JP2010128076A - 像加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小サイズ被加熱材を大量に連続プリントしても大サイズ被加熱材の搬送性を安定化できる像加熱装置を提供する。
【解決手段】弾性層132が配置された定着フィルム13と、定着フィルム13と定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ20とを備え、定着ニップ部Nで記録材Pを挟持搬送しつつ記録材P上の未定着トナー像Taを加熱する加熱定着装置6において、加熱定着装置6が設置された環境の湿度が高い場合には湿度が低い場合に比べて定着フィルム13の温度を低くし、かつ、記録材Pの搬送間隔を広くするように制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、像加熱装置に関するものであり、特に電子写真方式を用いた画像形成装置に用いられる像加熱装置に関するものである。
従来、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に搭載される像加熱装置である加熱定着装置(定着器)には次のような構成を有するものがある。すなわち、加熱定着装置は、ヒータと、このヒータに接触しつつ回転する可撓性の定着フィルムと、定着フィルムを介してヒータとニップ部を形成する加圧ローラと、を有するものがある。ヒータとしては、セラミックス製の基板上に発熱体を有するものが用いられる。例えば、特許文献1、2にはこのタイプの加熱定着装置が記載されている。未定着トナー像を担持する記録材は加熱定着装置のニップ部で挟持搬送されつつ加熱され、これにより記録材上の画像は記録材に加熱定着される。この加熱定着装置は、ヒータへの通電を開始し定着可能温度まで昇温するのに要する時間が短いというメリットを有する。したがって、この加熱定着装置を搭載するプリンタは、プリント指令の入力後、一枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT:first printout time)を短く(クイックスタート)できる。さらに、このタイプの定着装置は、プリント指令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもある。
また、定着フィルムとしてステンレス等の高熱伝導性を有する薄肉の金属スリーブを採用するような加熱定着装置も提供されている。定着フィルムとして金属スリーブを採用することで、従来のポリイミド等を基層とする樹脂フィルムよりも定着性能を向上させ、画像形成装置の高速化にも対応が可能な加熱定着装置も提供されている(例えば、特許文献3参照)。
一方、市場からは消費電力の低減とともに、画像形成装置の高画質化やカラー化対応も望まれている。加熱定着装置として高画質化やカラー化対応を行なうためには、トナーの定着性を充分に満足し、かつ定着ムラも防止することが必要である。
そこで、記録材上の未定着トナー像に対し定着フィルムにより熱を包み込むように伝達させるために、定着フィルムを複数の層で構成したフィルム加熱方式の加熱定着装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この加熱定着装置によれば、定着フィルムは、ポリイミドやステンレス等からなる基層とフッ素樹脂等からなる離型層との間に、シリコーンゴム等からなる弾性層を有している。
特開昭63−313182号公報 特開平04−44075号公報 特開2003−45615号公報 特開2004−70041号公報
しかしながら、上記シリコーンゴム等からなる弾性層を有する定着フィルムは、連続プリント等による加熱定着の繰り返しにより、徐々に弾性層の硬度が上昇していく傾向がある。その傾向は弾性層の熱伝導率を向上させるために添加している熱伝導性フィラーの種類や添加量と関係があり、弾性層の熱伝導率が高い方がより硬度が上昇しやすい傾向にある。
また、弾性層に付与される熱量が多い場合も弾性層の硬度は上昇しやすい傾向にある。例えば、プリント時における定着装置の温調温度が160℃の場合と、200℃の場合とで、連続プリントによる加熱定着を繰り返した場合、200℃の温調温度でプリントを行なった方が弾性層の硬度は上昇しやすい傾向にある。
さらに、プリントを行なう周辺環境が高湿度環境の場合、弾性層の硬度上昇はより顕著になる傾向がある。例えば、23℃/10%RHの環境と、23℃/80%RHの環境とで、連続プリントによる加熱定着を繰り返した場合、23℃/80%RHの環境下でプリントを行なった方が弾性層の硬度は上昇しやすい傾向にある。
これら弾性層の硬度上昇は、以下のようなメカニズムで発生していると推測する。
1)弾性層が高温に保持されることで弾性層中に添加されている熱伝導性フィラーが活性化する。
2)熱伝導性フィラーが活性化すると、弾性層を形成する熱伝導フィラー周辺のポリマー主鎖が切断される。
3)しかし、切断された鎖の末端は活性化しているため、付与された熱量と空気中の水分の影響により、ポリマー間の架橋がさらに進み、弾性層としての硬度が上昇する。
このように、上述のような弾性層の硬度上昇の傾向がある。したがって、弾性層を有する定着フィルムは、高湿度環境下で加熱定着装置の最大通紙幅よりも幅の狭い小サイズ記録材を大量に連続プリントした場合、定着フィルムの非通紙域は記録材への熱の伝達がなく、通紙域に比べて熱を蓄積し高温になりやすい。そのため、非通紙域の弾性層の硬度は通紙域の弾性層の硬度よりも上昇しやすい傾向にあり、定着フィルムの通紙域と非通紙域で弾性層の硬度に差が生じやすい。すなわち、定着フィルムの長手方向(記録材の搬送方向に対して垂直な方向)に硬度差が生じる。このため、小サイズ記録材を大量に連続プリントした後、加熱定着装置の最大通紙幅と略同等の幅を有する大サイズ記録材をプリントすると、記録材の搬送力が定着フィルムの長手方向で不均一となり、紙シワ等の搬送不良を引き起こすことがあった。
本発明はこのような点に着目して成されたものであり、小サイズ被加熱材を大量に連続プリントした後でも大サイズ被加熱材の搬送性を安定化できる像加熱装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
(1)弾性層が配置された加熱回転体と、前記加熱回転体とニップ部を形成する加圧部材と、を備え、前記ニップ部で被加熱材を挟持搬送しつつ前記被加熱材上の像を加熱する像加熱装置において、前記像加熱装置が設置された環境の湿度が高い場合には湿度が低い場合に比べて前記加熱回転体の温度を低くし、かつ、前記被加熱材の搬送間隔を広くするように制御する制御手段を備えることを特徴とする像加熱装置。
本発明によれば、小サイズ被加熱材を大量に連続プリントした後でも加熱回転体の長手方向の硬度差が生じることを抑制することができ、被加熱材の搬送力を均一に保持できるため、大サイズ被加熱材の搬送性も安定化できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により図面を参照しながら詳しく説明する。
(1)画像形成装置の一例
図1は画像形成装置の一例を示す概略要部構成図である。本実施例の画像形成装置は転写式電子写真プロセスを利用するレーザプリンタである。
1は像担持体としての感光ドラムであり、OPC(Organic Photo Conductor)、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。
感光ドラム1は矢印の時計回り方向に所定の周速度をもって回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって所定の極性・電位に一様帯電される。
次に、その一様帯電処理面に対して、レーザスキャナ3により、画像情報に応じてオン/オフ(ON/OFF)制御されたレーザビームによる走査露光Lが施され、静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置4でトナー像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組合せて用いられることが多い。
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、所定のタイミングで搬送された被加熱材としての記録材P上(被加熱材上)に感光ドラム1上より転写される。
ここで、感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材Pの先端の書き出し位置が合致するようにセンサ8にて記録材Pの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム1と転写ローラ5間で挟持搬送される。なお、本実施例における記録材Pの搬送基準は、記録材Pの最大搬送幅のほぼ中心を基準とする中央基準を採用している。ここで、記録材Pの幅とは、記録材Pの搬送方向に対して垂直な方向の長さをいう。
このトナー像が転写された記録材Pは加熱定着装置6へと搬送され、トナー像は永久画像として記録材P上に加熱定着される。
一方、転写後に感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1表面から除去される。これにより感光ドラム1は再度の画像形成に供される。
(2)加熱定着装置6
図2は加熱定着装置6の一例を示す断面図である。なお、図2は記録材Pの搬送方向に沿った断面図である。
10は加熱部材としての定着部材(加熱アセンブリ)である。20は加圧部材としての加圧ローラである。この定着部材10と加圧ローラ20を加圧した状態に接触させることによりニップ部としての定着ニップ部Nを形成させている。
定着部材10は、加熱体としてのヒータ11、保持部材としてのフィルムガイド12、加熱回転体としての定着フィルム13、規制部材としての不図示の端部フランジ(以下、定着フランジと記す)等からなる。ヒータ11はフィルムガイド12の下面に固定して配置してある。定着フィルム13はフィルムガイド12に対して外嵌させて配置してある。不図示の定着フランジは、フィルムガイド12の長手方向両端部側に装着されて、定着フィルム13の両端部を規制する役目をする。なお、長手方向とは、記録材Pの搬送方向に対して垂直な方向である。
そして、定着部材10の両端部において、不図示の定着フランジに不図示の加圧バネを縮設させている。この不図示の加圧バネにより定着部材10を所定の加圧力をもって加圧ローラ20の上面に対して、定着フィルム13の有する後述の弾性層132の弾性と加圧ローラ20の有する弾性層202の弾性に抗して押圧させて、所定幅の定着ニップ部Nを形成させている。定着ニップ部Nにおいては、定着部材10の加圧ローラ20に対する加圧により、定着フィルム13がヒータ11と加圧ローラ20との間に挟まれてヒータ11の下面の扁平面に倣って撓む。これにより定着フィルム13の内面がヒータ11の下面の扁平面に密着した状態になる。
この加圧ローラ20の回転駆動に伴って、定着ニップ部Nにおける加圧ローラ20と定着部材10側の定着フィルム13との摩擦力で定着フィルム13に回転力が作用する。そして、定着フィルム13がその内部にあるヒータ11の下面と密着、そして摺動しながら、フィルムガイド12の外回りを時計回り方向に、加圧ローラ20の回転に従動することで回転状態になる(加圧ローラ駆動式)。
定着フィルム13は内部のヒータ11及びフィルムガイド12と摺擦しながら回転するため、ヒータ11及びフィルムガイド12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このため、ヒータ11及びフィルムガイド12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。
ヒータ11は、記録材P上の未定着トナー像Taを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行なう。
加圧ローラ20の回転により定着フィルム13が回転し、ヒータ11に対する通電によりヒータの温度が所定の温度に立ち上がって温調される。この状態において、未定着トナー像Taを担持した記録材Pが、不図示の定着入口ガイドに沿って定着ニップ部Nの定着フィルム13と加圧ローラ20との間に搬送される。そして、その記録材Pが定着ニップ部Nを挟持搬送されることで、未定着トナー像Taが定着フィルム13を介してヒータ11の熱で加熱されて記録材P上に熱定着され、定着トナー像Tbとなる。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは、定着フィルム13の外面から分離して、不図示の耐熱性の定着排紙ガイドに案内されて、不図示の排出トレイ上に排出される。
a)ヒータ11
ヒータ11は、例えば、アルミナ(酸化アルミ)、AlN(窒化アルミ)等の高絶縁性の細長いセラミックス基板や、ポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板を有する。そしてこの基板の表面に、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の発熱ペースト層を印刷した発熱体と、この発熱体の保護と絶縁性を確保するためのガラスコート層等を順次形成したものである。本実施例では、基板として熱伝導性の良好なAlNを用いているため、発熱ペースト層とガラスコート層を基板に対して、定着ニップ部Nと反対側に形成している。
ヒータ11上の発熱ペーストへの給電は、不図示の給電部から不図示のコネクタを介してなされる。ヒータ11の背面には、発熱ペーストの発熱に応じて昇温したヒータ11の温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子14が配置されている。この温度検知素子14の信号に応じて、温度制御手段としての温度制御部30が発熱ペーストに印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、定着ニップ部N内での温調温度を略一定に保つ。これにより、ヒータ11は定着フィルム13を介して記録材P上の未定着トナー像Taを定着するのに必要な加熱を行なう。なお、温度制御部30は、トライアック等のゲート制御式半導体スイッチ32と、温度検知素子14からの信号に基づいてゲート制御式半導体スイッチ32を制御するCPU31とから構成される。
ヒータ11の定着ニップ部N側の表面には、定着フィルム13の内周面(表面)との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコート、フッ素樹脂層、ポリイミド層等の保護層を設けている。本実施例では保護層としてポリイミド層を使用している。
b)フィルムガイド12
フィルムガイド12は、ヒータ11を支持する役目、加圧部材の役目、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐための断熱部材の役目等をしている。このフィルムガイド12は、剛性・耐熱性・断熱性の部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。本実施例では液晶ポリマーを使用している。
c)定着フィルム13
定着フィルム13は、図2及び図3、図4に示すように、小熱容量で可撓性を有するエンドレスベルトからなる基層131と、この基層131を覆うように基層131の外周に設けられた弾性を有する弾性層132と、を有する、少なくとも2つの層から構成される。
基層131は、クイックスタートを可能にするために膜厚は200μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するステンレス、Al、Ni、Cu、Zn等の金属部材を単独、あるいは合金部材からなり、可撓性も有している。一方で、長寿命の加熱定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた基層131として、膜厚は20μm以上の厚みが必要である。ヒータ11と接触する基層131の内面に、潤滑性の高いフッ素樹脂層、ポリイミド層、ポリアミドイミド層等を形成してあっても良い。
また、基層131はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES等の可撓性を有する耐熱性樹脂であっても良い。樹脂製の基層131の場合には、BN、アルミナ、Al等の高熱伝導性粉末を混入してあっても良い。膜厚は金属製の場合と同様に、20μm以上200μm以下の厚みが必要である。
弾性層132は、高画質化やカラー化対応として、トナーの定着性を充分に満足し、かつ定着ムラも防止するよう、記録材P上の未定着トナー像Taに対し、熱を包み込むように伝達させるため、シリコーンゴム等からなる耐熱性の弾性体からなる。熱の包み込み効果による高画質化やカラー化対応のために、膜厚は50μm以上の厚みが必要である。一方で、クイックスタートを可能にするために、膜厚は500μm以下の厚みが必要である。また、熱伝導率を向上させるために、熱伝導性フィラー等の添加材を含有している。
さらに、離型性と耐磨耗性を向上させるため、弾性層132を覆うようにPFA、PTFE、FEP、ETFE、CTFE、PVDF等の離型層133を形成してあってもよい。
本実施例では、基層131として厚さ35μmのステンレス、弾性層132として厚さ200μmの良熱伝導性シリコーンゴム、離型層133として厚さ14μmのPFA樹脂、とからなる定着フィルム13を使用している。
〜定着フィルム13の硬度上昇について〜
ここで、本実施例の定着フィルム13は、弾性層132として良熱伝導性のシリコーンゴムを使用している。このため、上述したように、連続プリント等による加熱定着の繰り返しにより、弾性層132の硬度が上昇、すなわち定着フィルム13の表面硬度が上昇する傾向がある。
例えば、図3に示すように、加熱定着装置の最大通紙幅と略同等の幅を有する大サイズ(本実施例ではLTRサイズとする)の記録材を5千枚連続プリント(温調温度:190℃)した場合、プリント前の定着フィルム13の表面硬度は70°程度である。ところが、定着フィルム13の表面硬度は、プリントにより全体的にΔa°=2°程度上昇する。大サイズ記録材の連続プリントの場合は、定着フィルム13長手方向のほぼ全域が通紙域Wbとなり、プリント中の定着フィルム13の長手方向の温度差は小さいため、弾性層132の硬度上昇も長手方向でほぼ均一になるのである。なお、定着フィルム13の表面硬度はマイクロゴム硬度計「MD−1(高分子計器株式会社)」を用いて測定した。
また、定着フィルム13は、付与される熱量が多い場合も、硬度上昇しやすくなる傾向がある。
例えば、加熱定着装置(以下、単に定着装置ともいう)の最大通紙幅と略同等の幅であるLTRサイズの記録材を5千枚連続プリント時に、定着装置6の温調温度を160℃の場合と210℃の場合とで比較した場合、次のようになる。すなわち、図3に示す定着フィルム13の表面硬度変化率Δa°は、温調温度が160℃の場合は1°、温調温度が210℃の場合は3°となり、210℃の温調温度でプリントした方が大きくなる。なお、図3(a)は定着フィルム長手方向に対する大サイズ記録材の通紙位置(長手位置)関係を示す断面図、図3(b)は大サイズ5千枚連続プリント前後の定着フィルム長手方向の表面硬度推移を示すグラフである。
さらに、定着フィルム13は、加熱定着装置が設置された環境、すなわちプリントを行なう周辺環境が高湿度の場合、硬度上昇はより顕著になる傾向がある。
例えば、加熱定着装置の最大通紙幅と略同等の幅であるLTRサイズの記録材を5千枚連続プリント(温調温度:190℃)時に、プリントする環境を23℃/10%RHの場合と23℃/80%RHの場合とで比較した場合、次のようになる。すなわち、図3に示す定着フィルム13の表面硬度変化率Δa°は、23℃/10%RHの場合は1°、23℃/80%RHの場合は3°となり、23℃/80%RHの環境下でプリントした方が大きくなる。
このように本実施例の定着フィルム13は、上述のように硬度上昇する傾向があるため、次のような場合に定着フィルム13の長手方向に硬度差が生じることがある。例えば23℃/80%RHのような高湿度環境下で、加熱定着装置の最大通紙幅よりも幅の狭い小サイズ(本実施例ではA5サイズとする)の記録材を20枚/分(ppm)(スループット)の速度で5千枚連続プリント(温調温度:190℃)する。そうすると、定着フィルム13の長手方向に硬度差が生じてしまう。具体的には、図4に示すように、プリント前に比べて定着フィルム13の表面硬度は、通紙域WsがΔA°=3°、非通紙域Wd1、Wd2がΔB°=12°と各々上昇する。すなわち、定着フィルム13の硬度の変化率は通紙域に比べて非通紙域の方がΔC°(=ΔB°−ΔA°)=9°大きいため、長手方向で表面硬度が不均一になっている。なお、図4(a)は定着フィルム長手方向に対する小サイズ記録材の通紙位置(長手位置)関係を示す断面図、図4(b)は小サイズ5千枚連続プリント前後の定着フィルム長手方向の表面硬度推移を示すグラフである。
ここで、定着フィルム13の長手方向で表面硬度が不均一になることを、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、小サイズ記録材の連続プリントの場合は、定着フィルム13の長手方向で、中央付近が通紙域Ws、両端付近が各々非通紙域Wd1、Wd2となる。小サイズ記録材の連続プリント中は、定着フィルム13の非通紙域Wd1、Wd2は記録材への熱の伝達がなく、通紙域Wsに比べて熱を蓄積し高温になりやすいため、定着フィルム13の長手方向で温度差が生じた状態でプリントが継続される。そのため、定着フィルム13の弾性層132への熱量の付与は非通紙域Wd1、Wd2の方が多くなり、弾性層132の硬度上昇も非通紙域Wd1、Wd2の方が高く、通紙域Wsと非通紙域Wd1、Wd2で表面硬度としてΔC°の差が生じてしまうのである。
この小サイズ記録材の連続プリント後の定着フィルム13は長手方向に硬度差ΔC°があるため、加熱定着装置の最大通紙幅と略同等の幅を有する大サイズ記録材のプリント時に、記録材の搬送力が定着フィルム13の長手方向で不均一となる。このため、このような場合には大サイズ記録材のプリント時に紙シワ等の搬送不良を引き起こしてしまうことがある。具体的には、定着フィルム13長手方向の硬度差ΔC°は5°以上あると紙シワ等の搬送不良を引き起こしやすい。一方、大サイズ記録材の連続プリント後の定着フィルム13は、硬度上昇が長手方向でほぼ均一で、長手方向に硬度差が生じないため、紙シワ等の搬送不良を引き起こすことはない。
d)加圧ローラ20
加圧ローラ20は、図2に示すように、ステンレス、SUM、Al等の金属製の芯金201と、芯金201の外側にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層202と、からなる。さらに、離型性と耐磨耗性を向上させるため、弾性層202を覆うようにPFA、PTFE、FEP等の離型層203を形成してあってもよい。本実施例では、芯金201としてAI、弾性層202としてシリコーンゴム、離型層203としてPFA、とからなる加圧ローラ20を使用している。
e)環境センサ9
本実施例における環境センサ9は、画像形成装置の周辺環境における湿度の検知手段である。そのため、環境センサ9は画像形成装置内における昇温の影響を受けないように、熱源である加熱定着装置6から遠い位置で、かつ周辺環境と雰囲気が近い、例えば吸気ファン付近に設けることが好ましい。本実施例では、環境センサとして、湿度検出ユニット「RHU−222(神栄テクノロジー株式会社)」を使用している。
また環境センサ9は、検知した湿度情報を基に各種制御が行なえるように、図2に示すように、温度制御部30内のCPU31とつながっている。
(3)小サイズ記録材プリント時における定着フィルム長手方向の表面硬度差低減検討
本実施例の定着装置6では、画像形成装置として、最大通紙幅はA4/LTRサイズで、プリント速度が55ppm(LTRサイズ)であるプリンタを使用する。但し、A5サイズ等の小サイズ記録材をプリントする場合は、記録材を搬送するプロセス速度を大サイズ記録材の半分とし、プリント速度は20ppm(A5サイズ)をデフォルト設定(最高速度は25ppm)としている。また、小サイズ記録材として坪量68gのA5サイズ紙を、大サイズ記録材として坪量75gのLTRサイズ紙を使用する。
そして、周辺環境は温度を23℃に固定した状態で、湿度を10%RH、50%RH、80%RHと振り、A5サイズ紙を5千枚連続プリント後、LTRサイズ紙を50枚プリントして紙シワ等の搬送不良を確認する。このような方法で、小サイズ記録材(以下、単に小サイズ紙とする)の大量連続プリントによる定着フィルム13長手方向の表面硬度差の低減検討を行なった。
1)温調温度を低くした(温調温度ダウン)場合
まず、A5サイズ紙プリント時のスループットを20ppmに固定した状態で定着装置6の温調温度を190℃、180℃、170℃と振り、A5サイズ紙プリント後のLTRサイズ紙の紙シワの発生状況を確認した。結果を表1に示す。ここで紙シワ等の搬送不良が発生した場合を×、紙シワ等の搬送不良が発生しなかった場合を○と記す。なお、定着性はA5サイズ紙におけるハーフトーン画像の定着性を示し、表中の定着性の結果を表す記号として、○は画像の抜け無しでOK(良好)、×は画像の抜け有りでNG(良好でない)、を示す。
Figure 2010128076
表1に示すように、定着装置6の温調温度を低くすると紙シワは良化する方向であるが、23℃/80%RHの環境下の紙シワは防止できない(いずれの温調温度でも×)。さらに、温調温度を低くすると定着性も低下しNG(×)となってしまう。以上の結果から、A5サイズ紙のスループットを20ppmに固定した場合、温調温度ダウンのみで対応することは困難であることが分かった。
2)スループットを低下させた(スループットダウン)場合
次に、A5サイズ紙プリント時における定着装置6の温調温度を190℃に固定した状態でスループットを20ppm、15ppm、10ppmと振り、A5サイズ紙プリント後のLTRサイズ紙の紙シワの発生状況を確認した。なお、スループットの振り方は、定着装置6に搬送される紙の搬送間隔を切り替えて行なっている。すなわち、スループットを遅くするということは記録材の搬送間隔を広くするように制御することであり、スループットを速くするということは記録材の搬送間隔を狭くするように制御することである。なお、記録材の搬送間隔の制御は、例えば画像形成装置が備える制御部が行なう。結果を表2に示す。
Figure 2010128076
表2に示すように、スループットを遅くすると紙シワは良化する方向であるが、この場合も23℃/80%RHの環境下の紙シワは防止できない。以上の結果から、温調温度を190℃に固定した場合、スループットダウンのみで対応することは困難であることが分かった。
3)温調温度ダウンとスループットダウンとを組合せた場合
そのため、A5サイズ紙プリント時における温調温度ダウンとスループットダウンを組合せて、A5サイズ紙プリント後のLTRサイズ紙の紙シワの発生状況を確認した。すなわち、定着装置6の温調温度を190℃、180℃、170℃と振り、それぞれの温調温度に対してさらにスループットを20ppm、15ppm、10ppmと振り、A5サイズ紙プリント後のLTRサイズ紙の紙シワの発生状況を確認した。なお、23℃/80%RHの環境下においては、それぞれの温調温度に対してさらに5ppmのスループットでA5サイズ紙プリントした後にLTRサイズ紙の紙シワの発生状況を確認した。結果を表3に示す。
Figure 2010128076
表3に示すように、定着装置6の温調温度ダウンとスループットダウンを組合せることにより、高湿度環境である23℃/80%RH下でも紙シワの発生を防止することができる組合せがあることが分かった。
そこで、本実施例の定着装置6では、小サイズ紙の大量プリントによる定着フィルム13長手方向の表面硬度差の低減対策として、小サイズプリント時は、周辺環境の湿度検知結果に基づき、定着装置6の温調温度とスループットを切り替える仕様を採用する。具体的には、紙シワの発生がない組合せの中で最もスループットが速くできる仕様として、表3の右側欄外に記した※印の仕様を採用した。すなわち、23℃/10%RHの環境下では、小サイズ紙プリント時の定着装置6の温調温度を190℃とし、スループットを20ppmとする。また、23℃/50%RHの環境下では、小サイズ紙プリント時の定着装置6の温調温度を180℃とし、スループットを15ppmとする。さらに、23℃/80%RHの環境下では、小サイズ紙プリント時の定着装置6の温調温度を170℃とし、スループットを10ppmとする。
(4)比較実験
上述した本実施例の定着装置6と、比較例1、比較例2、従来例のそれぞれの定着装置について、小サイズ紙の大量プリントによる定着フィルム長手方向の表面硬度差の比較を実施した。ここで、比較例1の定着装置は、小サイズ紙プリント時の温調温度は固定で、周辺環境の湿度検知結果に基づきスループットのみで紙シワの発生を防止した定着装置とする。また、比較例2の定着装置は、高湿度環境下でも紙シワの発生を防止できる条件で小サイズ紙プリント時の温調温度とスループットとを固定した定着装置とする。さらに、従来例の定着装置は、小サイズ紙プリントの条件が紙シワに対し未対応であるデフォルト設定の定着装置とする。具体的には、周辺環境は温度を23℃に固定した状態で、湿度を10%RH、50%RH、80%RHと振り、A5サイズ紙を5千枚連続プリント後、LTRサイズ紙を50枚プリントして紙シワ等の搬送不良を確認することで代用した。なお、紙シワの発生がない場合、定着フィルム長手方向の硬度差は4°以下と推測される。
なお、画像形成装置としては、最大通紙幅はA4/LTRサイズで、プリント速度が55ppm(LTRサイズ)であるプリンタを使用する。但し、A5サイズ等の小サイズ記録材をプリントする場合は、記録材を搬送するプロセス速度を大サイズ記録材の半分とし、プリント速度は20ppm(A5サイズ)をデフォルト設定(最高速度は25ppm)としている。また、小サイズ記録材として坪量68gのA5サイズ紙を、大サイズ記録材として坪量75gのLTRサイズ紙を使用する。
その結果を表4に示す。
Figure 2010128076
表4に示すように、比較例1、及び比較例2でも23℃/80%RHのような高湿度環境下で、小サイズ紙の大量プリント後における大サイズ紙の紙シワの発生を防止できる。しかしながら、小サイズ紙の大量プリントによる定着フィルムの長手方向の硬度差を小さくするために、小サイズ紙のスループットがかなり遅くなってしまった。すなわち、23℃/80%RHの高湿度環境下では、比較例1ではスループットが5ppm、比較例2ではスループットが10ppmである。定着フィルムの長手方向の硬度差を抑制するためには、小サイズ紙プリント中の定着フィルムの非通紙部昇温を低く抑えることが効果的である。しかし、非通紙部昇温を抑えるためには、プリント中の定着フィルム温度を低くする必要がある。そして、その低い温度で記録材上の未定着トナー像を加熱定着させるためには、記録材の搬送速度を遅くする、もしくは搬送間隔を広げて、対向する加圧ローラや定着フィルム自体に蓄熱させる必要がある。そのため、比較例1のような周辺湿度の検知結果に基づいてスループットしか制御できない定着装置、及び比較例2のような温調温度及びスループットが固定されてしまう定着装置は、小サイズ紙のスループットは非常に遅くなってしまったのである。
一方、本実施例の定着装置6によれば、小サイズプリント時は、周辺環境の湿度検知結果に基づき、定着装置の温調温度とスループットを切り替える仕様を採用している。このため、表4中下線で示すように、高湿度環境下における小サイズ紙の大量プリント後の大サイズ紙の紙シワの発生を防止するとともに、比較例1や比較例2と比べて、各環境下で小サイズ紙プリント時のスループットを最も速くすることができたのである。
以上、本実施例によれば、従来に比べて小サイズ記録材のスループットを速くすることができ、小サイズ紙を大量に連続プリントしても大サイズ記録材の搬送性を安定化できる。
本実施例では、小サイズ紙のプリント制御方式の他例を説明する。本実施例においては、実施例1と共通する箇所については同一符号を付して再度の説明を省略する。
本実施例では、定着装置6における小サイズ紙のプリント制御方式の他例として、加熱定着装置の最大通紙幅よりも幅の狭い小サイズ紙の設定数を複数に増やしている。本実施例では一例として、小サイズ紙としてA6サイズ、A5サイズ、B5/EXEサイズの三水準を設定している。これら三種類の紙サイズの中では、A6→A5→B5/EXEの順で紙幅が広くなる。紙幅が広いと、図4に示す定着フィルム13の通紙域Wsが広くなり、非通紙域Wd1、Wd2は狭くなる。
小サイズ紙の連続プリントで生ずる定着フィルム13非通紙域Wd1、Wd2の昇温は、非通紙域Wd1、Wd2を狭くすると小さくできる傾向にある。定着フィルム13は、付与される熱量が少ないと表面硬度が上昇しにくい傾向にあるため、非通紙域Wd1、Wd2が狭い方が表面硬度の上昇分ΔB°も小さくできる。具体的にΔB°は、23℃/80%RHの環境下、及び20ppmの速度で5千枚連続プリント(温調温度:190℃)した場合、A6サイズは14°、B5サイズは9°の上昇となる。一方、定着フィルム13通紙域Wsの昇温は、通紙域Wsが広くなっても変わらない。そのため、通紙域Wsが広くなっても表面硬度の上昇分ΔA°は略同等で3°程度となる。
すなわち、A6サイズよりも紙幅の広いB5/EXEサイズの方が、連続プリント後の定着フィルム13の通紙域Wsと非通紙域Wd1、Wd2の表面硬度差ΔC°を小さくできるため、大サイズ紙の搬送性には有利な方向である。
上述のような傾向があるため、本実施例では、高湿度環境下における小サイズ紙の大量プリント後の大サイズ紙の紙シワの発生を防止することを目的とする。さらに、小サイズ紙の中でも紙幅の広いサイズ、例えばB5/EXEサイズについては紙幅の狭いA6サイズよりもスループットを速くすることを目的としている。
そのため、小サイズ紙の中でも紙幅の広いサイズであるB5/EXEサイズについては、紙幅の狭いA6サイズよりもスループットを速くするとともに、定着性を満足させるために定着装置6の温調温度も高く設定した。そして、実施例1と同様に、定着装置の温調温度とスループットは、周辺環境の湿度検知結果に基づいて所定の設定値への切り替えも行なっている。
上述した本実施例の定着装置6と、比較例として小サイズ紙としての設定が一水準しかない定着装置と、について、小サイズ紙の大量プリントによる定着フィルム長手方向の表面硬度差の比較を実施した。具体的には、周辺環境は温度を23℃に固定した状態で、湿度を10%RH、50%RH、80%RHと振り、小サイズ紙としてA6サイズ紙、A5サイズ紙、B5サイズ紙を各々の定着装置に5千枚連続プリントする。そして小サイズ紙の連続プリント後、LTRサイズ紙を50枚プリントして紙シワ等の搬送不良を確認することで代用した(紙シワの発生がない場合、定着フィルム長手方向の硬度差は4°以下と推測される)。
なお、画像形成装置としては、最大通紙幅はA4/LTRサイズで、プリント速度が55ppm(LTRサイズ)であるプリンタを使用する。但し、小サイズ記録材をプリントする場合は、記録材を搬送するプロセス速度を大サイズ記録材の半分とし、プリント速度は最速で25ppmとしている。また、小サイズ記録材として坪量68gのA6/A5/B5サイズ紙を、大サイズ記録材として坪量75gのLTRサイズ紙を使用する。
その結果を表5に示す。
Figure 2010128076
表5に示すように、比較例は小サイズ紙としての設定が一水準しかない。したがって、小サイズ紙プリント中の定着フィルムの非通紙部昇温を低く抑えるためには、非通紙部昇温の条件として最も厳しい紙サイズ(A6サイズ)に定着装置の定着温調とスループットの仕様を合わせる必要があった。そのため、比較例のスループットは小サイズ紙全てA6サイズ紙に合わせた仕様のため、スループットは遅くなってしまったのである。
一方、本実施例では、小サイズ紙の中でさらに通紙幅の違いより三水準の設定を有しており、各々の紙幅に合わせた仕様で小サイズ紙プリント中の定着フィルムの非通紙部昇温を低く抑えている。このため、表5中下線で示すように、小サイズ紙の中でも紙幅の広いA5サイズ紙やB5サイズ紙について、A6サイズよりもスループットを速くすることができたのである。
なお、小サイズ記録材のサイズ検知については、例えばユーザが画像形成装置の操作部から直接指定した記録材サイズの情報を用いる。また、例えば、記録材の搬送路に記録材のサイズを検知するセンサを備え、センサの検知結果を用いることも考えられる。
以上、本実施例によれば、小サイズ紙の中でも紙幅の広いサイズ紙についてスループットを速くすることができ、小サイズ記録材を大量に連続プリントしても大サイズ記録材の搬送性を安定化できる。
本実施例も、小サイズ紙のプリント制御方式の他例を説明する。本実施例においては、実施例1及び実施例2と共通する箇所については同一符号を付して再度の説明を省略する。
本実施例では、定着装置における小サイズ紙のプリント制御方式の他例として、環境センサ9による周辺環境の湿度検知結果に温度検知結果を加えた情報に基づいて、定着装置6の温調温度とスループットの切り替える仕様を採用している。本実施例では、環境センサとして、温湿度検出ユニット「RHU−223(神栄テクノロジー株式会社)」を使用している。
小サイズ紙の連続プリントで生ずる定着フィルム13の非通紙域Wd1、Wd2の昇温は、定着装置の温調温度を低くすると小さくなる傾向にある。定着フィルム13は、付与される熱量が少ないと表面硬度が上昇しにくい傾向にあるためである。温調温度が低い方が表面硬度の上昇分ΔB°も小さくできる。具体的にΔB°は、23℃/80%RHの環境下、及び20ppmの速度で5千枚連続プリント(A5サイズ紙)した場合、160℃は8°、190℃は12°の上昇となる。一方、定着フィルム13の通紙域Wsの昇温は、温調温度を低くした分だけ小さくできるが、非通紙域Wd1、Wd2に比べると小さくできる割合は少ない。具体的には、温調温度の違いによる通紙域Wsにおける表面硬度の上昇分ΔA°は、160℃は2°、190°は3°となる。すなわち、定着装置の温調温度を低くした方が、小サイズ紙の連続プリント後の定着フィルム13の通紙域Wsと非通紙域Wd1、Wd2の表面硬度差ΔC°が小さくできため、大サイズ紙の搬送性には有利な方向である。
ここで、定着装置の温調温度はプリント時の周辺温度により切り替えることができる。周辺温度が高い場合、例えば32.5℃の場合は、定着装置自体の温度が高く、かつ加熱定着させる記録材の温度も高いため、周辺温度が低い場合、例えば15℃の場合より温調温度を低くしても定着性を満足させることができる。
上述のような傾向があるため、本実施例では、高湿度環境下における小サイズ紙の大量プリント後の大サイズ紙の紙シワの発生を防止することを目的とする。さらに、小サイズ紙の大量プリント時の周辺温度、例えば32.5℃環境については15℃環境よりもスループットを速くすることを目的としている。
そのため、プリント時の周辺温度が32.5℃の場合については、15℃の場合よりも定着性を満足できる範囲で温調温度を低く設定するとともに、スループットも速く設定した。もちろん、実施例1と同様に、定着装置の温調温度とスループットは、周辺環境の湿度検知結果に基づいて所定の設定値への切り替えも行なっている。
上述した本実施例の定着装置と、比較例としてプリント時の周辺温度を検知しない定着装置と、について、小サイズ紙の大量プリントによる定着フィルム長手方向の表面硬度差の比較を実施した。具体的には、周辺環境は温度を15℃、23℃、32.5℃に振った状態で、湿度も10%RH、50%RH、80%RHと振り、A5サイズ紙を5千枚連続プリントする。そしてA5サイズ紙の連続プリント後、LTRサイズ紙を50枚プリントして紙シワ等の搬送不良を確認することで代用した(紙シワの発生がない場合、定着フィルム長手方向の硬度差は4°以下と推測される)。
なお、画像形成装置としては、最大通紙幅はA4/LTRサイズで、プリント速度が55ppm(LTRサイズ)であるプリンタを使用する。但し、小サイズ記録材をプリントする場合は、記録材を搬送するプロセス速度を大サイズ記録材の半分とし、プリント速度は最速で25ppmとしている。また、小サイズ記録材として坪量68gのA5サイズ紙を、大サイズ記録材として坪量75gのLTRサイズ紙を使用する。
その結果を表6に示す。
Figure 2010128076
表6に示すように、比較例はプリント時の周辺温度を検知しないので、小サイズ紙プリント中の定着性を満足させるためには、定着性の条件として最も厳しい低温(15℃)環境に定着装置の定着温調とスループットの仕様を合わせる必要があった。そのため、比較例のスループットは全環境に渡って低温(15℃)環境に合わせた仕様のため、スループットは遅くなってしまったのである。
一方、本実施例では、プリント時の周辺温度を検知可能であり、各周辺温度に合わせた仕様で小サイズ紙プリント中の定着フィルムの非通紙部昇温を低く抑えている。このため、表6中下線で示すように、常温(23℃)環境や高温(32.5℃)環境について、低温(15℃)環境よりもスループットを速くすることができたのである。
もちろん、実施例2のように、小サイズ紙として通紙幅の違いにより複数の水準を設定することで、さらにスループットを速くすることができる。
以上、本実施例によれば、常温や高温の環境では低温の環境に比べてスループットを速くすることができ、小サイズ記録材を大量に連続プリントしても大サイズ記録材の搬送性を安定化できる。
〈その他の実施例について〉
1)加熱体であるヒータ11はセラミックヒータに限られるものではなく、例えば鉄板等の電磁誘導発熱部材等にすることもできる。
2)加圧部材の形態としては、本実施例における加圧ローラ20以外に、回動ベルト等の形態でもよい。
3)本発明の像加熱装置は、加熱定着装置に限られず、仮定着する像加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する像加熱装置等としても使用できる。
4)画像形成装置の周辺環境の湿度検知手段は環境センサ9に限られるものではなく、例えば転写ローラ5に所定の電流値を印加した時の電圧値を基準に湿度情報を推測しても良い。
以上のような実施例においても、小サイズ記録材を大量に連続プリントしても大サイズ記録材の搬送性を安定化できる。
実施例1乃至3における画像形成装置の一例を示す概略要部構成図 実施例1乃至3における加熱定着装置の一例を示す断面図 (a)定着フィルム長手方向に対する大サイズ記録材の通紙位置関係を示す断面図、(b)大サイズ5千枚連続プリント前後の定着フィルム長手方向の表面硬度推移を示すグラフ (a)定着フィルム長手方向に対する小サイズ記録材の通紙位置関係を示す断面図、(b)小サイズ5千枚連続プリント前後の定着フィルム長手方向の表面硬度推移を示すグラフ
符号の説明
9 環境センサ
13 定着フィルム(加熱回転体)
20 加圧ローラ(加圧部材)
30 温度制御部
Ta 未定着トナー像
N 定着ニップ部
P 記録材(被加熱材)

Claims (3)

  1. 弾性層が配置された加熱回転体と、前記加熱回転体とニップ部を形成する加圧部材と、を備え、前記ニップ部で被加熱材を挟持搬送しつつ前記被加熱材上の像を加熱する像加熱装置において、
    前記像加熱装置が設置された環境の湿度が高い場合には湿度が低い場合に比べて前記加熱回転体の温度を低くし、かつ、前記被加熱材の搬送間隔を広くするように制御する制御手段を備えることを特徴とする像加熱装置。
  2. 請求項1に記載の像加熱装置において、
    前記制御手段は、前記被加熱材の搬送方向に垂直な方向の長さである該被加熱材の幅が小さい場合には被加熱材の幅が大きい場合に比べて前記加熱回転体の温度を低くし、かつ、前記被加熱材の搬送間隔を広くするように制御することを特徴とする像加熱装置。
  3. 請求項1又は2に記載の像加熱装置において、
    前記制御手段は、前記像加熱装置が設置された環境の温度が高い場合には温度が低い場合に比べて前記加熱回転体の温度を低くし、かつ、前記被加熱材の搬送間隔を狭くするように制御することを特徴とする像加熱装置。
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