JP2004317203A - 金属中の介在物および析出物の評価方法、および治具 - Google Patents
金属中の介在物および析出物の評価方法、および治具 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】不安定で微細な介在物や析出物でも安定に抽出できるSPEED法において電解液として、例えば2質量%トリメタノールアミン-1質量%TMAC-メタノール混合溶液を用い、更に従来法の約50〜100倍に相当する量を電解し、抽出した残渣を有機溶媒中に分散させ、支持膜上に滴下乾燥することにより、極めて多数の残渣粒子を有する試料が作製できる。また、従来のレプリカ試料に比較して大面積のレプリカ試料を作製し、光学顕微鏡、SEM、X線分析等に供することで、より多数の粒子に関する情報と、代表性の高いデータが得られる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、蛍光X線分析装置などの機器分析装置を使用して、金属材料中に存在する介在物や析出物を評価する、金属中の介在物および析出物の評価方法に関する。さらに、金属材料中の介在物や析出物の観察・分析に用いる試料の作製の際に用いる治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、鋼材の高品質化への要求が高まる中、鋼中介在物の低減が求められている。介在物とは、鉄鋼中に存在する不純物粒子であり、例えば、アルミニウム脱酸鋼の場合は、製鋼段階で生成するアルミナ系介在物、製鋼スラグに起因する石灰やシリカ等を含むスラグ系介在物、連続鋳造時の鋳型潤滑剤に起因するパウダー系介在物等である。特に大型のアルミナ系介在物は、薄鋼板での表面疵、缶用材料の製缶時の割れ、線材の断線、あるいは棒鋼での転動疲労特性の悪化など、様々な弊害を引き起こすことが知られており、その量や大きさの低減が求められている。
【0003】
一方、鋼中に微細な析出物を分散させることによる鋼材の品質向上効果もあり、例えば、ピニングを利用してオーステナイト粒粗大化を防止することにより、大入熱溶接部の熱影響部靭性が向上するなどの効果がある。析出物には、固相で析出する炭化物、窒化物、硫化物などがある。
したがって、品質管理や材料設計において、鋼中の大型介在物や微細析出物の種類、量、および、大きさを正確に評価することが重要である。
【0004】
鋼中介在物の評価技術としては、鋼材試料を溶解して介在物だけを抽出し評価する方法や、鋼材試料の断面を顕微鏡などで観察する方法などがよく知られている。介在物を抽出する方法としては、スライム法、酸分解法、ハロゲン溶解法、非水溶媒系電解法などがある。
スライム法は、塩化第一鉄(FeCl2)水溶液中で定電流電解を行って鋼材試料を溶解し、残渣を抽出するもので、数kgといった大量の試料を溶解できるので、代表性の高いデータが得られる方法として広く用いられている。しかし、試料を電解するだけでも数日〜数十日という極めて長い時間が必要となる。
酸分解法やハロゲン溶解法は、酸の水溶液やヨウ素−メタノール混合溶液あるいは臭素−メタノール混合溶液中で鉄鋼試料の鉄マトリックスを溶解し、残渣として残る介在物を評価する方法である。これらの方法は、安定で大型な介在物の評価には適しているものの、化学的に不安定なものや微細なものは溶解してしまう恐れがある。
【0005】
これに対して、非水溶媒系定電位電解法(SPEED法)は、一度に溶解できる鉄鋼試料の量が1〜3g程度と少ないものの、介在物が溶媒中に溶解することによる組成やサイズの変化が起こりにくく、不安定な化合物でも安定に抽出できるという特長を有するため、鋼中介在物や析出物の評価方法として一般的な方法である。電解液としては、10体積%アセチルアセトン−1質量%テトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)−メタノール混合溶液、10質量%無水マレイン酸−1質量%TMAC−メタノール混合溶液、10体積%サリチル酸メチル−1質量%TMAC−メタノール混合溶液等が一般的に用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
上述の従来法により抽出した残渣の従来の評価方法としては、X線分析や、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)観察などが挙げられる。このうち、特に、ナノオーダーからサブミクロンの微細な粒子を評価する場合には、鋼材試料の極表層のみを電解などで溶解してレプリカ試料を作製して、TEM観察を行うことが一般的である。
金属材料中の析出物のTEM観察用の試料作製方法としては、非特許文献2に、抽出レプリカ法が紹介されており、従来の試料作製方法として最も一般的な方法である。この方法は、電解等により材料表面に析出物を抽出し、この析出物を炭素膜などに転写し材料表面から剥離してレプリカ膜とするものであり、これを直径3mm程度のメッシュ上に固定して、TEMで観察する。具体的には、金属材料試料片を樹脂に埋め込み、試料表面を鏡面に研摩後、酸溶液で腐食または電解して介在物や析出物を試料表面に露出させた後、この上に炭素膜を蒸着し、次いで、これを酸溶液または電解で剥離し、水に浮かべ表面張力で広げてメッシュにのせ、乾燥した後にTEM観察に供するものである。
【0007】
この抽出レプリカ法は、材料そのものを薄膜化して観察する方法に比較して、転位などの影響がなく、析出物粒子ひとつひとつを良好なコントラストや分解能で、観察および分析できるのが特長である。しかし、レプリカ試料の作製に長時間を要する、観察できる範囲が狭くデータの代表性が低いなどの欠点がある。特に、微細析出物の粒度分布や鋼中の分散密度を求める場合には、誤差を小さくするために多数の粒子を計測しなければならず、そのためには多数のレプリカ試料を作製し、長時間を要する観察および分析が必要となる。また、炭素を0.02〜2.14質量%含有する一般的な鋼の場合には、電解残渣の中にセメンタイトが混合しており、粒子計測の妨害となることがある。
【0008】
【非特許文献1】
日本金属学会誌第43巻1068ページ(1979年11月20日発行)
【非特許文献2】
「鉄鋼便覧 第3版 P.397」(日本鉄鋼協会編)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の従来の非特許文献2に開示された抽出レプリカ法の問題点を解決するものであって、従来法よりも粒子密度の高い試料を作製することにより、TEM観察および分析時間の短縮を可能とするものである。
さらに、従来のレプリカ試料よりも広い面積の試料を作製することにより、従来のレプリカ試料によるTEM観察時間と同等の時間で、より多数または多量の介在物の評価を行うことを可能とし、金属材料中の介在物や析出物の化学組成、粒径分布、金属材料母材中分散密度などに関して、代表性の高いデータを得ることを目的とする。またさらに、TEM観察以外に、光学顕微鏡、SEM、X線分析等の複数の評価法にも使用可能な試料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、例えばSPEED法を用いて、従来法の数十倍の電気量で金属試料に通電を行い、金属試料から抽出した介在物や析出物の残渣を有機溶媒中に分散し、これを固体平板、メッシュ、支持膜等の上に滴下し乾燥し、金属試料中の介在物や析出物の評価用試料とすることにより、従来法で作製したレプリカ試料よりも、極めて多数の残渣粒子を有する試料が作製できることを見出した。
【0011】
また、TEMの装置上の制約からあまり大きな試料は観察できないという理由もあるが、従来の抽出レプリカ法では、炭素膜を剥離してメッシュにすくい上げる際に、あまり広い面積のものは破れたり均一に広がらないなどの制約もあって、あまり大きな面積のものは作製されなかった。一般的には例えば、直径3mmの小さなメッシュ上に固定されており、この大きさの試料では、例えば、蛍光X線分析装置による元素の定性・定量分析に供することは困難であったのに対し、本発明法であれば、例えば、20mm×20mmのナイロンメッシュ上に固定した大面積のレプリカ試料を作製することが可能であり、広範囲で観察および分析できるだけでなく、このレプリカ試料を光学顕微鏡、SEM、X線分析等に供することにより、より多数の粒子に関する情報を得ることができ、代表性の高いデータが得られることを見出した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)金属試料を電解液中で電気分解し、該試料中に含有される介在物粒子や析出物粒子を該試料表面に抽出し、次いで、抽出した介在物粒子や析出物粒子を有機溶媒中に分散した分散液を調製し、次いで、該分散液を固体平板表面あるいはメッシュ上に滴下し、乾燥させて評価試料を作製し、該評価試料を観察して、抽出した介在物および析出物の評価を行うことを特徴とする金属中の介在物および析出物の評価方法。
(2)前記分散液に超音波を照射することを特徴とする(1)に記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
(3)前記分散液を入れた容器の外周全部または一部に、磁石を設置することを特徴とする(1)または(2)に記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
(4)前記メッシュの成型治具として、凹部を有する部材と凸部を有する部材から構成され、かつ、該凹部と該凸部とが嵌合可能な形状を有する治具を用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
(5)前記凹部を有する部材の凹部の壁面の周囲全部または一部に、磁石を設置することを特徴とする(4)に記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
(6)前記評価方法が、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、蛍光X線分析器、光学顕微鏡のいずれか一種以上を用いることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
(7)金属中の介在物および析出物の評価に用いるための試料作製のための治具であって、凹部を有する部材と凸部を有する部材から構成され、かつ、該凹部と該凸部とが嵌合可能な形状を有することを特徴とする治具。
(8)前記凹部を有する部材の凹部の璧面の周囲全部または一部に、磁石を設置することを特徴とする(7)に記載の治具。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とする金属試料の種類は、特に限定はないが、例えば、鉄鋼材料、アルミニウム合金などが挙げられる。金属試料中の介在物とは、鉄鋼の場合を例にとると、鉄鋼中に製鋼段階で生成するアルミナ系介在物、石灰やシリカ等を含有するスラグ系介在物、パウダー系介在物等が挙げられる。金属試料中の析出物とは、固相で析出する炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。
本発明が対象とする金属試料中の介在物や析出物粒子の抽出方法は、酸溶液中で鉄鋼試料の鉄マトリックスを溶解する酸分解法や、ヨウ素−メタノール混合溶液あるいは臭素−メタノール混合溶液中で鉄鋼試料の鉄マトリックスを溶解するハロゲン溶解法や、非水溶媒系定電流電解法でもよいが、好ましくは非水溶媒系定電位電解法(SPEED法)である。SPEED法は、溶媒中に介在物や析出物粒子が溶解した際の、組成やサイズの変化が起こり難く、不安定な化合物でも安定に抽出できるため好適である。
本発明が対象とする抽出試料の評価方法は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、蛍光X線分析装置などである。
【0014】
以下に、本発明に関して、非水溶媒系定電位電解法(SPEED法)による鉄鋼材料中の介在物や析出物の評価方法を例にとり説明を行うが、本発明法は、抽出方法としてSPEED法や、金属材料として鉄鋼材料に限定されるものではない。
まず、本発明の鉄鋼試料中の介在物や析出物粒子の抽出方法について説明する。初めに、金属試料片を例えば20mm×10mm×5mmの大きさに加工し、観察したい面を露出させて、必要に応じて樹脂に埋め込み、観察したい試料表面を機械的に研磨して表面の凹凸や汚れを除去する。本発明に用いる金属試料片の研磨度合いは、析出物や介在物を転写するために鏡面状の研磨が必要な従来の方法とは異なり、表面の凹凸や汚れが除去できる程度で構わない。従来法では、金属材料中の介在物や析出物の分散密度は、レプリカ試料上の面積密度として計算するため、鏡面状に精密に研磨する必要があったが、本発明の試料作製法では、従来法に比べて多量の基質を溶解してその中の粒子を抽出し、この粒子密度と通電量等から、金属試料中の介在物や析出物の分散密度を算出するものであるため、多少残存する試料片表面の凹凸は誤差として無視できるからである。金属試料片の大きさとしては、この大きさに限定されるものではないが、実用的な電解槽や電極の大きさを考慮すると、試料片の大きさは一辺が50mm程度以内のものが好ましい。
【0015】
次に、この試料の基質をSPEED法により溶解する。用いる電解液としては、通常用いられるものが使用でき、代表的な例として、10体積%アセチルアセトン−1質量%テトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)−メタノール混合溶液、10質量%無水マレイン酸−1質量%TMAC−メタノール混合溶液、10体積%サリチル酸メチル−1質量%TMAC−メタノール混合溶液等を用いることができるが、特に、2体積%トリメタノールアミン−1質量%TMAC−メタノール混合溶液を用いると、不安定な化合物であるCaOやMgOなども安定に抽出できるため好ましい。
次に、試料を溶解して得られた溶液中から、介在物や析出物粒子を抽出する。本発明の抽出方法は、電解等により材料表面に析出物や介在物を抽出した後、この析出物や介在物を炭素膜等に転写するという従来法とは異なり、試料を溶解して得られた溶液中から、介在物や析出物をろ過によって分離・捕集し、これらの介在物や析出物を溶媒中に分散させた後、この分散液を基板上に滴下・展開し、溶媒を蒸発させる方法である。
【0016】
本発明法では、この方法の他に、例えば、試料溶解後に、試料表面に露出して付着している介在物や析出物を試料ごと、例えばメタノールのような非水溶媒中に移し、これらの介在物や析出物を溶媒中に分散させた後、この分散液を基板上に滴下・展開し、溶媒を蒸発させることも可能である。
すなわち、本発明の抽出方法は、試料表面の単位面積当たりの析出物や介在物を炭素膜等に転写する従来法とは異なり、析出物や介在物を濃縮することが可能であるため、より多数の粒子に関する情報を得ることができ、代表性の高いデータが得られるものである。
【0017】
また、本発明では、この溶媒に超音波を照射することがより好ましく、溶媒中に介在物や析出物を均一に分散させることができる。
またさらに、本発明では、超音波照射時に、溶媒を入れた容器の外周に磁石を設置することがさらに好ましく、電解抽出残渣中に含まれるセメンタイトを磁力によって分離除去することが可能となる。すなわち、セメンタイトを磁力によって分離する本発明法では、析出物や介在物を炭素膜等に転写する従来法では不可能であったセメンタイトの除去が可能であるため、セメンタイトによる粒子計測の妨害を除去でき、鉄鋼試料中に含有される微細なTiNなどの粒子の測定を従来法よりも容易に行うことが可能となる。
【0018】
本発明の抽出方法で非水溶媒を用いる理由は、水中ではCaOやMgOなどの不安定な介在物は分解する可能性があるからである。また、非水溶媒は、水よりも蒸気圧が高く、乾燥しやすいからである。非水溶媒の種類としては、エタノールも使用可能であるが、エタノールよりも蒸気圧が高いメタノールがより好ましい。非水溶媒の量としては、特に限定されるものではないが、溶媒を蒸発させることを考慮すると、10ml以下が好ましい。非水溶媒の蒸発条件も特に限定されるものではないが、恒温乾燥器による乾燥または白熱電球照射などの方法を用いると、迅速な乾燥が可能である。しかし、後述のような、試料作製過程でパラフィンを用いる場合には、試料温度が45℃以上に上昇しないようにする必要がある。
本発明で溶媒中に介在物や析出物を非水溶媒中に均一に分散するために照射する超音波は、介在物や析出物が分解しないような周波数で、数秒〜数分間照射すればよい。
【0019】
本発明に用いる分散液を展開する基板としては、例えば、ガラス板、石英板、グラファイト板、シリコン板、テフロン(登録商標)板等の固体平板を用いることができるが、蛍光X線分析、SEM観察、および、EPMA(X線マイクロアナライザー)分析の試料として供する場合には、グラファイト板等の、軽元素で構成されしかも導電性のある材料を用いると、分析に際してバックグラウンドを軽減できる、空間分解能を向上できるなどの利点があるため好ましい。
これらの固体平板の表面が平滑な場合、溶媒が蒸発して乾燥する前に、液滴が凝集することにより、介在物や析出物が凝集することがあるため、このような場合には、予め表面に液滴の凝集が防止できる程度の微細な凹凸をつけておくことが好ましい。たとえば、ガラス板やSiウェハー等の場合には、表面をエメリー研磨紙(たとえば#400)等で研磨して表面に凹凸をつけておく。
【0020】
また、本発明に用いる分散液を展開する基板としては、TEM試料を作製する場合には、電子線が透過する支持膜を使用する。電子線が透過する支持膜としては、TEM試料支持膜として通常用いられている、炭素蒸着膜やコロージョン膜などを成膜したメッシュが好ましい。メッシュとしては、特に限定されるものではないが、通常用いられているメッシュ間隔約150μmのナイロンやCuなどのメッシュが好ましく、特に高倍率でTEM観察を行うための試料を作製するためには、像のドリフトを防止するため、金属製、例えば通常TEM観察に用いられているCuメッシュが好ましい。なお、エネルギー分散型特性X線検出器(EDX)付きのTEMでX線分析を行う場合には分析の妨害とならないナイロンメッシュが好ましい。
【0021】
炭素蒸着膜やコロージョン膜などを成膜したメッシュを支持体に用いたTEM試料を例にとり、この作製方法について以下に説明する。
まず、メッシュ上に炭素を蒸着して成膜し、この上に介在物や析出物を分散させた溶媒を滴下する。しかし、炭素蒸着膜やコロージョン膜などを成膜したメッシュ上に溶媒を直接滴下すると、炭素蒸着膜が破損する恐れがあるため、あらかじめ、メッシュをパラフィンなどで補強しておくことが好ましい。具体的には、まず、メッシュを置いたスライドグラスをホットプレート上に置き、その上にパラフィン片を置くと、パラフィンが熱で溶けてメッシュの穴に浸透する。ホットプレートの温度は、パラフィンの融点が約45〜65℃で沸点が300℃であるので、45〜300℃の間であればよいが、実用的には50〜100℃が好ましい。これを冷却して固めると、メッシュの穴がパラフィンで塞がれた含浸状態となる。
【0022】
この上に炭素膜を蒸着すると、パラフィンによって補強された炭素膜が得られる。炭素膜の蒸着条件は、通常のTEM試料作製で行う一般的な条件でよい。次いで、この上に介在物や析出物を分散させた溶媒を滴下し、乾燥させた後、この上に再び炭素膜を蒸着する。炭素膜の蒸着条件は、通常のTEM試料作製で行う一般的な条件でよい。その後、例えば、酢酸メチル、エーテル、熱アルコール等の溶媒中でパラフィンを溶かすことにより、介在物や析出物をメッシュに支持された炭素膜上に固定することができ、TEMの試料として供することができる。
【0023】
また、本発明法では、TEM試料を作製するために用いるスライドグラスの代わりに、図1に示すような凹部を有する部材と凸部を有する部材から構成され、かつ、該凹部と該凸部とが嵌合可能な形状を有する成型治具を用いることも可能である。成型治具の材質としては、アルミニウムや銅などの、熱伝導性がよく、磁性のない材料が好ましい。さらに、凹部の周囲に磁石を設置することにより、電解抽出残渣中に含まれるセメンタイトを磁力によって分離除去することが可能となる。
【0024】
本発明の成型治具を用いる場合、凹部を有する部材を下方に配置し、該成型治具をホットプレート上で50〜100℃に加熱し、凹部を有する部材の上にパラフィンの小片を置き溶解する。なお、成型治具の加熱温度範囲を50〜100℃としたのは、上述のように、この温度範囲がパラフィンが融解する実用的な温度範囲であるためである。さらに、この溶解したパラフィン上にメッシュを挟んで凸部を有する部材を上部に配置し、メッシュ中央部に窪みを形成する。その後、成型治具をホットプレート上からおろして冷却した後、凸部を有する部材をはずす。次に、前記操作により作製したパラフィンで補強したメッシュを凹部を有する部材に入れたまま、メッシュの窪み部に介在物や析出物を分散させた溶媒を滴下、乾燥し、上述と同様の処理を行いTEM試料を作製する。乾燥時に、成型治具ごと超音波を照射することにより、溶媒中の粒子の凝集を防止することができる。
【0025】
また、本発明法に係る別のTEM試料作製法として、炭素膜をメッシュ上にすくい取る方法も可能である。すなわち、介在物や析出物を分散させた溶媒をアセチルセルローズなどのフィルム上に滴下して乾燥し、さらに、この上に炭素膜を蒸着後、酢酸メチルなどの溶剤中でフィルムを溶解する。次に、前記炭素膜をCuメッシュなどですくいとり乾燥したものをTEM試料に供することもできる。フィルム表面が平滑である場合、溶媒が乾燥する際に液滴が凝集するとともに、介在物や析出物も凝集することがあるため、あらかじめフィルム表面に、液滴の凝集を防止できる程度の規則的な凹凸をつけておくことが好ましい。規則的な凹凸をつける方法としては、例えば、酢酸メチルなどの溶剤で濡らしたメッシュを押し付けたのちに剥がす方法などがある。
【0026】
また、本発明に係るさらに別のTEM試料作製方法として、ガラス板、Siウェハなどの固体平板上に、介在物や析出物を分散させた溶媒を滴下・乾燥後、酢酸メチルなどの溶剤を滴下し、その上にアセチルセルローズなどのフィルムを貼り付け、乾燥した後、フィルムを剥がすことによって介在物や析出物をフィルム上に転写し、次に、このフィルム上に炭素膜を蒸着した後、酢酸メチルなどの溶剤中でフィルムを溶解し、前記炭素膜をCuメッシュなどですくいとってTEM試料に供することもできる。この場合、固体平板上の液滴の凝集を防止するために、固体平板上にあらかじめ凝集が防止できる程度の凹凸をつけておくことが好ましい。さらに、この転写操作を同一のフィルム上に行うことにより、フィルム上に転写される介在物や析出物の密度を高めることができる。
【0027】
TEM観察は高倍率で行うため、一視野の観察面積は、例えば1×10−6〜1×10−4mm2と非常に小さく、多数の粒子を観察・分析するためには多くの視野を観察する必要がある。特に、粒子の粒度分布を求める場合には、統計的に意味のある分布を求めるため、例えば100個程度以上の粒子を解析する必要がある。そのため、従来法で作製した試料では、例えば五万倍の倍率でおよそ400視野以上の観察を行う必要があるが、これに対して、本発明法で作製した試料では100個以上の粒子を観察するためには同倍率で8〜9視野以上の観察を行えばよく、観察に要する時間が大幅に短縮される。
また、試料作製そのものに要する時間も、従来法では、試料の樹脂埋め込みから試料完成までに2〜3日間を要したのに対し、本発明法によれば半日程度で完成する。
以上を考慮すると、本発明により、従来に比べて短時間で代表性の高いデータが得られるものといえる。
【0028】
また、本発明に係るTEM観察において、EDX(エネルギー分散型特性X線検出器)で粒子の分析を行う場合には、走査型TEM−EDXなどを用いて元素マッピングを行うことが好ましい。
粒子1個1個の分析を行うEDX分析方法では、従来法で作製した粒子密度の低い試料も本発明の試料でも、粒子1個の分析に要する時間は同じであり、例えば、粒子100個の分析であっても、同じ分析時間を要する。しかし、元素マッピングを行えば、一視野に多数の粒子が存在する本発明法の試料では、多数の粒子の分析が一度にできるため分析時間は大幅に短縮できる。これに対して、従来法で作製した試料では、一視野に少数の粒子しか存在しないため、元素マッピングを行うメリットが得られにくい。もしくは、元素マッピングの方がより長時間を要する可能性もある。
したがって、本発明法による試料作製法と元素マッピングを組み合わせることにより、分析効率が飛躍的に向上する。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
質量%で、Cを0.004%、Siを0.02%、Mnを0.13%、Alを0.004%、Nを0.002%、Sを0.007%、Tiを0.01%、およびNbを0.02%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である鉄鋼材料を用い、これを20mm×10mm×5mmの大きさに切り出し、20mm×10mmの面を露出させて樹脂に埋め込み、露出した試料面を研磨して酸化膜を除去したものを試料とした。
【0030】
次に、試料を陽極として、白金電極が陰極となるように配線し、2体積%トリエタノールアミン−1質量%TMAC−メタノール混合溶液中で、−150mV対銀−塩化銀電極の定電位で500Cのクーロン量を流して電解し、試料中の介在物や析出物を析出させた。その後、電解液の中から取り出した試料を10mlのメタノール中に入れ、これに超音波を照射して介在物や析出物を分散させた。その後、メタノールを加温し、一部を蒸発させて2mlとした。
【0031】
一方、20mm×20mmのナイロンメッシュにパラフィンを含浸させ、その上から炭素膜を蒸着したものを作製し、この上に前記介在物や析出物を分散させたメタノールを滴下・乾燥することを繰り返し、前記2mlのメタノールの十分の一の量にあたる0.2mlを滴下した。その後、酢酸メチル中でパラフィンを溶解し、炭素膜がナイロンメッシュの上に載った状態の試料を作製した。これをメッシュごと3mmφの大きさに切り取って、TEM試料に供した。この試料作製には、半日程度を要した。
【0032】
500Cの電解量は20mm×10mmの試料表面に対して約61μmの深さに相当し、すなわち、上記操作により、20mm×10mm×61μmの体積の鋼試料中に存在した介在物や析出物が、20mm×20mmの面積の炭素膜上に分散したTEM試料が得られた。
このTEM試料をTEM観察したところ、粒子径10〜100nmのTiS、Ti2S、TiN(C)などの粒子が、3×106個/mm2の密度で分散しているのが観察された。この値から、鋼中の介在物や析出物粒子の密度を算出すると、約1×109個/mm3であった。
【0033】
(比較例1)
実施例1で使用したものと同様の化学組成の鉄鋼材料を用いて、従来のレプリカ作製法(金属学会セミナー 局所領域のキャラクタリゼーション(II)79ページ(1994年9月5日発行))でレプリカ試料を作製し、TEM観察を行った。
従来のレプリカ作製法として、20mm×10mm×5mmの試料片を樹脂に埋め込んで鏡面研磨し、10体積%アセチルアセトン−1質量%TMAC・メタノール混合溶液を電解液とし、SPEED法で0.1C/mm2のクーロン量で電解を行った。この電解面上に酢酸メチルを滴下し、その上にアセチルセルローズ膜を貼り付け、乾燥後、アセチルセルローズ膜を機械的に剥離した。さらに、この上に炭素膜を蒸着し、この蒸着膜をパラフィンで補強し、次に、酢酸メチルでアセチルセルローズ膜を溶解し、50℃に加温してパラフィンを溶解した。この炭素膜をメッシュですくい取って、乾燥後、TEM観察に供した。この試料作製には、約3日を要した。
【0034】
前記従来法で作製した試料をTEM観察したところ、粒子径10〜100nmのTiS、Ti2S、TiN(C)などの粒子が、6×104個/mm2密度で分散していているのが観察された。観察された粒子の密度を、実施例1と比較例1で比較すると、実施例1は比較例1の約50倍であった。
なお、ここでは記載していないが、実施例1および比較例1で作製した試料を用いて、介在物や析出物の粒子の粒度分布を求めた。統計的に意味のある分布を求めるために、比較例1で作製した試料の場合には、約400視野の観察を行わなくてはならなかったが、実施例1で作製した試料の場合には、同倍率で8視野の観察で済み、比較例1では観察に多大な時間を要した。
【0035】
(実施例2)
実施例1で使用したものと同様の化学組成の鉄鋼材料を用いて、同様の大きさに切り出し、同様に埋め込み研磨したものを試料とした。さらに、実施例1と同様の電解処理、および介在物や析出物の分散処理を行い、10mlのメタノール中に介在物や析出物を分散させた。次に、パラフィンを含浸した20mm×20mmのナイロンメッシュに、このメタノール分散液全量を滴下・乾燥し、試料とした。
【0036】
一方、TiN粉末試薬0.2gをメタノール100mlに添加し、超音波で均一に分散したのち、正確に1mlを分取して、メタノールで100mlに定容し、さらにここから正確に、0.1、0.2、0.3、0.5mlを分取後、それぞれを、パラフィンを含浸した20mm×20mmのナイロンメッシュに滴下・乾燥した。この操作により、TiN粉末を分散・付着した標準試料を作製し、これらの標準試料を用いてTiの蛍光X線測定を行い、図2に示すようなTi量と蛍光X線強度の関係を示す検量線を作成した。
【0037】
次に、鉄鋼材料から作製した試料を用いて、Tiの蛍光X線測定を行った。その結果を図2の図中に黒丸印で示すが、試料中には6.6μgのTiを含有していることがわかった。この結果は、電解抽出残渣を酸およびアルカリで化学的に溶解し、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析法で濃度測定して求めた結果と一致した。
従って、介在物や析出物の濃度測定は、従来は、前処理に長時間を要するICP発光分光分析で行っていたところを、本発明法によれば、蛍光X線測定が可能であり、従来法に比べて、簡便で迅速なTiの定量が可能であることが明らかとなった。
【0038】
(実施例3)
質量%で、Cを0.1%、Mnを1.5%、Sを0.1%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である鉄鋼試料を用い、これを20mm×10mm×5mmの大きさに切り出し、20mm×10mmの面を露出させて樹脂に埋め込み、露出した試料面を研磨して酸化膜を除去したものを試料とした。
次に、試料を陽極として、白金電極が陰極となるように配線し、2体積%トリエタノールアミン−1質量%TMAC−メタノール混合溶液中で、−150mV対銀−塩化銀電極の定電位で100Cのクーロン量を流して電解し、試料中の介在物や析出物を抽出した。その後、外周に環状の磁石を設置した容量20mlのビーカーに、10mlのメタノールを入れ、さらに、電解液から取り出した試料を入れた。これに超音波を照射したところ、電解抽出残渣中に含まれるセメンタイトが磁力によってビーカー外壁に付着し、これ以外の介在物や析出物はメタノール内に均一に分散した。これをピペットで取り、20mm×20mmの大きさのシリコンウェハ上に滴下し、乾燥させ、SEM観察を行った。
【0039】
SEM観察の結果、粒径0.1〜1μmのMnS粒子が、1mm2あたり1.3×105個分散している様子が観察でき、この値から、鉄鋼試料1mm3中に含有される粒径0.1〜1μmのMnS粒子は、約1.5×107個と算出できる。一方、磁石によるセメンタイトの分離を行わない場合には、セメンタイトの妨害により、SEM観察によるMnS粒子の計測は困難であった。
【0040】
(比較例2)
実施例3で使用したものと同様の化学組成の鉄鋼材料を用いて、実施例3と同様の方法で試料を作製し、同様の方法で電解処理を行い、試料中の介在物や析出物の粒子を抽出した。その後、容量20mlのビーカーに、10mlのメタノールを入れ、さらに、電解液から取り出した試料を入れ、これに超音波を照射し、粒子を均一に分散した。
この分散液をレーザー回折粒度分布計で測定したところ、図3に示すように、セメンタイトの妨害により、1μm以下の粒子は検出できなかった。
【0041】
(実施例4)[治具を用いたサンプル]
実施例3で使用したものと同様の化学組成の鉄鋼材料を用いて、実施例3と同様の方法で試料を作製し、同様の電解を行い、試料中の介在物や析出物を析出させた。その後、試料を電解液から取り出し、10mlのメタノールを入れた容量20mlのビーカーに入れ、これに超音波を照射し、介在物や析出物を均一に分散した。次に、メタノールを加温し、一部を蒸発させて全量1mlとした。
一方、図1に示したような中央部に窪みを有し、その窪みの周囲に磁石1が埋め込んであるアルミニウム製の治具の中央部に、20mm×20mmのナイロンメッシュを挟み、治具ごとホットプレート上で加熱しながらメッシュにパラフィンを含浸させ、その後冷却してナイロンメッシュを治具の窪みの形状に成型し、この上から炭素膜を蒸着した。
【0042】
次に、このナイロンメッシュの凹部に前記分散液1mlを滴下し、さらに治具ごと超音波洗浄機の中に入れ、超音波を照射しながらメタノールを乾燥させた。超音波を照射することにより、TEM観察を妨害するセメンタイトのみがメッシュ周辺部の磁石に引き寄せられ、それ以外の粒子を均一に分散させながら乾燥させることができた。
その後、約50℃に加温した酢酸メチル中でパラフィンを溶解し、炭素膜がナイロンメッシュ上に載った状態の試料を作製した。次に、メッシュごと3mmφの大きさに切り取って、TEM試料に供した。TEM観察の結果、粒子径10〜100nmのCuSが4.3×104個/mm2の密度で分散しているのが観察された。この値から、鋼中のCuS密度は、約5×106個/mm3と算出できた。
【0043】
(比較例3)
実施例1で使用したものと同様の化学組成の鉄鋼材料を用いて、比較例1で示した従来のレプリカ作製法(金属学会セミナー 局所領域のキャラクタリゼーション(II)79ページ(1994年9月5日発行))でレプリカ試料を作製し、TEM観察を行った。
この試料をTEM観察したところ、セメンタイトの妨害により、粒子径100nm以下の粒子は観察できなかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のレプリカ作製法よりも粒子密度の高い試料を作製でき、TEM観察および分析時間を短縮することを可能とする。
さらに、従来のレプリカ試料よりも広い面積の試料を作製することにより、従来のレプリカ試料によるTEM観察時間と同等の時間で、より多数または多量の介在物の評価を行うことを可能とし、金属材料中の介在物や析出物の化学組成、粒径分布、金属材料母材中分散密度などに関して、代表性の高いデータを得ることができる。
またさらに、TEM観察以外に、光学顕微鏡、SEM、X線分析等の複数の評価法にも使用可能な試料を提供することができる。本発明は、金属材料中の介在物又は析出物の評価・分析技術の効率化・高精度化をもたらす効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成型治具の概要を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】標準試料から作成した、Ti量と蛍光X線強度の関係を示す検量線である。
【図3】レーザー回折粒度分布計で測定した、粒子径と個数分率の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 磁石
Claims (8)
- 金属試料を電解液中で電気分解し、該試料中に含有される介在物粒子や析出物粒子を該試料表面に抽出し、次いで、抽出した介在物粒子や析出物粒子を有機溶媒中に分散した分散液を調製し、次いで、該分散液を固体平板表面あるいはメッシュ上に滴下し、乾燥させて評価試料を作製し、該評価試料を観察して、抽出した介在物および析出物の評価を行うことを特徴とする金属中の介在物および析出物の評価方法。
- 前記分散液に超音波を照射することを特徴とする請求項1に記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
- 前記分散液を入れた容器の外周全部または一部に、磁石を設置することを特徴とする請求項1または2に記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
- 前記メッシュの成型治具として、凹部を有する部材と凸部を有する部材から構成され、かつ、該凹部と該凸部とが嵌合可能な形状を有する治具を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
- 前記凹部を有する部材の凹部の壁面の周囲全部または一部に、磁石を設置することを特徴とする請求項4に記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
- 前記評価方法が、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、蛍光X線分析器、光学顕微鏡のいずれか一種以上を用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属中の介在物および析出物の評価方法。
- 金属中の介在物および析出物の評価に用いるための試料作製のための治具であって、凹部を有する部材と凸部を有する部材から構成され、かつ、該凹部と該凸部とが嵌合可能な形状を有することを特徴とする治具。
- 前記凹部を有する部材の凹部の璧面の周囲全部または一部に、磁石を設置することを特徴とする請求項7に記載の治具。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070925 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080212 |