JP2010142704A - ハニカム構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】担持する触媒の耐剥離性を向上させることができるハニカム構造体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ハニカム構造体は、ハニカム状に配設されたセル壁12と、セル壁12内に区画された多数のセルとを有し、排ガス浄化触媒の触媒担体として用いられる。セル壁12の表面121から深さ方向に20μmの距離における、セル壁12の表面21に開口する細孔2である開気孔21の存在率は、7%以上である。ハニカム構造体の製造方法は、セラミックス原料を所望の形状のハニカム成形体に押出成形する成形工程と、ハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを有し、セラミックス原料のうち、セル壁12の表面121の細孔2形成に最も寄与する材料である細孔形成材料のアスペクト比は、1.0〜1.5である。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の内燃機関における排ガス浄化用触媒の触媒担体として用いられるハニカム構造体及びその製造方法に関する。
従来から、自動車等の内燃機関における排ガス浄化用触媒の触媒担体として、ハニカム状に配設されたセル壁とそのセル壁内に区画された多数のセルとを有するハニカム構造体が知られている。
このようなハニカム構造体は、ハニカム状に配設されたセル壁の表面に触媒を担持させて用いられる。
また、ハニカム構造体は、例えば、セラミックス原料を押出成形してハニカム成形体を成形し、これを乾燥、焼成することによって製造される。通常、セラミックス原料には、セル壁に細孔を形成するための材料を予め添加しておく。これによって、焼成後のハニカム構造体には、セル壁に細孔が形成される。そして、触媒をセル壁の表面に担持させる際に、その触媒をセル壁の表面に開口する細孔(開気孔)に入り込ませ、触媒がアンカー効果によってセル壁表面から剥離し難いようにしている(特許文献1参照)
特開2008−062216号公報
例えば、従来では、コーディエライト製のハニカム構造体を製造する場合、セラミックス原料には、そのセラミックス原料の中で最も反応温度が高く、液相反応をするタルクが細孔形成に最も寄与する材料として含有されていた。
しかしながら、タルクは、一般的にアスペクト比が大きい平板状を呈しており、セラミックス原料を押出成形した際に、その押出方向に配向する。具体的には、タルクの長辺がセル壁の表面に対して平行な方向に配向し、短辺がセル壁の深さ方向に配向する。そのため、焼成後、セル壁の表面に開気孔を十分に形成することができなかった。また、形成された開気孔は、深さの小さいものとなっていた。
このように、従来では、セル壁の表面に、十分な深さを持った開気孔を十分な割合で形成することができなかった。そして、触媒を開気孔に入り込ませた状態でセル壁表面に担持させた場合でも、アンカー効果を十分に得ることができず、触媒のセル壁表面からの剥離を十分に抑制することができなかった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、セル壁の表面に担持させた触媒の耐剥離性を向上させることができるハニカム構造体及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、ハニカム状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画された多数のセルとを有し、排ガス浄化触媒の触媒担体として用いられるハニカム構造体において、
上記セル壁の表面から深さ方向に20μmの距離における、該セル壁の表面に開口する細孔である開気孔の存在率は、7%以上であることを特徴とするハニカム構造体にある(請求項1)。
本発明のハニカム構造体は、上記セル壁の表面から深さ方向に20μmの距離において、開気孔の存在率が7%以上である。すなわち、深さ20μm以上の十分な深さを持った開気孔が十分な割合で存在している。
そのため、触媒を担持させた場合に、その触媒が開気孔に十分に入り込んだ状態で上記セル壁の表面に担持される。そして、これによって得られるアンカー効果により、担持された触媒の上記セル壁表面からの剥離を抑制することができる。
このように、本発明によれば、セル壁の表面に担持させた触媒の耐剥離性を向上させることができるハニカム構造体を提供することができる。
第2の発明は、セラミックス原料を所望の形状のハニカム成形体に押出成形する成形工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、
上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを有し、
上記セラミックス原料のうち、上記セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料である細孔形成材料のアスペクト比は、1.0〜1.5であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法にある(請求項4)。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記成形工程において、セラミックス原料を所望の形状のハニカム成形体に押出成形する。そして、このとき、上記セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料である細孔形成材料として、アスペクト比が1.0〜1.5の範囲のものを用いる。すなわち、上記細孔形成材料として、より球状に近いアスペクト比の小さいものを用いる。
そのため、アスペクト比の大きいものを用いた場合に比べて、上記細孔形成材料が上記セル壁表面に存在する確率が高くなる。また、押出成形の際に、上記細孔形成材料が例え押出方向に配向した場合であっても、アスペクト比が小さいため、その影響を小さくすることができる。これにより、上記セル壁の表面に、上記細孔形成材料に基づく細孔を容易に形成することができる。したがって、上記セル壁の表面に、その表面に開口する細孔である開気孔も容易に形成することができる。
また、本発明の製造方法によって得られるハニカム構造体は、上記セル壁の表面に、より球状に近い開気孔が形成されたものとなる。すなわち、上記セル壁の表面に、十分な深さを持った開気孔が十分な割合で形成されたものとなる。そのため、触媒を担持させた場合に、その触媒が開気孔に十分に入り込んだ状態で上記セル壁表面に担持される。そして、これによって得られるアンカー効果により、担持された触媒の上記セル壁表面からの剥離を抑制することができる。
このように、本発明の製造方法によれば、セル壁の表面に、十分な深さを持った開気孔を容易に形成することができる。そして、得られるハニカム構造体は、セル壁の表面に担持させた触媒の耐剥離性を向上させることができる構造を有するものとなる。
上記第1の発明において、上記開気孔とは、上記セル壁に形成される細孔のうち、上記セル壁の表面に開口する細孔のことである。
また、上記開気孔の存在率とは、上記セル壁の長さ方向かつ厚み(深さ)方向の断面において、該セル壁の表面から深さ方向に20μmの地点に、上記開気孔が存在する割合のことである。
開気孔の存在率は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、乾燥させたハニカム構造体からサンプルを切り出し、そのサンプルを樹脂に埋める。次いで、サンプルを所定方向に切断し、セル壁の長さ方向の切断面をSEMで観察する。このとき、観察する面は、セル壁とセル壁との交点部分を含まない面とする。そして、SEMによる平面像において、セル壁の表面から深さ方向に20μmの地点に基準線を引き、基準線全体の長さaと開気孔と重なった基準線の長さの和bとを測定し、これらの値a、bから開気孔の存在率c(%)(=100×(b/a))を求める。
また、上記開気孔の存在率は、7%以上である。
上記開気孔の存在率が7%未満の場合には、担持させた触媒の耐剥離性を向上させるという効果を十分に発揮することができないおそれがある。
よって、上記開気孔の存在率は、10%以上であることがより好ましい(請求項2)。
この場合には、担持させた触媒の耐剥離性を向上させるという効果をより一層発揮することができる。
また、上記開気孔の存在率は、40%以下であることが好ましい。
上記開気孔の存在率が40%を超える場合には、上記セル壁の強度を十分に確保することができないおそれがある。
また、上記ハニカム構造体は、コーディエライトよりなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記ハニカム構造体として熱膨張係数の低いコーディエライトを用いることにより、耐熱衝撃性に優れた上記ハニカム構造体となる。耐熱衝撃性に優れた上記ハニカム構造体は、熱応力による割れ等の発生を抑制することができる。また、コーディエライトは高温耐久性に優れる材料である。したがって、担持される触媒の性能を長期に渡り維持することができる。さらに、コーディエライトは安価であり、製造コストの低減を実現することができる。
上記第2の発明において、上記細孔形成材料とは、上記セラミックス原料のうち、上記セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料のことである。
ここで、上記セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料とは、上記セラミックス原料のうち、細孔を形成する材料が1つの場合には、その材料のことをいう。また、複数の場合には、各材料によって形成される細孔の平均細孔径を比較した場合に、その平均細孔径が最も大きくなる材料のことをいう。
また、上記細孔形成材料のアスペクト比とは、該細孔形成材料の粒子における長辺の長さを短辺の長さで割った値のことである。
細孔形成材料のアスペクト比は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、乾燥させたハニカム構造体からサンプルを切り出し、そのサンプルを樹脂に埋める。次いで、サンプルを所定方向に切断し、セル壁の長さ方向の切断面をSEMで観察する。このとき、観察する面は、セル壁とセル壁との交点部分を含まない面とする。そして、SEMによる平面像において、細孔形成材料の粒子の長辺の長さxと短辺の長さyを測定し、これらの値x、yからアスペクト比z(=x/y)を求める。
また、上記セラミックス原料のうち、上記セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料である細孔形成材料のアスペクト比が1.5を超える場合には、上記成形工程において、上記細孔形成材料が上記セル壁の表面に対して平行な方向に配向され、上記セル壁の表面に存在する確率が低くなり、最終的に開気孔を十分に形成することができないおそれがある。
また、上記細孔形成材料は、上記セラミックス原料のうちの細孔を形成する材料の中で、上記焼成工程において液相反応する材料であり、かつ、反応温度が最も高い材料とすることができる(請求項5)。このとき、上記細孔形成材料は、反応温度に達したときに液化し、移動しながら周囲の中間生成物と反応することによって細孔を形成すると考えられる。
この場合には、上記セル壁の表面に、十分な深さを持った上記開気孔を容易に形成することができる。
なお、上記細孔形成材料としては、溶融シリカ、タルク、ケイ石、カオリンのいずれかを用いることができる(請求項6)。また、その中でも、溶融シリカであることが好ましい(請求項7)。
なぜなら、溶融シリカは、よりアスペクト比が低く、角が少ない材料であるため、上記セル壁の表面に十分な深さを持った開気孔を十分な割合で形成することができるという本発明の効果を十分かつ確実に得ることができるからである。また、上記成形工程において、押出成形時に使用する金型の磨耗を抑制することができるという効果も得られる。
また、上記細孔形成材料は、上記セラミックス原料のうちの細孔を形成する材料の中で、上記焼成工程において焼失する材料であり、かつ、平均粒径が最も大きい材料とすることができる(請求項8)。このとき、上記細孔形成材料は、所定温度に達したときに焼失し、その部分に細孔を形成すると考えられる。
この場合には、上記セル壁の表面に、十分な深さを持った上記開気孔を容易に形成することができる。
なお、上記細孔形成材料としては、カーボン、樹脂、モリブデンのいずれかを用いることができる(請求項9)。なお、ここでいう樹脂には、発泡剤等も含まれる。
また、上記細孔形成材料の平均粒径は、1〜50μmであることが好ましい(請求項10)。
上記細孔形成材料の平均粒径が1μm未満の場合には、上記セル壁の表面に、十分な深さを持った上記開気孔を形成することができないおそれがある。一方、平均粒径が50μmを超える場合には、上記セル壁に形成される細孔が大きくなり、上記セル壁の強度を十分に確保することができないおそれがある。
(実施例1)
本例は、本発明のハニカム構造体における触媒の耐剥離性を評価したものである。
本例では、開気孔の存在率が異なるハニカム構造体を作製し、触媒を担持させた状態での触媒の剥離率を測定した。本例のハニカム構造体は、自動車エンジンの排ガス浄化用触媒の触媒担体として用いられるものである。
まず、本例において作製するハニカム構造体の基本構成について説明する。
図1に示すごとく、ハニカム構造体1は、コーディエライトを主成分として構成されており、ハニカム状(四角形格子状)に配設されたセル壁12と、セル壁12に区画された四角形状の多数のセル13と、これらの外周を覆う円筒形状の外周壁14とにより構成されている。本例のハニカム構造体1の寸法は、外径が103mm、長さが105mmである。また、セル壁12の厚みは0.09mmである。
次に、ハニカム構造体の製造方法について説明する。
本例において、ハニカム構造体を製造するに当たっては、セラミックス原料を所望の形状のハニカム成形体に押出成形する成形工程と、ハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを行う。
以下、これを詳説する。
まず、タルク、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム等を含有し、化学組成が重量比にて最終的にSiO2:45〜55%、Al23:33〜42%、MgO:12〜18%よりなるコーディエライトを主成分とする組成となるように調整した原料粉末を準備する。そして、この原料粉末に水、バインダとしてのメチルセルロース等を所定量添加し、混錬することでセラミックス原料を得る。
次いで、押出成形工程では、準備したセラミックス原料を押出成形し、ハニカム成形体を成形する。このとき、セル壁の形状に対応する形状のスリット溝を有する押出成形用金型(図示略)を用いて押出成形する。
その後、成形したハニカム成形体を所望の長さに切断し、乾燥工程では、ハニカム成形体をマイクロ波乾燥機により乾燥させ、焼成工程では、ハニカム成形体を最高温度1400℃で焼成する。
以上により、ハニカム構造体を得る。
そして、本例では、上記の製造方法により、開気孔の存在率が異なる複数のハニカム構造体を作製した。
なお、ハニカム構造体の開気孔の存在率は、上記の製造方法において、溶融シリカの割合を変化させることによって調整した。
ここで、開気孔の存在率について説明する。
開気孔の存在率とは、図3に示すごとく、セル壁12の長さ方向の切断面において、セル壁12の表面121からの距離Dが深さ方向に20μmの地点に、開気孔21が存在する割合のことである。また、開気孔21とは、セル壁12に形成される細孔2のうち、セル壁12の表面121に開口する細孔2のことである。
なお、図3は、セル壁12の長さ方向の切断面を模式的に示したものである。
開気孔の存在率は、以下のようにして求めることができる。
すなわち、図2に示すごとく、ハニカム構造体から試験片1aを切り出し、その試験片1aを樹脂に埋める。なお、図2は、試験片1aの一部を示したものである。次いで、同図に示すごとく、試験片1aを長さ方向に切断し、セル壁12の長さ方向の切断面(図3)をSEMで観察する。このとき、観察する面は、セル壁12とセル壁12との交点部分129を含まない面とする。そして、図3に示すごとく、SEMによる平面像において、セル壁12の表面121からの距離Dが深さ方向に20μmの地点に基準線Aを引き、基準線A全体の長さaと開気孔21と重なった基準線Aの長さの和b(b1+b2+b3)とを測定し、開気孔の存在率c(%)をc=100×(b/a)の式から求める。
次に、開気孔の存在率が異なる複数のハニカム構造体に触媒を担持させる。
具体的には、助触媒としてのCeO2/ZrO2化合物を水中で撹拌しながら、触媒としてのPt、Rhを含有する硝酸薬液を添加した後、水分を蒸発させる。これにより、CeO2/ZrO2化合物の表面にPt、Rhを担持させた担持粉末を得る。そして、担持粉末を250℃で1時間焼成し、担持粉末中の硝酸塩を除去する。
次いで、上記担持粉末にアルミナ、バインダ等を加えてスラリー状とし、ボールミルで処理することによって粒径の揃った担持スラリーを得る。そして、この担持スラリーにハニカム構造体を一定時間浸漬した後、引き上げる。これにより、ハニカム構造体は、セル壁の壁面に上記担持スラリーが付着した状態となる。その後、120℃で20分間乾燥させ、500℃で2時間焼成する。
以上により、ハニカム構造体に触媒を担持させる。
次に、触媒を担持させた状態のハニカム構造体について、触媒の剥離率を測定する。
触媒の剥離率は、以下のようにして求めることができる。
すなわち、各試験体から18×18×18mmの角材を切り出し、これを試験片とする。試験片は、ハニカム構造体を上記担持スラリーに浸漬した端面とは反対側の端面から切り出す。そして、切り出した試験片の質量を測定する(これを質量M1とする)と共に、試験片に担持されている触媒量を計算で求めておく(これを触媒担持量m1とする)。
次いで、試験片を40℃/分で昇温させ、1000℃で5時間保持する。そして、超音波洗浄機を用い、試験片に対して200Wで10分間超音波をかける。その後、試験片の質量を測定する(これを質量M2とする)。これにより、各試験片における触媒の剥離率h(%)をh=100×(M1−M2)/m1の式から求める。
次に、触媒の剥離率の測定結果を図4に示す。同図は、縦軸に触媒の剥離率(%)、横軸に開気孔の存在率(%)をとったものである。
同図から、開気孔の存在率が7%を超えると、触媒の剥離率が1%以下となり、耐剥離性が高いことがわかる。また、開気孔の存在率が10%を超えると、触媒の剥離率が低い値で安定していることがわかる。
以上のことから、ハニカム構造体は、セル壁の表面から深さ方向に20μmの距離において、開気孔の存在率が7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましいことがわかる。
この場合には、深さ20μm以上の十分な深さを持った開気孔が十分な割合で存在しているため、触媒を担持させた場合に、その触媒が開気孔に十分に入り込んだ状態でセル壁の表面に担持される。そして、これによって得られるアンカー効果により、担持された触媒のセル壁表面からの剥離を抑制することができる。
(実施例2)
本例は、本発明のハニカム構造体の製造方法における効果を示したものである。
本例では、アスペクト比が異なる細孔形成材料を含有するセラミックス原料を用いてハニカム構造体(本発明品、従来品)を作製し、セル壁の表面における開気孔の形成状態について観察した。
ここで、細孔形成材料とは、セラミックス原料のうち、セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料である。また、セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料とは、セラミックス原料のうち、細孔を形成する材料が1つの場合には、その材料のことをいう。また、複数の場合には、各材料によって形成される細孔の平均細孔径を比較した場合に、その平均細孔径が最も大きくなる材料のことをいう。
そして、本例の細孔形成材料は、セラミックス原料のうちの細孔を形成する材料の中で、焼成工程において液相反応する材料であり、かつ、反応温度が最も高い材料である。
次に、ハニカム構造体の製造方法について説明する。
本例において、ハニカム構造体を製造するに当たっては、実施例1と同様に、セラミックス原料を所望の形状のハニカム成形体に押出成形する成形工程と、ハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを行う。
以上により、ハニカム構造体を得る。
ここで、本発明品では、セラミックス原料として、タルク、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム等を含有した原料粉末に水、バインダとしてのメチルセルロース等を所定量添加し、混錬したものを用いた。また、上記セラミックス原料のうち、細孔形成材料は溶融シリカである。溶融シリカは、平均粒径が15μm、アスペクト比が1.0〜1.5である。
一方、従来品では、セラミックス原料として、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム等を含有した原料粉末に水、バインダとしてのメチルセルロース等を所定量添加し、混錬したものを用いた。また、上記セラミックス原料のうち、細孔形成材料はタルクである。タルクは、平均粒径が20μm、アスペクト比が3.0〜10である。
次に、得られたハニカム構造体について、開気孔の形成状態について観察した。
具体的には、図2に示すごとく、実施例1の開気孔の存在率の測定と同様に、ハニカム構造体から試験片1aを切り出し、その試験片1aを樹脂に埋める。次いで、同図に示すごとく、試験片1aのセル壁12を長さ方向に切断し、その切断面(図5、図6)をSEMで観察する。このとき、観察する面は、セル壁12とセル壁12との交点部分129を含まない面とする。
次に、SEM写真を図5、図6に示す。図5は本発明品であり、図6は従来品である。また、図5、図6には、セル壁12の表面121からの距離Dが深さ方向に20μmの地点に基準線Aを引いてある。
同図から、本発明品(図5)は、従来品(図6)に比べて、深さが20μm以上の開気孔21がセル壁12の表面121に多く存在していることがわかる。なお、開気孔21は、図中に○印で示してある。
以上のことから、セラミックス原料のうち、セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料である細孔形成材料として、アスペクト比が1.0〜1.5の範囲のものを用いることが好ましいことがわかる。すなわち、細孔形成材料として、より球状に近いアスペクト比の小さいものを用いることが好ましいことがわかる。
この場合には、アスペクト比の大きいものを用いた場合に比べて、細孔形成材料がセル壁表面に存在する確率が高くなる。また、押出成形の際に、細孔形成材料が例え押出方向に配向した場合であっても、アスペクト比が小さいため、その影響を小さくすることがない。これにより、セル壁の表面に、細孔形成材料に基づく細孔を容易に形成することができる。したがって、セル壁の表面に、その表面に開口する細孔である開気孔も容易に形成することができる。
また、セル壁の表面に、より球状に近い開気孔が形成されたものとなる。すなわち、セル壁の表面に、十分な深さを持った開気孔が十分に形成されたものとなる。そのため、触媒を担持させた場合に、その触媒が開気孔に十分に入り込んだ状態でセル壁表面に担持される。そして、これによって得られるアンカー効果により、担持された触媒のセル壁表面からの剥離を抑制することができる。
実施例1における、ハニカム構造体を示す説明図。 実施例1における、セル壁の断面の場所を示す説明図。 図2における、E−E線矢視断面図。 実施例1における、開気孔の存在率と剥離率との関係を示すグラフ。 実施例2における、本発明品のセル壁の断面を示すSEM写真。 実施例2における、従来品のセル壁の断面を示すSEM写真。
符号の説明
12 セル壁
121 表面
2 細孔
21 開気孔

Claims (10)

  1. ハニカム状に配設されたセル壁と、該セル壁内に区画された多数のセルとを有し、排ガス浄化触媒の触媒担体として用いられるハニカム構造体において、
    上記セル壁の表面から深さ方向に20μmの距離における、該セル壁の表面に開口する細孔である開気孔の存在率は、7%以上であることを特徴とするハニカム構造体。
  2. 請求項1において、上記セル壁の表面から深さ方向に20μmの距離における、上記開気孔の存在率は、10%以上であることを特徴とするハニカム構造体。
  3. 請求項1又は2において、上記ハニカム構造体は、コーディエライトよりなることを特徴とするハニカム構造体。
  4. セラミックス原料を所望の形状のハニカム成形体に押出成形する成形工程と、
    上記ハニカム成形体を乾燥する乾燥工程と、
    上記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを有し、
    上記セラミックス原料のうち、上記セル壁の表面の細孔形成に最も寄与する材料である細孔形成材料のアスペクト比は、1.0〜1.5であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  5. 請求項4において、上記細孔形成材料は、上記セラミックス原料のうちの細孔を形成する材料の中で、上記焼成工程において液相反応する材料であり、かつ、反応温度が最も高い材料であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  6. 請求項5において、上記細孔形成材料は、溶融シリカ、タルク、ケイ石、カオリンのいずれかであることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  7. 請求項5において、上記細孔形成材料は、溶融シリカであることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  8. 請求項4において、上記細孔形成材料は、上記セラミックス原料のうちの細孔を形成する材料の中で、上記焼成工程において焼失する材料であり、かつ、平均粒径が最も大きい材料であることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  9. 請求項8において、上記細孔形成材料は、カーボン、樹脂、モリブデンのいずれかであることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  10. 請求項4〜9のいずれか1項において、上記細孔形成材料の平均粒径は、1〜50μmであることを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
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