JP2010140839A - マイクロ波処理装置 - Google Patents

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健治 安井
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Abstract

【課題】加熱動作前に、反射電力を最小にする動作条件を探索する時間を短縮し、加熱効率を改善する。
【解決手段】発振部2、電力増幅部3、被加熱物8を収納する加熱室7と、加熱室7の壁面に配置されマイクロ波発生部1の出力が伝送されそのマイクロ波を加熱室7内に放射供給する給電部5と、給電部5から電力増幅部3に反射される電力を検出する電力検出部4とを備え、加熱動作前の最低反射電力条件探索動作において、大きな周波数ステップで一旦周波数特性を取得し、取得した情報から最低条件を選び、その最低条件近傍を周波数の変化ステップを小さくして、詳細な周波数特性情報を得ることにより、最低反射電力検索時間を短縮できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子を用いて構成したマイクロ波発生部を備えたマイクロ波処理装置に関するものである。
従来から、マイクロ波発生装置として一般的に用いられるマグネトロンに代えて、半導体素子を用いたマイクロ波発生装置が提案されてきた。半導体素子を用いたマイクロ波発生装置によれば、小型でかつ安価な構成で、マイクロ波の周波数を容易に調整することができる。このように、半導体素子を用いたマイクロ波発生装置を備えるマイクロ波加熱装置が特許文献1に記載されている。
特許文献1のマイクロ波加熱装置においては、所定の周波数帯域でマイクロ波の周波数が掃引され、反射電力が最小値を示すときのマイクロ波の周波数が記憶される。そして、記憶された周波数のマイクロ波が加熱室内のアンテナから放射され、対象物が加熱される。これにより、電力変換効率が向上する。
特開昭56−096486号公報
加熱室内に供給されるマイクロ波電力が被加熱物に100%吸収されると加熱室からの反射電力は0Wになるが、被加熱物の種類・形状・量・載置位置が被加熱物を含む加熱室の電気的特性を決定し、マイクロ波発生部の出力インピーダンスと加熱室のインピーダンスとに基づいて、加熱室側からマイクロ波発生部側に伝送する反射電力が生じる。この特性は周波数によっても変化し、最も効率よくマイクロ波を吸収させられる周波数は載置された被加熱物によって変化する。
加熱効率を向上させるためには、最も適した周波数で加熱動作することが求められる。また、半導体素子は放熱部材が接触した状態で用いられ、反射電力により半導体素子が発熱した場合、放熱部材により放熱が行われる。
しかしながら、マイクロ波の周波数が掃引される際に非常に大きい反射電力が発生すると、その反射電力により発生する熱が放熱部材の放熱能力を超える場合がある。この場合、半導体素子が破損するおそれがある。このため、周波数掃引動作時は反射電力によって半導体素子の破壊を防止するため本加熱時よりも投入電力を減じた動作が必要であるが、この周波数掃引動作が長くなると動作時間に占める掃引時間が長くなるため加熱に要する時間が長くなってしまうためか熱効率が低下してしまうという課題がある。
本発明の目的は、反射電力によるマイクロ波発生装置の破損を防止し、高い加熱効率を実現できるマイクロ波処理装置およびマイクロ波処理方法を提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロ波処理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、発振部と、前記発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と、前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給する給電部と、前記給電部から前記電力増幅部に反射する電力および前記電力増幅部から前記給電部に供給される入射電力を検出する電力検出部と、前記発振部の発振周波数と前記電力増幅部を制御する制御部とを備え、前記給電部は前記加熱室を構成する壁面に配置するとともに、前記制御部は加熱動作開始前に前記電力増幅部
を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において前記発振部の発振周波数を変化させて前記電力検出部によって検出される反射電力が最小となる条件を探索し、前記探索した条件で加熱動作へ移行する構成としたものである。
これによって、加熱動作前の周波数掃引動作を短時間で終了させ、最小反射電力の動作条件で加熱動作へ移行するので、過大な反射電力によるマイクロ波発生部の破損を防止できると共に高い加熱効率を実現することができる。
本発明のマイクロ波処理装置は、短時間で周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、過大な反射電力によるマイクロ波発生部の破損を防止できると共に高い加熱効率を実現することができる。
第1の発明は、被加熱物を収容する加熱室と、発振部と、前記発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と、前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給する給電部と、前記給電部から前記電力増幅部に反射する電力および前記電力増幅部から前記給電部に供給される入射電力を検出する電力検出部と、前記発振部の発振周波数と前記電力増幅部を制御する制御部とを備え、前記給電部は前記加熱室を構成する壁面に配置するとともに、前記制御部は加熱動作開始前に前記電力増幅部を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において前記発振部の発振周波数を変化させて、前記電力検出部によって検出される反射電力が最小となる条件を探索し、前記探索した条件で加熱動作へ移行する構成とすることにより、加熱動作前に周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、加熱動作によって電力増幅器に過大な反射電力が反射されることを未然に防止でき、反射電力による発熱によって電力増幅器の損傷を防ぎ、高効率な加熱動作を実現することができる。
第2の発明は、特に第1の発明においてさらに、反射電力が最小である条件は電力検出部によって検出される反射電力を入射電力で除した値で定義する構成することにより、加熱動作前に周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、加熱動作によって電力増幅器に過大な反射電力が反射されることを未然に防止でき、反射電力による発熱によって電力増幅器の損傷を防ぎ、高高率な加熱動作を実現することができるとともに、マイクロ波発生部の出力が変動しても確実に反射電力が最小となる条件を確定させることができる。
第3の発明は、被加熱物を収容する加熱室と、発振部と前記発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給する給電部と前記給電部から前記電力増幅部に反射する電力および前記電力増幅部から前記給電部に供給される入射電力を検出する電力検出部とからなるマイクロ波発生部と、前記マイクロ波発生部の発振周波数とマイクロ波出力を制御する制御部とを備え、前記マイクロ波発生部は前記加熱室を構成する壁面に複数配置するとともに、前記制御部は加熱動作開始前に前記電力増幅部を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において前記発振部の発振周波数を変化させて前記電力検出部によって検出される反射電力が最小となる条件を探索し、前記探索した条件で加熱動作へ移行する構成とすることにより、加熱動作前に周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、加熱動作によって電力増幅器に過大な反射電力が反射されることを未然に防止でき、反射電力による発熱によって電力増幅器の損傷を防ぎ、高効率な加熱動作を実現することができる。
第4の発明は、特に第5の発明においてさらに、複数のマイクロ波発生部は各々異なる周波数で発振し、加熱動作前の周波数探索動作時はマイクロ波発生部は順番に1つずつ動
作するとともに、反射電力が最小である条件は電力検出部によって検出される反射電力と他のマイクロ波発生部から透過する電力の和を入射電力で除した値で定義する構成とすることにより、加熱動作前に周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、加熱動作によって電力増幅器に過大な反射電力が反射されることを未然に防止でき、反射電力による発熱によって電力増幅器の損傷を防ぎ、高高率な加熱動作を実現することができるとともに、マイクロ波発生部の出力が変動しても確実に反射電力が最小となる条件を確定させることができる。
第5の発明は、特に第5の発明においてさらに、複数のマイクロ波発生部は各々異なる周波数で発振し、加熱動作前の周波数探索動作時はマイクロ波発生部は同時に動作するとともに、電力検出部は検出したマイクロ波の振幅と周波数を検出する構成とし、反射電力が最小である条件は電力検出部によって検出される反射電力と他のマイクロ波発生部から透過する電力の和を入射電力で除した値で定義する構成とすることにより、加熱動作前に周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、加熱動作によって電力増幅器に過大な反射電力が反射されることを未然に防止でき、反射電力による発熱によって電力増幅器の損傷を防ぎ、高高率な加熱動作を実現することができるとともに、マイクロ波発生部の出力が変動しても確実に反射電力が最小となる条件を確定させることができる。
第6の発明は、特に第2、第3および第5の発明においてさらに、加熱動作前の周波数探索時は所定の周波数範囲をN個の区間に分割し、一旦最小値を検出した区間を周波数変化量をさらに減じて再度反射電力の探索動作をする構成とすることにより、最小反射電力となる動作条件の探索時間を短縮できるので、高効率な加熱動作を実現でき加熱時間の短縮を図ることができる。
第7の発明は、特に第2、第3および第5の発明においてさらに、加熱動作前の周波数探索時は所定の周波数範囲をN個の区間に分割し、一旦最小値を検出した周波数を中心に周波数変化量をさらに減じて再度反射電力の探索動作をする構成とすることにより、最小反射電力となる動作条件の探索時間を短縮できるので、高効率な加熱動作を実現でき加熱時間の短縮を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波処理装置の構成図である。
図1において、マイクロ波発生部1は半導体素子を用いて構成した発振部2、発振部2の出力を増幅する半導体素子を用いて構成した電力増幅部3と、電力増幅部3によって増幅されたマイクロ波出力を加熱室7内に放射する給電部5と、電力増幅部3と給電部5とを接続するマイクロ波伝送路に挿入され給電部5から電力増幅部3へ反射する電力および電力増幅部3から給電部へ供給される入射電力を検出する電力検出部4と、電力検出部4によって検出された入射電力および反射電力によってマイクロ波処理装置を制御する制御部6とで構成している。
また、本発明のマイクロ波処理装置は、被加熱物8を収納する略直方体構造からなる加熱室7を有し、加熱室7は金属材料からなる左壁面、右壁面、底壁面、上壁面、奥壁面および被加熱物8を収納するために開閉する開閉扉(図示していない)と、被加熱物8を載置する載置台9から構成し、供給されるマイクロ波を内部に閉じ込めるように構成している。そして、マイクロ波発生部1の出力が伝送され、そのマイクロ波を加熱室7内に放射
供給する給電部5が、加熱室7を構成する壁面に配置されている。本実施の形態では、給電部5は加熱室7の底面に配置した例を示しているが、この給電部5の配置は、本実施の形態に拘束されるものではなく、加熱室7を構成するいずれかの壁面に配置しても構わない。
電力増幅部3は、低誘電損失材料から構成した誘電体基板の片面に形成した導電体パターンにて回路を構成し、増幅素子である半導体素子を良好に動作させるべく、各半導体素子の入力側と出力側にそれぞれ整合回路を配している。
各々の機能ブロックを接続するマイクロ波伝送路は、誘電体基板の片面に設けた導電体パターンによって、特性インピーダンスが略50Ωの伝送回路を形成している。
また、電力検出部4は、加熱室7側から電力増幅部3側に伝送する、いわゆる反射波の電力、および電力増幅部3側から加熱室7側に伝送する、いわゆる入射電力を抽出するものであり、電力結合度をたとえば約−40dBとし、反射電力および入射電力の約1/10000の電力量を抽出する。この電力信号は、それぞれ検波ダイオード(図示していない)で整流化し、コンデンサ(図示していない)で平滑処理し、その出力信号を制御部6に入力させている。
制御部6は、使用者が直接入力する被加熱物8の加熱条件、あるいは加熱中に被加熱物8の加熱状態から得られる加熱情報と電力検出部4より得られる検知情報とに基づいて、マイクロ波発生部1の構成要素である発振部2と電力増幅部3のそれぞれに供給する駆動電力を制御し、加熱室7内に収納された被加熱物8を最適に加熱する。
また、マイクロ波発生部1には、主に電力増幅部3に備えた半導体素子の発熱を放熱させる放熱手段(図示していない)を配する。
以上のように構成されたマイクロ波処理装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、被加熱物8を加熱室7に収納し、その加熱条件を操作部(図示していない)から入力し、加熱開始キーを押すことにより加熱開始信号を出力する。加熱開始信号を受けた制御部6の制御出力信号によって、マイクロ波発生部1が動作を開始する。制御部6は、駆動電源(図示していない)を動作させて、発振部2に電力を供給する。この時、発振部2の初期の発振周波数は、例えば2400MHzに設定する電圧信号を供給し、発振が開始する。
発振部2を動作させると、以降、駆動電源を制御して電力増幅部3を動作させる。
そして、マイクロ波電力信号は電力増幅部3、電力検出部4を経て給電部5に出力され、加熱室7内に放射される。このときの電力増幅部3の出力電力は、100W未満、例えば50Wのマイクロ波電力を出力する。
加熱室7内に供給されるマイクロ波電力が、被加熱物8に100%吸収されると、加熱室7からの反射電力は0Wになるが、被加熱物8の種類・形状・量・載置位置が被加熱物8を含む加熱室7の電気的特性を決定し、マイクロ波発生部1の出力インピーダンスと加熱室7のインピーダンスとに基づいて、加熱室7側からマイクロ波発生部1側に伝送する反射電力が生じる。
電力検出部4は、マイクロ波発生部1側に伝送する反射電力を検出し、その反射電力量
に比例した信号を検出するものであり、その検出信号を受けた制御部6は、反射電力が極小値となる発振周波数を選択する。この発振周波数の選択に関して、制御部6は、発振部2の発振周波数を初期の2400MHzから、例えば1MHzピッチで高い周波数側に変化させ、周波数可変範囲の上限である2500MHzに到達させる。この操作を行うことで、制御部6は、発振部2の発振周波数に対する反射電力の配列を得ることができる。制御部6は、この反射電力が最も小さくなる発振部2の発振周波数の条件で制御するとともに、発振出力を入力された加熱条件に対応した出力が得られるように制御する。これにより、電力増幅部3は、所定のマイクロ波電力を出力する。そしてその出力は、給電部5に伝送され、加熱室7内に放射される。
しかしながら、上述のようなステップで、反射電力が最小となる動作周波数条件を確定させるためには、周波数ピッチを1MHzとすると、100回測定を繰り返さなければならない。これに対して、例えば図2(a)のマイクロ波処理装置の周波数掃引動作の一例を示す概念図のように、2400MHzから2500MHzまでを例えば10個の区間に分割し11個の測定周波数にすると、一旦周波数掃引を行うために要する回数は、11回で済むことになる。
図2(b)で示すように、この1回目の掃引によって得られた各区間の反射電力の情報から、反射電力が最も少なくなっている区間A,Bに関して、周波数の変化ステップを例えば1MHzとして再度周波数の2回目の掃引を行う。この動作手順を実行することで、反射電力が少なくなっている区間のみ詳細な情報を蓄積して、最小反射電力の条件foptを確定させることができる。また、最小反射電力の条件を確定させるまでの測定繰り返し回数は、32回で済むので、大幅に掃引時間を短縮することができる。
このため、加熱処理に必要な総加熱時間を短縮することができるので、結果として加熱効率が向上することになる。
また、図3のように、1度掃引することによって得た反射電力の情報から、最も反射電力が少なくなる条件f1に対して、掃引周波数をf1−5MHzからf1+5MHzの区間に対して再度2回目の周波数掃引を行うこともできる。この動作の場合、反射電力最小の条件を確定させるまでの測定繰り返し時間は、22回でよいことになる。
上述では、1回目の周波数掃引の間隔を10MHzとして、2400MHzから2500MHzまでの測定繰り返し回数を11回としたが、測定間隔を20MHzとして測定の繰り返し回数を6回とすることもできる。
(実施の形態2)
図4は、第2の実施の形態のマイクロ波処理装置の構成図である。
図4において、2つのマイクロ波発生部101、201が、加熱室7の底面に配置された例を示している。マイクロ波発生部101、201を構成する、発振部102、202と、電力増幅部103、204と、電力検出部104、204と、給電部105、205のそれぞれの構成については、前述の実施の形態と同じであるため、ここでは詳細な説明は割愛する。
電力検出部104、204は、マイクロ波発生部101、201側に伝送する反射電力を検出し、その反射電力量に比例した信号を検出するものであり、その検出信号を受けた制御部6は、反射電力が極小値となる発振周波数の選択を行う。この周波数の選択に対して、制御部6は、発振部102、202の発振周波数を初期の2400MHzから例えば1MHzピッチで高い周波数側に変化させ、周波数可変範囲の上限である2500MHz
に到達する。
この操作を行うことで制御部6は、発振部102、202の発振周波数に対する反射電力の配列を得ることができる。制御部6はこの反射電力が最も小さくなる発振部102、202の発振周波数の条件で制御するとともに、発振出力を入力された加熱条件に対応した出力が、得られるように制御する。これにより、電力増幅部103、203は、所定のマイクロ波電力を出力する。そして、その出力は給電部105、205に伝送され、加熱室7内に放射される。
マイクロ波発生部101、201の出力インピーダンスと加熱室7内の電気的特性とによって、反射電力が生じることは前述の実施の形態でも述べた通りであるが、給電部が複数個加熱室7に配置されている場合、単に給電部105、205での反射だけではなく一方の給電部から放射したマイクロ波が被加熱物8で吸収されずに直接他方の給電部に透過した電力も、他方の給電部での反射電力として計算する必要が生じる。
このため、加熱動作前に最小反射電力を探索する動作においては、給電部から放射した電力が加熱室7から反射した電力と、他方の給電部へ透過してしまった電力とを別々に計測するために、マイクロ波発生部101、201は、同時には発振しないで順番に発振するように、制御部6によって制御される。
例えば図5のように、2400MHzから2500MHzまでを10個の区間に分割すると、一旦周波数掃引を行うために要する回数は11回で済むことになり、この掃引動作によって、マイクロ波発生部101に対して、マイクロ波発生部101の反射電力とマイクロ波発生部201からの透過電力の2つの情報が、また、マイクロ波発生部201に対しては、マイクロ波発生部201の反射電力とマイクロ波発生部101からの透過電力の情報が蓄積される(図5(a))。
この1回目の掃引によって得られた電力の情報から、それぞれのマイクロ波発生部101、201の反射電力は、給電部での反射電力と他方のマイクロ波発生部からの透過電力との和を、放射した電力で除した値を求め、それぞれのマイクロ波発生部101、201の反射電力の情報として蓄積し、反射電力が最も少なくなっている区間A,Bに関して、周波数の変化ステップを例えば1MHzとして、再度周波数の掃引を行う。
2回目の周波数掃引をすることで、反射電力が少なくなっている区間のみについて、詳細な情報を蓄積し、最小反射電力の条件foptを確定させることができる。また、最小反射電力の条件を確定させるまでに、測定繰り返し回数が32回で済むので、大幅に掃引時間を短縮することができる。
また、図6のように1度掃引することによって得た反射電力の情報から、最も反射電力が少なくなる条件f1に対して、掃引周波数をf1−5MHzからf1+5MHzの区間に対して、再度2回目の周波数掃引を行うこともできる(図6(b))。この動作の場合、反射電力最小の条件を確定させるまでの測定繰り返し時間は、22回でよいことになる。
上述では1回目の周波数掃引の間隔を10MHzとして、2400MHzから2500MHzまでの測定繰り返し回数を11回としたが、測定間隔を20MHzとして、測定の繰り返し回数を6回とすることもできる。
以上のように、本発明にかかるマイクロ波処理装置は、負荷がない状態での共振特性を
記憶し、加熱開始時に測定する周波数特性と記憶している無負荷の周波数特性を比較することによって、負荷の有無を判定できる装置を提供できるので、電子レンジで代表されるような誘電加熱を利用した加熱装置や生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置であるプラズマ電源のマイクロ波電源などの用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1におけるマイクロ波処理装置の概略構成を示すブロック図 (a)同マイクロ波処理装置における周波数掃引の1回目の動作の一例を示す概念図(b)同周波数掃引の2回目の動作の一例を示す概念図 (a)同マイクロ波処理装置における周波数掃引の1回目の動作の他の例を示す概念図(b)同周波数掃引の2回目の動作の他の例を示す概念図 本発明の実施の形態2におけるマイクロ波処理装置の概略構成を示すブロック図 (a)同マイクロ波処理装置における反射電力と透過電力の掃引結果の一例を示す概念図(b)反射電力が最も少なくなっている区間A,Bに関して、周波数の変化ステップを例えば1MHzとし反射電力と透過電力の掃引結果から反射電力を算出した一例を示す概念図 (a)同マイクロ波処理装置における反射電力と透過電力の掃引結果の一例を示す概念図(b)反射電力と透過電力の掃引結果最も反射電力が少なくなる条件f1に対して、掃引周波数をf1−5MHzからf1+5MHzの区間に対して2回目の周波数掃引を行い反射電力を算出した一例を示す概念図
符号の説明
1、101、201 マイクロ波発生部
2、102、202 発振部
3、103、203 電力増幅部
4、104、204 電力検出部
5、105、205 給電部
6 制御部
7 加熱室
8 被加熱物

Claims (7)

  1. 被加熱物を収容する加熱室と、発振部と、前記発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と、前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給する給電部と、前記給電部から前記電力増幅部に反射する電力および前記電力増幅部から前記給電部に供給される入射電力を検出する電力検出部と、前記発振部の発振周波数と前記電力増幅部を制御する制御部とを備え、前記給電部は前記加熱室を構成する壁面に配置するとともに、前記制御部は加熱動作開始前に前記電力増幅部を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において前記発振部の発振周波数を変化させて前記電力検出部によって検出される反射電力が最小となる条件を探索し、前記探索した条件で加熱動作へ移行する構成としたマイクロ波処理装置。
  2. 反射電力が最小である条件は電力検出部によって検出される反射電力を入射電力で除した値で定義する構成とした請求項1に記載のマイクロ波処理装置。
  3. 被加熱物を収容する加熱室と、発振部と前記発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と前記電力増幅部の出力を前記加熱室に供給する給電部と前記給電部から前記電力増幅部に反射する電力および前記電力増幅部から前記給電部に供給される入射電力を検出する電力検出部とからなるマイクロ波発生部と、前記マイクロ波発生部の発振周波数とマイクロ波出力を制御する制御部とを備え、前記マイクロ波発生部は前記加熱室を構成する壁面に複数配置するとともに、前記制御部は加熱動作開始前に前記電力増幅部を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において前記発振部の発振周波数を変化させて前記電力検出部によって検出される反射電力が最小となる条件を探索し、前記探索した条件で加熱動作へ移行する構成としたマイクロ波処理装置。
  4. 複数のマイクロ波発生部は各々異なる周波数で発振し、加熱動作前の周波数探索動作時はマイクロ波発生部は順番に1つずつ動作するとともに、反射電力が最小である条件は電力検出部によって検出される反射電力と他のマイクロ波発生部から透過する電力の和を入射電力で除した値で定義する構成とした請求項3に記載のマイクロ波処理装置。
  5. 複数のマイクロ波発生部は各々異なる周波数で発振し、加熱動作前の周波数探索動作時はマイクロ波発生部は同時に動作するとともに、電力検出部は検出したマイクロ波の振幅と周波数を検出する構成とし、反射電力が最小である条件は電力検出部によって検出される反射電力と他のマイクロ波発生部から透過する電力の和を入射電力で除した値で定義する構成とした請求項3に記載のマイクロ波処理装置。
  6. 加熱動作前の周波数探索時は所定の周波数範囲をN個の区間に分割し、一旦最小値を検出した区間を周波数変化量をさらに減じて再度反射電力の探索動作をする構成とした請求項2または3または5に記載のマイクロ波処理装置。
  7. 加熱動作前の周波数探索時は所定の周波数範囲をN個の区間に分割し、一旦最小値を検出した周波数を中心に周波数変化量をさらに減じて再度反射電力の探索動作をする構成とした請求項2または3または5に記載のマイクロ波処理装置。
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