JP2010127789A - 金属材料中の析出物および/または介在物の定量方法 - Google Patents

金属材料中の析出物および/または介在物の定量方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属材料中に含まれるナノメートルサイズの微細な析出物等を大きさ別に定量する方法を提供する。
【解決手段】金属試料を電解液中で電解する電解ステップと、電解液から取り出した金属試料の残部を分散性を有する溶液に浸漬する浸漬ステップと、分散性を有する溶液に分離された析出物等をフィルタにより1回以上ろ過する分別ステップと、フィルタに捕集された析出物等に含まれる着目元素の含有率を定量する定量ステップとを備え、電解ステップにおいて金属試料の電解量を変えて電解ステップから定量ステップまでを繰り返し、電解量と定量された着目元素の含有率との関係を求め、電解量を0に外挿したときの含有率をフィルタ孔径から定義される大きさ以上の大きさを有する析出物等に含まれる着目元素の含有率とする金属材料中の析出物等の定量方法。
【選択図】図4

Description

この発明は、金属材料中の析出物および/または介在物(以下、析出物等という)の定量方法、特にナノメートルサイズの微細な析出物等を大きさ別に定量する方法に関する。
金属材料中に存在する析出物等は、その形態、大きさ、ならびに分布によっては材料の諸特性、例えば、機械的性質や電磁気的性質などに大きな影響を及ぼす。特に、鉄鋼の分野においては、近年、析出物等を利用して鋼材の特性を向上させる技術が著しく発展し、それに伴って製造工程における析出物等の制御が重要になってきている。
一般に、鋼材に含有される析出物等には、大きさや組成によって、特性を向上させるもの、特性を低下させるもの、あるいは特性に寄与しないものがあるが、所望の特性の鋼材を製造するためには、一定の大きさや組成の析出物等を安定して生成させることが重要となる。例えば、析出強化型高張力鋼板では、微細な析出物等を生成させて鋼板の高張力化が図られているが、最近では、サブナノメートルからナノメートルサイズの極めて微細な析出物等の制御が行われている。そのため、ナノメートルからサブミクロンメートルサイズの析出物等に対して、大きさ別に含有される元素を特定し、定量可能な方法が強く求められている。
鋼材中の析出物等を定量する技術として、非特許文献1には、酸分解法、ハロゲン法、電解法などが挙げられており、特に、図1に示した手順で行われる電解法が優れていることが示されている。この電解法では、電解液中で鉄マトリックスを溶解させ、電解液中に分離された析出物等を回収する固液分離手段として、フィルタを用い、比較的小さな析出物等の凝集と比較的大きな析出物等によるフィルタ孔の閉塞とを組み合わせて、すなわち、比較的大きな析出物等によるフィルタ孔の閉塞により、凝集した比較的小さな析出物等をフィルタ上に堆積させてケークろ過(堆積した析出物等自身がさらにフィルタとして作用するろ過機構)が機能されて、全ての析出物等が回収される。そのため、析出物等の総量を定量することは可能であるが、析出物等の大きさ別に関する知見を得ることはできない。
一方、析出物等を大きさ別に分けて定量する技術は、非特許文献1に記載の方法を土台として幾つか提案されているが、いずれも析出物等の凝集解消やケーク層(フィルタ上の析出物等の堆積層)の形成防止を主眼としている。例えば、特許文献1には、鋼材中の非金属介在物を化学的に液体中に分離し、ろ過時に、金属フィルタを用いて効果的に超音波を付与して、非金属介在物の凝集解消とケーク層の形成防止を図り、非金属介在物を大きさ別に分別する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1の技術は、数ミクロンメートル以上の粗大な非金属介在物に対しては有効な手法だが、ナノメートルからサブミクロンメートルサイズの極めて微細な析出物等に適用するには問題がある。これは、微細な粒子ほど液体中で強い凝集性を示すため、ナノメートルからサブミクロンメートルサイズの析出物等の凝集体に対しては、超音波を付与してもその凝集を解消させることが難しく、また、超音波の効果を十分に発揮させるためのナノメートルからサブミクロンメートルサイズのフィルタ孔を有する金属フィルタが存在しないためである。特許文献2には、フィルタ孔径1μm以下の有機質フィルタを用い、超音波振動を付与して1μm以下の析出物等を分別する技術が開示されている。しかし、特許文献2の技術では、特許文献1の場合と同様、超音波による1μm以下の微細な析出物等の凝集解消は困難である。また、有機質フィルタは金属フィルタと違い、材質的に超音波の伝播や反射が不十分なため、フィルタ孔の閉塞を超音波振動によって解消させることができず、前述のフィルタ上にケーク層が形成され、フィルタ孔径通りの析出物の分別がなされない。非特許文献2には、フィルタ孔径の異なるフィルタを用い、ろ過を2回して、銅合金中の析出物等を大きさ別に分別する技術が開示されている。しかし、非特許文献2の技術でも、析出物等の凝集やケーク層の形成に関する問題が解決されておらず、大きさ別の定量を行うことができない。
特公昭53-37595号公報 特開昭58-119383号公報 日本鉄鋼協会「鉄鋼便覧第四版(CD-RM)」第四巻2編3.5 日本金属学会「まてりあ」第45巻第1号52頁(2006)
以上のように、従来技術においては、析出物等の凝集とケーク層の形成の問題があり、ナノメートルからサブミクロンメートルサイズ(特に、大きさ1μm以下、より望ましくは大きさ200nm以下)の析出物等を、大きさ別に定量することができない。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたもので、金属材料中に含まれるナノメートルサイズの微細な析出物等を大きさ別に定量する方法を提供することを課題とする。
図1に示した非特許文献1に開示される電解抽出法は、鉄マトリクスを溶解することで、鋼中析出物等を安定的に回収することができる方法であり、析出物等を回収し定量する標準的な方法(以下、標準法という)とみなされている。そして、前述した特許文献1、2は、この標準法に基づいている。しかし、標準法をはじめとする従来の方法では、上述したようにさまざまな問題がある。そこで、本発明者らは、従来の標準法にとらわれない方法を発明すべく、鋭意研究を行った。以下に、得られた知見を示す。
上述の標準法の問題点を整理すると、分離された析出物等の分散媒として析出物等に対して分散性の低いメタノールを用いていること、および全量回収に適した閉塞しやすいフィルタを用いていることに根本的な問題点があり、これにより微細な析出物等を大きさ別に分別することが妨げられていたものと推測される。つまり、析出物等に対して分散性の低いメタノールを分散媒としているため、微細な析出物等は容易に凝集してしまい、超音波などの物理的作用を与えたとしても、その凝集を完全に解消させることは不可能であり、その上、閉塞しやすいフィルタを用いれば、凝集した析出物等がフィルタ孔を閉塞してケーク層が形成されやすくなるので、ナノメートルからサブミクロンメートルサイズの析出物等を大きさ別に分別することが困難になると考えられる。
そこで、本発明者らは、先ず、析出物等の凝集を解消するために、析出物等の分散媒について検討したところ、水溶液系分散媒(以下、分散性を有する溶液と呼ぶ。)による電気化学的作用によって、大きさ1μm以下の析出物等に対しても分散性を付与できることを見出した。
しかし、標準法で用いられている電解液の主成分は分散性の低いメタノールであるので、析出物等に分散性を付与するためには、析出物等を電解液から分散性を有する溶液へ移す必要がある。そのためには、析出物等と電解液とを分離させる固液分離操作が必要となる。そこで、従来の標準法にしたがい、電解液中の析出物等と分散媒(具体的にはメタノール)中に分離した析出物等とを回収するために行われている固液分離手段としての「ろ過」操作を行ったところ、ろ過によって析出物等の一部(特に、大きさ200nm以下のサブナノメートルからナノメートルサイズの微細なもの)が失われる可能性があることがわかった。
この結果を踏まえて、従来から行われている標準法以外の固液分離手段を得るべく、鋼材試料を用いてさらに検討した。その結果、電解中および/または電解後は、ほぼ全ての析出物等が鋼材試料に付着したままの状態であることを知見した。これは従来にない全く新しい知見であり、この知見から、電解中および/または電解後に鋼材試料の残部を電解液から取り出せば、容易に固液分離を実現できることになる。そして、凝集の問題解決のための上記知見を組み合わせて、分散性を有する溶液中に析出物等を分離すれば、析出物等の凝集を解消できることになる。この付着現象の詳細については不明であるが、電解中および/または電解後における鋼材試料と析出物等の電気的作用によるものと推測される。
このように、鋼材試料に付着した析出物等を、分散性を有する溶液中で電気化学的作用によって高度に分散させることで、析出物等の凝集を解消することができる。その結果、特許文献1や2のように、溶媒(水やメタノールを含む)中での超音波という物理的作用をろ過の際に付与することは必要でなくなり、超音波の使用が妨げていた脆弱な材質や構造のフィルタやメタノールの使用が妨げていた非水溶媒溶解性フィルタの適用も可能となる。
なお、本発明においては、本発明の範囲が金属試料の残部に付着した析出物等のみを分析する場合に限定されない。すなわち、金属試料の残部に付着した析出物等に加え、何らかの理由で電解液に含まれた析出物等の分析結果を加えることもできる。これにより、分析値がより正確になる場合もある。
次に、本発明者らは、ケーク層の形成の問題について検討を重ねた結果、通過するフィルタの同一面積に対する、電解時における金属試料から分離する析出物の密度を減らしていくと、フィルタ孔の閉塞が起きにくくなりケーク層の形成が抑制されること、および金属試料から分離する析出物の密度と金属試料の電解量には正の相関があること、に着目し、電解量と析出物等の定量結果との関係を求め、電解量を0に外挿したときの定量値を用いれば、析出物等を大きさ別に定量できることを見出した。以下に、その詳細を説明する。
凝集していない析出物等を含む溶液を、所定のフィルタ孔径のフィルタでろ過すると、理想的には、フィルタ孔径と析出物等の大きさに応じて、フィルタに捕集される析出物等とフィルタを通過する析出物等とに分離されるはずである。ところが、実際には、フィルタ孔の閉塞によって、本来通過すべき析出物等がフィルタに捕集されることがある。これは、フィルタ孔径よりも大きな一つの析出物等が一つのフィルタ孔を完全に閉塞できない場合に発生する架橋現象(液体中の移動粒子がフィルタ孔の開口部およびその周辺で阻止され、重なり合ってアーチを形成すること)によるものと考えられる。つまり、この架橋現象によって、ケーク層が形成され、フィルタ孔径未満の大きさの析出物等もフィルタに捕集される。したがって、フィルタに捕集された析出物等を定量しても、フィルタ孔径以上の大きさの析出物等を定量したことにはならない。同様に、本来フィルタを通過するべき析出物等がフィルタ孔の閉塞によってフィルタに捕集されることで、フィルタを通過したろ液中の析出物等を定量しても、フィルタ孔径未満の大きさの析出物等を定量したことにはならない。
いま、金属試料の電解量mをΔmだけ増加させ、新たな電解量(m+Δm)でフィルタによりろ過すると、電解量Δmに存在する析出物等に対するフィルタ孔の閉塞の影響は電解量mの場合より著しく大きくなる。そのため、フィルタ孔の閉塞がなくケーク層が形成されない理想的な場合には、電解量の多寡に関わらず析出物等の定量結果、すなわち着目元素の含有率は一定となるはずだが、新たな電解量(m+Δm)における着目元素の含有率Cm+Δmは、電解量mにおける着目元素の含有率Cmより大きくなる。反対に、電解量mをΔmだけ減少させ、新たな電解量(m-Δm)でフィルタによりろ過すると、ケーク層の形成が抑制され、新たな電解量(m-Δm)における着目元素の含有率Cm-Δmは、電解量mにおける着目元素の含有率Cmより小さくなる。したがって、次の式(1)および(2)に示すように、電解量mを0にすれば、フィルタ孔の閉塞がなくケーク層が形成されない理想的な場合が達成され、着目元素の含有率が得られることになる。
Figure 2010127789
ここで、
Rm:電解量mのときに所定のフィルタ孔径のフィルタに捕集された着目元素の重量、
Fm:電解量mのときに所定のフィルタ孔径のフィルタを通過した着目元素の重量、
CRm:電解量mのときに所定のフィルタ孔径のフィルタに捕集された析出物等から求めた着目元素の含有率(試料の全組成を基準(=1)とする)、
CFm:電解量mのときに所定のフィルタ孔径のフィルタを通過したろ液中の析出物等から求めた着目元素の含有率(試料の全組成を基準(=1)とする)、
CR:試料中の所定のフィルタのフィルタ孔径から定義される大きさ以上の大きさの析出物等に含まれる着目元素の含有率(試料の全組成を基準(=1)とする)、
CF:試料中の所定のフィルタのフィルタ孔径から定義される大きさ未満の大きさの析出物等に含まれる着目元素の含有率(試料の全組成を基準(=1)とする)、
である。ここで、フィルタ孔径から定義される大きさとは、公称のフィルタ孔径のことではなく、実際にフィルタ孔径で捕集される析出物等の最小の大きさのことを意味する。
しかしながら、実際には電解量を0にすることはできないので、電解量mを変化させて、析出物等中の着目元素の含有率を定量し、電解量mと所定のフィルタ孔径のフィルタに捕集された析出物等またはフィルタを通過した析出物等に含まれる着目元素の含有率との関係を求め、電解量を0に外挿して含有率を求めれば、析出物等に含まれる着目元素の含有率を定量できることになる。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、金属試料を電解液中で電解する電解ステップと、前記電解液から取り出した金属試料の残部を分散性を有する溶液に浸漬する浸漬ステップと、前記分散性を有する溶液に分離された析出物等をフィルタにより1回以上ろ過する分別ステップと、前記フィルタに捕集された析出物等に含まれる着目元素の含有率を定量する定量ステップとを備え、前記電解ステップにおいて前記金属試料の電解量を変えて、前記電解ステップから前記定量ステップまでを繰り返し、電解量と定量された着目元素の含有率との関係を求め、前記電解量を0に外挿したときの含有率を前記フィルタのフィルタ孔径から定義される大きさ以上の大きさを有する析出物等に含まれる着目元素の含有率とすることを特徴とする金属材料中の析出物等の定量方法を提供する。
本発明は、また、金属試料を電解液中で電解する電解ステップと、前記電解液から取り出した金属試料の残部を分散性を有する溶液に浸漬する浸漬ステップと、前記分散性を有する溶液に分離された析出物等をフィルタにより1回以上ろ過する分別ステップと、前記フィルタを通過した析出物等に含まれる着目元素の含有率を定量する定量ステップとを備え、前記電解ステップにおいて前記金属試料の電解量を変えて、前記電解ステップから前記定量ステップまでを繰り返し、電解量と定量された着目元素の含有率との関係を求め、電解量を0に外挿したときの含有率を前記フィルタのフィルタ孔径から定義される大きさ未満の大きさを有する析出物等に含まれる着目元素の含有率とすることを特徴とする金属材料中の析出物等の定量方法を提供する。
本発明の定量方法では、分別ステップにおいて、直孔を有し、かつ空隙率が4%以上のフィルタを用いることが好ましい。ここで、直孔とは、一定の開口形状でフィルタ面を貫通しているフィルタ孔のことをいう。また、定量ステップにおいて、金属試料の残部に付着した析出物等を定量することが好ましい。さらに、浸漬ステップにおいて、分散性を有する溶液は、定量対象の析出物等に対するゼータ電位の絶対値が30mV以上であることが好ましい。
本発明によれば、金属材料中に存在する微細な析出物等(特に、大きさ1μm以下、より望ましくは大きさ200nm以下)を損失並びに凝集させることなく分離できるので、析出物等を大きさ別に定量できる。本発明の定量方法で得られた結果は、金属材料の諸性質に関する新たな知見となり、不良品発生の原因解明や新材料の開発等に有益な示唆を与えることになる。
本発明の定量方法の特徴は、電解後の析出物等が付着した金属試料の残部を、分散性を有する溶液に浸漬し、試料に付着した析出物等を凝集させずに分離することと、分散性を有する溶液中に分離された析出物等を、フィルタにより分別し、定量することにある。そこで、鋼材試料を例にとって、析出物等を分離するための分散性を有する溶液を最適化する手順と、分離された析出物等をフィルタにより分別し、定量する手順について、以下に詳述する。
1) 分散性を有する溶液の最適化手順
図2に、分散性を有する溶液を最適化する場合の操作フローを示す。分散性を有する溶液の最適化は、図2に示すステップ(1)〜(6)にしたがって行われ、各ステップでは、次のようなことが具体的に行われる。
ステップ(1):鋼材を適当な大きさに加工して、電解用の試料とする。
ステップ(2):電解液とは異なりかつ分散性を有する溶液を、析出物等の分離用として電解液とは別に準備する。ここで、電解用試料の表面に付着した析出物等を分散性溶液中に分散させるには、電解液の半分以下の液量で充分である。なお、分散性を有する溶液の分散剤については、後述する。
ステップ(3):試料を所定量だけ電解する。ここで、所定量とは、適宜設定されるものであり、後述するゼータ電位の測定や元素分析を行える程度の量のことである。また、電解は、図3に示すような電解装置7により行える。この電解装置7は、試料1の固定用治具2、電極3、電解液6、電解液6を入れる為のビーカー4、および電流を供給する定電流電源5を備えている。固定用治具2は定電流電源5の陽極に、電極3は定電流電源5の陰極に接続される。試料1は、固定用治具2に接続され、電解液6中に浸漬される。電極3は、電解液6に浸漬されると共に、電解液6中に浸漬された試料1の表面を覆うように配置される。普通鋼材の試料には、固定用治具2として、永久磁石を用いるのが最も簡便である。ただし、永久磁石は電解液6に接触して溶解するおそれがあるので、電解液6と接触しやすい箇所、図3の2a部に白金板を使用する。電極3も同様に、電解液6による溶解を防ぐために、白金板を用いる。試料1の電解は、定電流電源5より電極3へ電荷を供給することで行う。試料の電解量はクーロン量に比例するので、電流が一定であれば電解時間で決まる。
ステップ(4):電解されずに残った試料を電解液から取り外し、ステップ(2)で準備した分散性を有する溶液中に浸漬して、試料に付着している析出物等を分散性を有する溶液中に分離する。このとき、試料に付着している析出物等を、より効率よく剥離して分散性を有する溶液中に分離するために、試料を分散性を有する溶液中に浸漬したままで超音波を付与することが好ましい。そして、試料を分散性を有する溶液から取り出すが、取り出しの際には、分散性を有する溶液と同一の溶液で試料を洗浄することが好ましい。
ステップ(5):ステップ(4)後の析出物等が分離された分散性を有する溶液のゼータ電位を計測する。
ステップ(6):ステップ(5)で計測したゼータ電位の絶対値が30mVに満たない場合には、分散剤の種類や濃度を変えてステップ(2)から(6)までを繰り返す。一方、ゼータ電位の絶対値が30mV以上に達した場合に、分散性を有する溶液が最適化されたとする。
なお、図2においては、ゼータ電位を測定し、ゼータ電位が30mV以上に達した場合に、その時の分散剤と濃度を、対象析出物等に対する分散性溶液の最適条件と決定したが、本発明の分析方法においては、析出物等が分散性を有する溶液中で凝集することなく十分に分散していれば問題ないので、分散性を有する溶液の最適化の指標としては、ゼータ電位に限定されるものではない。また、分散性を有する溶液とゼータ電位に関して、詳細は後述する。
2) 分離された析出物等の分級、定量手順
図4に、分散性を有する溶液に分離された析出物等を大きさ別に分別し、定量する操作フローを示す。析出物等の分別、定量は、図4に示すステップ(7)〜(10)にしたがって行われ、各ステップでは、次のようなことが具体的に行われる。
ステップ(7):図2の操作で最適化された分散性を有する溶液を用い、図2と同様なステップ(1)〜(4)により析出物等を分散性を有する溶液に分離する。なお、ステップ(3)においては、試料の電解量が予め決定した電解量Wnになるように、クーロン量を設定する。
ステップ(8):析出物等を含む分散性を有する溶液を、所定のフィルタ孔径Dのフィルタを用いてろ過し、フィルタに捕集された析出物等とフィルタを通過した析出物等をそれぞれ酸溶解した後、着目元素の定量を行い、フィルタに捕集された析出物等とフィルタを通過した析出物等に含まれる着目元素の含有率、それぞれCRnとCFnを求める。
ステップ(9):ステップ(7)と(8)の操作を、電解量Wnとは異なる電解量Wn+1で繰り返し、CRn+1とCFn+1を求める。なお、変化させる電解量は、少なくとも2水準、好ましくは4水準である。
ステップ(10):以上の操作で得られたWnとCRnあるいはCFnとの関係を回帰計算により数式化し、電解量Wnが0のときの、すなわち電解量Wnを0に外挿したときのCRあるいはCFを求め、それぞれフィルタ孔径から定義される大きさD以上の大きさの析出物等に含まれる着目元素の含有率、フィルタ孔径から定義される大きさD未満の大きさの析出物等に含まれる着目元素の含有率とする。なお、回帰計算には、一次回帰計算で十分であるが、高次回帰計算を適用することもできる。
以上のべた本発明の定量方法は、様々な金属材料中の析出物等の定量に適用することができ、特に、大きさ1μm以下の析出物等を多く含んだ鋼材に対して好適であり、大きさ200nm以下の析出物等を多く含んだ鋼材に対してはより好適である。
3) 分散性を有する溶液について
上記ステップ(2)における分散性を有する溶液について補足する。用いる分散性を有する溶液としては、現状では大きさが1μm以下の微細な析出物等を凝集させずに分離できるものがない。そこで、大きさが1μm以上の粒子等に使用されている分散剤の水溶液を検討したところ、分散剤の種類と濃度と、析出物等の組成、大きさおよび溶液中の析出物等の密度との間に明確な相関は得られなかった。例えば、分散剤としては、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、正リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどが好適であるが、分散剤が適切な濃度を超えると析出物等が凝集するという知見が得られた。以上より、分散性を有する溶液を最適化するにあたっては、析出物等の性状や密度あるいはその後の定量方法に応じて分散剤の種類や濃度を適宜最適化することとする。
分散性を有する溶液の最適化の指標として、ゼータ電位を用いた理由は、上記のような分散剤を含有した水溶液を用いる場合は、析出物等の表面電荷と分散性には密接な相関があり、ゼータ電位計などを利用して析出物等表面の電荷状態を把握すると、最適な分散性溶液の条件(分散剤の種類や適切な添加濃度等)を確定することができることがわかった。つまり、析出物等が小さくなるほど、液中での凝集が起こりやすくなるため、適切な分散剤を適切な濃度で添加することで、析出物等表面に電荷が付与され互いに反発して凝集が防止されると考えられる。この結果より、分散性溶液の種類・濃度の決定に際して、ゼータ電位の値を指標として用いることは、簡便な方法でありながら、確実に最適な分散性溶液の条件(分散剤の種類や適切な添加濃度等)を確定することができるという点から望ましいと思われる。そして、開発者らは検討を重ねた結果、ゼータ電位の場合は、析出物等を分散させる観点からはその絶対値が大きければ大きいほど好ましいことがわかった。さらに析出物等の定量においては、概ね絶対値で30mV程度以上の値が得られれば、凝集が防止でき、析出物等の大きさ別の定量が行えることがわかった。
以上より、析出物等の分離用の分散性溶液の種類や濃度を決定するに際しては、ゼータ電位の値を指標として用いることが好ましく、分散性を有する溶液は、定量対象である析出物等に対するゼータ電位の絶対値が30mV以上であることが好ましい。
4) フィルタについて
上記ステップ(8)におけるフィルタについて補足する。本発明の主眼とする析出物等の大きさ別分別には、フィルタ孔径から定義される大きさ以上の析出物等とフィルタ孔径から定義される大きさ未満の析出物等を確実に分別できることが必要である。そのためには、フィルタの空隙率が4%以上であり、かつフィルタ孔には直孔を有することが好ましい。これは、空隙率が4%未満だと、粗大粒子や凝集粒子による孔の閉塞が起こりやすくなり、フィルタ孔が直孔でないと、析出物等の大きさ別の分離分解能が低下しやすくなるためである。なお、空隙率の算出方法としては、一例として次式(3)のようなものがある。
空隙率=(フィルタ体積-フィルタ重量/比重)/フィルタ体積×100(%)・・・(3)
図2に示すステップ(1)から(6)の手順に従って、析出物等中のチタン含有率とゼータ電位の関係を調べた。各操作の具体的な条件は、以下に示す通りであるが、本発明は下記の具体的な条件に制限されるものではない。
質量%で、C:0.09%、Si:0.12%、Mn:1.00%、P:0.010%、S:0.003%、Ti:0.18%、N:0.0039%を含有するチタンを添加した炭素鋼を、図3に示す電解装置を用い、約300mlの10%AA系電解液(10vol%アセチルアセトン-1質量%塩化テトラメチルアンモニウム-メタノール)中で電解した。そして、電解後に残った炭素鋼を、分散性を有する溶液である0〜2000mg/lの範囲に濃度を7水準変化させたヘキサメタリン酸ナトリウム(以下、SHMPと呼ぶ。)水溶液に浸漬し、析出物等を分離し、各濃度でのゼータ電位をゼータ電位計で測定した。その結果、図5に示すように、SHMPの濃度増加に従ってゼータ電位の絶対値が増加していることがわかる。なお、分散性を有する溶液としてピロリン酸ナトリウム水溶液を用いても、図5と同様の傾向が得られた。このように、分散剤の種類や濃度により、ゼータ電位を制御できることがわかる。
次に、直孔からなり、電子顕微鏡観察から求めた空隙率が47%で、フィルタ孔径が100nmのフィルタを用い、後述する図4のステップ(7)〜(9)の操作を行い、フィルタ孔径から定義される大きさの析出物等中のチタン含有率(鋼全体に対する割合)を求めた。その結果、図6に示すように、ゼータ電位の絶対値が30mV未満の場合は、ゼータ電位の絶対値が小さいほど、析出物等の凝集が進み、見掛け上析出物等中のチタン含有率が高くなり、ゼータ電位の絶対値が30mV以上になると、析出物等中のチタン含有率は一定となり、析出物等の分散性が良好であることがわかる。
なお、本発明の定量方法においては、析出物等が分散性を有する溶液中で凝集することなく十分に分散していれば問題ないので、分散性を有する溶液の最適化の指標としては、ゼータ電位に限定されるものではない。
表1に示す組成のチタンを含む炭素鋼塊を2つに分け、試料Pと試料Qとし、試料Pには、1200℃×60分間加熱後水冷する処理を施し、試料Qには、1200℃×60分間加熱後、仕上温度930℃で熱間圧延し、630℃×60分間加熱する処理を施した。処理後両試料を電子顕微鏡観察したところ、表2に示すような窒化チタンと炭化チタンの析出物等が確認された。両試料で観察される大きさが1μm以上の大きな窒化チタンや炭化チタンは鋼の凝固過程で生成し、1200℃の高温下においても溶解することがないため、その量もほぼ同等とみなすことができる。一方、試料Qのみに観察される大きさが10nm前後の微細な炭化チタンは、1200℃×60分間加熱後水冷した試料Pには観察されないことから、熱間圧延時あるいはその後の630℃×60分間加熱時に生成したものとみなすことができる。
Figure 2010127789
Figure 2010127789
(発明例)
このような析出物等が生成している試料Pと試料Qを、図3に示す電解装置を用いて、約300mlの10%AA系電解液中で約0.1gの電解量となるように電流密度20mA/cm2で定電流電解した。電解後の試料を分散性を有する0.05質量%のSHMP水溶液50ml中に浸漬し、超音波振動を与えて試料表面に付着した析出物をSHMP水溶液中に分離した。このとき、析出物等が分離されたSHMP水溶液のゼータ電位を測定したところ、約-32mVであった。析出物等が分離されたSHMP水溶液を、フィルタ孔径が100nmで、直孔を有し、空隙率が4%のフィルタAと空隙率が47%のフィルタBを用いて、ろ過した後、フィルタに捕集された析出物等とろ液を乾固して得たフィルタを通過した析出物等を硝酸、過塩素酸並びに硫酸の混合溶液で加熱溶解した後、ICP発光分析法により、それぞれの析出物等中のチタン絶対量を定量した。このチタン絶対量を電解量で除して、フィルタに捕集された析出物等中とフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率を求めた。
同様な操作を、試料の電解量を0.2g、0.3g、0.5gと変化させて行い、電解量とフィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率との関係および電解量とフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率との関係を求めた。
得られたそれぞれの析出物等に対する電解量と析出物等中のチタン含有率の関係を直線近似して、電解量が0gのときのチタン含有率を求め、フィルタに捕集されたフィルタ孔径から定義される大きさ以上の析出物等中のチタン含有率およびフィルタを通過したフィルタ孔径から定義される大きさ未満の析出物等中のチタン含有率とした。なお、ここでのチタン含有率は質量ppmで示され、試料のFeを含む全組成を100質量%とした場合の値である。
(比較例)
電解後の試料を、SHMP水溶液中の代わりに分散性の低い純水を用いたこととフィルタAのみを用いたこと以外は、発明例と同様な操作を行い、フィルタに捕集されたフィルタ孔径から定義される大きさ以上の析出物等中のチタン含有率およびフィルタを通過したフィルタ孔径から定義される大きさ未満の析出物等中のチタン含有率を求めた。なお、析出物等が分離された純水のゼータ電位を測定したところ、約-0.1mVであった。また、ここでのチタン含有率は質量ppmで示され、試料のFeを含む全組成を100質量%とした場合の値である。
図7および図8に、大きさが1μm以上の析出物等のみを有する試料Pにおける、電解量とフィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率との関係および電解量とフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率との関係を示す。これらの図の結果より、フィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率およびフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率は、いずれも、フィルタの空隙率の異なる発明例や比較例の間で差がなく、また、電解量を変えても一定であることがわかる。したがって、これらの析出物等中のチタン含有率は大きさ別に定量されているとみなすことができる。なお、フィルタ孔径が100nmなので、大きさが1μm以上の析出物等のみを有する試料Pでは、フィルタを通過した析出物等中のチタン含有率は0質量ppmであるはずだが、図8の結果によりそれが裏付けられている。
図9および図10に、大きさが1μm以上の析出物等と大きさが10nm前後の析出物等を有する試料Qにおける、電解量とフィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率との関係および電解量とフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率との関係を示す。図9の結果から、フィルタの空隙率の異なる発明例では、電解量が0gのときのフィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率は、空隙率による差がなく、図7に示す試料Pの析出物等中のチタン含有率ともほぼ一致していることがわかる。これは、上述した大きさが1μm以上の析出物等は鋼の凝固過程で生成するという推論を裏付けているとともに、本発明法により析出物等中のチタン含有率を析出物等の大きさ別に定量できることを示している。また、図10の結果からも、フィルタの空隙率の異なる発明例では、電解量が0gのときのフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率は、空隙率による差がなく、ほぼ一致しており、本発明法により析出物等中のチタン含有率を析出物等の大きさ別に定量できることがわかる。
以上のことから、本発明法では、フィルタ孔径を適当に選択すれば、任意の大きさ別に析出物等の定量を行えると結論できる。特に、空隙率の低いフィルタAを用いた発明例のように、電解量によってチタン含有率が変化しており、フィルタ孔の閉塞によりケーク層が形成されていることが示唆されるような場合であっても、析出物等の大きさ別の定量が可能であることにその特徴がある。
一方、比較例では、図9に示すように、フィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率は、発明例に比べ、著しく高い値を示し、また、図10に示すように、フィルタを通過した析出物等中のチタン含有率はほぼ0である。これは、電解後の試料を分散性の低い純水に浸漬したので、析出物等が凝集して粗大化し、10nm前後の微細な析出物等もフィルタに捕集されたことによる。したがって、比較例では、析出物等の大きさ別の定量を行うことはできない。
非特許文献1に記載の電解法の操作フローを示す図である。 本発明である分散性を有する溶液を最適化する操作フローの一例を示す図である。 本発明である析出物等の定量方法で用いる電解装置の一例を模式的に示す図である。 本発明である析出物等の定量方法の操作フローの一例を示す図である。 ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液濃度とゼータ電位の絶対値との関係を示す図である。 ゼータ電位の絶対値と析出物等中のチタン含有率との関係を示す図である。 試料Pにおける電解量とフィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率との関係を示す図である。 試料Pにおける電解量とフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率との関係を示す図である。 試料Qにおける電解量とフィルタに捕集された析出物等中のチタン含有率との関係を示す図である。 試料Qにおける電解量とフィルタを通過した析出物等中のチタン含有率との関係を示す図である。
符号の説明
1 試料
2、2a 固定用治具
3 電極
4 ビーカー
5 定電流電源
6 電解液
7 電解装置

Claims (5)

  1. 金属試料を、電解液中で電解する電解ステップと、
    前記電解液から取り出した金属試料の残部を、分散性を有する溶液に浸漬する浸漬ステップと、
    前記分散性を有する溶液に分離された析出物および/または介在物(以下、析出物等という)を、フィルタにより1回以上ろ過する分別ステップと、
    前記フィルタに捕集された析出物等に含まれる着目元素の含有率を定量する定量ステップと、を備え、
    前記電解ステップにおいて前記金属試料の電解量を変えて、前記電解ステップから前記定量ステップまでを繰り返し、電解量と定量された着目元素の含有率との関係を求め、前記電解量を0に外挿したときの含有率を、前記フィルタのフィルタ孔径から定義される大きさ以上の大きさを有する析出物等に含まれる着目元素の含有率とすることを特徴とする金属材料中の析出物等の定量方法;
    ここで、フィルタ孔径から定義される大きさとは、公称のフィルタ孔径のことではなく、実際にフィルタ孔径で捕集される析出物等の最小の大きさのことを意味する。
  2. 金属試料を、電解液中で電解する電解ステップと、
    前記電解液から取り出した金属試料の残部を、分散性を有する溶液に浸漬する浸漬ステップと、
    前記分散性を有する溶液に分離された析出物および/または介在物(以下、析出物等という)を、フィルタにより1回以上ろ過する分別ステップと、
    前記フィルタを通過した析出物等に含まれる着目元素の含有率を定量する定量ステップと、を備え、
    前記電解ステップにおいて前記金属試料の電解量を変えて、前記電解ステップから前記定量ステップまでを繰り返し、電解量と定量された着目元素の含有率との関係を求め、電解量を0に外挿したときの含有率を、前記フィルタのフィルタ孔径から定義される大きさ未満の大きさを有する析出物等に含まれる着目元素の含有率とすることを特徴とする金属材料中の析出物等の定量方法;
    ここで、フィルタ孔径から定義される大きさとは、公称のフィルタ孔径のことではなく、実際にフィルタ孔径で捕集される析出物等の最小の大きさのことを意味する。
  3. 分別ステップにおいて、直孔を有し、かつ空隙率が4%以上のフィルタを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の金属材料中の析出物等の定量方法;ここで、直孔とは、一定の開口形状でフィルタ面を貫通しているフィルタ孔のことをいう。
  4. 定量ステップにおいて、金属試料の残部に付着した析出物等を定量することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の金属材料中の析出物等の定量方法。
  5. 浸漬ステップにおいて、分散性を有する溶液は、定量対象の析出物等に対するゼータ電位の絶対値が30mV以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の金属材料中の析出物等の定量方法。
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