JP4972784B2 - 鋼中微粒子の分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微粒子(介在物、析出物等を含む)の分析方法であり、特に、微細な粒子の粒径分布を、正確かつ迅速に測定するための前処理方法に関する。
鉄鋼の製造プロセスにおいて生成する析出物もしくは介在物は、鋼の特性に影響を与える事が知られており、古くから様々な研究が行なわれてきた。近年では、特に、時効析出などを利用して鋼中に微粒子(特に平均粒径が1μm以下の析出物もしくは介在物)を分散させる方法により金属材料を強化する手法が知られてきたため、これを利用した新たな鋼の開発が盛んに行なわれている。材料の強化機構としては、微粒子が結晶粒の成長を効果的に抑制する現象(ピン止め効果)が支配的であり、この微粒子の粒径や密度、粒子間距離を調査することが高機能鋼板を開発する上で重要である。
鋼中の微粒子を分析する、代表性と迅速性に優れた手法としては、鉄を溶解して鋼中の微粒子を捕集した後に、当該微粒子の特性を分析する手法がある。例えば、非特許文献1には、介在物粒径分布の測定例として、試料を酸(例えば、硝酸と硫酸の混酸)で分解し、残渣をレーザ回折式粒径分布計で測定する方法が開示されている。また、特許文献1には、鋼中の介在物を、溶解性溶液(例えば、硫酸第一鉄アンモニウム水溶液)に浸して電解を行なうことで、当該溶解性溶液中に介在物を抽出し捕集する方法が開示されている。
特開昭54−110896号公報 千野淳、石橋耀一、郡司直樹、岩田英夫著、「極低炭素鋼中の微細介在物の粒度分布測定法」材料とプロセス、4巻、1991、p.387
しかしながら非特許文献1に示される方法では、炭素含有率が高い鉄鋼試料については、残渣中にセメンタイトの分解生成物を多く含むため、対象粒子のみの粒径分布測定は困難である。
一方、特許文献1に示される方法では、基本的に溶解性溶液中に微粒子は抽出および捕集されるため、粒子の種類や粒径によっては液中で凝集が起こる。特許文献1が対象としている平均粒径50μmから1000μmの介在物の場合は、特に問題とならないが、本発明において対象としている平均粒径1μm以下の微粒子の場合は、溶解性溶液中で容易に凝集してしまう場合がほとんどであり、実用に適さない。また、特許文献1においては、ふるいの孔径で粒径を大きさ別に分別(分級)しているが、nmオーダーの孔径のふるいは存在しないため、この点でも、同技術を鋼中微粒子へ転用するのは困難である。
本発明は、上記の問題を解決し、鋼中に存在する微粒子(主として平均粒径1μm以下)を凝集させること無く抽出し、抽出後の分析、特に粒径分布を精度良く分析する方法を提供する。
溶解性溶液を用いて鋼を溶解することにより鋼中微粒子を抽出する手法は、当該鋼中微粒子を鋼より取り出すのに非常に優れた方法である。そこで、本発明者らは、まず、この手法を発明を完成させるためのベースとした。そして、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、上記手法を用いる際に、問題となっている抽出した溶液中での微粒子の凝集に対しては、溶解性溶液とは別に微粒子を抽出するための溶液を用いること、さらには当該抽出用の溶液として、微粒子に対し分散性を有する溶液(以下、分散性溶液と称することもある)を選択することで解決され、効果的であることを見出した。すなわち、本発明は、上記抽出用の溶液使用を本発明の主たる要件とし、一連の操作を検討し規定することで完成するに至ったものである。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]鋼試料を電解する電解操作と、該電解後の鋼試料の残部を、前記電解に用いた電解液とは異なりかつ分散性を有する溶液に浸漬し、前記鋼試料中の微粒子を抽出する抽出操作と、該抽出操作後の前記溶液中に抽出された微粒子を動的光散乱法にて分析する分析操作とを有することを特徴とする鋼中微粒子の分析方法。
[2]前記[1]において、前記分散性を有する溶液が、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液であることを特徴とする鋼中微粒子の分析方法。
[3]前記[1]または[2]において、前記分析操作では、平均粒径が1μm以下の大きさの微粒子を分析することを特徴とする鋼中微粒子の分析方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記分析操作では、前記鋼試料に付着した微粒子のみを分析することを特徴とする鋼中微粒子の分析方法。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかにおいて、前記溶液中に抽出された微粒子をろ過し、分析対象となる小径側の微粒子を含んだろ液を得るろ過操作と、該ろ過操作にて得られた微粒子を含んだろ液を動的光散乱法にて分析する分析操作とを有することを特徴とする鋼中微粒子の分析方法。
本発明によれば、鋼中微粒子(特に、平均粒径1μm以下のもの)に対して分散性を有する溶液中に当該微粒子を抽出することから、抽出した溶液中での微粒子の凝集を防ぎ、微粒子を鋼中そのままの大きさで抽出することができる。また、溶解性溶液とは異なる抽出用の分散性溶液を任意に選択することができるので、微粒子に適した分散性溶液を用いることができる。これらにより、抽出後の分析、特に粒径分布を精度良く分析することが可能となり、得られた測定結果をもとに鋼材の諸性質に関する知見が得られ、不良品発生の原因解明や新材料の開発に有益な情報が得られる。
本発明は、様々な種類の鋼中微粒子(析出物や介在物を含む)の分析に適用することができ、特に、平均粒径が1μm以下の微粒子を多く含んだ鉄鋼材料に対して好適に適用することができる。
以下、本発明について、電解液(本発明の溶解性溶液に当たる)を用いた電解法により鋼中微粒子を抽出し、かつ当該鋼中微粒子の粒径分布を測定した場合を例に、詳細に説明する。操作の順番は、(1)から(7)の順とする。また、分析フローを図1に示す。
(1)初めに、鋼材を適当な大きさに加工して、電解用試料(鋼試料と称することもある)とする。
(2)一方、鋼中微粒子抽出用溶液として、電解に用いる電解液とは異なり分散性を有する溶液を、電解液とは別に準備する(準備操作100)。
ここで、電解用試料の表面に露出した微粒子を分散性溶液中に分散させるには、電解液の半分以下の液量で充分である。なお、分散性溶液の種類と濃度については、微粒子の組成や粒径、液中の粒子密度との間に明確な相関は得られていない。例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液は、多くの無機微粒子に対して分散性改善の効果が報告されており、分酸性溶液として好適である。また、その濃度は一般的には2000mg/l前後が目安とされている。過剰な添加は、かえって分散効果の妨げになる。すなわち、粒子の性状や密度に応じて分散液の種類や濃度を最適化する必要がある。特に分散溶液の溶媒が水の場合には、粒子の表面電荷と分散性には密接な相関があるため、ゼータ電位計などを利用して粒子表面の電荷状態を把握し、最適な分散溶液の条件を確定することが好ましい。
分散性溶液の種類としては、現状では、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液以外に、液中の微粒子間の斥力がメタノールの場合よりも強く働くことが期待できる純水についても、効果が確認できている(純水における効果は、図10に示した、分散性溶液として純水(本発明例)またはメタノール(比較例)を用いた場合の鋼中微粒子の粒径分布を参照のこと。なお、鋼中微粒子の抽出方法と粒径分布の測定方法は、図1に示した分析フローに準ずる。)。
(3)そして、上記(1)の電解用試料に対し、図2に模式的に示した装置構成にて、電解を行なう(電解操作101)。なお、電解用試料の洗浄具合や分析精度に応じて、表層の汚染を除去するための捨て電解を、電解操作101の直前に行なっても良い。
図2は、電解法にて用いられる電解装置の一例である。電解装置7は、電解用試料の固定用治具2、電極3、電解液6、電解液6を入れる為のビーカー4、および電流を供給する定電流電解装置5を備えている。固定用治具2は定電流電解装置の陽極に、電極3は直流定電流源の陰極に接続されている。電解用試料1は、固定用治具2に接続されて電解液6中に保持される。電極3は、電解液6に浸漬されると共に、電解用試料の表面(主として電解液6に浸漬している部分)を覆うように配置される。固定用治具2には、永久磁石を用いるのが、最も簡便である。但し、そのままでは電解液6に接触して溶解してしまうので、電解液6と接触しやすい箇所、図2の場合は電解用試料1との間にある2a、に白金板を使用しても良い。電極3も同様に、電解液6による溶解を防ぐために、白金板を用いる。
電解用試料1の電解は、定電流電解装置5より電極3へ電荷を供給することで行う。鋼の電解量はこの電荷量に比例するので、電流量を決めれば、電解量は時間で決定できる。
ここで、電解の際の電流密度は、10mA/cm2以下とするのが好ましく、より好ましくは2mA/cm2以下とする。通常、電解法における電流密度条件は、20mA/cm2以上とすることが多いが、この通常条件より小さい電流密度で電解を行なうことで、電解用試料表面の位置に対する電解の均一性が改善され、電解中の粒子の凝集を抑制するに対し、一層の効果がある。また、特に微細な微粒子が溶解する可能性も低くでき、より正確な微粒子の抽出が期待できる。
さらに、電解操作101における電解量は、電解用試料1の厚み換算で、事前に求めておいた電解用試料1の中の微粒子のおよその平均粒径の1倍以上、50倍以下とするのが、好ましい。より好ましくは、1倍以上、10倍以下とする。この電解量は、抽出した微粒子の粒径分布を測定するような場合に、特に好適である。何故なら、普通鋼の場合、通常、抽出したい微粒子周辺の鉄母相が溶解されても、微粒子のほとんどは電解液6の液中に直ちに落下するのでは無く、電解用試料1の表面に付着している。この為、さらに鋼の電解が進み、電解用試料1の表面に付着した微粒子が、次に出現した別の微粒子と接触すると、電解用試料1の表面で凝集してしまう可能性がある。上述した範囲の電解量とすることで、電解中の試料表面における凝集を回避できるものと考えられる。
また、電解量の目安となる、事前に求めておいた電解用試料1の中の微粒子のおよその平均粒径は、電解操作101の前に、電解用試料1と同じ試料を用いて、以下に説明する手順で求めることができる。この場合の分析フローの例を、図3に示す。前述した電解操作101の前に、鋼中微粒子のおよその平均粒径の事前分析ステップS3061と電解量の算出ステップS3062とからなる、およその平均粒径事前算出操作306を設ける。平均粒径の事前分析ステップS3061において、鋼中微粒子の平均粒径を事前に求める為の分析手法は、同一の鋼材から当該電解用試料1とは別に採取した試料に対し、微小領域を高倍率で観察と分析ができる方法を選択するのが望ましい。例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、電子線マイクロプローブ分析装置、オージェ分析装置、X線電子分光装置および2次イオン質量分光装置といった装置を用いて分析する方法が利用できる。
(4)電解用試料を所定量だけ電解したら、電解(溶解)されずに残った電解用試料片を電解装置から取り外し、分散性溶液中に浸漬して、鋼中微粒子を当該分散性溶液中に抽出する(抽出操作102)。抽出操作102は、洗浄ステップS1021、抽出ステップS1022および判定ステップS1023を備えている。
先ず、電解装置から取り外した電解用試料片を、メタノール中に静かに浸漬してから取り出す(洗浄ステップS1021)。
次に、取り出した電解用試料片を、今度は上記(2)の準備操作100で準備した分散性溶液中に浸漬する。
そして、当該分散性溶液中に浸漬したまま超音波を照射することで表面に付着している微粒子を剥離して、分散性溶液中に抽出する(抽出ステップS1022)。それから、分散性溶液中に抽出した微粒子の量が、測定可能な量に達したか否かを判定する(判定ステップS1023)。測定可能な量に達していない場合は、上記(3)の電解操作101に戻り、当該電解操作101から判定ステップS1023までを繰り返す。測定可能な量に達した場合は、次の操作へ進む。
洗浄ステップS1021は、電解時に生成する鉄錯体により着色した電解液が、分散性水溶液に混入しないようにするためのステップである。着色した電解液により分散性水溶液も着色されると、レーザ回折法や動的光散乱法など、光強度を利用した粒径分布測定装置を使用した場合、測定感度を損なうためである。よって、分析内容が、例えば鋼溶解後の電解液に含まれない成分の元素分析等であれば、特に設ける必要は無い(但し、電解液の構成元素を除く)。洗浄ステップS1021を設けるか否かは、分析内容、分析装置もしくは分散性溶液への混入量等を考慮の上、適宜決めれば良い。また、洗浄用の溶液は、電解液と良くなじんで少量で電解液を落とせるように、電解液の主成分で洗浄するのが好適である。
なお、本発明において対象としている微粒子については、上記抽出ステップS1022で示した操作にて、ほぼ全量を回収することが可能である。
判定ステップS1023における、分散性溶液中に抽出した微粒子の量が測定可能な量に達したか否かの判定は、電解用試料の電解量の総質量が、予め定めた量に達したか否かで代用する。即ち、電解された電解用試料の総質量が予め定めた量に達していなければ、電解操作101に戻り、達した場合は、電解操作101および抽出操作102を止めて次操作へ進む。この時、電解用試料の電解量の総質量は、分散性溶液中の微粒子濃度と粒径より定める。何故なら、微粒子の粒径分布を測定する際には、装置の測定感度の観点から溶液中の微粒子濃度が重要だからである。通常、電解操作101から判定ステップS1023までの操作は、1個の電解用試料に対して数回繰り返す。実際、電解用試料1の表面積が小さくなれば、分析操作105における分析手法上必要な微粒子濃度を得ることができる量まで電解するには、電解する厚み(以降、電解厚み、とも呼ぶ)を多くとる必要がある。この場合は、電解操作101で行う所定の電解厚みを、事前に求めておいた電解用試料1の中の微粒子のおよその平均粒径の1倍以上、50倍以下とし、かつ電解操作101から抽出操作102までを複数回繰り返すことで、電解した電解用試料の総質量が、測定可能な微粒子濃度となる量となるようにすれば、なお望ましい形態となる。
(5)次に、分散性溶液中に抽出した微粒子から、磁気分離方法によりセメンタイトを除去する(磁気分離操作103)。この操作は、炭素含有量の多い材料など、微粒子の分析を行なう上で、セメンタイト等の除去を必要とする場合に行う。
この操作を最も簡便に行なうには、微粒子を分散させた溶液中に磁石の棒などを入れて攪拌すれば良い。なお、セメンタイトが磁石棒に磁着する際に微粒子も巻き込んでしまう恐れがあるため、超音波などにより分散性溶液を振動させる等して、セメンタイトと分析対象の微粒子を分離させて分別操作を行なうことが好ましい。また、磁石を繰り返し使用する場合には、洗浄のし易さを鑑み、分散性溶液を入れた容器の外側から磁石を近づけたままデカンテーションさせたり、装脱着が可能なガラス管を磁石棒の周囲に配置した状態で攪拌操作を行なう等の方法が考えられる。
(6)分散性溶液中に分散したままの微粒子に対し、超音波を利用して粒径別に分別する分級操作を行なう(分級操作104)。分散性溶液中に、分析対象外粒子と分析対象微粒子が混在する場合には、この分級操作104により分析対象微粒子のみを分離する必要がある。この操作は、分析対象外粒子と分析対象微粒子とで粒径が異なり、分析対象粒子が分析対象外粒子よりも小さい場合に利用できる。
分級操作104に用いる器具は、汎用的に用いられている物で構わないが、ろ紙はろ過する分散性溶液の特性に応じて選定する必要がある。分散性溶液の粘度や液中の微粒子濃度が高い場合は、ろ過に時間を要することがあるので、必要に応じて吸引ろ過も行なえる方式とすることが、好ましい。
また、分散性溶液中での凝集を防ぐために、分散性溶液に超音波による振動を加えることで、微粒子の凝集を抑制しながら分級すれば、さらに好ましい。分散性溶液への振動の加え方も様々であるが、超音波発振子を粒子の分散溶液中に直接浸漬させる方法が効率的である。この操作の後に使用する粒径分布測定装置やその原理にもよるが、微粒子の粒径測定は、大きな粒子の影響を受けやすい。特に、粒子の散乱強度を指標とした測定装置の場合には、分析対象外の大径粒子(具体的には平均粒径1μm超の析出物もしくは介在物)の影響が大きいため、これらを除去することが重要である。
ここで、上記(5)の磁気分離操作103と上記(6)の分級操作104は、どちらの操作が先であっても構わない。しかし、鋼中微粒子を分級する場合には、通常、孔径が小径のフィルタを利用する事から、(5)磁気分離操作103を先に行なう方が良い。(6)分級操作104を先に行なうと、セメンタイトによるフィルタの目詰まりの影響が大きいために、ろ過に長時間を要することがある。
また、上記(5)の磁気分離操作103と上記(6)の分級操作104は、例えば、測定対象以外の妨害成分を含まない場合等、必要が無い場合は、省略しても良い。
また、特に小径側の粒径分布を、動的光散乱法にて正確に測定したい場合には、上記(5)磁気分離操作103または上記(6)分級操作104の後に、大径側粒子除去操作407を追加するのが望ましい。何故なら、動的光散乱法においては、粒径の6乗に比例して散乱強度が強くなる為に、粒径の大きい微粒子の個数が、見かけ上多くなる傾向にあるからである。
大径側粒子除去操作407において、分析対象となる小径側の粒子と、分析対象外としたい大径側の粒子とを分離する手法としては、ろ過法または遠心分離法を用いることができる。即ち、上記大径側粒子除去操作407は、ろ過法を行うろ過ステップS4071、または遠心分離法を行う遠心分離ステップS4072からなる。図3の分析フローにおける分級操作104の後に、大径側粒子除去操作407を追加した場合の分析フローの一例を図4に示す。
図4において、小径側粒径と大径側粒径が、大きく異なる場合には、ろ過法を適用したろ過ステップS4071へ進む。一方、分析対象の微粒子の密度が、ほぼ一様であることが期待できる場合には、遠心分離ステップS4702へ進むことを選択するのが望ましい。遠心分離法の場合、ろ過法と比較して、回転させる速度と時間の細かい制御により分離条件を任意で設定することが可能となる。また、分散液の量が少ない場合も遠心分離法が有効である。ろ過法は、フィルタを利用する方法が最も簡便であるため、好ましい方法である。
(7)以上の手順で得られた、分級操作104後(場合によっては、大径側粒子除去操作407後)の微粒子を含んだ分散性溶液を、粒径分布測定装置にかける(分析操作105)。例えば、動的光散乱法により分析することができる。
上記(1)から(7)の手順で行えば、電解後の鋼表面に露出した微粒子を、直ちに分散性の良い適当な溶媒中に抽出し捕集できることから、凝集し易い微粒子の分散性を確保することが可能となる。この操作により、以降の磁気分離操作103や分級操作104が的確になされ、精度の高い粒径分布測定結果が得られる。もし、分散性溶液中で抽出された微粒子の分散性が悪いと、例えば、磁気分離する際に分析対象とする微粒子がセメンタイトに巻き込まれたり、もしくは凝集が起こって分級操作104が目的通りになされないという問題が発生する。
また、溶解性溶液とは異なる抽出用の分散性溶液を任意に選択することができるので、微粒子に適した分散性溶液を用いることができる。これらにより、抽出後の分析、特に粒径分布、を精度良く分析することが可能となる。また、簡便かつ極めて短時間で統計的に信頼性のある分析結果を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、電解液を用いた電解法にて鋼を溶解したが、本発明はこれに限定するものでは無い。他に、溶解性の低い微粒子の場合には、酸性の水溶液を溶解性溶液とした酸溶解法という方法も使用できる。この場合、電解操作101に代えて、電解操作101での電解法を酸溶解法等に代えた溶解操作となる。分析対象の微粒子や、溶解すべきの鋼の種類や溶解量により、適切な溶解手法を適宜決定すれば良い。
実施の形態の(1)から(7)の手順と図1の分析フローに従って粒径分布測定を行なった例を、実施例1の本発明例として説明する。各操作の具体的な条件は、以下に示す通りであるが、本発明は下記の具体的な条件に制限されるものではない。
鋼として炭素鋼を使用し、その化学成分は、C:0.10mass%、Si:0.2mass%、Mn:1.0mass%、P:0.024mass%、S:0.009mass%、Cr:0.03mass%、Ti:0.05mass%である。この鋼を20mm×50mm×1mmの大きさに加工したものを、電解用試料として4枚用意した。
電解操作101は、図2と同じ装置構成にて行い、電解液として、500mlの10%AA系電解液(10vol%アセチルアセトン-1mass%塩化テトラメチルアンモニウム-メタノール)を使用した。また、電解用試料1枚につき、0.1gずつの電解を行なった。さらに、全ての電解用試料について、表層の汚染を除去するための捨て電解を、最初に1度だけ電解操作101の直前に行なった。
抽出操作102に用いる分散性溶液としては、濃度500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、これを50mlだけ電解装置とは別のビーカーに準備した。
なお、最適なヘキサメタリン酸ナトリウム濃度については、ゼータ電位計を用いて決定した。ヘキサメタリン酸ナトリウム濃度と、ゼータ電位もしくは測定された平均粒径との関係の例を、図11に示す。なお、この平均粒径は、本実施例の試料と同一組織の別試料にて求めた。この図11より、分散性溶液のゼータ電位の絶対値が大きくなると、平均粒径が小さくなり凝集を防ぐ傾向にあることが分かる。またこの結果から、本実施例において最適なヘキサメタリン酸ナトリウム濃度は、500mg/lであると判断した。
このヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液は、無機微粒子に対して広く分散性を有する。ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液の濃度は、100mg/l以上、10000mg/l以下であることが好ましい。何故なら、濃度が低すぎると分散効果が不足し、濃度が高すぎると逆に凝集の効果が発現するためである。
また、抽出操作102中も、分散性溶液には超音波による振動を加えた。
そして、電解操作101から抽出操作102までを、電解用試料1枚に付き10回繰り返した後、磁気分離操作103へ進んだ。ここで、統計的に信頼性のあるデータを採取するために、電解用試料1枚に付き電解操作101から抽出操作102までを10回繰り返して得られた微粒子全てを、同じ分散性溶液に抽出した。
磁気分離操作103は、分散性溶液中に磁石棒を入れて攪拌することで行なった。また、磁気分離操作中も、分散性溶液には超音波による振動を加えた。
分析対象外粒子の除去手段としての分級操作104は、セメンタイト除去後の微粒子を含んだ分散性溶液を0.4μmのフィルタを用い超音波を利用して分級することで行なった。チップを液中に浸漬させて加振するタイプの超音波発生装置を用い、濃度が500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液20ml程度をフィルタの上に注ぎ、発振子を浸して超音波を発生させた状態としてから、微粒子を含んだ分散性溶液を加えた。
その後、動的光散乱方式の粒径分布測定装置にて、分散性溶液中の微粒子の粒径分布を測定した。得られた結果を図5に示す。
比較例として、電解操作101の後に、洗浄ステップS1021を行なわず、かつ抽出ステップS1022において、微粒子に対して分散性を有さないメタノール中に鋼中微粒子を抽出した場合の、メタノール溶液も得ておいた。これ以外の、電解操作101、ステップS1022からS1023まで、および磁気分離操作103から分析操作105までは、実施例と全く同様である。得られた粒径分布の結果を、同じく図5に示す。
図5において、比較例に比べ、本発明例の方が、全体に平均粒径が小さい側に分布している。これは、比較例においては、凝集して見かけの粒径が大きくなってしまったため、同じ鋼で相対的に平均粒径が大きい側へ分布していると考えられる。よって、この結果から、本発明によれば、微細な粒子を抽出する際に生じやすい凝集を、大幅に抑制できることが明らかになった。
電解法における電解厚み(事前に求めた微粒子の平均粒径に対する倍率で示す)と、抽出された微粒子の平均粒径との関係を調査した結果を実施例2とした。実施の形態の(1)から(7)の手順と図3の分析フローに従って粒径分布測定を行ない、その結果から平均粒径を算出した。各操作の具体的な条件は、以下に示す通りであるが、本発明は下記の具体的な条件に制限されるものではない。
鋼として炭素鋼を使用し、その化学成分は、C:0.10mass%、Si:0.2mass%、Mn:1.0mass%、P:0.024mass%、S:0.009mass%、Cr:0.03mass%、Ti:0.05mass%である。この鋼を20mm×50mm×1mmの大きさに加工したものを、電解用試料として4枚用意した。一方、同一鋼から別に採取したものを、事前分析用試料として1枚用意した。
平均粒径事前算出操作306における平均粒径の事前分析ステップS3061は、走査型電子顕微鏡を用いて行った。事前分析用試料を軽くエッチングした後、その表面を走査型電子顕微鏡にて3×104倍で10視野撮影した。撮影された写真をコンピュータにて画像処理を行い、各微粒子の平均直径を粒径として求めた。そして、全微粒子の粒径分布に対する中央値(メジアン)を、事前に求めた、電解用試料中の微粒子のおよその平均粒径(以降、事前平均粒径と呼ぶ)とした。この事前平均粒径に対し、6倍、12倍、18倍、36倍の4水準の電解厚みを設定した。次の電解量の算出ステップS3062で、これら設定した電解厚みを電解用試料の鋼の質量に換算し、さらに、この換算された鋼の質量を電解できる、供給電荷量に換算した。この供給電荷量と電流密度より電解時間を算出し、この電解時間にて電解量を制御した。
電解操作101は、図2と同じ装置構成にて行い、電解液として、200mlの10%AA系電解液を使用した。また、全ての電解用試料について、表層の汚染を除去するための捨て電解を、最初に1度だけ電解操作101の直前に行なった。
さらに、上記電解厚み1水準に対して電解用試料を1枚ずつ用いて、上記平均粒径事前算出操作306で設定した電解厚みだけ電解を行った。電解時の電流密度は、全ての水準において20mA/cm2とした。
抽出操作102に用いる分散性溶液としては、濃度500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、別のビーカーに準備した。抽出操作102中は、分散性溶液に超音波による振動を加えて、電解用試料表面に付着した状態の微粒子をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に分散させた。
そして、電解操作101から抽出操作102までを、電解用試料1枚に付き10回繰り返した後、磁気分離操作103へ進んだ。また、統計的に信頼性のあるデータを採取するために、電解用試料1枚に付き電解操作101から抽出操作102までを10回繰り返して得られた微粒子全てを、同じ分散性溶液に抽出した。
磁気分離操作103は、分散性溶液中に磁石棒を入れて攪拌することで行なった。また、磁気分離操作103中も、分散性溶液には超音波による振動を加えた。
分析対象外粒子の除去手段としての分級操作104は、セメンタイト除去後の微粒子を含んだ分散性溶液を、孔径0.4μmのフィルタを用い超音波を利用して分級することで行なった。チップを液中に浸漬させて加振するタイプの超音波発生装置を用い、濃度が500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液20ml程度をフィルタの上に注ぎ、発振子を浸して超音波を発生させた状態としてから、微粒子を含んだヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を加えた。
その後、動的光散乱方式の粒径分布測定装置にて、分散性溶液中の微粒子の粒径分布を測定した。電解厚みが事前平均粒径の6倍と36倍の場合の粒径分布の例を、図6に示す。
この粒径分布結果から、全微粒子の粒径分布に対する中央値(メジアン)を平均粒径として算出した。さらに、上記と同一の手順と条件による粒径分布測定を、電解量1水準あたり4回行い、得られた4つの平均粒径の値をさらに単純算術平均して、電解厚み1水準あたりの平均粒径とした。得られた結果を図7に示す。図7中の、白丸(符号:○)が電解厚み1水準あたりの平均粒径を、エラーバーが4つの平均粒径の値の範囲を示している。
図7では、電解厚みが薄くなるに従い、抽出微粒子の平均粒径が小さくなる傾向が見られた。即ち、電解厚みを厚くすると、凝集して見かけの粒径が大きくなってしまうと考えられる。よって、この結果から、電解操作101中に発生する微粒子の凝集を抑制するためには、電解操作101から抽出操作102までにおける電解量を、電解用試料1の厚み換算で薄い方がより望ましいことが明らかになった。今回の試料については、電解操作101での電解厚みを、事前平均粒径の6倍程度以下とした場合に、さらに大きく凝集を緩和できた。なお、試料により最適な電解厚みは異なるので、試料に応じて電解厚み条件の最適化を行なう必要がある。
電解法における電流密度と抽出された微粒子の平均粒径との関係を調査した結果を、実施例3とした。実施の形態の(1)から(7)の手順と図3の分析フローに従って粒子分布測定を行なった。各操作の具体的な条件は、以下に示す通りであるが、本発明は下記の具体的な条件に制限されるものではない。
鋼として炭素鋼を使用し、その化学成分は、C:0.10mass%、Si:0.2mass%、Mn:1.0mass%、P:0.024mass%、S:0.009mass%、Cr:0.03mass%、Ti:0.05mass%である。この鋼を20mm×50mm×1mmの大きさに加工したものを、電解用試料として5枚用意した。
先ず、平均粒径事前算出操作306を実施例2と同一条件で行い、事前平均粒径と電解操作101における電解の量を設定した。本実施例の場合、電解操作101での電解量は、事前平均粒径の6倍の電解厚みに相当する量とした。この電解厚みを電解用試料の鋼の質量に換算し、この換算された鋼の質量を電解できる供給電荷量に換算し、さらに、この供給電荷量と電流密度より電解時間を算出した。
電解操作101は、図2と同じ装置構成にて行い、電解液として、200mlの10%AA系電解液を使用した。また、全ての電解用試料について、表層の汚染を除去するための捨て電解を、最初に1度だけ電解操作101の直前に行なった。電解量は、先の平均粒径事前算出操作306で算出した電解時間にて、制御した。
電流密度は、1mA/cm2、2mA/cm2、5mA/cm2、10mA/cm2、および20mA/cm2の5水準とし、それぞれの水準に対し、電解用試料を1枚ずつ用いた。
抽出操作102にて用いる分散性溶液としては、濃度500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、別のビーカーに準備した。抽出操作102中は、分散性溶液に超音波による振動を加えて、電解用試料表面に付着した状態の微粒子をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に分散させた。
そして、電解操作101から抽出操作102までを、電解用試料1枚に付き10回繰り返した後に、磁気分離操作103へ進んだ。また、統計的に信頼性のあるデータを採取するために、電解用試料1枚に付き電解操作101から抽出操作102までを10回繰り返して得られた微粒子全てを、同じ分散性溶液に抽出した。
磁気分離操作103は、分散性溶液中に磁石棒を入れて攪拌することで行なった。また、磁気分離操作103中も、分散性溶液には超音波による振動を加えた。
分析対象外粒子の除去手段としての分級操作104は、セメンタイト除去後の微粒子を含んだ分散性溶液を、孔径0.4μmのフィルタと超音波を利用したろ過法により分級することで行なった。チップを液中に浸漬させて加振するタイプの超音波発生装置を用い、濃度が500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液20ml程度をフィルタの上に注ぎ、発振子を浸して超音波を発生させた状態としてから、微粒子を含んだヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を加えた。
その後、動的光散乱方式の粒径分布測定装置にて、分散性溶液中の微粒子の粒径分布を測定し、その粒径分布結果から全微粒子の粒径分布に対する中央値(メジアン)を平均粒径として算出した。さらに、上記と同一の手順と条件による粒径分布測定を、電流密度1水準あたり4回行い、得られた4つの平均粒径の値をさらに単純算術平均して、電流密度1水準あたりの平均粒径とした。得られた結果を図8に示す。図8中の黒丸(符号:●)が電解厚み1水準あたりの平均粒径を、エラーバーが4つの平均粒径の値の範囲を示している。
図8では、電解時の電流密度が低くなるに従い、抽出微粒子の平均粒径が小さくなる傾向が見られた。これは、電流密度を高くすると、局所的に電解が進むことによる凝集のために見かけの粒径が大きくなってしまう為と考えられる。この結果から、今回の試料については、電流密度を2mA/cm2以下とした場合に、大きく凝集を緩和できている。なお、最適な電流密度は試料の表面状態にも依存すると考えられるため、試料に応じて電流密度条件の最適化を行なう必要がある。
実施の形態の(1)から(7)の手順と図4の分析フローに従って粒径分布測定を行なった例を、実施例4の本発明例として説明する。なお、大径側粒子除去操作407では、遠心分離ステップS4072の方を選択した。各操作の具体的な条件は、以下に示す通りであるが、本発明は下記の具体的な条件に制限されるものではない。
鋼として炭素鋼を使用し、その化学成分は、C:0.10mass%、Si:0.2mass%、Mn:1.0mass%、P:0.024mass%、S:0.009mass%、Cr:0.03mass%、Ti:0.05mass%である。この鋼を20mm×50mm×1mmの大きさに加工したものを、電解用試料として4枚用意した。
先ず、平均粒径事前算出操作306を実施例2と同一条件で行い、事前平均粒径と電解操作101における電解の量を設定した。本実施例の場合、電解操作101での電解量は、事前平均粒径の6倍の電解厚みに相当する量とした。この電解厚みを電解用試料の鋼の質量に換算し、この換算された鋼の質量を電解できる供給電荷量に換算し、さらに、この供給電荷量と電流密度より電解時間を算出した。
電解操作101は、図2と同じ装置構成にて行い、電解液として、200mlの10%AA系電解液を使用した。また、全ての電解用試料について、表層の汚染を除去するための捨て電解を、最初に1度だけ電解操作101の直前に行なった。電解量は、先の平均粒径事前算出操作306で算出した電解時間にて、制御した。電解時の電流密度は、全ての電解試料に対して、2mA/cm2とした。
抽出操作102にて用いる分散性溶液としては、濃度500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、別のビーカーに準備した。抽出操作102中は、分散性溶液に超音波による振動を加えて、電解用試料表面に付着した状態の微粒子をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に分散させた。
そして、電解操作101から抽出操作102までを、電解用試料1枚に付き10回繰り返した後に、磁気分離操作103へ進んだ。ここで、統計的に信頼性のあるデータを採取するために、電解用試料1枚に付き電解操作101から抽出操作102までを10回繰り返して得られた微粒子全てを、同じ分散性溶液に抽出した。
磁気分離操作103は、分散性溶液中に磁石棒を入れて攪拌することで行なった。また、磁気分離操作103中も、分散性溶液には超音波による振動を加えた。
さらに、大径側の微粒子を除去する遠心分離ステップS4072において、磁気分離操作103後の分散性溶液を、微粒子を分散させたまま遠心分離器用のセルに充填した。そして、回転速度が9000rpm、時間が2分の条件にて、遠心分離器を動作させた。
その後、動的光散乱方式の粒径分布測定装置にて、分散性溶液中の微粒子の粒径分布を測定した、得られた結果を図9に示す。図5に示した実施例1の本発明例および比較例と比較して、実施例4の粒径分布の中央値(メジアン)はさらに小さい粒径側に移動している。このことから、分級操作104の後に大径側粒径除去操作407を追加すると、より小径側の粒子分布が測定可能となることが分かった。なお、試料により最適な遠心分離条件は異なるので、試料に応じて最適化を行なう必要がある。
本発明に係る実施の形態の例の分析フローを示した図。 本発明に係る分析方法で用いる電解装置の構成を模式的に示した図。 図1に平均粒径事前算出操作306を追加した例の分析フローを示した図。 図3に大径側粒子除去操作407を追加した例の、分析フローを示した図。 本発明例と比較例における粒径分布測定の結果を示した図。 電解厚みを、鋼厚み換算で、事前平均粒径の6倍と36倍とした場合における、粒径分布測定の結果を示した図。 事前平均粒径に対する電解厚みと、抽出された微粒子の平均粒径との相関を示した図。 電解法における電流密度と、抽出された微粒子の平均粒径との相関を示した図。 電解法において、分級操作104の後に遠心分離ステップS4071を追加した場合の、粒径分布測定の結果を示した図。 分散性溶液を純水(本発明例)またはメタノール(比較例)とした場合の鋼中微粒子の粒径分布を示した図。 ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液濃度とゼータ電位、またはヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液濃度と測定された平均粒径との関係の例を示した図。
符号の説明
1 電解用試料
2 電解用試料の固定用治具
3 電極
4 ビーカー
5 定電流電解装置
6 電解液
7 電解装置
100 準備操作
101 電解操作
102 抽出操作
103 磁気分離操作
104 分級操作
105 分析操作
306 平均粒径事前算出操作
407 大径側粒子除去操作
S1021 洗浄ステップ
S1022 抽出ステップ
S1023 判定ステップ
S3061 平均粒径の事前分析ステップ
S3062 電解量の算出ステップ
S4071 ろ過ステップ
S4072 遠心分離ステップ

Claims (6)

  1. 鋼試料を電解する電解操作と、該電解後の鋼試料の残部を、前記電解に用いた電解液とは異なりかつ分散性を有する溶液に浸漬し、前記鋼試料中の微粒子を抽出する抽出操作と、該抽出操作後の前記溶液中に抽出された微粒子に対し、超音波を利用して粒径別に分別する分級操作と、分級操作後の平均粒径が1μm以下の大きさの微粒子を動的光散乱法にて分析する分析操作とを有することを特徴とする鋼中微粒子の分析方法。
  2. 前記分散性を有する溶液が、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の鋼中微粒子の分析方法。
  3. 前記分析操作では、前記鋼試料に付着した微粒子のみを分析することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の鋼中微粒子の分析方法。
  4. 前記溶液中に抽出された微粒子をろ過し、分析対象となる小径側の微粒子を含んだろ液を得るろ過操作と、該ろ過操作にて得られた微粒子を含んだろ液を動的光散乱法にて分析する分析操作とを有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の鋼中微粒子の分析方法。
  5. 前記電解操作における電解量は、電解用試料の厚み換算で、事前に求めておいた電解用試料中の微粒子のおよその平均粒径の1倍以上、50倍以下とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼中微粒子の分析方法。
  6. 前記電解操作における電流密度は10mA/cm 以下とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の鋼中微粒子の分析方法。
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