振動端子により本発明例の打撃処理を行った。継手サイズは40mm(幅)×200mm(長さ)とした。
超音波振動装置は、電源1kW、周波数27kHとし、超音波振動端子の振幅は30μm〜40μm、打撃速度は20mm/secで行なった。
超音波振動端子による打撃処理を行った後の疲労特性を、打撃処理を溶接止端部真上に処理したものと比較し、疲労強度が10%以上向上したものをOK、それ以下のものをNGとした。なお、疲労試験条件は、荷重比(最小荷重/最大荷重)=0.1、繰り返し速度=10kHzの片振り引張とした。
これらの試験条件と評価結果を表5に示す。
表5に示すとおり、本願発明の規定範囲内(溶接止端部から0.1〜7mmの範囲内)で超音波打撃処理を行った発明例37〜45は、本願発明の規定範囲を外れて処理を行った比較例28〜33、打撃処理を行わなかった比較例34に比べて継ぎ手の疲労強度が向上できることが示される。
Figure 2010142870
(比較例1)
板厚1.2mm、強度490MPaの鋼板2枚を突き合わせ、レーザー溶接によって突き合わせ溶接した後、直径2mm、4mmの超音波振動端子により打撃処理を行った。継手サイズは40mm(幅)×200mm(長さ)とした。レーザー溶接にはYAGレーザーを用い、加工点出力を3.0kW、溶接速度を7.5m/min、焦点のビーム直径を0.4mmとした。シールドにはセンターシールドトーチ、ガスとして窒素を用いた。ビームの焦点位置は、鋼板表面とした。
超音波振動装置は、電源1kW、周波数27kHとし、超音波振動端子の振幅は30μm〜40μm、打撃速度は、打撃密度が変わるよう、2mmピンで30mm/sec,4mmピンでは10mm/secでおこなった。
これらの試験条件と評価結果を表6、7に示すが、上記のようにピンの形状および打撃処理速度を変えて、打撃密度を変えた場合について、超音波振動端子による打撃処理を行った後の疲労特性を、打撃処理を溶接止端部真上に処理したものと比較したが、いずれも疲労強度の向上率が10%未満であった。
なお、疲労試験条件は、荷重比(最小荷重/最大荷重)=0.1、繰り返し速度=10kHzの片振り引張とした。
Figure 2010142870
Figure 2010142870
本発明における超音波打撃処理方法を示す図である。 従来の超音波打撃処理方法を示す図である。 溶接止端部から超音波処理の位置までの距離と溶接止端部の残留応力との関係を示す図である。 溶接止端部から超音波処理の位置までの距離と溶接継手の疲労強度(破断寿命が200万回となる応力範囲)との関係を示す図である。
符号の説明
1、2 金属板
3 溶接金属
4 超音波振動端子
5 加工帯
6 加工帯端部
7 溶接止端部
X 溶接止端部から加工帯端部までの距離
D 超音波振動端子の直径

Claims (2)

  1. 2枚の鋼板の端部を突合わせて溶接された突合せ溶接継手の溶接止端部近傍を超音波打撃処理することにより、突合せ溶接継手の疲労強度を向上する加工方法であって、溶接止端部に沿った方向の材料表面上に超音波打撃処理を施して、鋼板表面から20μm〜300μmの最大深さを有する加工帯を形成する際、その打撃処理位置が、溶接止端部を含まない鋼板部分であり、かつ、前記加工帯の端部が溶接止端部から0.1mm以上7mm以下の範囲に位置することを特徴とする超音波打撃処理を用いた加工方法。
  2. 前記超音波打撃処理を施して前記加工帯を形成する際、打撃処理位置における単位時間あたりの処理長さをT[mm/sec]、打撃処理ピンの直径をD[mm]としたときに、下記式1で定義される打撃処理密度A[sec/mm]が、0.0125[sec/mm]以上であることを特徴とする請求項1に記載の超音波打撃処理を用いた加工方法。
    A=1/(T・D2 ) ・・・(式1)
JP2008326065A 2008-12-22 2008-12-22 超音波打撃処理を用いた加工方法 Active JP5251486B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008326065A JP5251486B2 (ja) 2008-12-22 2008-12-22 超音波打撃処理を用いた加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008326065A JP5251486B2 (ja) 2008-12-22 2008-12-22 超音波打撃処理を用いた加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010142870A true JP2010142870A (ja) 2010-07-01
JP5251486B2 JP5251486B2 (ja) 2013-07-31

Family

ID=42563840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008326065A Active JP5251486B2 (ja) 2008-12-22 2008-12-22 超音波打撃処理を用いた加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5251486B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012106285A (ja) * 2010-10-26 2012-06-07 Nippon Steel Corp 溶接継手及び溶接継手の製造方法
WO2012164774A1 (ja) * 2011-05-30 2012-12-06 Jfeスチール株式会社 溶接継手
CN104846174A (zh) * 2015-05-22 2015-08-19 南通中远船务工程有限公司 一种圆柱形桩腿焊缝残余应力消除装置及方法
JP2015163406A (ja) * 2014-02-28 2015-09-10 新日鐵住金株式会社 超音波衝撃処理方法
JP2018108601A (ja) * 2017-01-06 2018-07-12 新日鐵住金株式会社 溶接継手の製造方法及び溶接継手

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004130315A (ja) * 2002-10-08 2004-04-30 Nippon Steel Corp 突合せ溶接継手の疲労強度向上方法
JP2004130313A (ja) * 2002-10-08 2004-04-30 Nippon Steel Corp 重ね隅肉溶接継手の疲労強度向上方法
JP2004130316A (ja) * 2002-10-08 2004-04-30 Nippon Steel Corp 疲労強度に優れた回し溶接継手、回し溶接継手の製造方法、および、溶接構造物
JP2004148384A (ja) * 2002-10-31 2004-05-27 Nippon Steel Corp シーム溶接強度特性および内圧疲労特性に優れたuoe鋼管の製造方法
JP2008544861A (ja) * 2005-07-01 2008-12-11 ユー.アイ.ティー., エル.エル.シー. 超音波衝撃処理により溶接レール継手特性の品質および信頼性を改善する方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004130315A (ja) * 2002-10-08 2004-04-30 Nippon Steel Corp 突合せ溶接継手の疲労強度向上方法
JP2004130313A (ja) * 2002-10-08 2004-04-30 Nippon Steel Corp 重ね隅肉溶接継手の疲労強度向上方法
JP2004130316A (ja) * 2002-10-08 2004-04-30 Nippon Steel Corp 疲労強度に優れた回し溶接継手、回し溶接継手の製造方法、および、溶接構造物
JP2004148384A (ja) * 2002-10-31 2004-05-27 Nippon Steel Corp シーム溶接強度特性および内圧疲労特性に優れたuoe鋼管の製造方法
JP2008544861A (ja) * 2005-07-01 2008-12-11 ユー.アイ.ティー., エル.エル.シー. 超音波衝撃処理により溶接レール継手特性の品質および信頼性を改善する方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012106285A (ja) * 2010-10-26 2012-06-07 Nippon Steel Corp 溶接継手及び溶接継手の製造方法
WO2012164774A1 (ja) * 2011-05-30 2012-12-06 Jfeスチール株式会社 溶接継手
JP2015163406A (ja) * 2014-02-28 2015-09-10 新日鐵住金株式会社 超音波衝撃処理方法
CN104846174A (zh) * 2015-05-22 2015-08-19 南通中远船务工程有限公司 一种圆柱形桩腿焊缝残余应力消除装置及方法
JP2018108601A (ja) * 2017-01-06 2018-07-12 新日鐵住金株式会社 溶接継手の製造方法及び溶接継手

Also Published As

Publication number Publication date
JP5251486B2 (ja) 2013-07-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5251486B2 (ja) 超音波打撃処理を用いた加工方法
CN1708593A (zh) 提高钢材的焊接接头中的热影响区的韧性的方法
JP2006320960A (ja) 疲労き裂発生・進展抑止特性に優れた金属部品または金属製構造物およびそれらの製造方法
JP3899007B2 (ja) 重ね隅肉溶接継手の疲労強度向上方法
JP2011131260A (ja) 溶接部の疲労強度向上方法および溶接継手
JP2007301566A (ja) レーザピーニング処理方法
JP4392337B2 (ja) 超音波打撃装置を用いた加工方法および構造物
JP5130478B2 (ja) 疲労特性に優れた突合せ溶接継手およびその製造方法
WO2013081015A1 (ja) 溶接構造物の疲労損傷抑制方法、打撃痕形成用工具、および溶接構造物
JP3002229B2 (ja) 溶接継手の疲労強度向上法
KR100606312B1 (ko) 피로 강도에 우수한 회전 용접 이음매, 회전 용접 이음매의제조 방법 및 용접 구조물
JP3899008B2 (ja) 突合せ溶接継手の疲労強度向上方法
JP3820208B2 (ja) 重ね溶接継手の疲労強度向上方法
JP4709697B2 (ja) 金属重ね溶接継手の疲労強度向上方法
JP2013233590A (ja) 疲労特性に優れる溶接継手
JP4767885B2 (ja) 脆性き裂伝播停止特性に優れた溶接継手、溶接構造体及び脆性き裂伝播停止特性の向上方法
JP4741087B2 (ja) レーザ溶接方法
JP5977077B2 (ja) 溶接部のピーニング方法
JP2013136091A (ja) 打撃痕形成用工具
JP2012153977A (ja) レーザピーニング処理方法
JP3843059B2 (ja) シーム溶接強度特性および内圧疲労特性に優れたuoe鋼管の製造方法
JP2023162132A (ja) 溶接部の疲労亀裂発生抑制方法および溶接継手の製造方法
JP6349785B2 (ja) 超音波衝撃処理方法
JP3900490B2 (ja) フランジガセットを持つ桁構造の疲労補強工法
JP2023162133A (ja) 溶接部の疲労亀裂発生抑制方法および溶接継手の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121023

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130401

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5251486

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160426

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350