JP4387657B2 - 加熱定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置において、作像プロセス部で記録材(転写材・印字用紙・感光紙・静電記録紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持された目的の画像情報の未定着トナー像を固着像として熱定着処理する加熱定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式を採用する画像形成装置の具備される定着装置においては、未定着トナー像を担持した記録材を、互いに圧接して回転する定着ローラと加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより記録材上に永久画像として定着させる、いわゆる熱ローラ方式の加熱定着器が広く用いられている。図3にその熱ローラ方式の加熱定着装置の概略構成を示す。定着ローラは、アルミニウムやステンレス製の中空芯金4の中にハロゲンランプ等の加熱体5を設け、外表面にはトナーのオフセットを防止するためのフッ素樹脂等の離型性層を備えたものである。また、加圧ローラは、芯金8の外部にシリコーンゴム等を形成した弾性層7あるいはシリコーンゴムを発砲してなるスポンジ弾性層を形成し、さらにその外層には定着ローラと同様のフッ素樹脂等の離型性層6が形成されている。また、高速機あるいはカラートナーを用いた画像形成装置の場合、トナーの定着性を十分に満足させるために、中空芯金の外表面にシリコーンゴム等の厚み2mm程度の弾性層3を設けることにより、軟らかくなった定着ローラ表面でトナーを包み込むことで、記録材およびトナーへの熱の伝播効率を向上させている。
【0003】
しかしながら、近年の環境問題の一つとして消費電力の低減が強く望まれる一方で、市場のニーズから高画質および高速での画像出力が望まれている。そこで、このような消費電力の低減と高速・高画質の要求に応えるために、上記の熱ローラ方式の加熱定着装置に対して種々の改善が試みられている。
【0004】
一つは、定着ローラの昇温時間を短縮し消費電力を小さくする目的で、図4に示すように加熱体10を定着ローラ1や加圧ローラ2の外表面に配置させ、外表面のみを加熱することで、低消費電力で熱効率のよい加熱定着装置の1例が特開平10-301417号公報・特開平11-073050号公報等に提案されている。このような定着ローラの外表面に配置させる加熱体は、定着ローラに対して接触状態にあるものと、非接触状態にあるものに大別されるが、接触式の方が熱の伝播率が高い。
【0005】
一方では、特にスタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力抑えた方法、詳しくはヒータ部と加圧ローラの間に熱容量の小さい薄肉フィルムを介して記録材上のトナー像を定着するフィルム加熱方式による加熱定着方法の1例が特開昭63-313182号公報・特開平2-157878号公報・特開平4-44075号公報・特開平4-204980公報等に提案されている。図5にフィルム加熱方式の1例の概略構成を示した。すなわち図5において、アルミナや窒化アルミ等のセラミック板上に発熱抵抗層が形成された加熱ヒータ12がステイホルダー(支持体)14に固定され、そのヒータに密着したポリイミド等の耐熱性の薄肉フィルム15(以下、定着フィルムと記す)と、そのフィルムを挟んで圧接させた加圧ローラ2を有する。定着フィルム15は加圧ローラ2の回転力により、定着ニップ部においてヒータ面に密着・摺動しつつ矢印の方向に搬送移動される。ヒータの温度は、ヒータ背面に設置された温度検知手段13により検知し不図示の通電制御部へフィードバックされ、ヒータ温度が一定温度(定着温度)になるように加熱・温調される。このようなフィルム加熱方式の定着装置を用いたプリンター、複写機等の各種画像形成装置は、加熱効率の高さや立ち上りの早さにより、待機中の予備加熱の不要化や、ウェイトタイムの短縮化など従来の熱ローラ等を用いて加熱定着させる方式に比べて多くの利点を有している。
【0006】
しかしながら、上述した従来方式の加熱定着装置でも、立ち上り時の昇温時間の短縮、消費電力の低減、さらには高速、高画質といったすべてにおいて優れた性能を両立させることは非常に困難である。例えば、フィルム加熱方式を考えた場合、立ち上り時間の短縮と、消費電力の低減に関しては、非常に優れているが、高速化させた場合に次のような問題がある。まず、定着フィルムにポリイミド等の有機性耐熱樹脂を用いているため熱伝導性が悪く、高速化した際に記録材に十分な熱量を供給することが不可能である。つまり実用上問題のない可能な限り多くの熱量を加熱ヒータにより発熱させても、その熱が薄肉フィルムにより遮断されてしまい、記録材およびトナー上に効率的に伝達できない。また、高速化した場合に顕著に表れる問題として、画像の劣化がある。記録材上に形成された未定着トナー画像が高画質であっても、加熱定着装置が原因となって画像を劣化させることが少なくない。特に上述のフィルム加熱方式では、定着フィルムが加圧ローラの回転駆動により従動回転するため、高速化に伴ってフィルムの速度が加圧ローラの回転速度に対して遅れるという問題点があり、画質の劣化に繋がる。また表面の凹凸が粗い記録材を加熱定着する場合、定着フィルムは表面が比較的硬いので、紙の凹部への接触が悪くなり、十分な熱が記録材に伝達できずトナー画像表面がガサガサする。このような問題は、熱ローラ方式の加熱定着装置においても発生する問題であり、表面に弾性層を有さず、金属芯金に離型層を設けたのみの定着ローラ(ハードローラ)では、高速化するにつれて画像のがさつきが顕著に表れる。
【0007】
以上のような問題から考えると高速化に対応させるためには定着ローラとして弾性層を有することが必須条件となる。この条件に基づいて高速化に対応できる加熱定着装置を選択すると、従来の弾性層を有する熱ローラ方式の加熱定着器では、定着ローラの昇温時間が圧倒的に長く、スタンバイ時も電力の供給を必要とするため消費電力が大きくなり、環境や市場のニーズに対しては不利な構成である。
【0008】
また、図4に示すような外部から定着ローラ表面を加熱する方式では、従来の熱ローラ方式と比較すれば、昇温時間の短縮および省電力が改善されているが、フィルム加熱方式のそれらと比べると性能は劣る。その原因として一つは、定着ローラ表面を加熱するための加熱部材(以下ヒートローラと呼ぶ)が中空芯金内にハロゲンヒータなどを有する構成の場合、芯金がハロゲンヒータの輻射熱により昇温することからヒートローラ自身を暖めるのに時間を要してしまう。加熱定着のプロセススピードが遅い場合であれば、記録材の通過により奪われた定着ローラ表面の熱はヒートローラからの熱供給で補填可能であるが、高速化が進むにつれてヒートローラからの熱供給のみでは間に合わなくなると考えられる。従って、ローラ形状のヒータで定着ローラを外部加熱する方式では、高速化に限界があると考えられる。また、加圧ローラも定着ローラを介して熱を蓄えるので、立ち上がりの昇温時間を遅らせる原因となっている。
【0009】
以上により、消費電力の低減と、昇温時間の短縮を保ちつつ、高速化、高画質化で画像出力が可能な加熱定着装置は、従来から提案されているような構成では不可能であった。そこで、これらを実現するために本発明の出願人は、図2に示すような弾性層22を有する定着ローラ20と、その定着ローラ20に外部表面から接触して加熱ニップ部を形成する加熱部材24、28と、定着ローラに圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材30とを有し、上記定着ニップ部に未定着トナー画像が形成された記録材を狭持搬送させることで加熱定着を行うものを提案した。また、上記加熱部材24、28に具備される加熱ヒータは低熱容量のプレート形状であり加熱ニップ部に摺擦して発熱するタイプである。このような構成にすることで、従来のようなヒートローラによって定着ローラ表面を加熱する構成よりも、加熱ニップ部でのエネルギー密度を高くすることができるので、定着ローラ表面を効率良く加熱することが可能となる。また、定着ローラの弾性体と記録材やトナーとの密着性が、従来の高速機に用いられているような弾性層をもつ熱ローラ方式と同等であるため、画像形成装置の高速化に対しても高画質を維持できる。つまり、立ち上がり時間の短縮、および消費電力の削減、高速化に対応した高画質の画像出力など、すべての要求を両立することが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の方式では次のような問題がある。
【0011】
クイックスタート及び高速化に対応するため、図2に示すように、定着ローラ20を加熱するための加熱部材を複数使用した場合、定着ローラ20の回転方向に対して上流に位置する加熱部材28と、下流に位置する加熱部材24とでは、定着ローラ20に供給する熱量が異なる。つまり、下流の位置する加熱部材24と定着ローラ20との温度差よりも、上流に位置する加熱部材28と定着ローラ20との温度差の方が、大きいため加熱部材28がより多くの熱量を定着ローラ20に供給することができる。このため、等しい電力を加熱部材24、加熱部材28に投入した場合、効率的に定着ローラを加熱することできない。また、加熱部材自体の温度は、下流に位置する加熱部材24の方が高くなってしまうため、同じ材質の断熱ステイホルダー25の使用や同一の安全装置の使用が、困難となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、内部に熱源がない定着ローラと、前記定着ローラと共にトナー像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記定着ローラの表面を加熱する第1の加熱部材と、前記定着ローラの回転方向において前記第1の加熱部材よりも下流側で且つ前記定着ニップ部よりも上流側に設けられており前記定着ローラの表面を加熱する第2の加熱部材と、を有する加熱定着装置において、前記第1及び第2の加熱部材はセラミック基板上に発熱抵抗層を備えたヒータを有し、前記定着ローラの表面温度が定着可能な温度に達するまで前記装置を室温状態から立ち上げる場合、その立ち上げ期間中、前記第1の加熱部材に供給する電力を前記第2の加熱部材に供給する電力よりも大きく設定して前記第1の加熱部材の発熱量を前記第2の加熱部材の発熱量より大きくすることを特徴とする。
【0013】
(作用)定着ローラ表面温と加熱部材との温度差は、定着ローラの回転方向に対して上流に位置する加熱部材の方が、下流に位置する加熱部材より大きくなる。
【0014】
よって、定着ローラの回転方向に対して上流の位置する加熱部材の方が多くの熱量を定着ローラに供給することができるので、効率的に定着ローラを定着可能な温度まで立ち上げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
以下に、本発明に係る実施例を示すが、まず図1は、本発明に係る画像形成装置の構成図である。
【0018】
図1において、50は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基板上に形成されている。感光ドラム50は矢印の方向に回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ51によって一様帯電される。次に、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビーム52による走査露光が施され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置53で現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0019】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ54により、所定のタイミングで搬送された記録材上に感光ドラム50上より転写される。所定のタイミングで搬送された記録材は感光ドラム50と転写ローラ54に一定の加圧力で狭持搬送される。このトナー像が転写された記録材は加熱定着装置56へと搬送され、永久画像として定着される。一方、感光ドラム50上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置55により感光ドラム50表面より除去される。
【0020】
図2に本発明に係る加熱定着装置56の構成を示す。図2において、定着ローラ20は以下の部材から構成される。アルミ或いは鉄製の芯金21の外側にシリコーンゴムで形成された弾性層(ソリッドゴム層)、あるいはより断熱効果を持たせるためにシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層(スポンジゴム層)、あるいはシリコーンゴム層内に何らかの方法で気泡を分散させ、断熱作用を高めた弾性層(気泡ゴム層)22から成る。しかしながら、定着ローラ20の熱容量が大きく、また熱伝導率が少しでも大きいと、外表面から受ける熱を吸収しやすく、表面温度が上昇しにくくなる。できるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ表面温度の立ち上がり時間に有利である。ここで、上記シリコーンゴムのソリッドゴムは熱伝導率が0.25〜0.29W/m・K、スポンジゴム・気泡ゴムは0.11〜0.16W/m・Kであり、スポンジゴム・気泡ゴムはソリッドゴムの約半分の値を示す。また、熱容量に関係する比重はソリッドゴムが約1.05〜1.30、スポンジゴム・気泡ゴムが約0.75〜0.85である。従って、弾性層の好ましい形態としては、熱伝導率が約0.15W/m・K以下で、比重が0.85以下の断熱効果の高いスポンジゴム層や気泡ゴム層の方が好ましい。また、定着ローラ20の外形は小さい方が熱容量を抑えられるが、小さすぎると加熱ニップが稼ぎにくくなるので適度な径が必要である。弾性層の肉厚に関しても、薄すぎれば金属製の芯金に熱が逃げるので適度な厚みが必要である。以上を考慮して本実施例では、適正な加熱ニップを形成でき、且つ熱容量を抑えるために、肉厚が4mmの気泡ゴムを用いて弾性層を形成し、外形がφ20mmの定着ローラを使用した。上記に述べた弾性層の上にはパープルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂離型成層23を形成する。離型層23はチューブを被覆させたものでも表面を塗料でコートしたものであってもよいが、チューブの方が耐久性に優れる。
【0021】
加熱部材24は、以下の部材から構成される。26は加熱用ヒータであり、定着ローラ20の表面を加熱する。加熱用ヒータ26はアルミナや窒化アルミ等の高絶縁性のセラミックス基板表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。加熱用ヒータ26の表面には、摺擦により定着ローラ20の離型成層が磨耗しないように保護摺動層を設けるのが良い。その例としては、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(CTEF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素樹脂層を単独ないし混合して被覆するか、あるいはグラファイト、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)、二硫化モリブデン等からなる乾性被膜潤滑剤、ガラスコート等の保護層が考えられる。25は加熱用ヒータ26を保持する断熱ステイホルダーである。不図示の加圧手段によって定着ローラ20に対して加圧され、その加圧力により加熱用ヒータ26と定着ローラ20の間に加熱ニップNを形成している。断熱ステイホルダー25は、加熱ニップNと反対方向への放熱を防ぐ役割を持ち、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。また、加熱ヒータ26の背面には通電発熱抵抗層の発熱に応じて昇温したセラミック基板の温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子27が配置されている。この温度検知素子27の信号に応じて、長手方向端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層に印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、加熱ヒータ26を発熱させ、定着ローラ20の表面を加熱・温調する。温度検知素子27から不図示の温度制御部へのDC通電は不図示のDC通電部およびDC電極部を介して不図示のコネクターにより達成している。
【0022】
加圧部材30は、次のような構成である。33は摺動フィルムであり、耐熱性、熱可塑性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、PFA、PTFE、FEP等を基層とした樹脂製のフィルムである。フィルム厚みは、強度等を考慮し、20μm以上150μm未満が適当な範囲である。また、31は摺動フィルムの内部に具備された摺動板であり、32は摺動板31を保持している断熱ステイホルダーである。断熱ステイホルダー32は不図示の加圧手段によって定着ローラに対して加圧され、摺動板31と定着ローラ20との間に摺動フィルム33を介して定着に必要なニップMを形成している。断熱ステイホルダー32は加熱部材のステイホルダー25と同様に断熱性、耐熱性を有する樹脂として、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。また、摺動板31は、摺動フィルム33との摩擦が小さく且つ断熱性を有する材料として、ステイホルダー32と同様の液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成し、その表面に摩擦抵抗を低減する摺動層をコーティングするのが望ましい。その例としては、加熱ヒータ21の表面に設ける摺動層と同様であるので説明は省く。ここでは、摺動板31と断熱ステイホルダー32を別部材として扱っているが、それらを一体成型により形成し摺動部分に上記摺動層をコーティングしても良く、よりコストダウンを測ることが可能である。また、摺動フィルム33と摺動板31の間には、摩擦抵抗を小さく抑えるためにグリース等の潤滑剤を少量介在させてある。
【0023】
このような構成において、定着ローラ20は長手方向端部から芯金21を介して不図示の回転駆動により、矢印の方向に回転駆動される。これにより上記摺動フィルム33はステイホルダー32の外側を図の矢印方向へ従動回転する。以上が本実施例の加熱定着装置の構成であるが、記録材Pは不図示の供給手段によって適宜供給され、耐熱性の定着入口ガイドに沿って定着ローラ20と加圧部材30によって形成される定着ニップM内に搬送される。
【0024】
本実施例では、定着ローラを加熱する加熱部材を2つ具備した構成で、定着ローラの回転方向に対して上流に位置する加熱部材と、下流に位置する加熱部材に投入する電力の比率を変えて加熱定着装置の立ち上げを行う。図2に示す加熱定着装置の加熱部材24(第2の加熱部材)、28(第1の加熱部材)に合計1000W一定電力を投入し、定着ローラ表面温度が、室温から定着可能となる200℃になるまでの時間と2つの加熱部材に投入する電力比率の関係を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から加熱部材28に投入する電力の比率を高くすることで、定着ローラを定着可能な200℃まで立ち上げる時間が短くなることがわかる。これは、室温から定着ローラを加熱していく場合、加熱部材と定着ローラ表面の温度差が大きく、熱量の移動が多くなるため、より熱量を定着ローラに供給できる加熱部材28に投入する電力比率を増やすことで、効率的に定着ローラを加熱することが可能となる。
【0027】
以上のように、定着ローラの回転方向に対して上流に位置する加熱部材に投入する電力と、下流に位置する加熱部材に投入する電力の比率において、前者の比率を高くすることで、より効率的に定着ローラを加熱することが可能となり、定着装置の立ち上げ時間を短縮することができた。
【0028】
(参考例1)
以下に、参考例1について説明する。本参考例に関する画像形成装置全体の構成および、加熱定着装置の構成は、前記第1の実施例と同様であるため説明を省く。
【0029】
本参考例では、定着ローラを加熱する加熱部材を2つ具備する構成で、それぞれの加熱部材には加熱ヒータの裏面に、温度検出素子があり加熱ヒータ裏面温度をモニターしながら、連続通紙を行った。
【0030】
坪量75g/mm2のレターサイズ紙を連続通紙した時の加熱部材のヒータ裏面温度と通紙枚数の関係を表2に示す。尚、この時のプロセススピードは150mm/secであり、投入電力はそれぞれ300Wである。
【0031】
【表2】
【0032】
表2より、通紙枚数が増加するにしたがって、加熱ヒータ裏面温度も上昇していることがわかる。これは、通紙された紙が定着ローラおよび摺動フィルムから奪う熱量よりも、加熱部材から定着ローラに供給される熱量の方が多いためであり、加熱ヒータの断熱ステイホルダーの耐熱温度を越えてしまう恐れがある。
【0033】
次に、定着性を満足できる範囲で、通紙枚数が増えるにしたがって加熱部材に投入する電力を減らした場合の加熱ヒータ裏面温度との関係を表3に示す。また、下流に位置する加熱部材24の投入電力下げ幅を大きくしている。
【0034】
【表3】
【0035】
表3より、連続通紙時に加熱ヒータへ投入する電力を段階的に下げることにより、加熱ヒータ裏面の温度上昇を防ぐことができる。さらに、定着ローラの回転方向に対して、下流に位置する加熱部材24に投入する電力の下げ幅を大きくしたことにより、ヒータ裏面温度の過上昇を防ぐことができる。
【0036】
(参考例2)
以下に、参考例2について説明する。本参考例に関する画像形成装置全体の構成および、加熱定着装置の構成は、前記第1の実施例と同様であるため説明を省く。
【0037】
本参考例では、定着ローラを加熱する加熱部材を2つ具備する構成で、それぞれの加熱部材には加熱ヒータの裏面に、温度検出素子があり加熱部材の温調が可能である。
【0038】
次に、定着ローラの長手方向長さよりも短い、小サイズ紙を通紙した場合、紙が通紙されない非通紙領域は、通紙により熱を奪われない。このため、連続通紙により加熱部材の非通紙領域は温度が昇温することになる。表4に小サイズ紙を連続通紙した時の2つの加熱ヒータ温調温度と、非通紙領域の加熱ヒータ裏面温度との関係を示す。尚、この時のプロセススピードは150mm/secであり、B5サイズ紙を通紙した。
【0039】
【表4】
【0040】
表4より、同じ温調温度でも下流に位置する加熱部材の方が、非通紙領域のヒータ裏面温度が高くなっており、断熱ステイホルダーの耐熱温度を越えてしまう恐れがある。よって、小サイズ紙を連続通紙するときは、定着ローラの回転方向に対して下流に位置する加熱ヒータの温調温度を、上流に位置する加熱ヒータの温調温度よりも低くする必要がある。
【0041】
次に、下流の加熱ヒータの温調温度を低くした時の非通紙領域温度と、定着性との関係について表5に示す。尚、プロセススピードは150mm/secであり、坪量75g/mm2のB5サイズ紙を通紙した。
【0042】
【表5】
【0043】
以上のように、定着ローラの長手方向長さよりも短い、小サイズ紙を連続通性する場合、定着ローラの回転方向に対して下流に位置する加熱ヒータの温調温度を下げることで、非通紙領域の過昇温を防ぐことができた。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により高速化してもオンデマンド性を失わずに、定着装置の立ち上げを行うことができ、連続通紙した場合でも画質が良く、安定した定着性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成図。
【図2】本発明に係る加熱定着装置の構成を示す模式図。
【図3】従来の熱ローラ方式による加熱定着装置の構成を示す模式図。
【図4】従来の熱ローラを外部より加熱する方式の定着装置の構成を示す模式図。
【図5】従来のフィルム加熱方式による加熱定着装置の構成を示す模式図。
【符号の説明】
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 弾性層
4 中空芯金
5 加熱体
6 離型性層
7 弾性層
8 芯金
9 金属パイプ
10 加熱体
11 定着部材
12 加熱ヒータ
13 温度検知素子
14 断熱ステイホルダー
15 定着フィルム
20 定着ローラ
21 芯金
22 弾性層
23 離型性層
24 加熱部材
25 断熱ステイホルダー
26 加熱ヒータ
27 温度検知素子
30 加圧部材
31 摺動板
32 断熱ステイホルダー
33 摺動フィルム
50 感光ドラム
51 帯電ローラ
52 レーザビーム
53 現像装置
54 転写ローラ
55 クリーニング装置
56 定着装置
P 記録材
N 加熱ニップ
M 定着ニップ
Claims (1)
- 内部に熱源がない定着ローラと、前記定着ローラと共にトナー像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成する加圧部材と、前記定着ローラの表面を加熱する第1の加熱部材と、前記定着ローラの回転方向において前記第1の加熱部材よりも下流側で且つ前記定着ニップ部よりも上流側に設けられており前記定着ローラの表面を加熱する第2の加熱部材と、を有する加熱定着装置において、
前記第1及び第2の加熱部材はセラミック基板上に発熱抵抗層を備えたヒータを有し、前記定着ローラの表面温度が定着可能な温度に達するまで前記装置を室温状態から立ち上げる場合、その立ち上げ期間中、前記第1の加熱部材に供給する電力を前記第2の加熱部材に供給する電力よりも大きく設定して前記第1の加熱部材の発熱量を前記第2の加熱部材の発熱量より大きくすることを特徴とする加熱定着装置。
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