JP2010139882A - 電子写真記録用紙及び電子写真記録用紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基紙の表面に水溶性樹脂塗工液が塗工された、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下の電子写真記録用紙であって、前記塗工液は、オレフィン系のサイズ剤とともにポリアクリルアミド系の紙力増強剤を含む。
【選択図】図1
Description
すなわち、本発明の第一の課題は、軽量化しても、十分な不透明度を得られる軽量の電子写真記録用紙を提供することにある。本発明の第二の課題は、軽量化しても、コピー時の皺、搬送ジャム等のトラブルが発生しない、十分な剛度を有する軽量の電子写真記録用紙を提供することにある。このように、本発明は、地球環境問題に対応した記録用紙の提供で、軽量で不透明度が高く、コピー時に皺、ジャム等の搬送トラブルのない軽量の電子写真記録用紙及びその製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、前記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
基紙の少なくとも一方の表面に水溶性樹脂塗工液が塗工された、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下の電子写真記録用紙であって、
前記塗工液は、オレフィン系のサイズ剤とともにポリアクリルアミド系の紙力増強剤を含む、
ことを特徴とする電子写真記録用紙。
前記オレフィン系サイズ剤の塗工量が片面塗工の場合は片面で、両面塗工の場合は両面で0.006〜0.280g/m2とされ、かつ前記ポリアクリルアミド系紙力増強剤の塗工量が片面塗工の場合は片面で、両面塗工の場合は両面で0.5〜4.0g/m2とされている、
請求項1記載の電子写真記録用紙。
前記基紙にアルキルテケンダイマー型のサイズ剤が内添され、
JIS P 8118に準拠した紙厚が83μm以下とされ、かつJIS P 8143に準拠したCD方向の剛度が20〜38とされている、
請求項1又は請求項2記載の電子写真記録用紙。
JIS P 8251に準拠した灰分が3〜12質量%とされ、かつJIS P 8149に準拠した不透明度が80〜85%とされている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真記録用紙。
前記基紙にポリアクリルアミド系の紙力増強剤が内添されている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真記録用紙。
前記基紙は、原料パルプとして針葉樹クラフトパルプ及び広葉樹クラフトパルプを含み、前記原料パルプの5〜35%が前記針葉樹クラフトパルプとされ、かつ前記広葉樹クラフトパルプのルンケル比が0.6〜0.9とされている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真記録用紙。
基紙の少なくとも一方の表面に水溶性樹脂塗工液を塗工して、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下の電子写真記録用紙を製造する方法であって、
前記塗工液に、オレフィン系のサイズ剤とともにポリアクリルアミド系の紙力増強剤を含ませ、
前記オレフィン系サイズ剤の塗工量が0.006〜0.280g/m2、前記ポリアクリルアミド系紙力増強剤の塗工量が0.5〜4.0g/m2となるように塗工する、
ことを特徴とする電子写真記録用紙の製造方法。
本形態の電子写真記録用紙は、基紙の少なくとも一方の表面に水溶性樹脂塗工液が塗工され、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下とされ、かつ、前記塗工液が、オレフィン系のサイズ剤とともにポリアクリルアミド系の紙力増強剤を含むものである。
本形態の電子写真記録用紙は、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下であることにより、紙厚を83μm以下とすることが容易になり、1パレット当りの高さは同じで段ケース(A4であれば2500枚入り)を6段から7段積むことができ、輸送効率がアップし、1度に輸送できる枚数が増加するため、輸送時に発生する紙1枚当りのCO2の発生量を抑制することができる。坪量は、十分な不透明度及び剛度を得るという理由から少なくとも54g/m2以上であることが好ましい。軽量の電子写真記録用紙は、コピー時の皺、ジャム等の搬送トラブル低減という理由から、より好適には坪量55〜61g/m2である。
基紙の表面に塗工する水溶性樹脂塗工液に含ませるオレフィン系サイズ剤は、オレフィン系不飽和モノマーを構成モノマーとして含む共重合体であり、エチレン/アクリル酸共重合体、イソブチレン/アクリル酸共重合体、n−ブチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、プロピレン/マレイン酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体などが例示され、具体的には疎水性不飽和モノマーであるオレフィン系不飽和モノマーとカルボキシ含有不飽和モノマー若しくはその塩を主構成要素とする共重合体である。オレフィン系不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20程度の直鎖、環状又は分岐上のオレフィン不飽和モノマーが挙げられる。
基紙の表面に塗工する水溶性樹脂塗工液に含ませる紙力増強剤としては、澱粉や植物ガムといった天然で得られる高分子化合物や、尿素‐ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、メラミン‐ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドアミン‐エピクロルヒドリン樹脂、本発明で好適に使用できるポリアクリルアミド系樹脂などが挙げられるが、電子写真記録用紙表面への塗工作業性、オレフィン系サイズ剤との相溶性、乾式電子写真記録方式の複写機における電子写真記録装置の腐食・汚損適性、本発明における課題である、コピー時の皺、搬送ジャム等のトラブルが発生しない軽量の電子写真記録用紙を得ることを可能にする剛度の確保の面から、ポリアクリルアミド系樹脂が好適な紙力増強剤として選択され、更に、このポリアクリルアミド系樹脂として、アニオン性のポリアクリルアミドが好適に用いられる。アニオン性のポリアクリルアミドは、オレフィン系のサイズ剤と組み合わせ、基紙の表面に塗工することによって、他のサイズ剤との組み合わせにおいては問題となる、異物の発生や変色、増粘がなく、塗工適性も秀でる特徴を有する。また、アニオン性のポリアクリルアミドとオレフィン系のサイズ剤とを組み合わせて塗工することにより、剛度向上と電子写真記録における熱定着時のカールの発生が少なく、浪打の発生が小さく、搬送性に優れた本記録用紙が得られる。
水溶性樹脂塗工液の塗工量は、片面塗工の場合は片面で、両面塗工の場合は両面で、好ましくは0.5〜5.0g/m2、より好ましくは1.0〜3.5g/m2である。塗工量が0.5g/m2未満であると記録用紙の剛度が不足し、乾式電子写真記録方式の複写機やプリンターで紙折れトラブルが発生したり、紙粉が発生したりし、印刷物の汚れの問題も発生する。他方、塗工量が5.0g/m2を超えると薬品コストが上昇し、費用対効果が得られない。更に、5.0g/m2を超える塗工量及び0.5g/m2を下回ると恒量は、紙表面に設けることが困難である。
本形態の電子写真記録用紙は、JIS P 8118に準拠した紙厚が83μm以下、好ましくは75〜81μmとされていると好適である。一般的な電子写真記録用紙の紙厚は90μmであるが、本形態のように紙厚を83μm以下とすることにより、1パレット当りの高さは同じで段ケース(A4であれば2500枚入り)を6段から7段積むことができ、輸送効率がアップし、1度に輸送できる枚数が増加するため、輸送時に発生する紙1枚当りのCO2の発生量を抑制することができる。逆に紙厚が83μmを超えると従来どおり6段しか積むことができず、輸送効率がアップせず、輸送におけるCO2の排出削減に至らない。
本形態の電子写真記録用紙は、JIS P 8143に準拠した紙のクラークこわさ試験におけるCD方向(紙の横方向)の剛度が好ましくは20〜38、より好ましくは22〜35である。クラーク剛度(横)が20未満であると、本記録用紙を複写機やプリンターに通紙した際紙折れなどの通紙トラブルが発生する可能性があり、クラーク剛度(横)が38を超えると通紙性としては問題無いが坪量61g/m2以下の記録用紙を得るためには、内添及び外添にて過度の薬品を用いる必要があり薬品コストが上昇し、費用対効果が劣ると共に、省資源・リサイクル化に反するものとなる。
本形態の電子写真記録用紙は、前記基紙にアルキルテケンダイマー(AKD)型のサイズ剤が内添されると好適である。電子写真記録用紙の内添サイズ剤としては、AKD以外にアルケニルコハク酸無水物(ASA)や中性ロジンサイズ剤が考えられるが、ASAは乳化後直ぐに使用しないとサイズ性能を発揮しない問題があり、取り扱いが困難である。また、中性ロジンサイズ剤はASAのような取り扱いの困難性はないが、リサイクル率アップの観点から古紙パルプの配合率を増加させた場合に、抄紙pHが6.5〜7.5が7〜9程度まで上昇するためサイズ性能の発揮能力が低下する問題があるため、AKDサイズを使用することが良い。また、本形態におけるAKDの内添は、他の内添サイズ剤と異なり、サイズ効果の発現が遅いため、外添塗布を行った際に、水溶性樹脂塗工液が紙中に浸透しやすく表層から内層にかけて剛度向上効果を発揮するため、他のサイズ剤を用いた場合よりも、本形態の記録用紙のクラーク剛度の向上が得られる。
本形態の電子写真記録用紙は、JIS P 8251に準拠した灰分が3〜12質量%(好ましくは5〜10質量%)とされ、かつJIS P 8149に準拠した不透明度が80〜85%(好ましくは81〜84質量%)とされている。
すなわち、炭酸カルシウムのバッファー効果によって抄紙pHは7〜9になり、抄紙pHが中性あるいはアルカリ性の場合、酸性の場合と比べて繊維1本1本が充分に伸びているので、繊維相互が水素結合を形成する領域が増加する。したがって、灰分が酸性印刷用紙と同程度の場合には、中性印刷用紙の紙力の方が高くなり、この結果、坪量が61g/m2以下と低い電子写真記録用紙であってもクラーク剛度の低下を抑制し、複写機内での搬送性、高速輪転印刷に耐え得る充分な強度が得られる。
本形態の電子写真記録用紙は、JIS P 8149に準拠した不透明度が80〜85%とされている。不透明度が80%未満の場合は、記録内容が反記録面から読み取りやすくなる。他方、不透明度が85%を超える場合は、不透明度の観点では問題はないが、85%を超える不透明度を得るために紙中灰分を12%を超えた部分での含有が必要になり、紙の剛度が不足し、乾式電子写真記録方式の複写機やプリンターに通紙した際の紙折れなどの通紙トラブルとなる可能性がある。
紙の不透明度は、先に記載した灰分の含有割合の影響が大きいものの、用いる原料パルプの品種にも依存する。本形態の軽量の電子写真用記録用紙においては、その記録適性や本発明が課題とする、地球環境問題に対応した記録用紙の開発で、軽量で不透明度が高く、コピー時に皺、ジャム等の搬送トラブルのない軽量の電子写真用記録用紙を得るため、基紙は、主原料パルプとして針葉樹クラフトパルプ及び広葉樹クラフトパルプを含み、前記原料パルプの5〜35%が前記針葉樹クラフトパルプとされ、かつ前記広葉樹クラフトパルプのルンケル比が0.6〜0.9とされていると好ましい。
前記基紙にポリアクリルアミド系の紙力増強剤(内添PAM)が内添されていると好適である。基紙中の内添PAMの含有量は固形分において、好ましくは0.05〜1.00重量%、より好ましくは0.10〜0.70重量%である。含有量が0.05重量%未満の場合、剛度が不足し、複写機乾式電子写真記録方式の複写機やプリンターに通紙した際の紙折れなどの通紙トラブルとなる可能性がある。含有量が1.00重量%を超えると薬品コストが上昇し、費用対効果が得られない。基紙中に内添PAMを含有させ、更に、記録用紙の片面又は両面に水溶性樹脂塗工液を塗工することにより、剛度が向上する。
〔実施例1〕
原料パルプとしての広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を用い叩解度が550ccとなるように叩解し、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を用い叩解度が650ccとなるように叩解し、古紙パルプ(DIP)を叩解せず用い、原料パルプスラリーの原料配合をLBKP60%、NBKP20%、DIP20%に調整した。このスラリー中にAKDサイズ剤(荒川化学社製 サイズパインK−78)を固形分換算で0.06重量%、内添PAM(星光PMC社製 DS4366)を固形分換算で0.3重量%、填料として炭酸カルシウム(奥多摩工業社製 タマパールTP−121−6S)を紙中灰分が7.3重量%となるよう添加し、多筒ツインワイヤー抄紙機に供給し、シムサイザーでオレフィン系サイズ剤(星光PMC社製 SS2920)を固形分換算で0.04重量%とし、澱粉と外添PAM(星光PMC社製 ST5000)の3種類を混合した塗工液を両面で2.4g/m2塗工し、坪量56.3g/m2に抄紙した記録用紙を製造した。
その他の実施例及び比較例の製造条件は、実施例1を基に表1及び表2記載の条件で行った。なお、得られた記録用紙の品質は表3に示した。また、評価方法は、次に示すとおりである。
JIS P 8124に基づいて測定した。
JIS P 8118に基づいて測定した。
JIS P 8143に基づいて測定した。
JIS P 8149に基づいて測定した。
JIS P 8122に基づいて測定した。
インクジェットプリンター(キャノン社製 BJ―220−JS)にてインクジェット印字を行い、フェザリング、裏抜け、セット性を確認した。
◎:フェザリング、裏抜け、セット性全て問題無し
○:フェザリング、裏抜け、セット性いずれかで僅かに問題あるが使用上問題無し
△:フェザリング、裏抜け、セット性いずれかで問題あるが使用上問題無し
×:フェザリング、裏抜け、セット性いずれかで問題があり、使用できない
乾式電子写真方式の複写機(リコー製 Imagio MP1350)にて通紙評価を行い、紙詰りや重送、紙折れの状況を確認した。
◎:500枚通紙し、紙詰り、重送、紙折れなし
○:500枚通紙し、紙詰り、重送、紙折れが1回発生
△:500枚通紙し、紙詰り、重送、紙折れが2〜5回発生
×:500枚通紙し、紙詰り、重送、紙折れが6回以上発生
乾式電子写真方式の複写機(リコー製 Imagio MP1350)にて黒ベタコピーを行い、定着性を確認した。
◎:全くトナーのかすれなし
○:わずかなトナーのかすれがあるが、文字の判別に問題無し
△:トナーのかすれ目立つがが、文字の判別に問題無し
×:トナーのかすれが目立ち、文字の判別が出来ない
インクジェットプリンター(キャノン社製 BJ―220−JS)、複写機(リコー製 Imagio MP1350)にて両面印字した文字の画像裏抜け
◎:ほとんど見えず、問題無し
○:若干見えるが、印字の判別に問題無し
△:大部分で見えるが、印字の判別に問題無し
×:透けて見え、印字の判別に支障がある
<コピー前>
・カール度
得られた電子写真用紙をA4サイズで縦目断裁し、当該電子写真記録用紙を吊り下げ、図1に示すように距離L(絶対値)を計測し、カール度とした。
・カール度
乾式電子写真方式の複写機(リコー製 Imagio MP1350を用い、A4縦目で横向き通紙のモノクロ印字を行い、吊り下げ、図1に示すように距離L(絶対値)を計測し、カール度とした。
電子写真記録用紙をパレットに段積みした際に、現状市販品Aの6段積みと略同一段積み高さ寸法で、1パレット積載可能な段数を記載した。
Claims (7)
- 基紙の少なくとも一方の表面に水溶性樹脂塗工液が塗工された、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下の電子写真記録用紙であって、
前記塗工液は、オレフィン系のサイズ剤とともにポリアクリルアミド系の紙力増強剤を含む、
ことを特徴とする電子写真記録用紙。 - 前記オレフィン系サイズ剤の塗工量が片面塗工の場合は片面で、両面塗工の場合は両面で0.006〜0.280g/m2とされ、かつ前記ポリアクリルアミド系紙力増強剤の塗工量が片面塗工の場合は片面で、両面塗工の場合は両面で0.5〜4.0g/m2とされている、
請求項1記載の電子写真記録用紙。 - 前記基紙にアルキルテケンダイマー型のサイズ剤が内添され、
JIS P 8118に準拠した紙厚が83μm以下とされ、かつJIS P 8143に準拠したCD方向の剛度が20〜38とされている、
請求項1又は請求項2記載の電子写真記録用紙。 - JIS P 8251に準拠した灰分が3〜12質量%とされ、かつJIS P 8149に準拠した不透明度が80〜85%とされている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真記録用紙。 - 前記基紙にポリアクリルアミド系の紙力増強剤が内添されている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真記録用紙。 - 前記基紙は、原料パルプとして針葉樹クラフトパルプ及び広葉樹クラフトパルプを含み、前記原料パルプの5〜35%が前記針葉樹クラフトパルプとされ、かつ前記広葉樹クラフトパルプのルンケル比が0.6〜0.9とされている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真記録用紙。 - 基紙の少なくとも一方の表面に水溶性樹脂塗工液を塗工して、JIS P 1824に準拠した坪量が61g/m2以下の電子写真記録用紙を製造する方法であって、
前記塗工液に、オレフィン系のサイズ剤とともにポリアクリルアミド系の紙力増強剤を含ませ、
前記オレフィン系サイズ剤の塗工量が0.006〜0.280g/m2、前記ポリアクリルアミド系紙力増強剤の塗工量が0.5〜4.0g/m2となるように塗工する、
ことを特徴とする電子写真記録用紙の製造方法。
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