JP2010131697A - 熱間スラブの表面手入れ方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱間スラブの表面を、多数の切削刃を有する回転切削工具をそなえるフライス式表層切削装置を用いて表面手入れするに当たり、
上記回転切削工具を、被圧延材の切削方向および/または切削方向と直角方向に傾斜した軸を中心に回転駆動させつつ、切削を行う。
【選択図】図7
Description
上述したように、従来の一般的な手入れ方法では、手入れした後の鋳片の表皮または表層部に新たな表面疵の原因となる欠陥を生じるおそれがあった。
(1) 比切削抵抗の低下に伴い、切削動力が低下する。
(2) 高温での切削であるため、刃先磨耗が進行する。
(3) 刃先磨耗が進行しても、切削動力の増加や切削面粗度の悪化が小さい。
(4) 刃先磨耗の進行状況に関係なく、切削時の切り屑が赤熱状態で排出される、もしくは切削時に火花がでる。
(5) 刃先に付着物が付きやすい。
このように、切削刃による熱間鋼材の表面切削では、高温の材料を切削することから刃先の熱負荷が大きく、冷間切削に比べて刃先の摩耗が促進される。また、熱衝撃で刃のチッピング(欠け)が生じ易くなり、刃の寿命が問題となる。
この場合、切削量を最小にするために、鋼板表面のうねり高さを考慮して切削代が決定されるが、分割した切削区域でうねり高さが異なる場合、図2(a)に示すように、分割ラインに段差4が生じる。
かような段差4が生じた熱間スラブ3を、熱間圧延工程に供した場合、圧延により、図2(b)に示すような「重なり」と呼ばれる欠陥5が生じるおそれがあった。
しかしながら、この場合には、うねり高さが低い切削区域については余分に切削することになり、スラブ材料の歩留り低下を招く。また、切削量が増すため、それに伴って切削動力ひいては電気量も増大し、切削コストの上昇につながる。さらに、工具チップついても、切込量が増大するため、工具寿命が短命化するだけでなく、刃先交換の頻度が大きくなり、工具費の上昇と共に、設備稼働率の低下を招く。
従来、回転切削工具(カッターボディー)の駆動軸はx,y,z方向の3軸であり、回転切削工具面は、被切削材(熱間スラブ)の表面と平行な方向にしか移動できなかった。
そこで、回転切削工具の駆動軸として、旋回軸2軸を加え、5軸として、回転切削工具を、被圧延材の切削方向は勿論のこと、切削方向と直角方向への傾斜も自在として、回転切削工具を種々の方向に傾斜させて切削を試みたところ、傾斜方向を適切に制御することにより、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
1.連続鋳造後、所定の長さに切断した熱間スラブについて、その表面、裏面および側面のうちの何れか一面または二面以上の表層部の一部または全部を、多数の切削刃を有する回転切削工具をそなえるフライス式表層切削装置で表面手入れを施すに当たり、
上記回転切削工具を、被圧延材の切削方向および/または切削方向と直角方向に傾斜した軸を中心に回転駆動させつつ、切削を行うことを特徴とする熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
また、本発明によれば、回転切削工具を被圧延材の切削方向に前傾させて切削を行うことにより、工具チップの刃先を効果的に冷却することができ、その結果、工具寿命の延長を達成できる。
さらに、本発明によれば、回転切削工具を被圧延材の切削方向および切削方向と直角方向に適宜傾斜させて切削を行うことにより、スラブ歩留りの向上と工具寿命の延長とを併せて達成することができる。
図4は、本発明における、連続鋳造ラインから熱間圧延ラインの加熱炉までのスラブの流れを示したものである。
図5は、従来のスラブの流れを示したものである。図5に示したとおり、従来は、熱間状態でスラブ表面を手入れする場合には、ホットスカーファ−やグラインダー研削で行っていたが、かような方法では、良好なスラブ表面性状が得難いことは前述したとおりである。従って、良好なスラブ表面を得るためには、冷間まで冷却した後に手入れを実施し、次工程の熱間圧延ラインに送っていた。
また、本発明では、従来のように、ホットスカーファーやグラインダー研削などで手入れをした後に、本発明に従う表面手入れを行ってもよい。
(1) 被圧延材の切削方向に傾斜(前傾)させつつ、
(2) 被圧延材の切削方向と直角方向(切削直角方向)に傾斜させつつ、
(3) 被圧延材の切削方向および切削直角方向に傾斜させつつ、
切削を行うことができる。
以下、上記した(1)〜(3)の各場合について説明する。
この切削方法は、工具チップ刃先の冷却能の向上、ひいては工具寿命の延長に有利である。
すなわち、図6に示すように、回転切削工具を、被圧延材の切削方向に傾斜(前傾)させて切削を行うようにすれば、研削に携わっている刃以外は高温のスラブ表面と接触していない状態にあり、高温スラブからの熱負荷が緩和されるので、その分工具寿命が延長される。
なお、回転切削工具を、切削方向に傾斜(前傾)させて切削する方式では、切削幅が狭くなるので、必要に応じてスラブ幅方向の切削区域を細分化することが好ましい。
この切削方法は、スラブの歩留り向上に有利である。
すなわち、例えばスラブの切削区域を幅方向に二分割して、それぞれ個別に切削を行うに際し、図7に示すように、各切削区域でうねり量が異なり、結果として幅方向のエッジ部の厚みが異なり、図面左側のm区域のエッジの方が右側のn区域のエッジよりも板厚が大きくなっている場合を想定する。
このような場合は、図7に示したように、m,nそれぞれの切削区域について、うねりを解消でき、かつ分割ラインに段差が生じないように、回転切削工具を切削直角方向に傾斜させて切削を行うのである。
なお、この方法では、スラブ幅方向のうねり量に応じて分割面を増やしてやれば、分割ラインにおける段差を解消できると同時に、切削量の一層の削減も達成できるので、無駄な切削エネルギーの低減と共に、スラブ歩留りの一層の向上を図ることができる。また、切削量が低減することから、工具寿命も延長する。
この場合には、上記(1)および(2)で述べた両方の効果を達成することができる。
すなわち、上記(1)における、熱負荷による工具寿命の劣化防止と共に、上記(2)における、スラブ歩留りの向上および切削量低減による工具寿命の延長を達成することができる。
そこで、本発明では、回転切削工具の駆動軸として、上記3軸に旋回軸2軸を加え、5軸で移動させることができる門形ガントリー構造になるフライス式表層切削装置を用いることが重要である。
図8に示したように、回転切削工具(カッターボディー)1の周りに取り付けられた各切削刃は、全てロータリー式切削チップ2で、各切削チップの円筒エッジは全周切削刃となっている。このロータリー式切削チップ2は、カッターボディー1の周上に組み込まれた回転軸に取り付けられており、この回転軸には駆動系は付いていない。そして、ロータリー式切削チップ2およびロータリー式チップ用回転軸は、図9に示すように切削面に対して、ロータリー式切削チップが切削反力によって転動するような角度でカッターボディー1に取り付けられている。従って、カッターボディー1は、工作機械主軸の駆動系によって強制的に回転するけれども、カッターボディー1の周上に取り付けられたロータリー式チップ2は、切削反力により、カッターボディー1の回転に従って回転する、すなわち、従動回転(以後、フリー回転)を行う。このように、切削反力で従動回転するように、ロータリー式チップ2をカッターボディー1に取り付けたことにより、ロータリー式チップ2の刃は切削面に対し負のすくい角を持つことになる。なお、切削チップの回転をよりスムーズに行うには、スピンドルは十分に回転摺動性を確保しておくことが好ましい。
・回転切削工具の周速:200〜3000 mpm(好ましくは1000〜3000 mpm)
・回転切削工具の前進速度:〜10 mpm
・ロータリー式チップの径:15〜25 mm
・ロータリー式チップの送り量:0.2〜1.0 mm
・ロータリー式チップの取り付け個数:8〜14 個/(回転切削工具の外周:250〜300mm当たり)
かかる遮蔽部材としては、等の耐熱鋼が有利に適合する。
そして、この遮蔽部材の表面には、さらに耐熱硬質材のコーティングを被覆することがさらに有利である。
というのは、かような螺旋溝を設けることにより、遮蔽部材の表面積を増大することができ、冷却能の向上に有利に寄与する。また、この螺旋溝の内部を、切削工具の回転中心または中心近傍から外周部に向けて放出することにより、冷却能の一層の向上が望めるからである。
図11に、遮蔽部材6の表面に設けた螺旋溝7の一例を示すが、螺旋溝7の形状がこれだけに限られるものでないことはいうまでもない。
2 切削チップ(ロータリー式切削チップ)
3 熱間スラブ
4 段差
5 重なり欠陥
6 遮蔽部材
7 螺旋溝
Claims (7)
- 連続鋳造後、所定の長さに切断した熱間スラブについて、その表面、裏面および側面のうちの何れか一面または二面以上の表層部の一部または全部を、多数の切削刃を有する回転切削工具をそなえるフライス式表層切削装置で表面手入れを施すに当たり、
上記回転切削工具を、被圧延材の切削方向および/または切削方向と直角方向に傾斜した軸を中心に回転駆動させつつ、切削を行うことを特徴とする熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。 - 前記フライス式表層切削装置が、回転切削工具を、直線直交方向3軸に旋回2軸を加えた5軸に移動できる門形ガントリー構造になることを特徴とする請求項1に記載の熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
- 前記回転切削工具の周りに配置する切削刃が、ロータリー式切削チップであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
- 前記回転切削工具の底面に、該切削工具底面から間隔を開けて、熱間スラブ表面からの放射熱を遮断する遮蔽部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
- 前記回転切削工具の底面と前記遮蔽部材との隙間および/または前記遮蔽部材と前記熱間スラブ表面との隙間に、該切削工具の回転中心または中心近傍から冷却媒体を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
- 前記遮蔽部材の前記回転切削工具底面と対向する側の表面に螺旋溝を設け、該遮蔽部材の表面積を増大すると共に、該切削工具の回転中心または中心近傍から供給される冷却媒体を、該螺旋溝を通して工具中心部から外周部に向けて放出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
- 前記遮蔽部材が、その表面に耐熱硬質材の表面コーティングをそなえることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱間スラブの切削式表層部手入れ方法。
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