JP2008090229A - シームレスベルト及びその製造法 - Google Patents

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智之 笠置
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Abstract

【課題】カーボンブラックの凝集を抑制して、ベルトの経時劣化による電気抵抗値の低下、およびこれに起因する画像上の不具合を防止でき、耐久性に優れた半導電性シームレスベルトを提供する。
【解決手段】カーボンブラックを含有するポリイミド樹脂組成物からなるシームレスベルトであって、印加電圧100Vで測定した表面抵抗率(logΩ/□)と体積抵抗率(logΩ・cm)との差が1.5以内であることを特徴とするシームレスベルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、シームレスベルトおよびその製造方法に関し、プリンター、複写機、ビデオプリンター等の電子写真方式の画像形成装置における半導電性シームレスベルトなどに特に有用である。
ポリイミドはその高い機械的特性、電気的絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れるため、宇宙・航空機用材料、電気・電子材料、耐熱繊維材料等の各分野において広く使用されている。例えば、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルより製造される芳香族ポリイミドや、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等分とp−フェニレンジアミンから製造される芳香族ポリイミドは、優れた耐熱性、機械的特性を有するフィルムとして多くの分野で使用されている。
また、OA機器用の部材等において、中抵抗から高抵抗の間の半導電性シームレスベルトが使用されている。これら、シームレスベルトの材料としては、成形性が良いこと、軽量であること等の理由からプラスチック材料が使用される。このプラスチック材料としては、耐熱性、機械的強度、耐環境特性に優れることから、カーボンブラックをポリイミド樹脂中に均一に分散させたポリイミド樹脂組成物の半導電シームレスベルトの検討がなされており、例えば、カーボンブラックを解砕処理して、二次凝集粒子の発生を抑制した半導電性シームレスベルトが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許第3581046号公報
しかしながら、このベルトは、その製造工程において特殊な解砕処理装置によってカーボンブラックを分散させる必要があり、処理工程が煩雑である。また、解砕処理を施しても、その後の加熱処理工程において、ポリイミド前駆体溶液であるポリアミド酸ワニスの流動によりカーボンブラックの凝集が発生する。この状態では、表面抵抗率[logΩ/□]と体積抵抗率[logΩ・cm]との差が大きくなる結果、ベルトの経時劣化が進行し、電気抵抗値の低下を生じて半導電性シームレスベルトの寿命の短命化につながり、ベルトの交換等またはメンテナンスの手間とランニングコストを押し上げることとなる。
そこで、本発明の目的は、カーボンブラックの凝集を抑制して、ベルトの経時劣化による電気抵抗値の低下、およびこれに起因する画像上の不具合を防止でき、耐久性に優れた半導電性シームレスベルトを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、ポリイミド前駆体溶液の溶媒に着目し、カーボンブラックの凝集と溶媒蒸発との関係について鋭意研究を重ねた結果、以下に示すシームレスベルトおよびその製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のシームレスベルトは、カーボンブラックを含有するポリイミド樹脂組成物からなるシームレスベルトであって、印加電圧100Vで測定した表面抵抗率[logΩ/□]と体積抵抗率[logΩ・cm]との差が1.5以内であることを特徴とする。
本発明のシームレスベルトは、導電性物質であるカーボンブラックがポリイミド樹脂中に均一に分散されており、ベルトの表面抵抗率と体積抵抗率との差が小さく、ベルトの経時劣化による電気抵抗値の低下を抑制でき、ベルトの表面抵抗率のバラツキも少ない。このため、本発明のベルトによれば、経時的な画質劣化が抑制され、優れた画像を長期に亘り保持することが可能となる。
前記シームレスベルトにおいて、前記カーボンブラックが、揮発分1.0%以上のカーボンブラックを少なくとも1種類含有することが好ましい。かかるベルトによれば、カーボンブラックの凝集がさらに抑制され、ベルトの表面抵抗率のバラツキや経時的な抵抗低下の発生をより確実に抑制することができる。
前記シームレスベルトにおいて、前記ポリイミド樹脂組成物が、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液を加熱して溶媒を80%以上除去した後、200℃以上の加熱でイミド転化することにより得られることが好ましい。かかるベルトは、カーボンブラックがポリイミド樹脂組成物中に均一に分散され、経時劣化による電気抵抗値の低下、ベルト寿命の短命化を抑制することができる。
本発明のシームレスベルトの製造方法は、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液を加熱して溶媒を80%以上除去した後、200℃以上の加熱でイミド転化反応を行うことを特徴とする。
本発明者は、上記製造方法によって、ポリイミド前駆体溶液であるポリアミド酸ワニスの流動を抑制して、ポリイミド樹脂組成物中にカーボンブラックを均一に分散できることを見出したもので、この方法によれば、ベルトの表面抵抗率のバラツキが少なく、経時劣化による電気抵抗値の低下を抑制し、長期に亘り高品質の画像を提供できるシームレスベルトを製造することができる。
前記製造方法において、前記溶媒が、沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤と沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤とを含有する混合溶剤であって、前記沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤と前記沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤との重量比が1/9〜7/3の範囲であることが好ましい。かかる方法によれば、溶媒除去が確実且つ効率的に行われ、カーボンブラックがより均一に分散されたシームレスベルトを製造することができる。
本発明のシームレスベルトは、均一で安定した電気抵抗の部材が得られるだけでなく、電気的負荷や経時の使用にも抵抗変動を起こすことなく、初期の抵抗値を安定して保つことができる。また、電子写真方式の中間転写ベルト、転写搬送ベルト、転写定着ベルト等の画像形成装置用ベルトとして長期に渡り抵抗率等の初期の特性を保持することができ、本発明のシームレスベルトを用いた画像形成装置は高品質な画像を長期に亘り保持することができる。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、少なくとも導電性物質としてカーボンブラックを含有する。本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が挙げられ、単独及び複数種類のカーボンブラックを併用してもよい。
本発明においては、揮発分が1.0%以上、より好ましくは1.5%以上のカーボンブラックを少なくとも1種類含有することが好ましい。
このようなカーボンブラックとしては、デグサ社製カラーブラックFW200、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW1、カラーブラックFW18、スペシャルブラック6、カラーブラックS170、カラーブラックS160、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、プリンテックス150T、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック550、スペシャルブラック350、スペシャルブラック250、スペシャルブラック100、三菱化学社製MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA230、MA220、キャボット社製MONARCH700、MONARCH800、MONARCH880、MONARCH900、MONARCH1000、MONARCH1300、MONARCH1400、MOGUL−L、REGAL400R、VULCAN XC−72R等が挙げられる。
本発明におけるカーボンブラックの揮発分(V)は、JIS K 6221に準じ、加熱前の重量(W)と、950℃で7分間加熱した後の重量(W)を測定し、次式より算出したものである。
V=(W−W)/W×100
揮発分の成分はカーボンブラック粒子の表面に存在するカルボキシル基、キノン基、フェノール基、ラクトン基、キノイドカルボニル基、ピロール基等の酸素含有基を含む化合物であることが知られており、本発明においては揮発分が1.0%以上、より好ましくは1.5%以上のカーボンブラックを少なくとも1種類含有すると、ポリイミド樹脂中での分散性が向上し、抵抗バラツキが小さくなり好ましい。
また、本発明に用いるカーボンブラックは、その表面をスチレンやメタクリル酸メチル等のポリマーでグラフト化したり、他の方法で絶縁材を被覆したりすることで電気抵抗を制御してもよく、また酸化処理等によりカーボンブラック表面に処理を施してもよい。
本発明に用いるカーボンブラックの平均粒子径は、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは、0.1〜0.7μmである。平均粒子径が0.05μm未満のカーボンブラックは実質的に入手困難であり、平均粒子径が1μmを超える場合は、ベルトの表面粗さ、機械強度、電気抵抗制御性の観点から実用上満足できるものが得られ難い。
本発明のシームレスベルトにおいて、ベルトの表面抵抗率[logΩ/□]と体積抵抗率[logΩ・cm]との差は1.5以内であり、好ましくは1.3以内である。表面抵抗率と体積抵抗率との差が1.5を超えると、ベルトの経時劣化による電気抵抗値の低下が起こりやすく、ベルト寿命の短命化に繋がる。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記カーボンブラックを少なくとも含有したポリイミド前駆体溶液を、溶媒の除去、イミド転化反応を行うことにより得ることができる。本発明に用いるポリイミド樹脂は公知のものを使用することができ、酸無水物とジアミンを溶媒中で重合反応させてなり、特に芳香族ポリイミド樹脂であると、得られるベルトの機械的強度や耐熱性、寸法安定性が好ましい。
本発明に用いる有機極性溶媒は、特に限定されないが、非プロトン性溶剤であることが好ましい。前記非プロトン性溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびテトラメチレンスルホン等が挙げられる。
また、これらの非プロトン性溶剤を混合した混合溶剤を用いることが好ましく、沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤と沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤とを含有する混合溶剤であって、前記沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤と前記沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤との重量比が1/9〜7/3の範囲であることがより好ましい。前記重量比が1/9未満であると、蒸発不足となり、7/3を超えると、発泡しやすくなる。なお、沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチレンスルホン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、等が挙げられる。
本発明においては、カーボンブラックと溶媒の親和性を高めるための分散剤を添加することができる。この分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。
高分子分散剤について具体的には、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N‐ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピベリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。
また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
更に、発明の効果を損なわない限り、カーボンブラックと溶媒に酸化防止剤、イミド化促進剤、離型剤といった付加成分を含んでもよい。
本発明のポリイミド樹脂組成物を得るために、酸二無水物成分としてはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方ジアミンとしては4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−t−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン,1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHOCHNH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
これらの材料より本発明のポリイミド樹脂組成物を得るためには、有機極性溶媒中にジアミンと酸無水物を溶解し、重合反応後得られたポリイミド前駆体溶液中にカーボンブラックを添加し混合攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を得る方法、有機極性溶媒中に予めカーボンブラックを均一に分散しカーボンブラック分散液を作製した後、この中にジアミン及び酸無水物を溶解し、重合反応してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を得る方法等が挙げられるが、カーボンブラックの分散性を均一にするためには、有機極性溶媒中に予めカーボンブラックを均一に分散して分散液を作製した後、重合を行いポリイミド前駆体溶液を得る方法が好ましい。
以下に本発明のシームレスベルトを得るために好ましい製造方法の一例を説明する。
まず、上記有機極性溶媒中にカーボンブラック、及び適宜高分子分散剤を添加、分散したカーボンブラック分散液を作製する。このとき、これらの材料を公知の分散方法が適用でき、ポールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散等の方法が考えられ、適宜の方法にて分散作業を行う。
このようにして得られたカーボンブラック分散液中に、上記ジアミン及び酸二無水物を溶解、混合攪拌して重合反応を進行させてポリイミド前駆体溶液を得る。各材料の添加量に関しては、最終的に得られるポリイミド組成物の目的とする用途、目的により、これに適合した組成を実験的に検討する必要がある。例えば、本発明の表面抵抗率の常用対数値が8〜13[logΩ/□]であるシームレスベルトを得るためのカーボンブラックの添加量は、ポリイミド固形分に対し10〜40重量%、より好ましくは13〜30重量%である。10重量%未満であると、上記抵抗領域を発現するためには高導電性カーボンブラックを用いる必要があり、このような高導電性カーボンブラックを低添加量で加える場合には、安定した抵抗を再現よく製造するのが困難となるため好ましくない。一方、40重量%より多いとポリイミド樹脂本来の高い機械特性が損なわれ、脆性が発現しベルトを複数の駆動ローラ等により駆動する際に、ベルト端面に亀裂が生じるため好ましくない。
上記ポリイミド前駆体溶液のモノマ−濃度(溶媒中における酸二無水物成分とジアミン成分)は、種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、反応時間は0.5〜10時間が好ましい。ポリイミド前駆体溶液は、重合反応の進行に従い溶液粘度が増大するため、粘度を調整することができる。本発明においてポリイミド前駆体溶液の粘度は、1〜1000Pa・sである。また、溶媒の添加等によりモノマ−濃度による粘度の調整も可能である。このようにして得られたポリイミド前駆体溶液は、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、イミド転化反応してポリイミド組成物を得ることができる。
本発明のシームレスベルトの製造方法においては、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液を加熱して、溶媒を80%以上、より好ましくは85%以上除去した後、イミド転化反応を行う。溶媒除去が80%未満であると、前駆体溶液であるポリアミド酸ワニスの流動によるカーボンブラックの凝集が起こり、所望の電気特性を発現するベルトが得られにくくなる。
前記溶媒除去は、加熱風を吹き付ける方法などにより行うことができる。加熱温度としては、100〜200℃が好ましく、120〜180℃がさらに好ましい。加熱時間は、加熱温度等により適宜選択されるが、通常10〜30分である。
前記イミド転化反応は、溶媒除去後、さらに200℃以上、より好ましくは300℃以上で加熱して行う。加熱方法としては、加熱炉内を通過させる方法や加熱風を吹き付ける方法などが挙げられるが、方法は特に制限されず、例えば、加熱炉としては放射型、循環風型などが挙げられ、加熱風の形成には、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒータなどが挙げられる。また、金型周囲にコイルを巻き、誘導加熱により直接金型を加温する方法も挙げられる。
前記ポリイミド前駆体溶液に触媒や脱水剤を併用して低温加熱する方法によりイミド転化反応を行ってもよい。前記触媒としては、イミダゾール類、第2級アミン、第3級アミン等が挙げられる。前記脱水剤については、有機カルボン酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、およびチオニルハロゲン化物等が挙げられ、これらの中でも特に有機カルボン酸無水物が好ましい。
有機カルボン酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、およびこれらの分子間無水物、有機カルボン酸無水物の混合物を含む。また、芳香族モノカルボン酸例えば安息香酸、ナフトエ酸等の無水物、これらの混合物および有機カルボン酸無水物の混合物、および炭酸、蟻酸および脂肪族ケテン類の無水物、これらの混合物および有機カルボン酸無水物などが挙げられるが、中でも無水酢酸が好ましい。
様々な形状の成形物について、各々公知の成形法により得ることができる。例えば、フィルム薄膜を得るには、ガラス板、銅板等の平板やエンドレスベルト等に塗布及び流延することにより被膜を形成した後、乾燥等による溶媒除去、閉環水除去、イミド転化反応を行うことにより、ポリイミド樹脂組成物からなるフィルムを得ることができる。
一方シームレスベルトを得るには、円筒状金型内面にポリイミド前駆体溶液を流延あるいは塗布後金型を回転する方法や、弾丸状走行体を自重あるいは気体圧により走行させる方法や、円柱状金型をポリイミド前駆体溶液に浸漬した後引き上げ環状金型等により成形する方法により被膜を形成した後、乾燥等による溶媒の除去、閉環水の除去、イミド転化反応を行う方法等が挙げられ、適宜選択することができる。
以下、本発明の構造と効果を具体的に示す実施例について説明する。なお、実施例等における試験・評価項目は下記のようにして測定を行った。
<評価試験方法>
1.表面抵抗率と体積抵抗率測定
(1)表面抵抗率:
ハイレスタIP、MCP−HTP16(三菱油化製、プローブ:HR−100)にて印加電圧100V、10秒後、測定条件25℃、60%RH環境下で測定を行い、その対数値をとった。
(2)体積抵抗率:
ハイレスタIP、MCP−HTP16(三菱油化製、プローブ:HR−100)にて印加電圧100V、30秒後、測定条件25℃、60%RH環境下で測定を行い、その対数値をとった。また、同一箇所の表面抵抗率と体積抵抗率測定を測定しその差を算出した。
2.抵抗低下試験
中間転写方式の画像形成装置にポリイミド樹脂組成物で作製したシームレスベルトを組み込み、普通紙に印刷した後のベルトの表面抵抗率の低下が対数値で1以上になったときの印刷枚数を計数した。
(実施例1)
N−メチル−2−ピロリドン1800g中にカーボンブラック(揮発分14%、スペシャルブラック4、デグサ社製)200gをボールミルで12時間室温により攪拌する事で分散した後、400ステンレスメッシュでろ過し、カーボン濃度10%のカーボン分散液を得た。このカーボン液1923.39gを5000mLの4つ口フラスコに移し、N−メチル−2−ピロリドン1000gとN、N−ジメチルアセトアミド1040.13gの混合溶剤とp−フェニレンジアミン227.09g(2.1モル)を仕込み、常温で攪拌しながら溶解した。次いで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物617.86g(2.1モル)を添加し室温で6時間攪拌しながら反応させた後、粘度調整を行い、カーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液(固形分20重量%、23℃におけるB型粘度計による溶液粘度150Pa・s)を得た。このポリアミド酸溶液を内径200mm、長さ500mmの円筒状金型内面に供給した後、回転成型機にて1500rpmで10分間回転した後、180℃の熱風を吹き付け溶媒を90%まで除去し乾燥、硬化させた。次に残存溶媒の除去,脱閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行うために380℃まで昇温加熱した後、室温まで冷却して平均厚さ75μmのシームレスベルトを得た。得られたベルトの特性を評価したところ、表面抵抗率は11.5[logΩ/□]、体積抵抗率は10.9[logΩ・cm]、表面抵抗率と体積抵抗率の差(ρs−ρv)は1.1、抵抗低下試験における印刷枚数は、250000枚であった。
(実施例2)
使用溶剤をN−メチル−2−ピロリドン単独とした以外は実施例1と同じ方法で平均厚さ75μmのシームレスベルトを得た。得られたベルトの特性を評価したところ、表面抵抗率は11.1[logΩ/□]、体積抵抗率は9.9[logΩ・cm]、表面抵抗率と体積抵抗率の差(ρs−ρv)は1.2、抵抗低下試験における印刷枚数は、240000枚であった。
(比較例1)
カーボンブラックを電化アセチレンブラック(揮発分0.6%、電気化学社製)とした以外は実施例1と同じ方法で平均厚さ75μmのシームレスベルトを得た。得られたベルトの特性を評価したところ、表面抵抗率は11.2[logΩ/□]、体積抵抗率は8.1[logΩ・cm]、表面抵抗率と体積抵抗率の差は(ρs−ρv)3.1、抵抗低下試験における印刷枚数は、60000枚であった。
(比較例2)
ポリアミド酸ワニスを加熱して溶媒を50%除去した後、加熱でイミド転化した以外は実施例1と同じ方法で平均厚さ75μmのシームレスベルトを得た。得られたベルトの特性を評価したところ、表面抵抗率は10.9[logΩ/□]、体積抵抗率は8.7[logΩ・cm]、表面抵抗率と体積抵抗率の差(ρs−ρv)は2.2、抵抗低下試験における印刷枚数は、120000枚であった。
Figure 2008090229
表1に示すように、所定の抵抗特性を有するシームレスベルトを形成することにより、抵抗低下の少ないシームレスベルトを得ることができる。

Claims (5)

  1. カーボンブラックを含有するポリイミド樹脂組成物からなるシームレスベルトであって、印加電圧100Vで測定した表面抵抗率[logΩ/□]と体積抵抗率[logΩ・cm]との差が1.5以内であることを特徴とするシームレスベルト。
  2. 前記カーボンブラックが、揮発分1.0%以上のカーボンブラックを少なくとも1種類含有することを特徴とする請求項1に記載のシームレスベルト。
  3. 前記ポリイミド樹脂組成物が、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液を加熱して溶媒を80%以上除去した後、200℃以上の加熱でイミド転化することにより得られることを特徴とする請求項1又は2に記載のシームレスベルト。
  4. カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液を加熱して溶媒を80%以上除去した後、200℃以上の加熱でイミド転化反応を行うことを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
  5. 前記溶媒が、沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤と沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤とを含有する混合溶剤であって、前記沸点が200℃未満の非プロトン性溶剤と前記沸点が200℃以上の非プロトン性溶剤との重量比が1/9〜7/3の範囲であることを特徴とする請求項4記載のシームレスベルトの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018077347A (ja) * 2016-11-09 2018-05-17 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置用導電性部材、画像形成装置用転写ユニット及び画像形成装置

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