JP2010135123A - 絶縁電線の製造方法及び絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】導体と絶縁皮膜との密着性を従来よりも向上させることができる絶縁電線の製造方法及び絶縁電線を提供する。
【解決手段】導体上に、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁電線の製造方法において、前記導体の表面に電解洗浄を施す電解洗浄工程と、電解洗浄した前記導体の表面に、前記樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】導体上に、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁電線の製造方法において、前記導体の表面に電解洗浄を施す電解洗浄工程と、電解洗浄した前記導体の表面に、前記樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、導体と絶縁皮膜との密着性を向上させた絶縁電線の製造方法及び絶縁電線に関する。
モータや発電機などのコイルを構成するために、一般的には、導体上に絶縁皮膜を設けたエナメル線からなる絶縁電線が用いられる。モータや発電機などのコイルを作製する際に、曲げ加工時やスロット部への挿入時などにおいて、絶縁電線が機械的ストレスを受けるため、絶縁皮膜の損傷が発生しやすくなる。この問題を解決するため、例えば、絶縁皮膜の表面の滑り性を向上させること、あるいは、絶縁皮膜と導体との密着性を向上させることなどが効果的である。
従来においては、絶縁皮膜と導体との密着性を向上させる方法として、例えば、密着性向上剤をベース樹脂に配合するか、あるいは密着性向上剤を導体の表面に付着させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
また、絶縁皮膜と導体との密着性を向上させる方法以外に、導体の表面を電解洗浄することにより、導体表面の異物を除いて導体と絶縁皮膜との密着性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献3、4)。
近年、世界的な省エネルギー政策の推進に伴い、高効率のモータや発電機などの開発が進んでいる。このようなモータや発電機などのコイルを構成するために、例えば、複数の絶縁電線の端末同士を溶接などによって接合して繋ぎ合わせることによって回路を形成し、コイルを構成するコイル成形方法などがある。このようなコイル成形においては、従来よりも厳しい加工条件、あるいは熱による損傷等に耐えられる絶縁電線が要求されている。このため、導体と絶縁皮膜との密着性をさらに向上させた絶縁電線の要求も、ますます増大する傾向にある。
そこで、本発明の目的は、導体と絶縁皮膜との密着性を従来よりも向上させることができる絶縁電線の製造方法及び絶縁電線を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、導体上に、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁電線の製造方法において、前記導体の表面に電解洗浄を施す電解洗浄工程と、電解洗浄した前記導体の表面に、前記樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程とを備える絶縁電線の製造方法を提供する。
前記電解洗浄工程及び前記絶縁皮膜形成工程の間に、密着性向上剤を付着させてなる接着層を形成する工程を含んでもよい。
前記樹脂塗料は、ベース樹脂に密着性向上剤を配合したものであってもよい。
前記密着性向上剤は、窒素原子あるいは硫黄原子を含む有機化合物であってもよい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、導体上に、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁電線の製造方法において、前記導体の表面は、電解洗浄が施されており、この電解洗浄された前記導体の表面に、前記樹脂塗料が塗布されて絶縁皮膜が形成されている絶縁電線を提供する。
本発明によれば、導体と絶縁皮膜との密着性を従来よりも向上させることができる絶縁電線の製造方法及び絶縁電線を提供することを実現できる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
(絶縁電線の製造方法)
図1は、本発明の実施形態に係る絶縁電線の製造方法を説明する説明図である。
図1は、本発明の実施形態に係る絶縁電線の製造方法を説明する説明図である。
本発明の実施形態に係る絶縁電線の製造方法は、図1に示すように、供給装置1にて導体2が送り出され、電解洗浄槽3にて導体2の表面が電解洗浄(電解脱脂洗浄)される(電解洗浄工程)。電解洗浄槽3にて電解洗浄した導体2は、水洗槽7にて表面に付着した電解洗浄液を洗浄するとともに、焼鈍炉8にて焼鈍される。その後、塗布装置9にて導体2上に樹脂塗料を塗布し、焼付炉10にて焼付けする絶縁皮膜形成工程により、導体2の表面に絶縁皮膜を形成し、巻取装置15にて絶縁皮膜が形成された絶縁電線を巻き取る。
なお、導体2上に所望の厚さの絶縁皮膜を形成する際には、必要に応じてガイドローラ11〜14へ順次通過させて塗布装置9及び焼付炉10からなる絶縁皮膜形成工程を数回行ってもよい。また、電解洗浄工程後の水洗を複数回実施してもよい。また、電解洗浄工程を実施する前に、焼鈍炉8を配置してもよく、供給装置1から供給された導体2を伸線機にて伸線した後、焼鈍炉8にて導体を軟化させて、電解洗浄を行ってもよい。
また、電解洗浄工程において、電解洗浄槽3には、電極5が配置されており、この電極5に電流を流すための電源4、電解洗浄槽3中の電極5に対して対電極となる給電治具6を備える。
(電解洗浄工程)
図2(a)〜図2(b)は、本発明の実施形態に係る絶縁電線の製造方法において、導体の表面を電解洗浄する電解洗浄工程の一例を示す模式図である。
図2(a)〜図2(b)は、本発明の実施形態に係る絶縁電線の製造方法において、導体の表面を電解洗浄する電解洗浄工程の一例を示す模式図である。
図2(a)に示す電解洗浄工程では、電解洗浄槽3の中に陰極からなる電極5が設置されている。また、電解洗浄槽3の中は、電解洗浄液(電解脱脂液)で満たされており、導体2と電極5に直流電源4が繋げられている。図2(a)に示す電解洗浄工程は、導体2を陽極とした例であり、陽極電解洗浄となる。電解洗浄液としては、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムなどを含むアルカリ液、あるいは硫酸などを含む酸性液が用いられる。図2(a)に示すような電解洗浄を導体2の表面に行うことにより、導体2の表面に付着した異物、潤滑油、金属粉などを効果的に取り除くことができる。また、導体2の表面の洗浄法として、数多くの洗浄法が適用可能と考えられるが、上記のような電解洗浄を行うことにより、数秒程度の短時間で著しく優れた洗浄効果が期待できる。
電解洗浄する際、電解洗浄槽3中の電解洗浄液の温度は、約40℃以上において電解洗浄作用が安定するが、過剰に高温とした場合、水の蒸発速度が大きくなって電解洗浄作用に影響を及ぼすおそれがある。また、電源4から電極5へ流す電流の電流密度は、好ましくは0.1〜20A/dm2であり、更に好ましくは0.2〜10A/dm2であるのがよい。また、電解洗浄槽3にて導体2の表面を電解洗浄する時間は、好ましくは0.5秒以上、更に好ましくは1秒以上であるのがよい。
なお、図2(a)では、導体2を陽極とした例で説明したが、導体2を陰極とし、電解洗浄槽3中の電極5を陽極とした陰極電解洗浄としてもよい。
また、図2(b)に示すように、陰極からなる電極5aを有する陰極電解洗浄槽3aと陽極からなる電極5bを有する陽極電解洗浄槽3bとを組み合わせて電解洗浄を行ってもよい。これにより、電解洗浄工程において導体2の表面に付着した異物等を効果的に取り除くことができる。図2(b)においては、導体2を陰極とした陰極電解洗浄の後に、導体2を陽極とした陽極電解洗浄を実施した例であるが、陽極電解洗浄の後に、陰極電解洗浄を行ってもよい。陰極電解洗浄と陽極電解洗浄とを組み合わせる場合、陰極電解洗浄には一般的にアルカリ液を使う。一方、陽極電解洗浄には酸性液を使用しても良くアルカリ液を使用しても良い。
(密着性向上剤)
本実施形態では、電解洗浄工程で導体2の表面を電解洗浄した後、絶縁皮膜を形成する前に、導体2の表面に密着性向上剤を付着させて接着層を形成する接着層形成工程を備えてもよい。また、上記接着層形成工程に替えて、電解洗浄工程後の絶縁皮膜形成工程において、密着性向上剤をベース樹脂に配合してなる樹脂塗料を導体2の表面に塗布して絶縁皮膜を形成してもよい。
本実施形態では、電解洗浄工程で導体2の表面を電解洗浄した後、絶縁皮膜を形成する前に、導体2の表面に密着性向上剤を付着させて接着層を形成する接着層形成工程を備えてもよい。また、上記接着層形成工程に替えて、電解洗浄工程後の絶縁皮膜形成工程において、密着性向上剤をベース樹脂に配合してなる樹脂塗料を導体2の表面に塗布して絶縁皮膜を形成してもよい。
密着性向上剤としては、従来提案されている種々の材料が適用できるが、特に、導体と絶縁皮膜の密着性を向上させるための密着性向上剤としては、硫黄原子または/および窒素原子を含む有機化合物が好ましい。例えば、メルカプト系シラン化合物、アミノ系シラン化合物、アゾール系シラン化合物、メラミン系化合物、カルボジイミド系化合物、テトラゾール化合物、トリアジンチオール系化合物、アミノチアゾール系化合物など多くの化合物があげられるが、好適にはメルカプト系シラン化合物が挙げられる。
電解洗浄した導体2の表面に接着層を形成する絶縁電線について説明する。
図2(a)〜図2(b)で示したうちのいずれかの電解洗浄方法にて電解洗浄された導体2の外周に、メルカプト基を有するシラン化合物であるメルカプト系シラン化合物を付着させて接着層を形成する。
メルカプト基を有するシラン化合物は一般に希釈して用いる。メルカプト基を有するシラン化合物は、アルコールまたは炭化水素に溶解するので、好ましくは、アルコールまたは炭化水素系化合物などの溶剤に溶解させ、溶液として用いるとよい。
メルカプト基を有するシラン化合物溶液を導体2表面に塗布した後、これを加熱乾燥して溶剤を除去することによりメルカプト基を有するシラン化合物皮膜(接着層)が得られる。
ここで、導体2表面へのメルカプト基を有するシラン化合物溶液の塗布方法としては、メルカプト基を有するシラン化合物溶液をフェルト等の吸液性材に吸収させ、その吸液性材を上記導体に接触させて塗布するとよい。ただし、これに限定されず、ダイス塗装、刷毛塗り、噴霧などにより塗布してもよいし、導体2を、メルカプト基を有するシラン化合物溶液に浸漬させてもよい。
導体2の表面に接着層を形成する場合、密着性向上剤は、導体2の表面に非常に薄く形成するのが好ましい。厚く形成した場合、密着性が逆に低下してしまうことがあるので注意を要する。また、密着性向上剤を希釈して導体2の表面に付着させる場合、密着性向上剤の濃度は、0.01〜1%と希薄にすることが好適であり、数%以上とした場合には密着性向上効果が得られないことが多い。
(絶縁皮膜形成工程)
導体2の表面を電解洗浄工程にて電解洗浄した後、あるいは、導体2の表面に密着性向上剤を付着させて接着層を形成した後、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する。樹脂塗料を構成するベース樹脂としては、ポリエステルイミド樹脂、あるいはポリアミドイミド樹脂、あるいはポリイミド樹脂、あるいはポリエステル樹脂、あるいはポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物からなる。
なお、電解洗浄した導体2の表面に接着層を形成しない場合は、上記した密着性向上剤をベース樹脂に配合させてなる樹脂塗料を塗布、焼付けして絶縁皮膜を形成するのがよい。
導体2の表面を電解洗浄工程にて電解洗浄した後、あるいは、導体2の表面に密着性向上剤を付着させて接着層を形成した後、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する。樹脂塗料を構成するベース樹脂としては、ポリエステルイミド樹脂、あるいはポリアミドイミド樹脂、あるいはポリイミド樹脂、あるいはポリエステル樹脂、あるいはポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物からなる。
なお、電解洗浄した導体2の表面に接着層を形成しない場合は、上記した密着性向上剤をベース樹脂に配合させてなる樹脂塗料を塗布、焼付けして絶縁皮膜を形成するのがよい。
導体2は、直径2mmの銅線を用いた。電解洗浄は、図2(b)に示すような陰極電解洗浄と陽極電極洗浄とを組み合わせて行った。このとき、電解洗浄槽中の電解洗浄液は、ともに10%水酸化ナトリウム水溶液を用いた。また、電解洗浄液の温度をともに約40〜50℃とし、電流密度をともに5A/dm2とし、電解洗浄する時間(電解洗浄時間)をともに約3秒として導体2の表面を電解洗浄した。
電解洗浄した後、導体2の表面に密着性向上剤を付着させて接着層を形成した。このとき、密着性向上剤として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランからなるメルカプト系シラン化合物を用いた。導体2の表面に付着処理する場合、メルカプト系シラン化合物を0.5wt%メタノール溶液で希釈した溶液を用い、この溶液に導体2を浸漬した後に乾燥し、メタノールを蒸発させて接着層を形成した。その後、樹脂塗料を塗布、焼付けして絶縁皮膜を形成して絶縁電線を得る。なお、密着性向上剤を樹脂塗料に配合する場合は、樹脂塗料中に、密着性向上剤を1wt%配合させた。
絶縁電線1の密着性評価は、以下の方法に従って実施した。
絶縁電線の直線状サンプルを同軸上で250mm離れた2つのクランプに固定し、5±1mm/秒の速度で導体が破断するまで伸長する。破断した線を突き合わせて、絶縁皮膜が導体から浮いた部分の長さを測定した。この導体から浮いた部分の長さが短いほど、密着性が優れている。
(実施例1)
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、6mmと優れていた。
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、6mmと優れていた。
(実施例2)
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、7mmと優れていた。
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、7mmと優れていた。
(実施例3)
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、6mmと優れていた。
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、6mmと優れていた。
(実施例4)
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、7mmと優れていた。
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、7mmと優れていた。
(比較例1)
導体2に、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、65mmであった。
導体2に、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、65mmであった。
(比較例2)
導体2に、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、72mmであった。
導体2に、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、72mmであった。
(比較例3)
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、12mmであった。
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、12mmであった。
(比較例4)
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、13mmであった。
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を導体2の表面に付着処理し、その外周に、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、13mmであった。
(比較例5)
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、11mmであった。
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、11mmであった。
(比較例6)
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、12mmであった。
伸線および焼鈍後の導体2に、メルカプト基を有するシラン化合物を配合したポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、12mmであった。
(比較例7)
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、64mmであった。
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、ポリエステルイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、64mmであった。
(比較例8)
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、70mmであった。
伸線および焼鈍後の導体2の表面を電解洗浄した後、ポリアミドイミド樹脂からなる樹脂塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布および焼付けして絶縁電線を得た。しかる後に、密着性を評価した結果、70mmであった。
実施例1、2、3、4、および比較例1〜6の評価結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜4の絶縁電線は、比較例1〜8の絶縁電線と比較して密着性が高いことが確認できた。
1 供給装置
2 導体
3 電解洗浄槽
4 電源(直流電源)
5 電極
6 供給治具
7 水洗槽
8 焼鈍炉
9 塗布装置
10 焼付炉
11、12、13、14 ガイドローラ
15 巻取装置
2 導体
3 電解洗浄槽
4 電源(直流電源)
5 電極
6 供給治具
7 水洗槽
8 焼鈍炉
9 塗布装置
10 焼付炉
11、12、13、14 ガイドローラ
15 巻取装置
Claims (5)
- 導体上に、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁電線の製造方法において、
前記導体の表面に電解洗浄を施す電解洗浄工程と、
電解洗浄した前記導体の表面に、前記樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁皮膜形成工程とを備えることを特徴とする絶縁電線の製造方法。 - 前記電解洗浄工程及び前記絶縁皮膜形成工程の間に、密着性向上剤を付着させてなる接着層を形成する工程を含む請求項1に記載の絶縁電線の製造方法。
- 前記樹脂塗料は、ベース樹脂に密着性向上剤を配合したものからなる請求項1に記載の絶縁電線の製造方法。
- 前記密着性向上剤は、窒素原子あるいは硫黄原子を含む有機化合物である請求項2又は3に記載の絶縁電線の製造方法。
- 導体上に、樹脂塗料を塗布して絶縁皮膜を形成する絶縁電線の製造方法において、
前記導体の表面は、電解洗浄が施されており、この電解洗浄された前記導体の表面に、前記樹脂塗料が塗布されて絶縁皮膜が形成されていることを特徴とする絶縁電線。
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JP2008307879A JP2010135123A (ja) | 2008-12-02 | 2008-12-02 | 絶縁電線の製造方法及び絶縁電線 |
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KR20220061353A (ko) * | 2020-11-06 | 2022-05-13 | 이상민 | 케이블 및 그 권취장치 |
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KR20220061353A (ko) * | 2020-11-06 | 2022-05-13 | 이상민 | 케이블 및 그 권취장치 |
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