JP2010111923A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 浸漬ランスを介して溶銑に酸素含有ガスを吹き込むか或いは搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで溶銑を脱珪処理または脱燐処理するに際し、混銑車炉口からの溶銑の噴出を抑制し且つ高い反応効率で処理する。
【解決手段】 混銑車内の溶銑9に浸漬ランス4を浸漬させ、該浸漬ランスを介して溶銑に酸素含有ガスを吹き込むか或いは搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで溶銑を脱珪処理または脱燐処理するに際し、赤外線カメラ7で混銑車炉口3からの噴出物10Aを監視し、噴出物中に溶銑を検知したときには、前記浸漬ランスの浸漬深さを浅くするか、または、浸漬ランスから溶銑中に吹込むガスの流量を減少させるか、少なくともどちらか一方を実施する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、混銑車(「トピードカー」ともいう)に収容された溶銑に、浸漬ランスを介して、酸素含有ガスを吹き込むか、或いは搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで溶銑を攪拌しながら溶銑中の珪素または燐を除去する、溶銑の予備処理方法に関し、詳しくは、ガス吹込みによる処理中の混銑車からの溶銑の噴出を抑制して溶銑の流出に伴うトラブルを防止するとともに、効率的な酸素効率で精錬することのできる、溶銑の予備処理方法に関するものである。
近年、高炉から出銑された溶銑は、転炉で精錬される前に、溶銑予備処理と呼ばれる脱珪処理、脱燐処理及び脱硫処理が施される場合が多い。当初、これらの溶銑予備処理は、鋼材の品質面上から低燐化や低硫化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉における生産性向上、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果などにより、銑鋼一貫の製鉄所における製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して溶銑予備処理が施されるようになってきた。ここで、脱珪処理とは、溶銑の珪素含有量が高いと脱燐反応が阻害されるので、脱燐処理を効率的に行うために脱燐処理に先立って行われる処理である。
このうち、脱珪処理及び脱燐処理は、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄(「固体酸素源」という)または酸素ガスや空気などの酸素含有ガス(「気体酸素源」という)を溶銑に吹込むまたは吹き付け、溶銑中の珪素及び燐をこれらの酸素源中の酸素によって酸化・除去することによって行われている。不純物を酸化して除去することは酸化精錬と呼ばれており、脱珪処理及び脱燐処理はともに酸化精錬に分類される。但し、珪素の方が燐に比較して酸素との親和力が強いので、溶銑を酸化すると、先ず脱珪反応が起こり、溶銑中の珪素が少なくなった以降、脱燐反応が進行する。従って、酸化精錬を、脱珪処理と脱燐処理との2回に別けて処理することによる溶銑温度の低下や作業費用の増加などに鑑み、同一の処理容器を用いて脱珪処理及び脱燐処理を実施することも行われている。この予備処理の形態も、一般的には脱燐処理と呼ばれるが、「脱珪・脱燐処理」と呼ぶこともある。
混銑車に収容された溶銑に脱珪処理または脱燐処理を施す場合、混銑車の容器形状から溶銑は攪拌・混合されにくく、それに加えて溶銑の収容量に対して混銑車の開口部が少なく、酸素含有ガスを上吹きしただけでは所望する反応効率が得られないことから、溶銑に浸漬ランスを浸漬させ、この浸漬ランスを介して酸素含有ガスを溶銑中に吹き込んで処理する(例えば、特許文献1を参照)、或いは、浸漬ランスを介して搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで処理する(例えば、特許文献2を参照)ことが広く行われている。
浸漬ランスを介して酸素含有ガス或いは搬送用ガスを溶銑に吹き込む場合、浸漬深さを大きくするほど溶銑の攪拌効果は増大し、反応効率は向上するが、浸漬深さに比例して混銑車の開口部(以下、「炉口」という)からの溶銑の噴出が増大するという問題が発生する。特に、浸漬ランスを混銑車の炉口から溶銑に垂直に浸漬させたときには、浸漬ランスのガス吹き出し部と混銑車の炉口とが近い位置関係になるので、溶銑が噴出しやすくなる。溶銑の噴出は設備トラブルを招く恐れがあり、従って、溶銑の噴出を防止するために、浸漬ランスの浸漬深さを浅くした操業を余儀なくされていた。
この問題を解決するために、特許文献3には、浸漬ランスの先端が混銑車の一方の側の絞り部の近傍に位置するように、浸漬ランスを混銑車内に斜めに浸漬させる或いはL字型に曲がった浸漬ランスを浸漬させる技術が開示されている。浸漬ランスを斜めに浸漬させることで、浸漬ランスのガス吹き出し部と混銑車の炉口部とが隔てられ、溶銑の噴出が抑制される。
特開昭56−169716号公報 特開昭63−303006号公報 特開平1−306517号公報
しかしながら、特許文献3においては以下の問題点がある。即ち、浸漬ランスを斜めに浸漬させる或いはL字型に曲がった浸漬ランスを浸漬させることで、混銑車炉口からの溶銑の噴出を減らすことができ、ランスの浸漬深さを深くすることは可能となるものの、浸漬ランスが溶銑の浮力を受けやすく、振動が激しくなってランスの損傷が激しくなるという課題を有している。従って、特許文献3は、浸漬ランスの寿命という観点からは十分ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、混銑車内の溶銑に浸漬ランスを浸漬させ、この浸漬ランスを介して溶銑に酸素含有ガスを吹き込むか或いは搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで溶銑を脱珪処理または脱燐処理するに際し、混銑車炉口からの溶銑の噴出が少なく、高い反応効率で処理することのできる、溶銑の予備処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の予備処理方法は、混銑車内の溶銑に浸漬ランスを浸漬させ、該浸漬ランスを介して溶銑に酸素含有ガスを吹き込むか或いは搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで溶銑を脱珪処理または脱燐処理するに際し、赤外線カメラで混銑車炉口からの噴出物を監視し、噴出物中に溶銑を検知したときには、前記浸漬ランスの浸漬深さを浅くするか、または、浸漬ランスから溶銑中に吹込むガスの流量を減少させるか、少なくともどちらか一方を実施することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の予備処理方法は、第1の発明において、更に、所定時間の期間、噴出物中に溶銑を検知しないときには、前記浸漬ランスの浸漬深さを深くするか、または、浸漬ランスから溶銑中に吹込むガスの流量を増加させるか、少なくともどちらか一方を実施することを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の予備処理方法は、第1または第2の発明において、前記浸漬ランスの浸漬深さ及び前記浸漬ランスからの溶銑中へのガス流量は、自動的に制御されること特徴とするものである。
本発明によれば、混銑車内の溶銑に酸素含有ガスまたは固体酸素源を吹き込んで溶銑を予備処理する際に、混銑車炉口からの噴出物を赤外線カメラによって監視し、噴出物中に溶銑が検知されたときには、浸漬ランスの浸漬深さを浅くする、または、溶銑中に吹込むガスの流量を減少させるので、溶銑の噴出を最小限に抑制することができる。また、噴出物の成分を定量的に把握できることから、浸漬ランスの浸漬深さ及び溶銑中に吹込むガス流量を過剰に調整するつまり過剰に減少することが回避され、従来に比較して酸素の反応効率を向上させることが実現される。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、混銑車に収容された溶銑に対して本発明の溶銑予備処理を実施している様子を示す概略図、図2は、図1とは直交する方向から本発明の溶銑予備処理を実施している様子を示す概略図である。
図1及び図2において、高炉(図示せず)から出銑された溶銑9を混銑車炉体2に収容した混銑車1が、浸漬ランス4及び上吹きランス5を備えた予備処理設備に搬送されている。ここで、浸漬ランス4は、酸素含有ガスを溶銑9に吹き込んだり、酸素含有ガスまたは不活性ガスを搬送用ガスとして、鉄鉱石や焼結鉱粉などの固体酸素源及び/または生石灰(CaO)などの造滓剤を溶銑9に吹込んだりする装置であり、また、上吹きランス5は、上下移動可能であって、酸素含有ガスを溶銑9の浴面に向けて吹き付けるための装置である。酸素含有ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素)、空気、酸素富化空気、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスなどが使用され、不活性ガスとしては、Arガスや窒素ガスが使用される。浸漬ランス4及び上吹きランス5は、混銑車炉体2の開口部である炉口3から混銑車炉体2の内部に挿入されており、浸漬ランス4及び上吹きランス5は、その鉛直方向位置を昇降装置(図示せず)によって自動的に任意の位置に配置されるように構成されている。尚、浸漬ランス4は、これらの図では、溶銑9に垂直に浸漬され、垂直(鉛直)方向に移動するようになっているが、溶銑9に斜めに浸漬され、斜め上方方向に移動するようにしても、本発明を適用する上で何ら問題はない。
浸漬ランス4は、図3に示すように内管13及び外管14からなる二重管構造であり、底部に水平方向を向いた左右一対の吐出孔16が形成されている。また、外管14の外周及び底部には、耐火物被覆層15が施工されている。内管13の内部が、酸素含有ガスの吹き込み流路、或いは、固体酸素源や造滓剤の吹き込み流路となっていて、内管13と外管14との間隙は、プロパンガスなどの炭化水素系ガスの吹込み流路となっている。炭化水素系ガスは熱を受けると分解し、この炭化水素系ガスの分解反応による吸熱により浸漬ランス4は冷却され、特に吐出孔16の近傍の損耗が抑制される。浸漬ランス4には、酸素含有ガスを供給する配管、固体酸素源を収容するホッパーと結ばれる配管、及び、媒溶剤を収容するホッパーと結ばれる配管が接続されているが、図1,2ではこれらを省略している。尚、浸漬ランス4は、二重管構造とすることは必須ではなく、単管構造であっても構わないが、単管構造の場合には炭化水素系ガスを吹き込むことはできず、炭化水素系ガスの分解反応による冷却効果は得られないことから、二重管構造とすることが好ましい。また、固体酸素源及び造滓剤の溶銑9への添加は、浸漬ランス4に限るわけではなく、炉口3からシュートなどを介して上置き添加できるようになっている。
混銑車1の側面から所定位置離れた位置には、炉口3から噴出される溶銑9及びスラグ10を監視するための、赤外線カメラ7及び検知部8からなる地金検知装置6が設置されている。赤外線カメラ7は、炉口3から噴出される溶銑9及びスラグ10からなる噴出物、並びにその周囲の背景を二次元で撮影し、各被写体の放射エネルギー値を測定するとともに、各被写体の放射エネルギー値を表示する装置である。赤外線カメラ7により撮影された二次元の画像及び放射エネルギーの測定値は、検知部8に送られる。
検知部8は、赤外線カメラ7から送られた画像に基づいて、溶銑流出の検知並びに溶銑流出の判定を行う装置である。検知部8の信号は、浸漬ランス4の昇降装置及び浸漬ランス4からのガス流量を調整するガス流量制御装置(図示せず)に入力されており、検知部8からの信号によって浸漬ランス4の浸漬深さ及び浸漬ランス4からのガス吹き込み流量が自動的に制御可能なように構成されている。尚、赤外線カメラ7でなくても例えばCCDカメラなどでも、被写体の放射エネルギー値を計測することは可能であるが、検出感度が高いことから本発明では赤外線カメラ7を使用している。但し、赤外線カメラ7の代わりにCCDカメラを使用しても、本発明を実施することは可能である。
このようにして構成される予備処理設備を用い、混銑車1に収容された溶銑9に対して脱珪処理を施す際に、本発明を適用する例を先ず説明する。ここでは、浸漬ランス4の内管13から、酸素含有ガスとして酸素ガスを吹き込み、内管13と外管14との間隙からプロパンガスを吹き込んで行う脱珪処理の例で説明する。この脱珪処理では、上吹きランス5は使用しない。
溶銑9を収容する混銑車1を予備処理設備の所定の位置に配置した後、浸漬ランス4を所定量の浸漬深さで溶銑9に浸漬させ、浸漬ランス4から所定量の酸素ガスを溶銑9に吹き込んで脱珪処理を開始する。脱珪処理は、溶銑中の珪素が酸化除去される反応であり、反応生成物として酸化珪素(SiO2)が形成される。この酸化珪素は、スラグ10となって溶銑9の湯面上に浮上・滞留するが、フォーミング(泡立ち)して溢れ出し、設備損傷を起こす危険性があり、また、次工程の脱燐処理では脱燐反応を阻害することから脱燐処理前には除滓する必要があり、従って、本実施の形態例では、図2に、混銑車炉体2を傾動させ、脱珪処理中にスラグ10を炉口3から強制的に流出させている概略図を示すように、脱珪処理前或いは脱珪処理中に混銑車炉体2を鉛直線に対して傾斜させ、生成したスラグ10を炉口3からピット11に流出させる。
混銑車炉体2の鉛直線に対する傾斜角度θは、混銑車炉体2に収容された溶銑9の質量にも依存するが、通常の場合では5°〜10°程度で十分である。要は、スラグ10が主に流出し、溶銑9が流出しない範囲とすればよい。当然ながら、混銑車炉体2を傾動させただけでは、スラグ10の排出は完全にはできないので、従って、次工程の脱燐処理を効率的に行うためには、脱珪処理終了後、別途ドラッガーなどによってスラグ10を除去する必要がある。ピット11に排出したスラグ10は、ショベルカー12などの適宜の処理設備によって処分する。本発明において、混銑車炉体2を傾斜させることは必須ではないが、上記の理由から傾斜させることが好ましい。
溶銑9に含有される成分の中で酸化反応により除去される成分は、珪素、燐、炭素、マンガンなどであるが、これらの成分のなかでは酸素との親和力は珪素が最も強く、しかも、高炉から出銑された溶銑9には、珪素が0.2〜0.4質量%程度、燐が0.08〜0.2質量%程度、炭素が4.0〜4.7質量%程度、マンガンが0.2〜0.4質量%程度含有されているので、溶銑9に酸素源を供給すると、珪素の酸化反応が優先的に進行する。つまり、供給する酸素ガス中の酸素と溶銑中の珪素とが反応して、脱珪反応(Si+2O→SiO2)が進行し、SiO2を主体とするスラグ10が形成される。
生成したスラグ10は、スラグ流10Aとなって炉口3からピット11に流出する。浸漬ランス4の浸漬深さが深い場合、或いは、浸漬ランス4からの酸素ガスの流量が多い場合は、溶銑9の攪拌が激しくなり、溶銑9もスラグ流10Aに混入して炉口3から流出する。スラグ流10Aに混入する溶銑9を検出するために、炉口3から流出するスラグ流10Aを赤外線カメラ7で連続して監視し、一定周期で流出するスラグ流10Aの二次元画像を撮影し、撮影した二次元画像の各位置の放射エネルギー値を測定する。測定された各位置の放射エネルギー値は検知部8に送られる。
図4に、或る時刻において赤外線カメラ7により測定されたスラグ流10A及びその周囲の背景の放射エネルギー値の二次元画像の例を示す。図4において、「Z」として示す放射エネルギー値の極めて低い部分(以下、「範囲(Z)」と記す)がスラグ流10Aの背景であり、スラグ流10Aのなかで放射エネルギーレベルの最も高い「Y」として示す部分(以下、「範囲(Y)」と記す)が、スラグ流10Aのスラグ10の部分であり、範囲(Y)よりも放射エネルギーレベルは低いが範囲(Z)よりも放射エネルギーレベルの高い「X」として示す部分(以下、「範囲(X)」と記す)が、スラグ流10Aの溶銑9の部分である。
撮影した二次元画像を、範囲(X)、範囲(Y)及び範囲(Z)の3つの範囲に判別する方法を、図5を用いて説明する。図5は、図4に示すA−A’線上の放射エネルギー値の分布を示す概略図である。背景つまり範囲(Z)の部分は、放射エネルギー値が極めて低く、スラグ流10Aの部分、つまり範囲(X)及び範囲(Y)とは明確に判別することができる。スラグ流10Aの部分において、スラグ10の放射エネルギー値はEsであり、溶銑9の放射エネルギー値は、スラグ10の放射エネルギー値Esよりも低いEmであるので、スラグ10と溶銑9とを判別することができる。具体的には、図5に示すように、範囲(Z)の放射エネルギー値よりも大きく且つEmよりも小さいエネルギー閾値Ec1を設定するとともに、Emよりも大きく且つEsよりも小さいエネルギー閾値Ec2を設定しておき、計測される放射エネルギーレベルが、エネルギー閾値Ec1を越え且つエネルギー閾値Ec2未満の範囲を溶銑9つまり範囲(X)とし、それ以外をスラグ10つまり範囲(Y)として判別する。スラグ10と背景との境界には、Ec1を越えEc2未満の範囲が存在するが、この部分は除外して判定する。検知部8では、送られてくる放射エネルギー値の測定データに基づき、二次元画像全体について、このようにして溶銑9、スラグ10及び背景の3つに判別する。
これは、赤外線波長領域におけるスラグ10の放射率は、溶銑9の放射率の1.2〜1.5倍であり、これによって測定される放射エネルギーレベルに差が発生するので、赤外線カメラ7を使用することによって、スラグ流10Aにおける溶銑9とスラグ10とを明確に区別することが可能となるからである。図5は、スラグ流10Aに溶銑9が混入した状態を示しており、溶銑9が混入していない場合には、画像は範囲(Y)と範囲(Z)とで構成される。
ここで、エネルギー閾値Ec1,Ec2は、一定値のままとしてもよく、また、赤外線カメラ7のレンズへの付着物の影響などによる見掛け上のEm及びEsの変化に対応するために見掛け上のEm及びEsの相対差に基づいて設定してもよく、また更に、スラグ流10Aのスラグ10の温度や成分或いはスラグ流10Aの乱れなどによって放射率が変化することから(温度が高い場合には、放射エネルギー値が高くなるので、エネルギー閾値Ec2を大きくするなど)、これらに応じて設定してもよい。
検知部8は、設定されたエネルギー閾値Ec1,Ec2に基づいて、範囲(X)か範囲(Y)かを、つまり溶銑9かスラグ10かを、赤外線カメラ7からデータが送られてくる毎に判定し、そして、検知部8は、スラグ流10Aに溶銑9が検知されたなら、浸漬ランス4の昇降装置及び浸漬ランス4からのガス流量を調整するガス流量制御装置に、「溶銑検知」の信号を発信する。この信号を受信したなら、浸漬ランス4の昇降装置は浸漬ランス4の浸漬深さを浅くするか、ガス流量制御装置は浸漬ランス4から吹き込む酸素ガスの流量を減少するか、少なくとも何れか一方の処置を自動的に実施する。
溶銑9の検知にあたり、スラグ流10Aの面積(=範囲(X)+範囲(Y))における範囲(X)の比率(X/(X+Y))が所定の値になった時点を「溶銑検知」と判定してもよい。比率(X/(X+Y))に基づいて判定することにより、被写体の各放射エネルギー値ごとに判定する場合に比較して、検知精度を高くすることができるが、一方、溶銑9の流出は増加する恐れがある。
また、所定時間、例えば、2〜3分間程度の期間、スラグ流10Aに溶銑9が検知されない場合には、検知部8は、「スラグ非検知」の信号を、浸漬ランス4の昇降装置及び浸漬ランス4からのガス流量を調整するガス流量制御装置に発信する。この信号を受信したなら、浸漬ランス4の昇降装置は浸漬ランス4の浸漬深さを深くするか、ガス流量制御装置は浸漬ランス4から吹き込む酸素ガスの流量を増加するか、少なくとも何れか一方の処置を自動的に実施することができるように、構成されている。浸漬ランス4の浸漬深さを深くする、或いは、浸漬ランス4から吹き込む酸素ガスの流量を増加することで、溶銑9の流出が再び生じる恐れがあることから、浸漬深さの増大及びガス流量の増大は、実施しなくても構わないが、浸漬深さの増大及びガス流量の増大は、反応効率を高める効果があり、反応効率を高める観点からは実施することが好ましい。
溶銑9の珪素濃度が目標値まで低下したなら、酸素ガスの供給を停止し、脱珪処理を終了する。尚、上記説明の脱珪処理方法は、内管13から酸素ガスのみを吹き込んでいるが、内管13から酸素ガスを搬送用ガスとして鉄鉱石などの固体酸素源を吹き込んだり、酸素ガスを搬送用ガスとしてCaO系造滓剤を吹き込んだり、更には、不活性ガスを搬送用ガスとして固体酸素源を吹き込んだりして脱珪処理を行うことができ、本発明はこれら全ての脱珪処理に適用することができる。要は、浸漬ランス4からガスを吹き込み、混銑車内の溶銑9を攪拌して行う脱珪処理に本発明を適用することができる。ここで、CaO系造滓剤は生成するスラグ10の塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を調整する目的で添加される。
次に、溶銑9の脱燐処理に本発明を適用する例を説明する。溶銑9の脱燐処理は脱珪処理と同様に酸化精錬であり、従って、本発明は、溶銑9の脱燐処理にも適用することができる。
混銑車1に収容された溶銑9に脱燐処理を施す場合、脱燐処理も酸化精錬であることから、上記説明の脱珪処理に準じて脱燐処理を行えばよいが、脱燐処理と脱珪処理とで異なる点は、脱珪処理では生石灰などの造滓剤を添加してもしなくても、どちらでも構わないが、脱燐処理では酸化反応によって生成した燐酸化物(P25)をCaO系造滓剤が吸収することによって脱燐反応が進行するので、生石灰単独或いは蛍石―生石灰の混合体などのCaO系造滓剤の添加が必須条件になることである。このCaO系造滓剤は、通常、酸素ガスを搬送用ガスとして、浸漬ランス4を介して溶銑に吹き込み添加されるが、シュートなどを介して炉口3から上置き添加してもよい。また、燐の方が珪素に比較して酸素との親和力が弱いので、脱燐処理の方が脱珪処理に比較して酸素ポテンシャルを高める必要があることから、脱燐処理では、上吹きランス5からも酸素ガスを供給することが一般的である。要は、浸漬ランス4及び上吹きランス5から酸素ガスを供給するとともに、浸漬ランス4またはシュートからCaO系造滓剤を添加し、更に必要に応じて浸漬ランス4またはシュートから鉄鉱石や焼結鉱粉などの固体酸素源を添加して脱燐処理を実施すればよい。
この場合、溶銑9は、予め脱珪処理が施されていてもまた施されていなくてもどちらでも構わず、どちらの溶銑であっても同様の処理方法で処理することができる。予め脱珪処理が施されていない溶銑の場合には、先ず、脱珪反応が進行し、溶銑の珪素濃度が或る程度下がった時点(珪素濃度が0.2質量%程度未満)から脱燐反応が進行し、その後、脱珪反応及び脱燐反応が並行して進行する。一方、予め脱珪反応を施した溶銑の場合には、最初から脱珪反応及び脱燐反応が並行して進行する。脱珪反応は溶銑中の珪素濃度が実質的にゼロになるまで進行する。
つまり、予め脱珪処理が施されていても、またいなくても、脱燐処理において溶銑中の珪素が酸化され、酸化珪素が形成される。生成した酸化珪素は、フォーミングし、傾斜させた混銑車炉体2の炉口3からスラグ流10Aとして流出する。このスラグ流10Aを赤外線カメラ7で監視し、上述したようにして本発明を適用する。そして、溶銑中の燐濃度が所定値になったなら、CaO系脱燐精錬剤、酸素ガス及び酸化鉄の供給を停止し、脱燐処理を終了する。
このようにして、混銑車内の溶銑9を脱珪処理或いは脱燐処理することで、処理中の炉口3からの溶銑9の噴出を最小限に抑制することができる。また、スラグ流10Aに含まれる溶銑9の量を定量的に把握できることから、浸漬ランス4の浸漬深さ及び溶銑中に吹込む酸素ガス流量を過剰に調整するつまり過剰に減少することが回避され、従来に比較して酸素の反応効率を向上させることが可能となる。
前述した図1及び図2に示す予備処理設備を用いた溶銑の脱珪処理の際に、本発明を適用した例を説明する。混銑車の容量は300トンであり、浸漬ランスの浸漬深さの初期設定を500mmとし、浸漬ランスの内管から酸素ガスを15〜30Nm3/min吹き込み、内管と外管との間隙からは、内管から吹込む酸素ガスの5〜10体積%のプロパンガスを吹き込んで脱珪処理した。混銑車の傾斜角度θは8°とした。
この脱珪処理中に、混銑車炉口からのスラグ流を監視している地金検知装置で溶銑が検知されたなら、直ちに浸漬ランスの浸漬深さを50mm浅くし、一方、2分間継続して混銑車炉口からのスラグ流に溶銑が検知されないときには浸漬ランスの浸漬深さを25mm深くするようにして脱珪処理を行った(本発明例)。浸漬ランスの浸漬深さは、浸漬ランス昇降装置により自動的に調整した。尚、浸漬ランスの内管からの酸素ガス流量は変化させずに一定値とした。
また、比較のために、混銑車炉口からのスラグ流をオペレーターが目視で監視し、オペレーターがスラグ流中に溶銑の流出を確認したときには、直ちに浸漬ランスの浸漬深さを50mm浅くするようにして脱珪処理を行った(比較例)。浸漬ランスの浸漬深さは、オペレーターによる浸漬ランス昇降装置の遠隔操作により調整した。この場合も、浸漬ランスの内管からの酸素ガス流量は変化させずに一定値とした。
本発明例及び比較例の約50チャージの操業結果から、本発明例では、浸漬ランスの浸漬深さの平均値が450mmであり、脱珪酸素効率は36%になった。一方、比較例では、浸漬ランスの浸漬深さの平均値が350mmであり、脱珪酸素効率は31%であった。
このように、本発明を適用することにより、溶銑の流出を抑制することができ、且つ、酸素の反応効率を高位に維持できることが確認できた。尚、脱珪酸素効率は、下記の(1)式で表される値である。
脱珪酸素効率=脱珪量(0.01質量%)×0.08(Nm3/t/0.01質量%)×溶銑量(t)/酸素ガス吹込量(Nm3)×100…(1)
混銑車に収容された溶銑に対して本発明の溶銑予備処理を実施している様子を示す概略図である。 図1とは直交する方向から見た概略図である。 本発明で使用する浸漬ランスの例を示す概略図である。 赤外線カメラにより測定されたスラグ流及びその周囲の背景の放射エネルギー値の二次元画像の例を示す概略図である。 図4に示すA−A’線上の放射エネルギー値の分布を示す概略図である。
符号の説明
1 混銑車
2 混銑車炉体
3 炉口
4 浸漬ランス
5 上吹きランス
6 地金検知装置
7 赤外線カメラ
8 検知部
9 溶銑
10 スラグ
10A スラグ流
11 ピット
12 ショベルカー
13 内管
14 外管
15 耐火物被覆層
16 吐出孔

Claims (3)

  1. 混銑車内の溶銑に浸漬ランスを浸漬させ、該浸漬ランスを介して溶銑に酸素含有ガスを吹き込むか或いは搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込んで溶銑を脱珪処理または脱燐処理するに際し、赤外線カメラで混銑車炉口からの噴出物を監視し、噴出物中に溶銑を検知したときには、前記浸漬ランスの浸漬深さを浅くするか、または、浸漬ランスから溶銑中に吹込むガスの流量を減少させるか、少なくともどちらか一方を実施することを特徴とする、溶銑の予備処理方法。
  2. 更に、所定時間の期間、噴出物中に溶銑を検知しないときには、前記浸漬ランスの浸漬深さを深くするか、または、浸漬ランスから溶銑中に吹込むガスの流量を増加させるか、少なくともどちらか一方を実施することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
  3. 前記浸漬ランスの浸漬深さ及び前記浸漬ランスからの溶銑中へのガス流量は、自動的に制御されること特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の予備処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014055315A (ja) * 2012-09-11 2014-03-27 Jfe Steel Corp 炉口排出滓流監視方法および転炉操業方法
JP2015189991A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 株式会社神戸製鋼所 溶銑鍋における脱珪および脱硫方法
JP2015189992A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 株式会社神戸製鋼所 溶銑鍋における脱珪方法

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