JP2010121239A - ロープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2種以上の繊維トウが混合された撚糸からなり、少なくとも一部が以下(1)〜(2)を共に満足する高伸度繊維トウAおよび低伸度繊維トウBで構成されるロープ。
(1)Aの伸度/Bの伸度=1.25〜10 であること、
(2)Bの糸長/Aの糸長=1.015〜1.150 であること。
【選択図】図3
Description
例えば、鞘糸でしなやかな触感を持たせてロープのハンドリング、手触り性を紡績糸に近づけるとともに、強力利用率を向上させて高強力化を達成させた複合嵩高糸よりなるポリエステル繊維ロープが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1のロープでは強力が未だ不十分であり、また耐疲労性においても十分な性能は得られない。
また上記した高強力・高弾性率、低伸度の繊維は、撚糸してロープを製造する際、繊維の曳き揃えの状態がロープ全体の物性に与える影響が非常に大きいため、ロープ製造工程での工程通過性に問題が生じたりする等、製造条件の選定が困難で、そのため生産性が低下するという問題があった。
(1)Aの伸度/Bの伸度=1.25〜10 であること、
(2)Bの糸長/Aの糸長=1.015〜1.150 であること。
ここでいう溶融液晶ポリマーとは、溶融相において光学異方性(液晶性)を示す芳香族ポリエステルが主であり、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等から誘導される反復構成単位を有するものであるが、下記化1および化2に示す反復構成単位の組み合わせからなるものが好ましい。
JIS L1013に準拠し、試長20cm、初荷重0.09cN/dtex、引張速度10cm/minの条件にて測定し、5点以上の平均値を採用した。
JIS L1013に準拠し、引張荷重測定機(INSTRON社製)を用い、フルスケール300kgのエア圧着式特殊チャック(エア圧:0.6MPa)を使用して測定した。
JIS L1013に準拠し、引張荷重測定機(INSTRON社製)を用い、フルスケール300kgのエア圧着式特殊チャック(エア圧:0.6MPa)を使用して測定した。測定は、結節点が測定試料長の中央部になるように試料を固定し、測定を行った。
図1(A)に示すように、2つのプーリー間(中心間距離500mm)に試験ロープサンプルを掛け、下部プーリーをS方向に3回転回転させ撚りを加えた後に、一定荷重を掛け、プーリーを80度ずつ往復回転運動させ、撚りを加えた部分に繊維間の摩擦を与える。往復運動1回につき1カウントとし、ロープサンプルが破断した時点でのカウント数で耐摩擦疲労性を評価した。
図1(B)に示すように、上部プーリーと比較して、下部プーリーの径が小さい2つのプーリー間(中心間距離500mm)に試験ロープサンプルを掛けた後、一定荷重を掛け、プーリーを80度ずつ往復回転運動させ、径の小さいプーリーの部分に金属−繊維間の摩擦を与える。往復運動1回につき1カウントとし、ロープサンプルが破断した時点でのカウント数で耐摩擦疲労性を評価した。
ロープを構成する、各トウの無撚り状態での強力を測定し、その強力値の合計をX(N)とする。そのトウを使用し、後述する実施例、比較例の条件で拠り合わせて製造したロープの強力値をY(N)とする。この場合、強力利用率は以下の式で算出される。
(Y/X)×100(%)
繊維トウ;
以下の実施例、比較例において、ロープを構成する繊維トウの内容は以下の通りである。
1.高強力繊維(1)トウ
ポリアリレート繊維(株式会社クラレ製「ベクトラン」(登録商標));
強度24.3cN/dtex、伸度4.5%、単繊維繊度5.6dtex、トウ繊度1100dtex。
2.高強力繊維(2)トウ
ポリアリレート繊維(株式会社クラレ製「ベクトラン」(登録商標));
強度22.8cN/dtex、伸度4.1%、単繊維繊度5.6dtex、トウ繊度1100dtex。
3.PVA繊維トウ
ビニロン(株式会社クラレ製);
強度8.5cN/dtex、伸度9.0%、単繊維繊度2.0dtex、トウ繊度1100dtex。
4.ポリエステル繊維(1)トウ
固有粘度が0.75のポリエステルチップを、真空下230℃で固相重合し、固有粘度が0.89のポリエステルチップを得た。このポリエステルチップを300℃で溶融押し出しし、110ホールの孔を有する金型より吐出させ、1000m/分の速度で捲き取った。その後、3本合糸しながら80℃の水浴で、4.5倍の延伸処理を行い、強度8.0cN/dtex、伸度14.0%、単繊維繊度3.3dtex、トウ繊度1100dtexのポリエステル繊維(1)トウを得た。
5.ポリエステル繊維(2)トウ
固有粘度が0.75のポリエステルチップを300℃で溶融押し出しし、110ホールの孔を有する金型より吐出させ、1000m/分の速度で捲き取った。その後、3本合糸しながら80℃の水浴で、2倍の延伸処理を行い、強度2.9cN/dtex、伸度47.0%、単繊維繊度3.3dtex、トウ繊度1100dtexのポリエステル繊維(2)トウを得た。
なお、ポリエステル繊維(1)および(2)を製造するために用いたポリエステルチップの固有粘度は、測定雰囲気温度35℃、測定溶媒はオルトクロロフェノールを用い、ウベローデ粘度管を用いて測定した。
6.ナイロン6繊維(1)トウ
Ny6チップ((株)宇部興産製「SF1018A」)を275℃で溶融押し出しし、95ホールの孔を有する金型より吐出させ、1000m/分の速度で捲き取った。その後、4本合糸しながら90℃の水浴で、3.5倍の延伸処理を行い、強度5.2cN/dtex、伸度18.0%、単繊維繊度3.5dtex、トウ繊度1330dtexのナイロン6繊維(1)トウを得た。
7.ナイロン6繊維(2)トウ
Ny6チップ((株)宇部興産製「1011FB」)を265℃で溶融押し出しし、95ホールの孔を有する金型より吐出させ、1000m/分の速度で捲き取った。その後、4本合糸しながら90℃の水浴で、2倍の延伸処理を行い、強度2.7cN/dtex、伸度51.0%、単繊維繊度3.5dtex、トウ繊度1330dtexナイロン6繊維(2)トウを得た。
上記参考例における高強力繊維(1)を繊維トウBとして用い、該繊維トウB2本を、S撚り160T/mで撚り合わせを施し撚りロープを得た。
その撚りロープと、繊維トウAとして上記参考例におけるポリエステル(1)の繊維トウ1本を、Z撚り230T/mで撚り合わせ(処方1とする)、総繊度3300dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は550.8N、強力利用率は88.5%、伸度は11.5%であり、耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は9700回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は16500回と、良好な物性であった。
実施例1と同様に上記参考例における高強力繊維(1)を繊維トウBとして用い、該繊維トウB2本を、S撚り50T/mで撚り合わせを施し撚りロープを得た。
その撚りロープと、繊維トウAとして上記参考例におけるポリエステル(1)の繊維トウ1本を、S撚り110T/mで撚り合わせ(処方2とする)、総繊度3300dtexのロープを製造した。このときに、上記繊維トウBからなる撚りロープをフィードする際、4%オーバーフィードを施した。得られたロープの強力は536.3N、強力利用率は86.1%、伸度は8.8%であり、耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は7600回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は13200回と、良好な物性であった。
繊維トウAを上記参考例におけるPVA繊維トウに変更した以外は、実施例1と同様に処方1の方法により総繊度3300dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は554.6N、強力利用率は88.3%、伸度は9.8%であり、耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は13200回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は23400回と、良好な物性であった。
繊維トウAを上記参考例におけるナイロン6繊維(1)トウに変更した以外は、実施例1と同様に処方1の方法により総繊度3500dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は521.3N、強力利用率は86.6%、伸度は12.6%であり、耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は11200回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は18700回と、良好な物性であった。
繊維トウAを上記参考例におけるポリエステル繊維(2)トウに変更した以外は、実施例1と同様に処方1の方法により総繊度3300dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は456.8N、強力利用率は80.6%、伸度は8.6%であり、強力、強力利用率ともに低い値となった。さらに耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は2600回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は4500回であり、実施例1、実施例2と比較すると著しく特性が悪化した。
繊維トウAを上記参考例におけるナイロン6繊維(2)トウに変更した以外は、実施例1と同様に処方1の方法により総繊度3500dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は443.8N、強力利用率は77.9%、伸度は7.4%であり、強力、強力利用率ともに低い値となった。さらに耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は3400回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は3200回であり、実施例4と比較すると著しく特性が悪化した。
繊維トウAを上記参考例における高強力繊維トウ(2)に変更した以外は、実施例1と同様に処方1の方法により総繊度3300dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は630.5N、強力利用率は80.3%であり、強力は十分に高いものの、強力利用率は低い値となった。また伸度は4.5%と低い値となった。
オーバーフィードの値を0%にしたこと以外は、実施例2と同様に処方2の方法により総繊度3300dtexのロープを製造した。得られたロープの強力は480.7N、強力利用率は77.2%であり、強力、強力利用率ともに低い値となった。また伸度は4.8%と低い値となった。さらに耐繊維間摩擦疲労性(ロープ破断までの回数)は3500回、耐プーリー屈曲疲労性(ロープ破断までの回数)は8700回であり、実施例2と比較して性能が劣化した。
オーバーフィードの値を25%にしたこと以外は、実施例2と同様に処方2の方法にてロープを製造しようとしたが、ロープ製造の際に、たくれ、もつれが頻発し、製品を得ることが困難であった。
2 繊維トウB
Claims (4)
- 2種以上の繊維トウが混合された撚糸からなり、少なくとも一部が以下(1)〜(2)を共に満足する高伸度繊維トウAおよび低伸度繊維トウBで構成されるロープ。
(1)Aの伸度/Bの伸度=1.25〜10 であること、
(2)Bの糸長/Aの糸長=1.015〜1.150 であること。 - Bの混合率が25〜85質量%である請求項1記載のロープ。
- Bが、強度18cN/dtex以上である高強力・高弾性率繊維である請求項1または2記載のロープ。
- Bが、溶融液晶ポリマーからなるポリアリレート繊維である請求項1〜3のいずれかに記載のロープ。
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