JP2010122437A - 半導電性ポリイミドベルト - Google Patents

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【課題】低湿下での不均一な逆転写を抑制できる多層半導電性ポリイミドベルの提供。
【解決手段】二層以上の抵抗層が積層されてなる半導電性ポリイミドベルトであって、少なくとも一層の抵抗層に導電性フィラーを含有し、ベルト外周面の印加電圧100Vにおける表面抵抗率が10〜13logΩ/□であって、体積抵抗率 logΩ・cmの数値が表面抵抗率 logΩ/□の数値よりも0.3〜1.5低いことを特徴とする半導電性ポリイミドベルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドを主成分とする半導電性ポリイミドベルトに関する。
ポリイミドは、高い機械特性を有し、電気絶縁性、耐熱性に優れ、電気・電子材料、耐熱材料等の各分野において幅広く使用されている。OA機器用部材においては導電性フィラーを添加することによってポリイミドの耐熱性、機械特性を活かしつつ、ポリイミド樹脂組成物に導電性を付与する試みが行われている。例えば、中間転写ベルトの従来技術に関する文献としては次のものが挙げられる。
導電性フィラーであるカーボンブラックの凝集が抑制され、電気抵抗値のバラツキが小さい半導電性ポリイミドベルトの製造に適するポリアミド酸溶液の製造方法及びそれにより製造される単層の半導電性ポリイミドベルトが開示されている(特許文献1)。しかし、該ベルトは表面抵抗率を高い領域に制御すると体積抵抗率も高くなり、結果としてトナーの転写不良が発生し、色抜けなどの画質不良が発生するという問題がある。これは転写システムがシステム内の電圧や電流を自動で一定に制御するため、体積抵抗率の高いベルトをシステムに組むとベルトへの負荷が大きくなるからである。
またポリイミド系樹脂を主体とし、カーボンブラックの含有量を異なるものとした表面抵抗率の異なる複数の層からなる半導電性ベルトが提案されている(特許文献2)。しかし、該ベルトは体積抵抗率がlog(対数)で3以上小さく、該ベルトを転写システムに組み込んだ場合、体積抵抗率が低すぎて転写される画像に白抜けが発生してしまうことがある。これは体積抵抗率が低すぎてトナーがベルトに精度良く転写されないからである。
特開2003−277502号公報 特開平7−156287号公報
従来の中間転写ベルトでは、低湿下で画出しするとベルトから黒の感光体へトナーの不均一な移動が生じていた。特に表面抵抗率の高い領域では顕著となる。本発明者が従来技術に従い、金型内面に溶液を塗布・焼成して中間転写ベルトを作製すると、印加電圧100Vで測定した際に表面抵抗率11.88logΩ/□、体積抵抗率11.62 logΩ・cmの特性バランスをもったベルトが作製でき、低湿下で画出しすると感光体への不均一な移動が生じていた。これは二次転写像の画質の安定性および信頼性に欠けることを意味している。上記事情に鑑み、本発明の課題は、低湿下でも不均一な逆転写を抑制できる半導電性ポリイミドベルを提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ベルトの体積抵抗率が逆転写に大きな影響を及ぼすことを突き止めた。ところが一般的に表面抵抗率と体積抵抗率は独立して制御することは難しい。そこでポリイミド樹脂塗膜を多層化し、各層の導電性フィラーの含有量を異なるものとし、表面抵抗率を固定しながら体積抵抗率を制御することを試みたところ、表面抵抗率11.80logΩ/□、体積抵抗率10.98 logΩ・cmと通常の中間転写ベルトより体積抵抗率を下げたベルトが作製できた。本ベルトは上記課題で述べた低湿下での不均一な逆転写を抑制でき、電子写真記録装置等における中間転写ベルトを提供できるまでに至った。すなわち本発明は、
[1]二層以上の抵抗層が積層されてなる半導電性ポリイミドベルトであって、少なくとも一層の抵抗層に導電性フィラーを含有し、ベルト外周面の印加電圧100Vにおける表面抵抗率が10〜13logΩ/□であって、体積抵抗率 logΩ・cmの数値が表面抵抗率 logΩ/□の数値よりも0.3〜1.5低いことを特徴とする半導電性ポリイミドベルト、
[2]前記半導電性ポリイミドベルトが、表層に設けられた高抵抗層と、前記高抵抗層の内側に設けられた低抵抗層を有し、前記低抵抗層に含まれる導電性フィラーの重量濃度に対する前記高抵抗層に含まれる導電性フィラーの重量濃度の比率が0.5〜0.95である、上記[1]記載の半導電性ポリイミドベルト、
である。
二層以上の抵抗層が積層されてなる半導電性ポリイミドベルトであって、少なくとも一層の抵抗層に導電性フィラーを含有し、ベルト外周面の印加電圧100Vにおける表面抵抗率が10〜13logΩ/□であって、体積抵抗率 logΩ・cmの数値が表面抵抗率 logΩ/□の数値よりも0.3〜1.5低いことを特徴とする半導電性ポリイミドベルトにより低湿下での不均一な逆転写の抑制を可能とした。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の半導電性ポリイミドベルトは、二層以上の抵抗層が積層されてなる半導電性ポリイミドベルトにおいて、少なくとも一層の抵抗層に導電性フィラーを含有し、ベルト外周面の印加電圧100Vにおける表面抵抗率が10〜13logΩ/□であって、体積抵抗率 logΩ・cmの数値が表面抵抗率 logΩ/□の数値よりも0.3〜1.5低いことを特徴とする半導電性ポリイミドベルトである。
多層半導電性ポリイミドベルトは、例えば原料として導電性フィラーを分散していてもよいポリアミド酸溶液を金型に塗布し、さらに該塗膜面に導電性フィラーの含有量の異なるポリアミド酸溶液を塗布し、次いでポリアミド酸溶液の溶媒を加熱等により除去し、脱水閉環水の除去及びイミド転化反応を完結することにより得られる。
本明細書中、表面抵抗率とはベルト外周面に対応する表面抵抗率をいう。また、ここでベルト外周面とは、円筒状となっているベルトの円筒外周面をいう。
表面抵抗率の測定は、(株)三菱化学製 Hiresta−UP MCP−HT 450に接続したリングプローブをベルト表面に押し当てて測定する。その際、印加電圧を100Vとする。より具体的には、25℃、25%RHの環境下で19.6Nの荷重をかけてURプローブ(円柱状電極Cの外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を押し当て、電圧印加10秒後の抵抗率を測定する。
本明細書中、体積抵抗率とは多層化ベルトを後述する評価方法にて測定した測定試料の単位体積あたりの抵抗率をいう。
体積抵抗率の測定は、(株)三菱化学製 Hiresta−UP MCP−HT 450に接続したリングプローブをベルト表面に押し当てて測定する。その際、印加電圧を100Vとする。より具体的には、25℃、25%RHの環境下で19.6Nの荷重をかけてURプローブ(円柱状電極Cの外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を押し当て、電圧印加30秒後の抵抗率を測定する。
一般的に体積抵抗率を下げると表面抵抗率まで低下するため、外周の表面抵抗率と体積抵抗率の差を大きくすることは困難となる。従って、高精細な転写画像を得るためには外周の高い表面抵抗率を維持したまま、体積抵抗率を下げる必要がある。そこで、本発明は外周の表面抵抗率を一定に保持したまま体積抵抗率を下げるために導電性フィラーの含有量が異なる二層以上の多層からなるベルトとした。これにより表層(第一層)に高抵抗層を、裏層(裏面、第二層)に低抵抗層を設けることができ、表面抵抗率が高く、体積抵抗率の低いベルトを作ることができる。
本明細書において「導電性フィラー」とはプラスチックス(樹脂)に添加される粒子や粉状の物質で特に導電性を持つものをいう。
本発明は、導電性フィラーを含有する多層半導電ポリイミドベルトであって、各層ごとの導電性フィラーの含有量が異なることを特徴とする。例えば、二層であるベルトにおける導電性フィラーの含有比率としては、第一層(外周面に対応する面に相当する層を第一層という)のフィラーの重量濃度は、他方の層の重量濃度の好ましくは0.95倍以下、より好ましくは0.9倍以下である。なお、このような比率の下限は特に制限されないが、発明の効果を適切に得るためには0.5倍以上が好ましい。
導電性フィラーの含有量については、目的とする導電性及び添加するフィラーの種類により適宜決定されるが、画像形成装置用機能性ベルトとしては、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%である。3重量%より少ないと抵抗が高すぎて多層化時の抵抗制御が困難であり、40重量%より多いと抵抗が低すぎて多層化時の抵抗制御が困難となるからである。多層化する際には表面抵抗率を高く設計するためにベルト外周面よりも内周面の導電性フィラーの量を多くすることが好ましい。例えば、実施例1に従い導電性フィラーであるカーボンブラック部数の異なる二層ベルトを作製すると、表面抵抗率11.80logΩ/□、体積抵抗率10.98 logΩ・cmと通常の中間転写ベルトより体積抵抗率を下げたベルトが作製できる。一方、比較例1の方法に従い単層のベルトを作製すると、表面抵抗率は11.88logΩ/□、体積抵抗率は11.62 logΩ・cmとなり、上記の二層化した場合と比べ表面抵抗率と体積抵抗率が近似したものとなる。
本発明のベルトの表面抵抗率は常用対数値で10〜13 logΩ/□の範囲が好ましく、10〜12 logΩ/□がより好ましい。表面抵抗率が10logΩ/□未満であるとトナーの飛散、白抜けが発生しやすくなり、13 logΩ/□を超えると黒の感光体への不均一なトナーの移動の原因となる放電現象が発生しやすくなるからである。また体積抵抗率の数値は表面抵抗率の数値よりも小さいことが好ましく、黒の感光体への不均一なトナーの移動を防ぐために0.3以上小さいことが好ましい。とりわけ0.3〜1.5小さいことが好ましい。
本発明のポリイミドベルトの多層化にあたっては、一層ごとに塗布・イミド転化する方法、もしくは塗布により導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を多層化してからイミド転化する方法のいずれを用いてもよく、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、工数削減による合理化の観点から導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を多層化してからイミド転化する方法が好ましい。
導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液は、溶媒に導電性フィラーを均一分散した後、テトラカルボン酸二水和物又はその誘導体とジアミン成分を溶解し、重合させることで調製する。
本発明に用いるテトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。特に限定されないが、弾性率を上げるためには3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
本発明に用いるジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。特に限定されないが、弾性率を上げるためには4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミンが好ましい。
本発明に用いる有機極性溶媒は、導電性フィラーの分散性を高めるものであれば特に制限されないが、例えば導電性フィラーがカーボンブラックである場合にはカーボンブラックの分散用と重合反応の溶媒用とを兼用できるN,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のものとしてN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは、蒸発、置換又は拡散によりポリアミド酸及びポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併せて使用しても差し支えない。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独でもしくは併せて混合することもできる。
重合反応の際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定され、通常、10〜30重量%程度が好ましい。また、反応温度は通常10℃〜80℃、特に20℃〜60℃に設定することが好ましく、反応時間は0.5〜4時間程度に設定することが好ましい。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成されるならば、上記のテトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分を共重合したものでもブレンドしたものでも構わない。
導電性フィラーとしては、例えばカーボンブラックを選択した場合、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独使用することもでき、または複数種類のカーボンブラックを併用してもよい。これらのカーボンブラックの種類は、特に限定はされないが、中間転写ベルトの中抵抗から高抵抗域において制電性が必要である場合は、特にチャンネルブラックやファーネスブラックが好適に用いられ、その用途によっては酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや溶媒への分散性を向上させたものを用いると好ましい。
具体的にファーネスブラックとしては、デグサ・ヒュルス社製の「SpecialBlack 550」、「Special Black 350」、「Special Black 250」、「Special Black 100」、「Printex 35」、「Printex 25」、三菱化学株式会社製の「MA 7」、「MA 77」、「MA 8」、「MA 11」、「MA 100」、「MA 100R」、「MA 220」、「MA 230」、キャボット社製、「MONARCH 1300」、「MONARCH 1100」、「MONARCH 1000」、「MONARCH 900」、「MONARCH 880」、「MONARCH 800」、「MONARCH 700」、「MOGUL L」、「REGAL 400R」、「VULCANXC−72R」等が挙げられ、チャンネルブラックとしては、デグサ・ヒュルス社製の「Color Black FW200」、「Color Black FW2」、「Color Black FW2V」、「Color Black FW1」、「Color Black FW18」、「Special Black 6」、「Color Black S170」、「Color Black S160」、「Special Black 5」、「Special Black 4」、「Special Black 4A」、「Printex 150T」、「Printex U」、「Printex V」、「Printex 140U」、「Printex 140V」等が挙げられる。特に限定されないが、制電性の観点からSpecial Black 4(デグサ・ヒュルス社製)が好ましい。なお、多層化する際には各層ごとカーボンブラックを選択することができ、本目的を達成するものであれば組合せは特に限定されないが、合理化の観点から同一のカーボンブラックの組み合わせが好ましい。
カーボンブラックと前記有機極性溶媒との親和性を高めるために分散剤をさらに添加することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
カーボンブラックの分散方法には公知の分散方法を適用でき、たとえば、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、超音波分散等の方法が挙げられ、これらの分散方法を適宜選択して分散作業を行う。
イミド転化は高温加熱による方法もしくは、ポリアミド酸に触媒単独あるいは触媒と脱水剤を併用して低温加熱する方法のいずれを用いてもよく、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない。
導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液、脱水剤および脱水反応の触媒機能を示す試薬を含有する溶液を作製し、金型の内面または外面に前記溶液を塗布した後、乾燥させイミド化する。この際の加熱温度は通常200℃〜400℃であり、イミド化を完結させて優れた機械特性を得るため、250℃〜350℃が好ましい。200℃未満であると溶剤が残りやすく、機械特性が向上しない。一方、400℃を超えると熱分解が生じて機械特性が低下することとなる。
前記金型の形状は特に限定されないが、対称性があり生産が容易な金属円筒形状が好ましい。
脱水剤としては、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。それらのうち、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族無水物またはそれらの2種以上の混合物が、好ましく用いられる。
脱水反応の触媒機能を示す試薬としては、第3級アミンが好ましく、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、イミダゾールなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例等における評価は下記のようにして行った。
実施例1
Special Black 4(デグサ・ヒュルス社製)173gを分散させたN−メチルピロリドン溶液にp−フェニレンジアミン108g、4,4’−ジアミノジフェニルメタン200g、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物588gの順に添加した。増粘後60℃まで加温して、カーボンブラック17重量%、固形分20重量%のカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を得た(1)。
Special Black4(デグサ・ヒュルス社製)214gを分散させたN−メチルピロリドン溶液にp−フェニレンジアミン108g、4,4’−ジアミノジフェニルメタン200g、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物588gの順に添加した。増粘後60℃まで加温して、カーボンブラック21重量%、固形分20重量%のカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を得た(2)。
上記(1)で得たポリアミド酸溶液を、内径60mm、長さ850mmの円筒状金型の内面にディスペンサーで塗布し、均一な塗膜面を得た。その後、その塗膜面の上に上記(2)のポリアミド酸溶液をディスペンサーで塗布し、均一な塗膜面を得た。130℃で20分間予備乾燥し、次いで340℃で10分間加熱してイミド転化を行い、一層目の厚みが19μm、二層目の厚みが43μmである二層の半導電性ポリイミドベルトを得た。
このベルトの表面抵抗率、体積抵抗率を評価したところ、それぞれ11.80 logΩ/□、10.98 logΩ・cmであって、低湿環境下で24時間置いた後に、画出しを行い、黒の感光体を取り出して表面観察したところ、感光体上にはトナーが認められなかった。
比較例1
Special Black 4(デグサ・ヒュルス社製)164gを分散させたN−メチルピロリドン溶液にp−フェニレンジアミン108g、4,4‘−ジアミノジフェニルメタン200g、3,3‘−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物588gの順に添加した。増粘後60℃まで加温して、カーボンブラック18重量%、固形分20重量%のカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を得た。
ポリアミド酸溶液を、内径60mm、長さ850mmの円筒状金型の内面にディスペンサーで塗布し、均一な塗膜面を得て、実施例1と同様にイミド転化させ、単層の半導電性ポリイミドベルトを得た。
次いで、このベルトの表面抵抗率、体積抵抗率を評価したところ、それぞれ11.88 logΩ/□、11.62 logΩ・cmであって、低湿環境下で24時間置いた後に、画出しを行い、黒の感光体を取り出して表面観察したところ、感光体上にはトナーが認められた。

Claims (2)

  1. 二層以上の抵抗層が積層されてなる半導電性ポリイミドベルトであって、少なくとも一層の抵抗層に導電性フィラーを含有し、ベルト外周面の印加電圧100Vにおける表面抵抗率が10〜13logΩ/□であって、体積抵抗率 logΩ・cmの数値が表面抵抗率 logΩ/□の数値よりも0.3〜1.5低いことを特徴とする半導電性ポリイミドベルト。
  2. 前記半導電性ポリイミドベルトが、表層に設けられた高抵抗層と、前記高抵抗層の内側に設けられた低抵抗層を有し、前記低抵抗層に含まれる導電性フィラーの重量濃度に対する前記高抵抗層に含まれる導電性フィラーの重量濃度の比率が0.5〜0.95である、請求項1記載の半導電性ポリイミドベルト。
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