JP2019151955A - 高強度中空繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部に空隙を持つ中空構造でありながら、高強度を併せ持つ高強度中空繊維に関する。【解決手段】合成樹脂からなる繊維であって、中空率が10〜40%である中空構造をもち、強度が10cN/dtex以上であることを特徴とする高強度中空繊維。さらには、単糸繊度が0.5〜10.0dtexであって、マルチフィラメントの沸水収縮率が0.5%以下であることが好ましく、さらには、合成樹脂が全芳香族ポリアミドを主成分とすることが好ましい。または、溶液中に溶解した合成樹脂を分割された複数の口金から空気中に吐出して中空構造の繊維状物とし、凝固液の溶媒濃度が30%以下の凝固浴で湿式凝固することを特徴とする高強度中空繊維の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、高強度繊維に関するものであって、特に、繊維の内部に空隙(中空孔)を有する高強度中空繊維に関する。
従来、産業用途に用いられているロープ用の繊維として、ポリエステル繊維や、ポリアミド繊維などが用いられてきた。例えば、特許文献1には産業用途に用いられるロープ用の繊維として、水に対する浮力と耐久性の向上の両立を目的とした中空ポリアミド繊維が開示されている。しかしながら、産業用途の繊維としてはさらなる強度が求められていた。また、高温環境下や擦過時等の摩擦熱によって繊維を構成している高分子が溶融または変形することで強度低下等が生じるため、さらなる耐熱性の向上が求められていた。
上記したように、産業用途に用いられるロープとしてポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機高分子からなる繊維が用いられてきた。これらのロープは船舶係留や建築現場で使用され、高強度、高耐久性、強伸度、軽量化が要求されていたが、これらすべての条件を満たす繊維および産業用ロープの開発が求められていた。
また、高強度の繊維としては、アラミド(芳香族ポリアミド)繊維等が知られており、例えば特許文献2では、不溶解粒子を分離した清澄液を紡糸原液として湿式紡糸するアラミド(芳香族ポリアミド)中空繊維の製造方法が開示されているが、産業用途のロープ等として実用に耐える強度を有する繊維の製造を達成することができていなかった。
また、特許文献2は濃硫酸に溶解されたドープを炭酸水素ナトリウム等のアルカリ溶液に直接押し出し、中和反応で発生するガスを繊維内部にためることで、中空構造を形成しており、この方法では発生するガスのコントロールが困難であることが予想され、酸性溶液を直接アルカリ溶液に吐出する作業の面においても、工業的に安定実施することが困難である。そのため、工業的にも安定な方法で生産することが可能であり、かつ産業用のロープとして実用に耐えうる物性を備えた繊維の生産を行うことが求められていた。
本発明は、軽量かつ引張強度および耐熱性に優れた中空の高強度繊維を提供することを目的とする。
本発明の高強度中空繊維は、合成樹脂からなる繊維であって、中空率が10〜40%である中空構造をもち、強度が10cN/dtex以上であることを特徴とする。また、単糸繊度が0.5〜10.0dtexであって、マルチフィラメントの沸水収縮率が0.5%以下であることが好ましい。特に、合成樹脂がパラ型全芳香族ポリアミドを主成分であることが好ましい。
また、本発明の高強度中空繊維の製造方法は、溶液中に溶解した合成樹脂を分割された複数の口金から空気中に吐出して中空構造の繊維状物とし、凝固液濃度が30%以下の凝固浴で湿式凝固することを特徴とする。
また、本発明の高強度中空繊維の製造方法は、溶液中に溶解した合成樹脂を分割された複数の口金から空気中に吐出して中空構造の繊維状物とし、凝固液濃度が30%以下の凝固浴で湿式凝固することを特徴とする。
本発明によれば、繊維の内部に空隙(中空孔)を有することで軽量であり、かつ高耐熱、高強度を併せ持つ高強度中空繊維が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の高強度中空繊維は、合成樹脂からなる繊維であって、中空率が10〜40%である中空構造をもち、強度が10cN/dtex以上である。また、繊維は単糸繊度が0.5〜10.0dtexであって、マルチフィラメントの沸水収縮率が0.5%以下であることが好ましい。
本発明の繊維を構成する合成樹脂は、繊維成形性のある樹脂であって、樹脂成分を含有する溶液を紡糸口金から吐出するなどして繊維を形成することが可能な樹脂である。中でも産業用のロープとして実用に耐えうる物性を備えた全芳香族ポリアミド樹脂を主成分とすることが好ましい。さらには、全芳香ポリアミドがパラ型全芳香族ポリアミドを主成分とすることが好ましい。このようなパラ型全芳香族ポリアミドを用いることによって中空形状であっても、高強度、高耐久性、強伸度を備えることが可能となる。
本発明の高強度中空繊維は、上記のような合成樹脂からなる繊維であって、繊維軸方向に連続した1つの中空孔を有し、その中空率が10〜40%である。好ましくは15〜40%である。軽量化および水に対する浮力を有する点からさらに好ましくは28%〜38%であり、最も好ましくは28〜35%である。なお、本発明における「中空率」とは、繊維断面積のうち、繊維内部の空洞部分の断面積比率を意味している。中空率が10%以下の場合には軽量化および水に対する浮力の効果が乏しく、40%超える場合には物理的な強度が低下する傾向が顕著であり、さらに工程安定性が低下し、毛羽発生といった品位低下を招くため、好ましくない。
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維マルチフィラメントの破断強度は、10cN/dtex以上である。好ましくは12cN/dtex以上であり、さらに好ましくは15〜30cN/dtexの範囲である。通常このような高強度繊維を中空繊維とすることが困難であったが、本発明においては後述する製造方法によって、高強度な中空繊維を得ることが可能となった。
そして、本発明の高強度中空繊維の単糸繊度は、0.5〜10dtexである。好ましくは、1.0〜6.5dtexであり、さらに好ましくは1.0〜4.0dtexである。単糸繊度が細すぎると工程通過性が低下するため安定して生産ができないため、好ましくない。また10dtexを超えると、脱溶剤の進行が遅く、工程通過性が悪くなるうえに、ロープの軽量性を保つと事ができないため好ましくない。
また、本発明の高強度中空繊維のマルチフィラメントの収縮率は、耐熱性および耐久性の観点から沸水収縮率が0.5%以下の低収縮であることが好ましい。
また、本発明の高強度中空繊維のマルチフィラメントの収縮率は、耐熱性および耐久性の観点から沸水収縮率が0.5%以下の低収縮であることが好ましい。
なお、本発明の高強度中空繊維に含まれるパラ型全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリアミドである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。
このようなパラ型全芳香族ポリアミドとしては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、テレフタル酸成分と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分およびパラフェニレンジアミン成分とが共重合されたポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド、テレフタル酸成分とフェニルベンゾイミダゾール骨格を有する芳香族ジアミン成分およびパラフェニジレンジアミン成分とが共重合されたポリパラフェニレン・フェニルベンゾイミダゾール・テレフタルアミド等を挙げることができ、1種単独でもよく、2種以上併用することが好ましい。
本発明の高強度中空繊維は、パラ型全芳香族ポリアミドを主成分とする繊維とすることが好ましい。ここで、「主成分」とは、パラ型全芳香族ポリアミド繊維全体に対して、50質量%より大きく100質量%の範囲であることを意味する。
本発明の高強度中空繊維は、機械的強度が特に優れており、かつアミド系溶剤等に可溶であるため成形加工性に優れ、熱延伸を施すことにより強度や弾性率等の引張特性を著しく向上できることから、ポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを用いることが好ましい。
もう1つの本発明の高強度中空繊維の製造方法として、本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、溶液中に溶解した合成樹脂を分割された複数の口金から空気中に吐出して中空構造の繊維状物とし、凝固液の溶媒濃度が30%以下の凝固浴で湿式凝固することによって工業的に安定な方法で生産が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで繊維を形成する合成樹脂としては、先に述べた繊維成形性のある樹脂を用いることができ、本発明の製造方法では、このような樹脂を溶液中に溶解して用いることが好ましい。
ここで繊維を形成する合成樹脂としては、先に述べた繊維成形性のある樹脂を用いることができ、本発明の製造方法では、このような樹脂を溶液中に溶解して用いることが好ましい。
中でも好ましく用いられる樹脂としては、高強度、高耐久性、強伸度等の物性を備えた全芳香族ポリアミドが好ましい。その中でも特にパラ型全芳香族ポリアミドであることが好ましい。
本発明の高強度中空繊維は、いわゆる半乾半湿式法により製造することができる。すなわち、パラ型全芳香族ポリアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を紡糸口金から吐出し、エアーギャップを介して中空形状を形成するために凝固速度を調整した貧溶媒からなる凝固浴中で凝固させて凝固糸を得て、さらに水洗、延伸、乾燥等の工程を経て、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得る。また、紡糸口金には中空の合成樹脂繊維の中空繊維を溶融紡糸するための公知の口金形状を使用することができる。以下に、パラ型全芳香族ポリアミド繊維マルチフィラメントの製造方法の一例を示す。
[紡糸用溶液(ドープ)]
パラ型全芳香族ポリアミド、および溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
パラ型全芳香族ポリアミド、および溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルカプロラクタム(NMC)等を挙げることができる。また、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。さらには、パラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いた溶媒を使用してもよい。
また、繊維に機能性等を付与する目的で、添加剤等を配合してもよい。例えば、添加物等は、紡糸用溶液(ドープ)の調整時にルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族ポリアミドの濃度は、1.0質量%以上10質量%以下の範囲とすることが好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が1.0質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため、紡糸に必要な粘度が得られず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が10質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加するため、紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により安定した紡糸が困難となるため好ましくない。
[エアーギャップ]
紡糸口金面から凝固液までのエアーギャップは、10〜20mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは15〜20mmの範囲である。10mm未満では、紡糸口金面が凝固液から発生する蒸気等により汚れやすくなるため好ましくない。また、20mmを超える場合には、単糸同士が密着するため好ましくない。
紡糸口金面から凝固液までのエアーギャップは、10〜20mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは15〜20mmの範囲である。10mm未満では、紡糸口金面が凝固液から発生する蒸気等により汚れやすくなるため好ましくない。また、20mmを超える場合には、単糸同士が密着するため好ましくない。
[凝固浴]
本発明の高強度中空繊維の製造方法は、上記のような繊維成形性を有する樹脂を湿式凝固するのであるが、その凝固液の組成としては合成繊維、特にはパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用いる場合にはパラ型全芳香族ポリアミドの貧溶媒であることが好ましい。また、紡糸後に速やかに凝固しない場合、中空形状を維持することができないため、中空構造を維持するためには凝固浴における凝固速度を上げる必要がある。
本発明の高強度中空繊維の製造方法は、上記のような繊維成形性を有する樹脂を湿式凝固するのであるが、その凝固液の組成としては合成繊維、特にはパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用いる場合にはパラ型全芳香族ポリアミドの貧溶媒であることが好ましい。また、紡糸後に速やかに凝固しない場合、中空形状を維持することができないため、中空構造を維持するためには凝固浴における凝固速度を上げる必要がある。
貧溶媒における凝固速度は溶媒の濃度に依存し、溶媒濃度が低いほど凝固速度が高まるため、例えば、凝固液としてNMPと水との混合溶液を用いた場合、凝固液のNMP濃度が低いほど好ましく、具体的には、濃度が30%以下であることが好ましく、さらには15%以下であることが好ましい。
また、凝固液の温度は30℃以上であることが好ましい。凝固液の温度は高いほど、凝固速度が向上し中空構造を維持する傾向があるため、60℃以上がより好ましい。しかしながら凝固液の温度が高いすぎる場合、揮発した霧状の液滴が口金面に付着して吐出不良を起こすため、100℃以下であることが適切である。
[その他の工程]
凝固浴から糸条を引き上げた後、公知の方法によって、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、凝固浴中で凝固して形成した未延伸糸を水洗して溶媒を除去し、必要に応じて延伸して配向糸とし、さらに、乾燥工程等を経ることにより最終的な繊維を得る。
凝固浴から糸条を引き上げた後、公知の方法によって、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、凝固浴中で凝固して形成した未延伸糸を水洗して溶媒を除去し、必要に応じて延伸して配向糸とし、さらに、乾燥工程等を経ることにより最終的な繊維を得る。
延伸の方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸のみならず、乾燥糸状態での加熱延伸等も行うことができる。延伸倍率については特に制限はないが、少なくとも5倍以上とすることが好ましく、8倍以上とすることがさらに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。また、逐次延伸を採用すれば、延伸安定性を向上させることができる。
すなわち、本発明の高強度中空繊維は、上述した物性および製造方法により、中空形状を有し、繊維の軽量化が可能であって、高強度繊維(例えば、パラ型全芳香族ポリアミド)を用いることで、高強度、高耐久性、強伸度を得ることができる。これにより、船舶や建築等の産業用途のロープ、その中でも特に強度と耐久が要求される船舶係留用ロープとして、軽量かつ高強度、高耐久のロープを提供することができる。また、高強度繊維(パラ型全芳香族ポリアミド繊維)の凝固を最適化することで、半乾半湿式紡糸であっても、中空構造の繊維の製造を安定かつ良好にすることが可能となった。
以下、実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例および比較例に制限されるものではない。
(1)繊度の測定
得られた繊維に検尺機を用いて100m採取し、その質量を測定した。得られた値を100倍し、繊度の値とした。また、単糸繊度はマルチフィラメントのフィラメント数で除することにより算出した。
得られた繊維に検尺機を用いて100m採取し、その質量を測定した。得られた値を100倍し、繊度の値とした。また、単糸繊度はマルチフィラメントのフィラメント数で除することにより算出した。
(2)繊維の破断強度の測定
得られたマルチフィラメントの繊維を引張試験機(INSTRON社製、「INSTRON」、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で繊維の引張強度を測定した。
[測定条件]温度:室温、試験長:75mm、引張速度:250mm/分、チャック間距離:500mm
得られたマルチフィラメントの繊維を引張試験機(INSTRON社製、「INSTRON」、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で繊維の引張強度を測定した。
[測定条件]温度:室温、試験長:75mm、引張速度:250mm/分、チャック間距離:500mm
(3)中空率の測定
得られた中空繊維の断面画像をマイクロスコープ(キーエンス社製、「デジタルマイクロスコープ VHX−2000」)にて撮影し、単糸の繊維全体の面積(A1)と中空部の面積(A2)を測定し、A2/A1×100により単糸中空率を算出した。単糸50本の単糸中空率を測定した平均値をもって、中空率とした。
得られた中空繊維の断面画像をマイクロスコープ(キーエンス社製、「デジタルマイクロスコープ VHX−2000」)にて撮影し、単糸の繊維全体の面積(A1)と中空部の面積(A2)を測定し、A2/A1×100により単糸中空率を算出した。単糸50本の単糸中空率を測定した平均値をもって、中空率とした。
(4)沸水収縮率の測定
JIS L1017の規定に基づいて以下の条件で測定を行った。
[測定条件]検尺機を用いて、マルチフィラメントの巻き数20回のかせを作り、かせ長を測定する。(L0)次に沸騰した熱水中にこのかせを30分間浸漬したかせを取り出し自然乾燥後かせ長を測定する。(L1)次式により沸水収縮率を算出した。
(L0−L1)/L1×100
JIS L1017の規定に基づいて以下の条件で測定を行った。
[測定条件]検尺機を用いて、マルチフィラメントの巻き数20回のかせを作り、かせ長を測定する。(L0)次に沸騰した熱水中にこのかせを30分間浸漬したかせを取り出し自然乾燥後かせ長を測定する。(L1)次式により沸水収縮率を算出した。
(L0−L1)/L1×100
(5)工程通過性
400m/minで12時間製糸した際の断糸回数で以下の通り評価を実施した。
断糸0回:〇
断糸1〜2回:△
断糸3回以上:×
400m/minで12時間製糸した際の断糸回数で以下の通り評価を実施した。
断糸0回:〇
断糸1〜2回:△
断糸3回以上:×
(6)製品品位(毛羽)
4kgを巻き取った製品の外観を検査し、品位を判定した。
毛羽数0個:〇
毛羽数1〜2個:△
毛羽数3個以上:×
4kgを巻き取った製品の外観を検査し、品位を判定した。
毛羽数0個:〇
毛羽数1〜2個:△
毛羽数3個以上:×
(7)ロープ重量
3g/mの張力をかけて1mの繊維を切り取り、その重量を測定しロープ重量とした。
3g/mの張力をかけて1mの繊維を切り取り、その重量を測定しロープ重量とした。
<実施例1>
[パラ型全芳香族ポリアミドの重合]
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒として用いて、芳香族ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気下で溶解混合した後、撹拌しながら芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸クロリドを添加した。引き続き85℃で60分間重合反応せしめることにより透明で粘調な、ポリマー濃度6重量%のポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液を得た。
[パラ型全芳香族ポリアミドの重合]
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒として用いて、芳香族ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気下で溶解混合した後、撹拌しながら芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸クロリドを添加した。引き続き85℃で60分間重合反応せしめることにより透明で粘調な、ポリマー濃度6重量%のポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液を得た。
[パラ型全芳香族ポリアミド中空繊維の製造]
重合反応によって得られた前記ポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液をそのまま用い、図1の形状の紡糸口金(孔径0.3mmφ、ホール数100)から、紡糸口金面と凝固浴との距離10mmのエアーギャップを介して、NMP水溶液(NMP濃度:15質量%、温度;60℃)を凝固液とする凝固浴中に紡出して凝固させ(半乾半湿式)、引き続き、引き上げられた凝固糸を水洗、乾燥し、次いで、温度530℃の熱板上で10倍に延伸することにより、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維マルチフィラメントは、総繊度128dtexであった。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維マルチフィラメントの評価結果を表1に示す。
重合反応によって得られた前記ポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液をそのまま用い、図1の形状の紡糸口金(孔径0.3mmφ、ホール数100)から、紡糸口金面と凝固浴との距離10mmのエアーギャップを介して、NMP水溶液(NMP濃度:15質量%、温度;60℃)を凝固液とする凝固浴中に紡出して凝固させ(半乾半湿式)、引き続き、引き上げられた凝固糸を水洗、乾燥し、次いで、温度530℃の熱板上で10倍に延伸することにより、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維マルチフィラメントは、総繊度128dtexであった。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維マルチフィラメントの評価結果を表1に示す。
[ロープの製造]
上記で得られたマルチフィラメントを10本合糸して束ね、リング撚糸機を用いてZ方向に75回/mの下撚りをかけた後、得られた繊維束を2本合糸してさらにS方向に50回/mの上撚りをかけることでロープを得た。
上記で得られたマルチフィラメントを10本合糸して束ね、リング撚糸機を用いてZ方向に75回/mの下撚りをかけた後、得られた繊維束を2本合糸してさらにS方向に50回/mの上撚りをかけることでロープを得た。
<実施例2>
口金サイズを変更することで中空率を変更した以外は実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントを得た。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性と評価結果を表1に示す。
口金サイズを変更することで中空率を変更した以外は実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントを得た。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性と評価結果を表1に示す。
<比較例1>
凝固液の条件としてNMP水溶液(NMP濃度:30質量%、温度;50℃)通常丸形口金を用いて中実糸とする以外は実施例1と同じ手法でパラ型全芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントを得た。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性と評価結果を表1に示す。
凝固液の条件としてNMP水溶液(NMP濃度:30質量%、温度;50℃)通常丸形口金を用いて中実糸とする以外は実施例1と同じ手法でパラ型全芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントを得た。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性と評価結果を表1に示す。
<比較例2>
凝固液の条件としてNMP濃度:45質量%、温度:40℃のNMP水溶液を用いる以外は実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントを得た。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性と評価結果を表1に示す。
凝固液の条件としてNMP濃度:45質量%、温度:40℃のNMP水溶液を用いる以外は実施例1と同じ手法によりパラ型全芳香族ポリアミド繊維のマルチフィラメントを得た。得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性と評価結果を表1に示す。
<比較例3>
相対粘度3.80のナイロン6チップを図1の形状の口金を有する溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸し、一つの中空孔を有するマルチフィラメントを得た。その物性を表1に示す。
相対粘度3.80のナイロン6チップを図1の形状の口金を有する溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸し、一つの中空孔を有するマルチフィラメントを得た。その物性を表1に示す。
<比較例4>
相対粘度3.80のナイロン6チップを通常の丸形口金を有する溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸し、中実糸のナイロンマルチフィラメントを得た。その物性表1に示す。
相対粘度3.80のナイロン6チップを通常の丸形口金を有する溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸し、中実糸のナイロンマルチフィラメントを得た。その物性表1に示す。
Claims (4)
- 合成樹脂からなる繊維であって、中空率が10〜40%である中空構造をもち、強度が10cN/dtex以上であることを特徴とする高強度中空繊維。
- 単糸繊度が0.5〜10.0dtexであって、マルチフィラメントの沸水収縮率が0.5%以下である請求項1に記載の高強度中空繊維。
- 合成樹脂が全芳香族ポリアミドを主成分とする請求項1〜2に記載の高強度中空繊維。
- 溶液中に溶解した合成樹脂を分割された複数の口金から空気中に吐出して中空構造の繊維状物とし、凝固液の溶媒濃度が30%以下の凝固浴で湿式凝固することを特徴とする高強度中空繊維の製造方法。
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2018
- 2018-03-06 JP JP2018039698A patent/JP2019151955A/ja active Pending
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